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【発明の名称】 散水チューブ
【発明者】 【氏名】濱崎 博英
【住所又は居所】愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学プラテック株式会社内

【氏名】大江 達也
【住所又は居所】愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学プラテック株式会社内

【氏名】佐藤 俊夫
【住所又は居所】愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学プラテック株式会社内

【要約】 【課題】優れた耐久性、耐圧性、耐熱性等を有する散水チューブを提供する。

【解決手段】ポリオレフィン系樹脂から形成され、ポリオレフィン系樹脂の架橋度を示すゲル分率が少なくとも40重量%であることを特徴とする散水チューブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂から形成され、ポリオレフィン系樹脂の架橋度を示すゲル分率が少なくとも40重量%であることを特徴とする散水チューブ。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂が、密度が0.90〜0.94g/cmであるポリエチレン、密度が0.90〜0.94g/cmであるエチレン−αオレフィン共重合体、及び酢酸ビニル単位の含有量が1〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれた少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の散水チューブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、散水チューブに関する。詳しくは、架橋されたポリオレフィン系樹脂から形成され、高度の耐久性能、耐圧性能、耐熱性能、均一散水性能等を有する散水チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農業用分野、土木用分野を中心に散水用、或いは潅水用として、合成樹脂製の散水チューブが利用されている。通常、これらの散水チューブは、散水孔を穿設した二枚の長尺状熱可塑性樹脂フィルムを重ね合わせて、幅方向の両端を長尺方向に融着することによって形成された貼合タイプのもの(例えば、特開昭58−63335号公報)、及び、溶融押出法によって熱可塑性樹脂を円筒状のスリットから溶融押出し、直接チューブ状に成形加工し、得られたチューブに散水孔を穿設した非貼合タイプのもの(例えば、特開平2−258187号公報)が存在する。
【0003】
何れの散水チューブも、供給水に所定水圧をかけて送水することによって、均一な散水特性を達成できるように、精度の高い穿孔処理、具体的にはポンチ打ち抜き法、熱針穿孔法、或いはレーザー穿孔法などの方法により、多数の小孔が高精度に規則正しく配列された形態を有している。
【0004】
このような散水チューブの材質としては、要求される物性が、特に、耐久性、耐圧性、耐熱性、柔軟性、加工性、穿孔処理性、均一散水性、取扱い利便性などのであることを考慮して、主に熱可塑性樹脂が採用されている。熱可塑性樹脂の内でも、高圧法ポリエチレン樹脂、中低圧法エチレン−αオレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が利用されている。
【0005】
しかしながら、最近では散水チューブの利用のされ方として、広範囲の面積をより均一に散水する傾向に有り、そのため散水チューブの敷設長さもそれに合わせて長くなり、併せて、より均一な散水形状と散水幅を達成することが必要とされている。このため、散水チューブの元水圧は、これまで以上に高圧値に設定して対応しなければならなくなっている。この場合、散水チューブの耐久性、耐圧性が限界を超え、長期間に亘る高品質の維持に問題を来すケースが発生している。
【0006】
また、夏季には高温度の外気環境下で長時間、未使用の状態で散水チューブを圃場に放置するケースが多々有る。この場合、潅水チューブの表面温度は60〜80℃と極めて高温に晒され、この様な状態で散水チューブに物理的な応力が過度に加わると、チューブの破裂、変形、散水孔の変形など、散水チューブ本来の機能を損なう不具合が生じる恐れがある。
【0007】
さらに、畑作での圃場の土壌消毒の方法として、従来の臭化メチルなどの農薬による土壌消毒法に替って、環境に優しく、殺菌消毒効果が極めて高いことで市場で注目され普及の兆しのある熱水土壌消毒法において、従来潅水チューブとして実績を有するポリオレフィン系樹脂組成物から構成される散水チューブが、70〜95℃熱水を圃場に均一に散水する散水チューブとして、熱水ボイラー装置との組み合わせで実用化され始めている。ただし、この場合、従来のポリオレフィン系樹脂組成物の散水チューブでは、この様な高温熱水を通した場合、長時間の耐熱性、耐圧性には耐えられず、また、散水孔の変形などによる散水ムラの発生など、品質上の不具合を来している。
【0008】
このような従来の散水チューブの耐久性、耐圧性、耐熱性を改良する方策として、散水チューブ自身の樹脂組成物の見直し、具体的には、高分子量熱可塑性樹脂の採用、高剛性熱可塑性樹脂の採用、或いは高融点熱可塑性樹脂の採用などの方法が一般的には考えられる。しかし、これらの何れの方法でも散水チューブを作製する際の溶融押出加工性の制約、穿孔処理加工性の制約、チューブ自身の柔軟性の低下による散水チューブの取扱い利便性の不具合などの問題を来し、散水チューブの材質として要求される耐久性、耐圧性、耐熱性、柔軟性、加工性、穿孔処理性、均一散水性、取扱い利便性などの諸性能の全ての性能を満足することはできない。
【0009】
上述のように、従来のポリオレフィン系樹脂組成物より構成された散水チューブは、これまで農場用分野や土木用分野を中心に散水用、或いは潅水用として幅広く使用されてきたが、更に高度の耐久性、耐圧性、耐熱性、及び均一散水性が要求される用途には品質上の不具合を呈して、使用上の制限があるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、柔軟性、加工性、穿孔処理性、均一散水性、取扱い利便性などの諸特性は従来の諸性能を保持して、より高度の耐久性、耐圧性、耐熱性等の特性を有する散水チューブを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、架橋されたポリオレフィン系樹脂からなり、その架橋度を示すゲル分率を少なくとも40重量%に限定することにより、上記課題が解決し得ることを見出し、本発明に到った。
【0012】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂から形成され、ポリオレフィン系樹脂の架橋度を示すゲル分率が少なくとも40重量%であることを特徴とする散水チューブである。
【0013】
本発明に係わる散水チューブは、ポリオレフィン系樹脂の架橋度の指標であるゲル分率を少なくとも40重量%に限定したことに特徴がある。かかる構成を採用することにより、常温から100℃近傍の高温度環境下においても柔軟性と耐熱非変形性の相反する特性を保持し、散水チューブとしての取扱い利便性と60〜100℃温度域での優れた耐熱性を発現し、併せて優れた耐久性、耐圧性等を有する散水チューブである。
【0014】
尚、本発明における架橋度の指標であるゲル分率は、後述する実施例に記載した測定方法によって得られた値を意味する。
【0015】
【発明に実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の散水チューブは、先ず、ポリオレフィン系樹脂からチューブを成形し、得られたチューブに穿孔処理を施してチューブの所定位置に穿孔を設ける。次いで、電子線照射等により架橋化処理を施すことにより製造される。或いは、得られたチューブに架橋化処理を施した後に穿孔処理を施してもよい。
【0016】
本発明の散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂のゲル分率は、少なくとも40重量%である。好ましくはゲル分率が少なくとも50重量%である。散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂のゲル分率は、ポリオレフィン系樹脂の架橋度を示す指標である。ゲル分率が低すぎると、ポリオレフィン系樹脂の架橋度が不十分であり、目的とする耐熱非変形性が不十分となり、併せて耐久性、耐圧性の改善効果が小さく、高度の品質が要求される用途には使用できない。
【0017】
本発明の散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂としては、架橋度を示すゲル分率が少なくとも40重量%であれば、特に制限はない。しかしながら、散水チューブの材質物性、特には耐久性、耐圧性、耐熱性、柔軟性、押出加工性、架橋特性、穿孔処理性、均一散水性、取扱い利便性などの諸性能を勘案すると、密度(測定法;JIS K7112に準拠)が0.90〜0.94g/cm、好ましくは0.91〜0.93g/cmであるポリエチレン、密度が0.90〜0.94g/cm、好ましくは0.91〜0.93g/cmであるエチレン−αオレフィン共重合体、酢酸ビニル単位の含有量が1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体等、又はこれら樹脂の混合物等が好ましく挙げられる。
【0018】
ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体の密度は、得られる散水チューブの特性に影響を及ぼす。密度が低すぎると、散水チューブの機械強度が低くなり、優れた耐圧性、耐熱性を有するものが得難くなる。一方、密度が高すぎると、散水チューブの柔軟性が損なわれ、保管時での収納性、散水時での均一散水性、取扱い利便性などに問題を来すことがある。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体については、酢酸ビニル単位の含有量が多すぎると、散水チューブの機械強度が低くなり、優れた耐圧性、耐熱性を有するものが得難くなる。かかる点を考慮するとき、ポリエチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体の密度、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル単位の含有量については、上記範囲のものを用いることが好ましい。
【0019】
上記エチレン−αオレフィン共重合体樹脂において、使用されるαオレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4メチルペンテン−1、オクテン−1などの公知の単量体が挙げられる。また その樹脂の重合方法としては、従来のチーグラー系触媒法による合成法、又は最近のメタロセン系触媒による合成法にて得られるエチレン−αオレフィン共重合体樹脂が挙げられる。
【0020】
また、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(測定法:JIS K7210に準拠、温度;190℃、荷重;2160g)は、成形加工性、得られる散水チューブの外観等に影響を及ぼす。メルトインデックスが低すぎると、押出加工を行う際に、溶融樹脂が高粘度過ぎて押出成形加工性が劣り、得られるフィルム表面の外観不良を引き起こすことがある。一方、高すぎると、低粘度過ぎて安定した成形加工性が得難くなろ。かかる点を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスは0.1〜30g/10分の範囲が好ましい。更に好ましくは0.2〜20g/10分の範囲である。
【0021】
本発明の散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂には、上記の架橋助剤の他、散水チューブの耐久性、耐候性を高める目的で、予め樹脂にカーボン、耐候安定剤、酸化防止剤などを適量添加することができる。また、その他、無機フィラー、滑剤、顔料、染料、帯電防止剤、可塑剤などの各種添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。
【0022】
ポリオレフィン系樹脂にカーボンを添加することにより、例えば、レーザー穿孔法により穿孔する場合、近赤外線領域のエネルギー吸収性を向上させることができ、穿孔速度を大幅に上げることができる。通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、カーボン3〜8重量部を添加することが好ましい。
【0023】
散水チューブを成形する方法としては、円筒状ダイが装着された溶融押出機を用いて、ポリオレフィン系樹脂を混練、溶融して円筒状ダイから押出してチューブ状に成形する方法、Tダイが装着された溶融押出機を用いて、ポリオレフィン系樹脂を混練、溶融してTダイから押出してフィルム状に成形し、得られたフィルムの2枚を重ね合わせて、幅方向(以下、TD方向という)の両端を長尺方向(以下、MD方向という)に融着してチューブ状に形成する方法が挙げられる。通常、成形温度は160〜220℃程度である。
【0024】
円筒状ダイが装着された溶融押出機を用いてチューブ状フィルムを成形する場合は、得られたチューブに対し、後述する方法によって架橋化処理を施してポリオレフィン系樹脂のゲル分率を特定の範囲に制御する。この場合、チューブの側面にMD方向の継ぎ目がない、所謂、シームレスチューブが得られる。
【0025】
また、Tダイが装着された溶融押出機を用いて平板状フィルムを成形する場合は、フィルム2枚を重ね合わせて、TD方向の両端をMD方向に融着してチューブ状に形成する。次いで、得られたチューブに対し、後述する方法によって架橋化処理を施してポリオレフィン系樹脂のゲル分率を特定の範囲に制御する。2枚のフィルムを重ね合わせて融着してチューブ状に形成する方法は、公知の方法が採用される。例えば、熱融着法などが挙げられる。
【0026】
上記方法により製造されたチューブに穿孔を施す方法には特に制限はなく、公知の方法が適用できる。公知の方法としては、レーザー穿孔法、ポンチ打ち抜き法、熱針穿孔法などの方法が挙げられる。例えば、レーザー穿孔法としては、特開平2−258187号公報に記載された方法が挙げられる。具体的には、実質的にYAGで形成された励起体に励起光が集光し、その励起体から近赤外線を放出する構造のレーザー光発生装置を用いて、穿孔しようとするチューブを所定の速度で移送しながらレーザー光を照射することにより穿孔部が形成される。レーザー光の出力、レーザー光の照射時間、レーザー光照射部の数などを適宜選択することにより、チューブに所望の穿孔部を形成することができる。
穿孔は、MD方向に向かって一列に施してもよいし、複数列に施してもよい。又、孔の間隔(ピッチ)は、通常、一定間隔とすることが好ましいが、被散水物の分布などを考慮してランダムであってもよい。
【0027】
本発明の散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂を架橋化する方法には、特に制限はなく、公知の方法が適用される。すなわち、架橋して分子間を結合し、部分的に三次元構造の骨格を呈して所定値以上のゲル分率化を達成する方法であれば、特には方法は問わない。
【0028】
例えば、ポリオレフィン系樹脂に電子線、或いはガンマ線などの放射線を照射することで分子間の架橋を引き起こす方法、有機系過酸化物の存在下で、ポリオレフィン系樹脂を加熱処理することによって化学的に分子間架橋を引き起こす方法、有機系シラン化合物の存在下で、ポリオレフィン系樹脂組の含有水分によって化学的に分子間架橋を引き起こす方法等が挙げれる。散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂を高度に架橋し、その結果として、散水チューブの外観適性を保持して、大幅に耐久性、耐圧性、耐熱性などの品質を改善し得ることを考慮すると、上記方法の内、電子線照射により架橋する方法が好ましい。
【0029】
電子線の照射方法としては、公知の電子線照射装置を用いて行うことができる。散水チューブを構成するポリオレフィン系樹脂の特性、添加剤の種類及びその量、チューブ厚みなどの形状によって、目的とする架橋化(ゲル分率が40重量%以上)のための条件は若干異なるが、通常、電子線の照射線量は50〜800kGyである。好ましくは60〜600kGyである。かかる線量の電子線を照射することによって、目的とする高架橋化された散水チューブを得ることができる。
【0030】
この場合、電子線照射によるポリオレフィン系樹脂の架橋化の効率を高めるために、予めポリオレフィン系樹脂にトリアニルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアヌレート、トリスハイドロオキシエチルイソシアヌリックアクリレートなどの架橋助剤と称される化合物を添加してもよい。架橋助剤の量添加は、ポリオレフィン系樹脂0.1〜10重量%程度が好ましい。架橋助剤を添加することにより、上記照射線量の範囲内の比較的低線量における照射で高度に架橋を施すことができる。
【0031】
上記方法により製造される本発明の散水チューブは、内径が2〜8cm、肉厚が0.2〜1.5mm程度である。通常、偏平状に押しつぶしてリール等に巻いた状態で保管、搬送される。このときの折幅は3〜12cm程度である。通常、散水孔の孔径は0.2〜1.5mm程度であり、散水孔の間隔は1〜30cm程度、散水孔の列数は1〜15列程度である。本発明の散水チューブを用いて散水する際は、0.05〜0.5MPa程度の水圧で送水することにより散水することができる。散水する場所としては、畑などの農業用地、土木工事場、運動場、芝生などが挙げられる。
【0032】
【実施例】
本発明について、以下の具体的な実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。尚、実施例に示した各特性値は下記方法により測定した値である。
【0033】
(1)ゲル分率(重量%)
還流冷却器付の容器に試料1.5g及びp−キシレン(沸点:138℃)100gを加えて加熱し、沸騰下で24時間可溶分を抽出する。p−キシレン未溶解物を単離し、局所排気環境下で室温において1時間放置した後、加熱減圧(80℃、10Pa)下で2時間乾燥して、含浸溶剤を完全に除去した後、p−キシレン未溶解物の重量を計測する。下記数式(1)によりゲル分率(重量%)を算出する。
G=(B/A)×100 ・・・(1)
ここで、G:ゲル分率(重量%)、A:試料重量(g)、B:p−キシレン未溶解物重量(g)。
【0034】
(2)弾性率(MPa)
動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、形式:RSA−II)を用いて、各試料フィルム(厚み:0.6mm)の貯蔵弾性率(E’)を下記条件において連続的に測定し、23℃及び95℃における弾性率を計測する。<測定条件>測定モード:引張(フィルムのTD方向)、昇温速度:3℃/分、測定温度:−30〜120℃、周波数:1Hz。
【0035】
(3)耐熱クリープ性(%)
各試料フィルム(厚み:0.6mm)をJIS2号の引張測定用ダンベルで打ち抜き試料片を作成する。試料片のMD方向に約40mmの間隔で2本の標線を施す。各試料片に500g荷重の錘を吊り下げ(荷重の付加方向:MD方向)、95℃のオーブン中に3時間放置する。次いで、試料片を取り出して、下記数式(2)に基づいて標線間の伸度を算出し、耐熱クリープ性とする。
E=[(L−L)/L]×100 ・・・(2)
ここで、E:伸度(%)、L:初期標線間距離(mm)、L:加熱荷重処理後の標線間距離(mm)
(4)耐圧試験(MPa)
各実施例、又は各比較例で得られた穿孔のないチューブ(チューブ肉厚み:0.6mm、チューブ長さ:500mm)の一端部をヒートシールして密閉し、チューブ内に水を充填した後、端部を圧力計付きのプランジャー式水注入ポンプに接続する。この装置一式を60℃の温水槽に浸漬して、60℃の温水をポンプにてチューブ内に350ml/分の給水速度で送り込み、徐々にチューブ内を加圧化する。チューブが水内圧に耐え切れずに破壊する時のチューブ内圧を計測して、破壊圧力とする。
【0036】
(5)95℃熱水散水試験
各実施例、又は各比較例で得られた散水チューブ(チューブ肉厚み:0.6mm、チューブ長さ:30m、散水用孔径:0.4mm、孔ピッチ:40mm、孔列数:12列)の一端部を専用の止め具を用いて密閉し、試料とする。試料の他端を送水ポンプに接続して、送水元圧:0.15MPa、送水速度:約1リットル/分・mにて95℃の温水を連続して6時間/日、7日間の熱水散水試験を実施する。散水状況及び散水後の散水孔の形状を観察し、以下の基準により評価する。<良好>:全散水時間に亘って全ての散水孔から均一に散水が行われ、且つ、全散水孔が熱により変形していない。<不良>:時間の経過と共に各散水孔ごとに散水ムラが認められる。又は、熱により変形した散水孔が認められる。
【0037】
実施例1
密度が0.92g/cm、メルトインデックスが2g/10分のエチレン−(4メチルペンテン−1)共重合体樹脂(A)95重量部、カーボンブラック5重量部の組成よりなるポリオレフィン系樹脂組成物を、空冷インフレーションフィルム成形装置(溶融押出温度:190℃)を用いて押出成形を行い、フィルム厚さが0.6mm、フィルム折り径が60mm(管直径:38mm)のチューブ状のフィルムを作成した。得られたフィルムを、電子線照射装置を用いて、電圧2MVの条件下で、電子線照射線量が100kGyとなるように電子線照射を行い、架橋されたフィルムを作成した。得られたチューブ状フィルムから試料を採取して、上記方法により、ゲル分率、弾性率、耐熱クリープ性能、耐圧試験などの測定を実施した。
【0038】
別途、上記の空冷インフレーションフィルム成形法にてチューブ状フィルムを製造する過程において、レーザー穿孔装置を用いて、得られたチューブ状フィルムに孔径が0.4mm、孔ピッチが40mm、孔列数が12列の連続した穿孔を施して、有孔のチューブを製造した。得られた有孔チューブに対し、上記と同条件にして電子線を照射し、架橋された散水チューブを得た。得られた散水チューブについて、上記方法により95℃熱水散水試験を実施した。主な樹脂組成物組成、及び得られた結果を表1に示す。
【0039】
実施例2
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂として、メルトインデックスが1g/10分、酢酸ビニル単位の含有量が10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(C)95重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を実施例1と同様にして測定した。主な樹脂組成物組成、及び得られた結果を表1に示す。
【0040】
実施例3
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂として、密度が0.92g/cm、メルトインデックスが2g/10分のエチレン−(4メチルペンテン−1)共重合体樹脂(A)45重量部、及び、メルトインデックスが1g/10分、酢酸ビニル単位の含有量が10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(C)50重量部の混合樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を実施例1と同様にして測定した。主な樹脂組成物組成、及び得られた結果を表1に示す。
【0041】
実施例4
実施例3において、電子線照射線量を500kGyに変更した以外は、実施例3と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を実施例3と同様にして測定した。主な組成及び得られた結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
実施例3において、電子線照射線量を30kGyに変更した以外は、実施例3と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を実施例3と同様にして測定した。主な組成及び得られた結果を表2に示す。
【0043】
比較例2
実施例3において、電子線照射を行わなかった以外は、実施例3と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を実施例3と同様にして測定した。主な組成及び得られた結果を表2に示す。
【0044】
比較例3
比較例1において、ポリオレフィン系樹脂として、密度が0.88g/cm、メルトインデックスが2g/10分のエチレン−(ブテン−1)共重合体樹脂(B)95重量部を用いた以外は、比較例1と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を比較例1と同様にして測定した。主な組成及び得られた結果を表2に示す。
【0045】
比較例4
比較例1において、ポリオレフィン系樹脂として、メルトインデックスが2g/10分、酢酸ビニル単位の含有量が25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(D)95重量部を用いた以外は、比較例1と同様にして散水チューブを作成した。各種特性値を比較例1と同様にして測定した。主な組成及び得られた結果を表2に示す。
【0046】
比較例5
比較例1において、ポリオレフィン系樹脂として、密度が0.96g/cm、メルトインデックスが1g/10分の低圧法高密度ポリエチレン樹脂(E)95重量部を用いた以外は、比較例1と同様にして散水チューブの作成を試みた。しかし、作成したチューブの剛性及び弾性が高過ぎて、次の穿孔工程において精度の高い均一な孔を有する散水チューブを作成することができず、またチューブを長尺状態で畳み巻き保管をすることができず、散水チューブとしての基本的な品質を有するものが得られなかった。
【0047】
【表1】


【0048】
【表2】


【0049】
注1:使用樹脂の説明
(1)エチレン−αオレフィン共重合体(A):αオレフィン;4メチルペンテン−1、密度;0.92g/cm、メルトインデックス;2g/10分
(2)エチレン−αオレフィン共重合体(B):αオレフィン;ブテン−1、密度;0.88g/cm、メルトインデックス;2g/10分
(3)エチレン−酢酸ビニル共重合体(C):メルトインデックス;1g/10分、酢酸ビニル単位の含有量;10重量%
(4)エチレン−酢酸ビニル共重合体(D):メルトインデックス;2g/10分、酢酸ビニル含有量;25重量%
(5)低圧法高密度ポリエチレン(E):密度;0.96g/cm、メルトインデックス;1g/10分
【0050】
【発明の効果】
本発明の散水チューブは、常温から100℃近傍の高温度環境下においても柔軟性と耐熱非変形性の相反する特性を保持し、散水チューブとしての取扱い利便性と60〜100℃温度域での優れた耐熱性を有し、併せて優れた耐久性、耐圧性等を有する散水チューブである。従がって、農業用地、土木工事場、運動場、芝生などにおける散水用資材として極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】599051465
【氏名又は名称】三井化学プラテック株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区大久保2丁目3番4号
【出願日】 平成14年10月1日(2002.10.1)
【代理人】 【識別番号】100076613
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 新一

【公開番号】 特開2004−121056(P2004−121056A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−288193(P2002−288193)