トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 脱穀機の受網
【発明者】 【氏名】木村 敦
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【氏名】板持 透
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】受網4の全半部で屑類の漏下を抑制して滞動を促進させながら漏下選別を能率よく行なうことができる脱穀機の受網を提供する。

【解決手段】外周面に複数の扱歯3aを突設した扱胴3を扱室2内に回転自在に支持するとともに、扱胴3の下側で扱歯3aの回転軌跡に沿って円弧状の受網4を設けた脱穀機1において、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数の扱歯3aを突設した扱胴3を扱室2内に回転自在に支持するとともに、扱胴3の下側で扱歯3aの回転軌跡に沿って円弧状の受網4を設けた脱穀機1において、前記受網4に扱胴の回転下手側に向かって傾斜する長孔状の漏下孔を穿設する際、受網4の始端側前半部に穿設する前漏下孔16と後半部に穿設する後漏下孔15の長さを略等しくするとともに、前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾より小さく形成したことを特徴とする脱穀機の受網。
【請求項2】
前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾の略1/2〜2/3程度とする請求項1の脱穀機の受網。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱穀機の扱室の下部を形成する受網に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、扱歯を穿設した扱胴に対設する受網に、扱胴の回転の下手側に向かって傾斜する長孔状の漏下孔を連続的に穿設した脱穀機は既に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−333525号公報(図2、3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報で示されるような脱穀機の受網は、受網の始端側に列設される漏下孔を終端側に列設される広巾の漏下孔に合わせて一律の大きさに形成されている。従って、扱室内で脱穀初期に大量に発生する穂切れや切れ藁等が受網の前半部で多量に漏下してしまい、揺動選別体による選別精度を低下させるとともに穂切れや枝梗等を扱室内で十分に滞動させて処理することが困難になると言う欠点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の脱穀機の受網は、外周面に複数の扱歯3aを突設した扱胴3を扱室2内に回転自在に支持するとともに、扱胴3の下側で扱歯3aの回転軌跡に沿って円弧状の受網4を設けた脱穀機1において、前記受網4に扱胴の回転下手側に向かって傾斜する長孔状の漏下孔を穿設する際、受網4の始端側前半部に穿設する前漏下孔16と後半部に穿設する後漏下孔15の長さを略等しくするとともに、前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾より小さく形成したことを特徴としている。
【0006】
また、前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾より小さく形成し、前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾の略1/2〜2/3程度とすることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0008】
1は、コンバインに搭載される脱穀機であり、機体1aの上部に形成した扱室2内に扱胴3を回転可能に軸架し、扱歯3aの回転軌跡に沿って下側に半円弧状の受網4を後述する構成により張設し、この受網4の前後で前側板5と後側板6によって穀稈入口5aと穀稈出口6aを形成している。
【0009】
また、扱室2の下方で機体1aの下部には前後の送風ファン7と排塵ファン7aで形成される選別風路内に脱穀物を受けて揺動選別を行なう揺動選別体8を前後方向に揺動可能に装架し、この揺動選別体8の下方には1番物を回収する1番ラセン9と、2番物を揺動選別体8に還元送りをする2番ラセン9aとを配設している。
【0010】
そして扱室2の扱口に沿ってフィードチェン10を設けており、穀稈を扱室2内に供給して回転する扱胴3の周囲に植設された扱歯3aによって脱穀するとともに、脱穀済の穀稈をフィードチェン10の終端に設けた挟持レール11aを有する排稈搬送体11によって搬送して機外に排出するようにしている。
【0011】
以上のような脱穀機1において、受網4は脱穀物を下方に漏下選別する漏下孔を図2で示すように構成している。
【0012】
即ち、受網4はその全長の扱胴終端側範囲(R)に広巾な後漏下孔15を複数個穿設している。また、扱胴始端側範囲(F)に上記後漏下孔15よりも巾狭な前漏下孔16を複数個穿設し、受網4の前半部と後半部で脱穀物の漏下量が異なるように形成している。
【0013】
上記後漏下孔15と前漏下孔16とは、いずれも扱胴回転下手側に向かって、略45度程度の漏下角(θ)を持って傾斜するほぼ同じ長さの長孔に形成し、その両端は円弧面として鉄板をプレス加工によって打ち抜いている。
【0014】
前記漏下角(θ)は、図2の右側に図示されているように、扱胴3の回転方向kと穀稈の搬送速度sで決定される合成ベクトルvの方向である、扱胴回転下手側に向かって傾斜しているのである。また、図2、図3に示すように後漏下孔15と前漏下孔16の終端部は、扱胴回転方向の扱歯3aが通過する位置に揃えられている。
【0015】
この図示例における後漏下孔15は、長孔の長さLを35ミリ程度とし、且つ長孔の巾Wを14ミリ程度に形成し、扱胴3の回転方向に沿って扱胴3に突設される扱歯3aに対向する位置に列設している。
【0016】
このように後漏下孔15の巾Wを、前漏下孔16のそれより広く形成することにより、扱室2の後半部で多く発生する脱穀物中の穂切れや枝梗(以下枝梗類という)や小さな切藁等の屑類の落下させるようになっている。
【0017】
また、受網4の前半部に形成される前漏下孔16の巾Wを、後漏下孔15の巾Wに対して約1/2程度の狭い巾に形成することにより、前半部では枝梗類や屑類の落下を抑制しながら脱穀初期においては脱穀物中の穀粒を落下(漏下)を専ら促進するようにしている。
【0018】
受網4には所定のピッチPで漏下孔15、16が穿設されているが、このピッチPは扱胴3に植設されている扱歯3aのピッチに対応させており、各扱歯3aの先端軌跡は長孔の終端部上を通過するようにしている。
【0019】
以上のように受網4を構成した脱穀機1は、扱胴3の回転に伴って脱穀された脱穀物を各漏下孔15、16の漏下角(θ)に沿って扱胴終端側に移動する間に漏下選別することができる。
【0020】
そしてこの脱穀物は漏下孔15、16の終端側に移動して、その終端部の円弧部に引っ掛かろうとする切藁等の屑類は、この部位を通過する扱歯3aによって引っ掛かりを除かれて扱室2内での持ち回り再処理(滞動)が促進される。
【0021】
このとき、受網4の前半部では穀稈が一斉に脱穀され、脱粒した穀粒と屑類が大量に生ずるが、この部位の前漏下孔16を後漏下孔15の約半分程度に巾を狭く形成しているので、専ら穀粒が漏下され屑類は前漏下孔16の傾斜長孔に沿う方向で、後方側に向けて滞動が促進される。
【0022】
そして滞動が促進され、細分化された脱穀物は後半部の広巾な後漏下孔15に移動され、ここで単粒化され、穀粒他枝梗を含むものの漏下が行なわれるので、穀粒の受網4の選別性能が向上し、揺動選別体8による選別負荷を軽減しながら屑類の混入を防止した穀粒の回収を能率よく行なうことができる。
【0023】
尚、上記前漏下孔16は、図3に示す受網4の別実施形態のように、前記後漏下孔15の巾Wに対し2/3程度の巾に迄形成してもよいものであり、この場合には図2で示すものよりやや広巾であることから、前半部の穀粒の漏下は多く行なわれることになる。従って濡れた穀稈を脱穀するときや、実りの多い穀稈を脱穀する際に、受網4の前半部における穀粒の漏下を促進して脱穀負荷を軽減することができる。
【0024】
また、受網4は鉄板に限ることなく硬質で耐摩耗性を有するプラスチック材による成形手段によって製作することもできる。
【0025】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の脱穀機の受網によれば、外周面に複数の扱歯3aを突設した扱胴3を扱室2内に回転自在に支持するとともに、扱胴3の下側で扱歯3aの回転軌跡に沿って円弧状の受網4を設けた脱穀機1において、前記受網4に扱胴の回転下手側に向かって傾斜する長孔状の漏下孔を穿設する際、受網4の始端側前半部に穿設する前漏下孔16と後半部に穿設する後漏下孔15の長さを略等しくするとともに、前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾より小さく形成したことを特徴としている。
【0026】
従って、脱穀物中の穀粒は、受網4の前半部において巾の狭い傾斜長孔の前漏下孔16からの漏下が促進され、屑類は漏下を抑制されて扱室2内の滞動を促進され、そして後半部の巾の広い後漏下孔15によって漏下選別を行なうことができる。
【0027】
このように本発明に係る脱穀機の受網によれば、回収される穀粒中への屑類の混入を防止して選別性能を向上することができる。
【0028】
また、前漏下孔16の巾を後漏下孔15の巾の略1/2〜2/3程度に形成することにより、脱穀物中の穀粒の漏下を行ないながら、屑類の漏下を抑制して受網4の後半部へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る受網を備えた脱穀機の側断面図である。
【図2】第1実施形態に係る受網の平面図である。
【図3】第2実施形態に係る受網の平面図である。
【符号の説明】
1 脱穀機 2 扱室 3 扱胴 3a 扱歯
4 受網 8 揺動選別体 15 後漏下孔
16 前漏下孔
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成15年2月7日(2003.2.7)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一

【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照

【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦

【公開番号】 特開2004−236622(P2004−236622A)
【公開日】 平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願番号】 特願2003−31300(P2003−31300)