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【発明の名称】 傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置
【発明者】 【氏名】岡村 清

【氏名】村上 隆之

【要約】 【課題】茶畝跨走型茶刈装置が傾斜面に位置した際に、前記検知板が受ける重力によって回動軸に生起する回転力を打ち消すためのカウンターウェイトを具えることにより、茶畝に沿った正確な走行をすることのできる、新規な傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置の開発を技術課題とした。

【解決手段】検知板60には、傾斜面Sにおいて前記検知板60が受ける重力によって回動軸62に生起する回転力を打ち消すためのカウンターウェイト7のトルクが作用することを特徴として成るものであり、傾斜面Sにおいて、検知板60には重力が作用するものの、この重力による検知板60の回動を引き起こしてしまうことを回避しながらも、茶畝Tの曲がりによる検知板60の回動を阻害することがないため、茶畝跨走型茶刈装置1の走行を、茶畝Tに沿った正確なものとすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝を跨いで走行する走行体を左右独立的に駆動することのできる走行機ユニットと、この走行機ユニットに搭載され摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機ユニットと、茶畝の曲がり具合を検出するための茶畝センサとを具えて成り、前記茶畝センサによって検出された茶畝の状況に応じて、装置の走行方向を制御することのできる茶畝跨走型茶刈装置において、前記茶畝センサは、回動軸において回動自在に支持されて、跨いでいる茶畝と接触する検知板と、この検知板の動きに応じた電気信号を出力するセンサユニットとを具えて成り、且つ前記検知板には、傾斜面において前記検知板が受ける重力によって回動軸に生起する回転力を打ち消すためのカウンターウェイトのトルクが作用することを特徴とする傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置。
【請求項2】
前記カウンターウェイトは、走行体の上方に位置するように具えられたことを特徴とする請求項1記載の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置。
【請求項3】
前記カウンターウェイトは、前記回動軸に接続されるウェイト支持杆に対してウェイト片を着脱自在に具えて成るものであることを特徴とする請求項1または2記載の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動操舵機構を具えた茶畝跨走型茶刈装置に関するものであって、特に傾斜面においても茶畝の曲がりを正確に検知して、茶畝に沿った走行を正確に行うことのできる構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば茶葉の摘採作業、茶樹の剪枝作業、肥料や農薬等を散布する施肥・防除作業等の茶園管理作業を行うにあたり、省力化とともに、これらの作業の効率化を図るために、茶畝を跨いで走行するタイプの種々の管理装置が提供されている。これらは、大別すると茶園にあらかじめ敷設されたレール上を走行するレール走行式のものと、クローラ等を走行体に適用した接地走行式のものとがある。このうち接地走行式のものにあってはレール等のガイド部材がないため、茶畝に沿った正確な走行を省力的に行うための自動操舵機構を具えたものが実用化されている。
【0003】
このような自動操舵機構を具えた従来の茶畝跨走型茶刈装置1′は、図8(a)に示すように、茶畝Tを跨ぐように形成した門型状のフレーム20′下部に、左右一対のクローラを含んで成る走行体21′を具えるとともに、油圧ポンプと油圧モータとを主要部材として前記走行体21′を左右、独立的に駆動できる油圧駆動系統を具えて成るものである。そして前記走行体21′の左右の走行状態と茶畝Tの両側部位置とを検出する茶畝センサ6′を具え、前記茶畝センサ6′によって検出された茶畝Tの状況に応じて左右の油圧ポンプから油圧モータの間にバイパス経路を形成して油圧の供給量を調整することにより、走行方向を制御するものである。また前記茶畝センサ6′による茶畝Tの状況の検出は、図7に示すように茶畝Tの左右側面に常時接触するように構成された検知板60L′、60R′の回動角度差をセンサユニット61L′、61R′が変動値として出力することにより行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながらこのような茶畝跨走型茶刈装置1′が傾斜面Sに植生された茶畝Tに臨んだときには、図8(c)(d)に示すように前記茶畝センサ6′を構成する検知板60′のうち、特に斜傾面Sの下方側に位置する検知板60R′は茶畝Tから離れて傾斜面Sの下方側に回動してしまう。このため5°以上の傾斜面Sでは、実際に茶畝Tが曲がっていない場合であっても走行方向が傾斜面Sの下方側に向かうように修正されてしまうため、搭乗者が手動で修正する必要があった。
【0005】
このように検知板60R′が不用意に回動してしまうような現象は、前記検知板60′はスプリングの作用によって回動軸62′に一定方向の回転力が与えられ、茶畝Tに対して常時接触するように構成されているものの、検知板60′が受ける重力によって前記スプリングの作用を打ち消すような回転力が生じることによるものである。なお傾斜面Sの上方側に位置する検知板60L′についても同様に重力の影響を受けるものであるが、図7に示すように規制杆65′がフック66′に係合するため、検知板60L′が過度に回動してしまうことはない。
【0006】
【特許文献1】
特許第2760970号明細書(〔0020〕欄〜〔0024〕欄、
図1、3)
【0007】
【開発を試みた技術的課題】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、茶畝跨走型茶刈装置が傾斜面に位置した際に、前記検知板が受ける重力によって回動軸に生起する回転力を打ち消すためのカウンターウェイトを具えることにより、茶畝に沿った正確な走行をすることのできる、新規な傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置の開発を技術課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置は、茶畝を跨いで走行する走行体を左右独立的に駆動することのできる走行機ユニットと、この走行機ユニットに搭載され摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機ユニットと、茶畝の曲がり具合を検出するための茶畝センサとを具えて成り、前記茶畝センサによって検出された茶畝の状況に応じて、装置の走行方向を制御することのできる茶畝跨走型茶刈装置において、前記茶畝センサは、回動軸において回動自在に支持されて、跨いでいる茶畝と接触する検知板と、この検知板の動きに応じた電気信号を出力するセンサユニットとを具えて成り、且つ前記検知板には、傾斜面において前記検知板が受ける重力によって回動軸に生起する回転力を打ち消すためのカウンターウェイトのトルクが作用することを特徴として成るものである。
この発明によれば、傾斜面において、検知板には重力が作用するものの、この重力にる検知板の回動を引き起こしてしまうことを回避しながらも、茶畝の曲がりによる検知板の回動を阻害することがないため、茶畝跨走型茶刈装置の走行を、茶畝に沿った正確なものとすることができる。
【0009】
また請求項2記載の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置は、前記要件に加え、前記カウンターウェイトは、走行体の上方に位置するように具えられたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、カウンターウェイトは走行体が走行する畝間の上方に位置することとなり、例えば隣の茶畝との接触を回避することができるため、検知板による茶畝の状況の検出を阻害してしまうことがない。
【0010】
更にまた請求項3記載の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記カウンターウェイトは、前記回動軸に接続されるウェイト支持杆に対してウェイト片を着脱自在に具えて成るものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、傾斜面の傾斜角度に応じてウェイト片を交換することができる。
そしてこれら各請求項に記載した発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置について図示の実施の形態に基づいて説明する。なおこの実施の形態では、茶畝跨走型茶刈装置1として作業者が搭乗する乗用型の装置について説明するが、この他にも例えば作業者が搭乗することなく装置のみが走行して行くいわゆる自走式の装置であっても本発明の適用対象となり得るものである。
【0012】
前記茶畝跨走型茶刈装置1は、一例として図1、2に示すように、茶畝Tを跨ぐように走行する走行機ユニット2と、この走行機ユニット2によって支持される茶刈機ユニット3と、この茶刈機ユニット3の後方に設けられ摘採茶葉を収容するコンテナ型の収容部4と、茶刈機ユニット3から収容部4まで茶葉Aを移送する中継移送装置5と、茶畝Tの曲がり具合を検出するための茶畝センサ6と、カウンターウェイト7とを主要部材として具えて成る。
そして茶畝跨走型茶刈装置1は、前記茶刈機ユニット3を適宜取り替えることによって剪枝作業または摘採作業が選択的に行えるようにしたものであり、剪枝作業を行う際には茶刈機ユニット3として剪枝機ユニットが取り付けられ、一方、摘採作業を行う際には茶刈機ユニット3として摘採機ユニットが取り付けられる。
【0013】
このように本明細書中において茶刈機ユニット3とは、樹形を整え樹勢の回復を図るため枝幹を剪除する剪枝機ユニットと、茶葉の摘採を行う摘採機ユニットとを総称するものとする。また本明細書中において左右の部材を区別する必要がある場合には、それぞれ符号にL、Rを付して区別するものであり、ここでいう左右とは、茶畝跨走型茶刈装置1が進行方向に向かった状態で搭乗者の視線での左右を意味するものとする。
以下茶畝跨走型茶刈装置1を構成する各構成要素について具体的に説明する。
【0014】
まず前記走行機ユニット2について説明する。この走行機ユニット2は、茶畝Tを跨いで走行できるようにするために走行方向側から見てほぼ門形を成すフレーム20を機枠部材とする。このフレーム20は畝間のスペース上に立ち上がるように位置する左右の脚部フレーム20Aと、その脚部フレーム20Aの上端を水平に結ぶような上部フレーム20Bと、更に脚部フレーム20Aに対し昇降自在に取り付けられる昇降フレーム20Cとを具えて成る。そして前記脚部フレーム20Aの下端には一例としてクローラを適用した走行体21が設けられる。
【0015】
前記走行体21は、図3に示すように右側の走行体21Rを駆動する油圧駆動系統210Rと、左側の走行体21Lを駆動する油圧駆動系統210Lとにより左右がそれぞれ独立して駆動されるものである。
そしてこの二つの油圧駆動系統210L、210Rは、後述する原動機22によって回転駆動される可変容量型の油圧ポンプ211L、211Rと、この油圧ポンプ211L、211Rから圧油が供給されて走行体21L、21Rを直接駆動する油圧モータ212L、212Rとをそれぞれ具えて成るものである。
そして前記油圧ポンプ211L、211Rの容量を変化させるにあたっては、図4に示すように各油圧ポンプ211に設けられているコントロールレバー213L、213Rを開閉させることによって、圧油の出力量を調節可能に構成する。この実施の形態では、前記コントロールレバー213L、213Rをアクチュエータ214L、214Rによって開閉し、最終的に左右の走行体21L、21Rの回転数を変化させ、走行方向を制御するようにしている。
【0016】
なおこの実施の形態では、一例として図4(a)に示すように摺動子を伸縮させることによって、コントロールレバー213L、213Rを開閉させるシリンダタイプのアクチュエータ214L、214Rを適用するものであるが、例えば図4(b)に示すようにモータタイプのアクチュエータ214L、214Rを適用し、これを回転させて油圧ポンプ211L、211Rの出力量そのものを変更させる形態等も採り得る。
【0017】
更に前記上部フレーム20Bの上部には茶畝跨走型茶刈装置1に乗車した作業者が座る操縦席25や、操縦のためのコントロールボックス26を具えるものである。そして操縦席25の側傍には、例えばディーゼルエンジン等を適用した原動機22を搭載するものであり、一例としてこの原動機22により前記油圧ポンプ211を駆動し、これら油圧ポンプ211により供給される作動油により前記走行体21の駆動や茶刈機ユニット3における刈刃30の駆動、更には前記昇降フレーム20Cの昇降シフトのためのシリンダ(図示略)の駆動を行う。
更に茶刈機ユニット3によって刈った茶葉Aを風送するためのファン23を前記上部フレーム20B上に設けるものであって、このものは一例として原動機22の回転により駆動されるものとした。そしてファン23からは送風ダクト24を通じて圧力風が茶刈機ユニット3側に供給される。
【0018】
次に前記茶刈機ユニット3について説明すると、このものは茶葉の摘採や枝幹の剪除を行うものであり、上述したように仕様に応じてロータリーカッター型またはバリカン型の刈刃30を具えた剪枝機ユニットまたは摘採機ユニットを用いる。そして茶刈機ユニット3は、前記昇降フレーム20Cに対して着脱自在に具えられることによって昇降動され、実質的な刈り取り作用高さが調整可能に構成される。なお茶刈機ユニット3を着脱自在に取り付ける昇降フレーム20Cには、適宜のコロが設けられ、このものが脚部フレーム20Aに沿って転接するように構成され、茶刈機ユニット3、収容部4、中継移送装置5を全体的にチェーン等により吊持した状態で昇降動するものである。
【0019】
次に前記収容部4について説明すると、このものは摘採作業時に収穫された摘採茶葉を収容する部位であり、この実施の形態においては上方が開口されたコンテナ41を主要部材として構成される。
【0020】
次に前記中継移送装置5について説明すると、このものは茶葉Aを茶刈機ユニット3の後方から収容部4の上部まで上昇移送するものであり、図2に示すように、茶刈機ユニット3から収容部4の上部まで立ち上げられた中継ダクト51を主要部材として構成される。そしてこの中継ダクト51には前記ファン23による移送風が吹き込まれて、茶葉等を収容部4まで上昇移送するものである。
【0021】
次に茶畝センサ6について説明すると、このものは茶畝Tの両側部位置を検知して茶畝Tの曲がり具合を検出するための装置であって、茶畝Tの側部に対して接触する検知板60の動きに応じた電気信号を出力するいわゆるポテンショメータ等を適用したセンサユニット61を具えて成る。
具体的には図1、5に示すように前記脚部フレーム20Aに対して、回動軸62をほぼ鉛直状に左右一対で具え、この回動軸62に対して固定した二本の支持杆63に対して前記検知板60を具えるものである。この検知板60は一例として金属板をほぼ半円筒形状に形成して成るものであり、適宜半円筒内側に補強材が設けられる。
そして回動軸62には図示しないスプリングの作用によって一定方向の回転力が与えられ、検知板60を常時内側(茶畝T側)に回動するような状態とするものである。なおこの検知板60の回動は、回動軸62に具えた規制杆65と、脚部フレーム20Aに具えたフック66とが係合状態となることにより、検知板60が必要以上に内側に向かわないように制限されるものである。
【0022】
このように検知板60は、走行機ユニット2の下部に水平面内で回動自在に取り付けられ、茶畝Tの側部との接触の度合いに応じて回動するため、茶畝Tの曲がり具合によって左右の検知板60R、60Lの回動角度が異なってくるものであり、この回動角度差をセンサユニット61R、61Lが変動値として出力し、これを利用して茶畝Tの曲がり具合を検出するものである。
そして茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵を行う際には、上記茶畝センサ6によって検出された回動角度差と、コントロールレバー213R、213Lの開閉変位量とが電気信号として出力され、これらの値がコントローラ215によって比較されて、茶畝センサ6の検出値に応じたコントロールレバー213R、213Lの開閉量が設定されるものである。
なお前記支持杆63については曲折自在に構成することにより、検知板60を前方側に退避できるような構成とし、茶刈機ユニット3の交換作業を行う際の作業性の向上を図るようにしてもよい。
【0023】
そして上述したように構成される茶畝センサ6に対してカウンターウェイト7を具えるものであり、このものは茶畝跨走型茶刈装置1が傾斜面Sに植生された茶畝Tに臨んだ際に、前記検知板60が受ける重力によって回動軸62に生起する回転力を打ち消すための部材である。具体的には前記回動軸62における支持杆63よりも前方の部分に対してウェイト支持杆71を接続し、このウェイト支持杆71の先端部分にウェイト片72を一例として着脱自在に具えるものである。なお前記ウェイト片72の重量は、傾斜面Sの傾斜角度に応じて適宜選択されるものである。また前記ウェイト支持杆71は、図5(b)の平面図に示すように前記回動軸62の回動範囲において、常にウェイト片72が走行体21の上方に位置するように、前記支持杆63の延長線上に位置しないような屈曲させた状態で回動軸62に対して取り付けるものとする。またウェイト支持杆71をこのように屈曲させた状態で回動軸62に対して取り付けることにより、茶畝跨走型茶刈装置1が傾斜面Sに植生された茶畝Tに臨んだ際に、検知板60が受ける重力によって回動軸62に生起する回転力を打ち消すようにウェイト片72によるトルクが作用する動作がスムーズに行われることとなる。更にまた回動軸62に対するウェイト支持杆71の接続個所については、隣接する茶畝T同士の間のスペースは下方に行く程広く空いているため、できるだけ下方とすることが好ましい。
【0024】
更にまたこの実施の形態では、前記ウェイト支持杆71はアングル材を組み合わせて構成するものであり、図5(a)に示すように、直方体状のウェイト片72の下面及び側面と接するような下面接触部73及び側面接触部74を形成する。これら下面接触部73及び側面接触部74を設けることにより、ウェイト片72の位置決めを容易に行うことができる。
また前記ウェイト片72に対しては埋込ボルト75を二本具えるものであり、この埋込ボルト75をもう一片のウェイト片76に形成したボルト孔76aに挿通状態とし、ウェイト片72とウェイト片76とによってウェイト支持杆71を挟持した状態でナット77により締結するものである。なおこのようにウェイト片72に対して埋込ボルト75を具える構成とした場合には、ボルトの挿通作業が簡素なものとなり、作業性が向上する。
【0025】
本発明の「傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置」は一例として上述したように構成されるものであり、以下この装置の作動態様について説明する。
まず茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵の原理について説明すると、茶畝跨走型茶刈装置1の走行が開始されると、二つの検知板60L、60Rを具えて成る茶畝センサ6によって茶畝Tの両側部位置が測定され、茶畝Tの曲がり具合が検出される。この際、二つの検知板60L、60Rのうち、茶畝Tの曲がっている方向に位置する検知板60が、もう一方の検知板60よりも茶畝Tの側部に強く接触し、回動角度も大きくなるため、二つの検知板60L、60Rに回動角度差が生じ、これがセンサユニット61L、61Rによって検出されて茶畝Tの曲がり具合が判断される。なおここで検知板60の回動角度とは、実質的に回動軸62の回転角度と同じであり、図5に示すようにフック66に対して規制杆65が係合した状態を基準とし、検知板60が外側に回動した際の角度がセンサユニット61によって検出されるものである。
【0026】
このように二つの検知板60L、60Rの回動角度差を検出することによって、茶畝Tが右曲がり状態にあるのか、左曲がり状態にあるのか、あるいは直線状態にあるのかが判別されるものであり、以下のようにして実際の自動操舵が行われる。なお以下の説明は図6(a)(b)に示すように平地Fに植生された茶畝Tに臨んだ茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵による走行の様子を説明した後、図6(c)(d)に示す傾斜地Sに植生された茶畝Tに臨んだ茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵による走行の様子を説明する。
【0027】
〔I.平地での自動操舵〕
まず平地Fに植生された茶畝Tに臨んだ茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵について説明するものであり、ほぼ直線状態の茶畝Tを走行する場合について説明すると、このとき茶畝Tと接する左右の検知板60L、60Rの角度差はほとんど検出されないため、左右の油圧ポンプ211L、211Rの出力量は現状のまま維持されることとなる。従って左右の走行体21L、21Rの走行速度もそのまま維持され、再度、検知板60L、60Rによる回動角度差の検出が行われ、左右の検知板60L、60Rの角度差が生じるまで茶畝跨走型茶刈装置1の直進が保たれることとなる。このように、茶畝センサ6による検出及びコントローラ215による油圧駆動系統の制御を繰り返し行うことにより、自動操舵走行が行われるものであり、左右の検知板60L、60Rの角度差から茶畝Tが右に曲がっていることが検出された場合には、右側の走行体21Rを駆動するための油圧ポンプ211Rの出力量が減少される。
【0028】
この際、油圧ポンプ211Rの出力量の減少は、アクチュエータ214Rの伸張または収縮によってコントロールレバー213Rを閉じることによって行われるが、コントロールレバー213Rの閉鎖量は、茶畝センサ6によって検出された回動角度差に応じ、コントローラ215によって設定されるものである。具体的には、茶畝センサ6の出力量と、コントロールレバー213Rの出力量とが電気信号として出力され、これら出力値がコントローラ215によって比較されながら、相応するコントロールレバー213Rの閉鎖量が決定されるものである。そして油圧ポンプ211Lの出力量が減少されることに伴い、右側の油圧モータ212Rは、回転数が減少し、右側の走行体21Rのみが回転速度を低下させ、管理機全体が右旋回を実行する。なお右旋回実行中も茶畝センサ6による検出及び油圧ポンプ211Lの出力量の設定等は、継続して行われ、検知板60L、60Rの回動角度差が、なくなった時点で右旋回を終了して直線走行に移行する。
【0029】
そして自動操舵を終了するにあたっては、例えば管理機が茶畝Tの端部まで達したことを茶畝センサ6によって感知し、作業を終了するものである。しかしながら、このような自動操舵走行は、作業者の判断により、どの位置からでも手動操舵機構が割り込んで入り込めるため、直接作業者が終了させることも可能である。
【0030】
〔II. 傾斜地での自動操舵〕
次に傾斜面Sに植生された茶畝Tに臨んだ茶畝跨走型茶刈装置1の自動操舵の様子について説明する。ここで前記傾斜面Sは、一例として図7(c)に示すように茶畝跨走型茶刈装置1の左側に向かって傾斜角度15°で上昇するものとする。そしてこのような傾斜面Sに植生された茶畝Tに茶畝跨走型茶刈装置1が臨んだときには、検知板60が受ける重力によって回動軸62に回転モーメントが生起するものであり、従来は発明の背景で述べ図8(d)に示すように、茶畝センサ6′を構成する検知板60′のうち、特に斜傾面Sの下側に位置する検知板60R′は、茶畝Tが曲がっていない場合であっても傾斜面Sの下方側に回動してしまい、この結果、油圧ポンプ211R′の出力量がアクチュエータ214R′によって変更され、茶畝跨走型茶刈装置1の走行方向が傾斜面Sの下方に向かうように修正されてしまうことがあった。
【0031】
しかしながら本発明によれば、回動軸62に対してカウンターウェイト7を具えているため、検知板60には重力が作用するものの、この重力によって回動軸62に生起する回転力はカウンターウェイト7に作用する重力によって回動軸62に生起する回転力によって打ち消されることとなる。このため重力による検知板60の回動を回避しながらも、茶畝Tの曲がりによる回動軸62の回転を阻害してしまうことがなく、左右の検知板60L、60Rの角度差は茶畝Tの状態を正確に示すものとなり、茶畝跨走型茶刈装置1の走行を茶畝Tに沿った正確なものとすることができるものである。
なおコントローラ215による油圧駆動系統の制御については上記平地での自動操舵で説明した内容と同様であるためここではその説明を省略する。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、茶畝跨走型茶刈装置1が傾斜面Sに植生された茶畝Tに臨んだ際に、検知板60が受ける重力によって回動軸62に生起する回転力を打ち消すためのカウンターウェイト7を具えることにより、茶畝跨走型茶刈装置1の走行を茶畝Tに沿った正確なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の傾斜面での自動操舵性を高めた茶畝跨走型茶刈装置を一部拡大して示す斜視図である。
【図2】同上側面図及び正面図である。
【図3】茶畝跨走型茶刈装置の操舵機構回路を骨格的に示す説明図である。
【図4】アクチュエータの二種の実施の形態を示す平面図である。
【図5】カウンターバランスを示す斜視図、平面図及び側面図である。
【図6】平地または傾斜面に植生された茶畝に臨んだ茶畝跨走型茶刈装置を示す正面図並びに検知板の様子を示す平面図である。
【図7】従来の茶畝センサ及びその周辺部材を示す斜視図である。
【図8】平地または傾斜面に植生された茶畝に臨んだ従来の茶畝跨走型茶刈装置を示す正面図並びに検知板の様子を示す平面図である。
【符号の説明】
1    茶畝跨走型茶刈装置
2    走行機ユニット
20   フレーム
20A  脚部フレーム
20B  上部フレーム
20C  昇降フレーム
21   走行体
21L  走行体
21R  走行体
210  油圧駆動系統
210L 油圧駆動系統
210R 油圧駆動系統
211  油圧ポンプ
211L 油圧ポンプ
211R 油圧ポンプ
212  油圧モータ
212L 油圧モータ
212R 油圧モータ
213  コントロールレバー
213L コントロールレバー
213R コントロールレバー
214  アクチュエータ
214L アクチュエータ
214R アクチュエータ
215  コントローラ
22   原動機
23   ファン
24   送風ダクト
25   操縦席
26   コントロールボックス
3    茶刈機ユニット
30   刈刃
4    収容部
41   コンテナ
5    中継移送装置
51   中継ダクト
6    茶畝センサ
60   検知板
60L  検知板
60R  検知板
61   センサユニット
61L  センサユニット
61R  センサユニット
62   回動軸
63   支持杆
63a  支持杆
63b  支持杆
631  ピン
632  固定管
633  接続管
634  ボルトナット
65   規制杆
66   フック
7    カウンターウェイト
71   ウェイト支持杆
72   ウェイト片
73   下面接触部
74   側面接触部
75   埋込ボルト
76   ウェイト片
76a  ボルト孔
77   ナット
T    茶畝
S    傾斜面
F    平地
【出願人】 【識別番号】000104375
【氏名又は名称】カワサキ機工株式会社
【出願日】 平成14年9月24日(2002.9.24)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦

【公開番号】 特開2004−113015(P2004−113015A)
【公開日】 平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願番号】 特願2002−277210(P2002−277210)