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【発明の名称】 植物栽培装置
【発明者】 【氏名】本島 栄一
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】島田 和紀
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】野村 保明
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】井出 有美枝
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【要約】 【課題】作業性、栽培密度を向上させる。

【解決手段】水平架台部11aに転動可能支持した一つの駆動軸12を回転させることにより、2列の植物栽培ベッド20を同時に上下に異ならせる方向に移動できる構成である。駆動軸12の回転により、2列の植物栽培ベッド20を、いずれか一方側に片寄らせ、かつ段違い状態とすることができるため、上下高さを異ならせた際には、平面視での栽培面積を常態と比較して縮小することができる。従って、本発明によれば、予め作業用通路を確保することなく、設置高さに拘わらず、必要な場合に容易に作業用通路を確保できるため、常態における栽培密度を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を植えるための培地を備えた栽培手段が2列を一組として配置される栽培施設に用いられる植物栽培装置であって、
所定間隔ごとに所定の高さで複数設けられる水平架台部と、
隣接する水平架台部間に架け渡され、該水平架台部上を転動可能に配置される駆動軸と、
前記駆動軸に巻回される駆動用紐状部材と、
前記駆動用紐状部材の駆動軸を挟んだ一方側の紐部と他方側の紐部とが、それぞれ所定間隔をおいた位置に接続され、前記駆動軸の転動により、各紐部との接続位置が上下に異なる方向へと移動する動作部材と、
前記動作部材に所定間隔をおいて設けられ、前記2列の栽培手段のそれぞれを吊り下げ支持する吊り下げ部材と
を具備することを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
植物を植えるための培地を備えた栽培手段が2列を一組として配置される栽培施設に用いられる植物栽培装置であって、
所定間隔ごとに所定の高さで複数設けられる水平架台部と、
隣接する水平架台部間に架け渡され、該水平架台部上を転動可能に配置される駆動軸と、
各端部が所定の高さに位置する任意の不動部に固定されると共に、略中間部が前記駆動軸に交差して巻回される駆動用紐状部材と、
巻回された前記駆動軸から交差して引き出される前記駆動用紐状部材における一端部と略中間部との間及び他端部と略中間部との間にそれぞれ位置する一方側の紐部と他方側の紐部とが、それぞれ所定間隔をおいた位置に接続され、前記駆動軸の転動により、各紐部との接続位置が上下に異なる方向へと移動する動作部材と、
前記動作部材に所定間隔をおいて設けられ、前記2列の栽培手段のそれぞれを吊り下げ支持する吊り下げ部材と
を具備することを特徴とする植物栽培装置。
【請求項3】
前記動作部材が、所定間隔をおいて回転可能に支持される一対の滑車を具備し、前記駆動用紐状部材の一方側の紐部と他方側の紐部とが、各滑車に掛け回されて接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記各吊り下げ部材が、前記動作部材に対し、回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
前記駆動用紐状部材の各端部が、前記水平架台部とほぼ同じ高さに位置する前記架台の任意部位に固定されていることを特徴とする請求項2記載の植物栽培装置。
【請求項6】
前記水平架台部が、栽培施設を構成する骨組み材とは別に、独立して立設された脚部により支持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物栽培装置に関し、より詳しくは、植物を植えるための培地を有する栽培手段を少なくとも上下方向に移動可能に支持できる植物栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種植物を植えて栽培するための栽培手段としては、各種の培地が充填される鉢やプランターなどがある。また、硬質の栽培容器やプラスチックフィルムなどの軟質の外被部材によって培地が保持され、一般に家庭園芸などで用いるプランター等より大型に形成され、施設園芸などで用いられる植物栽培ベッドなどもある。
【0003】
従来、これらの栽培手段を複数設置する場合、各栽培手段で栽培されている植物同士の接触を避け、また、それらへの均等な採光を確保するために、所定間隔ごと離間させて配置している。また、イチゴやトマトなどの果菜類の場合には、受粉、収穫、茎の誘引などの各種作業を頻繁に行う必要があるため、隣接する栽培手段間には、これらの作業を円滑に行うことも考慮した作業用スペース(作業用通路)を確保する必要がある。このため、温室などの各種栽培施設において、その全体を栽培面積に割り当てることは実質的に不可能であり、上記した作業用通路など、植物を栽培できないスペースが必然的に生じる。このような中で、限られた栽培施設内において、作業性を損なうことなく、収穫量を上げるための工夫が種々なされている。
【0004】
例えば、特開2000−14250号公報には、滑車に巻回した紐状部材の両端に栽培手段を支持し、あるいは、天秤棒の両端に吊り下げた紐状部材に栽培手段を支持すると共に、温室を構成する骨組み材にこの滑車や天秤棒を支持させ、栽培手段を常態においては温室内のかなり高い位置に配置しておく栽培装置が開示されている。作業を行う際には、いずれかの栽培手段を引き下ろして実施するのであるが、作業者の歩行用の通路(作業用通路)は栽培手段の下方に確保されているため、ある一つの滑車や天秤棒を介して支持された一対の栽培手段と、これに隣接する他の滑車や天秤棒を介して支持された他の対の栽培手段との間に作業用通路を設ける必要がなく、温室内の栽培密度を高めることが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示された栽培装置は、滑車や天秤棒などの一つの支持手段によって、2個一対の栽培手段を支持できるため、2個の栽培手段を個別に支持する場合と比較して、装置構成全体の簡素化を図れるという利点はあるものの、上下動させても栽培手段の平面投影面積にほとんど変化がない。従って、歩行用通路ないしは作業用通路は、栽培手段の下方に設けるよりほかない。このため、上記公報に開示された栽培装置では、仮に、栽培手段と地面との隙間を数十cm程度にした場合には、作業用通路が実質的に皆無になってしまい、栽培装置として適さなくなってしまう。
【0006】
また、装置構成を簡素化できるといっても、温室内の高所に滑車や天秤棒を配置しなければならないため、温室の天井付近の骨組み材(梁など)にこれらを支持する必要がある。従って、温室の骨組み材は、栽培手段の重量に耐えうるだけの強度が必要となる。しかしながら、施設園芸においては、上記のように所定の長さを有する大型の植物栽培ベッド(鉢やプランター等も含む)を複数用いるのが通常であり、温室の骨組み材にその全重量を支持させることは非常に困難であり、強度の高い温室構造とした場合には、温室自体の製造コストがかなり高くなってしまう。すなわち、上記公報で開示された栽培装置を、ビニルハウスなどの簡易構成の栽培施設において用いることは実質的に不可能なものである。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、2列で一対の栽培手段を共通の部材で支持でき、個別に操作することなく各栽培手段の上下動が可能であり、この種の栽培装置特有の装置構成の簡素化という利点を備えると共に、設置高さに拘わらず、必要な場合に、容易に作業用通路を確保できる構成とすることで、栽培密度を高めることができる植物栽培装置を提供することを課題とする。また、本発明は、ビニルハウスなどの簡易構成の栽培施設においても、栽培施設を構成する骨組み材に負荷をかけることなく設置できる植物栽培装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、植物を植えるための培地を備えた栽培手段が2列を一組として配置される栽培施設に用いられる植物栽培装置であって、
所定間隔ごとに所定の高さで複数設けられる水平架台部と、
隣接する水平架台部間に架け渡され、該水平架台部上を転動可能に配置される駆動軸と、
前記駆動軸に巻回される駆動用紐状部材と、
前記駆動用紐状部材の駆動軸を挟んだ一方側の紐部と他方側の紐部とが、それぞれ所定間隔をおいた位置に接続され、前記駆動軸の転動により、各紐部との接続位置が上下に異なる方向へと移動する動作部材と、
前記動作部材に所定間隔をおいて設けられ、前記2列の栽培手段のそれぞれを吊り下げ支持する吊り下げ部材と
を具備することを特徴とする植物栽培装置を提供する。
請求項2記載の本発明では、植物を植えるための培地を備えた栽培手段が2列を一組として配置される栽培施設に用いられる植物栽培装置であって、
所定間隔ごとに所定の高さで複数設けられる水平架台部と、
隣接する水平架台部間に架け渡され、該水平架台部上を転動可能に配置される駆動軸と、
各端部が所定の高さに位置する任意の不動部に固定されると共に、略中間部が前記駆動軸に交差して巻回される駆動用紐状部材と、
巻回された前記駆動軸から交差して引き出される前記駆動用紐状部材における一端部と略中間部との間及び他端部と略中間部との間にそれぞれ位置する一方側の紐部と他方側の紐部とが、それぞれ所定間隔をおいた位置に接続され、前記駆動軸の転動により、各紐部との接続位置が上下に異なる方向へと移動する動作部材と、
前記動作部材に所定間隔をおいて設けられ、前記2列の栽培手段のそれぞれを吊り下げ支持する吊り下げ部材と
を具備することを特徴とする植物栽培装置を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記動作部材が、所定間隔をおいて回転可能に支持される一対の滑車を具備し、前記駆動用紐状部材の一方側の紐部と他方側の紐部とが、各滑車に掛け回されて接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培装置を提供する。
請求項4記載の本発明では、前記各吊り下げ部材が、前記動作部材に対し、回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の植物栽培装置を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記駆動用紐状部材の各端部が、前記水平架台部とほぼ同じ高さに位置する前記架台の任意部位に固定されていることを特徴とする請求項2記載の植物栽培装置を提供する。
請求項6記載の本発明では、前記水平架台部が、栽培施設を構成する骨組み材とは別に、独立して立設された脚部により支持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の植物栽培装置を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施の形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる植物栽培装置1を示す斜視図である。この図に示したように、本実施形態の植物栽培装置1は、架台11と、この架台11に支持される駆動軸12と、駆動軸12に巻回されて巻き取り又は巻き戻される駆動用紐状部材13と、各端部付近が上下に異なる方向に移動する動作部材14と、栽培手段となる各植物栽培ベッド20を支持する吊り下げ部材17,18とを有して構成される。
【0010】
架台11は、水平架台部11aと、該水平架台部11aを所定の高さに保持するために地面に立設される脚部11bとを有してなる。架台11としては、地面から所定の高さで略水平に保持される水平架台部11aを有していればよく、例えば、脚部11bの端部を温室の天井部等に固定して水平架台部11aが下側となるように配置してもよいし、温室の天井部等に棒状部材や紐状部材等を吊り下げ、これに略水平に水平架台部11aを支持させたものであってもよい。但し、本実施形態は、栽培手段を構成する植物栽培ベッド20の下方空間に作業用通路を確保する必要はなく、各植物栽培ベッド20と地面との距離は数十cm程度でも、上下に異なる方向に動作させることができる。温室の天井部等を構成する骨組み材に支持させた場合には、複数配設される植物栽培ベッド20の全重量を支持できる強度とする必要があるが、本実施形態の場合には、地面から1〜2mの高さの脚部11bに水平架台部11aを保持させることができるため、ビニルハウス等の簡易構造の温室に好適に使用することができる。なお、架台11は、図1に示したように、温室の長手(奥行き)方向又は幅方向に所定間隔ごと、かつ水平架台部11a同士が略平行となるように複数配設される。
【0011】
駆動軸12は、本実施形態においては、パイプ部材から形成される。また、少なくとも奥行き方向に隣接する一対の水平架台部11a間に掛け渡されるだけの長さを有し、隣接する水平架台部11a上で転動可能に支持される。このように奥行き方向に隣接する一対の水平架台部11aによって支持されるパイプ部材から構成することにより、駆動用紐状部材13及び吊り下げ部材17,18を介して支持される植物栽培ベッド20の荷重を分散支持することができる。なお、駆動軸12には、図示しないが、ハンドルを連結しておき、ハンドル操作により容易に回転できる構成とすることが好ましい。また、この場合、ギア機構を介して連結することによりハンドルの操作力を低減することができるが、本実施形態の場合、後述のように、一方の植物栽培ベッド20を上昇させる際には、他方の植物栽培ベッド20が下降するため、一方の植物栽培ベッド20を上昇させる方向へ駆動軸12に加えるハンドルの操作力は、同時に、他方の植物栽培ベッド20の重量による駆動軸12を回転させる力によって補われる構成である。従って、ギア機構として減速比のより小さなものを用いても、あるいは、ギア機構を設けなくても軽い力で駆動軸12を所望の方向に回転させることができる。また、駆動軸12は、手動で回転させるのではなく、モータ駆動とすることもできる。
【0012】
駆動用紐状部材13は、所定長の紐材、ワイヤ、あるいは所定の幅を有するベルト部材等の長尺帯から構成され、上記駆動軸12に巻回されると共に、駆動軸12を挟んだ一方側の紐部131と他方側の紐部132とが、動作部材14の所定間隔をおいた位置に、本実施形態では動作部材14の両端付近に接続される。そして、上記駆動軸12に巻き取り又は巻き戻されることにより動作部材14の各端部を上下に異なる方向に移動させる。
【0013】
より詳細には、動作部材14は、水平架台部11aに略平行に配置される所定長の棒状部材や板状部材等からなり、その両端付近には、それぞれ滑車15,16が回転自由に支持されている。そして、上記駆動用紐状部材13は、その略中間部133が駆動軸12に巻回され、交差して引き出された一方側の紐部131は、動作部材14の一方の滑車15に掛け回された後、その端部131aが再度斜め上方に引き上げられて、所定の高さであって架台11の任意部位に、本実施形態では水平架台部11aの一方の端部と一方の脚部11bとの連結部付近に固定される。また、他方側の紐部132は、動作部材14の他方の滑車16に掛け回された後、その端部132aが再度斜め上方に引き上げられて、水平架台部11aの他方の端部と他方の脚部11bとの連結部付近に固定される。
【0014】
この結果、駆動用紐状部材13は、駆動軸12、動作部材14に設けた滑車15,16及び水平架台部11aの各端部付近との間で、全体として略W字状に配設され、一方側の紐部131において滑車15に掛け回された部位及び他方側の紐部132において滑車16に掛け回された部位が、それぞれ、動作部材14と接続される接続部となる。なお、駆動軸12の転動によって、一方側の紐部131と他方側の紐部132との相対長さは変化するものであり、それに伴い、動作部材14との接続部の位置も変化することはもちろんである。
【0015】
ここで、本実施形態では、駆動用紐状部材13の略中間部133は、駆動軸12に対し、直接巻回されるのではなく、駆動軸12のうち、水平架台部11aに隣接した付近にドラム121を装着し、このドラム121を介して駆動軸12に巻回させる構成となっている。これは、駆動用紐状部材13を、より少ない回転量で、ずれのないように安定して巻き付け可能とするためのものであり、必ずしも必須ではない。従って、駆動軸12に直接巻回させることも可能である。
【0016】
吊り下げ部材17,18は、本実施形態では、棒状部材等からなる吊り下げ軸17a,18aと、該吊り下げ軸17a,18aに連結された吊り紐17b,18bとから構成される。吊り下げ部材17,18は、上記した動作部材14に、所定間隔をおいて、本実施形態では長手方向各端部付近に設けられている。吊り下げ部材17,18は、動作部材14が、駆動軸12及び駆動用紐状部材13の作用により上下動することに伴って、それぞれ異なる方向に上下動する。従って、各吊り下げ部材17,18によって吊り下げ支持される植物栽培ベッド20は、この吊り下げ部材17,18を介して、上下に異なる方向に移動することになる。なお、吊り紐17b,18bとしては、紐材、ワイヤ、あるいは所定の幅を有するベルト部材等の長尺帯などを用いることができる。
【0017】
また、吊り下げ部材17,18は、動作部材14に対して回動自由に設けられていることが好ましい。これにより、各植物栽培ベッド20は、動作部材14の各端部が上下に異なる方向に動作しても、すなわち、傾斜状態となった場合でも、水平状態を維持できる(図3参照)。吊り下げ部材17,18を動作部材14に対して回動自由に連結する手段としては、例えば、吊り下げ部材17,18を柔軟な紐材等から構成して、動作部材14との連結部を支点として各植物栽培ベッド20の重さにより、左右に回動する構成とすることが挙げられる。また、本実施形態のように、吊り下げ部材17,18が棒状部材等からなる吊り下げ軸17a,18aを有している場合には、この吊り下げ軸17a,18aを動作部材14に軸支して回動自由にする手段が挙げられる。なお、本実施形態の場合には、吊り下げ軸17a,18aが動作部材14に対して固定連結されていたとしても、この吊り下げ軸17a,18aに対して、さらに柔軟な吊り紐17b,18bを連結しているため、この吊り紐17b,18bは、各植物栽培ベッド20の重さにより、動作部材14に対して間接的に回動自由である。「吊り下げ部材17,18が動作部材14に対して回動自由」とは、このような態様をも含む意味である。
【0018】
栽培手段を構成する植物栽培ベッド20は、本実施形態では、所定の長さを有する断面略コ字状のトレー20aと、このトレー20aに一列に支持された培地が充填される複数個の鉢20bとからなるものを用いている。そして、トレー20aの端部における該トレー20bの側板間に支持棒20cを架け渡し、この支持棒20cに、上記した吊り下げ部材17,18を構成する吊り紐17b,18bを連結している。なお、支持棒20cは、各トレー20aの長手方向各端部に設けられており、上記した駆動軸12に装着されるドラム121、駆動用紐状部材13、動作部材14、滑車15,16、及び吊り下げ部材17,18が、このトレー20cの長手方向各端部に対応して、隣接する一対の架台11のそれぞれの付近に設けられることはもちろんである。
【0019】
また、栽培手段を構成する植物栽培ベッド20の種類は何ら限定されるものではない。例えば、図1に示したトレー20aとほぼ同じ程度の長尺なプランターに培地を充填して構成することもできるし、柔軟なプラスチックシート等からなる袋状の外被部材内に培地を充填したものを用いることもできる。
【0020】
本実施形態の植物栽培装置1によれば、例えば、図1及び図2に示したように、2列の植物栽培ベッド20が同じ高さで並んでいる状態から、ハンドル(図示せず)を操作して駆動軸12を水平架台部11a上で図1の矢印A側に回転させる。これにより、駆動軸12は、水平架台部11aの一方の端部方向に転動していく。この際、駆動用紐状部材13は、一方側の紐部131が駆動軸12に装着したドラム121に巻き取られていき、動作部材14の一方の滑車15に接する接続部の位置が一方側の紐部131の端部131a寄りに変化していくため、動作部材14の一方の端部が上昇していく。同時に、他方側の紐部132は、ドラム121から巻き戻され、一方の紐部131よりも相対長さが長くなる一方、動作部材14の他方の滑車16に接する接続部の位置が駆動用紐状部材13の略中間部133寄りにずれていき、動作部材14の他方の端部が下降していく。
【0021】
動作部材14は、図3に示したように、全体として、水平架台部11aの一方の端部(一方の脚部11b)寄りに移動すると共に、一方の端部の位置が高く、他方の端部の位置が低い、傾斜状態となる。動作部材14がこのように姿勢変化する間、動作部材14の各端部設けられた吊り下げ部材17,18は、動作部材14に対して回動自由に設けられているため、各植物栽培ベッド20の重さにより、常にほぼ垂直状態が維持され、各植物栽培ベッド20は、水平状態を保ったまま上下に異なる方向に移動し、段違い状態となる。これにより、各植物栽培ベッド20は、図2に示した状態と比較し、図3に示したように左側に寄り、しかも動作部材14が傾斜するため、平面から見た際の植物栽培ベッド20同士の相対位置が接近する。この結果、図3の右側には、作業用通路(作業用スペース)が確保される。また、一方の植物栽培ベッド20を上昇させるに当たって、図1の矢印A側に駆動軸12を回転させると、相対的に他方の植物栽培ベッド20が下降方向に移動し、他方の紐部132の長さが長くなり、他方の植物栽培ベッド20の荷重が、ドラム121(駆動軸12)を矢印A側に回転させる力として働くことから、駆動軸12を回転させるためのハンドルの操作力は軽くて済む。
【0022】
本実施形態によれば、作業等を行わない間は、図2のように、両者を同じ高さに設定しておくことにより、両者にほぼ均等の採光条件等の栽培環境を設定することができる。しかも、作業を行わない間は作業用通路を確保する必要がないので、並列的に隣接する他の植物栽培装置で支持された2列で一組の植物栽培ベッドとの間のスペースは最小限にすることが可能である。従って、本実施形態によれば、温室等の限られた栽培施設における栽培密度を増加することができる。そして、作業等を行う場合のみ、上記のように駆動軸12をいずれかに回転させて、図3に示したように、作業用通路を確保すればよい。また、このように作業用通路を確保した状態では、2列で一組の植物栽培ベッド20が段違い状態となるため、作業者は作業用通路から、一組の植物栽培ベッド20のそれぞれに対し、薬液散布、受粉その他の必要な作業を施すことができる。段違い状態とならない場合には、作業用通路が確保できたとしても、一方の植物栽培ベッド20に対し、所定の作業を行った後、作業者は、反対側に作業用通路を確保するように操作して、反対側まで移動して他方の植物栽培ベッド20に対して所定の作業を行わなければならないが、本実施形態によれば、いずれか一方に作業用通路を確保すれば、いずれの植物栽培ベッド20に対しても作業を施すことができるため、作業者の労力低減効果が大きい。
【0023】
なお、図1の矢印B側に駆動軸12を回転させた場合には、駆動軸12、駆動用紐状部材13、動作部材14が上記と逆に作用し、図1の手前側の植物栽培ベッド20が上昇し、奥側の植物栽培ベッド20が下降することはもちろんである。また、ハンドル操作により駆動軸12を回転させるに当たって、回転量が少ない場合には、動作部材14の傾斜角度も小さく、その状態で手等を離しても、各部材間の摩擦等により2列の植物栽培ベッド20は段違い状態で保たれるが、駆動軸12の回転量が大きくなり、動作部材14の傾斜角度が大きくなると、手等を離すことにより、その状態を維持できなくなってしまう。従って、ハンドルを設ける場合には、操作している手等を離した際に、その状態で止まるブレーキ機構やクラッチなどを設けることが好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明の植物栽培装置は、一つの駆動軸を回転させることにより、2列の栽培手段を上下に異ならせる方向に移動できる構成である。従って、各栽培手段ごとに、上下動作させる部材などを設ける必要がないため、装置構成が簡易であると共に、駆動軸の回転により、2列の栽培手段を、いずれか一方側に片寄らせ、かつ段違い状態とすることができるため、上下高さを異ならせた際には、平面視での栽培面積を常態と比較して縮小することができる。従来の滑車等を用いた植物栽培装置の場合には、常態と作業時とで平面視における実質的な栽培面積にほとんど変化がないため、予め栽培手段を温室等の栽培施設内の高所に設けるなど、作業用通路を確保するための別途の対策を施す必要があったが、本発明によれば、このような必要はなく、設置高さに拘わらず、必要な場合に容易に作業用通路を確保できるため、常態における栽培密度を高めることができる。
【0025】
このため、温室等の栽培施設として、大型のものや強度の高いものを用いる必要がなく、小型のものであったり、ビニルハウス等の簡易構造の栽培施設でも、本発明を適用して、栽培密度を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態にかかる植物栽培装置を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、上記実施形態にかかる植物栽培装置において、2列の植物栽培ベッドが水平状態で保持されている状態を示す側面図である。
【図3】図3は、上記実施形態にかかる植物栽培装置において、駆動軸を回転させ、2列の植物栽培ベッドが上下に異なる方向に移動して段違い状態で保持されている状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 植物栽培装置
11 架台
11a 水平架台部
12 駆動軸
13 駆動用紐状部材
14 動作部材
15,16 滑車
17,18 吊り下げ部材
20 植物栽培ベッド
【出願人】 【識別番号】390010814
【氏名又は名称】株式会社誠和
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀1−6−1
【出願日】 平成14年6月28日(2002.6.28)
【代理人】 【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆

【公開番号】 特開2004−33034(P2004−33034A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−191303(P2002−191303)