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【発明の名称】 遺伝子改変植物の栽培評価システム
【発明者】 【氏名】吉井 誠

【氏名】小林 昭雄

【氏名】杉本 正一

【要約】 【課題】遺伝子改変植物を栽培できるだけの十分な環境を有する隔離栽培場を整えると共に、依頼者が委託した遺伝子改変植物の現状を容易に確認でき、この隔離栽培場における効率的な遺伝子改変植物の栽培を可能とすことで、遺伝子改変植物の基礎研究を急速に進展させる遺伝子改変植物の栽培評価システムを提供する。

【解決手段】遺伝子改変植物Pを外界から隔離した状態で栽培する隔離栽培場2と、この隔離栽培場2の管理者4と遺伝子改変植物Pの研究者9との間の情報のやり取りを可能とするインターネット7と、このインターネット7を介して情報の収集および配信を行なうサーバシステム5とを有し、このサーバシステム5が、利用可能な隔離栽培場2またはその区画2a,2b…を研究者9に割り当てる隔離栽培場管理機能と、利用中の隔離栽培場2またはその区画2a,2b…において遺伝子改変植物をその研究者の指示に従った栽培プロセスによって栽培させる植物の栽培プロセス管理機能とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を外界から隔離した状態で栽培する隔離栽培場と、
この隔離栽培場の管理者と遺伝子改変植物の研究者との間の情報のやり取りを可能とするネットワークと、
このネットワークを介して情報の収集および配信を行なうサーバシステムとを有し、
このサーバシステムが、
利用可能な隔離栽培場またはその区画を研究者に割り当てる隔離栽培場管理機能と、
利用中の隔離栽培場またはその区画において遺伝子改変植物をその研究者の指示に従った栽培プロセスによって栽培させる植物の栽培プロセス管理機能とを有することを特徴とする遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【請求項2】
前記サーバシステムが、
栽培中の植物および/またはその周囲を撮像する撮像部を有し、かつ、
この撮像部を介して入力した映像をその研究者に配信する映像配信機能を有する請求項1に記載の遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【請求項3】
前記撮像部がその撮像範囲を研究者からの操作によって変更可能とする可動部を有し、
研究者に配信される映像がリアルタイムの動画である請求項2に記載の遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【請求項4】
前記映像配信機能が
遺伝子改変植物を所定の時刻および/または時間間隔で定期的に撮像する定期撮像機能を有する請求項2または3に記載の遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【請求項5】
前記サーバシステムが、
栽培中の遺伝子改変植物の任意の部分をその研究者の指示に従って採取し、これを研究者に送付するための指示を隔離栽培場の管理者に出力する植物サンプルの送付指示機能を有する請求項1〜4の何れかに記載の遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【請求項6】
隔離栽培場の管理者を遺伝子改変植物の研究者に関係付けるプラットフォームを有し、
前記サーバシステムにおける前記隔離栽培場管理機能が、
隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を栽培場リストにして登録する隔離栽培場登録機能と、
取り扱う遺伝子改変植物およびその植物の栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リストにして登録する植物登録機能と、
登録された遺伝子改変植物への参加案内情報を隔離栽培場の管理者に配信する参加案内機能と、
登録された遺伝子改変植物毎にこの植物の栽培を行なう隔離栽培場の管理者からの参加申込みを受け付けて、それぞれ少なくとも一つの隔離栽培場またはその区画を選出する隔離栽培場選出機能とを有する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【請求項7】
遺伝子改変植物の研究者を隔離栽培場の管理者に関係付けるプラットフォームを有し、
前記サーバシステムにおける前記隔離栽培場管理機能が、
隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を栽培場リストにして登録する隔離栽培場登録機能と、
取り扱う遺伝子改変植物およびその植物の栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リストにして登録する植物登録機能と、
登録された隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を研究者に配信する利用案内機能と、
登録された隔離栽培場またはその区画毎に研究者からの利用申込みを受け付けて、隔離栽培場またはその区画を利用可能な研究者をそれぞれ選出する研究者選出機能とを有する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の遺伝子改変植物の栽培評価システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子改変植物の栽培評価システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球規模での砂漠化が進行し、緑の地球を回復するための国家プロジェクトが企画されている。そのために、乾燥、冷害、塩害などの劣悪環境で生育可能な遺伝子改変植物の作出が急務である。そこで、現在、植物バイオテクノロジー研究は大学などの国公立私立研究機関を中心に行われており、種々の植物の品種改良が実際に行なわれている。劣悪環境で生育可能な遺伝子改変植物のモデル植物として、シロイヌナズナ、タバコ等が注目されている。
【0003】
なお、本明細書における遺伝子改変植物とは、遺伝子組換え体(GMO:Genetically Modified Organisms)を含む品種改良体の総称であるが、遺伝子の一部分を機能しないようにする程度の改良を加えたものも含まれる。
【0004】
また、これらの遺伝子改変植物を栽培する過程では、植物を外界から隔離した状態で栽培して、乾燥、冷害、塩害などの劣悪環境での生育試験や、他の在来種に対する駆逐の有無、さらにはアレルギー試験、毒性試験、発ガン性試験、薬理試験、催奇形性試験、残留農薬試験などの試験を行うため、また、自然環境に馴化させるための隔離栽培場を必要としている。そして、この隔離栽培場としては、隔離温室など、室内における閉鎖空間での栽培も必要であるが、フィールドにおける栽培過程も必要となる。特にフィールドにおける栽培過程では隔離圃場と呼ばれる施設が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、全国に所在する隔離圃場は現在実験植物が飽和状態にあり、実験待ちである。つまり、隔離圃場の建設には、防風林や隔離壁の設置などの政府によって定められた基準に従った要件を満たしている必要があるので、その性質上、農林水産省などの認定が必要であり、そのプロセスが非常に複雑であるため、新規に建設することが難しいという問題もある。さらに、室内における閉鎖空間での栽培にもある程度の施設が必要であるために、各研究機関が十分の室内隔離栽培場(すなわち、隔離温室)を確保することも困難であった。
【0006】
加えて、遺伝子改変植物を栽培する過程においては、高度な栽培技術を有する熟練された作業者や、高度に管理された育成環境が必要とされる。従って、実際に作業を行なう作業者が、この高度な栽培技術を十分に習得するための環境を整える必要や適正な育成環境を整える必要もあり、これが隔離栽培場の建設を一層難しくする要因となっている。ゆえに、現在では日本国内に絶対的な隔離栽培所の不足が生じており、実験段階にある遺伝子改変植物の育成環境は万全とはいえなかった。
【0007】
さらに、遺伝子改変植物の栽培過程は熟練した作業者が従事する場合であっても、依頼者が随時委託した植物の生育状況を把握できるようにすることが望まれており、依頼者が栽培現場に赴くことなく栽培指示を出しながら、作業を遂行できる環境が必要となる。ところが、現状の隔離栽培場では、遺伝子改変植物の研究者との間の随時の情報交換を可能とする施設がないので、実際は外注先として信頼できる委託業者が見当たらないという問題点があった。
【0008】
このために、遺伝子改変植物の研究者からなる研究ステージが遺伝子改変植物としての認定を取得する段階が遅くなったり、実験段階にある遺伝子改変植物の栽培を海外に持ち込んで行なうケースも少なくない。そして、これが遺伝子改変植物の開発に対する大きな抵抗要因となっている。
【0009】
本発明は、上記の点を考慮に入れてなされたものであって、その目的とするところは、遺伝子改変植物を栽培できるだけの十分な環境を有する隔離栽培場を整えると共に、依頼者が委託した遺伝子改変植物の現状を容易に確認でき、この隔離栽培場における効率的な遺伝子改変植物の栽培を可能とすことで、遺伝子改変植物の基礎研究を急速に進展させる遺伝子改変植物の栽培評価システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために第1発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムは、植物を外界から隔離した状態で栽培する隔離栽培場と、この隔離栽培場の管理者と遺伝子改変植物の研究者との間の情報のやり取りを可能とするネットワークと、このネットワークを介して情報の収集および配信を行なうサーバシステムとを有し、このサーバシステムが、利用可能な隔離栽培場またはその区画を研究者に割り当てる隔離栽培場管理機能と、利用中の隔離栽培場またはその区画において遺伝子改変植物をその研究者の指示に従った栽培プロセスによって栽培させる植物の栽培プロセス管理機能とを有することを特徴としている。
【0011】
したがって、前記遺伝子改変植物の栽培評価システムを利用することにより、遺伝子改変植物の研究者は、ネットワークを介して前記サーバシステムにアクセスすることにより、サーバシステムの隔離栽培場管理機能を用いて必要とする隔離栽培場の割り当てを受けることができ、遺伝子改変植物の栽培を容易に隔離栽培場の管理者に委託することができる。また、遺伝子改変植物の研究者は隔離栽培場まで赴くまでもなく、ネットワークによって前記サーバシステムに接続することで、依頼した遺伝子改変植物の栽培プロセスをサーバシステムの栽培プロセス管理機能を用いて隔離栽培場の管理者に随時指示することも可能となる。よって、遺伝子改変植物の隔離栽培過程を外注でき、急速に基礎研究が進展すると考えられる。
【0012】
一方、隔離栽培場の管理者はネットワークを介して前記サーバシステムにアクセスし、サーバシステムの隔離栽培場管理機能を用いて、自らが所有する利用可能な隔離栽培場を登録することにより、この隔離栽培場を有効に活用できる。
【0013】
前記サーバシステムが、栽培中の植物および/またはその周囲を撮像する撮像部を有し、かつ、この撮像部を介して入力した映像をその研究者に配信する映像配信機能を有する場合には、遺伝子改変植物の研究者は、遺伝子改変植物の研究者は隔離栽培場まで赴くまでもなく、ネットワークを介して前記サーバシステムにアクセスすることにより、サーバシステムの映像配信機能を用いて栽培を依頼した植物の生育状況や周囲の環境に及ぼす影響などを撮像部によって撮像された画像の配信または閲覧によって確認することができ、これを今後の研究に役立てることができる。また、隔離栽培場の管理者に対する信頼性を向上できる。(第2発明)
【0014】
前記撮像部がその撮像範囲を研究者からの操作によって変更可能とする可動部を有し、研究者に配信される映像がリアルタイムの動画である場合には、遺伝子改変植物の研究者は、ネットワークを介して前記サーバシステムにアクセスし、サーバシステムの映像配信機能を用いて栽培を依頼した植物の生育状況や周囲の環境に及ぼす影響などを動画を閲覧しながら確認し、可動部を遠隔操作することで撮像範囲を調整して研究対象となっている遺伝子改変植物の種々の状態を確認することができる。また、遺伝子改変植物が周囲の生態系に及ぼす影響を任意に確認することが可能となる。(第3発明)
【0015】
前記映像配信機能が遺伝子改変植物を所定の時刻および/または時間間隔で定期的に撮像する定期撮像機能を有する場合には、遺伝子改変植物の研究者は、常にネットワークを介してサーバシステムに常時アクセスし続ける必要がなく、定期的な遺伝子改変植物の状態監視を行うことができ、遺伝子改変植物の観察を容易に行うことができる。(第4発明)
【0016】
前記サーバシステムが、栽培中の遺伝子改変植物の任意の部分をその研究者の指示に従って採取し、これを研究者に送付するための指示を隔離栽培場の管理者に出力する植物サンプルの送付指示機能を有する場合には、隔離栽培場において栽培依頼している植物のサンプルを分析することで、その詳細な状態を検証することができ、それだけ綿密な研究を展開できる。(第5発明)
【0017】
第6発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムは、前記隔離栽培場の管理者を遺伝子改変植物の研究者に関係付けるプラットフォームを有し、前記サーバシステムにおける前記隔離栽培場管理機能が、隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を栽培場リストにして登録する隔離栽培場登録機能と、取り扱う遺伝子改変植物およびその植物の栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リストにして登録する植物登録機能と、登録された遺伝子改変植物への参加案内情報を隔離栽培場の管理者に配信する参加案内機能と、登録された遺伝子改変植物毎にこの植物の栽培を行なう隔離栽培場の管理者からの参加申込みを受け付けて、それぞれ少なくとも一つの隔離栽培場またはその区画を選出する隔離栽培場選出機能とを有することを特徴としている。
【0018】
したがって、遺伝子改変植物の研究者はその取り扱う遺伝子改変植物およびその植物の栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リストにして登録することで、この植物の栽培に必要とする条件を満たすことができる隔離栽培場を容易に選出してこれを活用でき、前記遺伝子改変植物を適正に栽培することができる。また、隔離栽培場の管理者と遺伝子改変植物の研究者との関係付けがプラットフォームによって行われるので、研究者により適切な隔離栽培場の割当を行うことができる。
【0019】
一方、隔離栽培場の管理者は遺伝子改変植物の栽培に必要とされる条件を満たすことができる場合には、遺伝子改変植物の研究に対する参加申込みを行い、この隔離栽培場を有効に活用することができる。また、遺伝子改変植物の栽培に必要とされる条件を満たすことができない場合には、植物の育成環境(施設および管理者の技術教育)を遺伝子改変植物リストに登録されている条件に合わせて調整することで、前記遺伝子改変植物の研究に参加することができる。
【0020】
第7発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムは前記遺伝子改変植物の研究者を隔離栽培場の管理者に関係付けるプラットフォームを有し、前記サーバシステムにおける前記隔離栽培場管理機能が、隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を栽培場リストにして登録する隔離栽培場登録機能と、取り扱う遺伝子改変植物およびその植物の栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リストにして登録する植物登録機能と、登録された隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を研究者に配信する利用案内機能と、登録された隔離栽培場またはその区画毎に研究者からの利用申込みを受け付けて、隔離栽培場またはその区画を利用可能な研究者をそれぞれ選出する研究者選出機能とを有することを特徴としている。
【0021】
したがって、隔離栽培場の所有者は隔離栽培場またはその区画の特徴に関する情報を前記栽培場リストにして登録することで、自らが所有する隔離栽培場またはその区画を有効に活用することができる。なお、隔離栽培場の所有者は植物の栽培に関する十分の技術を有し、植物栽培のための適切な施設を形成することが可能であるから、その植物栽培技術や施設情報を栽培場リストにして登録することで、これをより適切な遺伝子改変植物の栽培に役立てることができる。つまり、隔離栽培場を構築できる土地を有する所有者は自らがその管理者としての技能を身につけるか、植物栽培のための適切な技術を有する管理者に依頼することで、隔離栽培場を構築してこれを有効に活用できるので、隔離栽培場の数を増やすことができる。
【0022】
一方、遺伝子改変植物の研究者は栽培場リストに登録されている隔離栽培場の中から、自らの必要に適合する隔離栽培場またはその区画を選択することができる。そして、隔離栽培場の数が増えれば増えるほど遺伝子改変植物の栽培を国内(または近隣地区)において確実に行えるようになり、隔離栽培場の不足による遺伝子改変植物の認定の取得遅れが生じない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜3は本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムを説明する図であって、図1は本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システム1の全体構成を説明する図、図2は隔離栽培場の一例を示す図、図3は遺伝子改変植物の栽培評価システム1の動作を説明する図である。
【0024】
図1〜3において、2は本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システム1に登録された複数の隔離栽培場、3は各隔離栽培場2を所有する所有者、4は各隔離栽培場2の管理者、5は遺伝子改変植物の栽培評価システム1のサーバシステム、6はこのサーバシステム5を用いて遺伝子改変植物の栽培評価システム1を操作するサーバシステム5の管理者、7はネットワークシステムの一例であるインターネットである。また、8(8A,8B,…)はこのインターネット7を介してサーバシステム5にアクセス可能であるコンピュータ(以下、パソコンという)、9(9A,9B)は遺伝子改変植物の栽培評価システム1を利用する複数の研究者であって、各研究者9がそれぞれ遺伝子改変植物P(Pa,Pb…)の研究を行なう。
【0025】
前記各隔離栽培場2は各地に複数所在するものであり、その構造は例えば図2に示すように、山間地域を造成してなる隔離栽培場2を外部から隔離するための隔離壁の一例としてのフェンス10と、内部をさらに幾つかの栽培区画2a,2b,2c…に分けて、これを隔離するための隔離壁11および12(フェンス)と、各区画2a,2b…内の植物の管理を行なう管理室13とを有している。また、Wは防風林である。
【0026】
隔離壁11に囲まれた区画2a〜2eは例えば隔離温室であり、遺伝子改変植物P(Pa,Pb…)の栽培試験の初期段階において、例えば室内の温度、湿度、日照時間などの条件を任意に調節可能とする施設を有する屋内施設である。区画2a,2b…間には隔離壁11,12による種子の相互飛来防止処置が行われると共に、隔離された一つの区画2a,2b…から別の区画が見えないように目隠しするものでもある。つまり、隔離壁11,12は各区画2a,2b…を利用する研究者9A,9Bが別の研究者9B,9A,…の遺伝子改変植物P(Pa,Pb…)を見ることができないように構成している。
【0027】
管理者4は隔離栽培場2の所有者3自身であってもよいが、この所有者3の依頼によって各区画2a,2b…の管理を行なう者であってもよい。いずれにしても、所有者3は自らが所有している土地を隔離栽培場2として整えて、これを図1に示すサーバシステム5に登録することで、この土地を有効に活用することができる。
【0028】
本例のサーバシステム5は例えば隔離栽培場管理サーバ5Aと、栽培プロセス管理サーバ5Bと、定期データ配信サーバ5Cと、瞬時データ配信サーバ5Dとを有している。
【0029】
前記隔離栽培場管理サーバ5Aはシステム管理者6によって操作されて、各隔離栽培場2および/またはその各区画2a,2b…の特徴に関する情報を栽培場リスト14にして登録する隔離栽培場登録機能と、各研究者9A,9Bが遺伝子改変した植物P(Pa,Pb…)およびこの植物の栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リスト15にして登録する植物登録機能とを有する。この隔離栽培場管理サーバ5Aおよびシステム管理者6が本例に示す栽培評価システム1のプラットフォーム1aを構成し、このプラットフォーム1aが隔離栽培場2および/またはその各区画2a,2b…を研究者9の研究に有機的に取り込んで機能させる役割を果たす。
【0030】
栽培プロセス管理サーバ5Bは、各隔離栽培場2に配置されるものであり、本例では例えば管理室13に設置されている。この管理サーバ5Bは各隔離栽培場2の管理者4または所有者3によって操作可能であり、また、各研究者9がインターネット7を介してアクセスすることにより、取り扱う遺伝子改変植物P(Pa,Pb…)の栽培プロセスを栽培指示データ16として記憶する植物の栽培プロセス管理機能を有する。
【0031】
定期データ配信サーバ5Cは、各隔離栽培場2に配置されるものであり、例えばLANなどによって複数の撮像部17および各種センサ18に接続されている。撮像部17は例えば栽培対象となっている植物Pまたはその周囲を撮像可能とするウェブカメラであり、センサ18として例えば周囲温度,照度,pH,周囲の空気成分などを測定するセンサがある。
【0032】
そして、所定時間毎に撮像した画像や各種データを定期データ配信サーバ5C内に蓄積し、研究者9がインターネット7を介してこの定期データ配信サーバ5Cにアクセスすることにより、定期的に撮像した画像や定期的に測定したデータを参照することができるように構成している。また、定期データ配信サーバ5Cによる画像を含む各種データの蓄積は例えば各研究者9が定めた1日のうちの所定の時間に行ってもよい。
【0033】
瞬時データ配信サーバ5Dは、各隔離栽培場2内の例えば各区画2a,2b…毎に配置されており、栽培対象となっている植物Pまたはその周囲を動画として撮像可能とするウェブカメラなどの撮像部19と、インターネット7を介する研究者9からの遠隔操作によって撮像部19による撮像範囲を変更可能とする可動部20(図1では撮像部19と同じ部分を指しており、撮像部19における水平方向の回動、上下方向の回動、およびズームなどを行なう機能のことである)とを有する。
【0034】
つまり、撮像部19および可動部20はインターネット7を介して研究者9からの遠隔操作を可能とする機能を有する。なお、可動部20には水平移動および/または上下昇降移動を行うものが含まれていてもよい。
【0035】
次に、図3を用いて、本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システム1を用いた処理の流れを説明する。まず、隔離栽培場2の管理者4は隔離栽培場2またはその区画2a,2b…の特徴に関する情報として例えば敷地面積や撮像部17,19の性能、各種センサ18の種類や数や配置などの情報を栽培場リスト14にして登録する。つまり、隔離栽培場管理サーバ5Aには隔離栽培場2またはその区画2a,2b…に関する情報を登録する隔離栽培場登録機能がある。なお、隔離栽培場2またはその区画2a〜2eが隔離温室である場合には、温度管理範囲や日照時間制御に関する各種情報を含めて登録してもよい。
【0036】
一方、研究者9は遺伝子改変を行った植物Pに関する情報およびこの植物Pの栽培に必要となる条件を含む情報を遺伝子改変植物リスト15に登録する。つまり、隔離栽培場管理サーバ5Aには、研究者9が栽培を依頼するための植物登録機能がある。なお、ここで登録する植物Pの栽培に必要となる条件の中には、植物Pの栽培時の周囲温度や日照時間の制御方法、また、栽培目的として、アレルギー試験、毒性試験、発ガン性試験、繁殖試験、薬理試験、催奇形性試験、残留農薬試験など種々の試験を行えることなどを条件として定めてもよい。さらには、乾燥、冷害、塩害などの悪環境にて生育することや、他の在来種に対する駆逐の可能性に関する条件が定められてもよい。
【0037】
プラットフォーム1aでは前記栽培場リスト14および遺伝子改変植物リスト15に登録された内容を比較し、遺伝子改変植物リスト15に指定された植物Pの生育条件に適合する隔離栽培場2およびその区画2a,2b…を抽出することにより、研究者9に対して隔離栽培場2およびその区画2a,2b…の利用案内を電子メールなどによって配信する。つまり、隔離栽培場管理サーバ5Aには、隔離栽培場2またはその区画2a,2b…の利用案内機能がある。研究者9はこの利用案内から適当な隔離栽培場2およびその区画2a,2b…を選択し、インターネット7を介して隔離栽培場管理サーバ5Aにアクセスして隔離栽培場2または区画2a,2b…の利用申込みを提出する。
【0038】
逆に、栽培場リスト14に隔離栽培場2または区画2a,2b…の特徴を登録した隔離栽培場2の管理者4には、隔離栽培場2およびその区画2a,2b…の特徴に適合する遺伝子改変植物Pを抽出して、参加案内を電子メールなどによって配信してもよい。すなわち、隔離栽培場管理サーバ5Aが遺伝子改変植物Pの栽培に対する参加案内機能を有する。この場合、隔離栽培場2の管理者4はこの参加案内から栽培可能である遺伝子改変植物Pを選択し、隔離栽培場管理サーバ5Aにアクセスして遺伝子改変植物Pの栽培への参加申込みを行うことができる。
【0039】
何れの場合においても、配信する利用案内または参加案内はシステム管理者6によって作成されても、隔離栽培場管理サーバ5Aによって定期的に自動配信されてもよい。また、利用案内や参加案内は電子メールによって配信されるものであっても、管理者4または研究者9がインターネット7を介して隔離栽培場管理サーバ5Aにアクセスし、これを閲覧することによって配信してもよい。
【0040】
そして、隔離栽培場2の管理者4と遺伝子改変植物Pの研究者9の組み合わせは両者間の電子メールなどのやり取りで決められてもよいが、栽培場リスト14および遺伝子改変植物リスト15の全てを把握できるシステム管理者6によって隔離栽培場管理サーバ5Aを用いて最適な組み合わせを行うことが望ましい。つまり、隔離栽培場管理サーバ5Aは遺伝子改変植物Pを栽培するのに適する隔離栽培場2(区画2a,2b…)の選出機能、および/または、隔離栽培場2(区画2a,2b…)によって栽培可能な遺伝子改変植物Pの研究者選出機能を備えていることが望ましい。また、隔離栽培場2および各区画2a,2b…の使用権を巡ってオークション方式による抽出が行われてもよい。
【0041】
さらには、施設が十分でない隔離栽培場2の管理者4には、システム管理者6からの技術指導が行われてもよい。すなわち、システム管理者6は植物の栽培に関する幅広い知識と技術を持った知能集団であることが望ましい。あるいは、システム管理者6の中に、植物の栽培に関する幅広い知識と技術を持った知能集団を含ませることが望ましい。加えて、研究者9からのアドバイスや要望によって、新しい隔離栽培場2の施設を開発するようにしてもよい。
【0042】
何れにしても、隔離栽培場2の管理者4(所有者3を含む)は、始めから高度な栽培技術を備えていなくても、有用な隔離栽培場2を経営することができるので、新たな隔離栽培場2を多数形成することができる。そして、隔離栽培場2の数が増えれば増えるほど、遺伝子改変植物Pの研究開発に弾みが付き技術の進歩が早くなる。
【0043】
上述のようにして関係付けられた隔離栽培場2の管理者4と遺伝子改変植物Pの研究者9は秘密保持契約を結んで、遺伝子改変植物Pを種々の条件の下で栽培し、自然に馴化させる共同プロジェクトを実行する。より具体的には、研究者9から隔離栽培場2の管理者4に生育対象となる遺伝子改変植物Pが送られると共に、研究者9は管理者4側の栽培プロセス管理サーバ5Bにアクセスし、この植物Pの栽培プロセスに関する詳細を栽培指示データ16として送付する。
【0044】
そして、隔離栽培場2の管理者4は栽培プロセス管理サーバ5Bに送られてきた栽培指示データ16に示される作業指示の通りに植物Pを栽培することで、各隔離栽培場2またはその区画2a,2b…において各遺伝子改変植物Pをその研究者9の栽培指示に従った栽培プロセスによって適正に栽培できる。すなわち、これが栽培プロセス管理機能である。
【0045】
さらに、前記遺伝子改変植物Pの栽培中は、この植物Pの生育状況または周囲の生態系に及ぼす影響を撮像部17によって定期的に撮像することができる。定期データ配信サーバ5Cは、例えば1時間毎などの決められた間隔や、指定の時間における遺伝子改変植物Pまたはその周囲の状況を示す画像を一つの測定データとして各撮像部17から入力して、これを記憶する。また、本例では同時に植物Pの周囲における温度、湿度、日照状況、降水状況、pH、周囲空気の状況などを計測する種々のセンサ18による測定データを記憶する。
【0046】
従って、研究者9は、常時インターネット7を介して定期データ配信サーバ5Cにアクセスするまでもなく、任意のときに定期データ配信サーバ5Cに蓄積されたデータを確認することにより、遺伝子改変植物Pおよび/またはその周囲の状態を時間を追って確認することができる。
【0047】
一方、瞬時データ配信サーバ5Dは、研究者9がインターネット7を介して随時アクセス可能であり、その撮像部19によって撮影された映像を確認しながら可動部20を遠隔操作して、遺伝子改変植物Pまたはその周囲における生態系の状態を任意の視野で観察することを可能としている。
【0048】
なお、本例には図示していないが、瞬時データ配信サーバ5Dが温度、湿度、日照状況、降水状況、pH、周囲空気の状況などを計測する種々のセンサ18を備えていてもよく、この場合の各測定データは瞬時値として配信されてもよい。また、本例における映像は測定データとして必ずしも連続的な動きを映し出すものである必要はなく、間欠的に配信される画像であってもよい。
【0049】
すなわち、研究者Pは前記各データ配信サーバ5C,5Dにアクセスすることにより、遺伝子改変植物Pおよびその周囲の状態を任意の方法で観察することができる。これによって、遺伝子改変植物Pの乾燥、冷害、塩害などの悪環境に対する抵抗力などの能力を観察したり、この植物Pが周囲の生態系に及ぼす影響としてアレルギー試験、毒性試験、発ガン性試験、繁殖試験、薬理試験、催奇形性試験、残留農薬試験など種々の試験を行うことができる。
【0050】
なお、前記データ配信サーバ5C,5Dは一つにまとめられてもよい。さらには、データ配信サーバ5C,5Dは栽培場リスト14に登録された全ての隔離栽培場2に備えられている必要はない。また、栽培場リスト14には設置している撮像部17,19の数および性能や可動部20の構成、センサ18数および種類などを登録することにより、各隔離栽培場2の特徴を判断できるようにしてもよい。
【0051】
さらに、依頼している植物Pの栽培を担当している管理者4からの意見なども一つのデータとして研究者9に配信できるようにすることも可能である。この場合、データ配信サーバ5C,5Dの付加的な機能として、管理者4からの意見を音声や文字データとして定期的または任意のときに配信可能としてもよいが、別途、栽培担当者意見の配信用のサーバをサーバシステム5に組み込むことも可能である。
【0052】
また、研究者9は植物Pの映像を確認するだけでなく、栽培プロセス管理サーバ5Bを介して管理者4に栽培依頼している植物Pの任意の部分(全部も含む)を採取して、これをサンプルとして送付することを依頼することができる。つまり、栽培プロセス管理サーバ5Bは植物サンプルの送付指示機能を有する。これによって、研究者9は現地に赴くまでもなく、栽培中の植物Pのサンプルを採取してこの状態をあらゆる方法で分析することができる。
【0053】
上述した構成の遺伝子改変植物の栽培評価システム1を利用することにより、研究者9は遺伝子改変処理を施した植物Pの栽培を行なう施設を持っていなくても、適当な隔離栽培場2を選択して、その管理者4に栽培を依頼することができるので、本来の研究開発に集中することができ、それだけ効率がよくなる。また、栽培プロセス管理サーバ5Bに対するアクセスによって研究者9の研究目的に合わせた明確な作業指示を管理者4に出すことができ、かつ、その結果をデータ配信サーバ5C,5Dによって確認できるので、管理者4に対する信頼を確かなものとすることができる。
【0054】
各隔離栽培場2の利用費Mは、研究者9または補助金供給者から一旦システム管理者6に支払われ、各管理者4およびその隔離栽培場2の所有者3に配当すると共に、隔離栽培場2の建設やサーバシステム5の設備費を含む運用資金として活用する。
【0055】
また、システム管理者6は各隔離栽培場2が農林水産省の認可を受けられるような隔離施設を備えたり、サーバシステム5の構築に関する技術を提供する。加えて、システム管理者6は別途教育セミナーの開催などによって、研究者9の要望に答えた遺伝子改変植物Pの栽培に関する高度な技術を得ることができるように、教育された管理者4を派遣したり、前記栽培指示データ16への書き込みなどにより現存する管理者4に教育を施すことができる。
【0056】
したがって、広大な土地を所有する所有者3は隔離栽培場2を建設する技術や資産を有していなくても、自らの土地に隔離栽培場2を建設することができ、隔離栽培場2の所有者3はサーバシステム5を構築するような情報通信技術(IT)や、高度な栽培技術を有する管理者4を有していなくても、この隔離栽培場2を本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システム1の一部を構成するものとして活用することができる。
【0057】
つまり、広大な土地の所有者3は、本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システム1を利用することにより、自らが所有する土地を有効に活用して、最先端科学の進展に貢献でき、これから利潤を得ることができる。これが、隔離栽培場2の拡充につながり、バイオテクノロジーの発展に大きく寄与できる。
【0058】
各管理者4は栽培プロセス管理サーバ5Bに記録された栽培指示データ16の内容に従って、各植物Pを栽培するだけで適切な栽培を行うことができるので、高度な栽培技術を持っていなくても、熟練した作業者として成長して、有能な働き手となることができる。そして、十分の量の仕事に従事でき、これから利潤を得ることができる。
【0059】
システム管理者6は隔離栽培場2の利用状況や、研究者9からの意見などを参考に、より有用なサーバシステム5を構築したり、より機能的な隔離栽培場2となるように各隔離栽培場2の所有者3に働きかけることができるので、研究者9にとってさらに有用なシステムとして、遺伝子改変植物の栽培評価システム1を成長させることができる。
【0060】
上述の各例では遺伝子改変植物の栽培評価システム1が使用するネットワークの一例としてインターネット7を例示して説明しているが、本発明はインターネット7を介して通信することを限定するものではない。すなわち、専用回線や無線などを用いた種々のイントラネットを用いて通信を行ってもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムによれば、隔離栽培場の管理者は遺伝子改変植物の受託栽培を行うことができる一方、遺伝子改変植物の研究者は栽培過程を外注することによって、研究に注意を集中することが可能となり、遺伝子改変植物の基礎研究の進歩が加速する。また、本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムに登録される隔離栽培場を増やすことで、植物栽培業者の活性化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遺伝子改変植物の栽培評価システムの全体構成を示す図である。
【図2】前記遺伝子改変植物の栽培評価システムに登録された隔離栽培場の例を示す図である。
【図3】前記遺伝子改変植物の栽培評価システムを用いた処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
1…遺伝子改変植物の栽培評価システム、1a…プラットフォーム、2…隔離栽培場、2a,2b,…区画、4…隔離栽培場の管理者、5…サーバシステム、5A…隔離栽培場管理サーバ、5B…栽培プロセス監視サーバ、5C…定期データ配信サーバ、5D…瞬時データ配信サーバ、7…ネットワーク、9…遺伝子改変植物の研究者、14…栽培場リスト、15…遺伝子改変植物リスト、16…栽培指示データ、17,19…撮像部、20…可動部、P…遺伝子改変植物。
【出願人】 【識別番号】501332275
【氏名又は名称】グリーンゴールドバイオシステム株式会社
【出願日】 平成14年10月2日(2002.10.2)
【代理人】 【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫

【公開番号】 特開2004−121093(P2004−121093A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−289710(P2002−289710)