| 【発明の名称】 |
防曇性が良好な農業用ポリオレフィン系フィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 力也 【住所又は居所】大阪府泉大津市臨海町1丁目20番 阪本薬品工業株式会社研究所内
【氏名】成林 生也 【住所又は居所】大阪府泉大津市臨海町1丁目20番 阪本薬品工業株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、(A)成分として重合度が2〜10のポリグリセリンと炭素数12〜22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の2種類以上を混合して得られるエステル化率15〜60%の部分エステル化合物で且つ上記部分エステル化合物の融点が20℃以上45℃未満である防曇剤Aと(B)成分として重合度が2〜10のポリグリセリンと脂肪酸との部分エステル化合物で、エステル化率が15〜70%で融点が45℃以上である防曇剤Bとの混合物0.5〜5重量部を含有することを特徴とする農業用フィルム。 【請求項2】 (A)成分として使用する防曇剤Aと(B)成分として使用する防曇剤Bとの混合比が防曇剤A:防曇剤B=20〜80:80〜20(重量%比)であることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、透明性が良好で、長期間の防曇持続性を有し、フィルムのべたつき感が少ないなどの防曇性に優れたポリオレフィン系農業用フィルムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 ハウス栽培、トンネル栽培等の施設園芸に用いられる農業用フィルムとして使用されるポリオレフィン系樹脂には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン等が用いられている。これらのポリオレフィン系樹脂は疎水性であるため、土壌中や作物から蒸発した水分がフィルム表面に凝集し、微水滴となって曇りを生じて透明性を低下させることにより、太陽光線の透過を妨害し、栽培作物の生育を損ねたりする他、水滴が落下することによって作物に病害をもたらす。そのため、一般に防曇剤として界面活性剤等の表面活性物質をフィルム表面に塗布する方法、ポリオレフィン系樹脂に防曇剤を練り混んでフィルム化する方法によりフィルム表面を濡れやすくする方法が用いられている。 【0003】 防曇剤を塗布する方法は、初期防曇効果が良く、また安価な方法であるが、フィルム上に凝縮した水滴により防曇剤が流去されると、その部分の防曇持続性が低下しやすくなることから、ポリオレフィン系樹脂に防曇剤を練り混んでフィルム化する方法が一般に用いられている。農業用フィルムとしては、冬季及び夏季においても防曇性を発揮し、フィルム内面に付着した水滴により防曇剤が流去することが少なく、また流去しても直ちにフィルム内部より表面へ防曇剤が移行して長期的にその性能が持続するものでなければならない。 【0004】 防曇性を付与するためには、配合する防曇剤がポリオレフィン系樹脂に対し適度な相溶性を有する必要がある。相溶性が良い場合、フィルム表面への防曇剤の移行量が少なくなり、透明性は良くなるが、防曇性の悪いものとなる。相溶性が悪い場合、フィルム表面への防曇剤の移行速度が早く、防曇性はあるものの、白化によりフィルムの透明性が悪くなったり、フィルム表面のベタつきによるフィルム同志のブロッキングが起こり作業性、取扱い性が悪くなる。従ってフィルムに対し適度な防曇性、透明性を付与するためには、ポリオレフィン系樹脂に対して配合する防曇剤のブリード性と相溶性のバランスが取れたものでなければならない。 また近年では、経済性及び作業性面から従来使用されていたフィルムよりも更に長期間にわたって防曇持続性を有する農業用フィルムが求められている。これまで防曇持続性が良好なフィルムは使用し続けることによって、フィルム内部の添加剤がフィルム表面にブリードすることにより白化して透明性が悪くなることが問題となっていた。そこで、上記の様な白化が問題となるフィルムの透明性を改良する目的で、液状型防曇剤等が使用されていたが、防曇持続性が悪くなったり、ブリードによりフィルムにべたつきが生じたりして十分な性能が得られなかった。 即ち、これまで透明性が良好で、且つ長期間防曇持続性を発現することの出来る防曇剤を得ることは困難であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、ポリオレフィン系樹脂に好適な防曇剤を配合することにより、透明性が良好で、長期間の防曇持続性を有し、且つフィルムのべたつき感のない農業用フィルムを提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、(A)成分として重合度が2〜10のポリグリセリンと炭素数12〜22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の2種類以上を混合して得られるエステル化率15〜60%の部分エステル化合物で且つ上記部分エステル化合物の融点が20℃以上45℃未満である防曇剤Aと(B)成分として重合度が2〜10のポリグリセリンと脂肪酸との部分エステル化合物で、エステル化率が15〜70%で融点が45℃以上である防曇剤Bとの混合物0.5〜5重量部を含有することを特徴とする。 尚、上記記載の重合度2〜10のポリグリセリン中に含まれる各重合度のポリグリセリン含有量は、ガスクロマトグラフィーで検出される各重合度のポリグリセリンピークを内部標準物質を用いて算出した全てのポリグリセン量に対する各重合度のポリグリセリン量であり、下記(1)式 各重合度のポリグリセリン含有量=(各重合度のポリグリセリン量/全てのポリグリセリン量)×100(1) で表される。 また、上記エステル化率は下記(2)式 エステル化率(%)=(ポリグリセリン1モルあたりのエステル結合数/エステル化する前のポリグリセリン1モルあたりの水酸基の平均数)×100(2) で表される。また、(A)成分として使用する防曇剤Aと(B)成分として使用する防曇剤Bとの混合比が防曇剤A:防曇剤B=20〜80:80〜20(重量%比)であることを特徴とする農業フィルムである。 【0007】 本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が使用可能であるが、これらのうち、密度が0.910〜0.930g/cm3の低密度ポリエチレン及びエチレン−α−オレフィン共重合体及び酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が強度、透明性や耐侯性の点からより好ましい。 【0008】 本発明の農業用フィルムに使用される防曇剤Aである重合度が2〜10のポリグリセリンと炭素数12〜22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の2種類以上を混合して得られるエステル化率15〜60%の部分エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とを常法によりエステル化反応して得られるもので、ポリグリセリンの有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している化合物を主成分とする。エステル化率が15%よりも低い場合は、防曇持続性が悪くなり、60%より高くなると低温防曇性が悪くなる。上記部分エステル化合物は、特定の重合度のポリグリセリンまたは重合度の異なる2種以上のポリグリセリンを含むポリグリセリン混合物と脂肪酸との部分エステル化合物でも良く、また特定の重合度のポリグリセリン脂肪酸エステル同志の混合物でも良い。使用するポリグリセリンとしては、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等が使用できるが、防曇性、経済性等の面からジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンが好ましい。炭素数12〜22の脂肪酸の内、飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ステアロール酸、エルカ酸等が挙げられ、これらを2種類以上混合して使用する。飽和脂肪酸のみを使用すると白化によりフィルムの透明性が悪くなる。また、不飽和脂肪酸のみを使用するとフィルムの透明性は良くなるが、防曇持続性が著しく悪くフィルムのベタつきもひどくなる。上記問題は、炭素数12〜22の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とを混合して使用することにより解決されるが、エステル化合物の融点が20℃未満の場合は防曇持続性及びフィルムのべたつきが生じ、45℃以上の場合は低温防曇性及びフィルムの透明性が悪くなる。上記条件を満足して得られる防曇剤A単独でも透明性及び低温防曇性は良好であるが長期の防曇持続性が求められる時には不十分である。 本発明の農業用フィルムに使用される重合度が2〜10のポリグリセリンと脂肪酸との部分エステル化合物で、エステル化率が15〜70%で融点が45℃以上である防曇剤Bは、ポリグリセリンと脂肪酸とを常法によりエステル化反応して得られるもので、ポリグリセリンの有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している化合物を主成分とする。エステル化率が15%よりも低い場合は、防曇持続性が悪くなり、70%より高くなると低温防曇性が悪くなる。上記部分エステル化合物は、特定の重合度のポリグリセリンまたは重合度の異なる2種以上のポリグリセリンを含むポリグリセリン混合物と脂肪酸との部分エステル化合物でも良く、また特定の重合度のポリグリセリン脂肪酸エステル同志の混合物でも良い。使用するポリグリセリンとしては、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等が使用できるが、防曇性、経済性等の面からジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンが好ましい。 脂肪酸は1種類のみ使用しても、また2種類以上を混合して使用しても良いが、エステル化合物の融点が45℃以上であることが必要である。融点が45℃未満の場合は防曇剤Aと配合した時に防曇剤Aの防曇性が長期間持続しない。 本発明の防曇剤Aを防曇剤Bと配合することにより長期にわたって透明性が良好で且つ防曇持続性が良好なフィルムが得られ、防曇剤Bを防曇剤A以外の防曇剤に配合しても長期にわたって透明性が良好で且つ防曇持続性が良好なフィルムは得られない。また、同じく防曇剤Aに防曇剤B以外の防曇剤を配合しても上記性能を有するフィルムは得られない。即ち、本発明の農業用フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、防曇剤Aと防曇剤Bとを防曇剤A:防曇剤B=20〜80:80〜20(重量%比)混合して使用することにより、長期にわたって透明性が良好で且つ防曇持続性が良好なフィルムが得られる。その際、防曇剤Aの配合量が20重量%未満の場合は透明性及び低温防曇性が悪くなり、80重量%よりも多い場合は長期防曇持続性が悪くなる。また、防曇剤Bの配合量が20重量%未満の場合は、長期防曇持続性が悪くなり、80重量%よりも多い場合は透明性及び低温防曇性が悪くなる。また、本発明の農業用フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、防曇剤として防曇剤Aと防曇剤Bとの混合物0.5〜5重量%配合しフィルム化して得られる。添加量が0.5重量部より少ないと防曇性能が不十分であり、また5重量部より多くても、防曇性の極端な向上効果はないため非経済的となる。 【0009】 本発明の農業用フィルムは前記ポリオレフィン系樹脂を基体とし、これに特定の防曇剤を0.5〜5重量%添加するものであるが、さらに本発明の効果を阻害しない範囲でポリオレフィン系樹脂をフィルム化する際に一般に用いられている酸化防止剤(フェノール系化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系化合物等)、防霧剤、光安定剤(ヒンダードアミン系化合物等)、光透過性向上剤(β−ジケトン化合物等)、滑剤、安定剤、保温剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、着色剤、防カビ剤等を配合することができる。 【0010】 本発明の農業用フィルムは、ポリオレフィン系樹脂に0.5〜5重量%の防曇剤と必要な各種添加剤を配合し、次いで混合しフィルム化して得られる。混合する方法としては、例えばタンブラーミキサー、バンバリミキサー、スーパーミキサー等で混合する方法が挙げられ、フィルム化する方法としては例えばTダイ法、インフレーション法等が挙げられる。 【0011】 【実施例】 次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、成形したフィルムの評価は、以下の方法により行った。 【0012】 【透明性評価】 ヘイズメーターにより、23℃、湿度50%の恒温室中に6ヶ月静置したフィルムのヘイズを測定し、透明性を評価した。 評価基準 ○:ヘイズ値30%未満 ×:ヘイズ値30%以上 【0013】 【フィルムのベタつき評価】 23℃、湿度50%の恒温室中に6ヶ月間静置した後のフィルム表面のベタつきを手触りにより評価した。 評価基準 ○:フィルムのベタつきがない。 ×:フィルムがベタつく。 【0014】 【低温防曇性】 製膜後23℃、湿度50%の恒温室中に10日間静置した後のフィルムを傾斜角10度の屋根に貼り、15℃の恒温水槽中に浸した後、4℃の低温室中に静置してフィルム表面状態を経時的に観察した。防曇性は次の4段階で評価した。 評価基準 ◎:表面が均一透明で水滴の付着が全くない。 ○:表面は殆ど透明であるが、不均一でゆがんで見える。 △:一部分にキリ状の水滴が付着している。 ×:大部分にキリ状の水滴が付着し、底が見えにくい。 【0015】 【高温防曇持続性】 製膜後23℃、湿度50%の恒温室中に10日間静置した後のフィルムを傾斜角10度の屋根に貼り、40℃の恒温水槽中に浸した後、23℃の恒温室中に静置してフィルム表面状態を経時的に観察した。防曇性は次の4段階で評価した。 評価基準 ◎:表面が均一透明で水滴の付着が全くない。 ○:表面は殆ど透明であるが、不均一でゆがんで見える。 △:一部分にキリ状の水滴が付着している。 ×:大部分にキリ状の水滴が付着し、底が見えにくい。 【0016】 【実施例1〜5】 エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(酢酸ビニル含有量5重量%)100重量部に対し、表1に示す成分からなる化合物を所定量添加し、混合した。これを二軸押出機を用いて混練し、押出ペレットを作成した。更に、スクリュー温度190℃、ダイス温度190℃にてインフレーション法で厚さ100μmのフィルムを成形し、得られたフィルムについてフィルムのヘイズ、白化、フィルムのベタつき、低温防曇性、高温防曇持続性を評価した。結果を表2に示す。 【0017】 【表1】
【0018】 【表2】
【0019】 【比較例1〜6】 エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(酢酸ビニル含有量5重量%)100重量部に対し、表1に示す成分からなる化合物を所定量添加し、混合した。これを二軸押出機を用いて混練し、押出ペレットを作成した。更に、スクリュー温度190℃、ダイス温度190℃にてインフレーション法で厚さ100μmのフィルムを成形し、得られたフィルムについてフィルムのヘイズ、白化、フィルムのベタつき、低温防曇性、高温防曇持続性を評価した。結果を表2に示す。 【0020】 【発明の効果】 本発明により、ポリオレフィン系樹脂に特定の防曇剤を配合することにより、透明性が良好で、長期間の防曇持続性を有し、且つフィルムのべたつき感の少ない農業用フィルムを得る事ができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390028897 【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区淡路町1丁目2番6号
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| 【出願日】 |
平成14年6月4日(2002.6.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】300088360 【氏名又は名称】田村 克之
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| 【公開番号】 |
特開2004−8038(P2004−8038A) |
| 【公開日】 |
平成16年1月15日(2004.1.15) |
| 【出願番号】 |
特願2002−163512(P2002−163512) |
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