| 【発明の名称】 |
改良土 |
| 【発明者】 |
【氏名】遠藤 昇 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】丸山 邦男 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】秋吉 美穂 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】吉田 光毅 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】金子 文夫 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】客土として農用地に使用しても窒素やリン酸などの富栄養物質がもたらす種々の生育障害の発生を抑え、減収抑制効果のある改良土を提供する。また、鉛、水銀などの重金属類や、PCB、ダイオキシンなどの有毒物質に汚染された泥土を、ファイトレメディエーション効果を利用して、簡易かつ低コストに分解・浄化し得る改良土を提供する。
【解決手段】湖沼や河川などの底泥、汚泥または排泥等の含水比の高い泥土を主成分とし、前記泥土に対して保水剤を添加し混練して構成する。農用地に客土として用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農用地に客土として用いられる改良土であって、 泥土を主成分とし、前記泥土に対して保水剤を添加し混練して構成されたことを特徴とする改良土。 【請求項2】 請求項1に記載の改良土であって、更に前記農用地の作土が添加されて混練されていることを特徴とする改良土。 【請求項3】 請求項1または2に記載の改良土であって、前記保水剤は、高い吸水性と強い保水力を有する高分子薬剤でなることを特徴とする改良土。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、湖沼や河川などの底泥、汚泥または排泥等の含水比の高い泥土を、客土として農用地に使用可能な状態に改良した改良土に関する。 【0002】 【従来の技術】 全国の湖沼や河川では、その水質の悪化が深刻な問題となっている。たとえば、標高1,400mに位置する長野県の白樺湖でも、昭和40年代初めから徐々に水質が悪化しており、富栄養化が進行していることが昭和43年の学術調査において指摘された。水質悪化の大きな要因としては、湖底に堆積した軟らかい泥土の浮上溶出にあることがその後の学術調査によって明らかになった。泥土には、窒素、リン酸などの富栄養物質が含まれているだけでなく、銅、鉛、水銀などの重金属類や、PCB、ダイオキシンなどの有毒物質が含まれている可能性もあるため、その除去は水質浄化にとって極めて重要である。 【0003】 しかし、その実施にあたっては、1)「軟弱な泥土の運搬は困難である」、2)「除去された泥土の廃棄処分場の確保が困難である」等の問題もある。 1)の問題に関しては、アクリルアミド系の保水剤を軟泥に添加することで運搬可能な硬さを確保する技術が既に知られており(たとえば、特許文献1参照)、これによって解決が図られた。 2)の問題に関しては、従来は泥土を固化した後、人里離れた山間地などに廃棄処理していた。しかし、この方法は、汚染された土壌を移転させるだけであって、移転先で新たな環境汚染を引き起こしてしまうため、環境問題に対する人々の意識の高まりからも、このような廃棄手段を実行するのは難しくなってきている。 【0004】 【特許文献1】 特開2002−129160号公報 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 これに代わる処理方法として「焼却処理方法」が知られている。この方法は、1200℃以上の超高温で泥土を焼却し、汚染物質を完全に消滅せしめるものであるが、大規模な施設と、それを収容し得る広大な敷地とが必要となること、処理コストが高いことなどの問題があって、その普及を妨げている。 【0006】 そこで近年、期待を集めているのが、植物が生長する段階で地中より養分を吸い上げる特性を生かした土壌浄化方法、いわゆる「ファイト・レメディエーション」である。これによれば、植物自身の根や茎をフィルタとして有害物質を吸収する効果を利用し、連続して植物栽培をすることにより、やがて有害物質がすべて吸収除去され、簡易かつ低コストに汚染土壌を浄化することができる。 【0007】 しかし、ここで問題となるのが、軟泥中に豊富に含まれている窒素やリン酸などの富栄養物質が農作物に与える悪影響である。たとえば、イネの出穂遅延は、窒素過多による栄養成長の延長によるものと考えられ、分げつ抑制はリン酸不足によると考えられている。 【0008】 本発明は上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、客土として農用地に使用しても出穂遅延や分げつ抑制などの生育障害の発生を抑え、減収抑制効果のある改良土を提供することにある。 【0009】 また本発明の他の目的は、鉛、水銀などの重金属類や、PCB、ダイオキシンなどの有毒物質に汚染された土壌を、ファイトレメディエーション効果を利用して、簡易かつ低コストに分解・浄化し得る改良土を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】 本発明の改良土は、農用地に客土として用いられるものであって、泥土を主成分とし、前記泥土に対して保水剤を添加し混練して構成されたことを特徴とする。 【0011】 ここで、泥土とは、一般的に、粘土やシルト等が水と混合し固化していない状態である高含水比の物質であり、湖沼や河川等の底泥が代表的であるが、それ以外にも、汚泥をも含むものである。なお、この泥土は、含水比により、半流動体から可塑性堆積物まで各種の態様を有していることを特徴とする。 【0012】 また、保水剤とは、1グラムで数百ミリリットルから約1リットルの水を瞬時に吸水して、流動性のないゲル状に変化するとともに、多少の圧力を加えても吸水した水を逃がさない強い保水力を有する高分子薬剤のことである。保水剤は、ゆるやかな3次元架橋構造を有する高分子電解質であり、たとえば、アクリル酸重合体などの高分子系や、デンプン系、セルロース系などのタイプが存在する。 【0013】 上述したように、本発明の改良土には保水剤が添加されている。この保水剤には、窒素過多に起因するイネの出穂遅延や、リン酸不足に起因する分げつ抑制などの様々な悪影響を改善する効果があることが最近の調査によって明らかになった。このため、本発明の改良土を農用地に客土として用いれば、これらの生育障害の発生を抑えることができ、減収を抑制する効果が期待できる。 【0014】 泥土中に含まれる銅、鉛、水銀などの重金属類や、PCB、ダイオキシンなどの有毒物質も、ファイトレメディエーション効果によって、農作物が、自身の根や茎をフィルタとして有害物質を吸収する効果を利用し、連続して植物栽培をすることにより、やがてすべて吸収除去される。したがって、本発明の改良土によれば、簡易かつ低コストに汚染された土壌を浄化することができ、農用地に客土として使用できる。 【0015】 また、本発明の改良土には、更に前記農用地の作土が混練されていてもよい。かかる改良土(以下、「混合改良土」と称する)によれば、自身に含まれている窒素分を作物の肥料として利用することができるので、減窒素栽培法を採用し、環境負荷の少ない農業を行うことができる。 【0016】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の改良土について図表に基づいて検証し、詳細に説明する。 【0017】 図1は実験田における各試験区の配置を示す模式図である。本発明の改良土は、湖底や河底に堆積した泥土に保水剤が添加されて混練されたものであって、農用地に客土として用いられる。本実験では、農用地として諏訪市渋崎の現地水田を選択し、白樺湖の湖岸2箇所より採取した泥土を客土とした改良土を水稲栽培の実験に用いた。 【0018】 実験田は、図1に示すように、保水剤無添加の白樺湖堆積土100%で構成された区域(S100区)と、保水剤を添加した白樺湖堆積土100%で構成された区域(SH100区)と、現地水田の土壌で構成された区域(Cont区)と、保水剤を添加した白樺湖底堆積土と、現地水田土壌とを1:1の比率で混合して構成された区域(SH50区)とに区分けされており、S100区、Cont区、SH100区およびSH50区で生育・収穫したサンプルを、それぞれ「比較例1」、「比較例2」、「実施例1」および「実施例2」とした。 【0019】 なお、保水剤としては、「サンフレッシュ ST−MPS(三洋化成工業株式会社の商品)」を使用し、供試イネの品種には、「ヒトメボレ」を使用した。 【0020】 〈保水剤添加効果〉 図2は分げつ数の経時変化を示すグラフである。図2に示すように、実施例1(SH100区)および比較例1(S100区)の何れも6月29日までは分げつが緩慢であるが、比較例1では7月初旬の中干し時期とは無関係にその後も緩慢な分げつを示したのに対し、実施例1では中干し時期に急激な分げつ増加が見られた。この結果から明らかなように、保水剤はイネの分げつ数を増加させる効果がある。 【0021】 表1は稲の収量構成要素について、比較例1と実施例1とを対比して示したものである。 【0022】 【表1】
【0023】 表1から明らかなように、収量構成要素を見ると、実施例1では、穂数(有効分げつ数)がやや少ない傾向が観られたものの、1穂粒数および稔実歩合がやや上回っている。この要素が少分げつの少なさを補い、増収効果となって現れたと考えられる。以上の結果から、保水剤に減収抑制効果があることが実証された。 【0024】 〈混合客土効果〉 図3は分げつ数の経時変化を示すグラフである。図3に示すように、全てのサンプルにおいて分げつ数の増加が確認できるが、他の3つのサンプルに比較して実施例2(SH50)の分げつ数が多いのは明らかである。特に、7月初旬の中干し時期以後の実施例2の増加率は著しい。尚、実施例2に使用した堆積土は保水剤添加土壌であるが、保水剤添加効果を相殺して実施例1と比較しても、実施例2の方が比較例1および実施例1より分げつ数が勝っている。この結果から、混合客土には、分げつ数の増加させる効果があることが実証された。 【0025】 表2は、稲の収量構成要素について、比較例1、比較例2、実施例1および実施例2を対比して示したものである。この実験では、リン酸・カリ肥料については同量施用し、窒素分については土壌分析に基づき施用量を変えて、総窒素量が同じになるように施用量を調整した。 【0026】 【表2】
【0027】 表2から明らかなように、実施例2では、基肥の窒素量を比較例2の半分に減らしたにもかかわらず、100粒重はサンプル中で最高値を示した。そして、収量およびその他の構成要素において有意差は無く、比較例2と同等の収量がある事を示している。この結果から、混合客土である実施例2によれば、減収抑制効果があることが実証された。 【0028】 〈改良土の減肥料効果〉 表3は、比較例1、比較例2および実施例1のそれぞれについて、異なる採取時期における含水率、pH、窒素およびリン酸の分析値を示したものである。 【0029】 【表3】
【0030】 表3から明らかなように、含水率については、比較例1の初期値が約69%であるのに対し、実施例1では10%近くも低かった。しかし、5月移植時には両者の差は2%程度に減少し、10月の収穫時には有意差が無かった。しかし、収穫時でも実施例1および比較例1の含水率は、比較例2より15%程度も高い。これは、粒子の細かい白樺湖底の軟泥で水田耕作した場合、保水剤添加による軟泥堆積土の固化効果はなくなり、膨潤化した状態で作土層を形成するために作土深が対照区より深くなったことによると推察される。 【0031】 土壌pHは、実施例1の初期値が6.4と、比較例1の初期値5.6より有意に高かった。これは、保水剤のアクリルアミドに由来するものと推察される。比較例2と比較例1との間に有意な差は無かった。有意差が認められた実施例1の土壌も、5月の移植時には高かったが、10月の収穫時には有意差の無いレベルに低下した。したがって、pHの影響は無視できる。 【0032】 また、表3に示すように、土壌中の全窒素(N)の値は、保水剤の添加、無添加で有意差がなく、実施例1および比較例1が、比較例2の2倍近い量を含有していることが判る。実施例2の改良土を供試して水稲栽培を行う際、窒素分を分析値に応じて減少せしめたが、水稲の生育には影響なく、比較例2と同等もしくはそれ以上の良好な生育を示した。このことからも、混合改良土である実施例2が環境負荷の少ない減窒素栽培法に適していることが実証された。 【0033】 〈改良土によるファイトレメディエーション効果〉 表4は、収穫されたイネの部位別の全窒素(N)および全リン酸(P)の値について、比較例1と実施例1とを対比して示したものである。 【0034】 【表4】
【0035】 表4から明らかなように、全窒素(N)および全リン酸(P)の値ともに部位別に差が認められた。比較例1および実施例1に共通していたのは、ぬか・茎葉分の全窒素の値が高く、籾殻で低い傾向が見られたことである。根の全窒素(N)の値は比較例1で低かった。籾殻、ぬか、白米はサンプリングの反復がなかったので分散分析できなかったが、根および茎については分散を求めた(未表示)。この分散から求めた最小有意差は、茎葉部で3.8(5%レベル)、根で3.4(5%レベル)だったので、この差を参考に各部位を比較すると、比較例1では茎葉で多く、根で少ない傾向がみられる。籾殻・白米に顕著な差が無かったことから、保水剤添加、無添加区の違いは茎葉部および根における全窒素量の分配の差によるものと推察される。 【0036】 全リン酸の値については、部位全般にわたって、比較例1の方が実施例1よりも高い傾向にあるが、各部位の中でも、特に、ぬかの値が顕著であることが確認できる。実施例1は、保水剤添加の影響としてぬか・白米のリン酸吸収量の減少が指摘される。特に、籾殻部での全リン酸の含有量が低い。土壌中の全リン酸に顕著な差がなかったので、処理区により全リン酸量に差があったことは、土壌中の可吸態リン酸量に差があることを示唆している。 【0037】 表5は、ぬか・白米中に含まれる各種重金属類の値について、比較例1,2と実施例1とを対比して示したものである。 【0038】 【表5】
【0039】 表5から明らかなように、何れのサンプルにおいても、白米に含まれるカドミウム、ヒ素、鉛および水銀の値が、検出限界値を下回っている。これらの値は、何れも土壌中に含まれる値と比較して1/90〜1/130に過ぎず、このことからも植物フィルタが十分に機能し、「ファイトレメディエーション」効果が現れていることがわかる。銅については、何れのサンプルにおいても含有量が検出限界値よりも高かった。これは、この地方(諏訪市渋崎)の土質を反映したものと考えられ、改良土が濃度を高めたとは考えにくい。また、銅は普遍的に分布する物質であり、植物にとっても微量栄養素として必要な物質でもある。現地水田で収穫された米が流通している事実からしても、食用米として問題となるレベルの量ではないと考えて差し支えない。 【0040】 以上の結果から、白樺湖の湖底堆積土は、有害な重金属類などによる汚染度はきわめて低く、農用地への客土として十分な品質を備えていることが実証された。 【0041】 本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。 たとえば、この実施の形態では、アクリルアミド系の保水剤が使用されているが、これ以外の保水剤、たとえば、デンプン系及びセルロース系(グラフト重合系及びカルボキシメチル系)等の保水剤を用いてもよい。 また、上述したように、この実施の形態では、湖沼や河川等の底泥を泥土に用いているが、これに限定されるものではなく、汚泥または排泥等の高含水比である各種の泥土に適用可能であることは言うまでもない。 【0042】 【発明の効果】 本発明の改良土によれば、保水剤には、窒素過多に起因するイネの出穂遅延や、リン酸不足に起因する分げつ抑制などの様々な悪影響を改善する効果があるので、農用地に客土として用いれば、これらの生育障害の発生を抑えることができ、減収を抑制する効果がある。 【0043】 また本発明の改良土によれば、泥土中に含まれる銅、鉛、水銀などの重金属類や、PCB、ダイオキシンなどの有毒物質も、ファイトレメディエーション効果によって、農作物自身の根や茎をフィルタとして吸収する効果を利用し、連続して植物栽培をすることにより、やがてすべて吸収除去され、簡易かつ低コストに汚染された土壌を浄化することができる。 【0044】 また、本発明の改良土には、更に前記農用地の作土を混練した場合には、泥土中に含まれている窒素分を作物の肥料として利用することができるので、減窒素栽培法を採用し、環境負荷の少ない農業を行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】実験田における各試験区の配置を示す模式図である。 【図2】分げつ数の経時変化を示すグラフである。 【図3】分げつ数の経時変化を示すグラフである。 【符号の説明】 S100区 保水剤無添加の白樺湖堆積土100%で構成された区域 Cont区 現地水田の土壌で構成された区域 SH100区 保水剤添加の白樺湖堆積土100%で構成された区域 SH50区 保水剤添加の白樺湖底堆積土と、現地水田土壌とを1:1の比率で混合して構成された区域
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| 【出願人】 |
【識別番号】000206211 【氏名又は名称】大成建設株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号
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| 【出願日】 |
平成14年11月12日(2002.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064414 【弁理士】 【氏名又は名称】磯野 道造
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| 【公開番号】 |
特開2004−159557(P2004−159557A) |
| 【公開日】 |
平成16年6月10日(2004.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2002−328757(P2002−328757) |
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