| 【発明の名称】 |
冬虫夏草の人工栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 文夫
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| 【要約】 |
【課題】従来使用されていなかった乾燥させた蚕のサナギを主成分とし、これに食料として用いられる安価な原料を用いて、作業性に優れ、純度の高い冬虫夏草の子実体を大量に、年間を通して栽培することができる冬虫夏草の人工栽培方法を提供するものである。
【解決手段】蚕のサナギの乾燥粉末50〜90重量パーセント、残部が豆類、穀類、海藻類またはキノコ類の乾燥粉末の1種または種以上からなる乾燥粉末を混合して、これに培養液を加えて混練し、これを培養容器1の底部に敷き詰めて培地2を作成し、この培地を、植菌袋3に封入して加熱滅菌処理した後、培地2に冬虫夏草の菌を接種して、育成することを特徴とするものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蚕のサナギの乾燥粉末50〜90重量パーセント、残部が豆類、穀類、海藻類またはキノコ類の乾燥粉末の1種または2種以上からなる乾燥粉末を混合して、これに培養液を加えて混練し、これを培養容器の底部に敷き詰めて培地を作成し、この培地を、植菌袋に封入して加熱滅菌処理した後、培地に冬虫夏草の菌を接種して、育成することを特徴とする冬虫夏草の人工栽培方法。 【請求項2】 冬虫夏草がコナサナギタケ、ハナサナギタケまたはサナギタケであることを特徴とする請求項1記載の冬虫夏草の人工栽培方法。 【請求項3】 培養容器の底部に作成する培地の厚さを、冬虫夏草の子実体の根の生長する長さとほぼ等しい20〜30mmに形成することを特徴とする請求項1記載の冬虫夏草の人工栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、冬虫夏草の人工栽培方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 冬虫夏草は古くから漢方薬として珍重されてきたが、抗ガン作用のあるβーグルガンが多量に含まれており、心筋や大動脈の収縮抑制や右心房の収縮増強の効果もあることが明らかとなってきた。 【0003】 一般に漢方薬として市販されている冬虫夏草は、コウモリ蛾科のコウモリ蛾の幼虫に寄生する肉座科の不完全菌類の一種である。この冬虫夏草は、多くは中国の高地に自生しているものを採取したものである。しかし現在輸入されているものは自然物を採取したもので数も少なく、またその薬効から漢方薬としての需要が拡大してきたことから、年々採取量が減少し価格も更に高騰してきている。 【0004】 このため薬効に優れ、採取量も少なく高価な冬虫夏草を人工的に栽培する方法が種々検討されているが、多くは薬効成分を抽出するのが目的であるため、培養によって菌糸体を生成させるものがほとんどで、子実体の栽培までは目的としていないものが多い。子実体の栽培を具体化させたものとしては、冬虫夏草の子実体人工栽培方法(特許第2676502号)が開発されている。 【0005】 この方法は、繭から生糸を紡いだ後の、死んだ蚕のサナギを乾燥させて、これを培養容器に一匹ずつ入れて、蚕のサナギの一部が空気中に露出するように培養液を注入してから、蝶や蛾などの鱗翅目に属する昆虫のサナギに寄生する冬虫夏草の菌を接種し、これを培養して蚕のサナギに子実体を形成させるものである。 【0006】 この方法では、生糸を紡いだ後の死んだ蚕のサナギを固体培地として有効利用すると共に、液体培地を併用することにより、薬効に優れ、焼酎に漬けたり煎じて飲むのに便利なキノコ状の子実体を年間を通して人工栽培することができるようになった。 【0007】 しかしながらこの方法では、死んだ蚕のサナギを集め、これを培養容器に一匹ずつ区分して入れ、ここに培養液を注入してから、冬虫夏草の菌を接種するので、作業に手間がかかり収量が低く、しかも収穫した後は、生長した子実体と死んだ蚕のサナギを分離する作業が必要で、大量に生産する上で問題があった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記問題を改善し、作業性に優れ、純度の高い冬虫夏草の子実体を大量に、且つ安価に年間を通して栽培することができる冬虫夏草の人工栽培方法を提供するものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】 本発明の請求項1記載の冬虫夏草の人工栽培方法は、蚕のサナギの乾燥粉末50〜90重量パーセント、残部が豆類、穀類、海藻類またはキノコ類の乾燥粉末の1種または2種以上からなる乾燥粉末を混合して、これに培養液を加えて混練し、これを培養容器の底部に敷き詰めて培地を作成し、この培地を、植菌袋に封入して加熱滅菌処理した後、培地に冬虫夏草の菌を接種して、育成することを特徴とするものである。 【0010】 本発明の請求項2記載の冬虫夏草の人工栽培方法は、冬虫夏草がコナサナギタケ、ハナサナギタケまたはサナギタケであることを特徴とするものである。 【0011】 更に請求項3記載の冬虫夏草の人工栽培方法は、培養容器の底部に作成する培地の厚さを、冬虫夏草の子実体の根の長さとほぼ等しい20〜30mmに形成することを特徴とするものである。 【0012】 以下本発明方法を図1を参照して詳細に説明する。培地原料としては、蚕のサナギを乾燥させた粉末を50〜80重量パーセントと、残部が豆類、穀類、海藻類またはキノコ類の乾燥粉末の一種または2種以上からなる乾燥粉末を用いる。豆類としては例えば大豆や小豆、そら豆、いんげん豆、えんどう豆などが用いられるが、大豆が安価で大量に入手できるので最も好ましい。また穀類としては例えば、米、麦、そば、トウモロコシなどを用いることができる。また海藻類としては、海苔、ワカメ、ヒジキなどを用いることができる。またキノコ類としては例えばシイタケや、シメジ、アガリスクを用いることができる。また必要に応じで、煮干などの干し魚を用いても良い。 【0013】 これらの培地原料は、乾燥させた状態で粉砕機に掛けて細かく粉砕して、原料粉末を作成する。これら原料粉末を混合して、これに培養液を加えてて混練する、この培養液としては例えば水や、糖質やアミノ酸などを含有する溶液を用いる。また原料粉末と培養液との混合割合は、原料粉末100重量部に対して培養液を90〜150重量部混合して混練すると良い。 【0014】 このようにして混練した培地原料を図2に示すように、上面が開口した容器1の底に敷きつめて培地2を作成する。この培地2の厚さは、冬虫夏草の子実体の根が生長する長さとほぼ等しい20〜30mmに形成する。 【0015】 このように培地2を形成した容器を、図3に示すようにプラスチックフィルムなどで形成された植菌袋3に入れて、図示しない加熱滅菌装置に入れて、例えば120℃の蒸気で2〜10時間程度加熱することにより、培地に含まれる雑菌を滅菌させると共に、培地の原料粉末が加熱されて柔らかくなり、栄養分が融け出して肥料として吸収されやすくする。 【0016】 この後、無菌室で植菌袋3から容器1を取り出して、図4に示すように培地2の上に冬虫夏草の菌4を振り掛けて接種する。この接種する冬虫夏草の菌4としては、例えばコナサナギタケ、ハナサナギタケまたはサナギタケなどを用いると良い。 【0017】 菌4の接種が終わった、植菌袋3の口を閉じて容器1を密閉し、10〜25℃の育成室で育成すると、図5に示すように数日〜8日後には発菌が見られ容器全体に広がった。その後、20〜30日後には図6に示すように、根5の生長と共にきのこ状の子実体6が生長し、40〜70日後には図7に示すように、50〜60mmの長さの子実体6が容器全体に生長した。 【0018】 子実体6が長く生長した時点では、根5も生長し、培地2の肥料分はほとんど収集されて根5が全体に伸びて広がり、培地が消滅した状態になる。従って収穫する場合には、培地2が消滅しているので容器1からそのまま取り出すだけで、従来のように子実体6と蚕のサナギを分離する作業が不要となる。 【0019】 このようにして収穫した冬虫夏草の子実体6は、乾燥炉で乾燥させ、そのまま酒に漬け込んで薬用酒として飲むかまたは薬膳料理の食材として利用する。また、粉末にしてお茶やドリンク剤に混ぜて飲用にしても良い。 【0020】 なお本発明において、乾燥原料粉末の蚕のサナギの乾燥粉末を50〜90重量パーセントに規定したのは、50重量パーセント未満では発菌が極めて悪く、また90重量パーセントを超えると子実体6の生長が悪く、収率が低下するからである。また培養容器の底部に作成する培地の厚さを、20〜30mmに規定したのは、20mm未満では子実体6の生長に必要な肥料分が不足し、また30mmを超えると培地2が残留して、後の分離作業に手間がかかるからである。 【0021】 【実施例】 (実施例1)原料粉末と培養液(水または糖質2%水溶液)を表1の試料No1〜6に示す割合で混合して混練した後、これを容器1の底に約20mmの厚さに敷きつめて培地2を作成した。このように培地を形成した容器を、プラスチックフィルムで形成された植菌袋3に入れる。この後、加熱滅菌装置に入れて、120℃の蒸気で3時間加熱して、培地2に含まれる雑菌を滅菌すると共に、柔らかくして栄養分が吸収し易い状態にする。 【0022】 次に、無菌室で植菌袋3から容器1を取り出して、培地の上にハナサギタケの菌4を振り掛けて接種した。この後、植菌袋3の口を閉じて密閉し、22℃の育成室で育成して、発菌日と子実体が形成されるまでの日を観察した。その結果は、表1に示すようになった。また比較のために、本発明に規定する範囲外の試料No7〜9についても同様に栽培を行ないその結果を表1に併記した。 【0023】 【表1】
【0024】上表の結果から、試料No1〜6は、発菌や子実体の形成に多少の相違があるが、55〜60日後には容器全体に40〜50mmの長さの子実体6が成長し、培地2は消滅していた。また比較例のNo7は子実体の成長が悪く、60%程度で、No8は40%程度と収率が悪かった。またNo9の培地を全部大豆で形成したものは発菌しなかった。 【0025】また試料N01の冬虫夏草について、その成分を分析した結果は、表2に示すようになった。これから抗ガン作用のあるβーグルガンが多量に含まれていることが確認された。 【0026】 【表2】
【0027】 【発明の効果】 以上説明した如く本発明に係る請求項1記載の冬虫夏草の人工栽培方法によれば、培地原料として従来使用されていなかった乾燥させた蚕のサナギを主成分とし、これに食料として利用されている豆類、穀類、海藻類またはキノコ類の乾燥粉末を混合したものを使用するので安価であり、しかも通常のきのこ栽培と同様な方法で栽培できるので作業性に優れ、純度の高い冬虫夏草の子実体を大量に、且つ安価に年間を通して栽培することができる。 【0028】 また請求項2記載の冬虫夏草の人工栽培方法によれば、冬虫夏草がコナサナギタケ、ハナサナギタケまたはサナギタケを用いることにより安定して子実体を形成することができる。 【0029】 更に請求項3記載の冬虫夏草の人工栽培方法によれば、培養容器の底部に作成する培地の厚さを、冬虫夏草の子実体の根の生長する長さに形成することにより、収穫後に子実体と培地を分離する作業が不要となり、100%そのまま使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の冬虫夏草の人工栽培方法を工程に従って示す工程図である。 【図2】容器に培地を形成した状態を示す断面図である。 【図3】培地を形成した容器を植菌袋に封入した状態を示す断面図である。 【図4】培地に菌を接種している状態を示す断面図である。 【図5】培地に発菌している状態を示す断面図である。 【図6】培地に根と子実体が生長し始めた状態を示す断面図である。 【図7】培地に子実体が生長した状態を示す断面図である。 【符号の説明】 1 容器 2 培地 3 植菌袋 4 冬虫夏草の菌 5 根 6 子実体
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| 【出願人】 |
【識別番号】501474081 【氏名又は名称】東白農産企業組合
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| 【出願日】 |
平成14年7月1日(2002.7.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077883 【弁理士】 【氏名又は名称】吉川 勝郎
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| 【公開番号】 |
特開2004−33061(P2004−33061A) |
| 【公開日】 |
平成16年2月5日(2004.2.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−192365(P2002−192365) |
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