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【発明の名称】 苗植機
【発明者】 【氏名】山崎 仁史
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】中西 康仁
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】仲 弘和
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】浅野 士郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】苗植機においては、座席の後で走行車体に横長に取付けられている施肥装置の肥料タンクの両側部を折り曲げてその横巾を縮小させるが、このとき、走行車体に補助者が乗るスペースが無くて不便であった。

【解決手段】乗用型の走行車体1の後に苗植装置2が装着され、その走行車体1は座席10の両横に主ステップ13を備え、該主ステップ13の左右には一対の補助ステップ14を備え、下部に繰出部を有する肥料タンク34が座席10の後で走行車体1に横長に取付けられ、その肥料タンク34は走行車体1に固定された中央部34aと縦向の回動軸の回りに回動する左右一対の側部34bで構成され、前記側部34bが前方に回動した状態で補助ステップ14上に位置してその内側の主ステップ13上に補助者が乗るスペースAが形成されるように設けられている苗植機とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用型の走行車体1の後に苗植装置2が装着され、その走行車体1は座席10の両横に主ステップ13を備え、該主ステップ13の左右には一対の補助ステップ14を備え、下部に繰出部37を有する肥料タンク34が座席10の後で走行車体1に横長に取付けられ、その肥料タンク34は走行車体1に固定された中央部34aと縦向の回動軸42の回りに回動する左右一対の側部34bで構成され、前記側部34bが前方に回動した状態で補助ステップ14上に位置してその内側の主ステップ13上に補助者が乗るスペースAが形成されるように設けられている苗植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、施肥装置を備えた乗用型の苗植機に用いるものである。
【背景技術】
【0002】
乗用型の走行車体の後に苗植装置が装着されて苗植機となっている。その苗植機に施肥装置を装着し、苗の移植と同時に肥料の散布を行うものが普及している。そして、その施肥装置の肥料タンクが座席の後で走行車体に横長に取付けられている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5ー304805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植機を路上で運行するようなとき、上記の肥料タンクの両側部を折り曲げてその横巾を縮小させるが、このとき、走行車体に補助者が乗るスペースが無くて不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、乗用型の走行車体1の後に苗植装置2が装着され、その走行車体1は座席10の両横に主ステップ13を備え、該主ステップ13の左右には一対の補助ステップ14を備え、下部に繰出部37を有する肥料タンク34が座席10の後で走行車体1に横長に取付けられ、その肥料タンク34は走行車体1に固定された中央部34aと縦向の回動軸42の回りに回動する左右一対の側部34bで構成され、前記側部34bが前方に回動した状態で補助ステップ14上に位置してその内側の主ステップ13上に補助者が乗るスペースAが形成されるように設けられている苗植機とした。
【0005】
従って、この苗植機は、走行しながら苗を移植する。また、肥料タンク34内の肥料を
繰出部37で繰り出して施肥する。肥料タンク34の側部34bを縦向の回動軸42の回りに前方に回動して補助ステップ14上に位置させて収納することができる。このとき、肥料タンク34の側部34bの内側となる主ステップ13上のスペースAに補助者が乗ることができる。
【発明の効果】
【0006】
よって、肥料タンク34の側部34bが前方に回動した収納状態で補助ステップ14上
に位置してその内側の主ステップ13上に補助者が乗るスペースAが形成されるので、苗植機を路上その他で運行するとき、このスペースAに補助者を安全に乗せて運ぶことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施の一形態を、図面に基づいて説明する。
【0008】
図1,図2のように、走行車体1の後に苗植装置2が装着されて苗植機(田植機)となっている。
【0009】
走行車体1がつぎのように構成されている。主歯車箱3からフレーム4が後に伸び、その後端に左右一対の後輪歯車箱5が設けられている。それぞれ一対の前輪6と後輪7が主歯車箱3の両横とそれぞれの後輪歯車箱5の外側に配置されている。エンジン8がフレーム4の上に取付けられ、その動力で前輪6と後輪7が水田の耕盤上で回転して走行車体1が進行するようになっている。なお、後輪7は、内側の主輪7aと、その外側の第1補助輪7b及び第2補助輪7cで構成し、第1補助輪7bおよび第2補助輪7cを着脱自在または左右に移動自在に設けることができる。
【0010】
箱型のカバー9でエンジン8が被われ、その上に座席10が設けられている。ステアリングハンドル11がその前に設けられ、その操作で前輪6が操縦されて走行車体1の進路が変わるようになっている。
【0011】
多段の棚12がステアリングハンドル11の左右に設けられ、予備の苗が載るようになっている。
【0012】
主ステップ13がカバー9の前方と左右に設けられ、その左右に一対の補助ステップ14が張り出すような形に設けられ、これらにオペレータや補助者が乗り得るようになっている。
【0013】
支柱15がフレーム4の後部から上に伸び、これとその後の昇降枠16に平行な一対のリンク17の両端が取付けられている。油圧シリンダ18がフレーム4に取付けられ、ピストンロッド19がこれから斜後上に伸び、その突端がリンク17に一体のアーム20に接続し、油圧シリンダ18に油を供給すると、ピストンロッド19が突出して昇降枠16が上昇し、その油をタンクに戻すと、ピストンロッド19が戻って昇降枠16が下降するように出来ている。
【0014】
苗植装置2がつぎのように構成されている。苗植歯車箱21が昇降枠16にローリング軸で左右に揺動自在に取付けられている。横並びに配置された5個の苗植フレーム22の前端が苗植装車箱21と一体的に設けられ、それぞれの後端の両横に回転ケース23が設けられている。エンジン8の動力が伝動軸24で苗植歯車箱21内に導入されたのち、苗植フレーム22内の伝動装置で回転ケース23に到達し、これをその中央の軸の回りに反時計方向(図1)に回している。一対の植込杆25がそれぞれの回転ケース23に取付けられ、その中の遊星歯車により、上記の回転中に同じような姿勢を保って旋回するように出来ている。
【0015】
断面がL字型の苗受板26が苗植フレーム22に横長に固定されている。支柱27が苗植フレーム22の前端から上に伸びている。前上りに傾斜した苗載台28が苗受板26の前部と支柱27の上端で左右に移動自在に支持され、苗植歯車箱21内の前記のエンジン8の動力で左右に往復駆動されるようになっている。なお、苗載台28は、隔壁で区別されて10枚のマット苗が横並びに載り、それぞれのマット苗が苗送装置で後に送られてその後端が苗受板26に載る。苗受板26は、それぞれの区分に苗取口を有し、前記の一対の植込杆25が前記の旋回で交互に上から通過するように出来ている。6個のフロート29が横並びに配置され、走行車体1の前進で泥面を滑走するように出来ている。
【0016】
従って、マット苗の後端が苗載台28で苗受板26上を横に押し動かされてその苗取口上を通過するとき、植込杆25で1株分の苗が欠ぎ取られ、フロート29が整地した泥面にその苗が移植される。
【0017】
苗載台28は、左右それぞれ2個の区分を上に折り畳むように設けることができる。これに併せて、苗受板26もその両端を折り畳み自在または着脱自在に設けることができる。両端の苗植フレーム22も、両端のフロート29とともに、前後方向の軸の回りに上に折り畳む(折り曲げる)ように構成することができる。
【0018】
施肥装置30がつぎのように構成されている。10個の作溝器31がフロート29の下面に固定され、その前進で、苗が移植されてできるそれぞれの苗列の横で泥面に溝を作るようになっている。案内筒32がそれぞれの作溝器31の後端に固定されている。この案内筒32は、下端の後部が欠がれている(図7)。
【0019】
支柱33がフレーム4の後部から上に伸びている。肥料タンク34が中央部34aと一対の側部34bで構成され、座席10の後で横長に配置されている。筒状のエアチャンバー35が中央部35aと一対の側部35bで構成され、肥料タンク34の前部の下方に横長に配置されている(図6)。肥料タンク34の中央部34aは、下部に6個の谷36が横並びに設けられ、それぞれの側部34bには、下部に2個の谷36が横並びに設けられている。10個の繰出部37がそれぞれの谷36から下に伸びてその下端が前後方向の吹出管38につらなっている。中央部34aの6個の吹出管38は、前端が中央部35aにつらなり、他の吹出管38は、前端がそれぞれの側部35bにつらなっている。そして、中央部35aが取付板39で支柱33の上端に固定されている(図4)。
【0020】
図4,図5のように、上から見て台形をした上下一対の支持板40がエアチャンバー35の中央部35aの両端前部に固定され、それぞれの側部35bの内端から内に伸びた支持板41がその間に配置され、両者が上下方向の回動軸42で連結されている。そして、支持板41を回動軸42の回りに回して側部35bが中央部35aの延長線上に位置すると、これらが直線状に連結するとともに、肥料タンク34の中央部34aと側部34bが座席10の後で横長の直線状となり、支持板41を90度前に回すと、その連結が離れ、上から見て、中央部34aと側部34bがコ字形に折れ曲がって座席10を囲み、それぞれの側部34bと座席10の間の主ステップ13、補助ステップ14上に、補助者が乗り得るスペースAが形成できるようになっている(図3)。
【0021】
送風機43が左の側部35bの左端に設けられ、エアチャンバー35内に空気を吹き込むようになっている。
【0022】
中央部35aの両端とそれぞれの側部35bの内端から支持板44,45が後に伸び、回動軸42回りの回動で両者が接近したり開いたりするようになっている。中央部35aの一対の支持板44に繰出入力軸46の中央部46aおよび開度調節軸47の中央部47aの両端が支持されるとともに、側部35bの支持板45にそれぞれの側部46b,47bの内端が支持され、支持板44,45が接近すると、中央部46a,47aに側部46b,46がカップリングで連結され、両者が開くと、その連結が離れるように出来ている。
【0023】
外周に溝48aを有する繰出ロータ48がそれぞれの繰出部37内に設けられ、繰出入力軸46の回転で図6で反時計方向に回転し、その溝48aが肥料タンク34内の肥料を繰り出して吹出管38内に送り込むようになっている。ハンドルが開度調節軸47の端に設けられ、その回転でそれぞれの繰出ロータ48の溝48aの横巾が拡縮し、繰り出される肥料の量が調節できるようになっている。なお、伝動軸24の回転が、図4のクランク65、ロッド66、アーム67およびその元のラチェットを経由して繰出入力軸46に伝わっている。
【0024】
可撓性のホース49の前端がそれぞれの吹出管38の後端に接続し、その後端が、硬質で透明な移送パイプ50(図7,図8)の上端に接続している。移送パイプ50の下端と案内筒32の上端が蛇腹状のブーツ51で連結されている。軟質のパイプ52の上端が移送パイプ50に固定され、その下端が案内筒32の中間に達し、後壁が欠がれている。
【0025】
吹出管38内に繰り出された肥料は、エアチャンバー35から吹き出される空気に乗り、ホース49内を通って案内筒32に達し、それぞれの作溝器31が作った前記の溝内に散布される。ここに、長期に使用していると、散布される肥料の1部またはその粉末がブーツ51のひだに入り込んで固まり、ブーツ51の柔軟性が失われるおそれがあったが、上記の構成によると、移送パイプ50内を送られた肥料がパイプ52でブーツ51よりも下に送られるので、上記のおそれが解消される。また、このパイプ52は、柔軟性の富み、フロート29の揺動や上下動に順応するので、フロート29の性能を害するおそれもない。
【0026】
肥料タンク34内の残留肥料を取り出す装置がつぎのように構成されている。回収パイプ53と送風パイプ54がそれぞれの繰出部37の後に横向に配置されている(図4,図5,図6)。回収パイプ53は、中央部53aと一対の側部53bに分割され、中央部53aの両端がそれぞれの支持板44に固定されるとともに、一対の側部53bの内端がそれぞれの支持板45に固定されている。そして、回動軸42の回りに支持板44,45が回って両者が接近すると、中央部53aの両端に側部53bが接続するように出来ている。送風パイプ54は、中央部54aと左側の側部54bに分割され、中央部54aの左端が左の支持板44に固定されるとともに、その右端が回収パイプ53の中央部に接続している(図9)。また、その側部54bの左端が左の支持板45に固定され、その支持板45が左の支持板44に接近すると、中央部54aに側部54bが接続し、支持板45が支持板44から離れると、両者が離れるように出来ている。
【0027】
送風機43がエアチャンバー35の左の側部35bの左端に縦向の軸55回りに回動自在に取付けられ、その風の吹出口が側部35bの左端に接続したり、後向に突出したりするようになっている。支持筒43aが送風機43に設けられ、送風パイプ54の側部54bの左端に取り付けたフレキシブルパイプ56の他端を支持している。そして、送風機43を図5の位置から軸55の回りに90度回してその吹出口を後に向け、これにフレキシブルパイプ56の他端を接続すると、送風機43が吹き出した空気が送風パイプ54を吹き込まれたのち、その右端から回収パイプ53の中央部に流れ込むようになっている。
【0028】
弁箱57が回収パイプ53の中央に設けられ(図9)、送風パイプ54の右端が案内筒68でその後に接続し、縦向の軸58と一体の弁58aが回ると、送風パイプ54から流れ込んだ空気が右又は左の流れたり、この弁58aが前後方向を向くと、その空気が左右に流れるように出来ている。アーム58bが軸58と一体に設けられ、ピン59aの回りに回動する切換レバー59の突端とその突端がピン60と長孔で接続し、切換レバー59の操作で上記の風向の切換が行われるようになっている。なお、ばね61の両端をピン59a、60に取付けてその切換位置を保持させることができる。
【0029】
それぞれの繰出部37がパイプ62で回収パイプ53に接続し(図6)、弁63をレバー63aで引き上げると、パイプ62の上端が開いて肥料タンク34及び繰出部37内に残っている肥料が回収パイプ53内に流れ落ちるように出来ている。その肥料は、回収パイプ53内を流れる空気で外向に送られ、その端で、メッシュの袋に受け止められる。
【0030】
苗植装置2が多条化(たとえば10条)すると、横巾が広くなって、肥料タンク34内に残留した肥料の回収に当り、強力な送風機が必要となるが、上記の構成によると、残留肥料が多いときは、弁58aの操作により、左右に分けて回収したり、少ないときは、左右同時に回収できてきわめて好都合である。
【0031】
支脚64をエアチャンバー35のそれぞれの側部35bに設け(図4)、これらを前方に折り曲げたときにステップ13(又は14)上に支持するように構成すると、安定性が向上する。その支脚64は、上端を軸64a回りに回動するように設け、使用しないときには折り畳んで収納するように構成すると、便利である。
【0032】
肥料タンク34の中央部34aの両端に一対の畦クラッチレバー70を設け(図1〜図3)、それぞれの操作で両横の苗植フレーム22の回転ケース23が回転したり停止したりするように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明を施した苗植機の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】その1部を折り畳んだ平面図。
【図4】その1部の拡大した側面図。
【図5】その1部の平面図。
【図6】その1部の切断側面図。
【図7】その1部の切断側面図。
【図8】その1部の切断背面図。
【図9】その1部の切断平面図。
【符号の説明】
【0034】
1…走行車体、2…苗植装置、10…座席、13…主ステップ、14…補助ステップ、
34…肥料タンク、34a…中央部、34b…側部、37…繰出部、42…回動軸、A…スペース
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成16年4月27日(2004.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−248679(P2004−248679A)
【公開日】 平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願番号】 特願2004−131365(P2004−131365)