| 【発明の名称】 |
ヨシ類生育用湿地 |
| 【発明者】 |
【氏名】上野 成三 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】高山 百合子 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】織田 幸伸 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】勝井 秀博 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成建設株式会社内
【氏名】林 文慶 【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内
【氏名】田中 昌宏 【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内
【氏名】新保 裕美 【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内
【氏名】池谷 毅 【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ヨシ類が好適に生育できる湿地を提供する。
【解決手段】ヨシ類が生育するヨシ類生育用湿地において、地下水面深さと、没水深と、土壌間隙水中の塩分と、土壌の強熱減量と、土壌厚さと、土壌粒径とを、ヨシ類の生育に適した範囲に調整してなることを特徴とするヨシ類生育用湿地である。地下水面深さを0cm以上37cm未満の範囲内、没水深を0cm以上140cm未満の範囲内、土壌間隙水中の塩分を0PSUより大きく25PSU未満の範囲内、土壌の強熱減量を0%より大きく60%未満の範囲内、土壌厚さを50cm以上、土壌粒径を0mmより大きく5.0mm未満の範囲内としてなることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヨシ類が生育するヨシ類生育用湿地において、 地下水面深さと、没水深と、土壌間隙水中の塩分と、土壌の強熱減量と、土壌厚さと、土壌粒径とを、ヨシ類の生育に適した範囲に調整してなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。 【請求項2】 請求項1のヨシ類生育用湿地において、 前記地下水面深さを0cm以上37cm未満の範囲内としてなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。 【請求項3】 請求項1又は請求項2のいずれか1項のヨシ類生育用湿地において、 前記没水深を0cm以上140cm未満の範囲内としてなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれか1項のヨシ類生育用湿地において、 前記土壌間隙水中の塩分を0PSUより大きく25PSU未満の範囲内としてなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれか1項のヨシ類生育用湿地において、 前記土壌の強熱減量を0%より大きく60%未満の範囲内としてなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれか1項のヨシ類生育用湿地において、 前記土壌厚さを50cm以上としてなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれか1項のヨシ類生育用湿地において、 前記土壌粒径を0mmより大きく5.0mm未満の範囲内としてなることを特徴とするヨシ類生育用湿地。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ヨシ類生育用湿地に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 近年、海や河川、湖沼等の沿岸部の埋め立てに際して、既存の生態系への影響を緩和するミティゲーション(代償)が環境保護の面から求められている。この沿岸部の環境を構成する要素の1つに、ヨシが挙げられる。 ヨシはイネ科の多年草であり、アシと呼ばれることもある。このヨシは水湿地に自生し、地中に根茎を走らせヨシ原を形成する。また、ヨシと類似する植物にはアイアシがある。ヨシとアイアシとは葉の形状が異なり、ヨシの葉には線が入っているが、アイアシの葉には線が入っていないという特徴がある。さらに、アイアシにおいては、もとより個体数が限られており、その数は減少傾向にあるため、より一層の保護が求められる。 【0003】 このヨシやアイアシ等のヨシ類が形成するヨシ原は、水鳥や魚等の他の生物の生息場所であると共に、沿岸の浸食を防止するほか、水質保全にも役立つ等様々な働きをもっている。 そこで、海や河川、湖沼等において破壊された生態系の復元、創出を目的として、又はヘドロや汚水等が現存する汚濁地域において浄化等を目的として、ヨシ類が生育する湿地を人工的に造成又は改良する試みが日本各地で行われており、さらにはヨシの保護に関する条例等を制定し、その保護に努めている自治体もある。 【0004】 従来、このヨシ類を生育するための湿地を造成又は改良(以下、「造成」と称す。)するとき、既存のヨシ原の調査結果や既往の知見から、造成する場所に応じて必要とする環境因子を選定し、どのように造成すれば良いかを検討していた。すなわち、湿地の造成毎に様々な環境因子の中から考慮する因子を選択するため、その度毎に考慮する環境因子が異なっていた。これらの環境因子について、個別的には様々な研究が進められているが、統一し確立された技術は一般的に知られていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 したがって、湿地の造成計画の段階において、環境因子の選択に非常に時間が費やされ、その上、ある環境因子について好適な条件を満たす湿地を造成しても、その他の環境因子の要因によりヨシ類が好適に生育しない場合もあるという問題が生じていた。 【0006】 そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、ヨシ類が好適に生育できる湿地を提供することを課題としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、ヨシ類が生育するヨシ類生育用湿地において、地下水面深さと、没水深と、土壌間隙水中の塩分と、土壌の強熱減量と、土壌厚さと、土壌粒径とを、ヨシ類の生育に適した範囲に調整してなることを特徴とするヨシ類生育用湿地である。 【0008】 ここでヨシ類とはヨシのみでなく、アイアシ等の沿岸部の湿地に生育する植物を含むものとする。 また、地下水面深さとはヨシ類が生育する土壌の地盤表面から地下水面までの深さのことであり、没水深とはヨシ類に被る水の深さである。さらに、土壌間隙水中の塩分(以下、「塩分」ということもある。)とはヨシ類が生育する土壌の間隙水に含まれる塩分であり、その単位であるPSUはPractical Salinity Unitの略である。 土壌の強熱減量(以下、「強熱減量」ということもある。)とは、土壌が恒量となるまで又は一定時間、強熱されたことによって生ずる減少量を重量パーセントで表したものであり、土壌厚さとはヨシ類が生育する土壌の深さ方向の長さであり、土壌粒径とはヨシ類が生育する土壌を構成する土等の粒子の大きさの平均値である。 【0009】 このようなヨシ類生育用湿地によれば、地下水面深さと、没水深と、土壌間隙水中の塩分と、土壌の強熱減量と、土壌厚さと、土壌粒径とをヨシ類の生育に適した範囲に調整してなるので、ヨシ類は好適に生育することができる。 【0010】 また、地下水面深さは、0cm以上37cm未満の範囲内であることが好ましい。没水深は、0cm以上140cm未満の範囲内であることが好ましい。土壌間隙水中の塩分は、0PSUより大きく25PSU未満の範囲内であることが好ましい。 【0011】 さらにまた、土壌の強熱減量は、0%より大きく60%未満の範囲内であることが好ましい。土壌厚さは、50cm以上であることが好ましい。土壌粒径は、0mmより大きく5.0mm未満の範囲内であることが好ましい。 【0012】 ここで、ヨシ類の生育に影響を与える環境因子として各種因子が考えられるが、本願出願人は各種実証を行うことにより、水の環境因子として、地下水面深さと、没水深と、土壌間隙水中の塩分とを、土壌の環境因子として、土壌の強熱減量と、土壌厚さと、土壌粒径とを選定することが適当であることを見出した。 【0013】 また、前記6項目の環境因子の選定の妥当性の判断とその条件範囲の設定とには、アメリカで環境影響評価に利用されている生物生息地適正評価方法(Habitat Evaluation Procedures Model、以下HEPモデルということがある。)を利用した。 このHEPモデルとは、1980年頃アメリカで開発され、環境影響評価を行う際に生物の棲み易さという考え方を基礎とするものである。簡単には、評価の対象とする生物が持続的に生息できる環境因子を選定し、環境因子のそれぞれについて「生物の棲み易さ指標(Suitability Index、以下SIという。)」により点数化を行い環境因子の適正値、限界値を定め、さらにこれらの点数を総合化して一つの数値HSI(Habitat Suitability Index、以下HSIという。)を求め、この値を用いて環境影響を評価する方法である。適正値とは生物が好適に棲み易い状態となる環境因子の解析値であり、限界値とは生物が棲むことができない環境因子の解析値である。 【0014】 まず、このSIによる点数化方法を、前記6項目の環境因子のうち、例えば地下水面深さについて、図2(a)を参照して簡単に説明する。ヨシ類が生育する湿地の複数地点について地下水面深さとヨシ類のバイオマスとの関係を二次元座標にプロットする。ここで、バイオマスとは、任意の時点にある任意の空間内に存在する生物の量であり、その単位のgDW/m2は単位面積あたりのヨシ類の乾燥重量を意味する。そして、ヨシ類のバイオマスが最大となる地下水面深さを求めて、点数(SI)=1とし、ヨシ類のバイオマスがゼロ、すなわちヨシ類が生育できない地下水面深さを求めて、点数(SI)=0とする。 さらに、計測誤差や異常値等によるデータのばらつきを考慮した上で、全データの抱絡線と近似した形状となるように、最適地下水面深さと不適地下水面深さとの間を直線又は曲線等で補完することにより、ヨシ類のバイオマスに対する地下水面深さを点数化した地下水面深さSI曲線が作成される。 そして、この地下水面深さSI曲線より、地下水面深さ(cm)<37の範囲では、地下水面深さSI>0となり、ヨシ類のバイオマス>0となることが分かる。すなわち、地下水面深さが37cm未満の湿地では、ヨシ類は生育できることを意味する。特に、地下水面深さが17cm以下の範囲では、地下水面深さSI=1となり好ましい。 つまり、地下水面深さが37cm以上では土壌が乾燥してしまい、ヨシ類は全く生育できなくなり、一方、地下水面深さが17cm以下では土壌水分は適正であり、ヨシ類の生育阻害は起きず、バイオマスは常に最大であることを意味する。よって、地下水面深さにおいては、37cmが限界値、17cmが適正値となる。 【0015】 次に、図2(b)〜(c)に、地下水面深さと同様の方法で求めた没水深と土壌間隙水中の塩分とのSI曲線をそれぞれ示す。なお、各SI曲線は、既存データの傾向及びばらつき等を考慮した上で、全データの抱絡線と近似した形状となるように作成した。これより、没水深(cm)<140の範囲では、没水深SI>0に、土壌間隙水中の塩分(PSU)<25の範囲では土壌間隙水中の塩分SI>0となることがわかる。 特に、没水深が50cm以下の範囲では、没水深SI=1となり、また、土壌間隙水中の塩分が11PSU以下の範囲では、土壌間隙水中の塩分SI=1となり好ましい。 【0016】 次に、図3(a)〜(c)に同様の方法で求めた土壌の強熱減量、土壌厚さ及び土壌粒径のSI曲線をそれぞれ示す。以上と同様に、0<土壌の強熱減量(%)<60の範囲では、土壌の強熱減量SI>0に、0<土壌厚さ(cm)の範囲では、土壌厚さSI>0に、0<土壌粒径(mm)<5.0の範囲では、土壌粒径SI>0となることがわかる。 特に、土壌の強熱減量が5%以上20%以下の範囲では、土壌の強熱減量SI=1となり、また、土壌厚さが50cm以上の範囲では土壌厚さSI=1となり、さらにまた、土壌粒径が0.02mm以上0.3mm以下の範囲では土壌粒径SI=1となり好ましい。 【0017】 さらに、前記6項目の環境因子に対して得られた6種類のSI曲線を基礎として、評価地点毎に地下水面深さ、没水深、土壌間隙水中の塩分、土壌の強熱減量、土壌厚さ、土壌粒径を測定し、図2及び図3に記載されるSI曲線に基づいて各測定値の点数(SI)を求め、それぞれを地下水面深さSI、没水深SI、土壌間隙水中の塩分SI、土壌の強熱減量SI、土壌厚さSI、土壌粒径SIとする。 そして、前記6項目の環境因子はヨシ類のバイオマスに対する影響の度合いは同程度であるとし、評価地点毎に得られた各環境因子のSIの積としてHSIを算出する(式(1)参照)。 【0018】 HSI=地下水面深さSI×没水深SI×土壌間隙水中の塩分SI×土壌の強熱減量SI×土壌厚さSI×土壌粒径SI・・・(1) 【0019】 このような方法で算出した評価地点毎のHSIと、そのHSIに対応する評価地点毎のヨシ類のバイオマスとを二次元座標上にプロットしたものが図4である。図4に示される様に、HSIとヨシ類のバイオマスとの間には線形関係があり、その相関係数はR2=0.66と高いので相関性があることが分かる。 【0020】 したがって、ヨシ類生育用湿地を評価するに際して、環境因子として、地下水面深さ、没水深、土壌間隙水中の塩分、土壌の強熱減量、土壌の厚さ、及び土壌粒径の6項目を選定し、各評価地点のSIをそれぞれ算出し、HSIにより評価することは妥当であることが実証されている。ゆえに、前記6項目はヨシ類が安定して生育するための環境因子を過不足なく備えており、前記6項目を適性に調整することにより、ヨシ類の生育に適した湿地を提供することができると考えられる。 【0021】 以上より、本発明に記載する6項目の環境因子について、全ての条件を満足する湿地は、前記式(1)においてHSI>0となり、よって図4においてヨシ類のバイオマス>0となるため、このような湿地においてヨシ類は生育することとなる。特に、前記6項目の環境因子について、それぞれSI=1となる条件を満足することが好ましい。 【0022】 【発明の実施の形態】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。 なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。 【0023】 図1は、本発明に係るヨシ類生育用湿地を造成するフローチャートを示す。ステップS1〜ステップS6はヨシ類生育用湿地のHEPモデルに基づき、所望のヨシ類生育用湿地に適する環境条件(0<SI≦1)、好ましくはSI=1となる適値を求める処理を示す。 【0024】 (地下水面深さ) まずステップS1において、所望のヨシ類に対する地下水面深さの適値を検出する。具体的には図2(a)を参照して説明する。 事前に既存ヨシ原に対して調査を行い、得られた複数の情報のうち、ヨシ類のバイオマスと、ヨシ類が生育する土壌中の地下水面深さとを二次元座標上にプロットする。そして、ヨシ類のバイオマスが最大となる地下水面深さを求めて、点数(SI)=1とし、ヨシ類のバイオマスがゼロ、すなわちヨシ類が生育できない地下水面深さを求めて、点数(SI)=0とする。さらにそして、データのばらつき等を考慮し、全データの抱絡線と近似した形状となるように、最適地下水面深さと不適地下水面深さとの間を直線又は曲線等で補完することにより、ヨシ類のバイオマスに対する地下水面深さを点数化した地下水面深さSI曲線が作成される。 【0025】 これより、0≦地下水面深さ(cm)≦17の範囲では、ヨシ類のバイオマス=10000(gDW/m2)と最大で一定となり、一方、37≦地下水面深さ(cm)の範囲ではヨシ類のバイオマス=0(gDW/m2)と最小で一定となる。すなわち、地下水面深さ(cm)<37の範囲であればヨシ類は生育し、特に地下水面深さ(cm)≦17の範囲では特に好適に生育し、一方、37≦地下水面深さ(cm)の範囲ではヨシ類は全く生育できないことを意味する。 したがって、ヨシ類生育用湿地を造成する際、一般的に地下水面深さを調整することは困難とされるため、湿地への土の搬入、搬出等適宜な作業を行い、地下水面深さを17cm以下とするヨシ類生育用湿地を造成することにより、ヨシ類が好適に生育可能となる。 【0026】 (没水深) 次にステップS2において、ヨシ類に対する没水深の適値を検出する。具体的には図2(b)を参照して説明する。 没水深について、地下水面深さの適値を検出した方法と同様の方法を利用することにより、図2(b)に示すSI曲線を得ることができる。これより、没水深(cm)<140の範囲であればヨシ類は生育し、特に没水深(cm)≦50の範囲では好適であり、一方、140≦没水深(cm)の範囲では生育できないことを意味する。 したがって、湿地に石積みや土留潜提を設けて、さらに土砂を投入して地盤の嵩上げを行い、没水深を50cm以下であるヨシ類生育用湿地を造成することにより、ヨシ類が好適に生育可能となる。 【0027】 また以上より、ヨシ類が生育する土壌の表面を基準面とし、垂直方向においてヨシ類の葉が生育する気中方向を正、ヨシ類の根が生育する地中方向を負とすると、水面が−37<水面(cm)<140の範囲で、ヨシ類は生育し、特に−17≦水面(cm)≦50の範囲でより好適に生育することとなる。 ステップS1において特に適値とされる地下水面深さの下限値については言及していないが、地下水面深さ(cm)≦0とは、当然ではあるが、ヨシ類が水を被るということを意味する。すなわち、地下水面深さが0(cm)であっても(同時に、没水深は0(cm)である)、ヨシ類は好適に生育することができる。 【0028】 (土壌間隙水中の塩分) 次にステップS3において、所望のヨシ類に対する土壌間隙水中の塩分の適値を検出する。具体的には図2(c)を参照して説明する。 土壌間隙水中の塩分について、地下水面深さの適値を検出した方法と同様の方法を利用することにより、図2(c)に示すSI曲線を得ることができる。これより、塩分(PSU)<25の範囲でヨシ類は生育し、特に0≦塩分(PSU)≦11の範囲では好適であり、一方、25≦塩分(PSU)の範囲では生育できないことを意味する。 したがって、人為的に淡水をポンプで土壌中に供給し塩分を低くする等の適宜な方法で土質改良を行い、0≦塩分(PSU)≦11の条件を満たす湿地を造成することにより、ヨシ類が好適に生育可能となる。また、予め0≦塩分(PSU)≦11の条件を満たす土壌や場所を湿地に選択してもよい。 【0029】 (土壌の強熱減量) 次にステップS4において、土壌の強熱減量の適値を検出する。具体的には図3(a)を参照して説明する。 土壌の強熱減量について、地下水面深さの適値を検出した方法と同様の方法を利用することにより、図3(a)に示すSI曲線を得ることができる。これより、0<土壌の強熱減量(%)<60の範囲内にあればヨシ類は生育し、特に5≦土壌の強熱減量(%)≦20の範囲内であれば好適であり、一方、土壌の強熱減量(%)=0、及び60≦土壌の強熱減量(%)の条件ではヨシ類は生育できない。 したがって、土壌の強熱減量が低すぎる場合は、刈り取り後枯れたヨシ類、ヘドロ等の有機物を含有した材料を土壌に投入する等の作業を行い、一方、土壌の強熱減量が60%以上で高すぎる場合は、土壌自体が下水流入等で汚染されている可能性があるので、土壌の入れ替え等の方法で適宜な作業を行う。このような作業により、土壌の強熱減量を5%以上20%以下の範囲内であるヨシ類生育用湿地を造成することにより、ヨシ類が好適に生育可能となる。 【0030】 (土壌厚さ) 次にステップS5において、ヨシ類が生育する土壌厚さの適値を検出する。具体的には図3(b)を参照して説明する。 土壌厚さについて、地下水面深さの適値を検出した方法と同様の方法を利用することにより、図3(b)に示すSI曲線を得ることができる。これより、0<土壌厚さ(cm)の範囲、すなわち土壌が存在すればヨシ類は生育可能であり、特に50≦土壌厚さ(cm)の範囲ではより好適であり、一方当然ではあるが土壌厚さ(cm)=0ではヨシ類は生育できないことを意味する。 したがって、ステップS1と同様に土の搬入、搬出等適宜な作業を行い、土壌厚さを50cm以上とするヨシ類生育用湿地を造成することにより、ヨシ類が好適に生育可能となる。 【0031】 (土壌粒径) 次にステップS6において、ヨシ類が生育する土壌粒径の適値を検出する。具体的には、図3(c)を参照して説明する。 地下水面深さの適値を検出した方法と同様の方法を利用することにより、図3(c)に示すSI曲線を得ることができる。これより、0<土壌粒径(mm)<5.0の範囲内であればヨシ類は生育し、特に0.02≦土壌粒径(mm)≦0.3であれば好適であり、一方、土壌粒径(mm)=0、及び5.0<土壌粒径(mm)ではヨシ類は生育できないことを意味する。 したがって、湿地を造成する際に、ふるい試験等適宜な作業を行い、粒度を調整し、土壌粒径を0.02mm以上0.3mm以下とするヨシ類生育用湿地を造成することにより、ヨシ類が好適に生育可能となる。 【0032】 次に、ステップS7において湿地の造成を終了するか否かを判断し、湿地の造成を継続する場合はステップS1に戻り、ステップS1〜ステップS6を繰り返す。 【0033】 したがって、以上の6項目の環境因子すべてについて、SI>0となるヨシ類が生育可能な条件、さらには各々の環境因子についてSI=1となる条件を満足する湿地を造成することにより、ヨシ類は好適に生育することができる。 【0034】 以上、本発明の好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。 【0035】 【発明の効果】 本発明によれば、ヨシ類が好適に生育できる湿地を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るヨシ類生育用湿地の造成のフローチャートである。 【図2】本発明に係るヨシ類生育用湿地の生物生息地適性評価モデルを示すグラフであり、(a)は地下水面深さとヨシ類のバイオマスと地下水面深さSIとの関係を示すもの、(b)は没水深とヨシ類のバイオマスと没水深SIとの関係を示すもの、(c)は土壌間隙水中の塩分とヨシ類のバイオマスと土壌間隙水中の塩分SIとの関係を示すものである。 【図3】本発明に係るヨシ類生育用湿地の生物生息地適性評価モデルを示す他のグラフであり、(a)は土壌の強熱減量とヨシ類のバイオマスと土壌の強熱減量SIとの関係を示すもの、(b)は土壌厚さとヨシ類のバイオマスと土壌厚さSIと関係を示すもの、(c)は土壌粒径とヨシ類のバイオマスと土壌粒径SIとの関係を示すものである。 【図4】本発明に係るヨシ類生育用湿地の生物生息地適性評価モデルのさらに他の説明図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000206211 【氏名又は名称】大成建設株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 【識別番号】000001373 【氏名又は名称】鹿島建設株式会社 【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号
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| 【出願日】 |
平成14年8月5日(2002.8.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064414 【弁理士】 【氏名又は名称】磯野 道造
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| 【公開番号】 |
特開2004−65056(P2004−65056A) |
| 【公開日】 |
平成16年3月4日(2004.3.4) |
| 【出願番号】 |
特願2002−226809(P2002−226809) |
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