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【発明の名称】 コンブ目の大型海藻の培養方法とその培養装置及びアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法とその養殖装置
【発明者】 【氏名】松村 航

【氏名】藤田 大介

【要約】 【課題】アワビ、ウニ又はサザエが主食とするコンブを年間を通して無駄なく、効率的に餌料として供給可能なコンブの培養方法とその装置及び良質なアワビ、ウニ又はサザエの収穫を安定して行うことが可能なアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法とその装置を供給する。

【解決手段】前記請求項1又は2に記載のコンブの培養方法によって培養されたコンブの葉状部の上部を切り取って、アワビ、ウニ又はサザエの餌料とし、切断したコンブの介在生長を利用して再生長した前記葉状部の上部を反復して切断することにより餌料を供給し、海洋深層水が流通する養殖槽の中でアワビ、ウニ又はサザエを養殖することを特徴とするアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法とその装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンブの幼体が植え付けられている糸を巻き付けた基盤を、海洋深層水が流通する培養槽内に沈め、前記基板上でコンブを生長させ且つ再生長可能な範囲内で切断し、コンブの介在生長を利用して前記切断を反復して行うことによって、切断コンブを培養することを特徴とするコンブの培養方法。
【請求項2】
前記糸に植え付けられている幼体は、切断した葉状部片を前記培養槽の水面下に吊るし、成熟を誘発させ、前記葉状部片から放出したコンブの胞子を前記糸に付着させることによって当該糸上に発芽させたコンブの幼体であることを特徴とする請求項1記載のコンブの培養方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のコンブの培養方法によって培養されたコンブの葉状部の上部を切り取って、アワビ、ウニ又はサザエの餌料とし、切断したコンブの介在生長を利用して再生長した前記葉状部の上部を反復して切断することにより餌料を供給し、海洋深層水が流通する養殖槽の中でアワビ、ウニ又はサザエを養殖することを特徴とするアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法。
【請求項4】
海洋深層水(1)を取り入れる流入管(2)と、海洋深層水(1)を流出する流出管(3)とを備えている培養槽(4)内を、海洋深層水(1)が流通するようになっており、前記培養槽(4)内には、基盤(5)上で生育すると共に再生長可能な範囲内で切断し且つ生長したコンブを反復して切断可能であるコンブ(6)を備えていることを特徴とするコンブの培養装置。
【請求項5】
前記培養槽(4)が複数段又は/及び複数列となっていることを特徴とする請求項4記載のコンブの培養装置。
【請求項6】
前記培養槽(4)の中のいずれかには、成熟誘導用の葉状部片(7)を吊り下げてあることを特徴とする請求項5記載のコンブの培養装置。
【請求項7】
請求項4、5、又は6記載のコンブの培養装置に併設して、培養槽(4)で生長したコンブを切断して得た葉状部を餌料として繰り返し供給することによってアワビ、ウニ又はサザエを養殖する養殖槽(8)を備えていることを特徴とするアワビ、ウニ又はサザエの養殖装置。
【請求項8】
前記養殖槽(8)は、海洋深層水(1)を取り入れるための導入管(9)と、海洋深層水(1)を排水するための排水管(10)と、を備えており、前記培養槽(4)の海洋深層水(1)を流出する前記流出管(3)と、前記養殖槽(8)の海洋深層水(1)を取り入れるための前記導入管(9)と、が連結され、前記培養槽(4)と前記養殖槽(8)間で、前記海洋深層水(1)が流通していることを特徴とする請求項7記載のアワビ、ウニ又はサザエの養殖装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンブの培養方法とその培養装置及びアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法とその養殖装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アワビは最も高価な水産物の一つで、市場価格においてもキロ当たり数千〜一万円で取引される。国内のアワビ漁獲量は低迷しており、資源の回復を目指した漁場造成や種苗放流が各地で盛んに行われてきたが、密漁、害敵生物による捕食生息環境(藻場)の減少・悪化などの問題があり、期待した効果は得られていない。食材としてのアワビを確保する手段としては、北日本を中心に行われているような海中養殖または陸上養殖への期待が大きい。しかし、富山県の場合、沿岸が急深地形となっているため,海中養殖の適地は限られ、夏の高水温がしばしば問題となる。また、陸上養殖を行うにしても、清浄かつ適水温の海水や大量の餌の確保が必要である。
アワビの養殖では餌の確保が重要な課題の一つで、何らかの形で自給を考えない限り、配合飼料、天然飼料ともに、大量に購入し、低温で保管しなければならず、経費が嵩むだけでなく、保存期間が長くなると変性の問題も生じる。これまでの方法で、アワビ成貝の主食である大型褐藻類のコンブ培養を行うには、大型の水槽からはみ出して空中に露出した部分が枯死しやすいことが指摘されていた。
一方、昨今、富山県では、表層海水と比べて水温が低く、清浄性に優れ、栄養塩が豊富に含まれる海洋深層水が取水されており,これを利用した水温の調節、あるいはコンブや付着珪藻などの冷水性餌料藻類の培養が進められている。
前記海洋深層水は、海洋表層水に比べて低水温で温度が安定しており、コンブの生長に適した栄養塩を多く含んでいることから、冷水性のコンブの再生長を促進する。また、深層水で餌料藻類を育てながらアワビを飼育した報告は国内でもいくつかあるが、その多くは放流用稚貝(殻長40mm以下)の育成で、食用サイズまでの養殖を目指した事例としては、付着珪藻を餌料として一口アワビ(殻長60mm)まで育てた例があるにすぎない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記事情に基づいてなされたものであり、アワビ、ウニ又はサザエが主食とするコンブを年間を通して無駄なく且つ効率的に餌料として供給可能なコンブの培養方法とその装置及び良質なアワビ、ウニ又はサザエの収穫を安定して行うことが可能なアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法とその装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明のうち請求項1記載のコンブの培養方法は、コンブの幼体が植え付けられている糸を巻き付けた基板を、海洋深層水が流通する培養槽内に沈め、前記基板上でコンブを生長させ、且つ再生長可能な範囲内で切断し、コンブの介在生長を利用して前記切断を反復して行うことによって、切断コンブを培養することを特徴とするコンブの培養方法である。
【0005】
また、前記糸に植え付けられている幼体は、請求項2記載のように、海洋深層水が流通する培養槽の中に糸を沈め、前記培養槽の水面下に成熟したコンブを切断した葉状部片を吊るし、前記葉状部片から放出されるコンブの胞子を前記糸に付着させることによって当該糸上に発芽させたコンブの幼体であっても良い。
【0006】
ここで、糸はコンブの胞子が付着し、幼体が定着するものであれば材質を特に限定しないが、例えば、綿糸などがあげられる。また、海洋深層水の水温はコンブの生育が可能な範囲内であれば特に限定はしないが、例えば5℃〜10℃の水温が望ましい範囲として挙げられる。
【0007】
更に、本発明のうち請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2に記載のコンブの培養方法によって培養されたコンブの葉状部の上部を切り取って、アワビ、ウニ又はサザエの餌料とし、切断したコンブの介在生長を利用して再生長した前記葉状部の上部を反復して切断することにより餌料を供給し、海洋深層水が流通する養殖槽の中でアワビ、ウニ又はサザエを養殖することを特徴とするアワビ、ウニ又はサザエの養殖方法である。ここで、海洋深層水の水温は、アワビ、ウニ又はサザエが生育できる温度の範囲内であれば特に限定しないが、15℃〜20℃の水温が望ましい範囲として挙げられる。
【0008】
そして、請求項1記載の方法を実施するための請求項4記載に係る発明のコンブの培養装置は、海洋深層水を取り入れる流入管と、海洋深層水を流出する流出管とを備えている培養槽内を、海洋深層水が流通するようになっており、前記培養槽内には、基盤上で生育すると共に再生長可能な範囲内で切断し且つ生長したコンブを反復して切断可能であるコンブを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、コンブの培養方法としては請求項5記載のように、前記培養槽を複数段又は/及び複数列としても良い。ここで、複数段とは、例えば、上段、中段、下段というように階段状の段差を設け、各段にそれぞれ培養槽を配置している状態をいい、これによって、海洋深層水が高い段に置いた培養槽から低い段の培養槽へ自動的に流れるようになっている。また、複数列とは、前記同じ高さの各段に複数個の培養槽をそれぞれ備えている状態をいう。
【0010】
更に、コンブの培養装置としては請求項6記載のように、前記培養槽の中のいずれかに、成熟誘導用の葉状部片を吊り下げても良い。
【0011】
また、前記請求項3記載の方法を実施するための請求項7記載に係る発明によるアワビ、ウニ又はサザエの養殖装置は、請求項4、5、又は6記載のコンブの培養装置に併設して、培養槽で生長したコンブを切断して得た葉状部を餌料として繰り返し供給することによってアワビ、ウニ又はサザエを養殖する養殖槽を備えていることを特徴とする。請求項5の多数段にする場合には、養殖槽を培養槽に対して、下位段側に配置しても良いし、また養殖槽を培養槽に対して、上位段側に配置しても良い。
【0012】
また、アワビ、ウニ又はサザエの前記養殖装置としては、請求項8記載のように、前記養殖槽は、海洋深層水を取り入れるための導入管と、海洋深層水を排水するための排水管と、を備えており、前記培養槽の海洋深層水を流出する前記流出管と、前記養殖槽の海洋深層水を取り入れるための前記導入管と、が連結され、前記培養槽と前記養殖槽間で、前記海洋深層水が流通するように構成しても良い。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による海洋深層水を使用したコンブの培養方法とその培養装置、並びに、コンブを主食とするアワビの養殖方法とその養殖装置の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0014】
実験材料のコンブはマコンブで、富山県水産試験場で培養したものである。種糸はプラスチック製の正方形基盤(40cm×40cm)数基に5〜6本ずつ縛って加温深層水(サクラマス熱交換用:約17℃〜18℃の地下水と熱交換による加温、約11℃)が流通する屋外1t培養槽に沈め、一部は、深層水原水(11℃)が流通する屋内1t培養槽に垂下し、低光量(約6μEm−2−1)で保存培養した。
【0015】
成熟誘導は、図2に示すように、生長試験時に切断して得た葉状部片7(長さ15cm〜30cm)を、加温深層水が流通する培養槽4の水面付近(水面下10cm〜20cm)に糸12で吊るし、定期的に子嚢斑が形成されているかどうかを確認した。なお、成熟誘導の試験は隔月に実施した。
【0016】
切り取った葉片の成熟誘導は、時期(季節)を問わず、深層水を流通させた培養槽4で容易に行うことができた。葉状部片7は、加温深層水では各月とも2週間の培養で子嚢斑を形成し始めた。子嚢斑は葉状部片の中帯部(中央の厚みのある部位)だけに形成され、別に行った藻体部位別の試験では、藻体の上部から得た葉片ほど早く子嚢斑を形成する傾向が認められた。また、加温深層水と原水では、加温深層水で培養した方が原水の場合に比べて子嚢斑が形成されるまでの期間が1〜2週間程度短かった。
【0017】
又、9月に成熟誘導によって得た遊走子を用い、実際にコンブの種糸作りを行ってみたところ、培養4週間後の子嚢斑を形成した葉片から多数の遊走子が放出された。また、これを海水ごとクレモナ糸に適量散布して付着させ、インキュベーター(10℃)で培養した結果、約1ヶ月後には糸上に約1mmの正常なコンブの幼体(11)を認めることができた。
【0018】
切断したコンブの生長試験は、上記環境により2001年3月に葉長50cm〜60cm、葉幅5cmに達した屋外培養藻体を用い、毎月一回、葉状部の基部から15cmの位置で切断して先端部を除き、加温深層水が流通する培養槽4(0.5t〜1t)で培養を続けることによって行った。正方形基盤1基あたりの生育本数は100〜150個体であった。生長量は、基盤上のコンブのうち標識をつけた30個体について、コンブ類の生長測定でよく用いられる穿孔法(Yokohama et al。1987)により調べた。本研究では、葉状部の基部から一定部位(10cm)に孔14を設け、切断3週間後に次の孔14までの距離Aを測った(図1参照)。また、切断時に穴を空けた部位の葉幅も毎月測定した。
【0019】
その結果、コンブの再生長は2001年3月〜2002年1月までの毎月、全ての藻体で認められた(図3参照、図4参照)。各月の切断後3週間に再生長して伸びた部分の長さを測定し、実験を行ったが、実験を開始した3月には平均23.5cm伸び、最大葉長65cmに達した藻体も認められた。介在生長による藻体の伸びは冬(天然の衰退期)に向かって徐々に減少する傾向が見られ、9月には平均8.8cm、10〜12月には平均4.1cm〜6.0cmの伸びに留まったが、葉幅(図4参照)は毎月の切断にもかかわらず9月まで増加傾向を示し、9月には平均11.2cmとなった。10月から1月にかけて葉幅の増加は停滞したが、12月には葉状部にいわゆる「突き出し」(多年生のコンブが越年後に伸長生長を開始し、根元側の幅の広い新葉部が細い旧葉部を押し上げる現象)が認められ、日照時間が長くなるとともに、1月には若干ではあるが生長量の増加が認められた。
【0020】
なお、8月と1月に切断したコンブが1ヶ月間に伸長した部分の湿重量について、1藻体当たりの生長量は8月に平均約21g、1月に約15gであり、150個体を付着させた1基盤上で得られる葉片の概算重量はそれぞれ約3kg、2kgと計算された。
このほか、一部の藻体の切断を7月に止めて培養し続けたところ、5ヶ月後(12月)、最も伸長したもので全長230cm、葉幅17.2cmにまで生長した。
【0021】
併せて、前記成長試験によって得られたマコンブの給餌によるエゾアワビの飼育試験を行った。当該試験に用いたアワビは殻長41mmのエゾアワビNordotis discus hannai(山形県栽培振興協会産)で、2001年2月に2基の屋内養殖槽(0.5t)に20個体ずつ収容し、チタンヒーター等の加温装置で15℃と18℃に設定した深層水止水で飼育を行った。アワビには再生長実験で得たコンブ葉片を与え、最初の1ヶ月間に摂餌量(日量)を調べ、その後は残餌が出ない程度に週2回給餌した。
【0022】
アワビ20個体が一日に食べるコンブ葉片の量を調べた結果、水温15℃では約5g、18℃では約15gであった(図7参照)。これに基づき、1個体当たりの日間摂餌量を計算したところ、それぞれ0.25g、0.75gとなった。この量を目安にしてコンブを与え、3ヶ月間飼育したアワビの殻長(5月)は、15℃では平均45.4mm、最大51mm、18℃では平均46.5mm、最大52mmとなり、いずれも3ヶ月間に最大で約11mm伸びた。これ以降、気温の上昇で水温が設定値を超えたり曝気に支障が生じた場合に、一部のアワビが死亡したが、飼育8ヶ月後(10月)には殻長63mm、1年後(2月)には67mmに達した。
【0023】
今回は、以上の研究結果に基づき、コンブを安定供給しながらアワビを陸上養殖するために、コンブを主食とするアワビの養殖装置の一例として、図6に示すような、海洋深層水と切断コンブの介在生長を活用したアワビ養殖装置を案出した。
この実施形態例として示すアワビ、ウニ又はアワビのの培養装置は、図2に示す様な葉状部片7を吊るしてある成熟誘導用の培養槽4を2基1列2段と、コンブの培養槽4を8基4列2段と、各培養槽4内には約150個体のコンブを付着させた正方形基盤(40cm×40cm)を10個沈め、前記各培養槽4には水温5℃〜10℃に加温した海洋深層水1を流通させるための流入管2と、流出管3と、が具備されている。尚、5列2段になっている相互の培養槽4は連結管15によって連結されており、海洋深層水1が流入し、排出するようになっている。
【0024】
また、海洋深層水1を各培養槽4及び各養殖槽8に、自動的に、スムーズに流れ込む様にするために、前記各培養槽4及び各養殖槽8を設置する高さには、列ごとに階段状の段差が設けてある。この段差によって、上段から流し込まれた海洋深層水1が下位の各培養槽4と各養殖槽8に自動的に流入し、流出される様になっている。例えば、本実施形態例においては、3段から成る段差が設けられており、図6の右側に示されている成熟誘導用の培養槽4を1基含めた培養槽5基を上段とし、上段の図示左側にある成熟誘導用の培養槽4を1基含めた培養槽5基を中段とし、更に養殖槽2基を下段とすると、上段から中段、中段から下段へと、海洋深層水1が自動的に流通するようになっている(図6参照)。
ここで、本実施形態例では、養殖槽8を下段としているが、養殖槽8を上段に配置し、各培養槽4を養殖槽8の下位の段に配置しても良い。
【0025】
また、前記培養装置に併設して、アワビの幼体13と、前記培養槽4からの海洋深層水1を取り入れるための導入管9と、前記海洋深層水を排出するための排出管10と、を具備した養殖槽8を2基2列1段に配列してある。各培養槽4と各養殖槽8との間では、前記培養槽4の流出管3と前記養殖槽8の導入管9は連結し、水温を15℃〜20℃に加温した海洋深層水のコンブ培養排水を活用すると共に、各養殖槽8内には別の配管16により新たな海洋深層水が流入し、アワビ等の養殖を行っている。加温は、主に、ボイラーによる方が効率的である。
【0026】
このアワビ養殖装置の例では、海洋深層水のコンブ培養排水を、水温を15℃〜20℃に加温してアワビを養殖するもので、陸上にて養殖槽内に深層水を流通させることによって全てを賄うことができる。切断コンブは、毎月の切断後も葉が生長をし、これを「床屋」のように定期的に収穫することにより、アワビの餌料としてほぼ周年利用できる。
【0027】
まず、水温を5℃〜10℃に調節したコンブ培養槽8基を4列2段に配列し、1培養槽に約150個体のコンブを付着させた正方形基盤(40cm×40cm)を10個入れる。1ヶ月間の培養で切断コンブが再生長した葉状部片を毎週2基分の培養槽分採取し、アワビに与える。8基の4列2段の培養槽を用い、採取する培養槽を毎週ずらしていけば、4週間(約1ヶ月)周期で切断コンブを利用できる。毎月得られるコンブ葉片は1藻体につき平均15g〜21g、1基盤上から2kg〜3kg 、2基分の培養槽で約40kg〜60kg となり、これを毎週アワビに給餌することになる。一方、殻長約40mmのアワビ1個体あたりの月間マコンブ摂餌量(水温15℃と18℃の平均)は約15gであるので、1基盤上のコンブ葉片を与えることにより約150個体〜200個体のアワビが飼育可能である。
【0028】
この多段式培養システムが機能すれば、12000本(=150本/基盤×10基盤/培養槽×8培養槽)のコンブ切断により、計算上12,000個体〜16,000個体のアワビ(殻長40mm)を育てることができ、常にコンブの種苗を確保しておくことも可能となる。実際には、アワビの成長に伴う摂餌量の増大、コンブ再生長の停滞期を考慮して収容数を調整する必要がある。また、コンブ種苗については、成熟誘導のための予備培養槽やコンブ種糸を保存するための低温培養槽を用意しておくことが望ましい。なお、1年間培養した切断コンブは、平均海水温の高い海域でも、海水温の低い時期に海中培養を行えば、2年目コンブとして養殖できる可能性もある。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、海洋深層水が流通する培養槽内で、コンブの介在生長力を利用することによって、コンブの葉状部片を反復して切断可能であるので、アワビ、ウニ又はサザエの主食となる前記葉状部片を年間を通じて無駄なく且つ効率的に餌料として供給できる。
また本発明によれば、培養槽内で一定の長さに達したコンブの上部が順次に切断されて行くので、培養槽内のコンブは無用に長く伸びて光りを遮り他のコンブの生長に支障をきたすことがないことは勿論、空気中に露出して枯死することもない。
【0030】
更に本発明によれば、底の浅い培養槽であっても葉状部片の切断の反復によって高密度にコンブの培養ができ、特に培養槽を複数段又は/及び複数列に配置すれば、より一層アワビ、ウニ又はサザエの餌料としての切断葉状部片を過不足なく且つ継続的に供給できるので、多量のアワビ、ウニ又はサザエの養殖が可能となって、アワビ、ウニ又はサザエを安定且つ確実に収穫できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンブの模式図である。
【図2】本発明によるコンブの培養装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明による切断したコンブの葉状部の再生長の長さを月ごとに表した棒グラフ図である。
【図4】本発明による切断したコンブの葉状部の再生長の葉幅を月ごとに表した棒グラフ図である。
【図5】本発明によるアワビ20個体当たりが1日に摂餌するコンブ葉片の摂餌量を2日間おきに表した折れ線グラフ図である。
【図6】
本発明によるアワビ養殖装置の一例を表した模式図である。
【符号の説明】
1 海洋深層水
2 流入管
3 流出管
4 培養槽
5 基板
6 コンブ
7 葉状部片
8 養殖槽
9 導入管
10 排水管
11 コンブの幼体
12 糸
13 アワビの幼体
14 孔
15 連結管
16 配管
【出願人】 【識別番号】000236920
【氏名又は名称】富山県
【識別番号】591036631
【氏名又は名称】社団法人マリノフォーラム二十一
【出願日】 平成14年10月17日(2002.10.17)
【代理人】 【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道

【公開番号】 特開2004−135562(P2004−135562A)
【公開日】 平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願番号】 特願2002−302531(P2002−302531)