| 【発明の名称】 |
生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】原田 邦彦
【氏名】福田 周平
【氏名】村田 稔
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| 【要約】 |
【課題】特に夏場の農業用フィルムハウス内での作物の栽培において、ハウス内の室温の上昇を抑制するために、農業用フィルムへ適用する遮光用ペイントとして、簡便に遮光効果が得られると共に、環境への影響のない合成樹脂エマルジョンを提供すること。
【解決手段】農業用フィルムへ適用する、生分解性樹脂、無機物および水を含有することを特徴とする生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤であり、生分解性樹脂が脂肪族ポリエステルおよびその誘導体であり、粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下である無機物の添加量が、樹脂固形分100重量部に対して10〜1,000重量部添加した生分解樹脂エマルジョンからなる遮光剤である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性樹脂、無機物および水を含有することを特徴とする生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤。 【請求項2】 生分解性樹脂が脂肪族ポリエステルおよびその誘導体である請求項1に記載の生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤。 【請求項3】 無機物の粒径が10μm以下である請求項1に記載の生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤。 【請求項4】 無機物の添加量が、樹脂固形分100重量部に対して10〜1,000重量部添加した請求項1に記載の生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ハウス栽培あるいはトンネル栽培に使用する農業用フィルムに適用する遮光剤に関する。 【0002】 【従来の技術】 ハウス栽培あるいはトンネル栽培に関し、夏場の農業用フィルムハウス内での作物の栽培において、ハウス内の室温の上昇を嫌う作物がある。そのような作物としてブドウ、みかん、梨、リンゴ、イチジク、柿、桃等が挙げられる。そのため、何らかの高温抑制手段をとる必要があるが、現在そのような手段として、遮光カーテンあるいは遮光性フィルムを敷く方法(例えば、特許文献1および2)、ハウスフィルムに石灰を噴霧する方法、および遮光用ペイントを農業用フィルムにスプレーで散布・塗工する方法(例えば、特許文献3に記載の塗料のスプレー)の3種類の方法が採用されている。 【0003】 【特許文献1】 特開平3−127934号公報 【特許文献2】 実開平7−30645号公報 【特許文献3】 特開2002−119148号公報 【0004】 これらのなかで、遮光カーテンあるいは遮光フィルムを敷く方法は、これらのカーテンまたはフィルムが高価であることより、より安価なものが要求されている。また、石灰を噴霧する方法は、安価であり、かつ簡便な方法ではあるが、効果の保持の耐久性が乏しい欠点を有している。そこで石灰の代わりに遮光用のペイントを使用し、農業用フィルムにスプレーで散布・塗工することが行われている。 【0005】 この遮光用ペイントは合成樹脂エマルジョンであり、その組成は、樹脂、特にアクリル系樹脂、無機物、水および界面活性剤等となっている。したがって、この合成樹脂エマルジョンを農業用フィルムにスプレー散布した場合には、雨や使用後の水洗作業において、農業用フィルムハウスから流れ落ちるアクリル系樹脂が土中に浸透することとなり、環境への影響が問題視されてきている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 したがって本発明は、農業用フィルムへ適用する遮光用ペイントとして、簡便に遮光効果が得られると共に、環境への影響のない合成樹脂エマルジョンを提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 かかる課題を解決するための本発明は、農業用フィルムに適用する、生分解性樹脂、無機物および水を含有することを特徴とする生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤である。 【0008】 すなわち本発明は、農業用フィルムに適用する遮光用水性エマルジョンとして従来から使用されてきているアクリル系樹脂に代え、生分解性樹脂を使用する点に一つの特徴を有するものである。また、かかる生分解性樹脂と共に含有される無機物により、簡単に遮光効果が得られ、当該生分解性樹脂がフィルムから流れ落ちた場合であっても、土中の微生物により容易に生分解されるため、環境への悪影響を軽減することができる点にまた一つの特徴を有するものである。 【0009】 【発明の実施の形態】 本発明が提供する農業用フィルムに適用する生分解樹脂エマルジョンからなる吹付け遮光剤において、エマルジョン中に含有される生分解性樹脂としては、種々のもの、例えば、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂、アセチルセルロース系生分解性樹脂、化学変性澱粉系生分解性樹脂、ポリアミノ酸系生分解性樹脂、ポリエステルポリカーボネート系生分解性樹脂等が挙げることができる。そのなかでも脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂である脂肪族ポリエステルおよびその誘導体が特に好ましい。 【0010】 より具体的には、生分解性樹脂である脂肪族ポリエステルおよびその誘導体としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレートおよびその誘導体を例示することができる。したがって、本発明で使用することができる生分解性エマルジョンとしては、これらの生分解性樹脂を含有する水性エマルジョンである。 【0011】 一方、遮光性を確保するために添加される無機物としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、タルク、マイカ、クレー、シリカ類、石灰、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、鉛白、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、および硫酸カルシウムなどを挙げることができ、これらの無機物は2種以上を併用して使用することもできる。 【0012】 当該無機物は、本発明の生分解性樹脂エマルジョン中に含有され、農業フィルムにスプレー塗工され、遮光被膜を形成させることからみれば、その粒径は微細なものであることが好ましく、10μm以下、好ましくは5μm以下である。10μmを超える粒径では、フィルム上にエマルジョンを塗工した場合にその保持性を確保するのが困難である。 【0013】 また、無機物の添加量は、生分解性樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して10〜1,000重量部添加するのがよい。10重量部より少ないと充分な遮光効果を得ることができず、また1,000重量部を超えると、エマルジョンをスプレー散布する際に目詰まりを生じ、好ましいものではない。 【0014】 本発明の生分解性エマルジョンには、無機物の他に、さらに増粘剤、減粘剤、分散剤、界面活性剤等を添加することができる。 【0015】 農業用フィルムへに対する本発明の生分解性エマルジョンの塗工量は、固形分として4〜50g/m2程度が好ましい。4g/m2未満であると、充分な遮光効を得ることができない。また50g/m2を超える場合には、塗工作業中に農業用フィルムから樹脂エマルジョンの落滴が生じ、好ましいものではない。 【0016】 かくして、本発明の生分解性樹脂、無機物および水を含有する生分解樹脂エマルジョンからなる生分解性吹付け遮光剤は、農業用フィルム上にスプレー散布・塗工され、エマルジョン中に含有される無機物により簡便にその遮光効果が得られ、また、雨や使用後の水洗作業において、フィルムから流れ落ちた生分解性樹脂は、土中の微生物により容易に生分解されることから、環境への悪影響を軽減が図れることとなる。 【0017】 【実施例】 以下に本発明を実施例および比較例により、より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0018】 実施例1〜8: 下記表1に記載の処方により、本発明の生分解性樹脂エマルジョンを得た。得られた生分解性樹脂エマルジョンを、農業用ビニルハウスにスプレー塗工し、そのエマルジョンの吹付け性、遮光性および生分解性を評価し、その結果をあわせて表中に示した。 【0019】 【表1】
【0020】 *1:プラセマL110:ポリ乳酸系エマルジョン(第一工業製薬社製) *2:EZ−301:ビオノーレ系エマルジョン(昭和高分子社製) *3:炭酸カルシウムの粒径:1μm *4:炭酸カルシウムの粒径:15μm 【0021】 *5:吹付け性は、以下の評価にしたがった。 ○:吹付けの際、特に問題はない ×:吹付けの際、目詰まりが発生し、吹付けが困難である。 【0022】 *6:日射遮光率は、以下の測定により評価した。 自記分光光度計(日立330型)を用いて、60Φ積分球を使用し、200〜2600nmでの全光線透過率測定し、かつ、太陽からの日射エネルギーの波長依存性データをあわせ、素材によって遮断される日射エネルギーを基材がなく直接受ける日射エネルギーとの比で求めた。 ○:日射遮光率が40%以上 ×:日射遮光率が40%未満 【0023】 *7:生分解性 土中に埋設試験を行い、1年後における生分解性樹脂全体の重量減少率で評価した。 ○:重量減少率が70%以上 ×:重量減少率が70%未満 【0024】 比較例1〜6: 上記実施例と同様に、下記表2に記載の処方により、比較例の樹脂エマルジョンを得た。得られた樹脂エマルジョンを、農業用ビニルハウスにスプレー塗工し、そのエマルジョンの吹付け性、遮光性および生分解性を評価し、その結果をあわせて表中に示した。 【0025】 【表2】
【0026】 表中の*1〜*7は、表1と同様である。 【0027】 以上の実施例1〜8および比較例1〜6の結果からも明らかなように、本発明の生分解性樹脂エマルジョンは、良好な吹付け性、日射遮光性および生分解性を有するものであることが理解される。 これに対して比較例の樹脂エマルジョンにおいては、無機物を含有しないか、またはその含有量が少ないものでは遮光性を確保することができず、無機質を多量に含有するか、またはその無機質の粒径が大きな場合には、吹付けの際に目詰まりが生じ、吹付け自体が困難なものであることが理解される。 【0028】 【発明の効果】 以上記載したように、本発明のハウス栽培あるいはトンネル栽培に使用する農業用フィルムに適用する生分解性樹脂エマルジョンである遮光剤は、生分解性樹脂、無機物および水を含有する生分解樹脂エマルジョンからなるものであり、炭酸カルシウム、石灰等の安価な無機質を生分解性樹脂エマルジョンに添加することで、簡便に遮光効果を得ることができる。 【0029】 したがって、かかる生分解性樹脂エマルジョンを農業用フィルムに塗工することで、太陽光線等によるハウス内の昇温化を抑制することができる遮光・遮熱効果をフィルムに簡便に付与し得る利点を有している。 また、その遮光効果は従来の遮光カーテンのものと比較して安価に確保し得るものであり、さらに、従来の石灰噴霧法と比較してフィルム自体の耐久性が優れ、農業従事者に対して、多大な経費節減をもたらす利点を有している。 さらにまた、生分解性樹脂を使用した生分解性樹脂エマルジョンとしたことにより、従来のアクリル樹脂系エマルジョンと異なり、雨や使用後の水洗作業において、フィルムから流れ落ちた樹脂は、土中の微生物により容易に生分解されることから、環境への負荷を低減することができる利点を有している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000077 【氏名又は名称】アキレス株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年10月29日(2002.10.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083301 【弁理士】 【氏名又は名称】草間 攻
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| 【公開番号】 |
特開2004−147523(P2004−147523A) |
| 【公開日】 |
平成16年5月27日(2004.5.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−314120(P2002−314120) |
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