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【発明の名称】 樹林地の保全方法
【発明者】 【氏名】寺井 学
【住所又は居所】東京都港区港南2丁目15番2号 株式会社大林組東京本社内

【要約】 【課題】表土のみを撒き出した場合のように降雨により流出したり崩壊したりすることなく、帰化雑草の繁茂抑制と、片側傾斜地樹林に対する風の吹き込み抑制とを図るようにした樹林地の抑制方法を提供する。

【解決手段】山間地の片側斜面の樹木を伐採除去して切土を行った後、山頂部において、他方側斜面の樹林地を保全する方法において、前記伐採材をチップ化したウッドチップを前記他方側斜面との境界部に堆積するとともに、堆積されたウッドチップ上で前記伐採材の枝葉により垣根を造り、該垣根を造成地と樹林地の造緩衝帯とすることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
山間地の片側斜面の樹木を伐採除去して切土を行った後、山頂部において、他方側斜面の樹林地の保全する方法において、
前記伐採材をチップ化したウッドチップを前記他方側斜面との境界部に堆積するとともに、堆積されたウッドチップ上で前記伐採材の枝葉により垣根を造り、該垣根を造成地と樹林地の造緩衝帯とすることを特徴とする樹林地の保全方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、樹林地の保全方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフ場、ニュータウンの開発、および高速道路などの建設に際しては、緑地や樹林地が対象地域となることが多い。緑地や樹林地を伐採除去した後に、その土地の造成工事が行われることになる。この際に、伐採地域と未伐採地域との境界部には、緑化帯を造成して未伐採地域の樹木の保護と造成地の保全を図っている。
【0003】
まず、山間地におけるひな壇造成工事例について説明する。山の一方の斜面にひな壇を切土により造成するに際し、まず造成位置の斜面に生えている樹木を全て伐採除去し、次いでひな壇を造成する。この際に、片側傾斜面の樹林地域との間に山の頂部を境界部とし、この境界部に植生土嚢、植生マット、種子吹き付けなどによって植生を施すことで、緑化帯を造成し、他方側斜面に生えている樹木の保護と造成地の保全を図るようにしている。
【0004】
ところで、以上の方法では、次のような問題点が指摘されていた。まず、緑化を図って撒かれる種子の多くには外来種が採用され、その地域の生態系や風土に調和しないほか、切土により表土が削り取られてしまい、植生場所は貧栄養状態となるため、成木になるまでに時間がかかるという欠点があった。また、前述のごとく山間部などの傾斜地を開発した場合には、これにより地形、生態系が変化し、緑化帯が十分に成長しない段階で台風など強風が襲来した場合、残された片側斜面の樹林では強風抑制効果が小さいため、倒木が生じて大きな損害となる可能性が高い。
【0005】
そのため、現地自生種による早期緑化と、片側傾斜地樹林に対する風の吹き込み抑制を図るための技術が、例えば特開2002−54145号公報において開示されている。図2に当該公報に開示された技術の実施例を示す。すなわち、まず(a)に示す自然状態から、(b)に示すように、山1の片側傾斜地における樹木3を伐採する。次いで、伐採跡地に切土によりひな壇2が造成される。この場合には(c)に示すように、重機10による造成作業が行われる。この造成作業に先立ち、表土12をこそぎ取り、この表土12を山頂部における他方側斜面の樹林帯との境界部4に撒き出し、(c)に示すように、境界部4上に堆積する。造成完了後は、所定寸法に揃えられた伐採材の枝葉を境界部4に運搬し、これらを用いて堆積表土12上に(d)に示すように垣根14を造成する。この垣根14は自然還元型素材を防腐処理を行わずに用い、これによって防風型緩衝帯の役目を果たす。工事完了後は、堆積された表土12中に含まれた現地植生の種子と、垣根14を構成する枝葉の腐葉土化により、緑化帯が自然造成される。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−54145号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記先行技術によっても、以下の問題が残ることが指摘されている。まず、上記のようにして境界部4に撒き出された表土12は、降雨により流出したり崩壊したりしやすく、緑化帯の自然造成が十分になされない場合がある。また、一般的にこのような造緩衝帯が十分に機能しないと、セイタカアワダチソウ、ヒメムカシヨモギなど在来の帰化雑草の繁茂が境界部4から切土の法面にまで拡がることがあるが、帰化雑草は根が浅く草丈が大きいため、切土の法面に吹き付けた基材と共に崩壊しやすい。さらに、重機10による造成作業は山の頂部から麓に向かって進めるため、こそぎ取った表土は、その一部を残す手間を省き一括して処分したいとの要請もあった。
【0008】
本発明は、以上の課題を解決するものであって、その目的は、表土のみを撒き出した場合のように降雨により流出したり崩壊したりすることなく、帰化雑草の繁茂抑制と、片側傾斜地樹林に対する風の吹き込み抑制を図るようにした樹林地の抑制方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明方法は、山間地の片側斜面の樹木を伐採除去して切土を行った後、山頂部において、他方側斜面の樹林地の保全する方法において、前記伐採材をチップ化したウッドチップを前記他方側斜面との境界部に堆積するとともに、堆積されたウッドチップ上で前記伐採材の枝葉により垣根を造り、該垣根を造成地と樹林地の造緩衝帯とすることを特徴とする。
【0010】
以上の方法によれば、造成された垣根によって境界部を遮蔽することができるので、当面の間は片側斜面の樹木に対する防風対策を取ることができる。また、経時変化により垣根14およびウッドチップが腐植により腐葉土化するため、在来の生態系に与える影響は少ない。
【0011】
さらに、ウッドチップにより境界部の地表の保水力が高まり、表土のみを撒き出した場合のように流出したり崩壊したりすることなく帰化雑草の繁茂を抑制できるうえに、伐採材からの廃棄物の発生量を削減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明方法を示している。なお、図1において、図2に示す従来例と同一箇所には同一符号を付して説明する。まず、(a)に示す自然状態から、(b)に示すように、山1の片側傾斜地における樹木3を伐採する。伐採された樹木は、順次適宜な集積場所に集積され、ここで打ち枝、あるいは製材などにより適当な寸法に切り揃えられる。この際には、38mm目、65mm目、100mm目などの任意のウッドチップも生成される。
【0013】
次いで、伐採跡地に切土によりひな壇2が造成される。この場合には、(c)に示すように、重機10による造成作業が行われる。
【0014】
この切土作業は、通常の作業形態で行われるが、本発明では、以上に加え造成作業に先立ち、表土12をこそぎ取り、伐採材をチップ化したウッドチップ13を山頂部における他方斜面の樹林帯との境界部4に撒きだし、(c)に示すように境界部4上に堆積する(いわゆるウッドチップマルチング)。
【0015】
なお、山頂の面積が十分に取れない場合には、山頂部を平坦に切土したうえで撒きだしても良い、
造成完了後は、伐採されて所定寸法に揃えられた上記の枝葉を境界部4に運搬し、これらを用いてウッドチップ13上に(d)に示すように、垣根14を造成する。
【0016】
この垣根14は、例えば、いわゆる掘っ立て方式により作られるもので、特に防腐処理は行われず、垣根間を結束する材料も蔦、シュロ縄などの自然還元型素材が用いられ、これによって防風型緩衝帯が造成される。
【0017】
工事完了後、当面の間は、前記垣根14は他方側斜面にはえている樹木3に対する防風垣根として機能する。
【0018】
垣根14を構成する枝葉は順次腐蝕し崩壊するが、同様に腐植したウッドチップ13とともに腐葉土化して栄養源になり、現地自生種の植生回復を促進することで、造成が現地の生態系に与える影響は少なくなる。
【0019】
なお、ウッドチップは、表土のみの場合と比較すると降雨による流出や崩壊は少ない。また、ウッドチップマルチングによれば、帰化雑草の繁茂を抑制でき、自生種により植生が回復することが試験により確認された。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による樹林地の保全方法にあっては、環境変化が少なく、現地自生種の植生回復も早期に行われる。また、自生種の植生が十分に回復するまでの間は、ウッドチップは表土のみを撒き出した場合に比べて降雨により流出したり崩壊したりしにくく、伐採樹木を利用した垣根により片側斜面の樹木に対する防風機能を確保できるため、強風などによる倒木のおそれがなく、十分な保全を行うことができるうえ、腐植による自然崩壊によって境界部の富栄養化を図ることができる。さらに、ウッドチップマルチングにより帰化雑草の繁茂を抑制するために自生種の植生回復を促進するだけでなく、法面の保全を図れ、また、伐採材のリサイクルや伐採材からの廃棄物の発生量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る造成方法を示す説明図である。
【図2】先行技術による造成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 山
2 ひな壇
3 樹木
4 境界部
12 表土
13 ウッドチップ
14 垣根
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜東4番33号
【出願日】 平成14年9月30日(2002.9.30)
【代理人】 【識別番号】100071283
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔

【識別番号】100084906
【弁理士】
【氏名又は名称】原島 典孝

【識別番号】100098523
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 恵

【公開番号】 特開2004−121034(P2004−121034A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−286827(P2002−286827)