トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コンバインの扱深さ搬送装置
【発明者】 【氏名】森広 忠光
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】扱深さ搬送体を安定的に支持してその横ブレを防止する。

【解決手段】扱深さ搬送体28は、前処理部16の掻込み体26とフィードチエン30の搬送始端部との中間において、機体前方が低くかつ後方に向けて高くなるように傾斜配置されている。そして、扱深さ搬送体28の搬送終端部側は、機体前部に支持された横伝動筒52の長手方向の端部と中間部の2箇所にて、該横伝動筒52に回動自在に支持されていることで、該扱深さ搬送体28は、横ブレがないように強固に支持され、刈取穀稈は安定した稈姿勢に保持されながらスムーズに搬送される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理部の掻込み体とフィードチエンの搬送始端部との中間にて、機体後方に向けて高くなるように傾斜配置された扱深さ搬送体の搬送終端部側を、機体前部に支持されかつ伝動軸を内蔵した横伝動筒にて上下回動自在に支持したコンバインの扱深さ搬送装置において、
前記扱深さ搬送体を、前記横伝動筒の長手方向の端部と中間部における複数箇所にて該横伝動筒に回動自在に支持した、
ことを特徴とするコンバインの扱深さ搬送装置。
【請求項2】
前記扱深さ搬送体は、穀稈の穂先側を搬送する補助穂先搬送体とその後方の主穂先搬送体とを有すると共に、該主穂先搬送体側から前記補助穂先搬送体側に向けて穀稈の搬送通路の上方を跨ぐように屈曲されかつ前記補助穂先搬送体を駆動する駆動軸を内蔵した動力伝動ケースの基端側を、前記横伝動筒の長手方向の中間部にて支持部材を介し該横伝動筒に回動自在に支持した、
ことを特徴とする請求項1記載のコンバインの扱深さ搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインの扱深さ搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインは、前処理部で刈取った穀稈を掻込み体で掻込み、次いで扱深さ搬送体に引継ぎ該扱深さ搬送体によって扱ぎ深さを調節しながらフィードチエンに継送し、脱穀部において適正な扱深さで脱穀を行う。従来、前記扱深さ搬送体は、穀稈の搬送終端側を機体の前部に立設した取付支柱に支持した伝動筒を中心に、前方側を上下回動自在に支持し、穀稈長に応じて穀稈の挟持搬送位置を調節することによって、扱ぎ深さを調節するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−127142号公報(第2頁、図6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来のコンバインでは、扱深さ搬送体は前記伝動筒でのみ上下回動自在に支持されていたため、扱深さ調節をする際等に扱深さ搬送体が横ブレを生じて安定性に欠けるという課題があった。
【0005】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、扱深さ搬送体を安定的に支持してその横ブレを防止することができるコンバインの扱深さ搬送装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、前処理部(16)の掻込み体(26)とフィードチエン(30)の搬送始端部との中間にて、機体後方に向けて高くなるように傾斜配置された扱深さ搬送体(28)の搬送終端部側を、機体前部に支持されかつ伝動軸(60)を内蔵した横伝動筒(52)にて上下回動自在に支持したコンバイン(10)の扱深さ搬送装置において、
前記扱深さ搬送体(28)を、前記横伝動筒(52)の長手方向の端部と中間部における複数箇所にて該横伝動筒(52)に回動自在に支持した、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のコンバインの扱深さ搬送装置において、前記扱深さ搬送体(28)は、穀稈の穂先側を搬送する補助穂先搬送体(47−1,47−2)とその後方の主穂先搬送体(42)とを有すると共に、該主穂先搬送体(42)側から前記補助穂先搬送体(47−2)側に向けて穀稈の搬送通路の上方を跨ぐように屈曲されかつ前記補助穂先搬送体(47−2)を駆動する駆動軸(48)を内蔵した動力伝動ケース(46)の基端側を、前記横伝動筒(52)の長手方向の中間部にて支持部材(59)を介し該横伝動筒(52)に回動自在に支持した、ことを特徴とする。
【0008】
[作用]
本発明によれば、扱深さ搬送体(28)を、横伝動筒(52)の長手方向の端部と中間部における複数箇所において該横伝動筒(52)に回動自在に支持したことで、扱深さ搬送体(28)は強固に支持されるため、該扱深さ搬送体(28)の横ブレが防止され、刈取穀稈は安定した稈姿勢に保持されながらスムーズに搬送される。
【0009】
なお、上述した括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1及び図2は、本発明が適用されたコンバイン(3条刈)の前部側面図及び平面図であり、コンバイン10は、左右1対のクローラ走行部12により支持された走行機体14の前部に前処理部16が昇降自在に配設されており、該前処理部16の前部には穀稈の引起し体18が傾斜して立設配置されている。また、前処理部16の下部には、機体前方に向けて前処理フレーム20が延設され、該前処理フレーム20の先端には、穀稈を分草するデバイダ22が設けられている。
【0012】
更に、前処理フレーム20の下面には、摺動式の刈刃24が配設されていて、デバイダ22で分草された穀稈を引起し体18で引起した後、刈刃24により穀稈の株元が切断される。刈取られた穀稈は、前処理フレーム20に配置された掻込み体26及び扱深さ搬送体28を経てフィードチエン30に引継がれ、脱穀部(図示せず)に供給され該脱穀部にて脱穀選別される。
【0013】
前記掻込み体26は、前処理フレーム20に支持されたスターホイル32と、該スターホイル32と同軸状に軸支された駆動プーリ33と、その前方の従動プーリ34との間に巻回された搬送ベルト37とを有し、該搬送ベルト37には複数の掻込みタイン35が所定間隔を隔てて配設されている。前記駆動プーリ33の下方には、扱深さ搬送体28の搬送始端位置まで延設された搬送チエン38−1,38−2が配置されていて、刈刃24で切断された刈取穀稈は、前述した搬送ベルト37と搬送チエン38を介して扱深さ搬送体28に引継がれる。
【0014】
前記扱深さ搬送体28は、前処理部16の掻込み体26とフィードチエン30の搬送始端部との中間において、機体前方が低く後方に向けて高くなるように傾斜する構成とされている。この扱深さ搬送体28は、搬送タイン40(図2参照)を有するベルト41が巻回された主穂先搬送体42と、挟持レール43に沿う株元搬送チエン44が巻回された株元搬送体45とを有し、これら主穂先搬送体42及び株元搬送体45が上下に離間して並設されている。
そして、走行機体14の前部には、後述する取付フレーム50が立設され、該取付フレーム50に横伝動筒52が回動自在に支持されている。この横伝動筒52には、前処理部16を支持する前処理伝動筒57と、扱深さ搬送体28を支持する駆動ケース58及び動力伝動ケース46と、が上下回動自在に支持されている。
【0015】
また、該扱深さ搬送体28は、図2に示すように、機体右側の掻込み体26−1の上方でこれと略々平行する補助穂先搬送体47−1が主穂先搬送体42と一体に設けられていて、機体前方から後方に向けて略々一直線状の搬送経路が形成されている(図2の矢印⇒)。
【0016】
更に、図1及び図2に示すように、機体中央及び左側の掻込み体26−2,26−3の上方に位置する補助穂先搬送体47−2が、略々逆U字状に屈曲された前記動力伝動ケース46の先端に配設されている。この動力伝動ケース46は、駆動軸48を内蔵していて、主穂先搬送体42側から補助穂先搬送体47−2側に向けて穀稈の搬送通路の上方を跨ぐように屈曲され、前記駆動軸48により補助穂先搬送体47−2を駆動する。
【0017】
前記動力伝動ケース46は、複数の中空パイプ46a,46b,46cの接続部位にギヤケース49a,49bを装着して扱深さ搬送体28の上方を跨ぐように略々逆U字状に屈曲されていて、ギヤケース49bの側方には、下方に延出する支持部材51を取付けたブラケット53が固定されている。また、前記支持部材51の下端側には、挟持レール54がブラケット55を介して取付けられていると共に、株元搬送チエン44に沿って挟持レール43が配設されている。
【0018】
更に、前記ブラケット53には、刈取穀稈の有無を検出する穂先センサ56が調整自在に取付けられていて、この穂先センサ56に刈取穀稈が当接して稈長が検出され、扱深さ搬送体28の扱深さが自動的に調整される。
【0019】
図3は、扱深さ搬送体28が、横伝動筒52の長手方向の左端部と中間部にて該横伝動筒52に回動自在に支持された状態を示している。
【0020】
すなわち、前述したように、取付フレーム50に横伝動筒52が回動自在に支持されている。また、この横伝動筒52には、長手方向の左端部において、駆動ケース58を介して扱深さ搬送体28が回動自在に支持されていると共に、長手方向の中間部において、支持部材59を介して動力伝動ケース46が回動自在に支持されている。
【0021】
図4及び図5は、その要部の分解斜視図であり、横伝動筒52は、ギヤケース69が付設された大径筒部52aと、該大径筒部52aに隣接し前記支持部材59が嵌合する小径筒部52bと、長手方向の両端側の取付筒部52c,52c’とを有し、内側には伝動軸60が内蔵されている。なお、ギヤケース69を介して、前述した前処理伝動筒57が連結されている。
【0022】
取付筒部52c,52c’は、取付フレーム50に形成された凹部50aに嵌合され、その上部を止め金具63とボルト64で固定されて回動自在に軸装されている。また、横伝動筒52の長手方向の中間部には、支持部材59に形成された2つ割りの円弧状部59a,59bが被嵌され、ボルト65で固定されて回動自在に軸装されている。
【0023】
更に、右端側の取付筒部52c’には、プーリ61が回動自在に取付けられていて、該プーリ61に巻回されたベルト62に動力が伝動されると、該プーリ61に連結された前記伝動軸60が回転するように構成されている。そして、左端側の取付筒部52cには、該取付筒部52cと相対的に回転可能に、すなわち横伝動筒52とは独立に、前述した駆動ケース58が取付けられている。また、この駆動ケース58には、内向きに傾斜配置された駆動軸66が軸承されていて、該駆動軸66はベベルギヤ等を介して前記伝動軸60に連結されている。そして、扱深さ搬送体28には、この駆動軸66に取付けたスプロケット67,68を介して動力が伝動されると共に、電動シリンダ70(図1参照)が作動するに伴い、駆動ケース58が横伝動筒52に対して回動し、これによって扱深さ搬送体28が上下に回動する。
【0024】
また、図5に示すように、前記駆動ケース58にて分岐された動力が、動力伝動ケース46の中空パイプ46dとギヤケース49cを介して、補助穂先搬送体47−2に伝動されている。
【0025】
次に、作用について説明する。
【0026】
本実施形態において、刈取・脱穀作業を行う場合は、デバイダ22で分草された穀稈を引起し体18で引起し、刈刃24で穀稈の株元を切断した後に、刈取穀稈は掻込み体26と扱深さ搬送体28を経てフィードチエン30に引継がれ、脱穀部に供給されるが、このような穀稈の刈取・脱穀作業において、掻込み体26で掻き込まれた刈取穀稈は、その穂先側及び株元側を夫々掻込みタイン35と搬送チエン38−1,38−2に支持されたまま、図2の矢印(⇒)で示される方向に搬送される。そして、搬送チエン38−1,38−2に株元側が挟持されたまま、刈取穀稈の穂先側が補助穂先搬送体47−1,47−2の搬送始端位置において引継がれる。このとき、補助穂先搬送体47−1,47−2は、穂先センサ56による扱深さ搬送体28の扱深さ調節により、該扱深さ搬送体28と一体に上下動して予め刈取穀稈の稈長の長短に応じた穂先位置に設定されている。
【0027】
次いで、扱深さ搬送体28の搬送始端位置で合流した刈取穀稈は、穂先側を主穂先搬送体42の搬送タイン40に、また株元側を株元搬送体45の株元搬送チエン44に引継がれ、その搬送中に刈取穀稈は水平状態に近い傾斜姿勢に変姿されながら、フィードチエン30に引継がれる。
【0028】
このように、扱深さ搬送体28での扱深さ調整における該扱深さ搬送体28の上下動に連動して補助穂先搬送体47−1,47−2が一体的に上下動する。このとき、扱深さ搬送体28は、横伝動筒52の長手方向の端部と中間部の2箇所において、該横伝動筒52に対して回動自在に支持されているので、扱深さ搬送体28は強固に支持されるため、該扱深さ搬送体28の横ブレが防止され、刈取穀稈は安定した稈姿勢に保持されながら、スムーズに搬送されることになる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、扱深さ搬送体を、横伝動筒の長手方向の端部と中間部における複数箇所にて該横伝動筒に回動自在に支持したので、扱深さ搬送体を強固に支持することができ、該扱深さ搬送体の横ブレを防止することができる。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、扱深さ搬送体は、穀稈の穂先側を搬送する補助穂先搬送体とその後方の主穂先搬送体とを有すると共に、該主穂先搬送体側から補助穂先搬送体側に向けて穀稈の搬送通路の上方を跨ぐように屈曲され、かつ前記補助穂先搬送体を駆動する駆動軸を内蔵した動力伝動ケースの基端側を、横伝動筒の長手方向の中間部にて支持部材を介し該横伝動筒に回動自在に支持したので、動力伝動ケース自身をしっかりと支持することができると共に、これと相俟って扱深さ搬送体を安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたコンバインの前部の側面図である。
【図2】前処理部の要部断平面図である。
【図3】前処理部における扱深さ搬送体の斜視図である。
【図4】同上の要部を拡大した分解斜視図である。
【図5】前処理部の要部分解斜視図である。
【符号の説明】
10 コンバイン
16 前処理部
26 掻込み体
28 扱深さ搬送体
30 フィードチエン
42 主穂先搬送体
44 株元搬送チエン
45 株元搬送体
46 動力伝動ケース
47−1,47−2 補助穂先搬送体
48 駆動軸
50 取付フレーム
52 横伝動筒
58 駆動ケース
59 支持部材
60 伝動軸
66 駆動軸
70 電動シリンダ
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成15年4月24日(2003.4.24)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫

【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二

【公開番号】 特開2004−321066(P2004−321066A)
【公開日】 平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願番号】 特願2003−119712(P2003−119712)