| 【発明の名称】 |
植栽用基材、その製法、及びそれを用いる植栽面の施工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤 良和
【氏名】川本 誓文
【氏名】井本 泰造
【氏名】豊原 憲子
【氏名】越村 惣次郎
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| 【要約】 |
【課題】植物の良好な生育を阻害せず、高い空隙率でありながら骨材同士の接着強度が大きく、かつ耐候性・耐薬品性に優れる植栽用基材を提供することを課題とする。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植栽に用いる基材であって、所定の無機塩類を加えた水で水和反応性硬化剤が凝結硬化されることにより骨材が相互接着され、かつ、非加圧状態又は低加圧状態で養生乾燥されることにより空隙率がおよそ20〜35%とされたブロック化物であることを特徴とする植栽用基材。 【請求項2】 骨材として多孔質の骨材が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の植栽用基材。 【請求項3】 骨材として繊維質の骨材が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の植栽用基材。 【請求項4】 ゴムラテックスその他のエマルジョン等のポリマー、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸、アルギン酸、シルト、及び粘土のうちの1種又は2種以上の混合物のゲル状物又は液状物が注入されて固化されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の植栽用基材。 【請求項5】 無機塩類は、アンモニウム塩類、ナトリウム塩類、カリウム塩類、カルシウム塩類、マグネシウム塩類、アルミニウム塩類、及び鉄化合物のうちの1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の植栽用基材。 【請求項6】 植栽に用いる基材の製法であって、200〜400重量部の骨材と、100〜300重量部の水和反応性硬化剤と、40〜200重量部の所定の無機塩類の水溶液とを混練し、非加圧状態又は低加圧状態で放置して養生することを特徴とする植栽用基材の製法。 【請求項7】 植栽面の施工法であって、請求項1に記載の植栽用基材を、フレーム等を用いて、植栽面を設ける対象物との間に空間を残して配置し、該植栽用基材に水を供給して湿潤させることを特徴とする植栽面の施工法。 【請求項8】 保水マット等の水の供給源を植栽用基材に接触させ、毛細管現象により上記水の供給源から植栽用基材に水を浸透させて供給することを特徴とする請求項7に記載の植栽面の施工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、植栽用基材、その製法、及びそれを用いる植栽面の施工法に関し、園芸から、屋上緑化、壁面緑化、あるいは法面緑化等の都市緑化の技術分野に属する。 【0002】 【従来の技術】 都市のヒートアイランド現象の抑制、都市景観の向上、建物の冷却等に有効であるとして、屋上緑化や壁面緑化あるいは法面緑化等が推進されている。そのような都市緑化工法の従来例を図5に示す(特許文献1参照)。まず建物屋上のコンクリート(a層)の上に、アスファルト塗装等で防水処理を施し(b層)、合成樹脂製の耐根シート(植物の根を通過させないシート)を敷設し(c層)、織物等の繊維質を固めた保水マットを設置し(d層)、軽石や焼成真珠岩(パーライト)等でなる植栽用基材を施工し(e層)、その上に植物の種子や苗を単独で又は集合体として移植したり接触させたりして植栽を行う(f層)。こうすることにより、保水マット(d)に蓄えられた水が毛細管現象により植栽用基材(e)へ浸透して吸い上がり、該水を求めて植栽した植物の根が植栽用基材(e)の中へ伸びて該植物が生育する。なお、図例は、植栽層(f)として芝のシートを張ったものを示している。また、防水処理層(b)や耐根シート(c)は状況に応じて適宜省略してもよい。 【0003】 ここで、一般に、植栽用基材に求められる特質・機能としては、保水性・透水性・通気性に優れること、毛細管現象が十分・良好に起こること、及び軽量であること、等である。そのため、従来より、例えば、軽石や焼成真珠岩等の多孔質の無機質材と、ピートモスやバーク堆肥等の植物性の有機質材との混合物等が用いられている(特許文献2参照)。 【0004】 【特許文献1】 特開2002−84889号公報(図4、図5) 【特許文献2】 特開2002−84879号公報(段落0011) 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、植栽用基材は、使用時には上記のように水を含むから重くなり、その結果、組織が圧密化して、保水性・透水性・通気性が劣化する傾向がある。また空隙が潰れて毛細管現象が起き難くなる傾向もある。そこで、例えば水硬性セメントのような水和反応性硬化剤をバインダとして用いて植栽用基材をブロック化して強度を持たせることが提案される。そうすれば、たとえ使用時に水を含んで重くなっても、植栽用基材が潰れたり型崩れしたりせず、形状の径時変化が少なくて済み、その結果、所期の空隙率が安定に維持されて、保水性・透水性・通気性の劣化や、毛細管現象の喪失・減損が回避される。 【0006】 しかしながら、例えば水和反応性硬化剤として代表的なセメントは、PHが13程度と性状が極めて高アルカリ性であるため、植物の良好な生育を阻害する懸念がある。一方、植栽用基材の保水性・透水性・通気性を高めようとして、あるいは毛細管現象による水の浸透量を増やそうとして、あるいは植物の根の自由な伸びを保障しようとして、空隙率を例えば20〜35%程度にまで大きくすると、骨材同士の接触面積がかなり小さくなり、それだけ大きい接着強度・膠着強度が水和反応性硬化剤に要求される。さらに、酸性雨や、車両排ガス(NOx・SOx)、あるいは動植物や昆虫の死骸から発生するフミン酸等の影響を受けて、水和反応性硬化剤の接着効果・接着機能が低下したり、ブロック化物が脆くなったりしてはならない。 【0007】 本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、植物の良好な生育を阻害せず、高い空隙率でありながら骨材同士の接着強度が大きく、かつ耐候性や耐薬品性に優れる植栽用基材を提供することを主たる課題とする。以下、その他の課題を含め本発明を詳しく説明する。 【0008】 【課題を解決するための手段】 すなわち本願の請求項1に記載の発明は、植栽に用いる基材であって、所定の無機塩類を加えた水で水和反応性硬化剤が凝結硬化されることにより骨材が相互接着され、かつ、非加圧状態又は低加圧状態で養生乾燥されることにより空隙率がおよそ20〜35%とされたブロック化物であることを特徴とする。 【0009】 本発明の植栽用基材は、例えば水硬性セメントのような水和反応性硬化剤をバインダとして用いることにより骨材を相互接着し、かつ、その後の養生乾燥を非加圧状態又は低加圧状態で行うことにより、空隙率を約20〜35%というように比較的高くしたブロック化物である。したがって、この植栽用基材(植栽用ブロック)の保水性・透水性・通気性が高まり、また毛細管現象による水の浸透量が増加し、また植物の根の自由な伸びが保障されて、水が不足したり水が腐ったり根腐れが起きたりせず、植物の良好な生育が確保される。 【0010】 そのうえで、水和反応性硬化剤を水和反応で凝結硬化させるための水として、所定の無機塩類を加えた水、つまり無機塩類の水溶液を用いたから、該水溶液中に含まれる無機塩類のイオンにより水和反応性硬化剤の凝結硬化が促進され、骨材同士の接着強度・膠着強度がより一層高められる。したがって、たとえ空隙率が20〜35%というように高く、骨材同士の接触面積がかなり小さくても、このブロック化物は、相当の強度を持ち、強固で、耐久性に優れ、たとえ使用時に水を含んで重くなっても、空隙が潰れたり型崩れしたりせず、形状の径時変化が少なくて済み、所期の空隙率が安定に維持・確保されて、保水性・透水性・通気性の劣化や、毛細管現象の低減・喪失が回避され、長時間・長期間の使用に安定に供することができる。 【0011】 加えて、上記無機塩類により、凝結硬化したブロック化物の性状が弱アルカリ性〜中性に変化し、極端なアルカリ性や極端な酸性ではなくなるから、植栽した植物の良好な生育を阻害しない。また、酸性雨や車両排ガスあるいは周囲の環境で発生するフミン酸等の影響を受けることも免れて、耐候性・耐薬品性に優れ、水和反応性硬化剤の接着機能が低下したりブロック化物が脆くなったりすることも抑制される。よって、この本発明に係る植栽用基材は、個人レベルで行うガーデニング等の一般園芸のみならず、屋上緑化や壁面緑化あるいは法面緑化といった都市レベルの緑化工法にも好適に用いられる。 【0012】 本発明で使用可能な水和反応性硬化剤としては、例えばポルトランドセメントに代表される水硬性セメントのような無機質の膠着剤が一般に好適であるが、普通ポルトランドセメントに限らず、例えば、高炉セメントや、フライアッシュセメント、あるいはシリカセメント、アルミナセメントのような混合セメント、又は石灰や石膏等も好ましく使用可能であり、これらのうちの1種又は2種以上を混合して用いることもできる。また適宜含量等で着色を施してもよい。 【0013】 次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、骨材として多孔質の骨材が含有されていることを特徴とする。 【0014】 この発明によれば、特に、本発明の植栽用ブロックの空隙率が確保される。本発明で使用可能な多孔質の骨材としては、例えば、石、砂、土壌、ベントナイト、ゼオライト、パーライト、活性炭、園芸店で市販される発泡骨材(土、石、ガラス等の発泡体)等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を混合して用いることもできる。 【0015】 次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、骨材として繊維質の骨材が含有されていることを特徴とする。 【0016】 この発明によれば、特に、本発明の植栽用ブロックの保水性が確保される。あるいは十分・良好な毛細管現象が確保される。本発明で使用可能な繊維質の骨材としては、例えば、スギカワ、ヒノキカワ、麻、ヤシカワ、ピートモス、バーク堆肥、古着、古布、ハギレ等の天然繊維質又は人工繊維質が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を混合して用いることもできる。 【0017】 なお、以上において、骨材は、他にも、軽量であること、あるいは透水性や通気性に優れること、等が要望されるのはいうまでもない。また、産業廃棄物や自然廃材等をリサイクルして骨材として使用可能なものも地球環境保全の面から好ましい。 【0018】 次に、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、ゴムラテックスその他のエマルジョン等のポリマー、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸、アルギン酸、シルト、及び粘土のうちの1種又は2種以上の混合物のゲル状物又は液状物が注入されて固化されていることを特徴とする。 【0019】 この発明によれば、本発明の植栽用ブロックに各種の機能・特性が付加される。例えば、ゴムラテックスやその他のエマルジョン等のポリマーを本発明の植栽用ブロックに注入して固化すると、いわゆるポリマーコンクリートが得られて、本発明の植栽用ブロックの引張強度が強くなる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂を本発明の植栽用ブロックに混合すると、いわゆる樹脂コンクリート様のものが得られて、引張強度や付着強度がポリマーコンクリートよりもさらに強くなることが期待される。また、ポリアクリル酸を本発明の植栽用ブロックに混合すると、その高吸水性機能から保水性のさらなる改善が期待される。そして、高粘性のアルギン酸や、微細粒子のシルト、粘土を加えると、本発明の植栽用ブロックの水分含量・保水性の向上が図られる。 【0020】 次に、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、無機塩類は、アンモニウム塩類、ナトリウム塩類、カリウム塩類、カルシウム塩類、マグネシウム塩類、アルミニウム塩類、及び鉄化合物のうちの1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする。 【0021】 この発明によれば、水和反応性硬化剤を凝結硬化させるための水に加える無機塩類の具体例が示される。すなわち、本発明で使用可能な無機塩類としては、例えば、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩類や、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等のナトリウム塩類や、塩化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム等のカリウム塩類や、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸カルシウム等のカルシウム塩類や、塩化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩類等の他、塩化アルミニウムや、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩類や、硫酸鉄等の+2価の鉄化合物等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を混合して用いることもできる。 【0022】 特に、本発明者等の知見によれば、アンモニウム塩類又はナトリウム塩類の少なくともいずれかと、カリウム塩類と、鉄化合物と、硝酸カルシウム又は塩化カルシウムと、マグネシウム塩類との組合せが、水和反応性硬化剤の接着強度の改良の点で好ましい。 【0023】 次に、請求項6に記載の発明は、植栽に用いる基材の製法であって、200〜400重量部の骨材と、100〜300重量部の水和反応性硬化剤と、40〜200重量部の所定の無機塩類の水溶液とを混練し、非加圧状態又は低加圧状態で放置して養生することを特徴とする。 【0024】 この発明によれば、本発明の植栽用ブロックを製造する際における、骨材と、水和反応性硬化剤と、無機塩類の水溶液との好ましい配合比率の1例が具体化される。本発明においては、これらの配合比率は、上記数値限定の範囲内において、植栽用ブロックに実現したい保水性・透水性・通気性の程度と、強度との均衡を考慮して、適宜定めることができる。 【0025】 特に、本発明者等の知見によれば、上記無機塩類の水溶液として、100重量部の水に、アンモニウム塩類又はナトリウム塩類の少なくともいずれかを1〜3重量部、カリウム塩類を1〜4重量部、鉄化合物を3〜10重量部、硝酸カルシウム又は塩化カルシウムを70〜150重量部、及びマグネシウム塩類を3〜7重量部添加してなる無機塩類の水溶液を用いることが、水和反応性硬化剤の接着強度の改良の点で好ましい。 【0026】 次に、請求項7に記載の発明は、植栽面の施工法であって、請求項1に記載の植栽用基材を、フレーム等を用いて、植栽面を設ける対象物との間に空間を残して配置し、該植栽用基材に水を供給して湿潤させることを特徴とする。 【0027】 この発明によれば、本発明の植栽用ブロックを用いた好ましい植栽面の施工法(緑化工法)の1例が具体化される。特に、植栽用ブロックと対象物(例えば建物の縦壁面等)との間にスペースを空けたから、建物等の対象物を植栽・緑化によって美観を高めつつ、遮光及び水の供給(水遣り)による冷却・水冷・気化熱の効果が得られるのみならず、上記スペースを空洞とする空冷の効果も得られて、対象物の冷却効果がより一層高められる。 【0028】 次に、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、保水マット等の水の供給源を植栽用基材に接触させ、毛細管現象により上記水の供給源から植栽用基材に水を浸透させて供給することを特徴とする。 【0029】 この発明によれば、特に、保水マット等の水の供給源から植栽用ブロックへ水が毛細管現象によって自然と浸透するようにしたから、例えば、植栽用ブロックへ手でいちいち水遣りをしなくても済む。また、保水マットの使用に代えて、例えば、植栽用ブロックの表面に水を直接流したり、植栽用ブロックの表面を水のプールに直接浸け込むようにしてもよい。 【0030】 なお、以上において、植栽は、本発明に係る植栽用基材、保水マット、又はその両方に行うことができる。すなわち、植栽すべき植物の種子や苗を、単独で又は集合体として、上記植栽用ブロック、保水マット、又はその両方に、埋め込んで移植したり、あるいは載置して接触させる。すると、植栽した植物の根が水を求めて植栽用ブロックの中へ伸びていく。その場合、本発明の植栽用ブロックの空隙率が約20〜35%と高いから、植物の根がブロック内部を自由に伸びることができる。もちろんブロックの保水性・透水性・通気性が良好で、かつ毛細管現象による含水量(水の浸透量)も高いから、植物の生長に対して水が不足したり、根腐れが起きたりせず、植物は良好に生育する。 【0031】 このように、本発明では、植栽用基材の空隙率が高いから、保水性・透水性・通気性に優れ、植物の根の自由な伸びが保障され、水の腐敗や根腐れが抑制される。しかもブロックの構造・形状が安定・強固に維持・確保されるから、毛細管現象による水の浸透量の確保も長期間に亘って図られる。以下、発明の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。 【0032】 【発明の実施の形態】 [植栽用ブロックの製造] まず、表1に示す配合で無機塩類の水溶液A,B,C,及びDを調製した。例えば水溶液Aを例にして説明すると、チオ硫酸ナトリウムでカルキ分を除去した水に塩化アンモニウムと炭酸カリウムとを同時に加えて溶解させたのち、硫酸鉄を添加して溶解させ、さらに塩化カルシウム、塩化マグネシウムの順に加えて溶解させた。他の水溶液B,C,及びDも同様にして調製した。 【0033】 【表1】
【0034】 得られた水溶液A,B,C,及びDを用いて植栽用ブロックを製造した。すなわち、軽量骨材・多孔質骨材として、園芸店で市販されている発砲土壌(粒状:径20mm以下)1kgと、繊維質骨材として、同じく市販されている防草シート(布製:幅8〜10mm×長さ15〜25mmに細かく裁断)1〜3kgとを混合し、ここに普通ポルトランドセメントを1〜3kg(重量比で約50〜70%、体積比で約15〜20%)加え、ここに上記水溶液A,B,C,又はDの10倍希釈液をW/C40,50,又は67の条件で加え、モルタルミキサを用いて5分間混練し、型(例えば縦50cm×横50cm×厚み5cm)に流して非加圧状態(何も押さえつけない)又は低加圧状態(スコップ等で手加減して上面を均す程度に軽く押さえつける)で放置して養生・乾燥した。いずれの場合も、空隙率がおよそ20〜35%の範囲内にある、比較的扁平なブロック化物が得られた。 【0035】 得られたブロック化物は、上記無機塩類の水溶液A,B,C,又はDを用いてセメントを水和反応させて凝結硬化させたことにより、バインダとしての上記セメントコンクリートが非常に緻密で強固、高密度・高強度な結晶化構造となった。その結果、骨材同士の接着強度・膠着強度が高められて、耐久性・耐摩耗性等の物理的・機械的性能が飛躍的にアップし、かつ、耐薬品性・耐水性・耐候性等の化学的性能にも優れる植栽用ブロックが提供された。 【0036】 [植栽用ブロックの形状] 図1は、本発明の植栽用ブロックのいくつかの好ましい形状を示す。(a)は前述のように縦50cm×横50cm×厚み5cmの比較的扁平な矩形状ブロック10Aである。(b)は該矩形上ブロックに多数の孔(植物の苗や種子を差し込んで移植するためのもの)11〜11を形成したもの10Bである。孔11は後でくりぬいてもよいしブロックの成形時に同時形成してもよい。(c)は例えば縦5〜7cm×横50cm×厚み5cmの比較的細長いブロック10Cである。(b)に準じて孔11…11を設けてもよい。 【0037】 [植栽用ブロックの使用例:植栽面の施工] 図1(a)の植栽用ブロック10Aは例えば屋上緑化に適している。図2に例示するように、建物の屋上面X1に水の供給源としての保水マット20Aを敷き、その上に本発明の植栽用ブロック10Aを載置する。保水マット20Aには予め水を与えておく。保水マット20Aに蓄えられた水が毛細管現象により矢印で示すようにブロック10A内に浸透して吸い上がり、該ブロック10Aは常に湿潤状態に保たれる。この状態でブロック10Aの上に芝のシートP1を敷く。芝の根が水を求めてブロック10Aの内部に入り込み、伸び、芝が順調に生育していく。 【0038】 本発明者等は、2002年7月〜9月の間、大阪府東大阪市内の日当たりのよい建物屋上に市販の高麗芝を用いて実験したところ、芝はブロック上に植栽してからほぼ3週間程度で根が張り、ブロック内に自由に伸びていった。使用に供したブロックは常時水を含んだ状態で周囲の環境に暴露されたが、その強度や形状自体には何等経時変化はなく、脆くなったり変形する等の問題は見られなかった。本発明に係る植栽用のブロック化物が、長期間に亘り、植物にとって好ましい生育条件・生育環境を提供することがわかった。 【0039】 図1(b)の孔開き植栽用ブロック10Bは例えば縦壁面の緑化に適している。図3に例示するように、建物の縦壁面X2との間に空間Sが残るように、本発明の植栽用ブロック10BをフレームFを用いて縦にセットする。これにより、空間Sを空洞とする空冷効果が得られて、縦壁面X2ないし建物の冷却効果がより一層高まる。フレームFは例えばL型、コ字型、H型アングルを用いて組み立てる。図例ではL型アングルを使用している。L型アングルを使用すると作業の前面側を解放させることができるから、ブロック10Bや保水マット20Bのセッティング、交換、取り替え、取り外し、着脱作業が前面側で容易に行えるという利点がある。 【0040】 なお、ブロック10Bと保水マット20Bとは交互にフレームFにセットする。これにより、保水マット20Bと植栽用ブロック10Bとが相互に接触し合い、毛細管現象により保水マット20Bから植栽用ブロック10Bに水が自然に浸透し供給される。よって植栽用ブロック10Bへ手でいちいち水遣りをしなくても済み、保水マット20Bにのみ例えばポンプ等を使って水を与えていればよい。 【0041】 図3に例示したように、複数の植栽様ブロック10B…10B及び保水マット20B…20Bを上下左右に展開することにより建物の縦壁面X2が遮光され、かつ孔11…11を用いて植栽を施すことにより建物の美観が高まる。すなわち、植物の苗P2…P2を1つづつブロック10B…10Bの孔11…11に差し込んで、保水マット20B…20Bに水を供給し、該水でブロック10B…10Bを湿潤させて苗P2…P2を育成する。もちろんこの植栽面全体に水遣りをしても構わない。 【0042】 図1(c)の細長植栽用ブロック10Cもまた縦壁面の緑化に用いて好適である。ただし、図4に例示するように、植栽用ブロック10Cが細長いから、保水マット20Bと交互にフレームFに設置することにより、植栽面がストライプ模様となり、非常に意匠性に富む植栽面が提供される。なお、図中、左側は、植物の苗P2を保水マット20Bにのみ植栽した例を示し、右側は、孔11…11開きの細長ブロックを用いて、植物の苗P2を保水マット20Bとブロック10Cとの両方に植栽した例を示している。 【0043】 なお、植栽用ブロックの形状は以上に限らないことはいうまでもない。例えばレンガブロックのような厚みのある形状として、個人レベルで行うガーデニング等の一般園芸用としてもよい。また、図2に例示した屋上緑化において、建物の屋上面X1との間に空間Sが残るように、保水マット20A及び植栽用ブロック10Aを横にセットしてもよい。 【0044】 【発明の効果】 本発明の植栽用基材は、空隙率が約20〜35%というように比較的高いブロック化物であるから、保水性・透水性・通気性が高まり、毛細管現象による十分な水の浸透量が確保され、植物の根の自由な伸びが保障されて、水の不足や水の腐敗あるいは根腐れが起きたりせず、植物が良好に生育する。しかも、無機塩類の存在により、バインダとしての水和反応性硬化剤による骨材同士の接着強度・膠着強度が高められるから、本発明の植栽用ブロックは、相当の強度を持ち、強固で、耐久性に優れ、たとえ使用時に水を含んで重くなっても、空隙が潰れたり型崩れしたりせず、形状の径時変化が少なくて済み、所期の空隙率が安定に維持・確保されて、保水性・透水性・通気性の劣化や、毛細管現象の低減・喪失が回避され、長時間・長期間の使用に安定に供することができる。また、同じく無機塩類の存在により、凝結硬化したブロック化物の性状が弱アルカリ性〜中性に変化するから、植栽した植物の良好な生育を阻害しない。さらに、酸性雨や車両排ガスあるいは周囲環境で発生するフミン酸等の影響を受けることも免れて、耐候性・耐薬品性に優れ、水和反応性硬化剤の接着機能が低下したりブロック化物が脆くなったりすることも抑制される。本発明は、個人レベルで行うガーデニング等の一般園芸の技術分野から、屋上緑化や壁面緑化あるいは法面緑化といった都市レベルで行う緑化工法の技術分野において、好適で幅広い産業上の利用可能性を有する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態に係る植栽用ブロックのいくつかの好ましい形状を示す斜視図である。 【図2】図1(a)の植栽用ブロックを用いた、建物の屋上での植栽面の施工法(屋上緑化)を説明する縦断面図である。 【図3】図1(b)の植栽用ブロックを用いた、建物の縦壁面での植栽面の施工法(壁面緑化)を説明する斜視図である。 【図4】図1(c)の植栽用ブロックを用いた、建物の縦壁面での植栽面の施工法(壁面緑化)を説明する正面図である。 【図5】従来行われていた、建物の屋上での植栽面の施工法(屋上緑化)を説明する斜視図である。 【符号の説明】 10A〜10C 植栽用基材(ブロック化物) 20A,20B 保水マット(水の供給源) P1,P2 植物 X1,X2 屋上面,縦壁面(対象物)
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| 【出願人】 |
【識別番号】502368886 【氏名又は名称】株式会社地球環境技術研究所 【識別番号】000205627 【氏名又は名称】大阪府
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| 【出願日】 |
平成14年10月10日(2002.10.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083013 【弁理士】 【氏名又は名称】福岡 正明
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| 【公開番号】 |
特開2004−129560(P2004−129560A) |
| 【公開日】 |
平成16年4月30日(2004.4.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−296973(P2002−296973) |
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