トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 自立電源式無線圃場観測装置およびそれを用いた観測方法
【発明者】 【氏名】水沼 守
【住所又は居所】東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内

【要約】 【課題】本発明の課題は、バッテリ電圧を常に監視し、規定値を下回った場合にはデータをバックアップメモリに待避させ、その後規定値を上回った場合にはシステムを起動させる自立電源式無線圃場観測装置を提供することにある。

【解決手段】本発明は、太陽電池、風力発電機などの自立電源11で充電されるバッテリ13を有し、圃場における土壌、気象、水質に関するデータを検出するセンサと、センサで取得したセンサデータを管理室まで送信する無線通信システムと、バッテリ13の電圧を監視する電源電圧監視回路17からのシャットダウンコントロールパルスを受け取ると未送信のセンサデータ、現在時刻をデータバッファメモリに待避してシャットダウンし、リセットコントロールパルスを受信すると起動するコンピュータ16とを具備することを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池、風力発電機などの自立電源と、
前記自立電源によって生成された電力が過充電を防ぐ充電制御器を経由して充電されるバッテリと、
前記バッテリの電力が過放電を防ぐ放電制御器を経て供給される圃場における土壌、気象、水質に関するデータを検出するセンサと、
前記センサで取得したセンサデータを管理室まで送信する無線通信システムと、
前記バッテリの電圧を監視し、バッテリ電圧が所定の電圧になるとコンピュータのシャットダウンコントロールパルスもしくはリセットコントロールパルスを送出する電源電圧監視回路と、
前記電源電圧監視回路からのシャットダウンコントロールパルスもしくはリセットコントロールパルスが受信され、シャットダウンコントロールパルスを受け取ると未送信のセンサデータ、現在時刻をデータバッファメモリに記録して待避するコンピュータと
を具備することを特徴とする自立電源式無線圃場観測装置。
【請求項2】
電源電圧監視回路およびデータバッファメモリが、バックアップ用電源を有することを特徴とする請求項1記載の自立電源式無線圃場観測装置。
【請求項3】
コンピュータとして、カード型コンピュータを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の自立電源式無線圃場観測装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の自立電源式無線圃場観測装置を用い、
コンピュータのシステムを起動するステップと、
コンピュータがセンサデータを取得すると共にデータを管理室に無線で定時的に送出するステップと、
コンピュータが電源電圧監視回路からシャットダウンコントロールパルスを受け取ると未送信のセンサデータ、現在時刻をデータバッファメモリに記録して待避するステップと、
コンピュータがシステムシャットダウンの信号を無線システムに送出するステップと、
コンピュータがリセットコントロールパルスを受信すると、コンピュータシステムを電源断状態から起動を行なうステップと
よりなることを特徴とする自立電源式無線圃場観測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農産物の栽培をする圃場の土壌、気象、水質等を管理する自立電源式無線圃場観測装置およびそれを用いた観測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農産物の栽培をする圃場の定点における土壌、気象、水質等の管理用の複数のセンサのデータの確認は、直接、センサの箇所まで作業員が行って、データを読み取ったり、あるいは、定点に設置した記録計に記録していた。さらに、近年の太陽電池や風力発電機が安価に利用できるようになってきたこと、また、各種無線システムも安価に供給される状況になってきたことから、その定点のみで完結する自立電源に無線システムを接続して、無線によって、前記データを管理室まで送信するようになってきている。
【0003】
従来技術に関連する文献として、無線による圃場観測情報装置と運用方法(特許文献1)、圃場管理装置(特許文献2)、圃場遠隔管理装置(特許文献3)がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−212484号公報
【特許文献2】
特開平10−117593号公報
【特許文献3】
特開2000−134347号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような太陽電池または風力発電機などの自立電源によるシステムでは、天候不良、日照不足、無風状態その他の原因によって、バッテリ電圧の低下をきたし、システムの停止に至り、データの欠落等の不具合が起こっている。また、天候・日照の回復、有風状況への推移が起こり、バッテリの電圧が回復した後にも、システム停止が継続し、作業員が直接システムの箇所まで行って、再起動その他の処置をしているために、効率が悪く、面倒である。
【0005】
また、このような自立電源システムでは、太陽光、風など自然現象に頼っていることもあって、システム停止が全く無いものを設計することは、困難であるし、もしできたとしても、予期せぬ大掛かりなものとなるなど経済性に問題が残るものとなるのが通例である。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、バッテリ電圧を常に監視し、規定値を下回った場合にはデータをバックアップメモリに待避させ、その後規定値を上回った場合にはシステムを起動させる自立電源式無線圃場観測装置およびそれを用いた観測方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の自立電源式無線圃場観測装置は、太陽電池、風力発電機などの自立電源と、前記自立電源によって生成された電力が過充電を防ぐ充電制御器を経由して充電されるバッテリと、前記バッテリの電力が過放電を防ぐ放電制御器を経て供給される圃場における土壌、気象、水質に関するデータを検出するセンサと、前記センサで取得したセンサデータを管理室まで送信する無線通信システムと、前記バッテリの電圧を監視し、バッテリ電圧が所定の電圧になるとコンピュータのシャットダウンコントロールパルスもしくはリセットコントロールパルスを送出する電源電圧監視回路と、前記電源電圧監視回路からのシャットダウンコントロールパルスもしくはリセットコントロールパルスが受信され、シャットダウンコントロールパルスを受け取ると未送信のセンサデータ、現在時刻をデータバッファメモリに記録して待避するコンピュータとを具備することを特徴とするものである。
【0008】
また本発明は、前記自立電源式無線圃場観測装置において、電源電圧監視回路およびデータバッファメモリが、バックアップ用電源を有することを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記自立電源式無線圃場観測装置において、コンピュータとして、カード型コンピュータを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記自立電源式無線圃場観測装置を用い、コンピュータのシステムを起動するステップと、コンピュータがセンサデータを取得すると共にデータを管理室に無線で定時的に送出するステップと、コンピュータが電源電圧監視回路からシャットダウンコントロールパルスを受け取ると未送信のセンサデータ、現在時刻をデータバッファメモリに記録して待避するステップと、コンピュータがシステムシャットダウンの信号を無線システムに送出するステップと、コンピュータがリセットコントロールパルスを受信すると、コンピュータシステムを電源断状態から起動を行なうステップとよりなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態例に係る自立電源式無線圃場観測装置を示す構成説明図である。定点に設置された太陽電池、風力発電機などの自立電源11によって生成された電力は、例えばCVCC充電等により過充電を防ぐ充電制御器12を経由して、バッテリ(鉛蓄電池)13に充電される。バッテリ13に蓄えられた電力は、過放電を防ぐ放電制御器14を経て、負荷15に供給される。負荷15としては、農産物の栽培をする圃場の定点における土壌、気象、水質などに関するデータを検出するのセンサ、前記センサで取得したセンタデータを管理室まで無線通信システムで送信する無線ルータ、直流電力を交流電力に変換して各種機器に給電するDC/ACコンバータなどが上げられる。一方、センサデータを取得し無線ルータに送出するなどシステム全体を制御するリナックス(Linux)搭載カード型コンピュータ16には、バッテリ13から直接バッテリ電圧Vが供給される。17はバッテリ13の電圧を監視して電圧モニタ信号が伝送される電源電圧監視回路(スーパーバイザ)であり、電圧モニタ信号による制御信号をコンピュータ16に伝送する。
【0013】
図2は、図1のコンピュータのシステムを示す構成説明図である。また、図3は、図2に示したコンピュータシステムの動作を示すフローチャートである。すなわち、コンピュータ16のシステムは、起動されると、CPU(Core)21が入出力回路(I/O)22を介して土壌センサ23、気象センサ24、水質センサ25のデータを取得し、CPU21から入出力回路22を介して無線ルータ26にデータを送出し、無線ルータ26から図示しない管理室に例えば1日に2回等定時的にデータを送出(通信)する動作を繰り返す定常状態に推移する。
【0014】
一方、天候不良・日照不足などによって、バッテリ電圧Vが、コンピュータシステムの運用に支障を来たす寸前までに低下した場合、電源電圧監視回路17は、シャットダウン コントロール パルス(Shutdown CONTROL PULSE)を送出し、PMU(Power Management Unit)27に知らせる。PMU27は、シャットダウン コントロール パルスを受け取ると、CPU21に指示し、図3のプログラムに従って、未送信のセンサデータ、現在時刻等をデータバックアップメモリ(データバックアップ用RAM)28に記録して待避した上で、システムシャットダウンの信号を入出力回路22を介して無線システムの無線ルータ26に送出し、引き続いて、コンピュータシステムをシャットダウンする。バッテリ電圧Vが低下している間は、コンピュータシステムは、この状態で休止する。29はバックアップ用リチウムバッテリであり、電源電圧監視回路17およびデータバックアップメモリ28のバックアップ用電源である。
【0015】
しかし、天候・日照/風況の回復によって、コンピュータシステムの起動が可能と判断される電圧にまで、バッテリ電圧Vが復旧した場合には、電源電圧監視回路17は、リセット コントロール パルス(Reset CONTROLPULSE)を送出し、PMU27に知らせる。PMU27は、リセット コントロール パルスを受信すると、CPU21に指示し、図3のプログラムに従って、コンピュータシステムを電源断状態からの起動を行い、再び定常状態に復帰する。なお、バッテリ電圧Vが再び上昇してシステムが再起動した場合は、通常データを送信するタイミングではなくても、まず、それまでバックアップされていたデータを送信してから、新たにデータを取得・蓄積していくように動作する。
【0016】
図4は本発明の実施形態例に係るバッテリ電圧と充電制御器の動作を示す特性図である。また、図5(a)は本発明の実施形態例に係るバッテリ電圧と放電制御器の動作を示す特性図であり、図5(b)は本発明の実施形態例に係るバッテリ電圧とコンピュータの動作を示す特性図である。
【0017】
まず、バッテリ電圧Vが満充電に近い状態にある場合には、図4に示すように動作する。すなわち、さらに充電状態にあって、過充電電圧12.6Vを越える場合には、充電制御器12が短絡状態になり、充電を停止する。電力が使用され放電して、バッテリ電圧Vが低下した場合には、充電を再開する。このような状況の場合には、バッテリ電圧Vは、負荷15を駆動するのに十分であるから、負荷15は動作状態(ON)にあり自立電源式無線圃場観測装置のシステムの停止等の動作は起こらない。
【0018】
一方、天候不良等が長引いてバッテリ電圧Vが低下した場合には、図5(a),(b)に示すように動作する。まず、放電状態になって、バッテリ電圧Vが負荷遮断電圧12.0Vよりも低下する過放電の状況では、放電制御器14はV=12.0Vで負荷15を切り離し(切断)、過放電を回避するように動作する。この直前に電源電圧監視回路17は、V=12.05Vでシャットダウン コントロール パルスを送出し、PMU27を介して、CPU21にその状況を知らせる(図2)。コンピュータシステムは、バッテリ電圧Vの低下を知って、未送信のセンサデータ、現在時刻等をデータバックアップメモリ28に待避し、システムシャットダウンの信号を送出した後、システムを停止し、「電源断」の状態に推移する(図3)。ここで、「電源断」の状態になっても、電源電圧監視回路17は低下したバッテリ電圧Vで動作するようにするか、または、リチウム電池などのバックアップ用リチウムバッテリ29を用意して動作するように設計する。
【0019】
同様に、天候が回復し、バッテリ13が充電を開始して、バッテリ電圧Vが負荷再接続電圧12.4Vを上回るようになる充電状況では、放電制御器14はバッテリ電圧V=12.4Vで負荷15を再接続してシステムを立ち上げる。この後、電源電圧監視回路17は、バッテリ電圧V=12.45Vでリセットコントロール パルスを送出し、PMU27を介して、CPU21にその状況を知らせる(図2)。システムは、バッテリ電圧Vの復帰を知って、センサデータを取得・データ送出の定常状態に推移する(図3)。
【0020】
なお、バッテリ電圧V=12.0V、12.05V、12.4V、12.45Vなどの設定値は、実施形態例での一例であり、設置場所の気象条件その他によって、適切に設定する必要がある。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、天候不良等により一時的なシステム停止が発生しても、長期間のデータ収集が、定点に出向くことなく、確実に自立的にでき、また、一時的な天候不良等によるシステム停止では、作業員が出向く必要がないため、運用が簡便になるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る自立電源式無線圃場観測装置を示す構成説明図である。
【図2】図1のコンピュータのシステムを示す構成説明図である。
【図3】図2に示したコンピュータシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態例に係るバッテリ電圧と充電制御器の動作を示す特性図である。
【図5】(a)は本発明の実施形態例に係るバッテリ電圧と放電制御器の動作を示す特性図であり、(b)は本発明の実施形態例に係るバッテリ電圧とコンピュータの動作を示す特性図である。
【符号の説明】
11 太陽電池、風力発電機などの自立電源
12 充電制御器
13 バッテリ(鉛蓄電池)
14 放電制御器
15 負荷
16 リナックス(Linux)搭載カード型コンピュータ
17 電源電圧監視回路(スーパーバイザ)
21 CPU(Core)
22 入出力回路(I/O)
23 土壌センサ
24 気象センサ
25 水質センサ
26 無線ルータ
27 PMU(Power Management Unit)
28 データバックアップメモリ(データバックアップ用RAM)
29 バックアップ用リチウムバッテリ
【出願人】 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町二丁目3番1号
【出願日】 平成14年10月1日(2002.10.1)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100087963
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 義雄

【公開番号】 特開2004−121071(P2004−121071A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−288866(P2002−288866)