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【発明の名称】 芝、草刈り機
【発明者】 【氏名】伊東 一夫
【住所又は居所】兵庫県加西市朝妻町1146番地の2 伊東電機株式会社内

【氏名】小林 一明
【住所又は居所】兵庫県加西市朝妻町1146番地の2 伊東電機株式会社内

【氏名】森本 洋一
【住所又は居所】兵庫県加西市朝妻町1146番地の2 伊東電機株式会社内

【要約】 【課題】上下二枚の刈り刃板を相対的に摺動させて、芝や草を刈り取る草刈り機において、地形の起伏に沿って一定の高さに、かつ能率的に刈り取ることができる草刈り機を提供する。

【解決手段】上下二枚の刈り刃板3,4が摺動することによって刈り取ることができるものを刈り刃ユニット2として構成する。そして、主フレーム1から外方に向けて複数の刈り刃ユニット2,2を、主フレーム1に対して自由に上下動する状態で装着する。個々の刈り刃ユニット2には、車輪7を設けておきこれが通過する地形に沿って刈り刃ユニットを上下動させる。これにより、個々の刈り刃ユニット2が通過する地形の凹凸に沿って刈取作業が行われる。刈り刃ユニットは、主フレームの全周に設けておくと、主フレームを360度いずれの方向に移動させても刈取り作業を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下二枚の刈り刃板を相対的に摺動させることによって芝や草を切断する刈り刃ユニットを、刈り刃板が外方に向く状態で主フレームから外方に向けて複数配置し、該複数の刈り刃ユニットそれぞれに車輪を備えることにより、個々の刈り刃ユニットが作業面であるそれぞれの地形に沿って移動し、複数の刈り刃ユニットが主フレームに対して個別に上下動可能としたことを特徴とする芝、草刈り機。
【請求項2】
複数の刈り刃ユニットを主フレームから全放射方向に配置し、該主フレームから全放射方向に配置する刈り刃ユニットの先端部分に、放射方向と直交する方向に刈り刃板を装着することによって主フレームの全外周方向が刈り刃板によって囲まれるようにしたことを特徴とする請求項1記載の芝、草刈り機。
【請求項3】
刈り刃ユニットは先端に刈り刃板を備えた刈り刃アームと先端部分に車輪を備えた車輪アームとによって構成し、刈り刃アーム及び車輪アームはいずれも基端部を主フレームに軸着するとともに、車輪アームと刈り刃アームの間隔を一定に保持する間隔保持手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の芝、草刈り機。
【請求項4】
刈り刃アームの平面形状を略分割円形状とすることによって、主フレームに装着した全体の平面形状を円形もしくは分割円形状とし、該刈り刃アームの一部に車輪が自由に通過する大きさの貫通孔を設けるとともに刈り刃アームの上方に車輪アームを配置し、車輪アームに刈り刃アームを支持させて車輪アームに備えた車輪を刈り刃アームの貫通孔から接地させることを特徴とする請求項3記載の芝、草刈り機。
【請求項5】
刈り刃ユニットに装着する車輪の前部もしくは一部が自走のための駆動輪であって、全ての車輪が連動してその方向変更を可能としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の芝、草刈り機。
【請求項6】
主フレームから操作ハンドルを突出させ、該操作ハンドルにスイッチなどの操作手段を備えてなる請求項1ないし5のいずれかに記載の芝、草刈り機。
【請求項7】
電気的な遠隔操作手段もしくは無人誘導手段によって自走させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の芝、草刈り機。
【請求項8】
主フレームにエンジン及び発電機を搭載し、エンジンによって発電機を駆動して刈り刃板の往復駆動と車輪の回転駆動の双方もしくはいずれか一方をモータ駆動させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の芝、草刈り機。
【請求項9】
主フレームに対し外方に向けて配置される複数の刈り刃ユニットが、隣接する刈り刃ユニットどうしで屈曲可能な状態に連結されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の芝、草刈り機。
【請求項10】
隣接する二つの刈り刃ユニットを一組とし、該一組の刈り刃ユニットの刈り刃板を一つの駆動手段によってそれぞれ対称的な反対方向に往復駆動させることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の芝、草刈り機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の切刃を突出させた二枚の刈り刃板を摺動させ、刈り刃板から突出する個々の切刃によって芝や草を鋏のように切断する方式の芝、草刈り機に関し、起伏のある地形の作業面であっても、一定の高さに草や芝を刈ることができる芝、草刈り機の構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の芝、草刈り機としては、支持杆の先端部分に高速回転をする一枚の刃板を設け、作業者が支持杆を手で持って刃板を作業面に沿わせて移動させることによって草などを刈り取る方式が一般的である。一枚の刃板を高速回転させるものには、特許文献1に示すように、支持杆の先端に高速回転をする刃板を設けるとともに刃板の中心位置に駆動輪を設けておき、駆動輪を接地させた状態で駆動輪の方向を変えることによって前後及び左右方向に移動させながら刈取作業を行うことができるようにし、作業者の負担を軽減させるものもある。また、特許文献2に示すように、外周部分に切刃を突出形成し摺接回転をする二枚の刈り刃板を支持杆の先端に装着し、鋏方式で草や芝などの刈取作業を行うものも知られている。さらに、特許文献3に示すように走行車輪を備えた機体の前方に縦軸回転型の二枚の高速回転をする刈刃を並べて配置し、走行車輪に対して縦軸を傾斜させることによって走行面と傾斜する作業面の草刈作業を行うものも知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−167714号公報(第1−3頁、第4図)
【特許文献2】
特開平11−253027号公報(第2−4頁、図2)
【特許文献3】
特開平8−256559号公報(第2−4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されるように高速回転をする一枚の刃板で刈取作業を行う草刈り機では、作業中に小石や缶などを飛散させる危険性があった。また、特許文献2に示す草刈り機では、作業中に小石や缶を飛散させるという欠点はないが、作業者が手で持って作業を行う方式であるため作業者の負担が大きい。特許文献1及び2に開示される草刈り機はいずれも円板状の刃板が回転をする刈り刃板を使用するため、必然的にその大きさが比較的小さなものに制限され、作業が非能率的であるという欠点があった。特許文献3に示されるように、走行車輪を備えた機体の前方に二つの刃板を並べて配置するものでは、それだけ能率的に作業を進めることが可能であるが、装置全体が大きなものとなる欠点がある。そして、これら従来の草刈り機では、いずれも作業者が刃板全体を上下動させて刈り高さを調節する必要があり、作業面の起伏に沿って一定の高さで草刈り作業を進めることができるようなものではなかった。
【0005】
上記、従来技術の欠点に鑑み、本発明はより広い範囲の芝や草を能率的に刈り取ることができるとともに、地形に沿って一定の高さに刈り取ることができる芝、草刈り機を提供することを目的とするものである。また、別の目的は機体を自走させ、自走方向を自由に変更することができるとともに、いずれの自走方向においても刈取機能を備え、走行車輪が常に刈り取った後の地面を移動することによって刈り高さの揃ったきれいな刈取作業を行うことができる芝、草刈り機を実現することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は一つの主フレーム1から刈り刃板3,4が外方に向く状態で複数の刈り刃ユニット2,2を装着する。個々の刈り刃ユニット2,2は、それぞれ上下二枚の刈り刃板3,4が相対的に摺動し、刈り刃板の外周部分に突出させた切刃3a,4aによって芝や草を切断するものである。各刈り刃ユニット2,2は、それぞれ車輪7,7を備えることによって地形に沿って移動し、主フレーム1に対して個別に上下動可能とする。これにより、個々の刈り刃ユニット2,2が通過した地形に沿って刈取作業が行われ、小さな起伏や複雑な起伏のある地形であっても、一定の高さに刈取作業を行うことができることになる。
【0007】
主フレーム1に装着する刈り刃ユニット2,2は、主フレーム1の一定の方向例えば前方にのみ設けるものであってもよいが、主フレーム1から全放射方向に配置し、配置した刈り刃ユニット2,2の先端部分に設けた刈り刃板3,4が主フレーム1の全外周方向を囲うように形成すると、機体がいずれの方向に移動しても常に進行方向の刈取作業を行うことができる。このことは、走行のための車輪7が常に刈り取られた後の作業面を走行することになるため、より一定した刈り高さを実現することが可能となる。
【0008】
刈り刃ユニット2,2は、先端に刈り刃板3,4を備えた刈り刃アーム5と、先端部分に車輪7を備えた車輪アーム6とによって構成し、刈り刃アーム5及び車輪アーム6はいずれも基端部を主フレーム1に軸着するとともに、車輪アーム6と刈り刃アーム5の間隔を一定に保持する間隔保持手段を備えると、車輪アーム6と刈り刃アーム5の間隔を変更することにより、刈り高さを容易に変更することができる。
この構造は、例えば具体的には、刈り刃アーム5の平面形状を略分割円形状とすることによって、主フレーム1に装着した全体の平面形状を円形もしくは分割円形状とし、刈り刃アーム5の一部に車輪7が自由に通過する大きさの貫通孔8を設けるとともに、刈り刃アーム5の上方に車輪アーム6を配置することによって容易に実現することができる。
【0009】
機体が走行するための車輪を主フレーム1に設け、刈り刃ユニット2,2に装着する車輪7,7が刈り刃ユニット2,2を上下動させるための倣い手段として機能するものであってもよい。しかしながら、刈り刃ユニット2,2の車輪7,7を自走のための駆動輪とし、かつ全ての車輪7,7が連動して方向変更を可能とすると、複数の刈り刃ユニット2,2のそれぞれがより確実に作業面の起伏に沿って移動し、かつ、自由な方向に移動させて刈取作業を行わせるようにすることが可能となる。
【0010】
上記、本発明に係る草刈り機は、主フレーム1から操作ハンドル42を突出させ、突出させた操作ハンドル42にスイッチ43などの操作手段を備え、作業者が手で操作しながら移動させるものであってもよいが、電気的な遠隔操作手段もしくは無人誘導手段によって自走させるようにすることもできる。この場合は、主フレーム1の全外周方向が刈り刃3,4によって囲まれていずれの方向に移動しても刈り取り作業を行うことができる形態としておくのが望ましい。
また、本発明に係る草刈り機は、主フレーム1にモータとバッテリーを搭載するものであってもよいがエンジン及び発電機を搭載し、エンジンによって発電機を駆動して刈り刃板3の往復駆動と車輪7の回転駆動の双方もしくはいずれか一方をモータ駆動させるようにすると、バッテリーの充電などの必要がなく、経済的で安定した運転を可能とする。
【0011】
主フレーム1に対し外方に向けて配置される複数の刈り刃ユニット2,2は、それぞれ独自に上下動が可能なものであるが、具体的には車輪7の通過する作業面の高さを基準として上下動する。したがって、隣接する刈り刃ユニット2,2の高さが異なることによって、隣接する刈り刃ユニットによって刈り取られた作業面の境界部分に、刈り高さの段差を生じる可能性がある。そこで、隣接する刈り刃ユニット2,2どうしで屈曲可能な状態に連結しておくと、連続的な刈り高さの変化を実現し、刈り高さに段差が発生することを防止できる。
また、隣接する二つの刈り刃ユニット2,2を一組とし、この一組の刈り刃ユニット2,2の刈り刃板3,3を一つの駆動手段によってそれぞれ対称的な反対方向に往復駆動させるようにすれば、刈り刃板3の往復運動によって発生する振動を相殺し静かな運転を実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る芝、草刈り機の実施形態を添付の図面に基いて説明する。図1は動力伝達機構を省略した平面図、図2は底面図である。図3は一部分のみの縦断面図である。
【0013】
図1及び図2に示す実施形態は、略多角形状に形成した主フレーム1から外方に向けて、図面上6個の刈り刃ユニット2,2を突出させている。一個の刈り刃ユニット2は、その平面形状を略六分の一の分割円形状とし、主フレーム1に装着した全体の平面形状が円形となるようにしている。刈り刃ユニット2の外周部分には、上下一対の刈り刃板3,4を装着することによって、円形の外周全体が刈り刃板3,4によって囲まれ、機体がいずれの方向に移動しても刈取作業が行うことができるようにしている。
【0014】
上下一対の刈り刃板3,4は、分割円形状の外周部分に装着されることから円弧状であり、外方に向けて多数の山形の切刃3a,4aが突出している。そして、上下一対の刈り刃板3,4を周方向に往復駆動させることによって、山形の切刃3aと4aのせん断作用によって芝や草を鋏で切断する如く切断するものである。上下一対の刈り刃板3,4は、いずれか一方が固定され、いずれか他方が往復移動するもの、あるいは上下一対の刈り刃板3,4がそれぞれ異なる方向に移動するものなどが考えられる。要するに、一対の刈り刃板3,4が相対的に摺動して切断作用を行う。
【0015】
個々の刈り刃ユニット2,2は、その基端部を主フレーム1の底面に回動自在に軸支させるとともに、個々の刈り刃ユニット2,2には下方に向けて車輪7,7を突出させ、車輪7と刈り刃板3,4の間隔、換言すれば車輪7の接地面である作業面から刈り刃板3,4までの距離を一定に維持することができるようにしている。作業面から刈り刃板3,4までの距離は刈り高さに相当し、必要に応じて変更可能とするのが望ましい。
【0016】
具体的な構造として、図1ないし図4から理解されるように、一つの刈り刃ユニット2を平面形状が略分割円形状である刈り刃アーム5と、先端部分の下方に車輪7を装着した車輪アーム6とで構成し、刈り刃アーム5と車輪アーム6の基端部を主フレーム1の底面において、同軸上に回動自在に軸支する。刈り刃アーム5と車輪アーム6は、刈り刃アーム5の上方に車輪アーム6を配置するとともに、刈り刃アーム5には車輪7が通過する大きさの貫通孔8を穿設し、該貫通孔8から車輪7が接地するようにしている。そして、刈り刃アーム5は車輪アーム6から吊り下げるように支持し、その吊り下げ寸法を変更可能とすることによって、刈り高さの変更をすることができるようにする。
【0017】
すなわち、図3,図4に示すように、主フレーム1の下面に取付台9,9を固定し、該取付台9に支持軸10によって刈り刃アーム5と車輪アーム6の基端部を同軸に支持して両者が回動可能とする。そして、図14に示すように車輪アーム6に装着したネジ軸11を下方に突出させ、その先端を刈り刃アーム5の上面に配置したリンク杆12の一端に連結することによって車輪アーム6に刈り刃アーム5を吊り下げる。この構造では、ネジ軸11を回転させることによって下方への突出寸法を調節し、図3に二点鎖線で示すように刈り刃板3,4と作業面の高さ、すなわち刈り高さを調節することができる。
【0018】
刈り刃アーム5の円弧状の外周部分には、刈り刃板4を固定するとともに、刈り刃板4と摺動可能な状態で刈り刃板3を配置している。刈り刃板3が刈り刃板4に対して摺動可能とするには、刈り刃板4との間に刈り刃板3を挟むようにしてガイド板13を配置し、刈り刃板3の上面に突出させた突起14をガイド板13に形成したガイド溝15に係合させることによって、ガイド溝15に沿って刈り刃板3を摺動させることが可能となる。
【0019】
車輪アーム6の先端には、軸16によって回転させることができる車輪支持台17を装着し、該車輪支持台17に車輪7を装着している。車輪7の回転駆動構造は特に限定されるものではないが、車輪軸18をモータローラとして利用されるブラシレスモータで構成すれば、構造を極めて簡略化することが可能となる。また、車輪アーム6は、主フレーム1に対して上下方向に自由に回動するものであるが、現実的にはその回動範囲をストッパーやバネ(図示していない)で規制し、全体としての走行などの運転に支障を生じないようにしておくのが好ましい。
【0020】
図示例においては、刈り刃アーム5及び車輪アーム6の両方を金属板の板金加工によって製造し、折曲した側壁部分に軸支するための取付孔19,20を設けている。その他、ネジ軸11の上端には、ネジ軸11を回転させるためのスプロケット21が装着されるとともに、車輪アーム6の先端部分に配置される車輪支持台17を支持している軸16の先端には、車輪支持台17を回転させるためのスプロケット22が装着されている。
【0021】
刈り刃アーム5と車輪アーム6を一定間隔に保持する間隔保持手段の一例は、図14に示されている。この間隔保持手段において、刈り刃アーム5と車輪アーム6の間隔を変更しようとするには、すなわち、刈り高さを変更するには、ネジ軸11を回転させることによってネジ軸11を上下動させる。ネジ軸11を回転させるにはスプロケット21に巻回させた無端状チェーン47を駆動する。このとき、無端状チェーン47を、全ての刈り刃ユニット2,2のネジ軸11のスプロケット21に巻回させておくことによって、全ての刈り刃アームの高さを連動させて上下動させることができる。そして、ネジ軸11を上下動させる無端状チェーン47の駆動機構(図面上その記載を省略している)は、頻繁に操作する必要がない機構であるから、手動によって作業前に調節するようにしておくとよい。もっとも、電動機構によって駆動するものであってもよい。
【0022】
次に、本発明に係る草刈り機の動力機構について説明する。本発明に係る草刈り機の駆動手段として、モータ又はエンジン23を主フレーム1に設置する。全体をモータ駆動する場合は、主フレーム1にバッテリーとモータを搭載し、一部をモータ駆動する場合は、主体フレーム1にエンジンと発電機を搭載するとよい。本発明に係る草刈り機の動力機構は、刈り刃板3を駆動する動力機構と、走行のために車輪7を回転駆動させるための動力機構と、車輪の走行方向を変更するために車輪支持台17を回動させる動力機構が含まれる。走行のために車輪7を回転駆動するための駆動機構は、車輪軸18としてモータローラとして利用されている如きブラシレスモータを利用することによって全体の構造を簡略化することができることは先に述べた通りである。
【0023】
図5及び図7は、個々の刈り刃ユニット2,2に配置した車輪7,7を連動させて方向転換するための駆動機構を示す平面図である。方向転換のための駆動機構は、電気的な制御を行うのが便利であるため、方向転換用のモータ24を利用するのが望ましい。方向転換用のモータとしては、例えばブラシレスモータを利用する。車輪7は、軸16の先端に取り付けられて回動する車輪支持台17に装着されていることは、先に述べた通りである。
【0024】
そこで、図示例の方向転換機構は、図5及び図6に示すように、車輪7用の軸16の全てにスプロケット22を取り付けておくとともに、全てのスプロケット22,22に無端状チェーン25を巻回させ、この無端状チェーン25をモータ24によって駆動する。26は、モータ24の駆動軸に装着したものであって、無端状チェーン25が巻回されるスプロケットである。無端状チェーン25を駆動するためのモータは、一つであってもよいが、図示例では車輪7,7が多数であることを勘案して二つのモータ24で駆動している。このモータ24は、例えば三つ以上使用するものであってもよい。
【0025】
上記構成とすることによって、全ての車輪7,7の方向を連動させて変更することが可能となる。例えば、図5においては車輪7の回転駆動によって、機体が白矢印で示すように左右方向に移動する。図5に示す状態から図6に矢印で示すように無端状チェーン25を右方向に駆動すると、全ての車輪7,7が連動して同じように右方向に回動する。この状態で、車輪7を回転駆動させると、図6に白矢印で示すように、機体は斜め方向に移動する。
【0026】
図7及び図8は、刈り刃板3を駆動するための駆動装置の一例を示す平面図であって、図7は隣接する刈り刃ユニット2,2の刈り刃板のうち、一方の刈り刃板3,3を一つの往復駆動装置27で駆動させる実施形態である。図示例では、6個の刈り刃ユニット2,2を備えるものであるから3個の往復駆動装置27,27を配置している。そして、これら全ての往復駆動装置27,27、換言すれば全ての刈り刃板3,3は一つのエンジン23で駆動される。すなわち、エンジン23の出力軸28にスプロケット29,29を三段に配置し、スプロケット29と往復駆動装置27の入力軸30に装着したスプロケット31との間に無端状チェーン32を巻回させることにより、エンジン23の回転が全ての往復駆動装置27の入力軸30に伝えられる。
【0027】
図8は、個々の刈り刃ユニット2,2ごとに往復駆動装置27,27を備えた実施形態である。この実施形態では、個々の刈り刃ユニット2,2にそれぞれ往復駆動装置27を設け、図7の場合と同様に一つのエンジン23で全ての往復駆動装置を駆動するように構成している。すなわち、エンジン23の出力軸28にスプロケット29,29を六段に配置し、六個の往復駆動装置のスプロケット31とエンジンの出力軸28に設けたスプロケット29の間に無端状チェーン32を巻回させることによって全ての往復駆動装置を一つのエンジン23で駆動している。
【0028】
図9は、図7に示す往復駆動装置の拡大図である。この往復駆動装置27は、ケーシング33の中に、図10に示すように上下二段に偏心カム34,35を配置し、一方の偏心カム34を隣接する刈り刃板3,3の一方の刈り刃に形成した長孔形状のカム孔36に係合させるとともに、他方の偏心カム35を隣接する刈り刃板3,3の他方の刈り刃板3に形成した長孔形状のカム孔37に係合させる。偏心カム34,35は、一つの駆動軸38に固定され、かつ対称位置に偏心させていることから、隣接する刈り刃板3,3に対称的な往復運動を行わせることができる。偏心カム34,35の駆動軸38は、エンジンによって回転駆動される入力軸30との間で、ベルト伝動やチェーン伝動あるいはギア伝動(図面上点線によってベルト伝動状態を表している)によって駆動することができる。
【0029】
図10に示す状態は、図面上左側の刈り刃板3のカム孔36が、上方の偏心カム34に係合するとともに、右側の刈り刃板3のカム孔37が、下方の偏心カム35に係合している。刈り刃板3,3は、図4に示すようにガイド板13のガイド溝15と、刈り刃板13に突出させた突起14が係合することによって(図10においては記載を省略している)、周方向(図面上の左右方向)にのみ移動することができるものである。
【0030】
図10に示す状態で、駆動軸38を矢印で示すように右方向に四分の一回転させると、図11に示すように上位置にある偏心カム34は、図面上の左位置にある刈り刃板3のカム孔36に係合しているためカム孔36の上方に移動しながら、左位置の刈り刃板3を右方向に移動させる。このとき、下位置にある偏心カム35は図面上の右位置にある刈り刃板3のカム孔37に係合しており、カム孔37の下方に移動しながら右位置にある刈り刃板3を左方向に移動させる。
【0031】
図11に示す状態からさらに駆動軸38が四分の一回転すると、図12に示すように左位置にある刈り刃板3をさらに右方向に、右位置にある刈り刃板3をさらに左方向に移動させ、一対の刈り刃板が最も近づく状態となる。この状態から駆動軸がさらに回転すると、最も近づいている左右の刈り刃板3,3が、前記場合とは逆に移動して図10に示す位置に復帰する。このように、隣接する刈り刃板3,3は、対称的に反対方向の往復運動を行うことになるため、刈り刃板3,3の摺動にともなう振動を打ち消し、全体として静かで安定した運転状況を実現することが可能となる。
【0032】
図8に示すように、個々の刈り刃ユニット2ごとに往復駆動装置27を設けることもできる。この場合、往復駆動装置27を多数必要であるが、個々の刈り刃板3を安定よく駆動させることができる。すなわち、図7に示す往復駆動装置は刈り刃板3の一端を支持させて駆動することになるが、図8に示す往復駆動装置では刈り刃板3の中心位置を支持させて往復駆動することができる。往復駆動装置の具体的な構造は、図10ないし図12において説明したのと同様の偏心カム構造によって実現することができる。すなわち図13に示すように、一つの偏心カム39を刈り刃板3の中心部に形成したカム孔40に係合させ、駆動軸38によって偏心カム39を回転させる。
【0033】
図7、図8に示す実施形態では、一つのエンジン23もしくはモータによって全ての刈り刃板3,3を駆動する構造としているが、例えば個々の刈り刃ユニット2,2に比較的小さな出力のモータを設置してそれぞれ独自に往復駆動させるものであってもよい。この場合、モータローラとして利用されているブラシレスモータを利用すると比較的簡単な構造で実施することができる。このようにエンジンの動力を直接利用しないものであっても、動力源としてエンジンと発電機を搭載して実施することができる。
【0034】
複数の刈り刃ユニット2,2は、隣接するものどうしを屈曲可能な連結手段で連結しておくのが望ましい。連結手段として、図1に二点鎖線で示すようにゴム板のように自由に撓む連結部材で隣接する刈り刃ユニット2,2を連結する。連結手段としては、ピンジョイントのようなものであってもよい。一つの刈り刃ユニット2の上下動は、車輪7の走行面の上下動によって決定される。したがって、隣接する刈り刃ユニット2,2の上下位置が異なると刈り高さに段差を生じることになり、必ずしも作業面に沿って一定高さに刈り取られるとは限らなくなる。特に作業面に複雑な起伏のある場合には刈り高さに段差を生じることになるが、隣接する刈り刃ユニットどうしで屈曲可能な状態で連結しておくと、隣接する刈り刃ユニットの車輪位置を結んだ傾斜方向に刈取作業を行うことができ、全体として滑らかな状態に芝や草を刈ることができる。すなわち、ふとんやシートのような柔らかな平面が作業面をなめるように刈り取り作業を進めることが可能となるものである。
【0035】
図1や図2に示す実施形態では、主フレーム1を中心として、放射方向に6個の刈り刃ユニット2,2を配置し、その外周を円形に形成しているが、より多くのもしくはより少数の刈り刃ユニット2,2で構成するものであってもよい。また、刈り刃板3,4の形状は必ずしも円弧状である必要はなく、直線的な刈り刃板で構成してもよい。その場合は、全体の平面形状が多角形に形成されることになる。また、走行機能のある車輪を主フレーム1に備え、刈り刃ユニット2の車輪7は作業面高さの倣い手段としてのみ機能させることも可能である。
【0036】
さらに、刈り刃ユニット2,2は必ずしも主フレーム1の全外周に配置する必要はない。例えば、図15に示すように、走行車輪48を備えた主フレーム1の進行方向の前方にのみ刈り刃ユニット2,2を配置することもできる。図15に示す実施形態においては、主フレーム1に備えた走行車輪48に回転駆動力を具備させ、刈り刃ユニット2,2の車輪7,7は自由に空転するものとすることができる。しかしながら、逆に刈り刃ユニット2,2の車輪7,7を走行駆動させ、主フレーム1の車輪を空転するものとして実施することもできる。
【0037】
本発明に係る芝、草刈り機は、図16に示すように全体にカバー41を装着するとともに操作ハンドル42を取り付け、操作ハンドル42にスイッチ43や方向変換レバー44を備えた操作ハンドル式として実施することができる。図15に示す実施形態も操作ハンドル式の草刈り機としての実施形態を示している。しかしながら、本発明は、これを図17に示すような無人の自走式の草刈り機として実施することもできる。
【0038】
図17に示す実施形態の自走式の草刈り機は、全体の平面形状が円形であって、全外周が刈り刃板3,4によって囲まれ、機体がいずれの方向に移動しても刈取作業を行うことができるようにしている。そして、機体の一部には、運転制御装置45が搭載され、車輪7の回転方向や向きなどを自動もしくは遠隔操作で制御することができるようにしている。
運転の制御手段としては、無線もしくは有線のリモートコントロール方式、衛星からの電波を利用するGPS制御による自動運転、ライン敷設したAGV方式による自動運転システムなどが考えられる。
【0039】
なお、一つの機種について、刈り刃ユニット2,2の形状、大きさを共通とすることによって互換性を持たせておくと、製造及びメンテナンスの上で極めて効率的である。また、各刈り刃ユニット2,2に設ける車輪7は、必ずしも走行車輪である必要がないことは先に述べた通りであるが、複数の刈り刃ユニット2,2のうちの一部、例えば半数の車輪7にのみ駆動機能を持たせ、他の車輪には倣い機能をのみ持たせる組み合わせも可能である。
【0040】
本発明に係る草刈り機の刈り刃板3,4は、高速回転を行う刈り払い機のように、一枚の円板状に形成するものではない。従って、その大きさや構成する刈り刃ユニット2,2の数は自由に設定することができ、全体として例えば直径1メートル以上の大きなものとすることが可能である。このように全体の大きさを大きなものとすれば、例えば広大なゴルフ場の芝や草刈りに利用し、能率的に作業を進めることが可能となる。また、より大きなものとし、全体の中心に作業者が乗り込んで操作をする乗用の草刈り機として実施することも可能である。なお、全周が刈り刃板3,4で囲われるものでは、どの方向に移動しても草刈り機能を備えるものであるが、現実には進行方向の前端にある刈り刃板2,2のみが草刈りの作業を行うものである。したがって、車輪7の方向変更と連動させて、進行方向にある刈り刃板3,4のみを往復駆動し、進行方向の反対側に位置する刈り刃板の駆動を停止させるようにすると、省エネルギー運転となり耐久性の面からも合理的である。
【0041】
主として、全周が刈り刃板3,4で囲われる形式のものでは、図17に示すように無人の自走式草刈り機とすることができることは先に説明した通りである。この、無人の自走式草刈り機とする場合は、作業者に肉体的負担をかけないとともに、山林の下草刈りのように作業者が入り込むこと自体が危険な場所の草刈り作業を安全に行うことができる。また、足場の悪い場所であっても、作業者が立ち入ることなく作業を進められる。このように作業面の条件が良くない場合には、刈り刃ユニット2に装着する走行車輪7を、図示例のようなスパイク付きの車輪としておけば能率的に作業を進めることができる。
【発明の効果】
【0042】
請求項1記載の本発明芝草刈り機によれば、主フレームから外方に向けて配置した複数の刈り刃ユニットが、それぞれ地表面、すなわち作業面の地形の凹凸に沿って上下動する。そのため、常に作業面から一定の高さで刈取作業を行う、すなわち一定の刈り高さで刈ることができる。
【0043】
請求項2記載の発明によれば、主フレームの全周が刈り刃板によって囲まれるため、機体をいずれの方向に移動させても、進行方向の刈り刃板によって刈り取り作業を行わせることができる。このことは、車輪が常に刈り取られた後の作業面を走行し、かつその走行面の高さによって刈り取り位置が決定されることからより一定の高さに芝や草を刈り取ることが可能となる。
【0044】
請求項3記載の発明によれば、車輪アームと刈り刃アームを別個に形成し、両者を関連付けることによって、請求項1及び2記載の発明を容易に実施することができる。
【0045】
請求項4記載の発明によれば、全体の平面形状が円形となり、全方向性の芝、草刈り機として機能的な形態となる。また、車輪が接地している車輪アームから吊り下げるようにして刈り刃ユニットを支持するため、安定した状態で刈り刃ユニットを支持することができる。
【0046】
請求項5記載の発明によれば、刈り刃ユニットに装着する車輪が走行車輪としての機能と、刈り刃ユニットの高さ調整のための倣い手段としての両方の機能を兼ねる。そして、全ての車輪が連動してその方向を変更することによって、あらゆる方向への方向転換が可能となり、複雑な平面形状の作業面であっても、刈り残しなく刈ることができる。
【0047】
請求項6記載の発明によれば、地形に沿って刈り刃板が上下する芝、草刈り機を操作ハンドルの操作によって使用することができる。したがって、操作ハンドルに設けた制御手段によって微妙な操作が可能であり、細かな作業を行うことができる。この場合においても、機体の移動は車輪の回転駆動によって行われ、作業者は押すなどの力を必要としない。
【0048】
請求項7記載の発明によれば、芝、草刈り機そのものを無人走行させ、草刈りロボットとして機能するため、例えば広大なゴルフ場などにおいて、省力化を図ることができる。また、無人走行させることによって作業場所として作業者が入り込むことに問題のある危険な場所などの草刈り作業を能率的に進めることができる。
【0049】
請求項8記載の発明によれば、主動力源として経済的なエンジンを利用し、具体的な駆動手段として微妙な制御が可能なモータを利用することにより、経済性と機能性を兼ね備えた芝、草刈り機を実現することができる。
【0050】
請求項9記載の発明によれば、隣接する刈り刃ユニットどうしを屈曲可能な状態で連結する。したがって、隣接する刈り刃ユニットは単に車輪の通過する地形に沿って上下動し、その状態で一定の高さに刈り取るだけでなく、隣接する刈り刃ユニットと連続的に高さの変化を行う。したがって、刈り取られた作業面に刈り高さの段差が発生せず、複雑な凹凸の地形であってもきれいに高さの揃った状態に刈ることができる。
【0051】
請求項10記載の発明によれば、隣接する二つの刈り刃ユニットの刈り刃板を、一つの往復駆動装置によって駆動させるため、それだけ構造を簡略化することができるとともに、刈り刃板を対称的に反対方向に駆動することにより振動を打ち消し、静かで安定した運転状況を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動力伝達機構を省略し、主要な機構上の構造の一例を示す芝、草刈り機の全体の平面図、
【図2】図1に示す芝、草刈り機の底面図、
【図3】一つの刈り刃ユニット部分のみの、芝、草刈り機の縦断面図、
【図4】一つの刈り刃ユニットのみの分解斜視図、
【図5】図1における芝、草刈り機における車輪の方向変換用駆動装置の一例を示す平面図、
【図6】図5の状態から、車輪を右方向に回動させた状態を示す、方向変換用駆動装置の平面図、
【図7】隣接する二つの刈り刃ユニットの刈り刃板を、一つの往復駆動装置で駆動する往復駆動装置全体の平面図、
【図8】個々の刈り刃ユニットごとに駆動する、往復駆動装置全体の平面図、
【図9】往復駆動装置の平面図、
【図10】往復駆動装置のカム機構の平面図、
【図11】図10に示す状態から偏心カムが四分の一回転した状態のカム機構の平面図、
【図12】図11に示す状態から偏心カムが四分の一回転した状態のカム機構の平面図、
【図13】一つの刈り刃板を駆動する往復駆動装置のカム機構の平面図、
【図14】刈り高さの調節機構の一例を示す縦断面図、
【図15】主フレームの進行方向にのみ刈り刃ユニットを装着した実施形態を示す、芝、草刈り機全体の平面図、
【図16】全体の平面形状を円形に形成するものであって、操作ハンドルを設ける実施形態の芝、草刈り機全体の斜視図、
【図17】全体の平面形状を円形に形成するものであって、自走式とした実施形態の芝、草刈り機全体の斜視図。
【符号の説明】
1…主フレーム、 2…刈り刃ユニット、 3,4…刈り刃板、 5…刈り刃アーム、 6…車輪アーム、 7…車輪、 8…貫通孔、 9…取付台、 10…支持軸、 11…ネジ軸、 12…リンク杆、 13…ガイド板、 14…突起、 15…ガイド溝、 16…軸、 17…車輪支持台、 18…車輪軸、 19,20…取付孔、 21,22,26,29,31…スプロケット、 23…エンジン、 24…モータ、 25,47,32…無端状チェーン、 27…往復駆動装置、 28…出力軸、 30…入力軸、 33ケーシング、 34,35,39…偏心カム、 36,37,40…カム孔、 38…駆動軸、41…カバー、 42…操作ハンドル、 43…スイッチ、 44…方向変換レバー、
45…運転制御装置、 46…連結部材、 48…走行車輪。
【出願人】 【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
【住所又は居所】兵庫県加西市北条町栗田223番地
【出願日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【代理人】 【識別番号】100103654
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦

【識別番号】100087996
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 進

【識別番号】100118522
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦

【公開番号】 特開2004−129506(P2004−129506A)
【公開日】 平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願番号】 特願2002−294653(P2002−294653)