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【発明の名称】 収穫機
【発明者】 【氏名】河瀬 宗之
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】寺尾 外和
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】西田 和彦
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】刈取り部の対地高さを検出する高さセンサーによる検出情報を基に、刈取り部を設定対地高さになるように昇降操作する刈高さ制御を実行する制御手段を備えた収穫機において、高さセンサーの故障のために刈高さ制御が不能になることを極力回避できるようにする。

【解決手段】高さセンサー20a,20bを左右一対備えてある。制御装置30は、一方の高さセンサー20bからの情報が異常であるか否かを判断し、異常でないと判断した場合、一方の高さセンサー20bによる検出情報に基づいて刈高さ制御を実行し、異常であると判断した場合、一方の高さセンサー20bによる検出情報に替えて他方の高さセンサー20aによる検出情報に基づいて刈高さ制御を実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取り部の対地高さを検出する高さセンサーを刈取り部に設けるとともに、前記高さセンサーによる検出情報を基に、刈取り部の対地高さが設定高さになるように刈取り部を走行機体に対して昇降操作する刈高さ制御を実行する制御手段を備えてある収穫機であって、
前記高さセンサーの左右一対を備え、
前記制御手段を、前記左右一対の高さセンサーの一方の高さセンサーからの情報が異常であるか否かを判断し、異常でないと判断した場合には、前記一方の高さセンサーによる検出情報に基づいて前記刈高さ制御を実行し、異常であると判断した場合には、前記左右一対の高さセンサーの前記一方の高さセンサーによる検出情報に替えて他方の高さセンサーによる検出情報に基づいて前記刈高さ制御を実行するように構成してある収穫機。
【請求項2】
前記一方の高さセンサーを、機体横方向に並ぶ複数本の分草杆のうち、最も左横外側に位置する分草杆及び最も右横外側に位置する分草杆より機体内側に位置する分草杆に取付けてある請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
分草杆に対して機体前後向き軸芯まわりで回動自在に連結している支持体を備え、前記高さセンサーを、前記支持体に前記機体前後向き軸芯と非平行な軸芯まわりで揺動自在に支持されている接地センサー本体、この接地センサー本体の前記支持体に対する揺動角に基づいて刈取り部の対地高さを検出する検出部を備えて構成し、前記支持体を分草杆に対する基準回動位置に回動付勢して、前記接地センサー本体を前記軸芯まわりで上下揺動するとともに接地作用する状態にする付勢手段を備えてある請求項1又は2記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刈取り部の対地高さを検出する高さセンサーを刈取り部に設けるとともに、前記高さセンサーによる検出情報を基に、刈取り部の対地高さが設定高さになるように刈取り部を走行機体に対して昇降操作する刈高さ制御を実行する制御手段を備えてある収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記収穫機において、従来、たとえば特許文献1に示されるように、左右一対の高さセンサーS1,S2を備え、たとえば一方の高さセンサーS2が地面凸部を検出し、他方の高さセンサーS1が適正対地高さにある場合は、NORゲートG1、NANDゲートG3、ANDゲートG4などで成る制御手段が電磁バルブ13を作動させないで刈取り部1の対地高さを変更しない。センサーS2が地面凹部を検出し、センサーS1が適正対地高さにある場合も、刈取り部1の対地高さを変更しない。左右一対のセンサーS1,S2の両方が適正範囲外の同じ対地高さを検出すると、刈取り部1の昇降制御を実行するものがあった。
【0003】
【特許文献1】
実開昭58−192538号公報 ( 第7−10頁、第3、4図 )
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高さセンサーに作動不良や故障が発生すると、高さセンサーは、作動不良や故障がない正常状態にあれば昇降制御の実行を必要としない検出情報を出力するのに、上昇や下降制御の実行が必要となる検出情報を出力する異常状態になることがある。また、作動不良や故障がない正常状態にあれば昇降制御の実行が必要となる検出情報を出力するのに、昇降制御の実行を必要としない検出情報を出力する異常状態になることがある。
【0005】
従来の制御技術を採用した場合、常に左右一対のセンサーによる検出情報に基づいて昇降制御が行なわれることから、高さセンサーが上記した異常状態になると、刈取り部が本来の制御目標高さとは異なる対地高さになるように昇降制御されることになる。このため、左右一対の高さセンサーのいずれか一方でも上記した異常状態になった場合、刈高さが所望どおりにならなくなるか、刈高さ制御をオフにして作業する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、高さセンサーが異常状態になっても、所望高さで刈取りできなくなるとか刈高さ制御をオフせねばならないことを極力回避できる収穫機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0008】
〔構成〕
刈取り部の対地高さを検出する高さセンサーを刈取り部に設けるとともに、前記高さセンサーによる検出情報を基に、刈取り部の対地高さが設定高さになるように刈取り部を走行機体に対して昇降操作する刈高さ制御を実行する制御手段を備えてある収穫機において、前記高さセンサーの左右一対を備え、前記制御手段を、前記左右一対の高さセンサーの一方の高さセンサーからの情報が異常であるか否かを判断し、異常でないと判断した場合には、前記一方の高さセンサーによる検出情報に基づいて前記刈高さ制御を実行し、異常であると判断した場合には、前記左右一対の高さセンサーの前記一方の高さセンサーによる検出情報に替えて他方の高さセンサーによる検出情報に基づいて前記刈高さ制御を実行するように構成してある。
【0009】
〔作用〕
刈高さ制御が実行されて刈取り部が昇降しても高さセンサーの検出情報が変化しなければ、この高さセンサーからの情報は異常であると判断できる。これにより、高さセンサーからの情報が異常であるか否かを判断し、高さセンサーが正常状態にあるか異常状態にあるかを判断する。一方の高さセンサーが正常状態にあれば、この高さセンサーからの検出情報に基づいて制御手段が刈高さ制御を実行し、この一方の高さセンサーが異常状態になれば、この高さセンサーによる検出情報に替えて他方の高さセンサーからの検出情報に基づいて制御手段が刈高さ制御を実行するものである。これにより、一方の高さセンサーが異常状態になっても、この高さセンサーからの情報に替えて他方の高さセンサーからの適正な検出情報を採用してこの検出情報を基に刈高さ制御が行なわれ、一方の高さセンサーの故障にかかわらず刈取り部が所望の対地高さに操作される。
【0010】
また、一方の高さセンサーが深い凹部に対向すると、下降操作される刈取り部が所望の対地高さを超えて下降して接地しても、高さセンサーが故障していなくても適正な検出状態に復帰しなくなることがある。この場合、一方の高さセンサーは異常状態にあるとして判断され、他方の高さセンサーによる検出情報を基に刈高さ制御が実行され、刈取り部が所望の対地高さに操作されることになる。
【0011】
〔効果〕
従って、一方の高さセンサーが故障しても、他方の高さセンサーによる検出情報を採用して刈高さ制御が続行して行なわれ、地面の凹凸などに起因して車体が前後傾斜しても所望の刈高さになった仕上がりのよい収穫作業を行なえる。また、一方の高さセンサーが凹部に対応するなどし、この高さセンサーが故障していないのにこの高さセンサーから適正な検出情報が得られなくなった場合も、同様に他方の高さセンサーによる検出情報に基づく刈高さ制御が行なわれ、刈高さを所望どおりにしながら作業できる。
【0012】
請求項2による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0013】
〔構成〕
請求項1による発明の構成において、前記一方の高さセンサーを、機体横方向に並ぶ複数本の分草杆のうち、最も左横外側に位置する分草杆及び最も右横外側に位置する分草杆より機体内側に位置する分草杆に取付けてある。
【0014】
〔作用〕
前記一方の高さセンサーを最も横外側の分草杆に取付けると、往復走行しながら作業される際、先の作業列を作業した際に走行装置が通過して乱れが多くなっている地面を検出対象にしながら刈高さ制御が行なわれるようになる。これにより、畦際を走行しながら作業する際、傾斜や乱れが多くなっている地面を高さセンサーの検出対象にしながら刈高さ制御が行なわれるようになり、刈高さ制御が頻繁に実行されるとか、刈取り部が高い対地高さになるなどのトラブルが発生しやすくなる。これに対し、一方の高さセンサーを両横外側の分草杆より機体内側に位置する分草杆に取付けてあるものだから、走行装置が通過していないとか畦際から離れていて乱れや傾斜の少ない地面を検出対象にして前記トラブルが発生しにくい状態で刈高さ制御が行なわれる。
【0015】
〔効果〕
従って、一方の高さセンサーの検出情報に基づく刈高さ制御が行なわれる際、前記トラブルが発生しにくい状態で行なわれて刈高さが所望高さに良好に揃った作業を行なえる。
【0016】
請求項3による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0017】
〔構成〕
請求項1又は2による発明の構成において、分草杆に対して機体前後向き軸芯まわりで回動自在に連結している支持体を備え、前記高さセンサーを、前記支持体に前記機体前後向き軸芯と非平行な軸芯まわりで揺動自在に支持されている接地センサー本体、この接地センサー本体の前記支持体に対する揺動角に基づいて刈取り部の対地高さを検出する検出部を備えて構成し、前記支持体を分草杆に対する基準回動位置に回動付勢して、前記接地センサー本体を前記軸芯まわりで上下揺動するとともに接地作用する状態にする付勢手段を備えてある。
【0018】
〔作用〕
機体の操向操作が行なわれると、接地センサー本体が地面上を機体横方向に滑り動き、このときの摩擦であるとか障害物に対する引っ掛かりのために接地センサー本体に対して曲げやねじり操作力が掛かりやすくなる。この場合、その操作力の大きさによっては、接地センサー本体が支持体と共に前後向き軸芯まわりで付勢手段に抗して分草杆に対してローリングし、接地センサー本体や接地センサー本体の支軸などに強い曲げやねじり力が掛かりにくくなる。その操作力が解消すると、支持体が付勢手段による付勢のために基準回動位置に復帰して接地センサー本体が上下揺動するとともに接地作用する状態になり、刈取り部の対地高さが変化して分草杆の対地高さが変化すると、接地センサー本体が接地反力のために前記軸芯まわりで支持体に対して上下揺動し、検出部が接地センサー本体の支持部に対する揺動角に基づいて刈取り部の対地高さを検出するものである。
【0019】
〔効果〕
従って、接地式の高さセンサーでありながら、接地センサー本体が地面上を横滑りしても、接地センサー本体やこれの支軸などに強い曲げやねじり力が掛かりにくくてセンサー本体などが変形や破損しにくいように耐久性の富んだものになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、左右一対のクローラ式走行装置1によって自走し、かつ、運転座席2を有した搭乗型運転部を備えた走行機体の機体フレーム3の前部に、刈取り部10のメインフレーム11の基端部を機体横向きの軸芯まわりで回動自在に連結するとともに、前記メインフレーム11にロッド側が連動している油圧式のリフトシリンダ8のチューブ側を前記機体フレーム3の前部に支持させ、前記機体フレーム3に脱穀装置5及び穀粒タンク6を設けて、コンバインを構成してある。
【0021】
このコンバインは、稲、麦などの穀粒を収穫するものであり、リフトシリダ8によってメインフレーム11を上下に揺動操作して刈取り部10を地面上近くに下降した作業状態と、地面上から高く上昇した非作業状態とに昇降操作するようになっている。刈取り部10を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部10がこの刈取り部10の前端部の運転部側とは反対側の横端に位置する分草具12および分草装置18の上昇移動する分草爪18aによって植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象に分草し、複数条の刈取対象穀稈を機体横方向に並ぶ複数の分草具12によって分草して機体横方向に並ぶ複数の引起し装置13に各別に案内し、各引起し装置13の上昇移動する引起し爪13aによって引起し処理するとともにバリカン型の刈取装置14によって刈取り処理し、刈取穀稈を搬送装置17によって機体後方向きに搬送する。この搬送装置17からの刈取穀稈を脱穀装置5によって脱穀処理し、脱穀装置5からの脱穀粒を穀粒タンク6に回収して貯留していくようになっている。
【0022】
前記刈取り部10は、図1、図2などに示す如く構成してある。
すなわち、前記メインフレーム11の先端部の機体横向きの伝動ケースで成る横向きフレーム部15の機体横方向での複数箇所から分草杆16,19を機体前方向きに延出させ、この複数本の分草杆16,19の隣接し合う一対の分草杆16,19がこれらの間に一つの穀稈引起し経路を形成するようにして前記複数本の分草杆16,19によって機体横方向に並ぶ複数本の穀稈引起し経路を形成してある。前記各分草杆16,19の先端側に前記分草具12を支持させ、メインフレーム11の前記横向きフレーム部15から延出している引起し伝動ケース11aと前記分草杆16,19の先端側とにわたって前記引起し装置13を支持させてある。前記複数本の分草杆16,19の基端側どうしにわたって前記刈取装置14を支持させ、前記メインフレーム11から延出する搬送駆動ケースなどに前記搬送装置17を支持させてある。
【0023】
図2に示すように、前記刈取り部10に左右一対の高さセンサー20a,20bを設け、図3に示すように、前記左右一対の高さセンサー20a,20bそれぞれの検出部22に連係させた制御手段としての制御装置30に、前記リフトシリンダ8の制御弁31、及び、前記運転部に設けた刈高さ設定手段32を連係させてある。
【0024】
図5などに示すように、前記左右一対の高さセンサー20a,20bのうちの左側の高さセンサー20aは、前記複数本の分草杆16,19のうちの運転部側とは反対側の最も機体横外側に位置する外端分草杆16の前記引起し装置13の後側近くに位置する部位に取付けた接地センサー本体21、及び、この接地センサー本体21に連動している前記検出部22などを備えて成り、接地センサー本体21が地面上に接地作用することによって刈取り部10の対地高さを検出し、この検出情報を検出部22によって電気信号にして制御装置30に出力するようになっている。
【0025】
図7などに示すように、前記左右一対の高さセンサー20a,20bのうちの右側の高さセンサー20bは、前記複数本の分草杆16,19のうちの最も機体左横外側に位置する分草杆16と最も機体右横外側に位置する分草杆16の両外端分草杆16よりも機体内側に位置する分草杆19の前記分草具12の後側近くに位置する部位に取付けた接地センサー本体21、及び、この接地センサー本体21に連動している前記検出部22などを備えて成り、接地センサー本体21が地面上に接地作用することによって刈取り部10の対地高さを検出し、この検出情報を検出部22によって電気信号にして制御装置30に出力するようになっている。
【0026】
刈高さ設定手段32は、回転式ポテンショメータで成り、このポテンショメータを人為的に調節操作することにより、所望の切り株高さを制御装置30による刈高さ制御によって維持させるべき刈取り部10の対地高さとして変更自在に設定でき、この設定操作を行なうと、設定された設定対地高さを電気信号にして制御装置30に出力するようになっている。
【0027】
制御装置30は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、前記左右一対の高さセンサー20a,20bによる検出情報、前記刈高さ設定手段32による設定情報、図4に示す制御フローを基に、刈取り部10を走行機体に対して昇降操作する刈高さ制御を実行する。
【0028】
すなわち、ステップ1〜4に示すように、左右一対の高さセンサー20a,20bのうち、前記機体内側の分草杆19に付いている内側高さセンサー20bによる検出結果を入力し、この検出結果が刈高さ設定手段32による設定対地高さに基づいて設定した不感帯に入っているか否かを判断し、検出結果が不感帯から外れていると判断した場合、不感帯から高刈り側と低刈り側のいずれに外れているかを判断し、高刈り側に外れていると判断すると、制御弁31に操作信号を出力してリフトシリンダ8を短縮側に駆動操作することによって刈取り部10を下降操作し、低刈り側に外れていると判断すると、制御弁31に操作信号を出力してリフトシリンダ8を伸長側に駆動操作することによって刈取り部10を上昇操作する。ステップ5に示すように、リフトシリンダ8の短縮や伸長操作を設定時間行なった後の内側高さセンサー20bによる検出結果と、リフトシリンダ8の短縮や伸長操作を開始したときの内側高さセンサー20bの検出結果とを比較して操作後の検出結果が変化しているか否かを判断し、変化していると判断すると、内側高さセンサー20bによる検出情報が正常であると判断し、この場合には、内側高さセンサー20bによる検出情報に基づくリフトシリンダ8の操作を続行する。すなわち、内側高さセンサー20bによる検出結果が不感帯に入るようにリフトシリンダ8を短縮や伸長側に操作する。ステップ5〜9に示すように、リフトシリンダ8を前記設定時間、短縮や伸長操作した後の内側高さセンサー20bによる検出結果が操作前の検出結果と変化していないと判断した場合、内側高さセンサー20bからの情報が異常であると判断し、この場合には、前記外端分草杆16に付いている前記外側高さセンサー20aによる検出結果を入力し、この検出結果が刈高さ設定手段32による設定対地高さに基づいて設定した不感帯に入っているか否かを判断し、検出結果が不感帯から外れていると判断した場合、不感帯から高刈り側と低刈り側のいずれに外れているかを判断し、高刈り側に外れていると判断すると、外側高さセンサー20aによる検出結果が不感帯に入るまでリフトシリンダ8を短縮側に駆動操作して刈取り部10を下降操作し、低刈り側に外れていると判断すると、外側高さセンサー20aによる検出結果が不感帯に入るまでリフトシリンダ8を伸長側に駆動操作して刈取り部10を上昇操作する。
【0029】
つまり、刈高さ制御をオンにして作業走行すると、前記左右一対の高さセンサー20a,20bのうちの内側の分草杆19に付いている方の前記内側の高さセンサー20bに作動不良や故障がなければ、制御装置30が内側高さセンサー20bによる検出情報を基に、刈取り部10の対地高さが刈高さ設定手段32による設定対地高さとしての設定刈高さになるように刈取り部10を昇降操作する刈高さ制御を実行する。そして、前記内側の高さセンサー20bに作動不良や故障が発生すると、制御装置30が内側高さセンサー20bによる検出情報に替えて、外側の分草杆16に付いている方の前記外側の高さセンサー20aによる検出情報を基に、刈取り部10の対地高さが刈高さ設定手段32による設定対地高さとしての設定刈高さになるように刈取り部10を昇降操作する刈高さ制御を実行する。これにより、走行機体が地面の凹凸で前後に傾斜するなどしても、かつ、内側の高さセンサー20bが故障していない場合であっても、故障した場合であっても、刈取り部10が刈高さ設定手段32による設定対地高さに維持されて刈取装置14による刈り後の切り株高さを所望高さにしながら作業できる。
【0030】
図5、図6に前記外側の高さセンサー20aを示し、図7に前記内側の高さセンサー20bを示しているように、内側の高さセンサー20bと外側の高さセンサー20aは、内側の高さセンサー20bの方が外側の高さセンサー20aより機体前方側に位置した配置で刈取り部10に設けられている点において相違しているが、この配置以外の点では同一の構造を備えさせて次の如く構成してある。
【0031】
すなわち、内側の高さセンサー20bも、外側の高さセンサー20aも、分草杆16,19の先端付近に取付けた支持体25、この支持体25の下端側に前端側が連結している前記接地センサー本体21、前記支持体25の上端側の一側部に付いている前記検出部22を備えて構成してある。
【0032】
支持体25は、前端側にピン形の取付け部51が付いている板金製の取付け部材50と、この取付け部材50の前記取付け部51より後側に一側部がネジ締め連結されているギヤケース40とで構成してある。分草杆16,19の先端部を基端側より機体上方側に突出した湾曲状態に屈曲させることにより、分草杆16,19の先端部に屈曲支持部16a,19aを設け、この屈曲支持部16a,19aの分草杆前方側の機体上下向き部分の下端部に筒体を付設して設けた支持ボス部16b,19bに、支持体25の前記取付け部51を相対回動自在に装着してある。
これにより、支持体25は、分草杆16,19の屈曲支持部16a,19aに対してこれの内側に入り込んだ状態になっているとともに前記取付け部51の機体前後向きの軸芯Yまわりで相対回動するように支持されている。また、分草杆16,19の前記屈曲支持部16a,19aは、支持体25の上方を通り、ギヤケース40などに対するガード作用を発揮するようになっている。
【0033】
図5、図6などに示すように、接地センサー本体21は、前端側に取付け片21cを備えるように、中間部に前端部21bや後端側より機体下方向きに突出した接地作用部21aを備えるように曲げ成形した帯板ばねで構成してある。前記取付け片21cを、支持体25の前記ギヤケース40の機体横向きの入力軸41に一体回動自在に連結してある。
これにより、接地センサー本体21は、前記軸芯Xとは非平行な前記入力軸41の機体横向きの軸芯Xのまわりで支持体25対して揺動するようになっており、かつ、前記機体前後向きの軸芯Yまわりで前記支持体25と共に分草杆16,19に対して図8(ロ)に示す正回転方向Aにも、図8(ハ)に示す逆回転方向Bにも回動するようになっている。
【0034】
図5、図7、図8に示すように、前記取付け部51あるいは支持ボス部19bにコイル部が外嵌している巻きばね60の両端部61,62どうしの間に入り込むように配置したばねストッパー部63を分草フレーム16,19の屈曲部16a,19aに設け、前記ばねストッパー部63より巻きばね60のコイル部の方に寄った位置で前記両ばね端部61,62どうしの間に入り込むように配置したばね操作ピン53を支持体25の前記取付け部材50に固設してある。これにより、支持体25は、前記巻きばね60によって次の如く回動付勢されている。すなわち、支持体25の分草フレーム16に対する回動軸芯Yまわりでの回動位置のうち、図8(イ)の如く接地センサー21が支持体25に対して揺動する軸芯Xが機体横向きになって接地センサー21が分草フレーム16、19に対して軸芯Xまわりで上下揺動することとなる回動位置を基準回動位置Nとし、支持体25がこの基準回動位置Nから正回転方向A及び逆回転方向Bのいずれの回転方向に回動操作されても、その回動操作力が解除されると、基準回動位置Nに自ずと回動復帰するように回動付勢されている。
【0035】
つまり、図8(ロ)に示すように、支持体25が基準回転位置Nから正回転方向Aに回動操作されると、巻きばね60の一方の第1ばね端部61がばねストッパー63に当接して支持されながら、他方の第2ばね端部62がばね操作ピン53によって押圧されて巻きばね60が弾性変形することにより、巻きばね60が支持体25を基準回動位置Nに復帰回動するように付勢する。図8(ハ)に示すように、支持体25が基準回転位置Nから逆回転方向Bに回動操作されると、巻きばね60の第2ばね端部62がばねストッパー63に当接して支持されながら、第1ばね端部61がばね操作ピン53によって押圧されて巻きばね60が弾性変形することにより、巻きばね60が支持体25を基準回動位置Nに復帰回動するように付勢する。
【0036】
図10などに示すように、検出部22は、本体が前記ギヤケース40の側面がわに固定され、横断面小判形の入力軸22aが前記ギヤケース40の内部に入り込んでいる回転式のポテンショメータによって構成してある。
【0037】
図10などに示すように、ギヤケース40の前記入力軸41に対して取り付け部42aが外嵌している扇形ギヤ42、この扇形ギヤ42に噛合った状態で検出部22の前記入力軸22aに対して外嵌している円形ギヤ43を備えて成るギヤ連動機構44を、ギヤケース40の内部に設けてある。扇形ギヤ42の前記取付け部42aは、入力軸41の横断面小判形のためにこの入力軸41に対して一体回動自在に係合しており、扇形ギヤ42は入力軸41と一体回動するようになっている。円形ギヤ43は、前記入力軸22aの横断面小判形のためにこの入力軸22aに対して一体回動自在に係合している。扇形ギヤ42のピッチ円直径が円形ギヤ43のピッチ円直径より大になっており、ギヤ連動機構44は、接地センサー本体21の回転支軸となっている入力軸41の回転を増速して検出部22の入力軸22aに伝達するようになっている。
【0038】
これにより、内側の高さセンサー20bも、外側の高さセンサー20aも次の如く作動するようになっている。
すなわち、通常時は、巻きばね60のために支持体25が前記基準回動位置Nになっていて、接地センサー本体21が軸芯Xまわりで支持体25に対して上下揺動するとともに接地作用部21aで地面上に接地作用するようになっており、刈取り部10の対地高さが変化すると、分草杆16,19の対地高さが変化して支持体25の対地高さが変化する。すると、接地センサー本体21の接地作用部21aに接地反力が作用することにより、かつ、図5の如く接地センサー本体21の遊端側が分草杆16の受け止め部16cや、図7の如く分草杆19に当接していて接地センサー本体21が接地反力のために弾性変形して下降揺動する弾性復元力を備えることにより、接地センサー本体21が軸芯Xまわりで支持体25に対して上昇揺動するとか下降揺動する。すると、接地センサー本体21の回転がギヤ連動機構44によって増速して検出部22の入力軸22aに伝達されて検出部22が作動する。このため、検出部22が、接地センサー本体21の支持体25に対する揺動角に基づいて刈取り部10の対地高さを検出し、この検出結果を電気信号にして制御装置30に出力する。
【0039】
そして、自走機体の操向操作が行なわれて刈取り部10が横振れすると、接地センサー本体21が地面上を機体横方向に滑り動き、接地センサー本体21に地面との摩擦や、土塊などの障害物に対する引っ掛かりに起因して曲げやねじり操作力が掛かることがあるが、この場合、この操作力の大きさによっては接地センサー本体21が支持体25と共に軸芯Yまわりで巻きばね60に抗してローリングするとともに、検出部22も共にローリングし、接地センサー本体21や入力軸41とか検出部22に巻きばね60による付勢力によって決まる強さより強い無理な曲げやねじり力などの操作力が掛からなくなっている。接地センサー本体21に掛かっていた前記操作力が解除されると、支持体25が巻きばね60のために前記基準回動位置Nに復帰し、接地センサー本体21は地面上に接地作用して検出作用するようになっている。
【0040】
外側の高さセンサー20aにおいて、接地センサー本体21の遊端側に、図5、図6に示す如き抜け止め部21dを設けるとともに、図11などに示す如く分草杆16と刈刃支持体14bにわたって板体を付設して設けた前記受け止め部16cに、屈曲棒材を付設して前記抜け止め部21dに対して係止作用するストッパー65を設けてある。すなわち、接地センサー本体21が前記軸芯Yまわりでローリングしたとき、接地センサー本体21の遊端側が受け止め部16cに対して前方側に滑り移動しても、抜け止め部21dがストッパー65に引っ掛かり、ストッパー65は、接地センサー本体21の遊端側を分草杆16の受け止め部16cから外れないように支持する。
【0041】
図5、図6に示すように、前記横外端の分草杆16の基端側部分16dが、刈取装置14の先端側部分の直横側方に位置し、機体横外側から石などの異物が刈取装置14に衝突しにくいように刈取装置14を横側からガードするようになっている。
前記横外端の分草杆16の基端側に、分草杆16から機体内向き延出する案内板67を付設してある。この案内板67は、機体上下方向視で機体前後方向に対して傾斜している端面で成るガイド部67aにより、刈取装置14の前方近くに来た植立穀稈の株元側を、刈取装置14の最も端に位置する固定刃14aと分草杆16の隙間に入り込まないように、その端の固定刃14aより機体内側に向けて移動させるべく案内するようになっている。
図5、図6に示すように、引起し装置13の後方に無端回動ベルト68を回動駆動自在に設けるとともに、この無端回動ベルト68は、このベルト68の複数箇所から突出する係止搬送アーム68aによって引起し装置13からの植立穀稈の株元側を機体後方向きに係止搬送して刈取装置14に送り込むように構成してある。また、前記係止搬送アーム68aの先端側が前記外側高さセンサー20aの前記ギヤケース40の上方近くを通過し、このギヤケース40の上に載ったワラ屑などを除去するようになっている。
図5に示すように、刈取り部10の横側方を覆う図1の如きカバー69を、このカバー69の下端縁69aが外側高さセンサー20aのギヤケース40の上部の横側近くに位置するようにして設け、接地センサー本体21が前記軸芯Yまわりでローリングする際の障害にならないようにしながら、ギヤケース40や検出部22の上方を覆うように構成してある。
【0042】
〔第2実施形態〕
図12は、第2実施形態を備えるコンバインの概略構造を示し、このコンバインにあっては、上記第1実施形態を有したコンバインと同様に、左右一対の高さセンサー20a,20b、及び、この高さセンサー20a,20bによる検出情報に基づいて刈取り部10を昇降操作する刈高さ制御を実行する制御装置30を備えている他、刈取り部10に左右一対のセンサーバー71によって走行機体の走行方向を検出するように設けた方向センサー70を備えているとともに、この方向センサー70、及び、左右のクローラ式走行装置1,1に対する伝動を各別に入り切りするようにミッションケース9の内部に位置している一対の操向クラッチ9aの制御弁33を前記制御装置30に連係させてある。
【0043】
図13に示すように、前記方向センサー70は、前記左右一対の高センサー20a,20bのうちの内側の高さセンサー20bが付いている前記内側の分草杆19に支持されている一つのスイッチケース72、このスイッチケース72の機体前後方向に並ぶ2箇所から分草杆19の左横側と右横側に各別に向いて延出している前記左右一対のセンサーバー71、この左右一対のセンサーバー71,71に各別に連動しているとともに前記スイッチケース72の内部に位置している一対の検出スイッチ73を備えて構成してあり、左右一対のセンサーバー71のいずれもが穀稈Kに当接して基準位置から機体後方側に揺動すると、走行機体が刈取り対象の植立穀稈Kの列に対して左右側いずれにも位置ずれしていないと検出し、左右一対のセンサーバー71のいずれか一方が穀稈Kから外れて自己復元力によって基準位置になると、走行機体が刈取り対象の植立穀稈Kの列に対し、基準位置になったセンサーバー71に対応する側すなわち左又は右側に位置ずれしていると検出し、これらの検出結果を一対の検出スイッチ73によって電気信号にして制御装置30に出力するようになっている。
【0044】
制御装置30は、方向センサー70の一対の検出スイッチ73からの検出情報に基づいて制御弁33を切り換え操作し、左右一対の操向クラッチ9aを切り換え操作して左右のクローラ式走行装置1を駆動と停止状態に切り換え操作する操向制御を実行し、走行機体の操向操作を行なうようになっている。すなわち、方向センサー70が走行機体の植立穀稈列に対する横ずれが無いことを検出する状態になるように左右のクローラ式走行装置1を駆動及び停止操作するようになっている。
【0045】
つまり、制御装置30による操向制御をオンにしておくことにより、走行機体が刈取り対象穀稈Kの列に追従して走行していくように自動的に操向制御され、分草具12が植立穀稈Kの株に突き刺さることを防止しながら作業できるようになっている。
【0046】
前記方向センサー70、及び、前記内側の高さセンサー20bは、図13に示す取付け構造に基づいて前記内側の分草杆19に支持させてある。
すなわち、方向センサー70の前記スイッチケース72に連結している取付けブラケット74の前端側を、内側の分草杆19の先端部の屈曲支持部19aにおける分草杆前方側の機体上下向き部分の下端部に連結してある。
【0047】
方向センサー70の前記取付けブラケット74の後端側に筒体を付設して設けた支持ボス部74aに、高さセンサー20bの取付け部材50の前端側の取付け部51を回動自在に装着してある。方向センサー70の取付けブラケット74と、高さセンサー20bの取付け部材50の間に、前記巻きばね60、ばね操作ピン53を備えて支持体25を基準回動位置Nに付勢する手段を設けてある。たすなわち、高さセンサー20bを、方向センサー70を介して分草杆19に支持させるとともに取付け部51の機体前後向きの軸芯Yまわりでローリングするように構成してある。
【0048】
図14は、別の実施形態を備えた方向センサー70を示し、この方向センサー70にあっては、上記実施形態の方向センサー70の左右一対のセンサーバー71と同様の左右一対のセンサーバー71が、スイッチケース72の機体横方向に並ぶ2箇所から分草杆19の左横側と右横側に各別に向いて延出している。
【0049】
〔別実施形態〕
上記各実施形態の如く接地式の高さセンサー20a,20bを採用して実施するほか、超音波を利用して対地高さを検出するなど、非接触式の高さセンサーを採用して実施する場合にも本発明は適用できる。
【0050】
高さセンサー20bと方向センサー70を連結し合った状態にして分草杆19に支持させる構成を採用するに当たり、上記実施形態の如く高さセンサー20bが方向センサー70の後側に位置する配置構成を採用して実施する他、高さセンサー20bが方向センサー70の前側に位置する配置構成を採用して実施してもよい。
【0051】
上記巻きばね60に替え、板ばね、ゴムなど各種のばね手段を採用して実施してもよいのであり、これら巻きばね60、板ばね、ゴムなどを総称して付勢手段60と呼称する。
【0052】
本発明は、コンバインの他、玉ねぎ、人参などを各種の作物を収穫対象とする作業車にも適用できるのであり、これらの作業車やコンバインなどを総称して収穫機と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバイン前部の側面図
【図2】制御系統図
【図3】ブロック図
【図4】刈高さ制御のフロー図
【図5】外側高さセンサーの側面図
【図6】外側高さセンサーの平面図
【図7】内側高さセンサーの側面図
【図8】(イ)は、高さセンサーの基準回動位置を示す説明図、(ロ)は、高さセンサーの正回転方向へのローリング状態を示す説明図、(ハ)は、高さセンサーの逆回転方向へのローリング状態を示す説明図
【図9】ギヤ連動機構の側面図
【図10】ギヤケースの縦断正面図
【図11】分草杆のセンサー受け止め部での断面図
【図12】別の実施形態を備えるコンバインの制御系統図
【図13】方向センサーの平面図
【図14】別の実施形態を備える方向センサーの平面図
【符号の説明】
10 刈取り部
20a,20b 高さセンサー
21 接地センサー本体
22 検出部
25 支持体
30 制御手段
60 付勢手段
N 基準回動位置
X 接地センサー本体の揺動軸芯
Y 支持体のローリング軸芯
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成15年3月19日(2003.3.19)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2004−283008(P2004−283008A)
【公開日】 平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願番号】 特願2003−75259(P2003−75259)