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【発明の名称】 タケの鮮度維持方法およびその装置
【発明者】 【氏名】小松 英機

【要約】 【課題】切り出されたタケの鮮度を長期に渡って維持し、生のタケを枝・葉がついたまま生花や装飾材として利用できるようにする。

【解決手段】枝・葉が付いたまま切り出し、節2の内部をくり抜いて連通孔3を形成したタケ1の下端外周部をビニール袋4で密封し、プラスチック製の容器6に納める。タケ1の上部から水を注入する。タケ1の下端切り口には、内部に貯留された水の高さに応じた水圧が作用することで、本来は水揚げの悪いタケの水揚げが促進され、数週間の長期に渡ってその鮮度を維持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り出された新鮮なタケの下端外周部を下端の切り口が水に浸るようにして密封するとともに、該タケの内部の節部分をくり抜いて節の上下で通水可能とし、該タケの内部に注水することで、前記下端の切り口に複数の節に跨がる高さの水圧を作用させるようにしたことを特徴とするタケの鮮度維持方法。
【請求項2】
前記水または補給水に水揚げ促進剤、防腐材、または延命剤を混入させる請求項1記載のタケの鮮度維持方法。
【請求項3】
切り出された新鮮なタケの下端外周部を下端の切り口が水に浸るようにして密封する密封手段と、鮮度維持の対象となる該タケの内部の節部分をくり抜いて形成され、前記下端の切り口に複数の節に跨がる高さの水圧を作用させるための貯水手段とを有することを特徴とするタケの鮮度維持装置。
【請求項4】
前記密封手段が前記タケの下端外周部を覆う水密な袋からなり、該袋の上部を前記タケの外面に密着させてある請求項3記載のタケの鮮度維持装置。
【請求項5】
前記密封手段が前記タケの下端が挿入された該タケの外径より大きい内径を有する容器と、前記タケの下端外周部と前記容器の内周部との間に充填された止水材とからなる請求項3記載のタケの鮮度維持装置。
【請求項6】
前記タケの上端に開閉可能な蓋を設けてある請求項3、4または5記載のタケの鮮度維持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、主として装飾材として切り出されたタケの鮮度を枝・葉を付けた状態で長期に渡って維持するためのタケの鮮度維持方法および鮮度維持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】
竹林から採取されたモウソウチクやマダケ等のタケ類は、そのままでは、季節要因や気象条件にもよるが、30分〜60分ほどで萎れてしまうことが経験上知られている。
【0003】
このようなことからタケ類を生花や装飾材として扱う場合、タケの幹や枝の部分だけを利用しているのが現状である。
【0004】
すなわち、タケ類は切花類と異なり、一度切断されると水分自給作用が劣るため、切断後すぐに水槽等に浸けても葉の鮮度は1〜2日間ほどしか保持されず、生花や装飾材としての利用が困難であった。
【0005】
本願発明は、任意の部分で切断された生のタケを枝・葉がついたまま生花や装飾材として利用できるようにすること、すなわち切り出されたタケの鮮度を長期に渡って維持できるようにすることを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係るタケの鮮度維持方法は、切り出された新鮮なタケの下端外周部を下端の切り口が水に浸るようにして密封するとともに、該タケの内部の節部分をくり抜いて節の上下で通水可能とし、該タケの内部に注水することで、前記下端の切り口に複数の節に跨がる高さの水圧を作用させるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
切り出されたタケをバケツや花瓶のような容器に入れた水に浸けても、タケは普通の切花などに比べ、切り口からの水分吸収能力が低いため、すぐに鮮度が損なわれる。
【0008】
本願発明では、下端外周部を密封した状態で、内部の節部分をくり抜いたタケの内部に水を注入することで、非常に深い容器に浸けた場合と同様の水圧を作用させ、それにより切り口からの水分の浸透を促進させ、タケの鮮度を長期間に渡り維持することができる。
【0009】
また、水がタケの内部を利用して貯留されるため、外観上は水の存在が外に表れず、密封のための処置がタケの下端部に露出するだけであり、切りタケを装飾等用いるのに非常に適している。
【0010】
請求項2は、請求項1に係るタケの鮮度維持方法において、前記水または補給水に水揚げ促進剤、防腐剤、または延命剤を混入させる場合である。
【0011】
水揚げ促進剤や防腐剤や延命剤としては、主として切花用に、溶液や粒状のものが種々市販されており、それらを併用することで、タケの鮮度をさらに長期に渡って維持することができる。市販の水揚げ促進剤や延命剤の代わりに、中性洗剤を薄めたものや砂糖などを用いることもできる。
【0012】
この他、タケの鮮度を長期に渡って維持する手段としては、イオン交換機能や吸着機能、殺菌機能等を有するセラミックス系の延命材を併用することもできる。また、タケの切り口を斜めにしたり、切り口を潰してほぐすことも延命に効果がある。
【0013】
本願の請求項3に係るタケの鮮度維持装置は、切り出された新鮮なタケの下端外周部を下端の切り口が水に浸るようにして密封する密封手段と、鮮度維持の対象となる該タケの内部の節部分をくり抜いて形成され、前記下端の切り口に複数の節に跨がる高さの水圧を作用させるための貯水手段とを有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項4は、請求項3に係るタケの鮮度維持装置において、前記密封手段が前記タケの下端外周部を覆う水密な袋からなり、該袋の上部を前記タケの外面に密着させてある場合である。
【0015】
水密な袋としては、ポリエチレン、塩化ビニールなどの合成樹脂製の袋や合成ゴム製の袋などが利用可能であるが、破れにくい厚手で引張強度の高いものが望ましい。また、袋の外側にプラスチック、金属などの硬質の保護材または保護容器を設けてもよい。
【0016】
袋の上部をタケの外面に密着させる手段としては、粘着テープの使用が簡単であるが、紐やゴムなどで強固に締め付けてもよい。また、粘着テープ等で袋を止め付けた状態で、これらと別に他の止水材を取り付けたり、硬化性の止水剤を塗布したりすることも考えられる。
【0017】
請求項5は、請求項3に係るタケの鮮度維持装置において、前記密封手段が前記タケの下端が挿入された該タケの外径より大きい内径を有する容器と、前記タケの下端外周部と前記容器の内周部との間に充填された止水材とからなる場合である。
【0018】
容器としては、プラスチック製あるいは金属製等の容器を用いることができ、手軽に利用できるものとしては小型のポリバケツや塩ビパイプに底板を付けたものなどでもよい。タケの下端外周部と容器の内周部との間に充填される止水材としては、例えばモルタルやコンクリートが考えられるが、その他、硬化性の樹脂や粘土状の止水材などでもよい。また、止水を完全にするためには、その上にさらに建築用のコーキング材やシーリング材のようなものを塗布することも考えられる。
【0019】
請求項6は、請求項3、4または5に係るタケの鮮度維持装置において、前記タケの上端に開閉可能な蓋を設けてある場合である。
【0020】
長期間タケの鮮度を維持するためには、タケ内部の水深をある程度保つ必要がある。タケの上端に蓋を設けることにより、タケ内部の水の蒸散による減少を抑えることができるが、さらに蓋を開閉可能なものとすることで、タケ内部の水が減少したときに水を補充することができる。
【0021】
また、蓋があることで、タケ内部に水を貯留した状態で、運搬・移動する場合に内部の水がこぼれるのを防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本願発明の一実施形態を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は水平拡大断面図である。
【0023】
本実施形態では、枝・葉を付けたまま所定の長さに切り出されたタケ1の下端を斜めに切断し、切り口防護具7を取り付け、この下端外周部をビニール袋4で密封し、プラスチック製の容器6に納めている。
【0024】
タケ1は節2部分の内部をくり抜いて連通孔3を設け、上部から水を注入する。タケ1の下端がビニール袋4で密封されていることで、注入した水はタケ1の内部に貯留され、その高さに応じた水圧がタケ1の下端切り口に作用するため、そのままでは水揚げの悪いタケ1の水揚げが促進されることになり、数週間の長期に渡る鮮度の維持も可能となる。
【0025】
なお、本実施形態における切り口防護具7は、タケ1の切り口を保護する機能と、ビニール袋4内での安定を保つ機能を有し、材料・形態は特に限定されないが、例えば金網を加工したものなどが利用できる。
【0026】
また、ビニール袋4にはタケ1内に貯留した水の水深に応じた圧が作用するため、水圧により破れない強度を有する厚手のものを用い、またタケ1外面への固定部分から漏水が生じたりしないよう粘着テープ5などでタケ1にしっかり止め付ける必要がある。
【0027】
図2は、本願発明の他の実施形態を示す高さ方向中央部を省略した鉛直断面図である。
【0028】
本実施形態では、切り出して節2部分の内部をくり抜いて連通孔3を形成したタケ1の下端部を、その外径より大きい内径を有する塩化ビニール製の有底容器16に納め、タケ1の下端外周部と容器16の内周部との間に止水材としてモルタル14を打設充填している。また、モルタル14の上面には止水を完全にするために市販の建築用のシーリング材15を塗布している。
【0029】
なお、図中、符号17はモルタル14がタケ1の切り口を塞がないように、モルタル14の打設前に充填した豆砂利等の詰め石を指している。タケ1の下端の切り口については、切り口の全周を内向き斜めに切削し、切断断面を増加させて水揚げしやすいようにするとともに1下端の高さをそろえて安定性を与えている。
【0030】
また、本実施形態では、注水後、タケ1の上端部も閉塞することとし、最上部の節2の孔3を、孔3の内径より大きい外径の閉塞材18で塞ぎ、その上にモルタル14を充填し、さらにその上にシーリング材15を塗布している。
【0031】
上端部を閉塞する第1の目的は、内部に水を貯留した状態で、運搬・移動する必要がある場合に、上端部から水がこぼれるのを防止することである。
【0032】
また、上端を封止することで、タケ1の内部に注水した水の蒸散を防止することができるが、水を貯留した状態での運搬・移動が行われない場合や、装飾材等としてのタケ1の利用期間がそれほど長期でない場合には、上端部は必ずしも封止する必要はない。また、利用期間が長期に渡る場合も、上端部を開放し常に水を補充可能としてもよい。
【0033】
図3は、本願発明のさらに他の実施形態における上部の注水口部分を示したもので、(a) は注水口に蓋をした状態を示す鉛直断面図、(b) は注水の様子を示す鉛直断面図である。下端部の構造は、例えば図1の実施形態あるいは図2の実施形態と同様のものでもよいし、本願発明の構成を有するものであれば特に限定されない。
【0034】
本実施形態では、最上部の節2に設けた孔3の上部に樹脂製の注水管22を取り付け、その周囲に止水材としてモルタル14を充填し、その上面にシーリング15を塗布している。注水管22の上部にはプラスチック製の蓋23が取り付けられており、運搬・移動時や装飾材として設置しているときは、図3(a) に示すように蓋23で注水管22の上端を塞いでおき、水を補給するときは、図3(b) に示すように蓋23を外して、ペットボトルなどからなる補給容器24からチューブ25を介して水を補充する。
【0035】
なお、補給容器24の水には、水揚げ促進剤や防腐剤、延命剤などを混入させておくことで、さらに長期に渡り切り出したタケ1の鮮度を維持させることができる。
【0036】
【発明の効果】
本願発明のタケの鮮度維持方法、装置によれば、タケの内部を利用して水を貯留させ、タケの下端部に高い水圧を作用させて切り口からの水分吸収を促進させることができるため、従来、長期の鮮度維持が困難であった切りタケの鮮度・寿命を大幅に延ばすことができる。
【0037】
季節に関わらず、枝・葉を付けたままのタケを、一般的な切花の平均的な鮮度保持期間である1週間程度、あるいはそれ以上、鮮度を維持できるため、生花類とアレンジしたり、タケそのものを竹林のように飾りつけるなど、装飾材等への利用範囲が広がる。また、鮮度維持装置が外観にほとんど表れないため、タケ本体を全体として鑑賞することができる。
【0038】
また、特にモウソウチク等は、幹径が50mm以上の太さになると、第1段目(最下部)の枝・葉は、地上より4〜5mの位置にあるために、モウソウチクを屋内で人の目線で鑑賞することはできなかったが、本発明によればタケの鮮度を長期間に渡って維持できるようにすることで、発生地の竹林を任意の高さで屋内に再現することができるようになった。
【0039】
タケの内部に水を溜めた状態での運搬・移動が可能であり、どのような場所にも設置することができ、長期間の延命のための水補給以外は補助的な管理も不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は水平拡大断面図である。
【図2】本願発明の他の実施形態を示す高さ方向中央部を省略した鉛直断面図である。
【図3】本願発明のさらに他の実施形態における上部の注水口部分を示したもので、(a) は注水口にキャップをした状態を示す鉛直断面図、(b) は注水の様子を示す鉛直断面図である。
【符号の説明】
P…水圧、W…水面、
1…タケ、2…節、3…孔、4…ビニール袋、5…粘着テープ、6…容器、7…切り口防護具、14…モルタル、15…シーリング材、16…容器、17…豆砂利、18…閉塞材、22…注水管、23…蓋、24…補給容器、25…チューブ
【出願人】 【識別番号】596090580
【氏名又は名称】有限会社浅沼組
【出願日】 平成14年6月17日(2002.6.17)
【代理人】 【識別番号】100070091
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 知

【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享

【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子

【公開番号】 特開2004−16095(P2004−16095A)
【公開日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願番号】 特願2002−175248(P2002−175248)