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【発明の名称】 多孔質パイプ
【発明者】 【氏名】山根 卓也
【住所又は居所】岐阜県揖斐郡大野町小衣斐312番地 イノアックエラストマー株式会社大野工場内

【要約】 【課題】透水量が潅水に適した量となるとともに、成形性も良好で、敷設の際に必要な柔軟性及び強度を備える多孔質パイプを提供する。

【解決手段】ゴム又はプラスチックの粉砕物の少なくとも一方と、メルトフローレイトの加重平均値が0.5〜0.9g/10minとなるように組み合わせた複数のポリオレフィン樹脂とを混練・押出成形して多孔質パイプとした。前記ポリオレフィン樹脂としては、メルトフローレイトが1.0〜1.6g/10minの直鎖状低密度ポリエチレンと、メルトフローレイトが0.05〜0.16g/10minの高密度ポリエチレンとの二種類の混合からなるのが好ましい。また、前記粉砕物の径は、0.8〜1.2mm、前記プラスチックの粉砕物は、ポリウレタンであるのが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム又はプラスチックの粉砕物の少なくとも一方と、メルトフローレイトの加重平均値が0.5〜0.9g/10minとなるように組み合わせた複数のポリオレフィン樹脂とを混練・押出成形してなる多孔質パイプ。
【請求項2】
前記複数のポリオレフィン樹脂は、メルトフローレイトが1.0〜1.6g/10minの直鎖状低密度ポリエチレンと、メルトフローレイトが0.05〜0.16g/10minの高密度ポリエチレンとからなることを特徴とする請求項1に記載の多孔質パイプ。
【請求項3】
前記粉砕物の径が0.8〜1.2mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質パイプ。
【請求項4】
前記プラスチックの粉砕物が、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の多孔質パイプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多孔質パイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農地等の潅水用ホースとして、発泡体からなる多孔質パイプが用いられている。前記潅水用多孔質パイプは、発泡体の微細な孔からパイプ内の水が外部へ浸出することによって潅水する。また、前記潅水用多孔質パイプには、適度な透水性と強度及び柔軟性が求められる。前記潅水用多孔質パイプの例として、低粘度ポリエチレン系樹脂と、高粘度ポリエチレン系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂を主とする樹脂組成物を発泡成形させたものがある(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−78592号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記低粘度ポリエチレン系樹脂と、高粘度ポリエチレン系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂を主とする樹脂組成物を発泡成形させた多孔質パイプにあっては、セル構造が非常に細かくなって透水量が少なくなり、潅水性が充分とは言い難い場合がある。
【0005】
この発明は、潅水に適した透水量が得られるとともに、成形性が良好で、敷設の際に必要な柔軟性を備える多孔質パイプを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ゴム又はプラスチックの粉砕物の少なくとも一方と、ゴム又はプラスチックの粉砕物の少なくとも一方と、メルトフローレイトの加重平均値が0.5〜0.9g/10minとなるように組み合わせた複数のポリオレフィン樹脂とを混練・押出成形してなる多孔質パイプに係る。
【0007】
この発明において粉砕物として用いられるゴムは、天然ゴム、合成ゴムの何れか一方、あるいは両方でもよい。また、前記ゴムと同様に粉砕物として用いられるプラスチックとしては、適宜のものが用いられるが、特にポリウレタンが好ましい。ポリウレタンとしては、軟質、半硬質、硬質発泡体、さらにはポリウレタンエラストマーの何れでもよく、またそれらを混合して用いてもよい。特にゴム及びポリウレタンの発泡体は弾性を有するため、得られる多孔質パイプに適度な柔軟性を付与することができる。前記粉砕物の径は、0.8〜1.2mmが好ましい。小さすぎると、粉砕物を混入する効果が得られにくく、また大きすぎるとパイプの成形性が損なわれるようになる。前記粉砕物の量は、押出原料100重量部中30〜50重量部が好ましい。また、前記粉砕物は、予め粒状に形成されたものと相違し、粉砕によって表面が凹凸になるため、粉砕物間に空隙を生じやすく、前記空隙により透水性が良好になる。なお、前記ゴム、プラスチックの粉砕物は、廃棄物を粉砕したものであってもよい。
【0008】
この発明において用いられるポリオレフィン樹脂は、メルトフローレイト(MFR:JIS K 7210 A法準拠)の加重平均値が、0.5〜0.9g/10minとなるように組み合わせた複数のものが用いられる。使用可能なポリオレフィン樹脂としては、通常市販されている高圧法、中圧法又は低圧法により製造されたポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとメチル、エチル、プロピル若しくはブチルの各アクリル酸エステル(このエステルの含有量;45モル%以内)との共重合体、又はこれらのそれぞれ塩素含有率60重量%まで塩素化したもの等を挙げることができる。
【0009】
前記ポリオレフィン樹脂におけるメルトフローレイトの加重平均値を0.5〜0.9g/10minとしたことにより、押出成形時に、前記粉砕物間の空隙にポリオレフィン樹脂が侵入し難く、前記空隙を完全に塞ぐことなく前記粉砕物同士を結合できるため、前記粉砕物間の残存空隙の連通によって生じる透水性を適度にできると共に、前記粉砕物同士を強固に結合することができ、多孔質パイプの強度を十分なものにできる。なお、メルトフローレイトの加重平均値が前記範囲より大きいと、空隙を完全に塞ぐため、透水性が得られない。それに対して、メルトフローレイトの加重平均値が前記範囲より小さいと、透水性が異常に大きくなる。また、押出成形時に、前記粉砕物間の空隙にポリオレフィン樹脂が全く侵入しなくなって粉砕物同士の結合力が弱まり、得られる多孔質パイプの強度が不足するようになり、成形時に樹脂が成形カスとして付着する。
【0010】
特に、前記ポリオレフィン樹脂としては、入手のしやすさ、材料コスト、メルトフローレイトの加重平均値の調整しやすさ等の点から、メルトフローレイトが1.0〜1.6g/10minの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、メルトフローレイトが0.05〜0.16g/10minの高密度ポリエチレン(HDPE)とを組み合わせて使用するのが好ましい。
【0011】
なお、前記ポリオレフィン樹脂の他に、その他の樹脂や水、添加物(着色剤、物性改良剤等)を適宜加えてもよい。
【0012】
前記多孔質パイプの製造は、前記ゴム又はプラスチックの粉砕物の少なくとも一方と、メルトフローレイトの加重平均値が0.5〜0.9g/10minとなるように組み合わせた複数のポリオレフィン樹脂とを、公知の押出機を用いて混練・押出成形することによって行われる。得られた多孔質パイプは、前記粉砕物同士が前記ポリオレフィン樹脂によって結合されていると共に、前記粉砕物間の空隙によって多孔質を構成し、かつ前記粉砕物間の空隙が連通しているため、透水性を発揮する。
【0013】
【実施例】
ブタジエンゴムあるいは軟質ポリウレタン発泡体を粉砕装置で0.8〜1.2mm(平均粒子径1.0mm)に粉砕した粉砕物と、メルトフローレイト(MFR)が1.0,1.3,1.6g/10minの直鎖状低密度ポリエチレンと、メルトフローレイト(MFR)が0.05,0.1,0.16g/10minの高密度ポリエチレンとを、表1に示す配合割合(表の数値は重量部)にして、押出成形機(中部機械製、ダイ径30mm、シリンダ温度170℃、ダイ温度175℃、引き取り速度1.3m/min)に投入し、混練・押出成形を行って実施例1〜6の多孔質パイプ(外径10mm、肉厚2.5mm)を得た。また、メルトフローレイトの加重平均値あるいは粉砕物の粒径がこの発明の範囲から外れる比較例の多孔質パイプを、前記実施例と同じ押出成形機を用いて製造した。比較例の配合は表2に示す。なお、前記実施例及び比較例の製造時における成形性(オリフィスのカス付着量)は、表1及び表2の下部に示す通りである。
【0014】
【表1】


【0015】
【表2】


【0016】
前記のようにして得られた各実施例及び比較例の多孔質パイプについて、製品外観及び透水量を調べた。製品外観は、目視によって多孔質パイプの表面の荒れ、欠肉の有無を調べた。また、透水量は、長さ1000mmの樋を水平に対して5度傾けて保持し、前記樋上に実施例及び比較例の多孔質パイプを配置し、前記多孔質パイプの上端に0.15MPaの圧力で水を供給し、前記樋の下端には計量カップを配置して、前記多孔質パイプの側壁から浸出して樋を流下してくる水を計量カップで受け、1分間当たりの水の量を計算し、その計算値を前記多孔質パイプの透水量(cc/m/min)とした。それらの結果は、表1、表2の下部に示す通りである。なお、前記実施例の多孔質パイプは、柔軟性があり、容易に曲げることができた。
【0017】
表1及び表2の結果から理解されるように、実施例の多孔質パイプは、製造時に押出成形機のオリフィスにカスが付着しにくく、量産性に優れるものである。また、実施例の多孔質パイプは、外観が良好で、透水量が750〜880cc/m/minであり、潅水に適するものであった。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の多孔質パイプによれば、ゴム又はプラスチックの粉砕物の少なくとも一方と、メルトフローレイトの加重平均値が0.5〜0.9g/10minとなるように組み合わせた複数のポリオレフィン樹脂とを混練・押出成形したものであるため、粉砕物間の空隙によって透水性が確保され、しかも、前記粉砕物間がポリオレフィン樹脂によって完全に塞がれることなく、適度な空隙が粉砕物間に形成されるため、潅水に好適な透水性を得ることができる。
【0019】
また、前記ポリオレフィン樹脂として、メルトフローレイトが1.0〜1.6g/10minの直鎖状低密度ポリエチレンと、メルトフローレイトが0.05〜0.16g/10minの高密度ポリエチレンを用いれば、容易にメルトフローレイトの加重平均値を0.5〜0.9g/10minとすることができ、特殊なポリオレフィン樹脂を用いなくてもよいため、多孔質パイプを安価にすることができる。
【0020】
さらに、前記粉砕物の径を0.8〜1.2mmとすることによって、透水性をより確実に潅水に適したものにすることができる。さらにまた、前記プラスチックの粉砕物をポリウレタンとして、ゴム又はポリウレタンの少なくとも何れか一方をポリオレフィン樹脂と共に用いることによって、多孔質パイプの柔軟性を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
【出願日】 平成14年10月30日(2002.10.30)
【代理人】 【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫

【公開番号】 特開2004−147543(P2004−147543A)
【公開日】 平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願番号】 特願2002−315457(P2002−315457)