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【発明の名称】 屋上緑化装置
【発明者】 【氏名】岩橋 基行
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、建築物に重量負荷を与えることなく、屋上に景観と融合する緑空間を形成する屋上緑化装置を提供する。

【解決手段】屋上緑化装置3を構成する嵩上げ材4は、発泡スチロール等の軽量部材が用いられており、表面には非幾何学的な起伏面が形成されている。その起伏面の凹部各々には開口穴4aが設けられ、植裁ポット5が嵌合されている。植裁ポット5は、内方に下方から上方に層をなして人工骨材、不織布及び植裁基盤が配置され、植裁基盤に地這い性の草木6が植え込まれる。このような植裁ポット5が、嵩上げ材4の複数の開口穴4aに配置されて屋上緑化装置3が構成されることにより、植裁ポット5に植裁された草木6が、嵩上げ材4の起伏面に沿って地這いして表面を覆い、屋上緑化装置3全体を見ると、里山風の起伏緑面が形成されることとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋上に配され、軽量部材よりなる嵩上げ材と、
該嵩上げ材の表面に複数設けられた開口穴に嵌合され、内方に植裁基盤が格納されるとともに排水孔を備える植裁ポットと、
該植裁ポット内の植裁基盤に植裁される草木とにより構成され、
前記嵩上げ材には、その表面に非幾何学的な起伏面が設けられて、起伏面の凹部に前記開口穴が設けられるとともに、
前記草木には、地這い性を有する地這い草木が用いられて、
該草木を前記嵩上げ材の表面に地這いさせることにより、嵩上げ材の表面全面を草木で覆うことを特徴とする屋上緑化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の屋上緑化装置であって、
前記植裁ポットに備えられる排水孔が、植裁ポットの側面で所定の高さ位置に複数設けられており、植裁ポット内に貯留した所定量以上の水が排水されることを特徴とする屋上緑化装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屋上緑化装置であって、
前記嵩上げ材に設けられた開口穴の底部に、嵩上げ材を下方に貫通する縦孔が設けられるとともに、
前記嵩上げ材の下面には、屋上の排水設備と連続する排水溝が設けられ、
該排水溝と、前記縦孔が連通することを特徴とする屋上緑化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の屋上に緑空間を形成する屋上緑化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、首都圏や大都市部では、ヒートアイランド現象や大気汚染、自然生態系の喪失といった環境問題が発生している。これらの問題を抑制・緩和するためには、建築物の屋上のような未活用スペースに草木を植裁し、緑化を図ることが有効であることは一般に知られている。これらに対応すべく、建築物の屋上に客土や畑土等を所定量の厚さを確保するように配置し、草木を植裁するような屋上緑化が実施されている(例えば、特許文献1の図1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−4804号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、草木の植裁基盤となる客土や畑土等は重量が嵩むため、屋上に配置することにより建築物に係る重量負荷が大きいだけでなく、喬木が導入されるような立体的な緑化を図る場合には、幾何学的な形状の建築物の屋上に形成される緑空間も、同様に幾何学的に形成されやすく、景観の観点からみて緑空間に違和感を与える場合が多い。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、建築物に重量負荷を与えることなく、屋上に景観と融合する非幾何学的な起伏緑面を備えた緑空間を形成する屋上緑化装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の屋上緑化装置は、建築物の屋上に配され、軽量部材よりなる嵩上げ材と、該嵩上げ材の表面に複数設けられた開口穴に嵌合され、内方に植裁基盤が格納されるとともに排水孔を備える植裁ポットと、該植裁ポット内の植裁基盤に植裁される草木とにより構成され、前記嵩上げ材には、その表面に非幾何学的な起伏面が設けられて、起伏面の凹部に前記開口穴が設けられるとともに、
前記草木には、地這い性を有する地這い草木が用いられて、該草木を前記嵩上げ材の表面に地這いさせることにより、嵩上げ材の表面全面を草木で覆うことを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の屋上緑化装置は、前記植裁ポットに備えられる排水孔が、植裁ポットの側面で所定の高さ位置に複数設けられており、植裁ポット内に貯留した所定量以上の水が排水されることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の屋上緑化装置は、前記嵩上げ材に設けられた開口穴の底部に、軽量部材を下方に貫通する縦孔が設けられるとともに、前記嵩上げ材の下面には、屋上の排水設備と連続する排水溝が設けられ、該排水溝と、前記縦孔が連通することを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の屋上緑化装置を図1から図3に示す。本発明は、自然の里山のような非幾何学的な起伏を表面に設けた嵩上げ材と、該嵩上げ材の所定位置に設けた複数の植裁ポットと、植裁ポット内に植裁した地這い性を有する草木よりなる屋上緑化装置を建築物の屋上に配置し、嵩上げ材の表面に草木を地這いさせることにより、屋上に喬木を用いることなく非幾何学的な起伏緑面を形成するものである。
【0010】
図1に示すように、建築物1の屋上2には、嵩上げ材4、植裁ポット5、及び草木6よりなる屋上緑化装置3が配置されている。前記嵩上げ材4は、断熱材や盛土材等、建材として一般に用いられている発泡スチロール等の軽量部材が用いられており、あらかじめ屋上2に設けられたアンカー等の固定手段を介して、屋上2面に直接配置されている。また、該嵩上げ材4の表面には、所望の高さ、及び形状を有する非幾何学的な起伏面が形成されており、その凹部各々には開口穴4aが設けられ、植裁ポット5が嵌合されている。
【0011】
図2に示すように、該植裁ポット5は、一般に植裁等に用いられている植木鉢状のもので内方には、下方から上方に層をなして人工骨材7、不織布8及び植裁基盤9が配置され、植裁基盤9に地這い性の草木6が植え込まれる。
このような植裁ポット5が、嵩上げ材4に設けられた複数の開口穴4aに配置されることにより屋上緑化装置3が構成されて、植裁ポット5に植裁された草木6が、図1に示すように、嵩上げ材4の起伏面に沿って地這いすることにより、嵩上げ材4の表面を覆い、屋上緑化装置3全体を見ると、図3に示すように里山風の起伏緑面が形成されることとなる。
【0012】
ここで、植裁ポット5に植裁された地這い性の草木6は、一般に嵩上げ材4の表面への定着力を有しているものの、屋上2に配置されることを考慮するとともに強風が生じやすい等の気象条件に応じて、嵩上げ材4の表面にネット等を配置するなどして、嵩上げ材4の表面に草木6の定着力をより高めるような工夫を設ける構成としても良い。
また、嵩上げ材4は、地這い性の草木6が嵩上げ材4の表面を完全に被覆できない場合を考慮して、その起伏面を緑や茶、黒等に塗装して、地這いする草木6と嵩上げ材4との視覚的な違和感を解消するような、景観に配慮した構成としてもよい。
【0013】
ところで、前記植裁ポット5の側面には内方に配された不織布8の高さ位置より略下方に複数の排水孔5aが設けられている。一方で、該植裁ポット5が配置されている嵩上げ材4の開口穴4aには、底部に嵩上げ材4の下面まで貫通する縦孔4bが設けられているとともに、図1に示すように、嵩上げ材4の底面には、建築物の屋上に設けられている排水設備2aと連通する排水溝4cが設けられている。これらは、植裁ポット5の排水孔5aと嵩上げ材4の縦孔4b、該縦孔4bと嵩上げ材4の排水溝4cが各々連通されて排水装置として機能するものであり、植裁ポット5の排水孔5aより開口穴4aへ排水された水が、嵩上げ材4の縦孔4b、排水溝4cを通過して、屋上に設けられている排水設備2aに排水される構成となっている。
つまり、屋上緑化装置3上に降雨が生じると、嵩上げ材4に降雨した雨水は起伏面の凹部に向かって流下し、凹部に配された開口穴4aに配された植裁ポット5に集水される。該植裁ポット5に集水された雨水は、植裁基盤9を浸透し、不織布8を通過して植裁基盤9中の粒子等を取り除かれた状態で、人工骨材7部に貯留される。しかし、所定以上の貯留量に達すると、排水孔5aを介して植裁ポット5の外方で開口穴4aに排水され、開口穴4aの底部に位置する縦孔4b、嵩上げ材4の下面の排水溝4cを通過して屋上に設けられている排水設備2aに排水される。なお、排水孔5aの高さや孔径、及びその数量は、貯留させたい水量や排水速度に応じて適宜決定すればよい、
【0014】
したがって、屋上緑化装置3に降雨等が生じた後にも、嵩上げ材4の起伏面には、雨水が滞留することはなく、効率的な排水処理を行うことができるものである。一方で、植裁ポット5には、所定量の雨水が貯留される構成であるため、植裁された草木6には、降雨等の後に適量の水が確保され、根腐れ等を抑制することができるとともに、草木6への給水作業に係る手間を省略することも可能となる。
【0015】
なお、先にも述べたように、嵩上げ材4の表面に非幾何学的な起伏面を形成することにより生じた凹部には、開口穴4aを設けるものの、該開口穴4aには必ずしも植裁ポット5を配置する必要はない。植裁ポット5が配置されない開口穴4aも、嵩上げ材4の起伏面における排水装置として機能するものであり、前述するように嵩上げ材4の起伏面を流下する雨水は、植裁ポット5を介することなく開口穴4aに集水され、屋上に設けられている排水設備2aに排水されることとなる。
【0016】
上述する構成によれば、屋上緑化装置3は、草木6を育成する植生基盤9が起伏面に形成された嵩上げ材4の表面全体ではなく、起伏面の凹部に配置された複数の植裁ポット5の内方にのみ配置され、植生基盤9に植裁された草木6が嵩上げ材4の起伏面を地這いしながら覆うことにより、非幾何学的な起伏緑面を備える緑空間を形成することから、喬木を用いることなく擬似的に非幾何学的な緑の立体空間を容易に形成することが可能となり、簡略な構成で安価に雰囲気の良い景観に融合した屋上緑化を実施することが可能となる。
【0017】
前記屋上緑化装置3は、嵩上げ材4の表面に起伏面を形成することにより擬似的な立体空間を形成することから、起伏を設けることを目的に嵩上げ材4の体積は大きくなるものの、軽量部材を用いることにより大幅な荷重増加を生じることはないため、建築物1に対して上積載荷重による負担を生じさせることもなく、いずれの建築物にも適用でき、汎用性を持たせることが可能となる。
このように、喬木を用いなくとも、屋上に非幾何学的な起伏緑面を形成できるため、強風対策等を講じる必要がなく、建設費を大幅に削減することが可能となる。
【0018】
前記屋上緑化装置3に用いられる嵩上げ材4には、一般に断熱材として用いられる発泡スチロール等を適用できるため、建築物1に対して断熱効果を得ることもでき、建築物1の熱による劣化や冷暖房の負荷を軽減することが可能となる。
【0019】
前記屋上緑化装置3の嵩上げ材4には、起伏面の凹部に開口穴4aが設けられるとともに、該開口穴4aの底部に嵩上げ材4の下面まで貫通する縦孔4b、嵩上げ材4の底面には、建築物1の屋上が有する排水設備2aと連通する排水溝4cが設けられていることから、これらが排水装置として機能することとなり、屋上緑化装置3に降雨等が生じた後にも、嵩上げ材4の起伏面には、雨水が滞留することなく、効率的な排水処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の屋上緑化装置によれば、建築物の屋上に配され、軽量部材よりなる嵩上げ材と、該嵩上げ材の表面に複数設けられた開口穴に嵌合され、内方に植裁基盤が格納されるとともに排水孔を備える植裁ポットと、該植裁ポット内の植裁基盤に植裁される草木とにより構成され、前記嵩上げ材には、その表面に非幾何学的な起伏面が設けられて、起伏面の凹部に前記開口穴が設けられるとともに、前記草木には、地這い性を有する地這い草木が用いられて、該草木を前記嵩上げ材の表面に地這いさせることにより、嵩上げ材の表面全面を草木で覆うことから、非幾何学的な起伏緑面を備えた緑の立体空間を容易に形成することが可能となり、簡略な構成で安価に雰囲気が良く、景観に融合する屋上緑化を実施することが可能となる。
【0021】
また、前記屋上緑化装置は、嵩上げ材の表面に起伏面を形成することにより擬似的な立体空間を形成することから、起伏を設けることを目的に嵩上げ材の体積は大きくなるものの、軽量部材を用いることにより大幅な荷重増加を生じることはないため、建築物に対して上積載荷重による負担を生じさせることもなく、いずれの建築物にも適用でき、汎用性を持たせることが可能となる。
このように、喬木を用いなくとも、屋上に非幾何学的な起伏緑面を形成できるため、強風対策等を講じる必要がなく、建設費を大幅に削減することが可能となる。
【0022】
前記屋上緑化装置に用いられる嵩上げ材には、一般に断熱材として用いられる発泡スチロール等を適用できるため、建築物に断熱効果を持たせることもでき、建築物の熱による劣化や冷暖房の負荷を軽減することが可能となる。
【0023】
請求項2記載の屋上緑化装置によれば、前記植裁ポットに備えられる排水孔が、植裁ポットの側面で所定の高さ位置に複数設けられており、植裁ポット内に貯留した所定量以上の水が排水されることから、植裁ポットに植裁された草木には適量の水が確保され、根腐れ等を抑制することが可能となるとともに、草木への給水作業に係る手間を省略することも可能となる。
【0024】
請求項3記載の屋上緑化装置によれば、前記嵩上げ材に設けられた開口穴の底部には、軽量部材を下方に貫通する縦孔が設けられるとともに、前記嵩上げ材の下面には、屋上の排水設備と連続する排水溝が設けられ、該排水溝と、前記縦孔が連通することから、屋上緑化装置に降雨等が生じた後にも、嵩上げ材の起伏面には、雨水が滞留することなく、凹部に設けられた開口穴に集水された上で屋上の排水設備に排水されるため、効率的な排水処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屋上緑化装置の断面を示す図である。
【図2】本発明の屋上緑化装置を構成する植裁ポットの詳細を示す図である。
【図3】本発明の屋上緑化装置を配置した建築物の全景を示す図である。
【符号の説明】
1 建築物
2 屋上
2a 排水設備
3 屋上緑化装置
4 嵩上げ材
4a 開口穴
4b 縦穴
4c 排水溝
5 植裁ポット
6 草木
7 人工骨材
8 不織布
9 植裁基盤
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号
【出願日】 平成14年10月10日(2002.10.10)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【公開番号】 特開2004−129567(P2004−129567A)
【公開日】 平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願番号】 特願2002−297224(P2002−297224)