| 【発明の名称】 |
栽培ロボットシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】太田 佳似 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】濱本 将樹 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】原 圭太 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】効率的な作物の栽培管理を実現できる栽培ロボットシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】1つもしくは複数の栽培ロボット102と、栽培ロボット102が取得したデータを処理する栽培管理ユニット105と、外部情報を入手して、栽培管理ユニット105に伝達する外部環境モニタリングユニット106とを備える栽培ロボットシステムを用い、温室100に栽培される栽培作物101の成長度合いを管理する。上述の栽培ロボット102は、飛行機能、あるいはホバリング機能を備える小型の羽ばたきロボットであり、さらに温湿度センサ、風力センサ、および照度センサ等を備えることで、温室100内の温度、湿度、気流、照度等のデータを3次元的に取得でき、個々の作物100の生育環境を正確に把握できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1以上の栽培ロボットを含む栽培ロボットシステムであって、 前記栽培ロボットを用いて作物の栽培区域内の情報を取得する第1の取得手段と、 前記作物の栽培区域外の情報を取得する第2の取得手段と、 前記取得した前記作物の栽培区域内の情報と前記作物の栽培区域外の情報との少なくとも一方の情報に基づいて、前記栽培作物の成長度合いを管理する管理手段とを備える、栽培ロボットシステム。 【請求項2】 前記取得した作物の栽培区域内の情報を、少なくとも1以上の栽培作物ごとに記憶する記憶手段をさらに備え、 前記管理手段は、前記取得した前記作物の栽培区域外の情報と、前記栽培作物ごとに記憶した前記作物の栽培区域内の情報との少なくとも一方の情報に基づいて、前記少なくとも1以上の栽培作物ごとの生育状態と栽培地の環境状態とが適切であるか否かを判断し、前記少なくとも1以上の栽培作物ごとの成長度合いを管理する、請求項1に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項3】 前記取得した前記作物の栽培区域内の情報と前記作物の栽培区域外の情報との少なくとも一方の情報に基づいて、前記栽培区域内の温度と、湿度と、気流と、照度との少なくとも1つを制御する制御手段をさらに備える、請求項1または2に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項4】 作物の栽培区域内の情報を取得する第1の取得手段を備える少なくとも1以上の栽培ロボットと、 前記作物の栽培区域外の情報を取得する第2の取得手段を備える外部環境モニタリングユニットと、 前記栽培ロボットが取得した前記作物の栽培区域内の情報と、前記外部環境モニタリングユニットが取得した作物の栽培区域外の情報との、少なくとも一方の情報に基づいて、前記栽培作物の成長度合いを管理する管理手段を備える栽培管理ユニットとを含む栽培ロボットシステムであって、 前記外部環境モニタリングユニットは、前記取得した作物の栽培区域外の情報を前記栽培管理ユニットに伝達する伝達手段をさらに備える、栽培ロボットシステム。 【請求項5】 前記栽培管理ユニットは、前記栽培ロボットが取得した作物の栽培区域内の情報を、少なくとも1以上の栽培作物ごとに記憶する記憶手段をさらに備え、 前記栽培管理ユニットは、前記外部環境モニタリングユニットが取得した前記作物の栽培区域外の情報と、前記栽培作物ごとに記憶した前記作物の栽培区域内の情報との、少なくとも一方の情報に基づいて、前記少なくとも1以上の栽培作物ごとの生育状態と栽培地の環境状態とが適切であるか否かを判断する判断し、前記少なくとも1以上の栽培作物ごとの成長度合いを管理する、請求項4に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項6】 前記栽培管理ユニットは、前記栽培ロボットが取得した前記作物の栽培区域内の情報と、前記外部環境モニタリングユニットが取得した作物の栽培区域外の情報との、少なくとも一方の情報に基づいて、前記栽培区域内の温度と、湿度と、気流と、照度との少なくとも1つを制御する制御手段をさらに備える、請求項4または5に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項7】 前記栽培ロボットは、前記第1の取得手段として、温湿度センサと、風力センサと、照度センサとの少なくとも1つを備える、請求項1〜6のいずれかに記載の栽培ロボットシステム。 【請求項8】 前記栽培ロボットは、前記第1の取得手段としてCCDセンサをさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の栽培ロボットシステム。 【請求項9】 前記栽培ロボットは、前記第1の取得手段としてガスセンサをさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の栽培ロボットシステム。 【請求項10】 前記栽培ロボットは、前記CCDセンサを用いて、害虫を検出することを特徴とする、請求項8に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項11】 前記栽培ロボットは、害虫駆除剤あるいは害虫忌避物質を搭載する搭載手段と、 前記検出した害虫に対して、前記搭載した害虫駆除剤あるいは害虫忌避物質を散布する散布手段とをさらに備える、請求項10に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項12】 前記栽培ロボットは、前記CCDセンサを用いて、雑草を検出することを特徴とする、請求項8に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項13】 前記栽培ロボットは、除草剤または雑草の嫌う物質を搭載する搭載手段と、 前記検出した雑草に対して、前記搭載した除草剤または雑草の嫌う物質を散布する散布手段とをさらに備える、請求項12に記載の栽培ロボットシステム。 【請求項14】 前記栽培ロボットは、飛行手段をさらに備える、請求項1〜13のいずれかに記載の栽培ロボットシステム。 【請求項15】 前記栽培ロボットは、ホバリング手段をさらに備える、請求項1〜13のいずれかに記載の栽培ロボットシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は栽培ロボットシステムに関し、特に、効率的な作物の栽培管理を実現できる栽培ロボットシステムに関する。 【0002】 【従来の技術】 農作物の栽培を効率化するため、様々な装置による管理、栽培システムが提案されている。 【0003】 例えば、特開平10−215701号公報においては、栽培地全体を工場としてとらえた植物工場であって、栽培用の自動装置が作業しやすいように構成され、農作業の効率を高めることのできる植物工場について開示されている。 【0004】 また例えば、特開平11−89451号公報においては、温度、湿度や日射のセンサを用いて、栽培地の湿度環境が常に最適となるよう制御できる植物生産用水管理システムについて開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、現実の農家の温室などでは、照明やスプリンクラー、通風窓程度の設備はあっても、個々の温室により条件は様々であり、また、いつも同じ作物が栽培されているとは限らない。また、温室でなく、露天で栽培される作物の方がはるかに多いのも事実であり、農地の構成も、作物の売行きなどにより、常に変化している。 【0006】 そのため、特開平10−215701号公報において開示されている植物工場の場合、上述のような環境の変化に対応しにくいという問題がある。また、設備を建設するためのコストが膨大となるという問題もある。そのため、一般の農家でこのようなシステムを用いることは難しいという問題がある。 【0007】 また、特開平11−89451号公報において開示されている植物生産用水管理システムについても、同様の問題があり、さらに、センサが栽培地全体に散らばっていないと、実際の土壌の乾燥度を正確に把握することが難しいという問題もある。 【0008】 本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであって、効率的な作物の栽培管理を実現できる栽培ロボットシステムを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、栽培ロボットシステムは、少なくとも1以上の栽培ロボットを含む栽培ロボットシステムであって、栽培ロボットを用いて作物の栽培区域内の情報を取得する第1の取得手段と、作物の栽培区域外の情報を取得する第2の取得手段と、取得した作物の栽培区域内の情報と作物の栽培区域外の情報との少なくとも一方の情報に基づいて、栽培作物の成長度合いを管理する管理手段とを備える。 【0010】 また、栽培ロボットシステムは、取得した作物の栽培区域内の情報を、少なくとも1以上の栽培作物ごとに記憶する記憶手段をさらに備え、管理手段は、取得した作物の栽培区域外の情報と、栽培作物ごとに記憶した作物の栽培区域内の情報との少なくとも一方の情報に基づいて、少なくとも1以上の栽培作物ごとの生育状態と栽培地の環境状態とが適切であるか否かを判断し、少なくとも1以上の栽培作物ごとの成長度合いを管理することが望ましい。 【0011】 また、栽培ロボットシステムは、取得した作物の栽培区域内の情報と作物の栽培区域外の情報との少なくとも一方の情報に基づいて、栽培区域内の温度と、湿度と、気流と、照度との少なくとも1つを制御する制御手段をさらに備えることが望ましい。 【0012】 本発明の他の局面に従うと、栽培ロボットシステムは、作物の栽培区域内の情報を取得する第1の取得手段を備える少なくとも1以上の栽培ロボットと、作物の栽培区域外の情報を取得する第2の取得手段を備える外部環境モニタリングユニットと、栽培ロボットが取得した作物の栽培区域内の情報と、外部環境モニタリングユニットが取得した作物の栽培区域外の情報との、少なくとも一方の情報に基づいて、栽培作物の成長度合いを管理する管理手段を備える栽培管理ユニットとを含む栽培ロボットシステムであって、外部環境モニタリングユニットは、取得した作物の栽培区域外の情報を栽培管理ユニットに伝達する伝達手段をさらに備える。 【0013】 また、上述の栽培管理ユニットは、栽培ロボットが取得した作物の栽培区域内の情報を、少なくとも1以上の栽培作物ごとに記憶する記憶手段をさらに備え、栽培管理ユニットは、外部環境モニタリングユニットが取得した作物の栽培区域外の情報と、栽培作物ごとに記憶した作物の栽培区域内の情報との、少なくとも一方の情報に基づいて、少なくとも1以上の栽培作物ごとの生育状態と栽培地の環境状態とが適切であるか否かを判断する判断し、少なくとも1以上の栽培作物ごとの成長度合いを管理することが望ましい。 【0014】 また、上述の栽培管理ユニットは、栽培ロボットが取得した作物の栽培区域内の情報と、外部環境モニタリングユニットが取得した作物の栽培区域外の情報との、少なくとも一方の情報に基づいて、栽培区域内の温度と、湿度と、気流と、照度との少なくとも1つを制御する制御手段をさらに備えることが望ましい。 【0015】 また、上述の栽培ロボットは、第1の取得手段として、温湿度センサと、風力センサと、照度センサとの少なくとも1つを備えることが望ましい。 【0016】 また、上述の栽培ロボットは、第1の取得手段としてCCDセンサをさらに備えることが望ましい。 【0017】 また、上述の栽培ロボットは、第1の取得手段としてガスセンサをさらに備えることが望ましい。 【0018】 また、上述の栽培ロボットは、CCDセンサを用いて、害虫を検出することを特徴とすることが望ましい。 【0019】 さらに、上述の栽培ロボットは、害虫駆除剤あるいは害虫忌避物質を搭載する搭載手段と、検出した害虫に対して、搭載した害虫駆除剤あるいは害虫忌避物質を散布する散布手段とをさらに備えることが望ましい。 【0020】 また、上述の栽培ロボットは、CCDセンサを用いて、雑草を検出することを特徴とすることが望ましい。 【0021】 さらに、上述の栽培ロボットは、除草剤または雑草の嫌う物質を搭載する搭載手段と、検出した雑草に対して、搭載した除草剤または雑草の嫌う物質を散布する散布手段とをさらに備えることが望ましい。 【0022】 また、上述の栽培ロボットは、飛行手段をさらに備えることが望ましい。 また、上述の栽培ロボットは、ホバリング手段をさらに備えることが望ましい。 【0023】 【発明の実施の形態】 以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。 【0024】 図1は、本実施の形態における栽培ロボットシステムの具体例を示す図であり、図1の(a)は温室100の内部を上から見た図、図1の(b)は、温室100を側面から見た図である。 【0025】 図1を参照して、本実施の形態における栽培ロボットシステムは、1つもしくは複数の栽培ロボット102と、栽培ロボット102が取得したデータを処理する栽培管理ユニット105と、外部情報を入手して、栽培管理ユニット105に伝達する外部環境モニタリングユニット106とを備え、温室100に栽培される栽培作物101の成長度合いを管理するシステムである。 【0026】 栽培ロボット102は、飛行機能、あるいはホバリング機能を備える小型の羽ばたきロボットであって、その構造の詳細については後に述べる。 【0027】 栽培管理ユニット105は、一般的なパーソナルコンピュータ等のコンピュータによって構築することができる。そのため、ここでの詳細な構成の説明は行なわない。栽培管理ユニット105は、温湿度センサや風力センサ、照度センサを備える栽培ロボット102から、移動して検知した温室100内の温度や湿度、気流、照度の分布等のデータを受信する。また、栽培管理ユニット105は、温室100の外部にある外部環境モニタリングユニット106に接続され、外部環境モニタリングユニット106で検知された外部環境データ(外部の温度や湿度、風力、日射量、日長、気圧、酸素濃度、二酸化炭素濃度などの時間変化や天気予報の情報など)を受信する。そして、外部環境モニタリングユニット106から受信した外部環境データや、栽培ロボット102から受信した温室100内のデータ、および、日付(季節)、時刻などを加味して、温室100の通風窓108やスプリンクラー109、電照110の制御を行なう。このように、外部環境モニタリングユニット106から外部環境データも入手することによって、本実施の形態における栽培ロボットシステムでは、より適切な指示を行なうことができる。 【0028】 栽培管理ユニット105は、栽培する作物101ごとのデータ(標準となる成長パターン、成長段階に合わせた環境の最適値、果実104の熟性度、害虫や雑草の識別など)や、過去の栽培実績データを記録する。そして、栽培管理ユニット105は、それらのデータに基づいて栽培管理を行なう。また、栽培管理ユニット105に記憶されるデータを変更することで、本実施の形態における栽培ロボットシステムでは、作物101の変更に容易に対応することができる。 【0029】 このように、栽培管理ユニット105は、栽培作物101ごとのデータを有し、栽培ロボット102や外部環境モニタリングユニット106から得られるデータを用いて、栽培作物101の生育状態や栽培地の環境状態が適切か否かを判断する。あるいは、栽培ロボット102が、1つ、または複数の栽培作物101ごとのデータを有し、外部環境モニタリングユニット106から得られるデータを用いて、1つ、または複数の栽培作物101の生育状態や栽培地の環境状態が適切か否かを判断してもよい。このようにすることで、栽培作物101が替わった場合であっても、あるいは、栽培作物101が複数同時に存在する場合であっても、適切に対応ができる。すなわち、そのような場合であっても、システムの大幅な変更を必要とせず、低コスト化を図ることができる。また、当該栽培地での過去の栽培データを参照することもでき、より正確な生育環境のチェックを行なうことが可能である。 【0030】 次に、栽培ロボット102は、ホバリング可能な小型の羽ばたきロボットであるため、温室100が狭い場合や地面が平らでない場合であっても、通常の地上を移動するロボットを用いる場合に比べて素早く移動できる。また、温室100内に様々な物が置かれている場合であっても、それらの障害物を回避し、作物の葉103や果実104を傷付けずに飛行できる。また、葉103の裏側の害虫や、茎の根元の雑草などを見つけるのにも適している。さらに、図示しない複数の温室100を移動することも容易であり、コスト低減にも適する。 【0031】 また、栽培ロボット102は、湿度センサを備え、葉103の蒸散作用を測定し、個々の作物101の代謝量を推定することもできる。 【0032】 また、栽培ロボット102は、酸素濃度や二酸化炭素濃度、各種の匂いなどを測定できるガスセンサを備え、通風窓108の開閉といった温室100内の環境も含め、葉103の蒸散作用から、個々の作物101の成長状態や代謝量の見積もりも可能となる。 【0033】 このように、栽培ロボット102が、温湿度センサ、風力センサ、および照度センサ等を備え、また、温室100内をくまなく移動できる飛行機能あるいはホバリング機能を備えることで、温室100や部屋の内部の温度、湿度、気流、照度などのばらつきを3次元的に測定できる。このため、本実施の形態における栽培ロボットシステムでは、個々の作物100の生育環境を正確に把握できる。また、作物101の成長に合わせて、重要な測定ポイントを連続的に変えることもできる。 【0034】 また、栽培ロボット102は、CCDモニタを備え、作物101の成長度合い(作物101の発芽、茎の高さ、葉103の大きさ、開花、受粉、果実104の大きさや色合いなど)や、害虫や雑草を視覚的に確認できる。このため、本実施の形態における栽培ロボットシステムでは、作物101の生育状態を視覚的に管理することができる。なお、栽培ロボット102のCCDモニタで得られた画像データは、栽培管理ユニット105に送信される。パターン認識などの処理量の処理は、栽培管理ユニット105で行なわれることが望ましいからである。このように負荷の大きな計算を、固定型の栽培管理ユニット105で行なうことにより、効率のよいシステム構成とすることができる。 【0035】 さらに、栽培ロボット102は、害虫駆除や除草に効果のある物質を搭載し、それを少量ずつ散布する機能を設ける。このため、本実施の形態における栽培ロボットシステムでは、栽培ロボット102のCCDモニタで視覚的に確認した害虫や雑草に対して、少量の農薬によるピンポイント攻撃が可能となる。その結果、コストパフォーマンスの向上を図ることができる。また、作物や環境に与える負荷を最小限に留めることができる。 【0036】 以上のように、栽培ロボット102や栽培管理ユニット105を含む本実施の形態における栽培ロボットシステムを用いることで、作物を常時監視することが可能になる。また、作物に常時対応することも可能となる。そのため、徹底した栽培管理と人間の負担の削減とが可能となる。 【0037】 また、本実施の形態における栽培ロボットシステムは、既存の温室100や栽培地に、そのまま導入することができる。また、1つ、もしくは少数の栽培ロボット102で、広い面積の栽培地とそこに栽培された作物101の状態とを、常時、把握することができる。 【0038】 また、本実施の形態における栽培ロボットシステムは、温室100内あるいは室内の温度、湿度、気流、および照度等を制御するので、温室100や部屋の内部の温度、湿度、気流、照度などのばらつきを可能な限り小さく調整し、作物101の生育のばらつきを抑えることができる。 【0039】 なお、本実施の形態における栽培ロボットシステムでは、栽培管理ユニット105を備え、栽培ロボット102と役割分担を行なう場合について説明したが、同様の作業が可能であれば、栽培管理ユニット105を備えず、栽培ロボット102に全ての機能を搭載させても構わない。また、栽培ロボットシステムは栽培ロボット102を複数備え、作業効率の向上を図ることもできる。また、複数の栽培ロボット102が互いに通信して、データのやり取りを行なってもかまわない。さらに、本実施の形態における栽培ロボットシステムを、温室100内の作物101の栽培に限らず、野外での栽培管理に用いることもできる。また、本実施の形態における栽培ロボットシステムは、大規模な農家に限らず、家庭や学校の菜園、室内の鑑賞用植物の育成管理において用いることもできる、すなわち、本実施の形態における栽培ロボットシステムは、規模には依存せず、様々な環境において用いることができる。例えば室内で用いる場合、空調を制御するエアコンなどの装置を本実施の形態における栽培ロボットシステムと連動させることで、人体への影響も考慮して、植物の育成環境作りを行なうことができる。 【0040】 以上のことより、本実施の形態における栽培ロボットシステムは、一般の農家のような環境でも利用できるシステムである。さらに、人間に替わって、個々の作物の生育状態を正確にチェックする小型ロボットを用いることで、実際の栽培機具は従来のものを用いつつ、効率的な農作物の育成および管理を実現することができる。さらに、作物の種類が替わっても、それぞれの作物に最適な環境を提案することができる。 【0041】 次に、本実施の形態の栽培ロボットシステムに備えられる栽培ロボット102について説明を行なう。ここでは、栽培ロボット102として、羽ばたきロボットを用いる場合について説明を行なう。 【0042】 図2は、本実施の形態における栽培ロボット102の羽ばたき装置の概要を示す図である。図2(a)は、羽ばたき装置の前方正面部分を示し、図2(b)は、羽ばたき装置の前方正面に向かって左側面部分を示す図である。なお、図2(a)、および図2(b)は、羽ばたき装置の前方正面に向かって左羽しか示されていないが、実際には、胴体部205の中心軸209を挟んで左右対称に右羽も形成されている。また、説明を簡単にするため、胴体部205が延びる方向に沿った軸(胴体軸208)は水平面内にあり、重心を通る中心軸209は、鉛直方向に保たれているものとする。 【0043】 図2(a)、および図2(b)を参照して、羽ばたき装置の胴体部205は、前羽軸203、後羽軸204と、前羽軸203と後羽軸204との間を渡すように設けられた羽の膜206とを有する羽(左羽)を備える。 【0044】 また、胴体部205は、前羽軸203を駆動するための回転型アクチュエータ201と、後羽軸204を駆動するための回転型アクチュエータ202とを備える。なお、上述のアクチュエータ201,202の配置や、前羽軸203、後羽軸204 、および羽の膜206を含む羽の形状は、飛行の性能が損なわれないならば、図2に示される配置および形態に限られるものではない。 【0045】 さらに、この羽ばたき装置について、羽の断面形状を鉛直上方に凸にすることで、水平方向への飛行に際して、抗力だけでなく、揚力も発生し、より大きな浮上力が得られる。 【0046】 また、この羽ばたき装置の重心の位置は、羽ばたき装置の安定性を重視するために、羽が周囲の流体により受ける力がアクチュエータ201,202に対して作用する位置(作用点)よりも下方になるように設定されている。一方、羽ばたき装置の姿勢を容易に変更するためには、重心とその作用点とを略一致させておくことが望ましい。この場合には、姿勢制御に必要な、左右の羽が流体から受ける力の差が小さくなり、羽ばたき装置の姿勢変更を容易に行なうことができる。 【0047】 2つの回転型アクチュエータ201と202とは、互いに回転軸200(回転型アクチュエータ201,202の固定点を通る軸)を共有する。この回転軸200と胴体軸208とは、所定の角度(90°−θ)をなす。前羽軸203および後羽軸204は、回転型アクチュエータ201および回転型アクチュエータ202を支点として、回転軸200と直交する平面内を往復運動する。この回転軸200と直交する平面と胴体軸208とのなす角度が、仰角θとなる。 【0048】 胴体部205は、機械的強度を確保すると共に、十分な軽量化を図るために、ポリエチレンテレフタラート(PET)などを円筒状に成形したものであることが望ましいが、このような材料や形状限定されるものではない。 【0049】 さて、図2(a)、および図2(b)に示される羽ばたき装置では、回転型アクチュエータ201および回転型アクチュエータ202には、前羽軸203および後羽軸204がそれぞれ接続される。 【0050】 前羽軸203と後羽軸204との間には 、羽の膜206が張られる。羽の膜206は、その面内において収縮する方向に自発的な張力を有し、羽全体の剛性を高める働きをする。 【0051】 軽量化のため、前羽軸203と後羽軸204とは中空構造であり、それぞれカーボングラファイトから形成される。このため、前羽軸203と後羽軸204とには弾力性があり、羽の膜206の張力により変形が可能である。 【0052】 本実施の形態における栽培ロボット102は、上述の羽ばたき装置を備える羽ばたきロボットである。そこで次に、本実施の形態における栽培ロボット102である羽ばたきロボットについて説明する。 【0053】 図3は、栽培ロボット102として用いる羽ばたきロボットの全体の構造を示す図である。なお、説明の便宜上、前方方向(紙面に向って上)に向って左側の羽は省略されている。また、以下においては、羽ばたきロボットの羽ばたき飛行の詳細を説明することを目的としているため、実際の栽培ロボット102に搭載されている温湿度センサ、風力センサ、CCDモニタ、およびガスセンサ等は省略する。 【0054】 図3を参照して、羽ばたきロボットの胴体部300には、超音波センサ301、赤外線センサ302、加速度センサ303、および角加速度センサ304が配される。 【0055】 これらのセンサ301〜304による検出結果は、羽ばたき制御部305に送られる。羽ばたき制御部305は、超音波センサ301や赤外線センサ302によって検出された結果から、本羽ばたきロボットと周囲の障害物や人間との距離などの情報を処理する。また、羽ばたき制御部305は、加速度センサ303や角加速度センサ304によって検知された結果から、当該羽ばたきロボットの浮上状態、目的位置または姿勢などの情報を処理し、左右のアクチュエータ306および重心制御部307の駆動制御を決定する。 【0056】 なお、ここでは、本羽ばたきロボットの周囲に存在する障害物を検出する手段として、超音波センサ301および赤外線センサ302を用い、当該羽ばたきロボットの位置および姿勢を検出する手段として、加速度センサ303および角加速度センサ304を用いたが、本羽ばたきロボットの周囲環境や位置と姿勢とが計測可能なセンサであれば、上記センサに限らない。 【0057】 例えば、直交する3軸方向の加速度を測定可能な加速度センサ2つをそれぞれ胴体部300の異なる位置に配して得られる加速度情報からも、当該羽ばたきロボットの姿勢を算出することができる。また、センサによって、この磁場分布を検知することで、当該羽ばたきロボットの位置と姿勢とを算出することもできる。 【0058】 なお、図3においては、加速度センサ303および角加速度センサ304等のセンサ類は、羽ばたき制御部305とは別部品として示されているが、軽量化の観点から、例えば、マイクロマシニング技術により、羽ばたき制御部305と一体で同一基板上に形成してもよい。 【0059】 また、本羽ばたきロボットでは、羽の駆動をオープンループ制御としているが、羽の付け根に羽の角度センサを設け、この角度センサから得られる角度情報により、クローズドループ制御を行なうことも可能である。 【0060】 なお、浮上する空間における流体の流れが既知であり、予め定められた羽ばたき方によって浮上することが可能ならば、ここに挙げたセンサ類は必須ではない。 【0061】 羽ばたき制御部305は、メモリ部308と接続されており、羽ばたき制御に必要な既存のデータをメモリ部308から読出す。また、羽ばたき制御部305は、各センサ301〜304によって得られた情報をメモリ部308に送込み、必要に応じて、メモリ部308の情報を書換える。そのため、羽ばたきロボットとして学習機能を持たせることができる。 【0062】 なお、各センサ301〜304によって得られた情報をメモリ部308に蓄積するだけであれば、羽ばたき制御部305を介さずに、メモリ部308と各センサ301〜304とが、直接接続されてもよい。 【0063】 また、羽ばたき制御部305は、通信制御部309と接続されて、通信制御部309とデータの入出力を行なう。通信制御部309は、アンテナ部310を介して、外部の装置(他の羽ばたきロボットや栽培管理ユニット105、あるいは空調システムなど)とデータの送受信を行なう。 【0064】 このような通信機能により、本栽培ロボットシステムは、羽ばたきロボットが取得してメモリ部308に蓄えたデータを、速やかに外部の装置に転送できる。また、羽ばたきロボットでは入手できない情報を外部の装置から受取り、そのような情報をメモリ部308に蓄積することで、羽ばたきの制御に利用することもできる。例えば、作物101の最適環境や過去の栽培データを全て羽ばたきロボットである栽培ロボット102に記憶させなくても、随時、必要な情報のみ受取れば良い。また、電波で電力の受渡しを行なうこともできる。 【0065】 なお、図3においては、アンテナ部310は、胴体部300の端から突出た棒状のものとして示されているが、アンテナの機能を有するものであれば、形状、配置などはこれに限られない。例えば、前羽軸312や後羽軸313を利用して、羽の上にループ状のアンテナを形成してもよい。また、胴体部300にアンテナを内蔵した形態でも、あるいは、アンテナと通信制御部309とを一体化させた形態でもよい。 【0066】 そして、以上の超音波センサ301、赤外線センサ302、加速度センサ303、角加速度センサ304、羽ばたき制御部305、左右のアクチュエータ306、重心制御部307、メモリ部308、通信制御部309、およびアンテナ部310などは、電源部311により供給される電流によって駆動される。 【0067】 なお、ここでは、駆動エネルギーとして電力を用いたが、内燃機関を用いることも可能である。また、昆虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応を用いたアクチュエータを用いることも可能である。あるいは、アクチュエータの駆動エネルギーを外部から取得する方法も採用できる。例えば、電力については熱電素子、電磁波などが挙げられる。 【0068】 次に、上述の羽ばたきロボットである本実施の形態における栽培ロボット102の、浮上方法について説明を行なう。 【0069】 なお、説明の簡便のため、本羽ばたきロボットに作用する外力は、羽が流体から受ける流体力と、羽ばたきロボットに作用する重力(羽ばたきロボットの質量と重力加速度の積)とのみであるとする。 【0070】 本羽ばたきロボットが恒常的に浮上するためには、1回の羽ばたき動作の間の時間平均において、次の関係、 (羽に作用する鉛直上方向の流体力)>(本羽ばたきロボットに作用する重力)を満たすことが必要とされる。1回の羽ばたき動作とは、羽を打下ろし、次に羽を打上げる動作を言う。 【0071】 さらに、鉛直上向きの流体力を卓越させて上昇させるためには、 (打下ろし動作において羽に作用する鉛直上向きの流体力) >(打上げ動作において羽に作用する鉛直下向きの流体力) となる必要がある。 【0072】 ここでは、昆虫の羽ばたき方を単純化した羽ばたき方法である、打下ろし動作において羽に作用する鉛直上向きの流体力(以下「打下ろし時の流体力」と記す。)を、打上げ動作において羽に作用する鉛直下向きの流体力(以下「打上げ時の流体力」と記す。)より大きくする方法について説明する。 【0073】 説明の簡便のため、流体の挙動、もしくは流体が羽に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説明する。また、この羽ばたき方法により得られた浮上力と、本羽ばたきロボットに作用する重力(以下「重量」と記す。)との大小については後述する。 【0074】 図2に示される羽ばたきロボットにおいて、打下ろし時の流体力を、打上げ時の流体力よりも大きくするためには、打下ろし時に、羽の膜206が移動する空間の体積が最大になるように打下ろせばよい。そのためには、羽の膜206を水平面と略平行に打下ろせばよい。これにより、ほぼ最大の流体力を得ることができる。 【0075】 反対に、打上げ時には、羽の膜206が移動する空間の体積が最小になるように打上げればよい。そのためには、羽の膜206を水平面に対して略直角に近い角度で打上げればよい。これにより、羽に及ぼされる流体力はほぼ最小となる。 【0076】 ここで、羽ばたき動作を、回転型アクチュエータ201,202により、回転軸200の周りに両羽軸203,204を往復運動させる際に、各羽軸203,204が水平面と略一致する位置を中心として上方と下方とにそれぞれ角度γだけ往復運動させる動作とする。このような往復運動において上述の条件を満たすために、図4に示す如く、前羽軸203の往復運動に対して、後羽軸204の往復運動を適当な位相φだけ遅れさせる。図4は、羽ばたき運動と羽ばたき運動の位相との関係を示す図である。 【0077】 さらに、図5は、羽ばたき装置における羽ばたき動作の各状態を示す図である。図5は、上述の位相差φを20°とした場合の羽ばたき動作の各状態が示された図である。 【0078】 図5を参照して、上述の図4に示される羽ばたき動作を行なうことで、τ=0°〜180°で示された打下ろし時においては、より高い位置にある回転型アクチュエータ501の前羽軸503が先に打下ろされるため、前羽軸503および後羽軸504の先端と羽の膜506とが、水平に近づく。一方、τ=180°〜315°で示された打上げ時においては、両羽軸503,504の先端の高さの差が拡大されて、羽の膜506も垂直に近づく。 【0079】 この結果、前羽軸503と後羽軸504とに張られた羽の膜506が流体を押下げ、あるいは、押上げる量に差異が生じる。そして、打下ろし時の流体力の方が打上げ時の流体力よりも大きくなるため、羽ばたきロボットは浮上力を得る。 【0080】 この浮上力のベクトルは、位相差φを変化させることにより、前後に傾く。前方に傾けば推進運動、後方に傾けば後退運動、真上に向けば停空飛翔(ホバリング)状態となる。なお、実際の飛行では、位相差φ以外にも、羽ばたき周波数fや羽ばたき角γを制御することが可能である。また、本羽ばたきロボットでは、羽ばたき仰角θを固定しているが、これを変化させる機構を追加して、自由度を増やしても構わない。 【0081】 次に、実際の羽ばたき制御について、さらに詳細に説明する。 上述した羽ばたきロボットにおいて、打下ろし動作または打上げ動作の際に、羽の先端部がなす捻り角αは、羽の長さ(羽の膜の前羽軸および後羽軸に沿った長さ)をl、羽の幅(前羽軸と後羽軸の間隔)をw、羽ばたき角をγ、羽ばたき運動の位相をτ(最も打上げた瞬間を0°、最も打下ろした瞬間を180°とする)、前羽軸と後羽軸の位相差をφとすれば(図4を参照)、およそ以下の式で表わされる。 【0082】 tanα=(w/l)・{sin(γ・cosτ)−sin(γ・cos(τ+φ))} 実際には、前羽軸や後羽軸に弾性があり、変形可能であるので、この捻り角αは、多少異なった値となる。また、羽軸の根元ほど、捻り角αの角度は小さい。しかし、以下においては、簡便のため、捻り角αを上の式のαとして説明する。 【0083】 捻りを加えていない羽に作用する流体力の鉛直方向成分Fは、流体の密度をρ、羽ばたき角をγ、羽ばたき周波数をfとして、およそ F=(4/3)・π2ρwγ2f2l3・sin2τ・cos(γ・cosτ) となる。なお、羽に作用する流体力の水平方向成分は、左右の羽が同じ運動をすれば、互いに打消し合うことになる。 【0084】 羽に捻り角αを持たせると、上記成分Fの羽ばたき運動平面に垂直な成分Lと水平な成分Dとは、それぞれ次のようになる。 【0085】 L=F・cosα・sinα D=F・cos2α これに、羽ばたき仰角θを考慮すると、重量と釣合うべき鉛直方向の成分Aと、前後運動の推力となる水平方向成分Jとは、打下ろし時では、 A(下)=−L・cosθ+D・sinθ J(下)=−L・sinθ−D・cosθ 打上げ時では、 A(上)=L・cosθ−D・sinθ J(上)=L・sinθ+D・cosθ となる。実際の浮力や推進力は、羽ばたき運動の1周期分を積分したものとなる。 【0086】 以上より、この飛行制御の一例として、以下に具体的な数値を示す。 すなわち、羽ばたきロボットの羽の長さl=4cm、羽の幅w=1cm、羽ばたき仰角θ=30°、羽ばたき角γ=60°、羽ばたき周波数f=50Hz、打下ろし時の位相差φ(下)=4°、および、打上げ時の位相差φ(上)=16°とした場合における、鉛直方向成分Aと水平方向成分Jとの時間変化を、各角度の時間変化と共に図6に示す。図6は、羽に作用する力および各角度のそれぞれの、羽ばたき運動の位相に対する変化を示す第1の図である。 【0087】 図6において、横軸に、1周期分の時間が位相τで表わされている。前半が打下ろし、後半が打上げを示している。 【0088】 各グラフの曲線は、前羽軸の羽ばたき角γf、後羽軸の羽ばたき角γb、水平面からの羽の捻り角(θ−α)、流体力の鉛直方向成分A、および水平方向成分Jの時間変化をそれぞれ示している。 【0089】 この例では、単位時間当たりの流体力の鉛直方向成分Aにおいては、打下ろし時の方が、打上げ時より大きいため、1周期の平均で、約500dynの鉛直上向きの流体力が1枚の羽で得られる。従って、羽ばたきロボットが2枚の羽を備える場合、羽ばたきロボットの重量が約1g以下であれば、浮上することができることになる。また、単位時間当たりの流体力の水平方向成分Jは、1周期の間にほぼ打消されるため、重量1g程度の羽ばたきロボットであれば、ホバリング可能となる。 【0090】 ここで、打下ろし時の位相差φ(下)を大きく、もしくは、打上げ時の位相差φ(上)を小さくすれば、前進することができる。この時、水平に前進させるためには、周波数fを少し小さくすることが望ましい。逆に、打下ろし時の位相差φ(下)を小さく、もしくは、打上げ時の位相差φ(上)を大きくすれば、後退することができる。この時、水平に後退させるには、周波数fを少し大きくすることが望ましい。 【0091】 本羽ばたきロボットは、例えば、打上げ時の位相差φ(上)を16°に保ったまま、打下ろし時の位相差φ(下)を7°と大きくするか、または、打下ろし時の位相差φ(下)を4°に保ったまま、打上げ時の位相差φ(上)を11°と小さくして、羽ばたき周波数f=48Hzに下げることで、最初の1秒間におよそ1mの速度で、水平に前進することができる。 【0092】 また、例えば、打上げ時の位相差φ(上)を16°に保ったまま、打下ろし時の位相差φ(下)を1°と小さくするか、または、打下ろし時の位相差φ(下)を4°に保ったまま、打上げ時の位相差φ(上)を24°と大きくし、羽ばたき周波数f=54Hzに上げることで、最初の1秒間におよそ1mの速度で、水平に後退することができる。 【0093】 また、ホバリング状態のまま、羽ばたきロボットを上昇または下降させるためには、周波数fを上げるか、または下げるかすればよい。 【0094】 また、水平飛行中でも、上昇と下降については、主に周波数fによって制御が可能である。周波数fを上げることで羽ばたきロボットは上昇し、周波数fを下げることで羽ばたきロボットは下降する。 【0095】 この例では、打上げ動作中、もしくは、打下ろし動作中にも、羽の捻り角αをゆっくり変化させているが、これは、アクチュエータへの負荷を減らすためである。浮力を得るための羽ばたき運動としては、打上げ動作中や打下ろし動作中は羽の捻り角αを一定の値に設定して、打下ろし動作から打上げ動作、もしくは、打上げ動作から打下ろし動作への変化点において、捻り角αを急激に変化させるようにしてもよい。 【0096】 次に、羽ばたき仰角θ=0°とした場合の、鉛直方向成分Aと水平方向成分Jとの時間変化を、各角度の時間変化と共に図7に示す。図7は、羽に作用する力および各角度のそれぞれの、羽ばたき運動の位相に対する変化を示す、第2の図である。 【0097】 図7に示される場合は、ハチドリのホバリングにヒントを得た羽ばたき運動である。なお、左右への舵取りは、左右の羽の羽ばたき運動を別々に制御できる場合、それぞれの羽による推力に差を持たせることで実現できる。例えば、前方へ飛行中に、右方向へ旋回するには、右羽の羽ばたき角γを、左羽よりも小さくすればよい。または、右羽の前羽軸と後羽軸の位相差を、左羽の位相よりも大きくすればよい。あるいは、羽ばたき仰角θが制御できる場合には、右羽の羽ばたき仰角θを左羽の羽ばたき仰角θよりも小さくする制御を行なう。これにより、右羽の推進力が左羽の推進力に比べて相対的に下がり、右に旋回することができる。また、羽ばたきロボットを左へ旋回させる場合には、その逆の制御を行なえばよい。 【0098】 あるいは、図3に示される重心制御部307を用いて、羽ばたきロボットの重心を左右にずらすことで、左右への旋回を行なってもよい。 【0099】 例えば、重心を右にずらして、右羽を下方へ、左羽を上方へ傾け、そして、周波数fを大きくすることで、羽ばたきロボットを右へ旋回させることができる。逆に、重心を左へずらして、同様に、周波数fを大きくすることで、羽ばたきロボットを左に旋回させることができる。また、いずれの場合でも、姿勢の安定を保つために、左右のそれぞれの羽ばたきの周波数fを同じ値に設定しておくことが望ましい。 【0100】 以上の説明では、前羽軸203および後羽軸204の往復運動する平面と回転軸200とが直交する場合について述べている。したがって、この場合は、前羽軸203の往復運動する平面と後羽軸204の往復運動する平面とが、互いに平行な関係となる。しかし、図3に示したように、前羽軸203の往復運動する平面と後羽軸204の往復運動する平面とに、角度を持たせてもよい。こうすることで、羽軸312,313の弾性力や羽の膜314の張力により、打上げ運動から打下ろし運動、あるいは打下ろし運動から打上げ運動に移る際の、羽の捻り角αの、正値から負値、あるいは、負値から正値への変化を、高速化できる。 【0101】 ここで、図8は、前羽軸および後羽軸の先端方向が互いに平行な位置から角度εだけ外側を向いている場合の、2本の羽軸の関係を示す図である。 【0102】 図8を参照して、羽軸の付け根805の幅をw、羽軸の長さをlとして、 sinε>{(w2+8・l2)1/2−w}/4・l を満たすεであれば、羽の捻り角α=0°(γf=γb)における羽軸先端806間の距離Woが最大となる。そのため、その時の羽軸の弾性力や羽の膜の張力も最大となり、|α|>0の状態の方が安定となる。そして、捻り角αの変化を高速化できる。 【0103】 なお、上式を満たすεは、具体的には、羽のアスペクト比Ap(l/w)=1の時にはε>30°、Ap=4の時にはε>17.2°、Ap=10の時にはε>11.5°である。 【0104】 さらに、羽軸801,802が、その軸の周りに軸回転できる自由度を付加すれば、アクチュエータにかかる負荷を軽減し、効率のよい制御が可能となる。すなわち、ここで再び図3を参照して、羽軸312,313が軸の周りに軸回転できる自由度を付加すれば、羽軸312,313どうしの位置関係が変化しても、羽の膜314が羽軸312,313に固定されている部分を互いに略向合わせるよう回転することが可能である。そのため、アクチュエータ306にかかる負荷を軽減し、効率のよい制御を行なうことができる。 【0105】 さらに、上述の栽培ロボットシステムにおける作物の栽培管理方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。 【0106】 提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。 【0107】 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施の形態における栽培ロボットシステムの具体例を示す図である。 【図2】本実施の形態における栽培ロボット102の羽ばたき装置の概要を示す図である。 【図3】栽培ロボット102として用いる羽ばたきロボットの全体の構造を示す図である。 【図4】羽ばたき運動と羽ばたき運動の位相との関係を示す図である。 【図5】羽ばたき装置における羽ばたき動作の各状態を示す図である。 【図6】羽に作用する力および各角度のそれぞれの、羽ばたき運動の位相に対する変化を示す第1の図である。 【図7】羽に作用する力および各角度のそれぞれの、羽ばたき運動の位相に対する変化を示す、第2の図である。 【図8】前羽軸および後羽軸の先端方向が互いに平行な位置から角度εだけ外側を向いている場合の、2本の羽軸の関係を示す図である。 【符号の説明】 100 温室、101 作物、102 栽培ロボット、103 葉、104 果実、105 栽培管理ユニット、106 外部管理モニタリングユニット、108 通風窓、109 スプリンクラー、110 電照、200 回転軸、201,202,501,502 回転型アクチュエータ、203,312,503,801 前羽軸、204,313,504,802 後羽軸、205,300,505 胴体部、208 胴体軸、206,314,506 羽の膜、207,507 羽の先端部、209 中心軸、301 超音波センサ、302 赤外線センサ、303 加速度センサ、304 角加速度センサ、305 羽ばたき制御部、306 アクチュエータ、307 重心制御部、308 メモリ部、309 通信制御部、310 アンテナ部、311 電源部、401 前羽軸の振幅、402 後羽軸の振幅、803 前羽軸の回転軸、804 後羽軸の回転軸、805 羽軸の付け根、806 羽軸先端。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
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| 【出願日】 |
平成14年6月20日(2002.6.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064746 【弁理士】 【氏名又は名称】深見 久郎
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| 【公開番号】 |
特開2004−16182(P2004−16182A) |
| 【公開日】 |
平成16年1月22日(2004.1.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−179747(P2002−179747) |
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