| 【発明の名称】 |
植物生育用基材 |
| 【発明者】 |
【氏名】神前 健 【住所又は居所】茨城県つくば市大久保13 日清製粉株式会社つくば研究所内
【氏名】椎葉 究 【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町1丁目25番地 日清製粉株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】多量に発生する植物発生材を短期間に分解させて有用資源化して再利用することのできる方策、及び植物を良好に発芽、生育させることのできる植物発生材に基づく植物生育用基材の提供。
【解決手段】植物発生材に、土壌と共に、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性金属化合物(d)を混合してなる植物生育用基材。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物発生材に、土壌と共に、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性金属化合物(d)を混合してなることを特徴とする植物生育用基材。 【請求項2】 植物発生材100質量部に対して、土壌を25〜200質量部、並びにアラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を、成分(a)〜(d)の合計で1〜60質量部の割合で混合してなる請求項1に記載の植物生育用基材。 【請求項3】 成分(a)〜(d)のそれぞれの混合割合が、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)100質量部に対して、珪酸カルシウム(b)が5〜25質量部、焼却灰(c)が10〜40質量部およびアルカリ性金属化合物(d)が10〜40質量部である請求項1または2に記載の植物生育用基材。 【請求項4】 植物発生材がチップ化されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物生育用基材。 【請求項5】 植物発生材に、土壌と共に、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性金属化合物(d)を混合して植物生育用基材を製造する方法。 【請求項6】 植物発生材100質量部に対して、土壌を25〜200質量部、並びにアラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を、成分(a)〜(d)の合計で1〜60質量部の割合で混合する請求項5に記載の方法。 【請求項7】 成分(a)〜(d)のそれぞれの混合割合が、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)100質量部に対して、珪酸カルシウム(b)が5〜25質量部、焼却灰(c)が10〜40質量部およびアルカリ性金属化合物(d)が10〜40質量部である請求項5または6に記載の方法。 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物生育用基材を用いて植物を生育させる方法。 【請求項9】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物生育用基材に植物の種子を混合して、被緑化場所に施すことを特徴とする緑化方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、山間部でのダム工事や道路工事等に伴い発生する森林伐採木や伐採根、緑地、街路樹、公園、植栽樹木などの剪定枝葉、枯損樹木、建築現場から発生する廃木材などの植物発生材を用いた植物生育用基材、該植物生育用基材の製造方法および該植物生育用基材を用いて緑化を行う方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 ダム工事や道路工事等に伴い発生する森林伐採木や伐採根、緑地、街路樹、公園、植栽樹木などの剪定枝葉、枯損樹木、建築現場から発生する廃木材などの、いわゆる樹木に由来して発生する材料(植物発生材)は、従来、主として焼却、土壌中への埋め立て、堆肥化などによって処分されている。 【0003】 しかしながら、焼却処分は、地球資源の消失につながるばかりでなく、焼却による二酸化炭素の発生が地球環境破壊を助長し、また住宅密集地では多量の煙りが近隣に迷惑を及ぼすという問題がある。 【0004】 一方、埋め立てによる処分方法は、植物発生材が土壌中で分解されて有用資源化し植物の発芽や生育時に再利用されるという点で、また焼却に伴う二酸化炭素の発生がないという点で、焼却処分に比べて優れているが、植物発生材はセルロースやリグニンなどの難分解性成分を多量に含み、長期にわたって分解しないまま土壌中に残ることが多く、未分解の植物発生材は、白紋羽病、紫紋羽病、ならたけ病、べっこうたけ病などの種々の病気を引き起こして土壌伝染病菌の温床となったり、ヒメコガネ幼虫などのような根切り虫の温床となり易い。また、植物発生材の分解生成物のなかには植物に対して発育障害や生育障害を引き起こすものがあり、これらの点から、植物発生材を埋め立てた土壌では、植物の発芽や生育に障害が生じ、障害が大きいと低潅木や若木の衰退や枯死などが発生して、植物が健全に生育しにくいという問題がある。 【0005】 また、植物発生材を埋め立てずに、地上に放置または堆積して堆肥化したり、或いは発酵施設を用いて堆肥化する方法は、植物発生材が前記のように難分解性成分を多量に含んでいることから、堆肥化に時間がかかり、しかも多量の植物発生材を置いたり収納するスペースが必要である。そして、発酵施設を用いる場合は更にコストがかかるなどの問題がある。 かかる点から、多量に発生する植物発生材を従来よりも速やかに且つ簡便に処理でき、また植物発生材を資源として有効に再利用する方法が求められてきた。 【0006】 また、崖、傾斜地等の法面などでは、風、風、降雪、地震などによって地盤の崩壊が生じ易く、災害の発生防止や安全対策、環境保全などの点から、植物を植えて緑化し、植物の根によって地盤を強化することが従来から行われている。そのような法面などの緑化に当たっては、緑化すべき範囲が広範な場合も多く、簡単な作業で、確実に、低コストで施工でき、しかも播いた種や植えた植物を病虫害などにおかされることなく、健全に発芽して生育させることのできる方法が求められている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、セルロースやリグニンなどの難分解性成分を多量に含んでいて短期間に分解・堆肥化されにくく、しかも森林伐採や樹木の剪定、建築工事などに伴って多量に発生する植物発生材を、従来よりも短期間で有用資源化して再利用することのできる方策を提供することである。 さらに、本発明の目的は、白紋羽病、紫紋羽病、ならたけ病、べっこうたけ病などのような病気の発生や、害虫の温床となるのを防止または抑制しながら、植物を良好に発芽、生育させることができ、法面などの緑化や、植物の栽培などに有効に用いることのできる、植物発生材をベースとする植物生育用基材を提供することである。 また、本発明の目的は、植物を良好に発芽、生育させることのできる緑化方法を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成すべく本発明者らは検討を重ねてきた。その結果、ダム工事や道路工事、その他の原因で多量に発生する植物発生材に土壌を混合し、その際にアラビノキシランを含有する有機物、珪酸カルシウム、焼却灰および特定のアルカリ性金属化合物を更に添加混合すると、植物に対する発芽、生育障害を抑えながら、植物発生材が土壌中で短期間に分解されて有用資源化されることができ、そのため、植物発生材に土壌と共に前記した成分を混合してなる混合物は、植物を生育させるための基材として有用であることを見出した。 そして、本発明者らは、植物発生材に土壌と共に前記した成分を混合してなる混合物を植物生育用基材として用いると、白紋羽病、紫紋羽病、ならたけ病、べっこうたけ病などのような病気の発生や、害虫の温床となるのを防止または抑制しながら、植物を健全に発芽、生育させることができることを見出した。 さらに、本発明者らは、植物発生材に土壌と共に前記した成分を混合してなる混合物(植物生育用基材)に、植物の種子を場合により肥料と共に混合して、それを法面やその他の緑化を目的とする場所に、吹き付けやその他の施工法によって施すと、該植物生育用基材中に混合した種子が良好に発芽し、生育して、緑化が円滑に行われることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。 【0009】 すなわち、本発明は、 (1) 植物発生材に、土壌と共に、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性金属化合物(d)を混合してなることを特徴とする植物生育用基材である。 【0010】 そして、本発明は、 (2) 植物発生材100質量部に対して、土壌を25〜200質量部、並びにアラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を、成分(a)〜(d)の合計で1〜60質量部の割合で混合してなる前記(1)の植物生育用基材; (3) 成分(a)〜(d)のそれぞれの混合割合が、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)100質量部に対して、珪酸カルシウム(b)が5〜25質量部、焼却灰(c)が10〜40質量部およびアルカリ性金属化合物(d)が10〜40質量部である前記(1)または(2)の植物生育用基材;および、 (4) 植物発生材がチップ化されている前記(1)〜(3)のいずれかの植物生育用基材; である。 【0011】 さらに、本発明は、 (5) 植物発生材に、土壌と共に、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性金属化合物(d)を混合して植物生育用基材を製造する方法であり、これは植物発生材の処理方法でもある。 【0012】 そして、本発明は、 (6) 植物発生材100質量部に対して、土壌を25〜200質量部、並びにアラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を、成分(a)〜(d)の合計で1〜60質量部の割合で混合する前記(5)の方法;および、 (7) 成分(a)〜(d)のそれぞれの混合割合が、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)100質量部に対して、珪酸カルシウム(b)が5〜25質量部、焼却灰(c)が10〜40質量部およびアルカリ性金属化合物(d)が10〜40質量部である前記(5)または(6)の方法; である。 【0013】 さらに、本発明は、 (8) 前記(1)〜(4)のいずれかの植物生育用基材を用いて植物を生育させる方法であり; (9) 前記(1)〜(4)のいずれかの植物生育用基材に植物の種子を混合して、被緑化場所に施すことを特徴とする緑化方法である。 【0014】 【発明の実施の形態】 以下に本発明について詳細に説明する。 本発明でいう「植物発生材」とは、植物の根部、幹部、枝部、小枝部などの樹木に由来する材料を意味し、具体例としては、山間部でのダム工事や道路工事等に伴い発生する森林伐採木や伐採根、緑地、街路樹、公園、植栽樹木などの剪定枝葉、枯損樹木、建築現場から発生する廃木材、落ち葉、刈草、刈芝などを挙げることができる。 植物発生材は、そのサイズがあまり大きくないときは、発生した状態のままの形状や大きさで土壌と混合することができるが、切断または粉砕してサイズを小さくしておくことが土壌と均一に混合でき、しかも土壌中での分解が良好に行われることから好ましい。土壌と混合する際の植物発生材の大きさとしては、一般に、10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましく、特に2cm以下のチップ状にしておくことが更に好ましい。 【0015】 植物発生材に混合する土壌の種類は特に制限されず、本発明の植物生育用基材の使用形態や使用場所、施工場所や施工形態、本発明の植物生育用基材を用いて生育させる植物の種類などに応じて、適当な土壌を選択して用いることができる。本発明の植物生育用基材に用い得る土壌としては、何ら限定されるものではないが、例えば、黒土、赤土、山土、畑土、海砂、山砂、粘土などを挙げることができる。 【0016】 本発明で用いるアラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)[以下単に「有機物(a)」ということがある]は、アラビノキシラン含量が10質量%以上の有機物であればいずれも使用でき、そのうちでもアラビノキシラン含量が20質量%以上の有機物が好ましく用いられる。アラビノキシラン含量が10質量%未満の有機物を用いると、植物発生材を土壌中で短期間に分解して有用資源化することが困難になる。本発明で好ましく用いられる有機物(a)の具体例としては、小麦フスマ(アラビノキシラン含量:通常約25〜40質量%)、小麦末粉(同約15〜25質量%)、米ヌカ(同約20〜45質量%)、グルテンフィード(同約20〜40質量%)、ビール粕(同約20〜40質量%)、トウモロコシ外皮(同約25〜45質量%)などを挙げることができ、これらは単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。 【0017】 本発明で用いる珪酸カルシウム(b)としては、シリカなどの珪酸質原料と石灰、セメントなどの石灰質原料を混合して水性スラリーを調製し、この水性スラリーを高圧高温の水蒸気を用いて養生して得られる多孔質の珪酸カルシウムが好ましく用いられる。このような多孔質の珪酸カルシウムとしては、例えば、ALC(軽量コンクリート)粉状体、トベルモライト、ゾノトライトなどを挙げることができる。本発明では1種類の珪酸カルシウムを用いても、または2種以上の珪酸カルシウムを併用してもよい。 【0018】 本発明で用いる焼却灰(c)としては、微粉炭燃焼ボイラーから集塵器により採取される微小な灰の粒子(フライアッシュ)、微粉炭以外の被燃焼材料(例えば汚泥、鶏糞、植物発生材などの有機資材)を燃焼した際に採取される微細な灰の粒子(フライアッシュ)や焼却残渣などを挙げることができる。本発明では前記した焼却灰の1種または2種以上を使用することができる。 【0019】 本発明で用いるアルカリ性金属化合物(d)は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩であり、具体例としては酸化ナトリウム、酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、アルカリ性金属化合物(d)としては、酸化カルシウム(生石灰)および水酸化カルシウム(消石灰)の一方または両方が、取り扱い性に優れ、しかも植物発生材に他の成分と共に添加したときに植物発生材の分解に適したpH環境などを発現させ易い点から好ましく用いられる。 【0020】 本発明の植物生育用基材では、植物発生材100質量部に対して、土壌を25〜200質量部の割合で混合することが好ましく、80〜120質量部の割合で混合することがより好ましい。 植物発生材100質量部に対して、土壌の混合割合が25質量部未満であると、土壌中で植物発生材が円滑に分解されなくなって、上記したような種々の病気や害虫が発生し、植物の発芽や生育不良を招き易い。一方、植物発生材100質量部に対して土壌の混合割合が200質量部を超えると、植物発生材の使用量が相対的に少なくなって、森林伐採、樹木の剪定、建設工事などに伴って多量に発生する植物発生材の処理が促進されなくなり、しかも植物の発芽や生育に必要な栄養分が少なくなり、植物の発芽、生育が円滑に行われにくくなる。 【0021】 さらに、本発明の植物生育用基材では、植物発生材100質量部に対して、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を、成分(a)〜(d)の合計で1〜60質量部の割合で混合することが好ましく、10〜30質量部の割合で混合することがより好ましい。 その際に、成分(a)〜(d)のそれぞれの混合割合は、有機物(a)100質量部に対して、珪酸カルシウム(b)が5〜25質量部、焼却灰(c)が10〜40質量部およびアルカリ性金属化合物(d)が10〜40質量部であることが好ましく、有機物(a)100質量部に対して、珪酸カルシウム(b)が10〜20質量部、焼却灰(c)が15〜35質量部およびアルカリ性金属化合物(d)が15〜35質量部であることがより好ましい。 【0022】 植物発生材100質量部に対する前記した成分(a)〜(d)の合計した混合割合が、1質量部よりも少ないと、植物発生材を土壌中で短期で分解して有用資源化すること困難になり、病原菌が病害虫の繁殖などが生じて、植物の発芽や生育が円滑に行われにくくなる。一方、植物発生材100質量部に対する前記した成分(a)〜(d)の合計した混合割合が60質量部よりも多いと、植物の発芽、生育に適さない土壌物性になり易く、しかもコストの上昇を招く。 また、前記有機物(a)100質量部に対する成分(a)〜(d)のぞれぞれの混合割合が前記した各々の成分の下限値よりも少ないと、植物発生材を土壌中で短期で分解して有用資源化することが困難になり、病原菌が病害虫の繁殖などが生じて、植物の発芽や生育が円滑に行われにくくなり、一方上限値よりも多いと、植物発生材の分解生成物による障害を抑えながら植物発生材を分解させることが難しくなり、しかもコストの上昇を招く。 【0023】 本発明の植物生育用基材は、植物発生材、土壌、前記した有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)と共に、必要に応じて、バーミキュライト、パーライトなどの鉱物、化成肥料やその他の肥料、保水剤、浸食防止剤などの他の成分を、本発明の目的を阻害しない範囲で含有していてもよい。 特に、本発明の植物生育用基材に植物の種子を混合して被緑化場所に施して緑化を行う場合や、本発明の植物生育用基材を用いて植物の栽培などを行う場合に、植物生育用基材中に化成肥料を配合しておくと、植物の発芽や生育を促進させることができる。 【0024】 本発明の植物生育用基材の製造方法は特に制限されず、植物発生材、土壌、有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、アルカリ性金属化合物(d)および必要に応じて用いられる他の成分が均一に混合される方法であればいずれの方法で製造してもよい。本発明の植物生育用基材は、植物発生材に、土壌、有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、アルカリ性金属化合物(d)および必要に応じて他の成分を混合して予め調製しておいてもよいし、または森林の伐採現場などにおいて、該現場で発生した植物発生材に土壌と共に有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、アルカリ性金属化合物(d)および必要に応じて他の成分を混合して植物生育用基材を直接製造し、それにより得られた植物生育用基材をそのまま直接緑化などに用いてもよい。 本発明の植物生育用基材を製造するために、植物発生材に土壌と共に前記した成分(a)〜(d)を混合するに当たっては、成分(a)〜(d)の全部を予め混合してこれらの成分の混合物を調製しておき、それにより得られる成分(a)〜(d)の混合物を植物発生材に添加混合してもよいし、成分(a)〜(d)のそれぞれを別々に植物発生材に添加混合してもよいし、または成分(a)〜(d)のうちの2つまたは3つの成分を予め混合してその混合物を植物発生材に添加すると共に残りの成分を個別に植物発生材に添加してもよい。 【0025】 本発明の植物生育用基材を用いて植物を生育する方法は特に制限されない。 例えば、本発明の植物生育用基材を畑地用として用いて野菜類、草花、果樹などを栽培したり生育させる場合は、本発明の植物生育用基材を植物を育てる所定の場所に堆積させ、そこに後から植物の種を播いたり苗を植えたりしてもよいし、また本発明の植物生育用基材をポットや苗箱などに充填し、そこに植物の種を播いたり苗を植えたりしてもよい。 さらに、本発明の植物生育用基材を法面、砂漠、荒廃地などの緑化のために用いる場合は、本発明の植物生育用基材中に予め植物の種を、必要に応じて化成肥料などの肥料と共に混合しておいて、それを吹き付け、ロール施工、埋設、覆土などによって緑化対象場所に施してもよく、また本発明の植物生育用基材を被緑化場所に施した後に、種を播いたり、苗木を植えたりして緑化を行ってもよい。 【0026】 特に、植物発生材は、山間部でのダム工事や道路工事などの際の森林伐採現場などで大量に発生するので、その場合に、植物発生材の発生現場で植物発生材をチップ化して、チップ化した植物発生材をその発生現場またはその近辺で得られた土壌や、別途準備しておいた土壌と混合し、それに上記した有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を添加し、更にそれに植物の種子を混合し、必要に応じて更に化成肥料などの肥料を混合し、それによって得られた混合物(植物生育用基材)を、吹き付け工法などによって、該発生現場またはその近辺の緑化を目的とする場所に施すと、植物発生材を遠方にわざわざ搬送して処理する必要がなくなり、植物発生材をその発生現場またはその近辺で処理することができ、しかもそれと同時に現場またはその近辺での緑化工事を行うことができる。 【0027】 【実施例】 以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。 【0028】 《実施例1》 (1) 小麦フスマ60質量部、珪酸カルシウム10質量部、フライアッシュ10質量部および消石灰20質量部を均一に混合して混合物[成分(a)〜(d)の混合物]を予め調製した。 (2) 伐根を主体とする伐採材を約10mm以下の大きさに粉砕してチップ(以下「伐採材チップ」という)を製造した。 (3) 上記(2)で得られた伐採材チップ500重量部に、黒土500質量部、上記(1)で得られた混合物[成分(a)〜(d)の混合物]100質量部および化成肥料(高度化成肥17−17−17)10質量部を混一に混合して土壌混合物(植物生育用基材)を製造した。 (4) 上記(3)で得られた植物生育用基材(土壌混合物)を、径90mm、深さ20mmのプラスチック製シャーレに約2cmの深さに充填し、そこにコマツナの種25個を播き、夕方に1回水を約5mlの割合で施して、コマツナを常法にしたがって照明付き植物インキュベーターで10日間にわたって生育させる試験を行った(庫内設定温度25℃)。 (5) 上記(4)の生育試験中、試験5日目と試験終了日(10日後)に、コマツナの発根率、枯死個体率およびと生育個体率を下記の数式により求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0029】 【数1】 発芽率(%)=(発根数/播いた種の総数)×100 枯死個体率(%)=(枯死個体数/播いた種の総数)×100 生育個体率(%)=(生育個体数/播いた種の総数)×100 (但し、上記式において、「発根数」とは目視によって発根が観察された個体数をいい、「枯死個体数」とは目視によって枯死が観察された個体数をいい、「生育個体数」とは発芽後に子葉の展開が観察された個体数をいう。) 【0030】 《比較例1》 (1) 黒土のみを、実施例1の(4)で用いたのと同じプラスチック製シャーレに約2cmの深さに充填し、そこに、実施例1の(4)と同様にして実施例1と同じ時期に、コマツナの種を播いて、実施例1の(4)と同様にして10日間にわたってコマツナの生育試験を行った。 (2) 上記(1)の生育試験中、試験5日目と試験終了日(10日後)に、コマツナの発根率、枯死個体率およびと生育個体率を上記の数式により求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0031】 《比較例2》 (1) 実施例1の(2)で製造したのと同じ伐採材チップ500質量部に、黒土500質量部および実施例1で用いたのと同じ化成肥料10質量部を均一に混合して土壌混合物を得た。 (2) 上記(1)で得られた土壌混合物を用いて、実施例1の(4)と同様にして、実施例1と同じ時期に、10日間にわたってコマツナの生育試験を行った。 (3) 上記(2)の生育試験中、試験5日目と試験終了日(10日後)に、コマツナの発根率、枯死個体率およびと生育個体率を上記の数式により求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0032】 《比較例3》 (1) 実施例1の(2)で製造したのと同じ伐採材チップ500質量部に、黒土500質量部、小麦フスマ100質量部および実施例1で用いたのと同じ化成肥料10質量部を均一に混合して土壌混合物を得た。 (2) 上記(1)で得られた土壌混合物を用いて、実施例1の(4)と同様にして、実施例1と同じ時期に、10日間にわたってコマツナの生育試験を行った。 (3) 上記(2)の生育試験中、試験5日目と試験終了日(10日後)に、コマツナの発根率、枯死個体率およびと生育個体率を上記の数式により求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0033】 《比較例4》 (1) 実施例1の(2)で製造したのと同じ伐採材チップ500質量部に、黒土500質量部、珪酸カルシウム10質量部、フライアッシュ10質量部、消石灰20質量部および実施例1で用いたのと同じ化成肥料10質量部を均一に混合して土壌混合物を得た。 (2) 上記(1)で得られた土壌混合物を用いて、実施例1の(4)と同様にして、実施例1と同じ時期に、10日間にわたってコマツナの生育試験を行った。 (3) 上記(2)の生育試験中、試験5日目と試験終了日(10日後)に、コマツナの発根率、枯死個体率およびと生育個体率を上記の数式により求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0034】 【表1】
【0035】 上記の表1にみるように、実施例1の土壌混合物(植物生育用基材)は、植物発生材に、土壌と共に、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)およびアルカリ性金属化合物(d)を添加混合したことにより、コマツナの発根率および生育個体率が極めて高く、枯死した個体もなく、播いたコマツナの種子の全部が発芽し、その殆どが健全に生育した。 【0036】 一方、黒土のみを用いた比較例1では、コマツナはほぼ順調に生育したが、実施例1に比べると発根率および生育個体率が低いものであった。 また、比較例2では、植物発生材(伐採材チップ)に黒土と化成肥料のみを添加し、小麦フスマ[成分(a)]、珪酸カルシウム[成分(b)]、フライアッシュ[成分(c)]および消石灰[成分(d)]のいずれをもを添加しなかったために、コマツナの生育障害および生育不良が多く発生し、枯死個体の発生もあり、コマツナを順調に生育させることができなかった。 【0037】 また、比較例3は、植物発生材(伐採材チップ)に黒土、小麦フスマ[成分(a)]および化成肥料を添加したが、珪酸カルシウム[成分(b)]、フライアッシュ[成分(c)]および消石灰[成分(d)]を添加しなかったために、コマツナの生育障害および生育不良が著しく、枯死個体率も高く、コマツナを順調に生育させることができなかった。 そして、比較例4は、植物発生材(伐採材チップ)に黒土、珪酸カルシウム[成分(b)]、フライアッシュ[成分(c)]、消石灰[成分(d)]および化成肥料を添加したが、小麦フスマ[成分(a)]を添加しなかったことにより、コマツナの生育障害および生育不良が著しく、コマツナを順調に生育させることができなかった。なお、比較例4では生育試験中、個体ごとの生育のばらつきが大きいことが観察された。 【0038】 【発明の効果】 本発明による場合は、山間部でのダム工事や道路工事等に伴い発生する森林伐採木や伐採根、緑地、街路樹、公園、植栽樹木などの剪定枝葉、枯損樹木、建築現場から発生する廃木材、落ち葉、刈草、刈芝などの植物発生材を、土壌中で短期間に分解して有用資源化して、植物を生育させるための基材(植物生育用基材)として有効に使用することができる。 本発明の植物生育用基材では、植物発生材に土壌と共には、アラビノキシラン含量が10質量%以上である有機物(a)、珪酸カルシウム(b)、焼却灰(c)、並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性金属化合物(d)を混合してあることにより、難分解性の成分を多量に含む植物発生材が土壌中で短期間に良好に分解されるため、白紋羽病、紫紋羽病、ならたけ病、べっこうたけ病などのような病気が発生したり、害虫の温床となることが防止または抑制され、植物を健全に発芽させ、生育させることができる。 さらに、本発明の植物生育用基材に植物の種子を混合して、それを法面やその他の緑化を目的とする場所に施すと、その施工場所で植物が健全に発芽し生育して緑化を良好に行うことができる。 また、本発明の植物生育用基材は、前記した緑化のためだけでなく、通常の野菜類、草花、果樹類などの植物の栽培や生育にも有用に用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301049777 【氏名又は名称】日清製粉株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町一丁目25番地
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| 【出願日】 |
平成14年8月26日(2002.8.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093377 【弁理士】 【氏名又は名称】辻 良子
【識別番号】100108235 【弁理士】 【氏名又は名称】辻 邦夫
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| 【公開番号】 |
特開2004−81063(P2004−81063A) |
| 【公開日】 |
平成16年3月18日(2004.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2002−244937(P2002−244937) |
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