トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 植物育成装置
【発明者】 【氏名】高畑 亨

【氏名】猪田 博子

【氏名】山口 健一

【氏名】清田 信

【氏名】渋谷 俊夫

【要約】 【課題】組立てが容易で、かつ、植物を安定に育成できる植物育成装置を提供すること。

【解決手段】植物育成装置1は、天板23に照明器具12を装着すると共に天板23の貫通孔26にファン14を設けて照明器具に12による下室7c内の気温の過上昇を防止可能に構成した複数の育成ユニット2を多段に積み重ね、上段の育成ユニット2の排水用パイプ9と下段の育成ユニット2の給水用パイプ8を分離可能に接続したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物育成容器を収納する複数の育成ユニットを多段に積み重ねてなる植物育成装置であって、
前記各育成ユニットが、筐体と、前記筐体内部に片端側を延在させると共に他端側を筐体外部に延出させた給水用パイプ及び排水用パイプとを備え、所定の育成ユニットの給水用パイプから水を供給し、かつ、前記所定の育成ユニット以下の育成ユニットの排水用パイプと該育成ユニットよりも下段の育成ユニットの給水用パイプを接続した植物育成装置。
【請求項2】
前記所定の育成ユニットへ供給する水を貯留する貯水タンクを備え、前記所定の育成ユニットよりも下段の何れかの育成ユニットの排水用パイプを前記貯水タンクに接続し、水を循環可能に構成した請求項1に記載の植物育成装置。
【請求項3】
植物育成容器を収納する複数の育成ユニットを多段に積み重ねてなる植物育成装置であって、
前記各育成ユニットが、筐体と、前記筐体の内部を上室及び下室に分割する天板と、前記下室内に装着された照明器具と、前記上室及び下室の側面に形成した通気用窓と、前記天板に形成した貫通孔に装着され下室から上室に向けて気流を発生させる換気用のファンとを備えた植物育成装置。
【請求項4】
前記通気用窓及び換気用のファンを対称的に配設した請求項3に記載の植物育成装置。
【請求項5】
前記下室内面に反射材を設けた請求項3又は4に記載の植物育成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、閉鎖型施設内に備え付ける植物育成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の植物育成装置として、多段式の棚に照明器具及び灌水構造を備えたものや、各棚に給排気ダクトを設けて換気を行なえるようにしたものがある(例えば、特許文献1,2参照)。また、各棚をユニット化し、複数のユニットを多段に積み重ねて構成したものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−346450号公報(第4図)
【特許文献2】
特開平11−113419号公報(第2図)
【特許文献3】
特開2001−251959号公報(第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
閉鎖型施設内に多段棚式の植物育成装置を配置して均質な植物の育成を達成するためには、前記特許文献1及び2から示唆されるように、各棚に照明設備、換気装置及び灌水装置を設けて、各棚の環境の均一化を図る必要がある。
【0005】
しかしながら、従来の多段棚式の植物育成装置は、比較的大型であるために、装置の移動が困難で、しかも予め規模が定められているために、自由に規模の変更を行なえないという問題があった。そこで、前記特許文献3のように、各棚をユニット化して、装置の移動性・規模の変更容易性を向上させることが考えられるが、かかる場合には、各ユニットの給排水設備について改良の余地があった。
【0006】
また、従来の植物育成装置は、前記特許文献2のように、換気装置の吸排気方向が水平方向になっていたので、各棚で気温の分布が生じやすく、植物を均質に育成することができないおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑み創案するに至ったものであって、その目的は、植物を安定に育成することができる育成ユニットを複数積層してなる植物育成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る植物育成装置は、植物育成容器を収納する複数の育成ユニットを多段に積み重ねてなる植物育成装置であって、前記各育成ユニットが、筐体と、前記筐体内部に片端側を延在させると共に他端側を筐体外部に延出させた給水用パイプ及び排水用パイプとを備え、所定の育成ユニットの給水用パイプから水を供給し、かつ、前記所定の育成ユニット以下の育成ユニットの排水用パイプと該育成ユニットよりも下段の育成ユニットの給水用パイプを接続したことを特徴とする。このように本発明の前記構成によれば、上段の育成ユニットで所定の水位に達した水を順次下段の育成ユニットに送り込むようになっている。すなわち、所定の育成ユニットに給水すると、順次下段の育成ユニットにも給水するようになっているので、各育成ユニットへの給水操作を1回で終わらせることができる。また、上段の育成ユニットの排水用パイプと下段の育成ユニットの給水用パイプを分離可能に接続しておくと、個々の育成ユニットにばらして移動させることができ、しかも育成ユニットの増減により規模を変更することも可能になる。
【0009】
なお、給水用パイプ及び排水用パイプは、上下隣接する育成ユニットに限らず、複数段隔てた育成ユニット同士で接続するようにしてもよい。
【0010】
本発明の請求項2に係る植物育成装置は、前記所定の育成ユニットへ供給する水を貯留する貯水タンクを備え、前記所定の育成ユニットよりも下段の何れかの育成ユニットの排水用パイプを前記貯水タンクに接続し、水を循環可能に構成したことを特徴とする。このように装置内で水を循環させると、各育成ユニットの水質管理を容易に行なうことができる。例えば、植物育成装置内の水の循環経路にろ過装置や冷却装置を設けると、植物に与える水の汚れ除去や水温の調整を行なうことができる。
【0011】
また、植物育成装置の占有面積を縮小させるためには、貯水タンクを植物育成装置の最上段又は最下段に設置することが考えられる。貯水タンクを最上段に設置した場合、前記所定の育成ユニットよりも下段の何れかの育成ユニットの排水用パイプから排出された水をポンプでもって貯水タンクに汲み上げる一方、貯水タンクを最下段に設置した場合には、貯水タンクの水をポンプでもって汲み上げて前記所定の育成ユニットの給水用パイプから供給する。
【0012】
本発明の請求項3に係る植物育成装置は、前記筐体の内部を上室及び下室に分割する天板と、前記下室内に装着された照明器具と、前記上室及び下室の側面に形成した通気用窓と、前記天板に形成した貫通孔に装着され下室から上室に向けて気流を発生させる換気用のファンとを備えたことを特徴とする。このように換気用のファンにより鉛直上向きに気流を発生させると、照明器具により加熱された下室内の空気を効率的に上室へ吸い上げて通気用窓から排出することができる。したがって、下室内の温度分布のばらつきを抑制することが可能になる。
【0013】
本発明の請求項4に係る植物育成装置は、前記通気用窓及び換気用のファンを対称的に配設したことを特徴とする。すなわち、通気用窓は、育成ユニットの横断面において対称的に配設するのであって、具体的には、育成ユニットの横断面形状が正三角形である場合は各側面に形成し、正方形又は長方形である場合は対向する2組の側面のうち少なくともいずれか1組の側面に形成し、円形状である場合は等角度(等間隔)で形成することなどが挙げられる。また、換気用のファンは、1つに限らず複数でもよく、1つの場合は天板の中央部に、複数の場合はいずれの通気用窓の位置から見ても換気用ファンの配置が同じになるように配設する。これにより下室内の気流を対称的にすることができるので、気温のばらつきを抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項5に係る植物育成装置は、前記下室内面に反射材を設けたことを特徴とする。これにより下室に収納した植物に多角度から光を当てることができ、植物の育成を促進することができる。なお、反射材は、アルミ材や白色パネルなど、光の反射率が高い素材であればよく、筐体の内面又は天板の下面に貼り付けてもよいし、筐体自体又は天板自体が反射材であってもよい。
【0015】
また、育成ユニットの上室及び下室の通気用窓は、別々に形成したものに限らず、筐体の側面に形成した1つの窓を天板又はその他の部材(例えば反射板)でもって区切るようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る植物育成装置の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の植物育成装置1を例示しており、同図において、2は育成ユニットで、貯水タンク3の上に多段に積み重ねられている。貯水タンク3には、ポンプ4が設けられており、揚水パイプ5を介して最上段の育成ユニット2に給水するようになっている。
【0018】
育成ユニット2は、図2及び図3に示すように、通気用窓6を有する筐体7と、水を供給・排出する給水用パイプ8及び排水用パイプ9と、植物育成容器としてのトレイ10を支持するトレイ支持台11,11と、着脱自在に装着された照明器具12と、筐体内壁に装着された反射板13と、換気循環用のファン14とを備えている。なお、最上段の育成ユニット2には、図1のように、上部開口部に蓋体7aを装着しておくとよい。
【0019】
筐体7は、プラスチック製、鋼製、ガラス製などの非透水性素材からなる直方体状の箱であって、上部及び底部の形状が相互に嵌合可能に形成され、多段に積み重ねられるようになっている。また、各側面には、矩形状の通気用窓6を形成し、一側面に給水用パイプ8及び排水用パイプ9の挿入孔15,16を形成している。通気用窓6は、内周縁に取付けられた反射板13及び後述する天板23により上下方向に分割されている。なお、筐体7は、1人で持ち運びできる程度の大きさ(例えば、長さ570×幅380×高さ320mm)が望ましい。
【0020】
給水用パイプ8及び排水用パイプ9は、L字状の配水管17,18の片端側に樹脂製チューブ19,20を接続したものであって、該片端側を挿入孔15,16から筐体7外部に延出させると共に他端側を筐体7の内底面に向けて配設している。また、チューブ19,20の先端には、隣接する上下段の育成ユニット2のチューブ(図示略)と接続するためのチューブ継ぎ手21,22が設けられている。このような給水用パイプ8及び排水用パイプ9を筐体7に設けることで、育成ユニット2内の水は、所定の水位を超えると、サイホンの原理によって順次下段の育成ユニット2に送られる。なお、給水用パイプ8の挿入孔15は、図2のように、排水用パイプ9の挿入孔16より上方に設けておき、排水用パイプ9と挿入孔16との隙間をシールする。
【0021】
トレイ10は、筐体7の底部に溜まった水を図示外の吸水シートで吸い上げ、内部に植生した植物に水分を供給するようになっている。
【0022】
トレイ支持台11は、トレイ10を底上げするために、筐体7の内底面上に取付けられている。
【0023】
また、筐体7の内部は、天板23でもって上室7b及び下室7cに分割されている。天板23は、筐体7の内壁面に螺着してもよいし、筐体7の内壁面に固着された複数の担持部(図示略)でもって支持するようにしてもよいし、或いは筐体7の上縁部から吊り下げるようにしてもよい。
【0024】
照明器具12は、天板23の下面側に着脱自在に装着された蛍光灯24と、天板23の上面側に取付けられた安定器25とで構成され、植物に光を照射する機能のほか、筐体7内の気温を上昇させる熱源としての機能を有する。すなわち、蛍光灯24の種類(ワット数)を変更すること、或いは蛍光灯24の数を増減させることにより筐体7内の光度及び空気の加熱が可能になっている。また、天板23の上面側には、照明器具制御用タイマー(図示略)が設置されており、照光開始から所定時間経過後に自動で消灯できるようになっている。
【0025】
反射板13は、照明器具12の光を多角度から植物に当てるためのもので、天板23から下方の通気用窓6の一部を閉塞するように取付けてあり、これにより通気用窓6が上下2つに分断されている。反射板13としては、平面鏡、凹面鏡、凸面鏡などのほか、鏡面加工を施した金属材(例えばアルミ材や白色パネルなど)を用いることができる。また、反射板13は、鉛直方向に固定するだけでなく、枢動自在に取付けて反射光の向きを変更できるようにしてもよい。なお、反射板13は、天板23の下面側にも取付けても良い。
【0026】
ファン14は、天板21の所定箇所に形成された換気孔26に取付けられている。ファン14及び換気孔26は、1つに限らず複数でもよい。例えば図4の如く、ファン14の送風方向を下室7cから上室7bに設定しておくと、下室7cの加熱された空気を吸引して上室7bに送り込み、上室7bの通気用窓6から筐体7の外部に排気するようになっている。これにより、下室7cの通気用窓6から外気が筐体7に入り込み、照明器具12の熱による気温の過上昇を防止できる。一方、ファン14を停止させておくと、育成ユニット2内の気温を上昇させることもできるので、育成対象の植物に対応した環境設定を実現することができる。なお、ファン14は、下室内の気流環境の微調整を行なうべく、角度調節可能な構成であってもよい。
【0027】
植物育成装置1は、図1のように、複数の育成ユニット2を貯水タンク3の上に積み重ねると共に、各育成ユニット2の給水用パイプ8及び排水用パイプ9を上下隣接する育成ユニット2の排水用パイプ9及び給水用パイプ8に接続したものであり、組立て・分解を容易に行なえるので、装置1の移動が容易になり、しかも育成ユニット2を増減させることで装置1の規模を容易に変更することができる。
【0028】
また、貯水タンク3の水をポンプ4でもって最上段の育成ユニット2に汲み上げて所定の水位に達すると、順次下段の育成ユニット2(最下段の育成ユニット2の場合は貯水タンク3)に排水するようになっている。このように装置1内の水を循環させることができるので、水質管理を容易に行なうことが可能になる。
【0029】
また、各育成ユニット2には、照明器具12及び反射板13を設けて植物に多角度から光を当てるようになっているので、植物の育成を促進することができる。さらに、ファン14の吸排気方向を下室7cから上室7bに向けて設定しているので、照明器具12により加熱された下室7c内の空気を効率的に排出することができ、下室7cの気温分布を略一様にすることが可能になる。一方、照明器具12の出力やファン14の出力を調節することにより各育成ユニット2の環境の均一化を図ることはもちろん、育成ユニット2ごとに環境を微小変化させることもできるので、同種の植物を均一な品質で育成すること又は複数種類の植物を各植物に適した環境で育成することが可能になる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば図3のように育成ユニット2内部の温度を検出する温度センサ27を設けて、該温度センサ27の検出結果に基づいてファンの起動停止を制御してもよい。
【0031】
また、本発明は、植物の中でも特に苗の栽培に適しており、上記実施形態の如く廉価な部品で構成することができるから、これまで初期投資が大きいために、育苗できなかった中小農家でも低コストで良質の苗を栽培できるようになる。
【0032】
また、農業用に限らず、一般家庭の家庭菜園やインテリアとしての普及が期待できるほか、教材や実験装置としてのニーズも考えられる。
【0033】
さらに、本発明は、植物の育成に限らず、昆虫や小動物の育成にも応用でき、幅広い用途が期待できる。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、上段の育成ユニットで所定の水位に達した水を順次下段の育成ユニットに送り込むようになっているので、各育成ユニットへの給水操作を1回で終わらせることができる。また、育成ユニットの個数を変更することで、任意の規模に設定することが可能になる。
【0035】
請求項2に係る発明によれば、植物育成装置内で水を循環させることができるので、各育成ユニットの水質管理を容易に行なうことができる。
【0036】
請求項3に係る発明によれば、換気用のファンにより鉛直上向きに気流を発生させると、下室上方の熱気を効率的に排出することができ、気温の過上昇を防止することができる。
【0037】
請求項4に係る発明によれば、下室内の気流を対称的にすることができるので、下室内の気温のばらつきを抑制することができる。
【0038】
請求項5に係る発明によれば、下室に収納した植物に多角度から光を当てることができ、植物の育成を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る植物育成装置の縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図であって、本発明に係る育成ユニットの縦断面図である。
【図3】本発明に係る育成ユニットの横断面図である。
【図4】育成ユニット内部の気体の流れを示す模式図である。
【符号の説明】
1.植物育成装置
2.育成ユニット
3.貯水タンク
4.ポンプ
6.通気用窓
7.筐体
7b.上室
7c.下室
8.給水用パイプ
9.排水用パイプ
12.照明器具
13.反射板
14.ファン
21,22継ぎ手
23.天板
26.貫通孔
【出願人】 【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
【出願日】 平成14年10月1日(2002.10.1)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾

【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳

【識別番号】100101616
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 吉之

【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦

【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛

【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭

【公開番号】 特開2004−121074(P2004−121074A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−289008(P2002−289008)