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【発明の名称】 植物栽培用の泥土固化物及びその製造方法
【発明者】 【氏名】小西 正芳
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【氏名】玉田 裕二
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【要約】 【課題】植物栽培に適した泥土固化物及びその製造方法を提供する。

【解決手段】下記工程を有する泥土固化物の製造方法及び当該製造方法により製造された植物栽培用の泥土固化物に係る;
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を有する泥土固化物の製造方法;
(1)泥土にセメントを混合する工程1、
(2)工程1で得られた混合物を造粒する工程2、
(3)工程2で得られた造粒物が固化した後、中和処理により固化物のpHを7〜9に調整する工程3。
【請求項2】
工程1において、更に植物の生育に有用な肥料成分を混合する請求項1に記載の泥土固化物の製造方法。
【請求項3】
工程1において、更に気泡及び軽量骨材から選ばれる少なくとも1種を混合する請求項1又は2に記載の泥土固化物の製造方法。
【請求項4】
工程2において、混合物を直径0.1〜50mmの球状に造粒する請求項1〜3のいずれかに記載の泥土固化物の製造方法。
【請求項5】
泥土が、建設汚泥及び浚渫土から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の泥土固化物の製造方法。
【請求項6】
工程3において、中和処理が二酸化炭素を用いた炭酸化処理である請求項1〜5のいずれかに記載の泥土固化物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された植物栽培用の泥土固化物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物栽培用の泥土固化物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設汚泥や浚渫土は、トンネルの掘削工事、ビル工事等に伴って、又は港湾や湖沼の浚渫作業に伴って、大量に発生する。
【0003】
従来、これら建設汚泥、浚渫土等(以下、泥土と称する)は、産業廃棄物として埋め立て処分されていた。しかし、近年の処理場の枯渇、リサイクル法の制定等に鑑み、泥土の新しい有効利用法の開発が模索されている。
【0004】
一般に、泥土は水分を多量に含んだ粒径が数十μm程度の微細粒であるため、運搬時にダンプ車に山積みにできず、人がその上を歩くこともできない難処理物である。しかも、泥土はそのまま乾燥させると、微細粒子が飛散し易く、保存安定性にも欠ける。
【0005】
そこで、各種工事、作業等により発生した泥土は、通常、セメント;ポルトランドセメントに石こう、フライアッシュ、高炉水砕スラグから選ばれる少なくとも1種を混合してなるセメント系改良剤;石灰(生石灰及び消石灰)や石灰系改良剤等の安定化材を混合することにより、保存安定性及び運搬容易性が高められている。
【0006】
現在、安定化材により安定化された泥土は、再生利用の一貫として、例えば、盛土、道路の路盤材等として利用されている。例えば、下記特許文献1には、建設汚泥、浚渫土等を土木建築用、植生緑化用等の無機材料として利用することが開示されている。また、下記特許文献2には、建設汚泥、下水道堆積汚泥等を、路盤材、ドレーン材、植生基盤材等の各種建設用資材や骨材として利用することが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−344556号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−59198号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、植物栽培用の泥土固化物を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、泥土の有効利用法について鋭意研究を重ねた結果、泥土とセメントの混合物を造粒・固化させた後、固化物を特定処理して得られる泥土固化物が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記の泥土固化物の製造方法及び当該製造方法により製造された植物栽培用の泥土固化物に係るものである。
【0012】
1.下記工程を有する泥土固化物の製造方法;
(1)泥土にセメントを混合する工程1、
(2)工程1で得られた混合物を造粒する工程2、
(3)工程2で得られた造粒物が固化した後、中和処理により固化物のpHを7〜9に調整する工程3。
【0013】
2.工程1において、更に植物の生育に有用な肥料成分を混合する上記項1に記載の泥土固化物の製造方法。
【0014】
3.工程1において、更に気泡及び軽量骨材から選ばれる少なくとも1種を混合する上記項1又は2に記載の泥土固化物の製造方法。
【0015】
4.工程2において、混合物を直径0.1〜50mmの球状に造粒する上記項1〜3のいずれかに記載の泥土固化物の製造方法。
【0016】
5.泥土が、建設汚泥及び浚渫土から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜4のいずれかに記載の泥土固化物の製造方法。
【0017】
6.工程3において、中和処理が二酸化炭素を用いた炭酸化処理である上記項1〜5のいずれかに記載の泥土固化物の製造方法。
【0018】
7.上記項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された植物栽培用の泥土固化物。
【0019】
【発明の実施の形態】
泥土固化物の製造方法
本発明の泥土固化物の製造方法は、下記の3工程を有する:
(1)泥土にセメントを混合する工程1、
(2)工程1で得られた混合物を造粒する工程2、
(3)工程2で得られた造粒物が固化した後、中和処理により固化物のpHを7〜9に調整する工程3。
【0020】
以下、本製造方法について工程順に説明する。
【0021】
工程1では、泥土にセメントを混合する。泥土の種類は特に限定されないが、例えば、トンネル掘削工事、ビル建設工事等に伴って発生する建設汚泥;港湾工事、湖沼の底土の浚渫等に伴って発生する浚渫土;その他、水を含むことによって建設汚泥や浚渫土と同様の性状を示す泥土状物質が挙げられる。
【0022】
泥土の含水比は特に限定されないが、通常40〜200質量%程度が適当であり、50〜150質量%程度が好ましい。含水比が40〜200質量%程度であれば、セメントとの混練性が良好である。
【0023】
泥土の含水比が大きい場合には、例えば、加圧濾過(フィルタープレス)、遠心濾過(スクリューデカンタ)、加圧絞り濾過(ロールプレス)、高圧薄層脱水等により脱水処理をすることが好ましい。この場合は、脱水ケーキの含水比が、好適な範囲内となるように脱水条件を調整すればよい。一方、泥土の含水比が小さい場合には、好適な含水比の範囲内となるように水を加えて調整すればよい。
【0024】
セメントの種類は特に限定されず、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の市販品が広く使用できる。
【0025】
泥土とセメントの混合割合は特に限定されないが、混合物が固化した際に、一軸圧縮強さで0.1〜2N/mm程度の強度が発揮できる混合割合とすることが好ましい。従って、混合割合は、泥土1mに対してセメント10〜400Kg程度が適当であり、50〜150Kg程度が好ましい。
【0026】
泥土にセメントを混合する際は、泥土又は必要に応じて含水比を調整した泥土にセメントを添加し、二軸強制ミキサー、スクリューニーダー等により十分に混合すればよい。
【0027】
本製造方法で得られる泥土固化物を、植物栽培用の代用土又は混合土として用いる場合には、更に植物の生育に有用な肥料成分を混合することが好ましい。肥料成分としては、例えば、窒素、リン酸、カリ成分等が挙げられる。肥料成分の混合割合は限定されないが、通常、泥土1mに対して5〜100Kg程度が適当であり、20〜50Kg程度が好ましい。但し、肥料成分の混合割合は、泥土の採取地、肥料成分の種類、栽培植物の種類等に応じて調整でき、必ずしも上記範囲に限定されるものではない。
【0028】
本製造方法で得られる泥土固化物を軽量なものとする場合には、更に気泡及び軽量骨材から選ばれる少なくとも1種を混合することが好ましい。気泡を混合する場合には、アルミニウム粉、気泡剤等を混合すればよい。気泡剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられる。このように、気泡を混合した場合には、後続の中和処理を促進できることからも好ましい。軽量骨材の種類は特に限定されず、例えば、独立気泡を含有したガラス、公知のコンクリート用軽量骨材、発泡スチロール、ALC廃材等が使用できる。これら気泡及び軽量骨材の混合割合は、最終製品である泥土固化物の用途等に応じて適宜調整できる。
【0029】
工程2では、工程1で得られた混合物を造粒する。造粒方法は限定されず、例えば、回転ドラム、パン等を用いた転動造粒;ブランジャー、各種ピンを用いた混合、混練、転動、破砕造粒;押し出し造粒等により行える。
【0030】
造粒する形状は特に限定されず、球状、楕円状、サイコロ状等が挙げられる。造粒物の大きさも特に限定されないが、球状に造粒する場合には、直径0.1〜50mm程度が適当であり、1〜10mm程度が好ましい。直径0.1〜50mm程度に造粒する場合には、泥土固化物を植物栽培用として用いる際に、植生に好適な保水性、通気性等を確保することができる。また、この範囲の大きさであれば、後続の中和処理を造粒物全体に対して偏りなく行える点からも好ましい。
【0031】
その他、上記した方法だけでなく、例えば、工程1で得られた混合物を乾燥させて先ず固化体とし、その固化体をジョークラッシャー等で粉砕し、ふるいを用いて大きさが直径0.1〜50mm程度、好ましくは1〜10mm程度のものを採集する方法を採用してもよい。
【0032】
工程3では、工程2で得られた造粒物が固化した後、中和処理により固化物のpHを7〜9に調整する。通常、造粒物の大きさ、形状等によって、造粒物が完全に固化するには、数時間から数週間程度の時間を要する。
【0033】
本製造方法では、第1工程において、泥土とセメントを混合するため、セメント成分と周囲の水とが反応して水酸化物イオンを生じ、固化物全体がpH11〜12程度のアルカリ性となっている。
【0034】
中和処理は、固化物のpHを7〜9に調整するために行う。中和処理は、例えば、固化物と炭酸ガスを混合する炭酸化処理によって好適に行える。このような炭酸ガスと混合することによる中和処理には、固化物を大気中の二酸化炭素と接触する状態で放置する方法も含まれる。しかし、この方法では、固化物のpHが7〜9となるまでに長時間を要する。従って、中和処理を促進させるため、固化物に炭酸ガスを吹き込む方法を採用することが好ましい。
【0035】
炭酸ガス発生源としては特に限定されないが、例えば、炭酸ガスボンベ、ドライアイス等が安全面からも好ましい。水を入れた容器内にドライアイスを浸漬する方法では、安定に且つ容易に炭酸ガスを発生させることができる。
【0036】
より好ましい態様としては、中和処理を施す固化物を密閉容器に入れ、炭酸ガスと反応させる方法がある。更に、耐圧容器を使用して、圧力を高めた炭酸ガスと反応させる場合には、より早く反応させることができる。
【0037】
その他、第一リン酸アンモニウム水溶液、炭酸水等を固化物に噴霧したり、又はそれらに固化物を浸漬したりすることによっても中和処理できる。
【0038】
泥土固化物のpHは、泥土固化物1重量部に対して、pH7の蒸留水10重量部を添加し、1時間撹拌した後のpHをpHメーターで計ることにより判定できる。測定値がpH7〜9であれば、中和処理が完結したとする。
【0039】
泥土固化物
上記した製造方法により得られた本発明の泥土固化物は、保存安定性、運搬容易性等が優れている。特に、気泡及び軽量骨材から選ばれる少なくとも1種を含む場合には、泥土固化物が軽量化されているため、運搬がより容易である。このような泥土固化物の用途は特に限定されず、例えば、盛土、道路の路盤材、埋め戻し土壌等として好適である。
【0040】
また、本発明の泥土固化物は、植物栽培用の代用土又は混合土として好適に使用できる。泥土固化物のpHが7〜9であるため、植物の生育に適している。また、植物の生育に有用な肥料成分を含む場合には、より植物栽培用の代用土又は混合土としての用途に優れる。具体的には、植物栽培に用いる園芸用土の代用として用いてもよいし、花壇等の既存の栽培用土に混合して用いてもよい。
【0041】
特に、直径0.1〜50mm程度の球状の泥土固化物は、植物栽培用の代用土又は混合土として用いた場合に、保水性、通気性等が優れており、植物の生育に適した土壌を提供することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の泥土固化物は、保存安定性、運搬容易性等が優れている。特に、気泡及び軽量骨材から選ばれる少なくとも1種を含む場合には、より軽量化されているため、運搬が容易である。このような泥土固化物は、例えば、盛土、道路の路盤材、埋め戻し土壌等として好適である。
【0043】
また、本発明の泥土固化物は、植物栽培用の代用土又は混合土として好適に使用できる。泥土固化物のpHが7〜9であるため、植物の生育に適している。また、植物の生育に有用な肥料成分を含む場合には、より植物栽培用の代用土又は混合土としての用途に優れる。具体的には、植物栽培に用いる園芸用土の代用として用いてもよいし、花壇等の既存の栽培用土に混合して用いてもよい。
【0044】
特に、直径0.1〜50mm程度の球状の泥土固化物は、植物栽培用の代用土又は混合土として用いた場合に、保水性、通気性等が優れており、植物の生育に適した土壌を提供することができる。
【0045】
本発明の泥土固化物の製造方法は、このような優れた効果を発揮する泥土固化物を容易に且つ確実に製造することができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
【0047】
実施例1〜3、比較例1〜2及び参考例
関東ローム泥水を脱水した含水比148質量%の脱水汚泥50Kgを泥土固形物の原料として用意した。
【0048】
脱水汚泥1mに対して、普通ポルトランドセメント60Kgを添加し、ミキサーで十分に混合した。次いで、転動造粒機により、混合物を1〜5mmの直径の球状に造粒後、7日間かけて湿空中(Rh100%)で固化させた。
【0049】
固化物を密閉された耐圧容器に入れ、炭酸ガスボンベから二酸化炭素を容器に供給し、中和処理(炭酸化処理)を行った。炭酸化の時間を適当に変えて、表1に示されたpHの異なる泥土固化物5種類を得た。なお、中和処理前の泥土固化物のpHは12であった。
【0050】
これら5種類の泥土固化物をプランターに入れ、小松菜の種を植え、発芽及びその生育状況を観察した。これらの比較結果を表1に示す。
【0051】
【表1】


【0052】
表1の結果からは、炭酸化処理を行わない比較例1の泥土固化物(pH12)では、小松菜は発芽しないことが分かる。また、炭酸化処理によりpHを10.9にした比較例2の泥土固化物でも、小松菜は発芽しないことが分かる。参考例1は、pH6の関東ローム質の土壌を用いた場合であり、小松菜の発芽・生育は良好であることが分かる。
【0053】
実施例1〜3の本発明の泥土固化物では、小松菜の発芽・生育は、参考例1に記載の通常の土壌と同等の成績であり、十分に植物栽培用として利用できることが分かる。
【出願人】 【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28
【出願日】 平成14年10月15日(2002.10.15)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100076510
【弁理士】
【氏名又は名称】掛樋 悠路

【識別番号】100086427
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 健志

【識別番号】100090066
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 博司

【識別番号】100094101
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 泰光

【識別番号】100099988
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 健治

【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳

【識別番号】100099911
【弁理士】
【氏名又は名称】関 仁士

【識別番号】100108084
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 睦子

【公開番号】 特開2004−135502(P2004−135502A)
【公開日】 平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願番号】 特願2002−300385(P2002−300385)