トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 透明鉢側面をシート遮光した植木鉢
【発明者】 【氏名】大越 見寿

【要約】 【課題】簡単な構造で且つ鉢内の植物の根を特に傷めることなく土床の給水状況や根回り状況を自由に観察でき、水遣りが容易で且つ水漏れが無く鉢受皿の要らない便利な植木鉢。

【解決手段】透視性の鉢側壁(1b)に覗窓を設けた遮光性のシート(2)を装着する。鉢縁(1a)に開口する排水口(3a)の付いた排水管壁(3)を鉢側壁(1b)の一部と鉢底部(1c)の一部に沿えて空洞を形成し、土収納部に収容する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透視性の鉢側壁(1b)に覗窓を設けた遮光性のシート(2)を装着した植木鉢。
【請求項2】
透視性の鉢側壁(1b)内周面に覗窓を設けた遮光性のシート(2)を挿着した植木鉢。
【請求項3】
透視性の鉢側壁(1b)外面に覗窓を設けた遮光性のシート(2)を接着した植木鉢。
【請求項4】
土収納部の鉢側壁(1b)と鉢底部(1c)底面に沿わせて底面角部で曲げられた半割り筒状の壁断面が凹状で上端に排水口(3a)を設けて鉢側壁(1b)上部の鉢開口部に開口し壁には複数個の壁孔(3c)を有する排水管壁(3)であって、排水管壁(3)の壁部(3b)と底部(3d)で鉢側壁(1b)の一部と鉢底部(1c)の一部を覆って鉢開口部に排水口(3a)を開口し鉢側壁(1b)と鉢底部(1c)底面に沿った一連の竪横空洞を形成するように排水管壁(3)を土収納部の一部に収容することを特徴とする請求項1記載の植木鉢。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植木鉢に関し、詳しくは土床内の植物根の生育環境を阻害することなく土床の給水および根回り状況を外部から容易に観測することができる植木鉢に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
古今東西広く日常的に用いられている植木鉢は、植物が暗い土中に根を張って発育することから光を透さない不透明なセラミック製のものやプラスチック製のものが主流となっている。しかし植木鉢での植物栽培は、特に土床の給水・含水状況や植物根の発育・根詰り状況の把握が重要であることから鉢内が観測できるように工夫されたものがあるが複雑な構造になっていた(特開平5−292839、特開平9−47156)。また、土収納部の下部または側部に排水用の孔を有する植木鉢が一般的であり、水遣り時の土床通過の排水に対し鉢受皿を使用する必要があった。また排水用の孔を有しない不透明な植木鉢については慎重に注意して過不足なく水遣りする必要があり且つ過剰給水になってしまった場合には特に大きい鉢や吊り鉢では鉢を傾けて排水する等面倒な作業を伴った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来は上述したように、面倒な水遣りとなるか鉢が複雑な構造となるかであった。本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で且つ鉢内の植物の根を特に傷めることなく土床の給水状況や根回り状況を自由に観察でき、水遣りが容易で且つ水漏れが無く鉢受皿の要らない便利な植木鉢を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明の第1の態様は、透視性の鉢側壁(1b)に覗窓を設けた遮光性のシート(2)を装着した植木鉢である。
即ち、植木鉢を透明あるいは半透明材料の透視性で剛性の構造体から成る鉢(1)と鉢側壁(1b)面に光を透さない遮光性のシート(2)或いは筒でもよいを内側から被覆するように挿着するかまたは外側から被覆するように接着する構造で、遮光性のシート(2)は、光を透さない可撓性のシートで構成し数個の覗窓を設けたものである。
以上の構成で、鉢内の土収納部を遮光するとともに土床の一部を覗窓から透視して観測できる。また、外から見える外面を模様入りにすると鉢側壁(1b)をシート(2)の模様で装飾することもできる。
【0005】
発明の第2の態様は、透視性の鉢側壁(1b)に覗窓を設けた遮光性のシート(2)を装着した鉢(1)の土収納部に排水管壁(3)を収容した植木鉢で、水漏れの起こらない構造の植木鉢である。鉢(1)は第1の態様に同じなので説明を省略し、新たに加わった排水管壁(3)による構成の変化と作用を下記に説明する。
排水管壁(3)は鉢側壁(1b)と鉢底部(1c)底面に沿わせて底面角で曲げられた半割り筒状の壁断面が凹状で上端に排水口(3a)を設けて鉢側壁(1b)上部の鉢開口部に開口し壁には複数個の壁孔(3c)を有する管状壁であって、排水口(3a)、壁部(3b)および底部(3d)からなる取外し自在の構造体で鉢(1)の土収納部に収容して用いる。排水口(3a)を鉢縁(1a)側部に開口させて、底部(3d)および壁部(3b)で鉢底部(1c)上面の一部および鉢側壁(1b)内周面の一部を覆って排水用空洞を形成するように土収納部の一部に収容すると、鉢底部(1c)の一部から鉢側壁(1b)の一部を通って鉢開口部に開口する排水管とも言える排水用空洞が形成される。そして土床(6)の排水は壁部(3b)に設けた複数個の壁孔(3c)を通して排水管壁(3)内に集まって排水水位(3e)を昇降させるため、市販のハンドポンプやスポイト吸水器等を使用して排水口(3a)から排出することができる。また必要に応じて水差し等で排水口(3a)から給水することもできる。排水水位(3e)はシート(2)上の排水水位(3e)の位置に排水水位覗窓(2e)を設けてあり、鉢(1)が透視性であるため鉢(1)外から見える構造となっている。
以上の構成で、土床(6)への水遣りを幾つかの覗窓を透視して給水状況と排水水位(3e)を観測しながら鉢開口部からの土床給水および排水口(3a)からの土床排水と土床給水ができる。そして従来の鉢底部(1c)または鉢側部(1b)に設けられていた排水孔を無くして水漏れしない鉢受皿不要の鉢構造とすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
実施例1は第1の態様の一例で図1〜3に示した。
図1は本発明の代表形である水平断面が円形の植木鉢実施例で鉢側壁(1b)内周面にシート(2)を挿着した一例の左半分を断面図で示した正面図である。図1の左断面図で説明すると、鉢(1)の鉢側壁(1b)内周面にシート(2)を挿着しそのシート(2)を押え輪具(4)で内側から上下2箇所で押えた例である。鉢(1)は鉢縁(1a)と鉢側壁(1b)と鉢底部(1c)とから成る透明あるいは半透明材料の透視性で剛性の構造体で、プラスチック製が一般的であるが当然ガラス製でもよい。シート(2)は光を透さない遮光性で可撓性の薄膜シートで下端部(2a)と下端覗窓(2b)とを切り抜いて設けた例であるが、覗窓(2a、2b)は透かしシートとしてもよい。また、鉢側壁(1b)内周面はシート(2)を挿着する代わりに遮光体を接着または塗布してもよい。そして鉢側壁(1b)およびシート(2)の形状は上広鉢型の垂直断面が直線形で水平断面が円形の一般的な植木鉢形状の例である。シート(2)の詳細は図3の鉢外から見た展開図に示すように、下辺が短い扇状の加工し易い形のシートで、下辺は円弧の下端部(2a)と半円形状に切り抜いた下端覗窓(2b)とから成っていて、下端覗窓(2b)の上方位置に円形状の切り抜き窓の土床覗窓(2c)を設け、中央部に装飾用の模様(2d)が施してある。そしてシート(2)はその下端部(2a)を鉢(1)の鉢底部(1c)底面角に立てて鉢側壁(1b)内周面に内接させて挿着するようにしてある。尚、シート(2)は図1で見て分るが鉢縁(1a)内周部には挿着されていないが、代わりに透かしシートを装着してもよい。
【0007】
シート(2)の材料は、プラスチック、紙、繊維、金属箔等であれば当然使うことができるが、遮光性があって水をはじく物質のものが給水時水に濡れ難く好ましい。シート(2)は表面を撥水性物質でコーティング処理してもよい。シート(2)として透明なプラスチックやビニール等の繊維シートを使う場合は遮光物質を混入したものでも塗布したものでもよい。シート(2)は予め筒状に貼り合せてもよく、当然ながら元から筒であってもよい。シート(2)は横長さを鉢側壁(1b)内周長さよりやや短く設定して挿着時に縦方向の隙間を作って覗窓としてもよい。シート(2)は何枚かの組みであればお気に入りのものを1枚選んでセットしたり植え替え時に差し替えたりしてもよい。また、シート(2)表面に注意書き等を記録し植替え前の植木開花時の写真を入れて鉢植えの成長状況を観測しながら比較するのも面白い。
【0008】
押え輪具(4)は遮光性のシート(2)の上部および下部の2箇所を鉢側壁(1b)に水平に内周側から押えて固定するためのリングである。押え輪具(4)は遮光性のシート(2)をセロハン接着テープで鉢側壁(1b)に貼り付けるか、手で鉢側壁(1b)に押しつけながら土床(6)を注意して入れていけば必ずしも必要ではなく省略可能な部材である。
本発明の鉢側壁(1b)は一般のプラスチック製植木鉢と同様に通気性が無いが、中に入れる土床(6)の通気性を土質や粒度の違う何種類かの土を選択し混合割合を変えることで植木鉢と土床を合せた全体としての通気性を調整することが可能であり特に問題は無い。
そして鉢(1)構造体に遮光性のシート(2)をセットした後は、従来の植木鉢同様に土床(6)を作りながら植物(7)を植えればよい。先ず必要に応じて底孔(1c1)を防虫網で覆い、次いで鉢底部(1c)にゴロ土(5)を敷きその上に土盛りして土床(6)を作り植物(7)を植える。
【0009】
給水管理は鉢内土床表面と鉢側壁(1b)の土床覗窓(2c)および下端覗窓(2b)の土床側面の湿りや乾き状態を見ながら水遣りする。土床覗窓(2c)の土床が乾き切らないように水遣りする。鉢内土床表面が乾いたら透明な鉢縁(1a)で給水水面を、土床覗窓(2c)および下端覗窓(2b)で土床給水の浸透状態を確認しながらたっぷりと水遣りするのが良い。乾燥を好む植物(7)の場合は土床覗窓(2c)および下端覗窓(2b)の土床(6)およびゴロ土(5)を乾き気味に、湿り気を好む植物(7)の場合は土床覗窓(2c)および下端覗窓(2b)の土床(6)およびゴロ土(5)を湿り気味に管理すればよい。末梢なことであるが、鉢縁(1a)内周部は給水時に給水水面が植木鉢の水平横方向からでも透いて見えるように遮光性のシート(2)無しにしてあるが、植物(7)にとっては特に問題はない。
【0010】
根回り管理は土床覗窓(2c)および下端覗窓(2b)の土床(6)およびゴロ土(5)の観測で行う。根回り状況を土床覗窓(2c)の土床(6)で判断し、根が下端覗窓(2b)のゴロ土(5)にまで伸びてきたら鉢植えの植替え必要時期と判断する。因みに、下端覗窓(2b)を多く設けると植物根がゴロ土(5)にむやみに徒長し難くなる。
【0011】
植木鉢の鉢側壁(1b)に挿着されるシート(2)の成形について補足するが、シート(2)の形状が平面展開できない複雑で特殊形状の場合はプレスや型流し込みで成形するとよい。
【0012】
以上は実施例1で第1の態様の一例を、即ち水平断面が円形の植木鉢で鉢側壁(1b)内周面にシート(2)を挿着した例を図1〜3で示してきたが、その他の例、即ち水平断面が矩形のプランター型の植木鉢でも、また鉢側壁(1b)外周面にシート(2)を接着した構成でも同様の効果が得られることは図示例を置き換えて見ると明白である。
【0013】
【実施例2】実施例2は第2の態様の一例で図4〜6に示した。水平断面が矩形の一般的なプランター型の植木鉢で、鉢側壁(1b)外周面にシート(2)を接着し鉢(1)の土収納部に排水管壁(3)を収容した植木鉢の代表的な一例で、鉢(1)の鉢縁(1a)、鉢側部(1b)および鉢底部(1c)に排水孔が無く水漏れしない構造となっている。
実施例2は第1の態様の構成に排水管壁(3)を加えた構成であるため、第1の態様相当部分の重複説明は省き(実施例1参照)、以下、新たに加えられた構成変化とその効果を中心に説明する。
図4は左半分を断面図で示した正面図である。鉢(1)は第1の態様に同じで、シート(2)は鉢(1)の鉢側壁(1b)の内周面でなく外周面に接着してある。鉢側壁(1b)およびシート(2)の形状は垂直断面が上広台形で水平断面が矩形で、シート(2)は下端部(2a)を鉢(1)の鉢底部(1c)位置に合せ、鉢側壁(1b)外周面に接着剤で接着した例である。接着する代わりに装着固定してもよい。
【0014】
図6はシート(2)を鉢外周側から見た展開図で、上辺が長く下辺が短い台形が4枚連続した加工し易い形のシートである。下辺は直線の下端部(2a)と半円形状に切り抜いた下端覗窓(2b)とから成っていて、下端覗窓(2b)の上方位置に円形状の切り抜き窓の土床覗窓(2c)を設け、中央部の外面に装飾用の模様(2d)が施してある。尚、シート(2)は図4に鉢縁(1a)外周部には接着していない例として示してあるが、この部分を透明シートにしてもよい。
【0015】
排水管壁(3)は図4、5に示したが、排水口(3a)を鉢側壁(1b)の左短辺の中央部に合せ底部(3d)を鉢底部(1c)上面の左右中央線上に装着し収容した例である。排水管壁(3)は排水口(3a)、壁部(3b)および底部(3d)からなる取外し自在の不透明な構造体で、排水口(3a)を底部(3d)および複数個の壁孔(3c)を有する壁部(3b)で鉢底部(1c)上面の一部および鉢側壁(1b)内周面の一部を覆って排水用のL字形の竪横洞を作るように鉢底部(1c)上面および鉢側壁(1b)の内面に装着して、即ち土収納部の一部に収容して使用するようにしてある。そして従来の植木鉢同様に土床(6)を作りながら植物(7)を植えればよい。先ず必要に応じて鉢底部(1c)にゴロ土(5)を敷きその上に土盛りして土床(6)をつくり植物(7)を植える。土床給水は一般的には鉢開口部から土床上面に潅水で給水する。給水された水は土床の中に次第に浸透し遂には充分に含水されて壁孔(3c)を通って排水管壁(3)内の竪横洞に排水され溜まり排水水位(3e)を上昇させて行く。排水管壁(3)内の排水水位(3e)は鉢(1)構造体が透明のため、外面の排水水位覗窓(2e)を透視して外から見える、言わば土床給水の余剰を表す排水水位計になっている。
【0016】
給水管理は実施例1と同じ方法で確認しながら、さらに排水管壁(3)で排水水位(3e)を確認しながら、たっぷりと水遣りするのが良い。湿潤を好まない植物栽培の場合は排水管壁(3)内の排水水位(3e)が平衡状態になっても高水位にある時は水の遣り過ぎに当たるため、その排水を図示していないが市販のハンドポンプや吸水器で適度な水位まで鉢外に排出するのがよい。また、植物の枝葉等が邪魔となって土床上面への給水が難い場合や緊急時等には排水口(3a)に給水して排水管壁(3)から土床へ水遣りすることもでき便利である。特に大きな植木鉢の水遣りや余剰水の排出管理は、鉢を動かすことなく覗窓と排水水位(3e)を見て土床給水状態を確認しながらできるので簡単、確実なものとなった。
【0017】
図7,8は排水管壁(3)の他の実施例で、水平断面が円形の植木鉢の例を示した。排水管壁(3)の底部(3d)を鉢底部(1c)上面の角部全周に回した例である。
【0018】
実施例1および実施例2で代表例を示し説明してきたが工夫次第で色々な形状の植木鉢の鉢(1)でも覗窓付きシート(2)の装着と排水管壁(3)の収容が充分可能である。従って、本発明は鉢内の土収納部の遮光、土床の透視観測、鉢側壁(1b)の装飾、排水管壁(3)による給排水および根回り状況観測ができる、水遣りが容易で且つ水漏れが無く鉢受皿の要らない構造簡単で便利な植木鉢である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は簡単な構造で且つ土床内の植物の根を特に傷めることなく土床の給水状況や根回り状況を自由に観察でき、水遣りが容易で水漏れが無く鉢受皿が要らない装飾も容易な便利で経済的な植木鉢である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1態様の実施例で、代表的な円形鉢の正面図で、左半分を断面図で示した図
【図2】図1の平面図
【図3】シート(2)を外側から見た展開図
【図4】本発明の第2態様の実施例で、代表的なプランター型植木鉢の正面図で、左半分を断面図で示した図
【図5】図4の平面図
【図6】シート(2)を鉢側壁(1b)の外側から見た展開図
【図7】排水管壁(3)の他の例で、水平断面が円形の植木鉢の例を示した平面図(縮尺1/2)
【図8】図7の正面図
【符号の説明】
   鉢
1a  鉢縁
1b  鉢側壁
1c  鉢底部
1c1 底孔
1c2 底裏溝
   シート
2a  下端部
2b  下端覗窓
2c  土床覗窓
2d  模様
2e  排水水位覗窓
   排水管壁
3a  排水口
3b  壁部
3c  壁孔
3d  底部
3e  排水水位
4   押え輪具
5   ゴロ土
6   土床
7   植物
【出願人】 【識別番号】398048187
【氏名又は名称】大越 見寿
【出願日】 平成14年7月23日(2002.7.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−81089(P2004−81089A)
【公開日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願番号】 特願2002−245962(P2002−245962)