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【発明の名称】 紙筒用育苗培地
【発明者】 【氏名】大竹 勝
【住所又は居所】北海道河西郡芽室町東芽室基線26番地 日本甜菜製糖株式会社農務部農技開発課内

【要約】 【課題】紙筒を用いた育苗栽培において、軽量であり、初期発芽率の良好な育苗培地を提供する。

【解決手段】絶対含水量8〜34ml/100mlの籾殻と土壌、肥料を混合する。更に、ピート(調整泥炭)、ピートモス、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、木炭、籾殻燻炭、堆肥、動物性肥料からなる群より選ばれる1種又は2種以上の培地改良材、を混合することにより、発芽率が向上する。籾殻と土壌の容量比が1対3〜3対1であること、培地改良材の含有量が籾殻当たり12〜28容量%であることがより好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶対含水量が8〜34ml/100mlの籾殻、土壌、肥料、を混合してなる紙筒用育苗培地。
【請求項2】
絶対含水量が8〜34ml/100mlの籾殻、土壌、肥料、そしてピート(調整泥炭)、ピートモス、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、木炭、籾殻燻炭、堆肥、動物性肥料からなる群より選ばれる1種又は2種以上の培地改良材、を混合してなる紙筒用育苗培地。
【請求項3】
培地改良材の含有量が籾殻当たり12〜28容量%であることを特徴とする請求項2記載の紙筒用育苗培地。
【請求項4】
籾殻と土壌の容量比が1対3〜3対1であることを特徴とする請求項1〜3記載の紙筒用育苗培地。
【請求項5】
籾殻が擂潰した籾殻であることを特徴とする請求項1〜4記載の紙筒用育苗培地。
【請求項6】
請求項1〜5記載の紙筒用育苗培地で育苗した甜菜の苗。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、紙筒を用いた育苗栽培において、軽量であり、初期発芽率の良好な育苗培地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
育苗に紙筒を使用している野菜農家や北海道甜菜栽培農家等では、近年規模拡大が序々に進んでおり、また、労働に従事する人が女性や老人に委ねられることが多くなっている。このため、紙筒用育苗培地の軽量化への要望が強い。従来、紙筒用の土壌として、畑土壌を使用したり、購入培地を使用しているが、重量が重かったり、購入価額が高価であったり、種々の問題点があった。このような欠点を補うために紙筒用の培地資材の選定条件としては、▲1▼大量に入手可能であり、かつ安価であること、▲2▼軽量であること、▲3▼良好な苗生育が得られること、を条件に選定を行うことが必要である。また、用途が紙筒用培地ということもあり、特有の性能が必要になってくる。紙筒苗を圃場に移植する際、培地土壌の落下や紙筒の中折れ等が少ないことも必要であり、移植に手間が掛からずスムーズに高速で行い能率を上げることができるような培地が必要である。
従来、土壌に生分解性樹脂、籾殻、椰子殻、ピート等が混合され、軽量用培地として使用されているが、発芽率が悪く、苗の大きさが不揃いであったり、培地として高価であるため、混合割合を増加できなく、軽量化を達成できない等紙筒用培地としての条件を十分満足するものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量であり、育苗時の初期発芽が良く、苗の生育が良く、苗揃いの良い健常な苗を作るための培地であって、更に、苗の移植の際、紙筒からの培土の落下等が生じない紙筒用培地の創製を課題とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記条件を満足するような紙筒用育苗培地として、種々の素材について鋭意検討した結果、第一発明として、絶対含水量8〜34ml/100mlの籾殻、土壌、肥料、を混合してなる紙筒用育苗培地を、第二発明として、絶対含水量8〜34ml/100mlの籾殻、土壌、肥料、そしてピート(調整泥炭)、ピートモス、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、木炭、籾殻燻炭、堆肥、動物性肥料からなる群より選ばれる1種又は2種以上の培地改良材を混合してなる紙筒用育苗培地、を新たに創製した。そして、籾殻と土壌の容量比が1対3〜3対1であることが好ましい。更に、育苗培地に培地改良材を混合することにより発芽率向上の効果があり、培地改良材の含有量が籾殻当たり12〜28容量%であることがより好ましい紙筒育苗培地の形態である。これらの各素材の配合割合が紙筒用育苗培地としてより良い効果を生み出す。
【0005】
籾殻は簡単に入手できるうえ、育苗培地として土壌の代替えとして使用できるので、土壌の量を減少させることができ、培地の大幅な軽量化を達成できる。育苗培地に使用する土壌は、病虫害等の発生の恐れのない土、あるいは、畑土を薬剤又は熱等で処理して病害虫等の影響をなくしたもので、水分15〜35重量%程度に調整した土壌であればよい。また、籾殻は未発酵の籾殻を籾殻細粒化装置(擂潰方式、微粉砕方式、蒸砕膨軟方式等)を使用して容積重24〜40g/100ml程度に調整したものに適当量の水を均一に添加した籾殻を使用する。本発明の籾殻は、絶対水量8〜34ml/100mlであれば、どの方式で製造した籾殻も該当する。更に、より好ましい籾殻の絶対水量としては14〜34ml/100ml、最も好ましい籾殻の絶対水量としては17〜34ml/100mlが選択される。
培地に混合する培地改良材は、いずれも保水性、保肥性に優れているものを使用し、発芽率を向上させる。なお、培地改良材としては、動植物質資材、粘土鉱物系資材を使用するが、ピート(調整泥炭)、ピートモス、ブラックピート、ゼオライト、ベントナイト、バーミキュライト、木炭、籾殻燻炭、堆肥、動物性肥料より選ばれる1種又は2種以上のものを使用することができる。堆肥としては、バーク堆肥、鶏糞堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥、馬糞堆肥が含まれる。また、動物性肥料としては、血粉、魚かす、骨粉が含まれる。しかし、保湿性、保肥性の改良に役立つものであればどのような培地改良材でも使用できる。
【0006】
絶対含水量とは、籾殻の容量又は重量に含まれる水の絶対量である。すなわち、籾殻本体に含まれる水量と後から加えた水量の和である。
水分の測定は、一般的な土壌水分等の測定方法であれば良い。例えば、105℃の乾燥炉に48時間放置し、乾燥前後の重量差で求めることができる。
【0007】
本発明の育苗培地は、ビート(甜菜)、野菜、花卉等の紙筒用育苗培地の用途だけではなく、植物(キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー、レタス等の野菜類や菊、カーネーション、トルコキキョウ等の花卉類、大豆等の穀物類)のブロック苗育苗にも好適であり、この培地で育苗された苗はしっかりブロックされ、移植時の培地の崩落を防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について述べる。
【実施例1】
市販の籾殻擂潰装置(株式会社北川鉄工製、ミルクル・ミニGMG150型)を使用し、農家より取得した未発酵の籾殻(水分約10重量%)を繰り返し2回擂潰し、表1の粒度分布の擂潰籾殻を作成した。また、ライスセンターより産出された粉砕籾殻(水分約12重量%)を取得し、これを上記擂潰装置により1回擂潰し、表2の粒度分布の擂潰籾殻を作成した。
【0009】


【0010】
表1の擂潰籾殻100mlに水1、7、14、21、28mlを均一に加え、水分の含んだ擂潰籾殻を作成した。その時の擂潰籾殻の絶対含水量は4、10、17、25、32ml/100mlであった。
【0011】


【0012】
表2の擂潰籾殻100mlに水4、10、20、30、40mlを均一に加え、水分の含んだ擂潰籾殻を作成した。その時の擂潰籾殻の絶対含水量は8、14、24、34、44ml/100mlであった。
【0013】
【実施例2】
擂潰籾殻の絶対含水量を変動させ、土壌:黒ボク土(水分約30%)と擂潰籾殻を容量比4対6で混合した育苗培地を作成し、甜菜の発芽率を調査した。なお、育苗方法は、一般に行われている甜菜の育苗方法に従って行った。その結果を表3に示す。
【0014】


【0015】
発芽率をみると、擂潰籾殻の絶対含水量(ml/100ml)8〜34が発芽率として満足できる適当量である。
【0016】
【実施例3】
次に、擂潰籾殻の絶対含水量(ml/100ml)24のものを使用し、土壌との混合割合による甜菜の育苗調査を行った。この擂潰籾殻と土壌(乾性火山培土、水分26.2%)を容量割合で混合し、さらに紙筒育苗用肥料(苦土、ホウ素、マンガン入りビート育苗複合肥料1号、北海道日産化学製、50kg/紙筒60冊)を混合して培地を作成した。なお、育苗方法は甜菜の標準的な方法で行い、育苗期間は40日行った。その結果を表4に示す。
【0017】


【0018】
甜菜の苗として、葉部及び根部指数90以上が満足する値である。
【0019】
【実施例4】
擂潰籾殻の絶対含水量(ml/100ml)24のものを使用し、この擂潰籾殻と土壌(乾性火山培土、水分25.6%)を容量比6対4で混合した培地を作成し、更に、この培地に培地改良材(ピート:日本甜菜製糖製)を擂潰籾殻当たり7〜33容量%混合し、表5のような配合割合の紙筒用育苗培地を作成し、甜菜の発芽率の調査を行った。その結果を表6に示す。
【0020】


【0021】


【0022】
ピートを混合した育苗培地による発芽率は、擂潰籾殻当たりのピート配合割合12〜28容量%が好適であった。
【0023】
【実施例5】
上記試験番号Dの育苗培地を使用して、40日間育苗した甜菜苗の移植性能調査を行った。サークル鉄工社製、全自動移植機(CAP−2型)を地表に固定し、モーターを駆動させ、苗が地表に落下したときの紙筒からの培土の消失率(土抜け率)を調査した。その結果を表7に示す。
【0024】


【0025】
土抜けは、試験品Dの方が慣行培土より少なく、更に、移植時の紙筒苗の中折れもなく、機械移植における紙筒用培地として適していることがわかった。また、育苗中の紙力低下を観察したが、落下による紙筒の崩壊もなく、紙力に及ぼす影響は慣行培土と同程度であり、充分育苗に耐えられる培地であることが判明した。
【0026】
【発明の効果】
本発明の紙筒用育苗培地は、育苗容器に紙筒を使用するという特殊な条件をカバーできるものであり、培地の軽量化のみならず、発芽を良好に保ちつつ、紙筒からの培地落下を最小限にくい止める培地であるため、機械による移植作業にも耐えることができる。更に、籾殻を使用した培地の欠点である初期発芽率を改善したものである。
【出願人】 【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目3番13号
【出願日】 平成14年7月17日(2002.7.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−49044(P2004−49044A)
【公開日】 平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願番号】 特願2002−208347(P2002−208347)