トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 植物栽培マット及び支持体
【発明者】 【氏名】青山 恭久

【氏名】柏木 安代

【氏名】山崎 正三

【氏名】内田 昭英

【要約】 【課題】 優れた保水性・吸水性を有し、余分な水の排水性・根の通気性に優れ、植物を快適な環境で生育させる。

【解決手段】 ポリエステル系合成繊維を含む繊維22にバインダー繊維24と肥料粒26を分散させた繊維の立体的集合体を、バインダー繊維24が溶融する温度まで加熱した後、プレスし、バインダー繊維24を冷却・硬化させて繊維同士を結合させ繊維の間に無数の空隙を形成させて繊維マット部20とする。支持体30の全上面部に多数満遍なく透孔34を形成する。支持部32の格子の交点の下側に支柱部36を設ける。各支柱部36の下端位置と支持部32との間の空間のうち各支柱部36を除く部分を空間形成部38とする。支持体30の上面部上に接着剤を用いて繊維マット部20を積層結合し、繊維マット部20で生育した植物の根が透孔34を挿通して空間形成部38に張り得るようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
 すのこ状部を備えた支持体における前記すのこ状部の上面部を形成する支持部上に繊維マット部が積層結合してなる植物栽培マットであって、
前記繊維マット部は、合成繊維を含む繊維が立体的に集合され、所定の圧力でプレスされて前記繊維の間に無数の空隙ができる状態で前記繊維の交点がバインダーで結合されてなるものであり、
前記支持体におけるすのこ状部は、前記繊維マット部において生育した植物の根が挿通し得る上方開口の透孔を前記支持部のほぼ全上面部にわたり有すると共に、前記支持部の下方に空間形成部を有し、
その空間形成部は、前記支持体を載置面上に載置した状態において、前記透孔を通じて支持部の下方に伸びた植物の根が張ることができ、隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得、支持体の側方外部との間に空気及び水が流通し得るように支持体の側方外部に開口し、前記透孔は、空間形成部を介して支持体の側方外部と通じるものであることを特徴とする植物栽培マット。
【請求項2】
 上記繊維マット部が、繊維に、バインダーとして低融点のポリエステル系合成繊維が混合され、立体的に集合した繊維が加熱状態でプレスされて、低融点のポリエステル系合成繊維の溶融により繊維同士が結合されてなるものである請求項1記載の植物栽培マット。
【請求項3】
 上記繊維マット部における繊維の空隙に肥料粒が添加されてなる請求項1又は2記載の植物栽培マット。
【請求項4】
 上記繊維マット部を構成する繊維が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑から分離された廃棄繊維である請求項1、2又は3記載の植物栽培マット。
【請求項5】
 上記すのこ状部が、上方開口の透孔を上面部に多数満遍なく有するものである請求項1乃至4の何れかに記載の植物栽培マット。
【請求項6】
 上記空間形成部は、上記支持体を載置面上に載置した状態において、任意の隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得るものである請求項1乃至5の何れかに記載の植物栽培マット。
【請求項7】
 上記支持体を載置面上に載置した状態において上記すのこ状部における支持部を支持する複数の支柱部が、分散配置されてなり、各支柱部の下端位置と支持部との間の空間のうち各支柱部を除く部分が空間形成部である請求項1乃至6の何れかに記載の植物栽培マット。
【請求項8】
 上記空間形成部が、上記支柱部を除く部分において支持体の側方外部に開口する請求項7記載の植物栽培マット。
【請求項9】
 支持体の外周部に、支持体同士を相互に隣接連結し得る連結部を備えた請求項1乃至7の何れかに記載の植物栽培マット。
【請求項10】
 支持体の外周部に、支持体同士を相互に隣接連結し得る連結部を備えており、上記支持体を載置面上に載置した状態において、上記空間形成部が、上記支柱部および/または前記連結部を除く部分において支持体の側方外部に開口する請求項7載の植物栽培マット。
【請求項11】
 上記すのこ状部が、実質上のたわみ又は破壊を生じることなく支持部上に少なくとも成人を支持し得る剛性及び強度を備える請求項1乃至10の何れかに記載の植物栽培マット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
 本発明は、主として、コンクリートやアスファルト等の人工地盤、庭園、公園、ゴルフ場、サッカー場、テニスコート等の競技場の表面緑化に使用される植物栽培マットに関する。
【背景技術】
【0002】
 本発明者は、屋上や庭に構築しているコンクリート面に、芝等の植物を栽培する植物栽培マットを開発した(特開平11−75531号公報[特許文献1])。この公報に記載している植物栽培マットは、図6に示されるように、植物透過立体生育層8の下に栽培床9を積層し、さらに、栽培床9の下に水溜層10を設けている。
【0003】
 植物透過立体生育層8は、太くて硬い繊維の不織布である。この不織布は、たとえば、太さを0.5乃至3mmとするポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ピニル、ポリエチレン等のプラスチック製の透明繊維をカールする形状に変形し、これを立体的に方向性なく集合して、熱圧縮したもの、たとえば、東亜紡織製の「フィルトロン」である。
【0004】
 栽培床9は、短い円筒状に成形した無数の発泡合成樹脂を板状に熱圧縮して結合した合成樹脂発泡体9Aと、この合成樹脂発泡体9Aの貫通部にはめ込んだプラスチックフォームまたは不織布からなる吸水材9Bとを使用している。
【0005】
 水溜層10は、透水性のないプラスチックシート11を、上方に開口する水溜12を設けた形状に成形している。水溜12に水を蓄えて、栽培床9と植物透過立体生育層8に水分を補給する。
【特許文献1】特開平11−75531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
 以上の構造の植物栽培マットは、上に芝マット13を載せて芝を生育できる。ただ、この構造の植物栽培マットは、栽培床に独特の構造のものを使用するので製造コストが極めて高くなる。さらに、この構造の栽培床は、充分な保水性を実現するために、貫通部を設けて不織布等の吸水材をはめこんで固定するなど、手間のかかる製造工程が必要で製造コストがさらに高くなる。また、栽培床が充分な保水性がないために、その下面に水溜層を設ける必要があり、全体として積層枚数が多くなって、施工コストが高くなる欠点がある。
【0007】
 また、水耕栽培の栽培床として、ロックウールやガラス繊維等の無機繊維が使用される。無機繊維自体は耐久性があるので、数年の使用に耐えるが、数年も使用すると、無機繊維が目詰まりして栽培床としての性能が低下する。このため、数年使用すると、栽培床を廃棄して新しいものに交換する必要がある。ロックウールやガラス繊維は、焼却できないので、田畑に投棄して廃棄している。しかしながら、これ等を田畑に投棄すると、微細な繊維となってきらきらと飛散して公害の原因となっている。このため、栽培床を田畑に廃棄する方法は禁止される方向にある。
【0008】
 本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、優れた保水性及び吸水性を有すると共に、余分な水の排水性及び根の通気性に優れ、植物を快適な環境で生育させることができる植物栽培マット、及びその植物栽培マットを容易に形成することができる支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
 上記目的を達成する本発明の植物栽培マットは、
すのこ状部を備えた支持体における前記すのこ状部の上面部を形成する支持部上に繊維マット部が積層結合してなる植物栽培マットであって、
前記繊維マット部は、合成繊維を含む繊維が立体的に集合され、所定の圧力でプレスされて前記繊維の間に無数の空隙ができる状態で前記繊維の交点がバインダーで結合されてなるものであり、
前記支持体におけるすのこ状部は、前記繊維マット部において生育した植物の根が挿通し得る上方開口の透孔を前記支持部のほぼ全上面部にわたり有すると共に、前記支持部の下方に空間形成部を有し、
その空間形成部は、前記支持体を載置面上に載置した状態において、前記透孔を通じて支持部の下方に伸びた植物の根が張ることができ、隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得、支持体の側方外部との間に空気及び水が流通し得るように支持体の側方外部に開口し、前記透孔は、空間形成部を介して支持体の側方外部と通じるものであることを特徴とする。
【0010】
 この植物栽培マットは、支持体を載置面上に載置し、支持部上に積層結合された繊維マット部において植物を生育させる。載置面は、一般的には平坦面であるが、傾斜面とすることもできる。植物の生育は、例えば芝苗等の苗を繊維マット部上に載せて生育させたり、植物栽培マットに植物の種子を蒔き又は埋め込み、それを発芽させて生育させることができる。繊維マット部に直接に種子を蒔いた場合、その上から土や紙等を載せた後に散水して種子を発芽させることが好ましい。
【0011】
 繊維マット部は、合成繊維を含む繊維が立体的に集合され、所定の圧力でプレスして廃棄繊維の間に無数の空隙ができる状態で廃棄繊維の交点をバインダーで結合してなるものであるから、内部に無数の空隙を設けて優れた保水性と吸水性を実現し、植物を快適な環境で生育させることができる。
【0012】
 繊維マット部は支持体におけるすのこ状部の支持部上に積層結合されており、その支持部のほぼ全上面部にわたり、繊維マット部において生育した植物の根が挿通し得る上方開口の透孔を有する。その支持部の下方には空間形成部を有し、その空間形成部は、支持体を載置面上に載置した状態において、透孔を通じて支持部の下方に伸びた植物の根が張ることができ、隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得る。そのため、繊維マット部において生育を開始した植物の根が透孔を通って支持部の下方の空間形成部において縦横に張ることが可能であり、植物の生育が進むことにより、繊維マット部と支持体との結合が漸次強化される。
【0013】
 また、繊維マット部における余分な水は、支持体の支持部のほぼ全上面部にわたり有する上方開口の透孔を通じて空間形成部に流下し、空間形成部は、支持体を載置面上に載置した状態において、支持体の側方外部との間に空気及び水が流通し得るように支持体の側方外部に開口し、而も、透孔は、空間形成部を介して支持体の側方外部と通じるものである。そのため、その水は支持体の側方外部に排水可能であり、空間形成部は通気性が維持されるため、空間形成部において縦横に張った根は、根腐れすることが防がれて植物の生育に好適な環境が得られる。
【0014】
 (1) 繊維マット部を構成する主材料は、合成繊維を含む繊維である。合成繊維と天然繊維が混合したものでもよく、合成繊維のみでもよい。合成繊維としては、ポリエステル系合成繊維、たとえばテトロン(登録商標)が適している。ポリエステル系合成繊維は、強靭で耐久性に富み、而も耐薬品性に優れているので、長期間安定して使用することができる。従って、50重量%以上のポリエステル系合成繊維を含むものとすることが好ましい。さらに好ましくは70重量%以上、最適には80重量%以上である。尤も、ポリアミド系合成繊維やポリアクリル系合成繊維等の他種の合成繊維であってもよい。
【0015】
 上記繊維マット部を構成する繊維は、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑から分離された廃棄繊維であることが望ましい。縫製工場等で多量に発生している織布の廃棄屑を有効に再利用して製造することができ、原料コストを低下させるとができる。このような廃棄繊維としては、織布の廃棄屑を開繊して繊維状に加工したものを使用することができる。開繊は、例えば、織布の廃棄屑を表面から針で引っかいて繊維状に加工することにより行い得るが、これに限るものではない。廃棄屑を廃棄繊維に加工する方法は、現在使用され、あるいはこれから開発される全ての方法を利用できる。
【0016】
 本発明における繊維マット部は、このような繊維が、立体的に集合される(すなわち繊維の方向が揃わないように方向性なく集合される)と共に、その集合繊維中にバインダー(繊維同士を結合させるための物質)が適宜分散した状態で配され、一定方向に所定の圧力でプレスされて繊維の間に無数の空隙ができる状態で前記繊維の交点がバインダーで結合されてなるものとすることができる。なお、このような繊維マット部は、前記のように立体的に集合された繊維をニードルパンチにより絡合させたものを用いることも可能である。
【0017】
 バインダーとしては、繊維マット部を構成する主材料としての繊維よりも融点の低い繊維を用いることが好ましい。このような繊維としては、低融点のポリエステル繊維等の低融点の合成繊維を用いることが好ましいが、これに限るものではない。
【0018】
 低融点繊維をバインダー繊維として用いる場合、例えば次のようにして繊維マット部を得ることができる。
【0019】
 すなわち、繊維マット部を構成する主材料としての繊維中に、繊維同士を結合させるためのバインダー繊維を混合する。バインダー繊維は、他の繊維中になるべく均一に分散させることが望ましい。バインダー繊維の添加量は、例えば全体の5乃至30重量%とすることができる。バインダー繊維の添加量が少ないと、繊維を十分に結合させることができなくなるおそれがあり。バインダー繊維の添加量が多すぎると、繊維の間の空隙率が低下するおそれがある。
【0020】
 バインダー繊維が添加分散された繊維を、所定の厚さに方向性なく立体的に集合させた後、バインダー繊維のみが熱溶融する温度に加熱すると共に加圧し、バインダー繊維以外の繊維の交点を熱溶融されたバインダー繊維で結合する。所定の厚さに集合した繊維をプレスして薄くする割合は、用途によって最適値に設定されるが、例えば、集合した状態の厚さに対して10乃至50%、好適には約25%とする。
【0021】
 繊維の集合体を薄くプレスすると、繊維間の空隙が小さくなって保水性が向上し、排水性が低下する。同じ量の繊維の集合体を厚くプレスすると、排水性が良くなるが保水性が低下する。従って、繊維の集合体をプレスする度合いは、保水性と排水性とを考慮して、栽培する植物に最適な値とすることが望ましい。
【0022】
 繊維マット部の厚さは、例えば、コンクリートの表面に芝苗を載せて生育させる場合や、コンクリートの表面に花等の種を蒔いてこれを生育させる場合、1乃至5cmとすることができる。好ましくは1.5乃至3cmである。
【0023】
 水耕栽培の栽培床に使用される植物栽培マットは、好ましい厚さが5乃至50cm、好ましくは10乃至30cmであるから、プレスしてこの厚さとなるように、バインダー繊維を添加した繊維を集合する。
【0024】
 繊維マット部を構成する主材料としての繊維にバインダー繊維を混合して立体的に(繊維の方向が揃わないように方向性なく)集合させた繊維を加熱状態でプレスし、バインダー繊維を溶融させて繊維同士を結合することにより、繊維の間の空隙を少なくすることなく(すなわち、保水性と排水性を低下させることなく)繊維を所定の厚さに圧縮して結合させ、繊維マット部を得ることができる。繊維の集合体を加熱状態でプレスし、バインダー繊維を溶融させて繊維同士を結合させるには、例えば、繊維の集合体を、バインダー繊維が溶融する温度まで加熱した後プレスし、バインダー繊維を冷却・硬化させて繊維を結合させる方法をとることができる。この方法によれば、繊維の集合体をコールドプレスで加圧することにより、効率良く繊維マット部を製造することができる。また、繊維の集合体を熱板で加熱しながら加圧して、バインダー繊維を溶融させることにより繊維を結合させるホットプレスによる方法をとることもできる。
【0025】
 バインダーの他の例としては、未硬化の状態では液状又はペースト状のバインダーを挙げることができる。この場合、例えば、繊維マット部を構成する繊維を集合させる際に、その繊維に対し液状又はペースト状のバインダーを噴霧し、その後、繊維の集合体をプレスしてバインダーを硬化させることにより繊維を結合させて繊維マット部を得ることができる。
【0026】
 また、繊維マット部は、繊維の空隙に肥料粒が添加されてなるものとすることができる。この繊維マット部によれば、植物を生育させる際に肥料粒から肥料が供給される。この場合の肥料粒は、繊維の隙間から移動しない大きさの粒とすることが望ましい。この繊維マット部は、繊維の集合体中に肥料粒を分散させた状態で、それを所定の圧力でプレスし、繊維の間に無数の空隙ができる状態で繊維の交点をバインダーで結合させることにより得ることができる。
【0027】
 また、繊維マット部の内部に予め種子を埋設しておくこともできる。この場合、種子を蒔く手間を省略することができ、散水により容易に発芽させることができる。種子の埋設は、繊維の集合体をプレスしてバインダーで繊維を結合させる前後を問わない。また、前記のように肥料粒を繊維の空隙に添加させておけば、肥料を施す手間も省かれる。
【0028】
 (2) 前記支持体におけるすのこ状部は、そのすのこ状部の上面部を形成する支持部上に積層結合された繊維マット部において生育した植物の根が挿通し得る上方開口の透孔を前記支持部のほぼ全上面部にわたり有する。
【0029】
 前記支持体は、全体がすのこ状部であるものとすることができるほか、すのこ状部でない部分を有していてもよい。
【0030】
 すのこ状部の上面部は、透孔を除いた部分がほぼ一定高さであるものすることができるほか、例えば、凸部及び凹部の両方又は一方を有するものとすることもできる。
【0031】
 上方開口の透孔は、支持部上に積層結合された繊維マット部において生育した植物の根が挿通し得るものである。すのこ状部は、上方開口の透孔を上面部に多数満遍なく有するものであることが好ましい。平面視において、すのこ状部の上面部の面積に対する透孔の総面積の割合は、例えば35乃至95%とすることができるが、好ましくは70乃至95%、より好ましくは80乃至95%である。透孔は上面部において偏りなく満遍なく有することが望ましい。
【0032】
 支持体におけるすのこ状部は、そのすのこ状部の上面部を形成する支持部の下方に空間形成部を有する。
【0033】
 その空間形成部は、支持体を載置面上に載置した状態において、(i)前記透孔を通じて支持部の下方に伸びた植物の根が張ることができ、(ii)隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得、(iii)支持体の側方外部との間に空気及び水が流通し得るように支持体の側方外部に開口し、(iv)前記透孔は、空間形成部を介して支持体の側方外部と通じるものである。
【0034】
 空間形成部の高さは、例えば5乃至100mmとすることができるが、好ましくは10乃至60mm、より好ましくは15乃至40mmである。すのこ状部のうち、そのすのこ状部の上面部を形成する支持部の下方の部分の空隙率は、例えば50乃至95%とすることができるが、好ましくは70乃至95%、より好ましくは80乃至95%である。
【0035】
 空間形成部は、支持体の側方外部との間に空気及び水が流通し得るように支持体の側方外部に開口している部分を含めて、下方に開放されていることが好ましい。この場合、空間形成部から側方外部への排水性に優れる。
【0036】
 空間形成部は、支持体を載置面上に載置した状態において、任意の隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得るものであることが望ましい。透孔を通じて支持部の下方に伸びた植物の根が、空間形成部において多方向に伸びてできるだけ自在に張ることができることが、植物の生育上望ましく、繊維マット部と支持体との結合も強化される。
【0037】
 本発明の植物栽培マットは、載置面上に複数隣接配列することができるが、その際に、各植物栽培マットの支持体における空間形成部の側方外部に対する開口を介して、隣接する植物栽培マットの空間形成部に根が張ることが可能であることが望ましい。
【0038】
 支持体の具体例として、支持体を載置面上に載置した状態においてすのこ状部における支持部を支持する複数の支柱部が、分散配置されてなり、各支柱部の下端位置と支持部との間の空間のうち各支柱部を除く部分が空間形成部であるものを挙げることができる。また、この支持体は、前記空間形成部が、各支柱部を除く部分において支持体の側方外部に開口するものとすることができる。この場合、空間形成部の排水性及び通気性により優れたものとなる。
【0039】
 前記すのこ状部は実質上のたわみ又は破壊を生じることなく支持部上に少なくとも成人を支持し得る剛性及び強度を備えるものであることが望ましい。実質上のたわみというのは、支持部上に少なくとも成人を支持した状態において、支持部に設けられた透孔を通って空間形成部に張った根を損傷させる程度のたわみを言う。この場合、植物栽培マット上を歩行することにより透孔を通って空間形成部に張った根を損傷させることがないので植物の育成を妨げず、植物栽培マット上を歩行する際の歩行性も良い。
【0040】
 この植物栽培マットは、繊維マット部において植物が生育した状態又は繊維マット部において植物が生育し、その植物の根が透孔を通って空間形成部に張った状態で移動することもできる。支持体の剛性が十分に高ければ、植物栽培マットの移動も容易である。
【0041】
 この植物栽培マットにおける支持体は、その外周部に、支持体同士を相互に隣接連結し得る連結部を備えたものとすることができる。このように支持体に連結部を有する場合、支持体同士を相互に隣接連結することにより、載置面上における各植物栽培マットの位置決めが容易となる。
【0042】
 また、支持体を載置面上に載置した状態においてすのこ状部における支持部を支持する複数の支柱部が分散配置されてなり、各支柱部の下端位置と支持部との間の空間のうち各支柱部を除く部分が空間形成部である場合において、支持体がこのような連結部を有するとき、空間形成部が、支柱部および/または連結部を除く部分において支持体の側方外部に開口するものとすることができる。この場合、空間形成部の排水性及び通気性により優れたものとなる。
【0043】
 なお、このような連結部を備える例として、支持体が方形状をなす場合に、その隣り合う2辺にそれぞれ嵌合突起部を有し、残りの隣り合う2辺にそれぞれ嵌合突起部が嵌合し得る嵌合環状部を有するものを挙げることができる。
【0044】
 支持体におけるすのこ状部の上面部を形成する支持部上には、繊維マット部が積層結合されている。
【0045】
 支持部上に繊維マット部を積層結合する手段としては、後記のような手段以外に、ホットメルト接着剤を用いて積層結合する手段や、糸、紐、又はその他の緊締具を用いて積層結合する手段を挙げることができるが、何れにせよ、繊維マット部において生育した植物の根が支持部における上方開口の透孔を通じて下方に伸び、空間形成部においてその根が張ることを妨げない手段であることを要する。
【0046】
 このような手段により積層結合された植物栽培マットとしては、例えば、すのこ状部の支持部上に繊維マット部が水溶性の接着物質で接着されて積層結合されてなる植物栽培マットを挙げることができる。載置面に載置して使用を開始するまでは、水溶性の接着物質によりすのこ状部の上面部を形成する支持部上に繊維マット部が積層結合されている。植物の育成を開始して繊維マット部に散水等の給水を行うと、やがて水溶性の接着物質が溶解してその接着力は解消するが、育成された植物の根が透孔を通じて下方に伸び、空間形成部において張ることにより、繊維マット部と支持部とが結合される。
【0047】
 また、前記のような手段により積層結合された植物栽培マットの他の例としては、すのこ状部が、上面部に多数の小フック部を備えており、それらの小フック部において繊維マット部の下部に絡んで結合した植物栽培マットを挙げることができる。この場合、すのこ状部の上面部に繊維マット部を容易に積層結合して植物栽培マットを容易に形成することができる。
【0048】
 この場合の支持体は、すのこ状部を備えた支持体であって、前記すのこ状部の上面部を形成する支持部のほぼ全上面部にわたり、植物の根が挿通し得る上方開口の透孔を有すると共に、前記支持部の下方に空間形成部を有し、
その空間形成部は、前記支持体を載置面上に載置した状態において、前記透孔を通じて支持部の下方に伸びた植物の根が張ることができ、隣り合う透孔をそれぞれ通じて支持部の下方に伸びた植物の根同士が側方に張ることにより交錯し合い得、支持体の側方外部との間に空気及び水が流通し得るように支持体の側方外部に開口し、前記透孔は、空間形成部を介して支持体の側方外部と通じるものであり、
前記すのこ状部の上面部に、フェルト状の繊維に絡んで結合し得る多数の小フック部を備えることを特徴とするものである。
【0049】
 この支持体は、すのこ状部の上面部に、フェルト状の繊維に絡んで結合し得る多数の小フック部を備えるため、その小フック部により支持部上に繊維マット部を容易に積層結合して本発明の植物栽培マットを容易に形成することができる。
【0050】
 なお、以上のような支持体は、何れも合成樹脂等の成型材料により、射出成型等により一体成型可能なものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0051】
 本発明の植物栽培マットは、支持体におけるすのこ状部の支持部上に積層結合された繊維マット部が、内部に無数の空隙を有して優れた保水性と吸水性を実現し、その繊維マット部において生育を開始した植物の根が透孔を通って支持部の下方の空間形成部において縦横に張ることが可能である。繊維マット部における余分な水は支持体の側方外部に排水可能であり、空間形成部は通気性が維持されるため、空間形成部において縦横に張った根は、根腐れすることが防がれて植物の生育に好適な環境が得られる。また、植物の生育が進むことにより、繊維マット部と支持体との結合が漸次強化される。
【0052】
 また本発明の支持体は、すのこ状部の上面部に、フェルト状の繊維に絡んで結合し得る多数の小フック部を備えるため、その小フック部により支持部上に繊維マット部を容易に積層結合して本発明の植物栽培マットを容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
 本発明の実施の形態を、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
【0054】
 図1乃至図4は、何れも本発明の実施の形態の一例としての植物栽培マットに関するものであって、そのうち図1は、支持体30におけるすのこ状部の上面部を形成する支持部32上に、接着剤を用いて繊維マット部20を積層結合してなる植物栽培マットMを、コンクリート製の載置面C上に載置し、繊維マット部20上に芝苗Gを載せた状態の断面図である。また図2は支持体30の平面図、図3は支持体30の要部拡大正面図、図4は図2におけるIV−IV線要部拡大断面図である。
【0055】
 繊維マット部20は、ポリエステル系合成繊維を約80%含む繊維22で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊して繊維状に加工したものを主材料とし、これに、全体の約20重量%の低融点のポリエステル繊維をバインダー繊維24として混合分散させ、更に繊維の集合体中に肥料粒26を分散させたものを用いて製造したものである。すなわち、これらの繊維を所定の厚さに方向性なく立体的に集合させた繊維の集合体に肥料粒26を分散させたものを、バインダー繊維24が溶融する温度まで加熱した後、集合した状態の厚さに対して約25%の厚さとなるようプレスし、バインダー繊維24を冷却・硬化させて繊維同士を結合させ繊維の間に無数の空隙を形成させることにより、繊維の空隙に肥料粒26が添加された繊維マット部20が得られた。
【0056】
 支持体30は、合成樹脂の射出成型により一体成型されたものであり、全体がすのこ状部で、その上面部を形成する支持部32は、碁盤目の各目の対角線を結んだ形状の格子状をなす。支持部32の全上面部にわたり多数満遍なく形成されている上方開口の透孔34は、支持部32上に積層結合された繊維マット部20において生育した植物の根が挿通し得るものであり、何れも平面視において略直角二等辺三角形状をなす。支持部32の上面部は、透孔34を除いた部分がほぼ一定高さである。支持部32における格子の交点の下側には、それぞれ支柱部36が形成されている。支柱部36は、支持体30を載置面上に載置した状態において支持部32を支持するものであり、各支柱部36の下端位置(載置面位置)と支持部32との間の空間のうち各支柱部36を除く部分が空間形成部38である。
【0057】
 繊維マット部20上に載置された芝苗の生育が進むと、その根が繊維マット部20に張り、更に、透孔34を通じて支持部32の下方に伸びて空間形成部38にも根が張ることになる。任意の隣り合う透孔34をそれぞれ通じて支持部32の下方に伸びた根同士は、空間形成部38において側方に張ることにより交錯し合い得る。また、何れの透孔34も、空間形成部38を介して支持体30の側方外部と通じる。透孔34を通じて支持部32の下方に伸びた根が、空間形成部38において多方向に伸びてできるだけ自在に張ることができるので、芝の生育上望ましく、繊維マット部20と支持体30との結合も強化される。
【0058】
 また、空間形成部38は、下方に開放されており、支柱部36を除く部分において支持体30の側方外部に開口している。従って支持体30の側方外部との間に空気及び水が流通し得、空間形成部38から側方外部への排水性に優れる。而も、植物栽培マットMを載置面上に複数隣接配列した場合、各植物栽培マットMの支持体30における空間形成部38の側方外部に対する開口を介して、隣接する植物栽培マットMの空間形成部38に根が張ることが可能である。
【0059】
 支持体30は、実質上のたわみ又は破壊を生じることなく支持部32上に少なくとも成人を支持し得る剛性及び強度を備える。従って、植物栽培マットM上を歩行することにより透孔34を通って空間形成部38に張った根を損傷させることがないので芝等の植物の育成を妨げず、植物栽培マットM上を歩行する際の歩行性も良い。
【0060】
 この例においては、支持体30の上面部(格子状部分)に接着剤を塗布して繊維マット部20を積層結合しているが、繊維マット部20の下面に、使用後の散水等により溶解する水溶性の接着物質を塗布して支持体30の上面部に繊維マット部20を積層結合することもできる。また、支持体30の別の例についての要部拡大平面図である図5に示すように、上面部に多数の小フック部40を備えた支持体30を合成樹脂の一体成型により得、それらの小フック部40において繊維マット部20の下部に絡ませて繊維マット部20を容易に積層結合することもできる。
【0061】
 また、図2に二点鎖線で示すように、支持体30の隣り合う2辺にそれぞれ嵌合突起部42を設け、残りの隣り合う2辺にそれぞれ嵌合突起部42が嵌合し得る嵌合環状部44を設けることにより、支持体30同士を相互に隣接連結し得るものとして、載置面上における各植物栽培マットMの位置決めの容易化等を図ることもできる。
【0062】
 なお、以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。また以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】支持体の上面部上に積層結合してなる植物栽培マットを載置面上に載置し、繊維マット部上に芝苗を載せて生育させた状態の断面図である。
【図2】支持体の平面図である。
【図3】支持体の要部拡大正面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線要部拡大断面図である。
【図5】支持体の別の例についての要部拡大平面図である。
【図6】本発明者が先に開発した植物栽培マットの断面図である。
【符号の説明】
【0064】
 M  植物栽培マット
 C  載置面
 G  芝苗
 20 繊維マット部
 22 繊維
 24 バインダー繊維
 26 肥料粒
 30 支持体
 32 支持部
 34 透孔
 36 支柱部
 38 空間形成部
 40 小フック部
 42 嵌合突起部
 44 嵌合環状部
【出願人】 【識別番号】399103423
【氏名又は名称】ティ・アイ・シー有限会社
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
【出願日】 平成15年10月24日(2003.10.24)
【代理人】 【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志

【公開番号】 特開2004−33228(P2004−33228A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2003−365012(P2003−365012)