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【発明の名称】 コンバインの排出オーガ装置
【発明者】 【氏名】土居 義典
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】無線遠隔操作器により機外で排出オーガを操作する際の通信感度を確保して操作性を向上することができる簡易な構成のコンバインの排出オーガ装置を提供する。

【解決手段】コンバインの排出オーガ装置は、コンバインの機体外方に位置決めして穀物タンクから穀粒を排出する排出オーガgと、その排出動作を機体側bからの操作指令により制御する制御部11とを備えて構成され、この制御部11は、無線指令する無線遠隔操作器Sと、その受信手段Qと、その受信信号により排出オーガgの姿勢を制御する無線指令検知部2jを備えるとともに、上記受信手段Qは排出オーガgの排出口Pの近傍に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバインの機体外方に位置決めして穀物タンクから穀粒を排出する排出オーガと、その排出動作を機体側からの操作指令により制御する制御部とを備えるコンバインの排出オーガ装置において、
上記制御部は、無線指令する無線遠隔操作器と、その受信手段と、その受信信号により排出オーガの排出位置を制御する無線指令検知部を備えるとともに、上記受信手段は排出オーガの排出口の近傍に配置してなることを特徴とするコンバインの排出オーガ装置。
【請求項2】
前記無線指令検知部は、排出オーガが機体のオーガ受けに収納されている場合に無線指令を無効とすることを特徴とする請求項1記載のコンバインの排出オーガ装置。
【請求項3】
前記機体側にはオペレータに対する発報手段を備え、かつ、前記制御部には無線指令検知部の制御指令に対応して上記発報手段の発報を駆動制御する発報駆動手段を備えることを特徴とする請求項1記載のコンバインの排出オーガ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインの穀物タンクから収穫穀類を排出する排出オーガ装置に関し、特に、無線遠隔操作器により機外で排出オーガを操作する際の通信感度を確保して操作性を向上することができる簡易な構成のコンバインの排出オーガ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
微弱電波を使用する無線遠隔操作器により遠隔操作可能としたコンバインの排出オーガ装置が知られている。この排出オーガ装置は、特許文献1に記載のように、無線遠隔操作器側に送信アンテナを備え、コンバイン側に受信アンテナを備えることにより、コンバインから収穫穀物を搬送トラックに受け渡しする際に、機体の外で排出オーガ装置を無線遠隔操作器により操作することができる。
【特許文献1】特開平6−90611号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記受信アンテナは機体前部の運転台上部等に配置されており、一方、排出オーガ装置は機体の周囲の広い範囲で使用でき、機体の後方に停車したトラックに受け渡す場合等には、オペレータの持つ無線遠隔操作器が受信アンテナから遠く、かつ、トラックの陰になって受信感度が低下したり、感度の変動によって通信が不安定となる場合があった。
【0004】
本発明の目的は、無線遠隔操作器により機外で排出オーガを操作する際の通信感度を確保して操作性を向上することができる簡易な構成のコンバインの排出オーガ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、コンバインの機体外方に位置決めして穀物タンクから穀粒を排出する排出オーガと、その排出動作を機体側からの操作指令により制御する制御部とを備えるコンバインの排出オーガ装置において、上記制御部は、無線指令する無線遠隔操作器と、その受信手段と、その受信信号により排出オーガの排出位置を制御する無線指令検知部を備えるとともに、上記受信手段は排出オーガの排出口の近傍に配置してなることを特徴とする。
【0006】
排出オーガの排出口に近接した位置からオペレータが無線遠隔操作器を操作する場合にあっては、オペレータから至近距離の排出オーガ上の受信手段を介して無線指令が制御部に送られ、無線指令検知部により排出オーガが制御される。したがって、微弱電波等を使用する無線遠隔操作器は、電波等の到達距離が限られているにもかかわらず、オペレータと近接する位置にある排出オーガ上の受信手段により感度よく受信できる。また、オペレータはオーガ先端部が見える位置で無線遠隔操作器を操作するので、受信感度の変動が少なく、安定した通信を確保することができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記無線指令検知部は、排出オーガが機体のオーガ受けに収納されている場合に無線指令を無効とすることを特徴とする。この排出オーガ装置は、機体のオーガ受けに収納されている場合において、無線指令検知部が無線遠隔操作器による無線指令を受けてもキャンセルされる。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記機体側にはオペレータに対する発報手段を備え、かつ、前記制御部には無線指令検知部の制御指令に対応して上記発報手段の発報を駆動制御する発報駆動手段を備えることを特徴とする。この排出オーガ装置は、制御部の無線指令検知部と発報駆動手段とを介し、機外における無線遠隔操作器の操作に応じて機体側の発報手段による発報がなされる。
【0009】
【発明の効果】
本発明のコンバインの排出オーガ装置は以下の効果を奏する。
上記コンバインの排出オーガ装置は、無線遠隔操作器から無線指令を受ける受信手段を排出オーガの排出口の近傍に配置したことから、無線遠隔操作器は、微弱電波等により電波等の到達距離が限られているにもかかわらず、オペレータと近接する位置にある排出オーガの上の受信手段により感度よく受信できる。また、オペレータはオーガ先端部が見える位置で無線遠隔操作器を操作するので、受信感度の変動が少ないので安定した通信を確保することができる。
【0010】
上記排出オーガ装置の操作に際し、機体のオーガ受けに収納されている場合に無線指令をキャンセルした場合は、オーガ装置の指令系統が機体側に一本化されて誤操作を防止することができる。
【0011】
上記排出オーガ装置の操作に際し、機外における無線遠隔操作器の操作に応じて機体側で発報するようにした場合は、機内の運転者が警報によって機外のオペレータによる排出排出オーガの操作を認識することができるので、機内の運転者が機外からの稼動に対応することができ、2つの指令系統の錯綜を招くことなく、両者間の調整が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記技術思想に基づき具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
【0013】
本発明の排出オーガ装置を適用したコンバインは、その全体構成側面図を図1に示すように、左右のクローラ走行装置a、aによって支えられる機体に、運転台b、刈取機c、穀物タンクf、排出オーガgの他に、図示せぬエンジン、制御部等を備えて構成される。
【0014】
排出オーガ装置について説明すると、脱穀処理した穀粒を穀物タンクfから排出して輸送トラック等に積み替えるために、排出オーガgは、その基部側を中心とする旋回動作のほか、昇降、伸縮動作により、その先端の排出口Pの位置の調節が運転台(機体側)bのほかに、後述の無線遠隔操作器(リモコン)Sからも操作可能に構成され、その排出口Pの近傍に受信アンテナ(受信手段)Qを立て、または下垂して取付ける。この受信アンテナQは、無線遠隔操作器Sの送信電波を受けるものであり、図2の袋Rに穀粒を排出する態様を示す拡大側面図の袋口の取付け部を除く排出口Pの近傍に配置する。
【0015】
無線遠隔操作器Sは、図3のスイッチ配置例に示すように、上下動作用の「上」「下」、左右動作用の「左」「右」、伸縮動作用の「伸」「縮」を、また、必要により警報用の「ホーン」等のスイッチボタンを備え、それぞれに対応する排出オーガgの動作信号を微弱電波で送信するように構成する。
【0016】
排出オーガgを位置合わせ制御する制御部は、図4の制御系統図のように、運転台のスイッチ群、機器制御用センサ群、無線遠隔操作器Sの信号を受ける入力検出手段、排出オーガgの位置合わせ用の各機器を出力先として駆動制御する駆動手段等により構成される。
【0017】
運転台関係のスイッチ検出手段(旋回スイッチ検出手段2a、上下スイッチ検出手段2c、張り出しスイッチ検出手段2e、収納スイッチ検出手段2f、伸縮スイッチ検出手段2g)は、運転台のスイッチ群(旋回スイッチ1a、上下スイッチ1c、張り出しスイッチ1e、収納スイッチ1f、伸縮スイッチ1g)と接続し、それぞれの信号に応じて検出信号を関係する機器の駆動手段等に送出する。
【0018】
機器制御用センサ検出手段(オーガ旋回位置センサ検出手段2b、上限リミットスイッチ検出手段2d、伸縮リミットスイッチ検出手段2h)は、各機器のセンサ(オーガ旋回位置センサ1b、上限リミットスイッチ1d、伸縮リミットスイッチ1h)と接続し、それぞれの信号に応じて検出信号を関係する機器の駆動手段等に送出する。
【0019】
リモコンスイッチ受信手段(無線指令検知部)2jは、前記受信アンテナQを介し、無線遠隔操作器Sのリモコンスイッチ1jの信号に応じて検出信号を対応する運転台スイッチ検出手段に送出するべく構成する。また、必要により設けた警報機駆動手段4dと接続して検出信号を送出することにより対応機器を動作させることができる。ただし、排出オーガgが収納位置にある場合には、検出信号の送出を停止する。
【0020】
張り出し制御手段3a、収納制御手段3bは、統括制御するべき機器の駆動手段と接続し、運転台操作スイッチ検出手段、機器制御用センサ検出手段の信号を中継送出することにより、関係する複数機器を統括制御する。
【0021】
機器駆動手段(旋回モータ駆動手段4a、オーガ上下バルブ駆動手段4b、伸縮モータ駆動手段4c、警報機駆動手段4d)は、対応する機器(旋回モータ5a、オーガ上下バルブ5b、伸縮モータ5c、警報機5d)と接続し、入力検出手段の駆動指令に応じてそれぞれを駆動制御する。
【0022】
上記のように構成した制御部の詳細な動作を以下に説明する。
旋回スイッチ検出手段2aは、旋回スイッチ1aの操作に応じて旋回モータ駆動手段4aに指令を与え、旋回モータ5aを回転させることにより排出オーガgを旋回させる。上下スイッチ検出手段2cは、上下スイッチ1cの操作に応じてオーガ上下バルブ駆動手段4bに指令を与え、オーガ上下バルブ5bを作動させて排出オーガgを上下させる。張り出しスイッチ検出手段2eは、張り出しスイッチ1eの操作に応じ、オーガ上下バルブ駆動手段4bに指令を与えて排出オーガgを上限まで上昇させた後に、旋回モータ駆動手段4aに出力を行って所定の角度になるまで排出オーガgを旋回させる。
【0023】
収納スイッチ検出手段2fは、収納スイッチ1fの操作に応じ、オーガ上下バルブ駆動手段4bに指令を与えて排出オーガgを上限まで上昇させ、次いで旋回モータ駆動手段4aに指令を与えて収納位置まで旋回させた後、オーガ上下バルブ駆動手段4bに下行指令を与えて排出オーガgを収納位置に収納する。この間において、最短位置より伸びていた排出オーガgについて伸縮モータ駆動手段4cに指令を与えて最短位置に縮める。伸縮スイッチ検出手段2gは、伸縮スイッチ1gの操作に応じて伸縮モータ駆動手段4cに指令を与え、伸縮モータ5cを回転させて排出オーガgの長さを調整する。
【0024】
オーガ旋回位置センサ検出手段2bは、オーガ旋回位置センサ1bにより排出オーガgの旋回範囲が限界に達すると旋回モータ5aを停止する。上限リミットスイッチ検出手段2dは、上限リミットスイッチ1dにより排出オーガgが上限まで上昇するとオーガ上下バルブ駆動手段4bに指令を与えて上行出力を禁止する。伸縮リミットスイッチ検出手段2hは、伸縮リミットスイッチ1hにより排出オーガgの伸縮限界を検出して伸縮モータ駆動手段4cの出力を禁止する。
【0025】
リモコンスイッチ受信手段2jは、排出オーガgが収納位置から移動してオーガを使用する状態においてのみ操作指令を有効とし、リモコンスイッチ1jの操作を受信して各スイッチ検出手段に指令を与えて制御する。この場合、図5の排出オーガとオペレータとの位置関係に示すように、排出オーガgの排出口Pに近接した位置からオペレータが無線遠隔操作器Sを操作することにより、オペレータ位置が機体から離れ、また、トラック等の陰に入る場合でも、オペレータから至近距離の排出オーガgの上の受信アンテナQを介して無線指令が機上の制御部に送られ、リモコンスイッチ受信手段2jにより排出オーガgが制御される。
【0026】
このとき、オペレータは、排出オーガgの排出口Pを排出先に正確に合わせるために、オーガ先端部Pがよく見える近接位置で無線遠隔操作器Sを操作するので、無線遠隔操作器Sは、微弱電波を使用して電波の到達距離が限られているにもかかわらず、オペレータと近接する位置にある排出オーガg上の受信アンテナQにより感度よく通信でき、かつ、受信感度の変動が少なく、安定した通信を確保することができる。
【0027】
また、排出オーガgが機体のオーガ受けに収納されている場合においては、リモコンスイッチ受信手段2jが無線遠隔操作器Sのリモコンスイッチ1jによる無線指令を受けても排出オーガgの動作が禁止されることから、オーガ装置の指令系統が運転台bに一本化されて誤操作を防止することができる。
【0028】
さらに、リモコンスイッチ1jの操作を検出するたびに警報機駆動手段4dに出力して運転台bの警報機5dを鳴らすことによって外部から排出オーガgの操作中であることを警告し、同時操作などの不具合を防止することができる。そのほか、無線遠隔操作器Sに警報スイッチを設け、この警報スイッチと対応して警報機5dを鳴らすように構成することにより、機体の内外間でオペレータ間の意思疎通が困難なキャビン機におけるオーガ操作の場合でも、警報音による符丁を決めておくことにより、排出クラッチの入り切り、排出終了等の連絡手段として使用することができるので、機体の内外間で協調して作業を進めることができる。
【0029】
なお、上記における無線遠隔操作器Sの通信媒体は、電波等、すなわち、廉価なシステム構成が可能な赤外線や超音波を含む一般的な無線通信媒体を適用することができ、その場合において上記同様の作用効果を奏することが明らかであることから、個々の説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排出オーガ装置を適用したコンバインの全体構成側面図
【図2】袋に穀粒を排出する態様を示す拡大側面図
【図3】無線遠隔操作器の操作スイッチの配置例
【図4】排出オーガを位置合わせ制御する制御系統図
【図5】排出オーガとオペレータとの位置関係
【符号の説明】
1f 収納スイッチ
1j リモコンスイッチ
2f 収納スイッチ検出手段
2j リモコンスイッチ受信手段(無線指令検知部)
4d 警報機駆動手段
5a 旋回モータ
5b オーガ上下バルブ
5c 伸縮モータ
5d 警報機
11 制御部
b 運転台(機体側)
g 排出オーガ
P オーガ先端部(排出口)
Q 受信アンテナ(受信手段)
S 無線遠隔操作器
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成14年11月15日(2002.11.15)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男

【公開番号】 特開2004−159611(P2004−159611A)
【公開日】 平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願番号】 特願2002−332132(P2002−332132)