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【発明の名称】
【発明者】 【氏名】藪内 省吾
【住所又は居所】大阪府堺市九間町西2丁2番32号 アルスコーポレーション株式会社内

【要約】 【課題】合成樹脂製鋏の柄に、滑り止め部と打合部を嵌め込みによって組立てる工程を簡素化し、コストを低減させたい。

【解決手段】刃用基礎柄部11aに設けられた刃用連絡部110によって連絡された刃用滑り止め部11cと刃用打合部11dとを弾性プラスチック材料で同時に成形して一体化した刃用合成樹脂柄11と、受用基礎柄部12aに設けられた受用連絡部120によって連絡された受用滑り止め部12cと受用打合部12dとを弾性プラスチック材料で同時に成形して一体化した受用合成樹脂柄12とを備えた鋏を、解決手段とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃用切刃部1aと前記刃用切刃部1aに連設された刃用握り部1bとからなる金属材料の刃用鋏構成部材1と、受用切刃部2aと前記受用切刃部2aに連設された受用握り部2bとからなる金属材料の受用鋏構成部材2とが、支軸3により互いに開閉可能に軸着され、剛性プラスチック材料からなる刃用基礎柄部11aが前記刃用握り部1bを覆うように外嵌され、剛性プラスチック材料からなる受用基礎柄部12aが前記受用握り部2bを覆うように外嵌され、前記刃用基礎柄部11aと前記受用基礎柄部12aとを拡開する方向に付勢するばね4が、前記刃用基礎柄部11aに形成された刃用ばね溝11bと前記受用基礎柄部12aに形成された受用ばね溝12bとの間に介装され、前記刃用基礎柄部11aの拡開方向側の面に設けられた刃用滑り止め部11cと、前記刃用基礎柄部11aの縮閉方向側の面にあり、刃用ばね溝11bの内側に設けられた刃用打合部11dとを持ち、前記受用基礎柄部12aの拡開方向側の面に設けられた受用滑り止め部12cと、前記受用基礎柄部12aの縮閉方向側の面にあり、前記受用ばね溝12bの内側に設けられた受用打合部12dとを持つ鋏において、前記刃用基礎柄部11aに設けられた前記刃用滑り止め部11cと前記刃用打合部11dとを同一系のプラスチック材料で同時に成形した刃用合成樹脂柄11と、前記受用基礎柄部12aに設けられた前記受用滑り止め部12cと前記受用打合部12dとを同一系のプラスチック材料で同時に成形した受用合成樹脂柄12とを備えたことを特徴とする鋏。
【請求項2】
刃用切刃部1aと前記刃用切刃部1aに連設された刃用握り部1bとからなる金属材料の刃用鋏構成部材1と、受用切刃部2aと前記受用切刃部2aに連設された受用握り部2bとからなる金属材料の受用鋏構成部材2とが、支軸3により互いに開閉可能に軸着され、剛性プラスチック材料からなる刃用基礎柄部11aが前記刃用握り部1bを覆うように外嵌され、剛性プラスチック材料からなる受用基礎柄部12aが前記受用握り部2bを覆うように外嵌され、前記刃用基礎柄部11aと前記受用基礎柄部12aとを拡開する方向に付勢するばね4が、前記刃用基礎柄部11aに形成された刃用ばね溝11bと前記受用基礎柄部12aに形成された受用ばね溝12bとの間に介装され、前記刃用基礎柄部11aの拡開方向側の面に設けられた刃用滑り止め部11cと、前記刃用基礎柄部11aの縮閉方向側の面にあり、刃用ばね溝11bの内側に設けられた刃用打合部11dとを持ち、前記受用基礎柄部12aの拡開方向側の面に設けられた受用滑り止め部12cと、前記受用基礎柄部12aの縮閉方向側の面にあり、前記受用ばね溝12bの内側に設けられた受用打合部12dとを持つ鋏において、前記刃用基礎柄部11aに設けられた刃用連絡部110によって連絡された前記刃用滑り止め部11cと前記刃用打合部11dとを弾性プラスチック材料で同時に成形して一体化した刃用合成樹脂柄11と、前記受用基礎柄部12aに設けられた受用連絡部120によって連絡された前記受用滑り止め部12cと前記受用打合部12dとを弾性プラスチック材料で同時に成形して一体化した受用合成樹脂柄12とを備えたことを特徴とする鋏。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、刃が開き勝手に回動し、剪定用あるいは園芸、果樹収穫、花切り用に使用される鋏に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属製の握り部に合成樹脂製の柄が嵌め込まれた剪定用あるいは園芸用の鋏であって、一対の合成樹脂製の柄に設けられたばね溝の間に取り付けたばねにより刃が開き勝手に回動し、剛性プラスチック材料により成形された合成樹脂製の柄が開く方向の面に弾性プラスチック材料により成形された滑り止めが設けられ、さらに合成樹脂製の柄が閉じる方向の面に、刃先が閉じることを緩やかに制限するための弾性プラスチック材料により成形された打合いが設けられている鋏においては、合成樹脂製の柄と、弾性プラスチック材料製の滑り止めおよび打合いを別々に成形し、滑り止めと打合いを合成樹脂製の柄における所定の位置に嵌め込んで柄部分を組み立てていた。
【0003】
理美容用あるいは事務用等の鋏についてであるが、剛性および弾性プラスチック材料を使用し、剛性プラスチック製の指掛環の内周に弾性プラスチック製のリングが装着されている鋏について、指掛環とリングの隙間に汚れが侵入しない鋏と鋏の製造方法が提供されている(特開平10−33848号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、合成樹脂製の柄に滑り止めならびに打合いを嵌め込みによって組み立てるということは、工程ならびに製造時間が増加すること、人手の必要性も増すこととなり、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
さらに、合成樹脂製の柄と滑り止めならびに打合いの嵌合を厳しく設定して成形し、組み立て後の密着性を高く保とうとするため、成形後製品となる滑り止めならびに打合いを金型から抜くときにはどうしても無理やり抜くことになったり、組み立てるときにも合成樹脂製の柄の所定の位置に無理やり入れることになるという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
切刃部と切刃部に連設された握り部とを持つ金属材料からなる一対の鋏構成部材が、支軸により互いに開閉可能に軸着され、剛性プラスチック材料からなる一対の基礎柄部が握り部を覆うように外嵌され、一対の基礎柄部を拡開する方向に付勢するばねが、基礎柄部に形成された一対のばね溝との間に介装され、基礎柄部の拡開方向側の面に設けられた滑り止め部と、基礎柄部の縮閉方向側の面にあるばね溝の内側に設けられた打合部とを持つ鋏において、基礎柄部に設けられた連絡部によって連絡された滑り止め部と打合部とを弾性プラスチック材料で同時に成形し、基礎柄部と滑り止め部と打合部とを一体化した一対の合成樹脂柄を備えたことを特徴とする鋏を提供することにより上記課題を解決したものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明は、合成樹脂製の柄に滑り止めと打合いを同時に成形した鋏を提供することにより、組立てが不要、手作業が不要となり、工程が少なくなり、コストの低減が図れる。
【0008】
従来の組立方法でも滑り止めや打合いが抜け落ちるということはないが本発明の同時成形による鋏の柄では、合成樹脂柄と滑り止めと打合いは同一系のプラスチック材料が使用され、成形時の圧力が大気圧より高く、温度が室温より高いため、より強固に接着させることが可能となる。
【0009】
さらに、滑り止めを弾力性のある弾性プラスチック材料を使用することにより、手指の疲れを軽減し、長時間の作業を可能にする。手の平との摩擦も大きくなるため、作業中に鋏を落すことによる怪我の減少も考えられる。
【0010】
また、打合いは、鋏の切刃先端が閉じられたとき以降において、弾性プラスチック材料の弾力性により閉動の動きを緩やかに制限し、切断時における、手指への衝撃を和らげるとともに、切刃先端の刃部分の露出を常時防止できる。
【0011】
【実施例】
以下本発明の鋏の実施例を図面に基づいて説明する。図1、図2、図3、図4および図5に示されるように、金属材料で形成された刃用切刃部1aと刃用握り部1bを連設した刃用鋏構成部材1と、受用切刃部2aと受用握り部2bを連設した受用鋏構成部材2とを交差状とし、支軸3にて一対の刃用切刃部1a、受用切刃部2aを開閉できるよう回転自在に軸着されている。
【0012】
剛性プラスチック材料で成形された刃用基礎柄部11aと受用基礎柄部12aは、刃用基礎柄部11aと受用基礎柄部12aに設けられている、刃用握り部取付穴113と受用握り部取付穴123に、刃用握り部1bと受用握り部2bをそれぞれ挿入し、刃用止めピン31aと受用止めピン32aによって刃用握り部1bと受用握り部2bに装着される。その結果、刃用基礎柄部11aと受用基礎柄部12aは、刃用握り部1bと受用握り部2bを覆うようにそれぞれ外嵌されたことになる。
【0013】
刃用切刃部1aと受用切刃部2aは、刃用基礎柄部11aと受用基礎柄部12aに設けられた一対の刃用ばね溝11bと受用ばね溝12bの間に介装されている弾性部材であるばね4によって拡開される方向に弾力付勢されている。
【0014】
刃用基礎柄部11aならびに受用基礎柄部12aの開く方向側の面に、刃用滑り止め部11cと受用滑り止め部12cが設けられ、刃用基礎柄部11aならびに受用基礎柄部12aの閉る方向側の面にある円形状の刃用ばね溝11bと受用ばね溝12bの内側に刃用打合部11dと受用打合部12dが設けられている。
【0015】
本実施例における、刃用合成樹脂柄11は次のように成形される。図2、図3および図6に示されるように、剛性プラスチック材料製の刃用基礎柄部11aを成形するときに、刃用滑り止め部11cと刃用打合部11dを連絡する連絡部110があらかじめ成形されている。つぎに、弾性プラスチック製の刃用滑り止め部11cと刃用打合部11dが成形される金型内の所定の位置に刃用基礎柄部11aをセットし、刃用滑り止め部11cと刃用打合部11dを同時に成形すると、刃用基礎柄部11a、刃用滑り止め部11cと刃用打合部11dが一体化し刃用合成樹脂柄11となる。
【0016】
さらに、図4および図5に示されるように、受用合成樹脂柄12も刃用合成樹脂柄11と同様に、次のように成形される。剛性プラスチック材料製の受用基礎柄部12aを成形するときに、受用滑り止め部12cと受用打合部12dを連絡する連絡部120があらかじめ成形されている。つぎに、弾性プラスチック製の受用滑り止め部12cと受用打合部12dが成形される金型内の所定の位置に受用基礎柄部12aをセットし、受用滑り止め部12cと受用打合部12dを同時に成形すると、受用基礎柄部12a、受用滑り止め部12cと受用打合部12dが一体化し受用合成樹脂柄12となる。
【0017】
以上のように形成されている、刃用滑り止め部11cは、つぎのような効果をもっている。
刃用滑り止め部11cは、鋏を握り締めたとき、手の平が当る部分の鋏の柄に設けられ、弾性プラスチック材料が使用され、その材質が程よい弾力性を持っているので、手指の疲れを軽減し、長時間の作業を可能にすることができる。また、手の平との摩擦も大きくなるため、作業中に鋏を落して怪我する等の危険から作業者を守ることに役立っている。さらに、受用滑り止め部12cも上記刃用滑り止め部11cと同様の効果を有する。
【0018】
また、刃用打合部11dと受用打合部12dは、つぎのような効果をもっている。刃用打合部11dと受用打合部12dは、鋏の切刃先端が丁度閉じられたとき、刃用打合部11dと受用打合部12dの上端が接する。鋏をさらに閉じていくと、刃用打合部11dと受用打合部12dを形成している弾性プラスチック材料の弾力性により刃用打合部11dと受用打合部12dのそれ以上の閉動の動きを緩やかに制限するようになる。
【0019】
このため、切断時における、手指への衝撃を和らげること、鋏を閉じたときの切刃先端の刃部分の露出を防止していることなどの効果が期待できる。
【0020】
刃用基礎柄部11a、受用基礎柄部12aの材料である剛性プラスチック材料と、刃用滑り止め部11c、受用滑り止め部12c、刃用打合部11dならびに受用打合部12dの材料である弾性プラスチック材料との組合せは、剛性プラスチック材料がオレフィン系ポリプロピレン樹脂であるときは、弾性プラスチック材料はオレフィン系エラストマーである。また、剛性プラスチック材料がポリエステル系ABS樹脂であるときには、弾性プラスチック材料はポリエステル系エラストマーの組合せである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した鋏の一例を示す正面図である。
【図2】本発明を実施した刃用合成樹脂柄の正面図である。
【図3】図2のA−A線における要部断面図である。
【図4】本発明を実施した受用合成樹脂柄の正面図である。
【図5】図4のB−B線における要部断面図である。
【図6】刃用合成樹脂柄を図2の長手方向で且つ図3の対称軸線に沿う面にて切断した要部断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・刃用鋏構成部材
1a・・・・・刃用切刃部
1b・・・・・刃用握り部
2・・・・・・受用鋏構成部材
2a・・・・・受用切刃部
2b・・・・・受用握り部
3・・・・・・支軸
4・・・・・・ばね
11・・・・・刃用合成樹脂柄
11a・・・・刃用基礎柄部
11b・・・・刃用ばね溝
11c・・・・刃用滑り止め部
11d・・・・刃用打合部
12・・・・・受用合成樹脂柄
12a・・・・受用基礎柄部
12b・・・・受用ばね溝
12c・・・・受用滑り止め部
12d・・・・受用打合部
31a・・・・刃用止めピン
32a・・・・受用止めピン
110・・・・刃用連絡部
120・・・・受用連絡部
113・・・・刃用握り部取付穴
123・・・・受用握り部取付穴
【出願人】 【識別番号】390011578
【氏名又は名称】アルスコーポレーション株式会社
【住所又は居所】大阪府堺市八田寺町476−3
【出願日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【代理人】 【識別番号】100070507
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 俊男

【公開番号】 特開2004−121095(P2004−121095A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−289846(P2002−289846)