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【発明の名称】 芝草の緑度回復及び維持剤
【発明者】 【氏名】寺沢 秀和
【住所又は居所】北海道帯広市稲田町南9線西13番地        日本甜菜製糖株式会社総合研究所内

【氏名】武田 修
【住所又は居所】北海道帯広市稲田町南9線西13番地        日本甜菜製糖株式会社総合研究所内

【要約】 【課題】

【解決手段】製糖副産品を有効成分とする緑度回復剤又は緑度維持剤を越冬前の芝草に施与するか、あるいは退色開始前又は退色初期の芝草に施与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製糖副産品を芝草に施与することを特徴とする芝草の緑度回復方法。
【請求項2】
製糖副産品を芝草に施与することを特徴とする芝草の緑度維持方法。
【請求項3】
製糖副産品を有効成分とする芝草の緑度回復剤。
【請求項4】
製糖副産品を有効成分とする芝草の緑度維持剤。
【請求項5】
製糖副産品を芝草1平方メートル当たり固形分として8〜400g施与することを特徴とする請求項1記載の緑度回復方法。
【請求項6】
製糖副産品を芝草1平方メートル当たり固形分として8〜400g施与することを特徴とする請求項2記載の緑度維持方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芝草の緑度の回復する方法及び緑度の維持する方法であって、その方法に使用することができる緑度回復及び維持剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
芝草は、公園、ゴルフ場、サッカー場及び家庭などの施設に用いられており、地表保護、環境保護、特に景観を高めるのに効果を発揮している。芝草は、北海道のような寒冷地や積雪の多い東北地方における越冬によって、完全に地上部が枯れて緑色を失い、更に春先の雪解け後も芝草の新芽発生が遅れ、夏のような緑色の芝草に回復するのに長期間を要する。また、比較的温暖な気候の地域でも、芝草の一部が枯れたり、緑色が退色したり、紫斑の発生が起こる。従来、これらの緑色の退色、変色の防止、あるいは緑色の再生には、種々の方法が用いられてきた。肥料の改良を研究する一方、施肥量を多くしたり、ペイント等により芝草を緑色に着色したり、あるいは寒冷地で発芽成長の早い種類の芝草をオーバーシードするといった直接の処置も施されている。しかしながら、これらの処置は、環境汚染、製造コスト、手間等の問題があり、満足する処置法とはいえない。最近、ベタイン、又はベタイン及び鉄を有効成分とする芝草の緑度保持及び冬期変色防止法等が開発(特許第3179742号、特開平10−52169)されているが、十分満足する処置法とはいえず、また、多額の費用が嵩む問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はかかる問題点にかんがみ、冬期における芝草の緑度保持期間の延長と越冬した芝草の緑度早期回復に効果があり、また、公害の発生がなくて安価な天然の施与物を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討した結果、砂糖製造過程で砂糖を回収した後の製糖副産品が有効であることを新たに見出した。すなわち、第1発明として、製糖副産品を芝草に施与することにより、寒冷地で越冬した芝草の緑度回復を早期に達成するものである。また、越冬に関係なく何らかの環境で緑度の低下した芝草の緑度を回復するものである。第2発明として、芝草の緑度の維持期間を延長するものである。寒暖等の環境の変化による緑度劣化をくい止め、緑度保持期間を延長するものである。
【0005】
本発明の製糖副産品は、甜菜及び甘蔗から砂糖を生産した後の糖液が該当する。その組成としては、次のものがあげられる。
糖類   0〜50%     Wt/100g固形分
有機酸  50〜400   mgCaO/100g固形分(CaO換算として)
アミノ酸 2〜300     mgN/100g固形分(窒素N換算として)
ベタイン 500〜1800  mgN/100g固形分(窒素N換算として)
R−OH 300〜6000 mgCaO/100g固形分(CaO換算として)
pH   5〜11
具体的には、例えばクロマト廃液(日本甜菜製糖製:CCR、CSF)、イオン交換樹脂廃液(日本甜菜糖製:CAW)等があげられる。しかし、上記の組成のものであれば該廃液に限定されるものではない。
【0006】
製糖副産品は、甜菜又は甘蔗から砂糖を回収した後の糖液(糖蜜)をクロマト分離処理等により、更に蔗糖分やその他有効成分を回収した後の残留液である。また、砂糖製造過程で糖液の精製の際糖液中の砂糖以外の成分がイオン交換樹脂に吸着するが、これらの成分を回収したものが該当する。通常、製糖副産品は固形分30〜70w/w%まで濃縮されたものが製品として販売される。従来は家畜の飼料素材や発酵原料として利用されていたが、使用残については排水処理されるか、堆肥の腐熟材等として利用されている。製糖副産品は、甜菜又は甘蔗という天然物より生成したもので、有害添加物等の混入もなく、施与により天然物を自然に返すというものである。本品を適切な使用法で施用すれば、公害又は人の健康を害することは全くない有用物である。
【0007】
芝草への製糖副産品の施与は、通常水で希釈したものを使用するが、該品を珪藻土や炭酸カルシウムに吸着させたものも使用することもできる。製糖副産品は芝草1平方メートル当たり固形分で8〜400gが有効施与量である。8g未満であればその効果は少なく、また、401g以上であれば、該品が含有する褐色メラミン色素等のため施与の痕が残り見た目が悪くなったり、散布量に比べてその効果が頭打ちになる。実際的なより好ましい施与量としては、芝草1平方メートル当たり製糖副産品固形分20〜80gであり、顕著な効果が期待できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0009】
【実施例1】平成13年11月12日より、北海道帯広市でケンタッキーブルーグラスのターフを試験圃場として、越冬試験を実施した。製糖副産品であるクロマト廃液(日本甜菜製糖製:CCR 固形分53%)を15〜740gの範囲の量を各々水1Lの割合で溶解し、それを圃場1平方メートル当たりにほぼ均一に散布施与した。尚、コントロールとして水1Lと、ベタイン10gを水1Lに溶解したものを用いた。雪解け後の平成14年3月30日に芝草の緑度調査を実施した。緑度の評価は、5m×5mの試験区を0.5m×0.5mの100区画に区切り、3人の調査員が目視観察にて5段階の判断基準にて評価した。評価は、3人の評価値を平均し、全面緑色評価を100としたときの指数を緑色指数として表示した。判断基準を表1に、芝草処理内容を表2に、試験結果を表3に示す。
【0010】


【0011】


【0012】


【0013】
表3に示す通り、CCRは施与量15〜750gで緑色回復が認められ、37〜750gにおいて顕著な効果が確認された。また、ベタイン単独による散布よりCCRの散布の方がベタインの含量に換算すると、より効果があった。
【0014】
【実施例2】コウライシバのターフを試験圃場として、表4の芝草処理内容にて平成13年10月上旬から11月下旬にかけ緑度保持試験を実施した。表4の試験番号3、4の量を各々水1Lの割合で溶解し、それを圃場1平方メートル当たりにほぼ均一に散布施与した。尚、コントロールとして試験番号1、2に示すように水1Lと、ベタイン10gを水1Lに溶解したものを用いた。処理液散布後2週間毎に芝草の緑度変化を調査した。緑度の評価は、5m×5mの試験区を0.5m×0.5mの100区に区切り、3人の調査員が目視観察にて表1の緑度判定基準により評価した。結果は、3人の評価値を平均し、全面緑色評価を100(開始時)とした時の指数を緑色指数として表示した。結果を表5に示す。
【0015】


【0016】


【0017】
表5に示す通り、無処理区、ベタイン散布区では10月初旬から11月下旬にかけて緑色指数が低下した。一方、CCR散布区では、11月1日以降無処理区、ベタイン区を上回る緑色指数を示し、顕著な緑色維持効果が確認された。また、この緑色維持効果について、CCR散布区はベタイン散布区より顕著な優位性があった。
【0018】
【発明の効果】
製糖副産品を有効成分とする芝草の緑度回復剤を適用することにより、厳寒期(12月〜2月)を越冬した芝草の春先における緑度回復時期を早めることができる。また、維持剤を芝草の退色開始前又は退色初期に適用することにより、緑度保持期間を延長させることができる。製糖副産品は砂糖分を回収した残りの産物であるため、食品にも利用できるものであり、環境汚染の問題もなく、散布時の人体に悪影響を与えることも全くない。従来、一部は排水処理等により処分されていた製糖副産品を有効利用する点で優れた発明である。
【出願人】 【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目3番13号
【出願日】 平成14年8月5日(2002.8.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−65074(P2004−65074A)
【公開日】 平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願番号】 特願2002−227574(P2002−227574)