| 【発明の名称】 |
植物育成貯蔵装置および植物育成貯蔵方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石渡 正紀 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株式会社内
【氏名】安部 慎一 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株式会社内
【氏名】工藤 章英 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】苗の育成および貯蔵のいずれにも適した照明を苗に与えることが可能な植物育成貯蔵装置および植物育成貯蔵方法を提供する。
【解決手段】光源(照明ランプ3a〜3h)と、光源の点灯状態を制御する制御部(制御用コンピュータ8)と、内部に光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器(チャンバー1)とを備え、植物の貯蔵時に、制御部は、植物の育成時における光源からの光の照度均斉度が維持される条件で所定の時間毎に光源のオン−オフを繰り返し、植物に対する一日の光の積算光量が、光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように光源の点灯時間を制御することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源と、前記光源の点灯状態を制御する制御部と、内部に前記光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器とを備え、前記光源からの光を植物に照射して植物を育成し、育成された植物を貯蔵する植物育成貯蔵装置であって、植物の貯蔵時に、前記制御部は、植物の育成時における前記光源からの光の照度均斉度が維持される条件で所定の時間毎に前記光源のオン−オフを繰り返し、これによる植物に対する一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように前記光源の点灯時間を制御することを特徴とする植物育成貯蔵装置。 【請求項2】 光源と、前記光源の点灯状態を制御する制御部と、前記光源からの光の照度均斉度を向上させる光透過量調整部材と、前記光透過量調整部材を移動させて前記光源と植物との間に前記光透過量調整部材を置き、また前記光源と植物との間から前記光透過量調整部材を取り除くことが可能な移動機構と、内部に前記光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器とを備え、前記光源からの光を植物に照射して植物を育成し、育成された植物を貯蔵する植物育成貯蔵装置であって、植物の貯蔵時に、前記移動機構で前記光透過量調整部材を光源と植物との間に介在させ、前記制御部は、植物に対する一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように前記光源の点灯時間を制御することを特徴とする植物育成貯蔵装置。 【請求項3】 複数の光源を備え、植物の貯蔵時に、制御部は、一部の光源のみを選択的に点灯する請求項1または2記載の植物育成貯蔵装置。 【請求項4】 複数の光源と、前記複数の光源の点灯状態を制御する制御部と、一部の前記光源に設けられた照度均斉部材と、内部に前記光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器とを備え、前記光源からの光を植物に照射して植物を育成し、育成された植物を貯蔵する植物育成貯蔵装置であって、植物の貯蔵時に、前記制御部は、前記照度均斉部材が設けられた光源を選択的に点灯させ、植物に対する一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように前記照度均斉部材が設けられた光源の点灯時間を制御することを特徴とする植物育成貯蔵装置。 【請求項5】 照度均斉部材が光源の植物とは反対の側に設けられた反射板である請求項4記載の植物育成貯蔵装置。 【請求項6】 照度均斉部材が光源を覆う被膜である請求項4記載の植物育成貯蔵装置。 【請求項7】 制御部によって光源の調光制御が可能であり、植物の貯蔵時に、前記光源の調光制御を併用する請求項1ないし6のいずれか一項に記載の植物育成貯蔵装置。 【請求項8】 光源の植物側に直射光を遮る遮光板を備えた請求項1ないし7のいずれか一項に記載の植物育成貯蔵装置。 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の植物貯蔵装置を用いた植物育成貯蔵方法であって、貯蔵時に一日に植物に照射される光の積算光量が、育成時に一日に植物に照射される光の積算光量の10分の1以下である植物育成貯蔵方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本件の発明は人工光源を用いて野菜や花卉などの植物の苗を育成し、育成した苗を貯蔵する植物育成貯蔵装置および植物育成貯蔵方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、農業従事者の高齢化や労働力不足を補うため、蛍光灯などの人工光源を用いて野菜や花卉などの植物の苗を育成したいという要望が高まっており、人工光源を用いた苗生産システムの開発が進んでいる(特開平5−137457号公報、特開平6−30655号公報、特開平11−103675号公報、特開平11−137107号公報などを参照)。 【0003】 苗の成長にあわせて必要な光強度は変わるが、苗を人工光源で育成しようとすると、一般的に苗に対して100〜300μmol/m2/s程度の光出力(光合成有効光量子束)が必要とされる。ここに、光はエネルギーを持つ1個の粒子の集まりであるとみなされるが、光量子束とは単位時間当たりに放射される粒子の数をいう。また、光合成有効光量子束(PPF:Photosynthetic Photon Flux)とは光合成に有効な400〜700nmの波長域に含まれる光量子束をいう。本明細書において、光合成有効光量子束は、植物が植えられているトレイ面から高さ10cmの仮想平面における平均値によって求められる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 最近、出荷前の苗を人工光源下で一時的に低温で貯蔵して苗の生産計画に役立てようという研究が進み、貯蔵時に苗に対して弱光を照射する方が暗黒下で貯蔵するよりも苗質を長く維持できることが明らかになってきている(久保田、古在他;Acta Horticulturae,No.393,pp.89〜93(1995年3月)、特開2000−188957号公報、特開2001−28946号公報などを参照)。 【0005】 弱光を照射して低温苗貯蔵を行う場合、苗の種類や周囲の温度などの条件によって違いがあるものの、概ね2〜15μmol/m2/sの低光出力が必要とされる。例えば、ブロッコリーの苗であれば、周囲温度5℃で2μmol/m2/s、周囲温度15℃で5μmol/m2/sの光出力が必要である(上記久保田、古在他を参照。)。 【0006】 したがって、苗の育成に必要な光出力と、貯蔵に必要な光出力とは100倍程度という大きな違いがある。このため、人工光源によって強光を照射する苗の育成と弱光を照射する苗の貯蔵とは別個のシステムを用いて行われており、苗を移し替える必要があった。 【0007】 これをあえて1つのシステムで苗の育成と貯蔵とを行おうとすると、光源の調光範囲を非常に大きなものとしなければならないという問題や、育成時に必要とされる大出力の光源を貯蔵時には低温(例えば、5℃)の環境下で低出力(例えば、5%以下の調光)で点灯させなければならず、照明ランプ出力が不安定になってちらついたり、照明ランプが立ち消えたりするおそれがあり、安定性に欠けるという問題が生じる。このため、人工光源を用いて野菜や花卉などの植物の苗を育成し、出荷前の苗を貯蔵する植物育成貯蔵装置において、苗育成用の大出力の光源をそのまま低出力で用いて苗貯蔵用の光源に転用することは困難である。 【0008】 この問題を解決するためには、貯蔵時には育成用に設置された複数の光源の一部のみを点灯させることが考えられるが、これでは照度均斉度が低く、個々の苗に照射される光の量が苗の位置によって異なることとなり、苗質にバラツキが生じてしまう。また、一部の光源のみであってもそれを本来の出力通りに点灯すると貯蔵時としては明るすぎて苗の葉焼けを生じさせることもある。 【0009】 本件の発明は、以上の課題に鑑みてなされたもので、苗の育成および貯蔵のいずれにも適した照明を苗に与えることが可能な植物育成貯蔵装置および植物育成貯蔵方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 請求項1に係る植物育成貯蔵装置の発明は、光源と、前記光源の点灯状態を制御する制御部と、内部に前記光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器とを備え、前記光源からの光を植物に照射して植物を育成し、育成された植物を貯蔵する植物育成貯蔵装置であって、植物の貯蔵時に、前記制御部は、植物の育成時における前記光源からの光の照度均斉度が維持される条件で所定の時間毎に前記光源のオン−オフを繰り返し、これによる植物に対する一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように前記光源の点灯時間を制御することを特徴とする。ここで、光補償点とは、植物の光合成によるCO2の吸収と、植物の呼吸によるCO2の排出とが釣り合い、見かけ上容器内のCO2の増減がゼロになる光強度のことである。光補償点は植物の種類や培地のショ糖濃度、温湿度などの様々な条件によって変化するものであり、予め個々に求めなければならない。 【0011】 請求項2に係る植物育成貯蔵装置の発明は、光源と、前記光源の点灯状態を制御する制御部と、前記光源からの光の照度均斉度を向上させる光透過量調整部材と、前記光透過量調整部材を移動させて前記光源と植物との間に前記光透過量調整部材を置き、また前記光源と植物との間から前記光透過量調整部材を取り除くことが可能な移動機構と、内部に前記光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器とを備え、前記光源からの光を植物に照射して植物を育成し、育成された植物を貯蔵する植物育成貯蔵装置であって、植物の貯蔵時に、前記移動機構で前記光透過量調整部材を前記光源と植物との間に介在させ、前記制御部は、植物に対する一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように前記光源の点灯時間を制御することを特徴とする。 【0012】 請求項3に係る植物育成貯蔵装置の発明は、前記の各植物育成貯蔵装置において、光源が複数あり、植物の貯蔵時に、制御部は、一部の光源のみを選択的に点灯するものである。 【0013】 請求項4に係る植物育成貯蔵装置の発明は、複数の光源と、前記複数の光源の点灯状態を制御する制御部と、一部の前記光源に設けられた照度均斉部材と、内部に前記光源と植物とを収納し、外部からの光の遮断が可能な容器とを備え、前記光源からの光を植物に照射して植物を育成し、育成された植物を貯蔵する植物育成貯蔵装置であって、植物の貯蔵時に、前記制御部は、前記照度均斉部材が設けられた光源を選択的に点灯させ、植物に対する一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように前記照度均斉部材が設けられた光源の点灯時間を制御することを特徴とする。 【0014】 請求項5に係る植物育成貯蔵装置の発明は、請求項4に係る植物育成貯蔵装置において、前記照度均斉部材が光源の植物とは反対の側に設けられた反射板であるものである。また、請求項6に係る植物育成貯蔵装置の発明は、前記照度均斉部材が光源を覆う被膜であるものである。 【0015】 請求項7に係る植物育成貯蔵装置の発明は、前記各植物育成貯蔵装置において、制御部によって光源の調光制御が可能であり、植物の貯蔵時に、前記光源の調光制御を併用するものである。また、請求項8に係る植物育成貯蔵装置の発明は、前記各植物育成貯蔵装置において、光源の植物側に直射光を遮る遮光板を備えたものである。 【0016】 請求項9に係る植物育成貯蔵方法の発明は、前記各植物育成貯蔵装置を用いた植物育成貯蔵方法であって、貯蔵時に一日に植物に照射される光の積算光量が、育成時に一日に植物に照射される光の積算光量の10分の1以下であるものである。 【0017】 【発明の実施の形態】 以下、図面を参照しながら本件各発明の実施形態の一例を説明する。 【0018】 (実施形態1) 本件発明の実施形態1の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図1に示す。図1に示す植物育成貯蔵装置は、植物の苗2を育成し、育成された苗2を貯蔵するチャンバー(容器)1と、苗の育成、貯蔵時に苗に光を照射する照明ランプ(光源)3a〜3hとを備えている。 【0019】 チャンバー1によって苗は外部と遮断され、苗に照射される光の量はチャンバー1内部の照明ランプ3a〜3hのオン−オフ(および照明ランプが調光可能な場合は調光制御)によって調節される。また、チャンバー1内部の温度も外部の温度とは独立して制御が可能であり、苗の貯蔵時にはチャンバー1内部は低温に設定される(これらの点は他の実施形態においても同様である。)。なお、チャンバー1内部の温度を検知するための機構、温度制御のための熱源とその制御機構等は通常のものであり、その図示および詳しい説明を省略する。チャンバー1は光源と苗とが内部に収納可能であれば、その大きさは問わず、大きな部屋状のものでもよい(これらの点も他の実施形態において同様である。)。 【0020】 8本の照明ランプ3a〜3hは2本ずつまとめられて2灯用の安定器4a〜4dに接続されている。安定器4a〜4dからの電源線5は1つのオン−オフスイッチ6に接続されており、オン−オフスイッチ6から延びた信号線7は制御用コンピュータ(制御部)8に接続されている。なお、図1では、安定器4a〜4dはチャンバー1内部に置かれているが、外部に置いても構わない。 【0021】 この実施形態1の植物育成貯蔵装置では、苗の育成時には、照明ランプ3a〜3hの全てが点灯される。育成した苗を貯蔵する際には、制御用コンピュータ8でオン−オフスイッチ6を制御して、光源の照度均斉度が維持される条件で所定の時間毎に照明ランプ6のオン−オフを一括して繰り返す。この際、照明ランプを点灯する時間を夜間に集中させれば、割安な深夜電力などを有効に利用することができる。 【0022】 ここに、光源の照度均斉度が維持される条件とは、照明ランプが調光制御可能な場合は、苗の貯蔵時に制御用コンピュータ8で調光制御を行っても良いが、苗の育成時の光線の照度均斉度が維持されるように、過度に調光して照明ランプの出力が不安定になってちらついたり、立ち消えしたりしない範囲で調光制御するということである。 【0023】 図2において、ハッチングを施してある部分は照明ランプが点灯されている時間であり、図2(a)は苗に対して光補償点(苗の種類などに応じて変わる。)の光量の光を連続して照射した状態を示している。実施形態1では、図2(b)に示すように、貯蔵時に所定の時間毎に照明ランプ3a〜3hのオン−オフを繰り返す。一日に苗に照射される光の積算光量は図2のハッチングが施された部分の面積に相当するので、図2(a)でハッチングが施された部分の面積と図2(b)でハッチングが施された部分の面積が等しくなるように貯蔵時の照明ランプ3a〜3hの点灯時間を設定する。苗に照射される光量は時間的な積算が可能であり、これによって、苗の貯蔵時の一日の積算光量が、当該苗に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくする。 【0024】 実施形態1のように、苗に対して暗期を設けながら、一時的に苗に対して強い光を与えることによって、苗の活性度が高められ、光補償点での一定光照射による光貯蔵よりも高い苗質を維持することが可能となる。 【0025】 (実施形態2) 本件発明の実施形態2の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図3に示す。図3に示す植物育成貯蔵装置は、苗2を育成し、育成された苗2を貯蔵するチャンバー(容器)1と、苗の育成、貯蔵時に苗に光を照射する照明ランプ(光源)3a〜3hとを備えている。チャンバー1によって苗は外部と遮断され、苗に照射される光の量はチャンバー1内部の照明ランプ3a〜3hのオン−オフ(および照明ランプが調光可能な場合は調光制御)によって調節され、チャンバー1内部の温度も外部の温度とは独立して制御が可能である。 【0026】 8本の照明ランプ3a〜3hは2本ずつまとめられて2灯用の安定器4a〜4dに接続されている。各安定器4a〜4dから延びた電源線5a〜5dは各々1つのオン−オフスイッチ6a〜6dに接続されており、各オン−オフスイッチ6a〜6dから延びた信号線7は制御用コンピュータ(制御部)8に接続されている。 【0027】 この実施形態2の植物育成貯蔵装置では、苗の育成時には、照明ランプ3a〜3hの全てが点灯される。育成した苗を貯蔵する際には、制御用コンピュータ8でオン−オフスイッチ6a〜6dを制御して、光源の照度均斉度が維持される条件で所定の時間毎に照明ランプ6a〜6hのオン−オフを繰り返す。この際、照明ランプ6a〜6hを一括してオン−オフしても、2本の照明ランプずつを別々にオン−オフしてもいずれでもよい。 【0028】 苗の貯蔵時には、一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように、制御用コンピュータ8によって照明ランプを点灯する時間が設定される。 【0029】 表1は光補償点の光量の光を連続して照射する場合の点灯タイムスケジュールの一例である。この例は、苗に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量が240μmol/m2/sの例である。1つの照明ランプを一日の間に1回以上は点灯・消灯させて、一日の光の積算光量が、この苗に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と等しくなるようにした点灯タイムスケジュールの一例を表2に示す。 【0030】 【表1】
【0031】 【表2】
【0032】 実施形態2のように、チャンバー内の光源をいくつかの組に分けて独立してオン−オフ可能にしておけば、チャンバー内に複数の棚があり、苗のトレイが置かれる棚と苗のトレイが置かれない棚とがある場合、苗の育成を開始する前に制御用コンピュータに苗のトレイが置かれない棚の位置を入力し、苗のトレイが置かれない棚の上部に設置された照明ランプを苗の育成、貯蔵時に全く点灯させないように制御することが可能である。 【0033】 また、チャンバー内の光源をいくつかの組に分けて独立してオン−オフ可能にしておけば、ON−OFFの時間と貯蔵時に点灯する本数とを単位時間ごとに変えることによって、貯蔵時に定常的に弱光をあてている中で、苗活力を維持する目的で短時間のみ強光をあてる光刺激貯蔵を行うことも可能である。 【0034】 (実施形態3) 本件発明の実施形態3の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図4に示す。図4に示す植物育成貯蔵装置は、苗2を育成し、育成された苗2を貯蔵するチャンバー(容器)1と、苗の育成、貯蔵時に苗に光を照射する照明ランプ(光源)3a〜3hとを備えている。チャンバー1によって苗は外部と遮断され、苗に照射される光の量はチャンバー1内部の照明ランプ3a〜3hのオン−オフおよび照明ランプの調光制御によって調節され、チャンバー1内部の温度も外部の温度とは独立して制御が可能である。 【0035】 8本の照明ランプ3a〜3hは2本ずつまとめられて2灯用の安定器4a〜4dに接続されている。各安定器4a〜4dから延びた電源線5a〜5dは各々1つのオン−オフスイッチ6a〜6dに接続されており、各オン−オフスイッチ6a〜6dから延びた信号線7aは制御用コンピュータ(制御部)8に接続されている。安定器4a〜4dは調光制御ブロック9a〜9dと各々接続され、各調光制御ブロック9a〜9dは信号線7bを介して制御用コンピュータ8と接続されており、制御用コンピュータ8からの信号を受けて任意の調光信号(DUTY信号)を各安定器4a〜4dに送ることができ、照明ランプ3a〜3hは調光機能を有する。 【0036】 この実施形態3の植物育成貯蔵装置では、苗の育成時には、照明ランプ3a〜3hの全てが点灯される。育成した苗を貯蔵する際には、制御用コンピュータ8でオン−オフスイッチ6a〜6dを制御して、光源の照度均斉度が維持される条件で所定の時間毎に照明ランプ3a〜3hのオン−オフを繰り返して、一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように、制御用コンピュータ8によって照明ランプ3a〜3hを点灯する時間が設定される。 【0037】 なお、調光制御は、照明ランプ1本の光強度が強く、苗に対して飽和点を超えてしまい、葉焼けを起こすなどの問題が発生する場合に特に必要である。 【0038】 (実施形態4) 本件発明の実施形態4の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図5に示す。図5に示す植物育成貯蔵装置は、苗2を育成し、育成された苗2を貯蔵するチャンバー(容器)1と、苗の育成、貯蔵時に点灯される照明ランプ(光源)3e,3fと苗の育成時にのみ点灯される照明ランプ(光源)3a〜3d,3g〜3hとを備えている。チャンバー1によって苗は外部と遮断され、苗に照射される光の量はチャンバー1内部の照明ランプ3a〜3hのオン−オフ(および照明ランプが調光可能な場合は調光制御)によって調節され、チャンバー1内部の温度も外部の温度とは独立して制御が可能である。 【0039】 8本の照明ランプ3a〜3hは2本ずつまとめられて2灯用の安定器4a〜4dに接続されている。各安定器4a〜4dから延びた電源線5a〜5dは各々1つのオン−オフスイッチ6a〜6dに接続されており、各オン−オフスイッチ6a〜6dから延びた信号線7は制御用コンピュータ(制御部)8に接続されている。 【0040】 この実施形態4の植物育成貯蔵装置には、光透過量調整部材10と、制御用コンピュータ8からの所定の信号を受けて、光透過量調整部材10を移動させて照明ランプ3a〜3hと苗2との間に光透過量調整部材10を置き、また照明ランプ3a〜3hと苗2との間から光透過量調整部材10を取り除くことが可能な移動機構(図示しない)とが設けられている。光透過量調整部材10は光の透過量を低減して苗の貯蔵時に苗に過度に強い光が照射されることを回避するとともに、照明ランプ3a〜3fからの光の照度均斉度を向上させるものである。 【0041】 このような光透過量調整部材10としては、アクリルやポリエチレンなどに色素などの所望の材料を添加した材料からなる平面シート、樹脂を成形加工して表面にプリズム状の溝を設けたプリズムシート、印刷(偏光処理を含む)や蒸着などにより透過率や拡散性などを制御したガラス板などが挙げられる。 【0042】 この植物育成貯蔵装置では、苗の育成時には、照明ランプと苗との間から光透過量調整部材10が取り除かれ、照明ランプ3a〜3hの全てが連続して点灯される。苗の貯蔵時には、照明ランプと苗との間に光透過量調整部材10が設置され、照明ランプ3e,3fのみが点灯される。制御用コンピュータ8でオン−オフスイッチ6a〜6cを制御して、照明ランプ3e,3fの点灯時間が、光透過量調整部材10を通過して苗に照射される一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように設定される。すなわち、照明ランプ3e,3fのオン−オフ制御と光透過量調整部材10との両方で貯蔵時の光量を調整する。 【0043】 光透過量調整部材10は苗の貯蔵時に用いられるものであるから、実施形態4の植物育成貯蔵装置のように苗の貯蔵時に一部の光源しか点灯されないのであれば、その苗の貯蔵時に点灯される苗の位置に応じた光の透過量分布を有していればよい。例えば、図6に模式的に示すように、光透過量調整部材10のうち、苗の貯蔵時にも点灯される照明ランプ3の下側部分の光透過量が、苗の育成時にのみ点灯される他の照明ランプの下側部分の光透過量よりも小さくなるように光透過量調整部材10の光の透過率分布パターン10aを決めればよい。 【0044】 (実施形態5) 本件発明の実施形態5の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図7に示す。図7に示す植物育成貯蔵装置は、制御用コンピュータ8からの所定の信号により移動可能なチューブ状の光透過量調整部材10を苗の貯蔵時に点灯される照明ランプ3eを囲むように設けたものである。 【0045】 光透過量調整部材10の形態が異なる以外、実施形態5の植物育成貯蔵装置は、図5に示す植物育成貯蔵装置とは同様の構成を有しており、その詳しい説明を省略する。 【0046】 (実施形態6) 本件発明の実施形態6の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図8に示す。図8に示す植物育成貯蔵装置は、制御用コンピュータ8からの所定の信号により移動可能な光透過量調整部材10を、照明ランプ3a〜3hを覆うベルト状の部材で構成したものである。 【0047】 この光透過量調整部材10は部分によって光透過率が異なり、着色等されていて光透過率が低い部分と、無色透明で光透過率が高い部分とが存在する。苗の育成時には、無色透明な部分を照明ランプ側にして光量が不足しないようにする。一方、苗の貯蔵時には、ベルト状光透過量調整部材10を回転させて、点灯される照明ランプの下側には、光透過率が低い部分が来るようにする。貯蔵時に点灯される照明ランプを所定の時間毎に変えていき、それにあわせてベルト状光透過量調整部材10を回転させて、点灯される照明ランプの下側に光透過率が低い部分が来るようにすれば、各照明ランプを同等の時間ずつ点灯することになるから、照明ランプの寿命を揃えることができる。 【0048】 ベルト状の光透過量調整部材10にカラーフィルタを設けて、光色に変化をもたせることも可能である。 【0049】 (実施形態7) 本件発明の実施形態7の植物育成貯蔵装置の概略構成図を図9に示す。図9に示す植物育成貯蔵装置は、苗2を育成し、育成された苗2を貯蔵するチャンバー(容器)1と、苗の育成、貯蔵時に点灯される照明ランプ(光源)3c,3dと苗の育成時にのみ点灯される照明ランプ(光源)3a〜3b,3e〜3hとを備えている。チャンバー1によって苗は外部と遮断され、苗に照射される光の量はチャンバー1内部の照明ランプ3a〜3hのオン−オフ(および照明ランプが調光可能な場合は調光制御)によって調節され、チャンバー1内部の温度も外部の温度とは独立して制御が可能である。 【0050】 8本の照明ランプ3a〜3hは2本ずつまとめられて2灯用の安定器4a〜4dに接続されている。各安定器4a〜4dからのびた電源線5a〜5dは各々1つのオン−オフスイッチ6a〜6dに接続されており、各オン−オフスイッチ6a〜6dからのびた信号線7aは制御用コンピュータ(制御部)8に接続されている。 【0051】 この実施形態7の植物育成貯蔵装置では、苗の育成、貯蔵時に点灯される照明ランプ3c,3dの上部(苗とは反対の側)に、照明ランプ3c,3dからの光の照度を均斉化する照度均斉部材として反射板11が設置され、照明ランプ3c,3dの下部(苗側)には、貯蔵時に照明ランプの光が強すぎる場合に、苗に光が直接照射されることを防止するために遮光板12が設置されている。 【0052】 このような構成で貯蔵時に照明ランプ3c,3dを常時点灯させた場合に、積算光量が多すぎるようであれば、制御用コンピュータ8でオン−オフスイッチ6a〜6cを制御して、照明ランプ3c,3dの点灯時間を調整したり、調光制御を併用したりして、一日の光の積算光量が、当該植物に対して光補償点の光量の光を連続して照射した場合における一日の光の積算光量と略等しくなるように設定する。 【0053】 貯蔵時に点灯される照明ランプからの光の照度を均斉化する照度均斉部材として、反射板に代えて、照明ランプを覆う被膜を設けてもよい。このような被膜として、濃淡パターンを印刷した被膜が挙げられる。 【0054】 遮光板12を設ける必要がないときは、これを省略してもよい。このような遮光板は他の実施形態においても必要により設けてもよい。また、必要により、チャンバー内部の上面全体を覆う上部反射板を設けてもよい。この場合、苗の育成時に反射板11を上部反射板内に収納できるようにしてもよい。 【0055】 育成時と貯蔵時とで点灯する照明ランプを完全に分け、貯蔵時に点灯される照明ランプを育成時に点灯せず、貯蔵時専用にしてもよい。貯蔵用照明ランプの向きは、育成用照明ランプに対して平行と垂直の2通りが考えられる。直管タイプの蛍光灯を貯蔵用照明ランプに用いれば、平面均一照射と照射強度の調節が可能である。 【0056】 上述の植物育成貯蔵装置を用いた植物育成貯蔵方法においては、苗の種類および苗の成長の段階によって違いがあるが、苗の育成時に、苗に対して100〜300μmol/m2/s程度の光出力(光合成有効光量子束)の光を照射する必要がある。一般に、苗の貯蔵時に一日に苗に照射される光の積算光量は育成時の一日の積算光量の1/10以下である。 【0057】 【発明の効果】 本件の各請求項に係る発明によれば、低温で光量を小さくしなければならない植物貯蔵時において、植物に照射される光の安定性を高めることができ、苗の育成および貯蔵のいずれにも適した照明を苗に与えることができる。このため、1つの装置で植物育成と植物貯蔵とを行うことができ、装置や施設の省スペース化が図られるとともに、従来必要であった植物育成用チャンバーから植物貯蔵用チャンバーへの植物苗のトレイ等の移動の手間がなくなり、さらに、苗の育成から貯蔵までが1つのシステムで一元管理できるため、より計画的な生産や出荷調整が可能となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本件発明の実施形態1の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【図2】時刻毎の照射光量の説明図である。 【図3】本件発明の実施形態2の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【図4】本件発明の実施形態3の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【図5】本件発明の実施形態4の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【図6】光透過量調整部材の透過率分布パターンの説明図である。 【図7】本件発明の実施形態5の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【図8】本件発明の実施形態6の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【図9】本件発明の実施形態7の植物育成貯蔵装置の概略構成図である。 【符号の説明】 1:チャンバー(容器) 2:苗 3a〜3h:照明ランプ(光源) 8:制御用コンピュータ(制御部) 9a〜9d:調光制御ブロック 10:光透過量調整部材 11:反射板 12:遮光板
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地
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| 【出願日】 |
平成14年5月31日(2002.5.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100111556 【弁理士】 【氏名又は名称】安藤 淳二
【識別番号】100111246 【弁理士】 【氏名又は名称】荒川 伸夫
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| 【公開番号】 |
特開2004−55(P2004−55A) |
| 【公開日】 |
平成16年1月8日(2004.1.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−159264(P2002−159264) |
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