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【発明の名称】 根系通気灌水システム
【発明者】 【氏名】三家 昌興
【住所又は居所】奈良市朱雀5丁目2−1−33−103 株式会社アースワーク内

【要約】 【課題】都市部に植裁される樹木の根系に新鮮な空気と水とを供給できるシステムを提供して、樹木の健康を保ち、樹木管理の軽減化を図る。

【解決手段】根系通気灌水システム11は、通気性および透水性を有する材料よりなりかつ平面よりみて根系Rを取り囲むように埋設される横管2と、下端が横管2に接続されかつ舗装面Pに向かって立ち上がるように埋設される2本の縦管3と、各縦管3の上端に接続されかつ舗装面Pに開口するように埋設される通気灌水口4とを備えてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装面(P)で覆われた土壌中の根系(R)に対して通気および灌水を行うためのシステムであって、
通気性および透水性を有する材料よりなり、かつ平面よりみて根系(R)を取り囲むようにまたは根系(R)の側方に沿うように埋設される横管(2)(20)と、
下端が横管(2)(20)に接続され、かつ舗装面(P)に向かって立ち上がるように埋設される少なくとも2本の縦管(3)と、
各縦管(3)の上端に接続され、かつ舗装面(P)に開口するように埋設される通気灌水口(4)、
を備えてなる根系通気灌水システム。
【請求項2】
通気灌水口(4)が、下端に縦管接続部(41A)を有しかつ上端に孔あき下部蓋(41B)を有する下部ユニット(41)と、下端が下部ユニット(41)の上端に嵌め被せられかつ上端に孔あき上部蓋(42A)を有する上部ユニット(42)とで構成されている、請求項1記載の根系通気灌水システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として都市部に植裁される樹木の育成手段に関し、より詳細には、舗装面で覆われた土壌中の根系に対して通気および灌水を行う根系通気灌水システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
都市部に植裁される樹木の多くは、舗装等によって閉鎖された土壌中に生育している。植裁時には、生育基盤たる土壌として理化学性に優れた客土が用いられるのが通常であるが、長年の踏圧や、根系の肥大成長に伴う土壌の固結作用等によって、土壌が通気・透水不良となる場合が多い。また、表層の舗装化によって、土壌は深部まで乾燥しており、根系の発達がきわめて悪い。さらに、樹木の地上部は、常時排気ガス等の影響を受けるほか、定期的な剪定により、その生育が人為的に制限される。したがって、都市部に植裁された樹木の多くは、地下部、地上部ともに劣悪な環境条件下にあるといえる。
【0003】
一般に、通気不良土壌では、根の働きが阻害され、樹木の生長が悪くなる。通気不良土壌の根の働きに対する阻害因子としては2つ考えられる。1つは、通気不良から起こる酸素欠乏である。土壌中の酸素濃度が低下すると、根の酸素呼吸が阻害され、根の正常な働きが低下する。もう1つは、根の呼吸、有機物の分解および土壌生物の呼吸によって土壌中に生じた炭酸ガス、メタンガス、硫化水素等の有害ガスによる害作用である。通気不良の立地では、上記のような2つの阻害因子が重なる結果、水分や養分が十分にあっても、樹木はこれらを吸収して利用することができない。
【0004】
そこで、樹木の生育に大きな影響を及ぼす土壌の通気性を改良するため、従来から様々な手段が試みられている。これには、主として次の4つのものがある。まず、第1の手段は、植桝面積を広く取ることである。第2の手段は、植桝の周囲に柵やツリーサークル等の覆いを設けて、踏圧を防ぐことである。第3の手段は、通気良好な良質土壌を確保することである。これは、植裁当初に良質な客土等を用いることは勿論であるが、長年の踏圧や根系の肥大成長に伴う土壌の固結作用等によって通気・透水不良となることが多いため、定期的な土壌改良が求められる。そして、第4の手段は、エアレーション等の土壌膨軟化処理である。これは、締め固まった土壌を膨軟化することによって、通気・透水性を改善するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹木の根系面積は樹冠投影面積以上ともいわれており、根系面積に相当する植桝を確保することは、都市部の土地利用状況を考えると難しい。同様に、根系面積の全てをカバーするように、柵等によって踏圧を防ぐことも困難である。また、定期的な土壌改良によって良質土壌を確保する第3の手段についても、現実的には、根系が密に発達した狭い植桝内の土壌を交換する必要があるため、非常に困難である。第4の土壌膨軟化処理の場合、土壌空隙を高めて通気性を改善することができるが、効果が持続しないため、定期的に処理を行う必要があり、手間がかかっていた。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、都市部に植裁される樹木の根系に新鮮な空気と水とを供給できるシステムを提供し、それによって、樹木の健康を保ち、また、樹木管理の軽減化を図ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、舗装面で覆われた土壌中の根系に対して通気および灌水を行うためのシステムである。より詳細には、本発明による根系通気灌水システムは、通気性および透水性を有する材料よりなり、かつ平面よりみて根系を取り囲むようにまたは根系の側方に沿うように埋設される横管と、下端が横管に接続され、かつ舗装面に向かって立ち上がるように埋設される少なくとも2本の縦管と、各縦管の上端に接続され、かつ舗装面に開口するように埋設される通気灌水口とを備えてなるものである。
【0008】
上記システムによれば、舗装面で覆われた土壌中の根系に、通気灌水口から縦管および横管を通じて、地上の空気が供給されるとともに、根系の周囲で発生した炭酸ガス等の有害ガスが、横管、縦管および通気灌水口を通じて、地上に排出される。しかも、上記システムによれば、通気灌水口から縦管および横管を通じて、根系への灌水を行うことが可能である。また、通気灌水口に灌水装置を組み込むことにより、灌水の自動化も可能である。
【0009】
横管を構成する通気性および透水性を有する材料としては、例えば暗渠管として用いられている管材と同様のものを使用することができる他、硬質樹脂管等に多数の通気透水孔をあけたもの等を用いることもできる。横管は、単一の管材で構成されてもよいし、管継手を介して互いに接続された複数の管材で構成されていてもよい。なお、横管を平面よりみて根系を取り囲むように埋設する場合には、横管の材料として可撓性を有するものを用いるのが好ましい。
【0010】
縦管は、上記の通り、最低2本必要である。縦管を複数本設けることにより、そのうちの一部が、地上の空気を横管に導入するための導入管として機能するとともに、残りが、土壌内の有害ガスを地上に排出させる排出管として機能する。これにより、地上と土壌中との間でガスの循環作用が生じ、通気機能が高められる。縦管を構成する材料としては、横管と同様に、通気性および透水性を有する材料を用いるのが好ましい。但し、例えば硬質樹脂管や金属管のような通気性および透水性を有しない材料を用いることも可能である。
【0011】
また、隣接して植裁される複数本の樹木それぞれに対して、本発明による通気灌水システムを設置する場合、これらの通気灌水システムの横管どうしを、連通管によって連通させるようにしてもよい。連通管としては、横管と同様に、通気性および透水性を有する材料よりなるものを用いるのが好ましいが、通気性および透水性を有しない材料を用いてもよい。なお、上記のように複数の通気灌水システムを連結する場合、各樹木の根系に対して優れた通気機能が得られるように、縦管を各樹木の根系ごとに2本以上設けるのが好ましい。
【0012】
本発明による根系通気灌水システムにおいて、通気灌水口が、下端に縦管接続部を有しかつ上端に孔あき下部蓋を有する下部ユニットと、下端が下部ユニットの上端に嵌め被せられかつ上端に孔あき上部蓋を有する上部ユニットとで構成されているのが好ましい。
【0013】
通気灌水口を上記のような下部ユニットと上部ユニットとで構成すれば、先に下部ユニットのみを施工し、その後、上部ユニットを、例えばその上端レベルが舗装面のレベルとほぼ合致するように施工することが可能となる。したがって、上記構成によれば、通気灌水口のレベルをコントロールし易く、植裁後の舗装を含めた施工全体が容易となる。また、灌水時には、上部ユニット内が一時的な水の受け皿として機能するため、単位時間当たりの散水量を多くしても通気灌水口から水が溢れるおそれがなく、灌水作業を効率よく行うことができる。さらに、上記のように上下2重の孔あき蓋を設けることにより、通気灌水口からゴミやネズミ等が入り込むのがより確実に防止される。なお、孔あき下部蓋は、通常、下部ユニットの上端に取り外し可能に設けられるが、該部分に固定されていても構わない。一方、孔あき上部蓋は、地上に臨んで配置される上、灌水時には通気灌水口内に散水ホース等を挿入する必要があることから、上部ユニットの上端に取り外し不能にかつ開閉可能に設けられるのが好ましい。
【0014】
上記の場合において、上部ユニットが方形筒状となされているのがより好ましい。この場合、下部ユニットについても、少なくともその上端が平面よりみて上部ユニットの内周面にほぼ合致する方形状の輪郭を有するものとなされる。
【0015】
広場や街路の舗装材としては、石、レンガ、インターロッキングブロック等の舗装材が用いられることが多いが、これらの舗装材の形状は、通常、方形をしている。したがって、通気灌水口の上部ユニットを上記のように方形筒状のものとすれば、外観上舗装材と馴染みやすく、また、舗装時にも舗装材の一部を特殊な形状に切り取ることを要しないため、作業効率がよい。
【0016】
また、上記の場合において、上部ユニットの下端に外向きフランジ部が形成されているのがより好ましい。
【0017】
上部ユニットの下端に上記のような外向きフランジ部を形成しておけば、上部ユニットを、その下端が下部ユニットの上端に嵌め被せるようにしておいてから、前記フランジ部の上にモルタル等を配するだけで、簡単に施工することができる。また、外向きフランジ部により、上部ユニットが沈下するのが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0019】
図1〜5には、本発明の第1の実施形態が示されている。図1および2に示すように、本発明は、舗装面(P)で覆われた土壌中の根系(R)に対して通気および灌水を行うための通気灌水システム(11)であって、通気性および透水性を有する材料よりなり、かつ平面よりみて根系(R)を取り囲むように埋設される横管(2)と、通気性および透水性を有する材料よりなり、下端が横管(2)に接続され、かつ舗装面(P)に向かって立ち上がるように埋設される2本の縦管(3)と、各縦管(3)の上端に接続され、かつ舗装面(P)に開口するように埋設される通気灌水口(4)とを備えてなる。横管(2)は、ほぼ円環状に配されている。2本の縦管(3)は、これらの下端が管継手(5)を介して横管(2)の対称位置に接続されている。横管(2)の周囲には、単粒砕石等よりなるフィルタ層(6)が形成されている。横管(2)および縦管(3)は、フレキシブル暗渠管/φ100(商標「カナドレン」、東拓工業(株)製)で構成されている。
【0020】
図3および4に詳しく示すように、通気灌水口(4)は、下端に縦管接続部(41A)を有しかつ上端に孔あき下部蓋(41B)を有する下部ユニット(41)と、下端が下部ユニット(41)の上端に嵌め被せられかつ上端に孔あき上部蓋(42A)を有する上部ユニット(42)とで構成されている。
【0021】
下部ユニット(41)は、略筒状の下部ユニット本体(410)と、下部ユニット本体(410)の下端に取り付けられる縦管接続部材(41A)と、下部ユニット本体(410)の上端に配される孔あき下部蓋(41B)とを備えている。
【0022】
下部ユニット本体(410)はステンレス鋼製であって、その下端に環状内向きフランジ部(411)が形成されている。内向きフランジ部(411)の内周縁は、平面よりみて円形となされている。下部ユニット本体(410)の上端には、環状外向きフランジ部(412)が形成されている。外向きフランジ部(412)の外周縁は、平面よりみて正方形となされている。外向きフランジ部(412)には、孔あき下部蓋(41B)の周縁部を受けるための段差(412a)が形成されている。また、外向きフランジ部(412)には、これの外周縁から下方に短くのびる垂下壁(412b)が一体に形成されている。
【0023】
縦管接続部材(41A)は、下端側に縦管(3)の上端部が嵌め被せられかつ上端部内周面に雌ネジ(413a)を有する円筒体(413)と、外周面に前記雌ネジ(413a)にねじ込まれる雄ネジ(414a)を有しかつ上端に下部ユニット本体(410)の内向きフランジ部(411)に受けられる環状外方突出部(414b)を有する締付けリング(414)とで構成されている。円筒体(413)および締付けリング(414)は、いずれもABS樹脂製である。縦管(3)の上端部は、例えばバンド(415)によって、円筒体(413)に固定される。
【0024】
孔あき下部蓋(41B)は、ほぼ正方形のステンレス鋼板で構成されている。下部蓋の孔(416)は、その中心にあけられたものが円形であって、その周辺部に放射状にあけられた複数のものが細長い形をしている。
【0025】
下部ユニット(41)を組み立てる場合、まず、円筒体(413)に縦管(3)の上端部を取り付けておいてから、円筒体(413)の上方に下部ユニット本体(410)を配し、下部ユニット本体(410)の下端開口を通じて、締付けリング(414)の雄ネジ(414a)を円筒体(413)の雌ネジ(413a)にねじ込む。これにより、下部ユニット本体(410)の内向きフランジ部(411)が、円筒体(413)の上端部と締付けリング(414)の環状外方突出部(414b)とで挟み付けられ、これらの部品(410)(413)(414)が一体化される。孔あき下部蓋(41B)は、その周縁部が外向きフランジ部(412)の段差(412a)に受けられるように、下部ユニット本体(410)の上端に配置する。下部ユニット(41)は、その周囲にモルタル(M)を施工することにより、所要位置で配置固定することができる。
【0026】
上部ユニット(42)はステンレス鋼製であって、方形筒状をしている。上部ユニット(42)の下端の4辺には、水平板状の張り出し部(421)が形成されている。上部ユニット(42)の上端の4辺には、内側折り返し部(422)が形成されている。折り返し部(422)は、上部水平部(422a)と、上部水平部(422a)の内端から下方にのびる垂下部(422b)とを備えている。さらに、対向する2辺の折り返し部(422)は、垂下部(422b)の下端から内方に短く突出した下部水平部(422c)を備えている。上部ユニット(42)の1つの側壁には、貫通孔(423)があけられている。図3に2点鎖線で示すように、この貫通孔(423)を通じて、上部ユニット(42)内に自動灌水装置(7)の先端部を挿入配置できるようになっている。
【0027】
孔あき上部蓋(42A)は、平面よりみてほぼ正方形のステンレス鋼板で構成されている。上部蓋(42A)の孔(424)は、該蓋(42A)のほぼ全面にわたって碁盤目状に形成されており、それぞれ円形をしている。孔あき上部蓋(42A)の対向する2辺には、上部ユニット(42)の折り返し部(422)の垂直部(422b)の高さとほぼ等しい高さの垂下壁(425)が形成されている。孔あき上部蓋(42A)は、その垂下壁(425)の下端が、上部ユニット(42)の折り返し部(422)の下部水平部(422c)に受けられるようになっているとともに、下部水平部(422c)に連なる2つの垂直部(422b)の一端に取り付けられた水平軸(426)に開閉可能にかつ取り外し不能に取り付けられている。
【0028】
上記の上部ユニット(42)は、その下端を下部ユニット(41)の上端(下部ユニット本体(410)の外向きフランジ部(412))に嵌め被せておいて、張り出し部(421)の上方にモルタル(M)を配するだけで、容易に施工固定することができる。
【0029】
図3に示すように、土壌の表層に施される舗装は、クラッシャーラン(P1)と、その上方に配される砂(P2)と、さらにその上方に配されるインタロッキングブロック(P3)とによって構成されている。通気灌水口(4)の上端レベルは、舗装面(P)のレベルとほぼ合致させられている。
【0030】
図5には、上記の根系通気灌水システム(11)の施工手順が示されている。なお、この実施形態では、根系通気灌水システム(11)の施工が、樹木の植裁と並行して行われる。
【0031】
まず、図5(a)に示すように、植裁すべき箇所の地面を掘削する。掘削深さは、横管(2)の設置深さに対応して決められるが、下層への通気灌水のためには、少なくとも地面から80cmの深さとするのが望ましい。また、掘削範囲は、各縦管(3)を根鉢から30cm程度離して設置できるようなものとする。
【0032】
次に、図5(b)に示すように、横管(2)および縦管(3)を配管する。横管(2)の周囲には、単粒砕石を配してフィルタ層(6)を形成しておく。縦管(3)は、横管(2)の長さ方向に1.0〜1.5mごとに設置するのが好ましく、樹木1本に対して2本以上とする。
【0033】
そして、図5(c)に示すように、樹木の植付け作業および土壌の埋め戻し作業を行う。その後、通気灌水口(4)の下部ユニット(41)を縦管(3)の上端に接続し、また、下部ユニット(41)の周囲にモルタル(M)を配して下部ユニット(41)を固定しておく(図3参照)。なお、後述する舗装工事は、植裁後しばらく時間をおいてから行われるのが通常であるが、縦管(3)の上端には通気灌水口(4)の下部ユニット(41)が接続されているので、その間に縦管(3)および横管(2)の内部にゴミやネズミ等が侵入することがない。
【0034】
最後に、図5(d)に示すように、表層の舗装を行う。舗装に際しては、通気灌水口(4)の上部ユニット(42)の下端を、下部ユニット(41)の上端に嵌め被せておく。この時、上部ユニット(41)の上端レベルが舗装面(P)のレベルと合致するように、上部ユニット(41)の位置を調整することが可能である。上部ユニット(41)は、その張り出し部(421)の上にモルタル(M)を配して固定しておく(図3参照)。その後、所要の舗装工事を行う。こうして、植裁および根系通気灌水システム(11)の施工が完了する(図1〜3参照)。
【0035】
上記の根系通気灌水システム(11)によれば、一方の縦管(3)の上端の通気灌水口(4)から、地上の空気が導入される。導入された空気は、一方の縦管(3)から横管(2)に流れ込み、更にここから根系(R)の周囲の土壌中に至る。これにより、舗装面(P)で覆われた土壌中の根系(R)に、酸素が効率的に供給され、根系(R)の呼吸代謝が向上する。その上、酸素の供給により、還元土壌の早期酸化効果も得られる。一方、根系(R)の周囲の土壌中に発生して根系(R)の生育の阻害要因となる炭酸ガス、メタンガス、硫化水素等の有害ガスが、横管(2)および他方の縦管(3)を経て、その上端の通気灌水口(4)から地上に排出される。なお、2本の縦管(3)のうちどれが供給管・排出管として機能するかは、気温や気圧等の条件によって自然に定まる。これらの通気機能は、踏圧や根系の肥大成長によっても低下せず、効果が永続する。したがって、植桝面積を大きくとる必要がないため、舗装面(P)をより樹木に近づけることができる。
【0036】
また、上記の根系通気灌水システム(11)によれば、通気灌水口(4)に散水車の散水ホース等を挿入して、舗装面(P)で覆われた土壌中の根系(R)に、ダイレクトにかつ効率的に灌水することができる。また、通気灌水口(4)に自動灌水装置(7)を併設することにより、灌水を自動化して省力化を図ることもできる(図3参照)。また、通気灌水口(4)から活力剤、液肥等を投入することも勿論可能である。さらに、暗渠管よりなる横管(2)および縦管(3)、特に横管(2)の集水機能により、地下水位の影響を軽減し、根腐れを防止する効果も得られる。
【0037】
図6には、本発明の第2の実施形態が示されている。この実施形態では、隣接して植裁される複数本の樹木それぞれに対して、本発明による根系通気灌水システム(11)が設置されている。そして、これらの根系通気灌水システム(11)の横管(2)どうしが、連通管(8)によって互いに連通させられている。連通管(8)は、横管(2)および縦管(3)と同じく、フレキシブル暗渠管/φ100(商標「カナドレン」、東拓工業(株)製)で構成されている。また、この実施形態では、横管(2)の長さ方向に等間隔おきに計4本の縦管(図示略)が設けられ、各縦管の上端に通気灌水口(4)が設けられている。その他は、第1の実施形態とほぼ同じである。
【0038】
図7〜9には、本発明の第3の実施形態が示されている。この実施形態では、図7および8に示すように、横管(20)が、平面よりみて根系(R)の側方に沿うように埋設されている。2本の縦管(3)の下端は、直線状の横管(20)の両端部に管継手(5)を介して接続されている。また、この実施形態では、隣接して植裁される複数本の樹木それぞれに対して根系通気灌水システム(12)が設置されており、これらの横管(20)の端部どうしが、連通管(8)によって互いに連通させられている。
【0039】
図9には、上記の根系通気灌水システム(12)の施工手順が示されている。なお、この実施形態では、根系通気灌水システム(12)の施工が、植裁済みの樹木に対して行われる。
【0040】
まず、図9(a)に示すように、所要箇所の舗装を撤去して、掘削を行う。なお、根系通気灌水システム(12)の設置箇所は、対象木の形状や生育環境により異なるため、事前に根系調査等を行い決定する必要がある。具体的には、太根や大量の根を切除しないように設置するのが望ましい。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、横管(20)、縦管(3)および連通管(8)を配管する。横管(20)および連通管(8)の周囲には、単粒砕石を配してフィルタ層(6)を形成しておく。また、通気灌水口(4)の下端を縦管(3)の上端に接続しておく。
【0042】
そして、図9(c)に示すように、土壌の埋め戻し作業を行った後、表層の再舗装を行う。こうして、根系通気灌水システム(12)の施工が完了する(図7および8参照)。
【0043】
この実施形態の場合、横管(20)が根系(R)の側方に沿うラインタイプのものであるため、根系(R)に対する通気灌水効果の範囲がやや狭くなるが、施工時の掘削に伴う根系(R)への負担を軽減できるため、特に既存樹木への設置に適している。その他は、第1の実施形態とほぼ同じである。
【0044】
【発明の効果】
本発明の根系通気灌水システムによれば、舗装面で覆われた土壌中の根系に対する通気および灌水を直接的にかつ効率的に行うことができる上、その効果も永続する。したがって、本発明によれば、都市部に植裁される樹木の健康を維持することができる上、樹木管理の負担も軽減することができる。
【0045】
また、通気灌水口を上下2つのユニットで構成した場合には、舗装を含めた施工全体をより容易にすることができ、また、灌水作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態を示すものであって、通気灌水システムの斜視図である。
【図2】第1の実施形態における通気灌水システムの垂直断面図である。
【図3】第1の実施形態における通気灌水システムの通気灌水口ユニットを拡大して示す垂直断面図である。
【図4】第1の実施形態における通気灌水口ユニットの分解斜視図である。
【図5】第1の実施形態における通気灌水システムの施工方法を工程順に示す垂直断面図である。
【図6】本発明による第2の実施形態を示すものであって、通気灌水システムの水平断面図である。
【図7】本発明による第3の実施形態を示すものであって、通気灌水システムの水平断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う通気灌水システムの垂直断面図である。
【図9】第3の実施形態における通気灌水システムの施工方法を工程順に示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(P):舗装面
(R):根系
(11)(12):根系通気灌水システム
(2)(20):横管
(3):縦管
(4):通気灌水口
(41):上部ユニット
(41A):縦管接続部
(41B):孔あき下部蓋
(42)上部ユニット
(42A):孔あき上部蓋
【出願人】 【識別番号】502246296
【氏名又は名称】株式会社アースワーク
【住所又は居所】奈良県奈良市朱雀5丁目2−1−33−103
【出願日】 平成14年7月8日(2002.7.8)
【代理人】 【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助

【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 彰

【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦

【識別番号】100069338
【弁理士】
【氏名又は名称】清末 康子

【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都

【公開番号】 特開2004−33171(P2004−33171A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−198265(P2002−198265)