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【発明の名称】 海苔種付け用袋
【発明者】 【氏名】竹内 明宏
【住所又は居所】東京都中央区日本橋堀留町一丁目9番10号 平成ポリマー株式会社内

【氏名】石井 清雄
【住所又は居所】東京都中央区日本橋堀留町一丁目9番10号 平成ポリマー株式会社内

【要約】 【課題】海洋汚染を引き起さないで、処分のための作業時間および費用を削減できる海苔種付け用袋を提供する。

【解決手段】種貝を収容し、海苔の胞子を放出する海苔種付け用袋10が、生分解性樹脂製からなる。このような海苔種付け用袋10には、鉄粉16が付着されていることが好ましい。また、側面に凸条15が設けられていることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種貝を収容し、海苔の胞子を放出する海苔種付け用袋であって、生分解性樹脂からなることを特徴とする海苔種付け用袋。
【請求項2】
鉄粉が付着されていることを特徴とする請求項1に記載の海苔種付け用袋。
【請求項3】
側面に凸条が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の海苔種付け用袋。
【請求項4】
前記生分解性樹脂が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の海苔種付け用袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海苔の胞子が付着した種貝を収容する海苔種付け用袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
海苔の養殖においては、海苔網に海苔を種付けする作業が行われる。海苔網に海苔を種付けする際には、種貝が用いられる。ここで、種貝とは、海苔の胞子が付着した貝のことである。そして、この種貝を袋内に収容し、この袋を海中の海苔網の下に吊り下げておくと、沈められた袋内の種貝から海苔の胞子が海水中に放出され、放出された胞子が海苔網に付着して海苔網に種付けされる。
その際に使用される海苔種付け用袋としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂製の袋が広く使用されている。図3に、従来の海苔種付け用袋を示す。この海苔種付け用袋30は、種貝が収容される種貝収容部31と、胞子が種貝から十分に海中に放出されるように袋の開口部32を開け拡げる開拡手段33と、袋を海中に吊り下げるための吊下手段34とを有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、種付けが終了すると、海苔種付け用袋は不要になるが、これを海中に投棄すると海洋汚染になるので、通常、海苔種付け用袋は回収され、焼却処分されている。しかしながら、その処分のために、多大な作業時間および費用を要していた。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、海洋汚染を引き起さないで、処分のための作業時間および費用を削減できる海苔種付け用袋を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の海苔種付け用袋は、種貝を収容し、海苔の胞子を放出する海苔種付け用袋であって、生分解性樹脂からなることを特徴としている。
本発明の海苔種付け用袋においては、鉄粉が付着されていることが好ましい。
また、側面に凸条が設けられていることが好ましい。
また、前記生分解性樹脂は脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の海苔種付け用袋の一実施形態例について図1を参照しながら説明する。この海苔種付け用袋10は、種貝が収容される生分解性樹脂製の種貝収容部11からなっている。さらに、種貝収容部11の開口部12側の端縁部には、種貝収容部11の開口部12を拡げる開拡手段13が取り付けられ、種貝収容部11の上部には吊下手段14が取り付けられている。また、種貝収容部11の側面には、高さ方向に沿って複数の凸条15,15,15・・・が設けられており、さらに、少なくとも種貝収容部11の側面には多数の鉄粉16,16,16・・・が付着されている。ここで、高さ方向とは、開口部12を上とし、底部17を下としたときの上下方向のことである。
【0006】
種貝収容部11は、カキなどの種貝を収容する袋状のものである。この種貝収容部11を製袋する方法としては、インフレーション成形法、Tダイ式押出成形法などによりフィルムを成形した後に、そのフィルムをヒートシールする方法が一般的である。
種貝収容部11に付着されている鉄粉16は、海苔の栄養分になるとともに、吊下手段14を切断したときに海底に落下させるための錘となる。海苔などの海草にとっては、鉄分は非常に重要な栄養素であり、鉄分を補給することで発育を向上できる。種貝収容部11に鉄粉をさせる方法としては、例えば、フィルムを成形する際に、フィルムが冷却されていないときに、ブロアなどの送気手段を用いて空気とともに鉄粉をフィルムに向けて供給して付着させる方法、鉄粉あるいは鉄化合物を練り込みまたは塗布する方法などが挙げられる。
【0007】
開拡手段13は、開口部12を開け拡げることができれば特に制限はない。例えば、図示例の開拡手段13は、剛性が高い環状体である。
吊下手段14は、海苔の胞子付け時に海中に吊り下げることができれば特に制限されない。種付け終了後に、この吊下手段14を切断して、海苔種付け用袋10を海底に沈める。海底に沈めることで、海苔種付け用袋10は土壌と接して生分解する。
凸条15としては、種貝収容部11を補強できれば特に制限はない。図示例の凸条15は、種貝収容部11を作製する際に、フィルムに一体状に成形されて設けられたものである。凸条をフィルムと一体状に成形する方法としては、例えば、インフレーション成形の際に、図2に示すような、孔21の周縁から放射状に延びた溝22,22,22・・・が形成されたダイス出口部23を有するダイスから樹脂を吐出させる方法などが挙げられる。この方法では、溝22を通過した樹脂が凸条になる。また、例えば、フラットヤーンなどの細長い部材を種貝収容部11の側面に貼り付けて凸条15としてもよい。
この実施形態例においては、開拡手段13、吊下手段14、凸条15は生分解性樹脂からなっている。このように、開拡手段13、吊下手段14、凸条15も生分解性樹脂製であることは、最も好ましい態様である。
【0008】
海苔種付け用袋10に使用される生分解性樹脂としては特に制限されず、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロースなどが挙げられる。これらの中でも、機械的特性および生分解性に優れていることから、脂肪族ポリエステルが好ましい。脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネート・アジペートを主たる繰り返し単位として含むもの(昭和高分子社製商品名ビオノーレ)、ポリブチレンサクシネート・カーボネートを主たる繰り返し単位として含むもの(三菱ガス化学社製商品名ユーペック)、ポリエチレンサクシネートを主たる繰り返し単位として含むもの(日本触媒社製商品名ルナーレSE)などが挙げられる。
【0009】
上述した海苔種付け用袋10は、生分解性樹脂製であるため、吊下手段14を切断して海底に着地させると土壌中の微生物によって生分解し、最終的には消失する。したがって、海洋汚染を引き起さずに、回収、処分のための作業時間および費用を大幅に削減できる。
また、種貝収容部11に鉄粉が付着しており、海中に鉄分が溶け出して海苔に栄養分を補給できるので、海苔の発育を促すことができる。また、種貝収容部11に鉄粉が付着していると、比重が高くなるので、種付け終了後、吊下手段14を切断した際に、海中に浮遊することなく、より確実に海底に沈めることができる。生分解は海中であっても土壌中で起こるため、より確実に海底に沈めることができれば、より確実に生分解させることができる。
【0010】
また、種貝収容部11の側面には凸条15が形成されており、この凸条15が種貝収容部11を補強するので、形状が保持されている。そのため、種貝を海苔種付け用袋10に収容する作業の作業性が向上する。また、海苔の養殖場では、引き潮の時に土壌改良を目的として海底を掘り起こすことがあるが、海苔種付け用袋10が凸条15により補強されていると、畳まれにくく、嵩高くなる。したがって、海苔種付け用袋10が生分解されていない時に、その掘り起こし作業が実施された場合には、土が嵩高くなり、土中により多くの酸素を含ませることができる。また、海中では、通気性および通水性が向上するので、土壌中に貝などの生物が繁殖しやすくなり、海苔の養殖にとってより良好な環境になる。
【0011】
なお、本発明は上述した実施形態例に制限されない。例えば、凸条15が設けられていなくてもよいし、鉄粉16が付着されていなくてもよい。また、上述した実施形態例では、開拡手段13および吊下手段14が生分解樹脂製であったが、他の材料を使用することもできる。例えば、開拡手段13に鉄製の環状体を用いることもできる。
さらに、本発明の海苔種付け用袋は、少なくとも種貝収容部を有していればよい。
【0012】
【実施例】
(実施例)
生分解性樹脂であるビオノーレ#3000(昭和高分子社製)を、押出温度200℃でインフレーション成形して、凸条を有する厚み50μmの筒状のフィルムを得た。その際、フィルムの表面に凸条を形成させるために、図2に示すような、孔21の周縁から放射状に延びた溝22,22,22・・・が形成されたダイス出口(リップ)部を有するダイスを用いた。また、ブロアを用いて空気とともに鉄粉を、インフレーション成形機から吐出した直後の加熱状態のフィルム表面に向けて付着させた。そして、得られた筒状のフィルムを幅方向にヒートシールして樹脂袋を得た。
また、生分解性樹脂であるビオノーレ#3000を、押出温度200℃でインフレーション成形して幅400mm、厚み150μmのフィルムを得た。次いで、このフィルムを20mm幅にスリットし、さらに熱板で5倍に延伸して幅10mm、厚み30μmのフラットヤーンを得た。
また、生分解性樹脂であるビオノーレ#3000を、外径3mmのノズル孔を有するダイを用いて押出温度200℃で押出成形し、室温に冷却される前に、吐出したストランドを紙管に巻き付けた。そして、巻き付けたまま、100℃、20分で熱処理して形状を記憶させて環状体を得た。
次いで、樹脂袋の開口部側端縁部に、開拡手段として環状体を取り付けて、開口部を拡げた。また、樹脂袋の上部にフラットヤーンを取り付けて吊下手段として、海苔種付け用袋を得た。
【0013】
(比較例)
ビオノーレ#3000の代わりに汎用ポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製PL300A)を用い、インフレーション成形時の押出温度を220℃にし、環状体を作製するときの熱処理温度を140℃にした以外は実施例と同様にして海苔種付け用袋を得た。
【0014】
実施例および比較例の海苔種付け用袋を海中の土壌に埋設し、その分解率を測定した。結果を表1に示す。
表1のように、実施例では、4ヶ月後には殆ど分解していたが、比較例では12ヶ月経過しても全く分解していなかった。したがって、本実施例の海苔種付け用袋は、種付け終了後に、海底に着地させることで、生分解して消失する。
なお、実施例において、空気雰囲気中に放置されたブランクは、12ヶ月経過しても重量は変化しなかった。したがって、使用前あるいは使用中に分解することはない。
【0015】
【表1】


【0016】
【発明の効果】
本発明の海苔種付け用袋は、生分解性樹脂製であるため、海底に着地させることで土壌中の微生物によって生分解し、最終的には消失する。したがって、海洋汚染を引き起さずに、回収、処分のための作業時間および費用を大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の海苔種付け用袋の一実施形態例を示す斜視図である。
【図2】インフレーション成形の際に、凸条を形成するために使用されるダイスを示す断面図である。
【図3】従来の海苔種付け用袋を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 海苔種付け用袋
15 凸条
16 鉄粉
【出願人】 【識別番号】000206163
【氏名又は名称】平成ポリマー株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋堀留町一丁目9番10号
【出願日】 平成14年7月5日(2002.7.5)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【公開番号】 特開2004−33159(P2004−33159A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−197788(P2002−197788)