| 【発明の名称】 |
菌根性茸用接種シートの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】成松 眞樹
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| 【要約】 |
【課題】繊維材料中に菌根菌の栄養源が残らないようにして付着させて、樹木の根に感染し易くするとともに、構造を複雑にしないで容易に製造できるようにする。
【解決手段】菌根性茸の菌根菌を培養する培養工程(1)と、培養工程で培養された菌根性茸の菌根菌をシート状の繊維材料に付着させる付着工程(2)と、付着工程の後に繊維材料を滅菌蒸留水に浸漬して飢餓培養する飢餓培養工程(3)を備えた。繊維材料としては、樹脂製の不織布Fであって、ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアミドの1種もしくは2種以上で形成されている不織布Fで構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 菌根性茸の菌糸を培養する培養工程と、該培養工程で培養された菌根性茸の菌糸をシート状の繊維材料に付着させる付着工程とを備えた菌根性茸用接種シートの製造方法において、 上記付着工程の後に繊維材料を滅菌蒸留水に浸漬して飢餓培養する飢餓培養工程を備えたことを特徴とする菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項2】 上記飢餓培養工程を、9日〜21日間行なうことを特徴とする請求項1記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項3】 上記繊維材料を、樹脂製の不織布で構成したことを特徴とする請求項1または2記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項4】 上記不織布は、ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアミドの1種もしくは2種以上で形成され、乾燥状態における厚さTが、0.05mm≦T≦0.5mmに設定されていることを特徴とする請求項3記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項5】 上記付着工程において、液体培地に繊維材料を積層しないで1枚広げて浸漬するとともに、上記液体培地の深さDを、1mm≦D≦10mmにしたことを特徴とする請求項4記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項6】 上記菌根性茸の菌糸を液体培地1000ml当たり乾燥重量で50mg〜120mg接種し、15日〜45日間培養することを特徴とする請求項5記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項7】 上記培養工程において、保存菌株から切り出した菌糸を固体培地に接種して20日〜40日間静置培養し、それから、この培養した菌糸を切り出して液体培地に接種して20日〜40日振盪培養することを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。 【請求項8】 上記付着工程で、上記培養工程における振盪培養後の液体培地をホモジナイザーで磨砕し、接種する菌根性茸の菌糸を培養液中に懸濁させ、この懸濁液を接種することを特徴とする請求項7記載の菌根性茸用接種シートの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、マツタケ,ハツタケやホンシメジ等の菌根性茸の菌糸を寄生樹木に接種するための菌根性茸用接種シートの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来から、マツタケ,ハツタケ,ホンシメジ,アミタケ,トリュフ,ショウロ等の菌根性茸においては、寄生樹木を用いて、取り木処理等によりその根に菌根性茸の菌糸を接種して感染させ、増殖させて茸を育成する栽培方法が知られている。 【0003】 この従来の栽培方法としては、例えば、特開平4−356134号公報に掲載されている。これは、図7に示すように、寄生樹木Wの皮を剥ぎ、この部分を保水材(図示せず)で覆うとともに樹脂フィルム(図示せず)を被覆し、養生して発根させる。それから、樹脂フィルム及び保水材を除いて、ロックウール,水苔等の繊維材料に茸の菌糸を付着させた接種体1を用い、発根した部分をこの接種体1で覆うとともに樹脂フィルム(図示せず)を被覆し、養生する。そして、新根に茸の菌糸が感染したならば、樹脂フィルムを除いて、繊維材料の周囲に覆土し、菌糸を更に増殖させて茸の子実体として育成させるものである。 この接種体1は、茸から分離した菌糸を寒天培養で増殖し、これを繊維材料に接種,感染させて製造される。 【0004】 また、この種の栽培方法としては、例えば、特公昭61−20246号公報にも掲載されている。これは、図8に示すように、パイプ2の内面にポリプロピレン製の不織布3を熱溶着し、この不織布3の表面に珪藻土皮膜4を形成し、この珪藻土皮膜4及び不織布3に茸の菌糸5を付着させた接種具6を用いる。そして、寄生樹木Wの白色新根に対してこの接種具6を挿入し、この根を土中に埋め込んで菌糸を更に増殖させて茸の子実体として育成させるものである。 この接種具6へ茸の菌糸を付着させる際は、不織布3及び珪藻土皮膜4を形成したパイプ2を液体培地に浸漬するとともにこの液体培地に菌根性茸の菌糸を接種し、約3か月間、間欠振盪培養を行なう。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、上記の従来の栽培方法において、前者の接種体1あるいは、後者の接種具6にあっては、樹木Wの根に菌糸が感染する効率が必ずしも充分ではないという問題があった。 その理由は、前者の接種体1にあっては、菌糸を増殖した寒天培地を繊維材料に付着しているので、接種体1を根に被覆しても菌糸が残った寒天培地を栄養源とすることに起因して、樹木Wの根に感染しにくくなってしまうものと考えられる。また、一般的に、菌糸の菌糸伸長速度は腐朽菌に比べて遅いので、先に雑菌が残存栄養源に繁殖してしまい、菌糸の繁殖を阻害すること等が考えられる。 【0006】 また、後者の接種具6にあっても、珪藻土皮膜4を形成しているので、菌糸がこの珪藻土やこれに滲み込んだ液体培地を栄養源とすることに起因して、樹木Wの根に感染しにくくなってしまうものと考えられる。 尚、後者の文献(特公昭61−20246号公報)では、珪藻土皮膜4を用いないでパイプ2に溶着した不織布3に菌糸を付着した場合は、樹木の根への感染が極めて少なかったという記述があるが、この原因も、同様に、菌糸が不織布3に滲み込んだ液体培地を栄養源とすることに起因して、樹木の根に感染しにくくなってしまうものと考えられる。 【0007】 更に、後者の接種具6にあっては、パイプ2の内面に不織布3を熱溶着して更に珪藻土皮膜4を形成しているので、構造が複雑で、製造効率が悪いという問題もある。更にまた、液体培地に浸漬して約3か月間も間欠振盪培養を行なうことから、製造に長期間を要し、この点でも製造効率が悪いという問題を抱えている。 【0008】 本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、繊維材料中に菌糸の栄養源が残らないようにして付着させて、樹木の根に感染し易くするとともに、構造を複雑にしないで容易に製造できる菌根性茸用接種シートの製造方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】 このような目的を達成するための本発明の菌根性茸用接種シートの製造方法は、菌根性茸の菌糸を培養する培養工程と、該培養工程で培養された菌根性茸の菌糸をシート状の繊維材料に付着させる付着工程とを備えた菌根性茸用接種シートの製造方法において、上記付着工程の後に繊維材料を滅菌蒸留水に浸漬して飢餓培養する飢餓培養工程を備えた構成としている。 【0010】 これにより、飢餓培養工程においては、繊維材料に浸透した栄養源が菌糸により消費され、繊維材料での栄養源の残留がほとんどなくなる。 この結果、寄生樹木の根に対して、この菌根性茸用接種シートを巻付けた際、繊維材料での栄養源の残留がほとんどないので、菌糸がこの繊維材料内では繁殖しにくくなるとともに、先に雑菌が残存栄養源に繁殖してしまう事態も阻止され、菌糸の繁殖を阻害する事態が抑制され、そのため、菌糸が樹木の根に感染し易くなり、栽培効率が向上させられる。 【0011】 そして、必要に応じ、上記飢餓培養工程を、9日〜21日間行なう構成としている。この期間に設定することにより、あまり長くなることなく、繊維材料での栄養源の残留を確実になくすることができる。 そしてまた、上記繊維材料を、樹脂製の不織布で構成している。この場合、上記不織布は、ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアミドの1種もしくは2種以上で形成され、乾燥状態における厚さTが、0.05mm≦T≦0.5mmに設定されていることが有効である。0.05mmよりも薄いと不織布が破れ易く、0.5mmより厚いと飢餓培養のときに内部の栄養分の消費に時間がかかり過ぎ効率が悪くなる。望ましくは、0.1mm≦T≦0.2mmである。 不織布は樹脂製であり、木綿や和紙等の植物性のシートに比較して菌糸の栄養源にならないので、菌糸を不織布で繁殖しにくくして、より一層根に感染し易くすることができる。 【0012】 また、必要に応じ、上記付着工程において、液体培地に繊維材料を積層しないで1枚広げて浸漬するとともに、上記液体培地の深さDを、1mm≦D≦10mmにした構成としている。 液体培地の深さを浅くすることにより、酸素が菌糸に充分に供給され、菌糸の増殖が効率よく行なわれ、繊維材料に十分に菌糸を蔓延させることができる。 更に、必要に応じ、上記菌根性茸の菌糸を液体培地1000ml当たり乾燥重量で50mg〜120mg接種し、15日〜45日間培養する構成としている。15日より短いと菌糸が十分に蔓延できない。一方、30日を過ぎる頃から菌糸の伸長速度が低下するので、45日より長いと、培養する意味がほとんどなくなる。望ましくは、菌根性茸の菌糸を液体培地1000ml当たり乾燥重量で70mg〜100mg接種し、20日〜30日間である。この接種量及び期間に設定することにより、あまり長くなることなく、繊維材料に十分に菌糸を蔓延させることができる。 【0013】 更に、上記培養工程において、保存菌株から切り出した菌糸を固体培地に接種して20日〜40日間静置培養し、それから、この培養した菌糸を切り出して液体培地に接種して20日〜40日振盪培養する構成としている。液体培地に菌糸を充分に繁殖させることができる。 この場合、上記付着工程で、上記培養工程における振盪培養後の液体培地をホモジナイザーで磨砕し、接種する菌根性茸の菌糸を培養液中に懸濁させ、この懸濁液を接種することが有効である。菌糸が懸濁した懸濁液を用いるので、繊維材料への蔓延速度を速くして、均一に増殖を行なわせることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】 以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る菌根性茸用接種シートの製造方法について詳細に説明する。 本発明の実施の形態に係る製造方法が製造する菌根性茸用接種シートは、図1及び図2に示すように、マツタケ,ハツタケ,ホンシメジ,アミタケ,トリュフ,ショウロ等の菌根性茸の内、マツタケ用の接種シートSであり、寄生樹木W(図4及び図5)の根に茸の菌糸を接種して感染させ、増殖させて茸を育成する栽培方法に用いられるものである。 【0015】 図1に示すように、本発明の実施の形態に係る菌根性茸用接種シートSの製造方法は、(1)菌根性茸としてのマツタケの菌糸を培養する培養工程と、(2)培養工程で培養されたマツタケの菌糸をシート状の繊維材料に付着させる付着工程と、(3)付着工程の後に繊維材料を滅菌蒸留水に浸漬して飢餓培養する飢餓培養工程とを備えている。以下、各工程について詳細に説明する。各工程は、無菌室内で行い、他の雑菌の侵入が生じないようにすることが望ましい。 【0016】 (1)培養工程 (1−1)試験管10の斜面培地にて保存しておいたマツタケの保存菌株から柄付き針により菌糸を切り出し、シャーレ11の平板固体培地12に接種する。 固体培地としては、例えば、浜田培地が用いられる。 【0017】 (1−2)そして、20℃〜25℃(実施の形態では23℃)で、20日〜40日間静置培養する。実施の形態では30日間静置培養した。これにより、菌糸が培地表面に増殖する。 【0018】 (1−3)静置培養後、この培養した菌糸を切り出す。例えば、培地とともに直径7mmの円盤状にして切り出す。 そして、この切り出した菌糸をビーカ13に入れた液体培地14に接種する。液体培地としては、例えば、MYPGが用いられる。MYPGとは、麦芽エキス,酵母エキス,ペプトン,ブドウ糖及び蒸留水からなる培地である。より詳しくは、麦芽エキス0.25重量%,酵母エキス0.1重量%,ペプトン0.1重量%,ブドウ糖0.5重量%を、蒸留水に溶かした後、1規定塩酸でpH=5.0に調整し、121℃で20分間滅菌して使用する。 【0019】 (1−4)そして、20日〜40日間、振盪培養する。実施の形態では30日間振盪培養した。振盪培養条件は、ロータリー型の振盪器にビーカ13を載置し、35RPM、20℃〜25℃(実施の形態では23℃)で行なった。 【0020】 (2)付着工程 (2−1)培養工程における振盪培養後の液体培地14をホモジナイザーで磨砕し、接種するマツタケの菌糸を培養液中に懸濁させる。 【0021】 (2−2)そして、蓋付きビン15に入れた液体培地16に繊維材料を浸漬するとともにマツタケの菌糸が懸濁した懸濁液をピペットで接種する。 ここで、繊維材料を、樹脂製の不織布Fで構成した。具体的には、不織布Fは、ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート(P.E.T),ポリアミドの1種もしくは2種以上で形成されている。実施の形態では、ポリエチレンテレフタレート(P.E.T)の不織布Fを用いた。 不織布Fの大きさは、図2に示すように、正方形(80mm×80mm)で、乾燥状態の厚さTをT=0.1mmとした。 不織布Fは、高温高圧で滅菌する。 【0022】 液体培地としては、例えば、上記と同様のMYPGが用いられる。 また、液体培地に不織布Fを積層しないで1枚広げて浸漬するとともに、図1に示すように、液体培地の深さDを、1mm≦D≦10mmにしている。更に、菌根性茸の菌糸を液体培地1000ml当たり乾燥重量で50mg〜120mg接種し、望ましくは70mg〜100mg接種する。 また、実施の形態では、例えば、液体培地の深さDを、D=9mmにし、液体培地を60mlとし、菌根性茸の菌糸を乾燥重量で5mg接種した。これは、不織布F(80mm×80mm)において、不織布F、1cm2 当たり乾燥重量で約0.07mg〜0.08mg接種することになる。 【0023】 (2−3)それから、20℃〜25℃(実施の形態では23℃)で、15日〜45日間静置培養または振盪培養する。実施の形態では30日間培養した。不織布Fに十分に菌糸が蔓延し、厚さが5mm程度になる。この場合、マツタケの菌糸が懸濁した懸濁液を用いるので、不織布Fへの蔓延速度が速く、均一に増殖が行なわれる。また、液体培地の深さDが浅いので、酸素が菌糸に充分に供給され、菌糸の増殖が効率よく行なわれ、繊維材料に十分に菌糸を蔓延させることができる。 【0024】 (3)飢餓培養工程 図1及び図2に示すように、蓋付きビン17に入れた滅菌蒸留水18にマツタケの菌糸が蔓延した不織布Fを浸漬し、飢餓培養を行なう。9日〜21日間行なう。望ましくは、10日〜14日である。 これにより、不織布Fに浸透した培養液の栄養源が菌糸により消費され、不織布Fでの栄養源の残留がほとんどなくなる。 このようにして、菌根性茸用接種シートSが製造される。接種シートSは、レトルトパウチパックに入れれば、流通・運搬が容易になる。 【0025】 次に、この菌根性茸用接種シートSを用いて、茸を栽培する方法について説明する。図3に示すように、(A)取り木処理(苗を用いる場合)と(B)林地処理(林地の根に直接接種する場合)の2つの場合について説明する。 【0026】 (A)取り木処理(苗を用いる場合) 図3及び図4に示すように、寄生樹木Wとして松の木等の枝を環状に剥いで、この剥いだ部分に発根促進ホルモンを塗布し、水苔等の保湿材料で包持し、樹脂シートで被覆する。そして、樹上でこの剥いだ部分に発根させる。 次に、この部分を鉢上げする。即ち、滅菌した鉢に土壌を入れて植栽し、根を更に伸ばさせる。室温で1か月程度養生する。 【0027】 それから、樹木Wの新根に対して、実施の形態に係る菌根性茸用接種シートSを巻付け、樹脂テープで被覆して固定する。この状態で、鉢に戻し、約2か月養生する。 この場合、接種シートSにあっては、不織布Fでの栄養源の残留がほとんどないので、また、不織布Fは樹脂製であり、木綿や和紙等の植物性のシートに比較して菌糸の栄養源にならないので、菌糸が不織布Fでは繁殖しにくくなることから、菌糸が根に感染し易くなり、また、先に雑菌が残存栄養源に繁殖してしまう事態も阻止され、菌糸の繁殖を阻害する事態が抑制され、この点でも、菌糸が樹木の根に感染し易くなり、栽培効率が向上させられる。 根に菌糸の感染が充分に行なわれたら、林地に植栽する。これにより、シロ(菌糸の集合体)が形成されて拡大し、子実体が発生していく。 【0028】 (B)林地処理(林地の根に直接接種する場合) 図3及び図5に示すように、林地において、樹木Wの根の部分に溝を掘り、この溝に根の繁殖を促進する粒状の土壌資材を投入し、新根を出させる。そして、新根が成長したならば、この新根に対して、実施の形態に係る菌根性茸用接種シートSを巻付け、樹脂テープで被覆して固定する。この状態で、再び土壌資材を埋め戻す。 この場合、接種シートSにあっては、不織布Fでの栄養源の残留がほとんどないので、また、不織布Fは樹脂製であり、木綿や和紙等の植物性のシートに比較して菌糸の栄養源にならないので、菌糸が不織布Fでは繁殖しにくくなることから、菌糸が根に感染し易くなり、また、先に雑菌が残存栄養源に繁殖してしまう事態も阻止され、菌糸の繁殖を阻害する事態が抑制され、この点でも、菌糸が樹木の根に感染し易くなり、栽培効率が向上させられる。 そして、根に菌糸の感染が充分に行なわれると、これにより、シロ(菌糸の集合体)が形成されて拡大し、子実体が発生していく。 【0029】 【実験例】 次に実験例を挙げる。これは、繊維材料として、▲1▼木綿生地を用いた場合と、▲2▼ポリエチレンテレフタレート(P.E.T)の不織布Fを用いた場合とで、付着工程での菌糸の伸長量の違いを測定した。▲3▼繊維材料(坦体)を用いない場合についても菌糸の伸長量の違いを測定した。条件は、各場合において、上記実施の形態と同様にした。 結果を図6に示す。ここで、菌糸乾燥重量は、予め乾燥状態にて重量を測定した容器に、菌糸が蔓延した担体を純水で洗浄して投じ、これを80℃で72時間乾燥後、重量を測定し、この測定重量から、供試前に乾燥重量を測定した担体自体の重量を差し引いて求めた。 【0030】 この結果から、ポリエチレンテレフタレート(P.E.T)の不織布Fにおいて、菌糸の蔓延が早く、良く増殖し、優れていることが分かる。 【0031】 尚、上記実施の形態では、茸としてマツタケに適用した場合で説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ハツタケ,ホンシメジ,アミタケ,トリュフ,ショウロ等、他の菌根性茸に適用しても良いことは勿論である。 【0032】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明の菌根性茸用接種シートの製造方法によれば、付着工程の後に繊維材料を滅菌蒸留水に浸漬して飢餓培養する飢餓培養工程を備えたので、繊維材料に浸透した培養液の栄養源が菌糸により消費され、繊維材料での栄養源の残留をほとんどなくすることができる。そのため、寄生樹木の根に巻付けた際、繊維材料での栄養源の残留がほとんどないので、菌糸が繊維材料では繁殖しにくくなることから、菌糸を根に感染し易くすることができる。また、先に雑菌が残存栄養源に繁殖してしまう事態も阻止でき、菌糸の繁殖を阻害する事態を抑制することができ、この点でも、菌糸を樹木の根に感染し易くすることができ、栽培効率を向上させることができる。 また、菌根性茸用接種シートを、その構造を複雑にしないで容易に製造できるようにすることができる。 【0033】 そして、飢餓培養工程を、9日〜21日間行なう場合には、繊維材料での栄養源の残留を確実になくすることができる。 また、繊維材料を、樹脂製の不織布で構成した場合には、特に、ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアミドの1種もしくは2種以上で形成した場合には、不織布は樹脂製であり、木綿や和紙等の植物性のシートに比較して菌糸の栄養源にならないので、菌糸を不織布で繁殖しにくくして、より一層根に感染し易くすることができる。 【0034】 更に、付着工程において、液体培地に繊維材料を積層しないで1枚広げて浸漬するとともに、液体培地の深さDを、1mm≦D≦10mmにした場合には、液体培地の深さを浅くするので、酸素が菌糸に充分に供給され、菌糸の増殖が効率よく行なわれ、繊維材料に十分に菌糸を蔓延させることができる。 また、菌根性茸の菌糸を液体培地1000ml当たり乾燥重量で50mg〜120mg接種し、15日〜45日間培養する場合には、繊維材料に十分に菌糸を蔓延させることができる。 更にまた、培養工程において、保存菌株から切り出した菌糸を固体培地に接種して20日〜40日間静置培養し、それから、この培養した菌糸を切り出して液体培地に接種して20日〜40日振盪培養する場合には、液体培地に菌糸を充分に繁殖させることができる。 【0035】 そして、この付着工程で、培養工程における振盪培養後の液体培地をホモジナイザーで磨砕し、接種する菌根性茸の菌糸を培養液中に懸濁させ、この懸濁液を接種する場合には、菌糸が懸濁した懸濁液を用いるので、繊維材料への蔓延速度を速くして、均一に増殖を行なわせることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態に係る菌根性茸用接種シートの製造方法を示す工程図である。 【図2】本発明の実施の形態に係る製造方法により製造される菌根性茸用接種シートを示す図である。 【図3】本発明の実施の形態に係る製造方法により製造された菌根性茸用接種シートを用いた茸の栽培方法の例を示す工程図である。 【図4】本発明の実施の形態に係る製造方法により製造された菌根性茸用接種シートを用いた茸の栽培方法であって、取り木処理による例を示す工程図である。 【図5】本発明の実施の形態に係る製造方法により製造された菌根性茸用接種シートを用いた茸の栽培方法であって、林地処理による例を示す工程図である。 【図6】本発明の実施の形態に係る菌根性茸用接種シートの製造方法における実験例の結果を示すグラフ図である。 【図7】従来の接種体を用いた茸の栽培方法の一例を示す図である。 【図8】従来の接種具を用いた茸の栽培方法の一例を示す図である。 【符号の説明】 S 菌根性茸用接種シート W 寄生樹木 F 不織布 (1) 培養工程 (2) 付着工程 (3) 飢餓培養工程
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| 【出願人】 |
【識別番号】390025793 【氏名又は名称】岩手県
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| 【出願日】 |
平成14年8月8日(2002.8.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093148 【弁理士】 【氏名又は名称】丸岡 裕作
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| 【公開番号】 |
特開2004−65165(P2004−65165A) |
| 【公開日】 |
平成16年3月4日(2004.3.4) |
| 【出願番号】 |
特願2002−231621(P2002−231621) |
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