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【発明の名称】 緑化用保水ボード
【発明者】 【氏名】冨岡 久貢
【住所又は居所】茨城県土浦市東中貫町5−3 ロンシール工業株式会社土浦事業所内

【氏名】佐野 真哉
【住所又は居所】茨城県土浦市東中貫町5−3 ロンシール工業株式会社土浦事業所内

【氏名】品田 泰明
【住所又は居所】茨城県土浦市東中貫町5−3 ロンシール工業株式会社土浦事業所内

【要約】 【課題】余剰水の拡散及び排水を効率的に行える上、土壌内へ空気を導くことができる緑化用保水ボードを提供する。

【解決手段】表面に複数の保水凹部10を形成した緑化用保水ボードであって、前記複数の保水凹部10間の仕切り壁a2の上面に、略水平方向へ延びる通水通気溝21を形成することで、余剰水を拡散及び排水し易くするとともに土壌内へ空気を導くための空間部を確保した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の保水凹部を形成した緑化用保水ボードであって、
前記複数の保水凹部間の仕切り壁の上面に、略水平方向へ延びる通水通気溝を形成したことを特徴とする緑化用保水ボード。
【請求項2】
上記通水通気溝の底面に、裏面側へ貫通する排水通気孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の緑化用保水ボード。
【請求項3】
隣り合う上記保水凹部の上側部位間に、これら保水凹部同士を連通する保水凹部間連通溝を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化用保水ボード。
【請求項4】
複数の当該緑化用保水ボードが側面同士で接合されるように、対峙する一方の側面に嵌合部を形成するとともに、他方の側面には、前記嵌合部へ凹凸状に嵌り合う被嵌合部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の緑化用保水ボード。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の屋上や一般住宅のベランダ等に敷設され、植物を栽培するための土壌が堆積される緑化用保水ボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部のヒートアイランド現象の緩和、CO2削減等の環境対策の一環として、建物の屋上やベランダ等に軽量土壌を堆積し、花、草、木等を栽培するという緑化への動きが盛んになっている。
従来、建物の屋上やベランダ等に軽量土壌を堆積するために敷設されるマットとして、例えば、特開2000−14246号公報に開示された屋上緑化用保水マットがある。
このマットは、合成樹脂からなるマットの上面に複数の保水凹部を形成するとともに、これら複数の保水凹部間の仕切り壁の上面にフラット部を形成してなり、散水される水を前記保水凹部によって保持し、前記保水凹部から溢れ出る余剰水を前記フラット部に伝わせて拡散したり排水したりするものである。
【0003】
しかしながら、上記従来技術によれば、マット上面に不織布等からなる保水シートが敷設され、該保水シートの上に土壌が堆積されると、上方向きに突出した前記フラット部の表面に保水シートが強く接触するため、前記フラット部の表面には空間が確保されず、保水凹部から溢れ出る余剰水の拡散及び排水をスムーズに行えないという懸念があった。
また、植物の栽培を促進させるには、上記した余剰水の拡散や排水の他に、土壤内への空気の供給が不可欠であるが、上記従来技術では、土壤内へ空気を導くための工夫がなされていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、余剰水の拡散及び排水を効率的に行える上、土壌内へ空気を導くことができる緑化用保水ボードを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために第一の発明は、表面に複数の保水凹部を形成した緑化用保水ボードであって、前記複数の保水凹部間の仕切り壁の上面に、略水平方向へ延びる通水通気溝を形成したことを特徴とする。
【0006】
更に、第二の発明は、上記通水通気溝の底面に、裏面側へ貫通する排水通気孔を形成したことを特徴とする。
更に、第三の発明は、隣り合う上記保水凹部の上側部位間に、これら保水凹部同士を連通する保水凹部間連通溝を形成したことを特徴とする。
更に、第四の発明は、複数の当該緑化用保水ボードが側面同士で接合されるように、対峙する一方の側面に嵌合部を形成するとともに、他方の側面には、前記嵌合部へ凹凸状に嵌り合う被嵌合部を形成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態である緑化用保水ボードAの一例を図面に基づいて説明する。
緑化用保水ボードAは、ポリスチレン樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂からなる発泡成形体であり、その表面に、複数の保水凹部10、XY方向に延在する通水通気溝21,22、該通水通気溝の底面に配設された排水通気孔30、隣り合う前記保水凹部10を連通するXY方向の保水凹部間連通溝41,42等を形成するとともに、裏面に排水通気溝50を形成し、更に、側面には、嵌合部71及び被嵌合部72を形成している。
【0008】
保水凹部10は、平面視矩形状の有底孔であり、その底部側に、縦断面逆台形状に狭められた貯溜部11を有する。
尚、保水凹部10の幅寸法(図1におけるX方向の寸法)は、特に限定されるものではないが、該保水凹部10内へパーライトや、焼成土、軽石等の多孔質粒土が挿入され易くする観点から10mm以上とし、且つ作業時に歩行し易く、しかも挿入された前記多孔質粒土が踏み潰され割れることがないように、70mm以下とすることが好ましく、本実施の形態の特に好ましい一例によれば、25〜50mmの範囲内に設定されている。
【0009】
そして、この保水凹部10は、仕切り壁a1,a2,a3を介して、当該緑化用保水ボードのX方向及びY方向(図1参照)に複数配置されている。
【0010】
前記仕切り壁a1は、Y方向に並ぶ保水凹部10,10間を仕切っており、その上面には、X方向の通水通気溝21が形成される。
前記仕切り壁a2及びa3は、X方向に並ぶ保水凹部10,10間を仕切っている。そして、一方の仕切り壁a2は、他方の仕切り壁a3よりも幅が広く、二つの保水凹部10,10毎に配置され、該仕切り壁a2の上面には、Y方向の通水通気溝22が形成される。
【0011】
X方向及びY方向の通水通気溝21,22は、それぞれが縦断面凹字状の溝であり、略水平方向へ延在している。
そして、X方向の通水通気溝21の底面には、該通水通気溝21とY方向の通水通気溝22との交差部位を含むようにして、所定間隔置きに排水通気孔30が形成されている。
【0012】
尚、本実施の形態の一例によれば、上記通水通気溝21,22を仕切り壁a1,a2の上面に設けることで、正方形の格子状に通水通気溝21,22を配置し、これら通水通気溝21,22によって形成される各格子内に、二つの保水凹部10が配設されるようにしたが、更に仕切り壁a3の上面に通水通気溝を形成して、いっそう通水通気性を向上するようにしても構わない。
【0013】
排水通気孔30は、X方向の通水通気溝21の底面から、当該緑化用保水ボードAの裏面側の排水通気溝50の上面まで貫通されており、排水通気溝50から通水通気溝21,22への空気の導入、及び通水通気溝21,22から排水通気溝50への排水を可能にしている。
【0014】
X方向及びY方向の保水凹部間連通溝41,42は、隣り合う保水凹部10,10の上側部位12,12間に、これら保水凹部10,10同士を連通するようにして形成される。X方向の保水凹部間連通溝41は、Y方向の通水通気溝22及び仕切り壁a2,a3を分断し、また、Y方向の保水凹部間連通溝42は、X方向の通水通気溝21及び仕切り壁a1を分断している。
そして、これら保水凹部間連通溝41,42は、保水凹部10の下側部位である貯溜部11から溢れ出る余剰水を、XY方向に隣り合う他の保水凹部10へ分散する。
【0015】
排水通気溝50は、当該緑化用保水ボードAの裏面側に、少なくとも上記排水通気孔30と交差状に配設されることで、排水通気孔30へ導入される空気を確保したり、通水通気溝21,22から排水通気孔30へ流入した水を排水したりするための通路となる。
この排水通気溝50は、本実施の形態の好ましい一例によれば、X方向の通水通気溝21とY方向の通水通気溝22とにそれぞれ対応するように、当該緑化用保水ボードの裏面側に配設され、該溝50内の上面に、排水通気孔30の下端開口部が配置されるようにしている。
【0016】
また、当該の緑化用保水ボードAの外周側面には、複数の当該緑化用保水ボードが側面同士で接合されるように、対峙する一方の側面に嵌合部71を形成するとともに、他方の側面には、前記嵌合部71へ凹凸状に嵌り合う被嵌合部72を形成している(図2(a)(b)参照)。
【0017】
嵌合部71は、当該緑化用保水ボードAの側面の上半部を外方へ突出させるとともに、同側面の下半部を内方へ凹ませた形状を呈し、本実施の形態の一例によれば、X方向の両側面の内の一方と、Y方向の両側面の内の一方とに、それぞれ形成されている。
【0018】
被嵌合部72は、前記嵌合部71へ凹凸状に嵌り合うように、当該緑化用保水ボードAの側面の上半部を内方へ凹ませるとともに、同側面の下半部を外方へ突出させた形状を呈し、前記X方向の両側面の内の他方と、前記Y方向の両側面の内の他方とに、それぞれ形成されている。
【0019】
尚、嵌合部71及び被嵌合部72の形状は、本実施の形態に限定されるものでなく、例えば、嵌合部を縦断面凸字状に形成するとともに、前記嵌合部に嵌り合う縦断面凹字状に形成しても構わない。
【0020】
次に、上記構成の緑化用保水ボードAを用いて、建物の屋上で植物を栽培するようにした一例について、図3に基づいて詳細に説明する。
先ず、建物の屋上の下地コンクリート61上に、防水層62と絶縁シート63とが順に敷設され、該絶縁シート63の上に緑化用保水ボードAが敷設される。通常、建物の屋上の下地コンクリート61上などに敷設される防水層としては、アスファルトからなるアスファルト防水層、ウレタンなどを塗布してなる塗膜防水層、塩化ビニル系,オレフィン系,アクリル系などの樹脂製シートからなるシート防水層などがあり、この際、絶縁シート63は敷設しないこともあるが、緑化用保水ボードAが防水層62との接触で悪影響を受けるような場合には、防水層62と緑化用保水ボードAとの間に絶縁シート63を敷設する。すなわち、例えば、防水層62が塩化ビニル系シート防水層からなり緑化用保水ボードAがポリスチレン樹脂系の発泡成形体からなる場合、塩化ビニル系シートに添加されている可塑剤が緑化用保水ボードAのポリスチレン樹脂系に移行して、緑化用保水ボードAを変形してしまうことがあるので、そのような場合に絶縁シート63を敷設する。従って、絶縁シートとしては、前記した悪影響を避けるため、通常ポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタンなどのシートまたは発泡シートが使用される。
そして、緑化用保水ボードAの保水凹部10内に、パーライトや、焼成土、軽石等の保水性を有し且つ軽量な多孔質粒土64が挿入され、更にその上に、不織布からなる保水シート65が敷設され、該保水シート65の上面には土壌66が堆積される。
【0021】
上記構成によれば、通水通気溝21,22によって、保水シート65の下面と通水通気溝21,22の底面との間に空間が確保され、この空間が、排水通気孔30を介して当該緑化用保水ボードA裏面側の排水通気溝50内の空間と連通する。
したがって、排水通気溝50から排水通気孔30を介して導入される空気は、通水通気溝21,22によって水平方向へ拡散され、上方の保水シート65を通過して土壌66内へ染み渡ることになる。
また、土壌66への散水が行われた際には、保水凹部10の貯溜部11(図1及び2参照)に水が貯溜されるとともに、保水凹部10内の余剰水が保水凹部間連通溝41によって隣り合う保水凹部10へ次々と分散されて行く。
また、土壌66への散水量が過剰な場合には、保水凹部10から溢れ出た余剰水が、通水通気溝21,22に流入して、水平方向へ拡散されるとともに、排水通気孔30内と排水通気溝50内を順に流通して、当該緑化用保水ボードAの端部から排水されることになる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
第一の発明によれば、保水凹部間の仕切り壁の上面に略水平方向へ伸びる通水通気溝を形成しているため、前記仕切り壁の上面に不織布からなる保水シートが敷設され、該保水シートの上に土壌が堆積された場合でも、保水シートの下面と通水通気溝の底面との間に空間が確保される。
そして、この空間は、当該緑化用保水ボード上の土壌への散水量が多すぎるときには、保水凹部から溢れ出る余剰水を、水平方向へ拡散したり当該緑化用保水ボードの端部へ導いて排水したりする通水路となり、散水量が少なく保水凹部から溢れ出る余剰水が無いときには、植物の育成に不可欠な空気を確保すとともに該空気を水平方向へ拡散し土壌内へ導くための通気路となる。
よって、余剰水の拡散及び排水を効率的に行える上、土壌内へ空気を導くことができ、ひいては植物の栽培を飛躍的に促進させることができる。
【0023】
更に、第二の発明によれば、排水通気孔が、通水通気溝内の余剰水を当該緑化用保水ボードの裏面側へ排水したり、当該緑化用保水ボードの裏面側から通水通気溝へ空気を導いたりするため、余剰水の排水効率を向上できる上、土壌内への空気の導入をいっそう確実にすることができる。
しかも、排水通気孔が通水通気溝の底面に配設されているため、当該緑化用保水ボードの上面に保水シートが敷設されたとしても、該保水シートの下面と通水通気溝の底面との間に確保される空間によって、排水通気孔の上端開口部が保水シートにより塞がれてしまうのを防止することができる。
【0024】
更に、第三の発明によれば、保水凹部に溜まる水を、上記通水通気溝及び上記排水通気孔によって拡散したり排出したりする前に、保水凹部間連通溝によって隣り合う保水凹部へ次々と分散することができる。
しかも、保水凹部内の余剰水が通水通気溝へ流入し難くなるため、通水通気溝による空気の確保及び拡散効果と、排水通気孔による空気の導入効果とを向上することができる。
【0025】
更に、第四の発明によれば、複数の当該緑化用保水ボードの接続を凹凸状に嵌り合う嵌合部及び被嵌合部によって確実に行えるようにしたため、接続箇所が保水凹部間連通溝にかかっていたとしても、該接続箇所からの水漏れのために保水凹部間連通溝による余剰水の分散効果が損なわれるようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる緑化用保水ボードの一例を示す斜視図であり、要部を切欠して示している。
【図2】二つの同緑化用保水ボードを接続させている状態を示す要部断面図であり、(a)は図1における(a)−(a)線に沿う断面で示し、(b)は図1における(b)−(b)線に沿う断面で示している。
【図3】同緑化用保水ボードを用いて屋上で植物を栽培している状態を示す断面図。
【符号の説明】
10:保水凹部          12:上側部位
a1,a2,a3:仕切り壁    21,22:通水通気溝
30:排水通気孔         41,42:保水凹部間連通溝
50:排水通気溝         A:緑化用保水ボード
【出願人】 【識別番号】000010010
【氏名又は名称】ロンシール工業株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区緑四丁目15番3号
【出願日】 平成14年7月22日(2002.7.22)
【代理人】 【識別番号】100109955
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 貞行

【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男

【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房

【公開番号】 特開2004−49137(P2004−49137A)
【公開日】 平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願番号】 特願2002−212568(P2002−212568)