| 【発明の名称】 |
移植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】宇山 昌樹 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
【氏名】中村 八郎 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】移植機における移植部の傾斜自動制御(水平制御)において、傾斜センサの遅れやノイズ信号が傾斜自動制御に反映されることを回避し、安定性に優れた傾斜自動制御を可能にする。
【解決手段】傾斜センサ18の検出値に基づいて水平制御モータ16を駆動し、移植部3の傾斜姿勢を自動制御する乗用田植機であって、移植部3に、その左右傾斜変化速度を検出する角速度センサ19を設け、該角速度センサ19の検出値に基づいて、移植部3の左右傾斜変化方向を判断すると共に、傾斜センサ18の現在の検出値及び過去の検出値に基づいて、移植部3の傾斜変化方向を判断し、これらの判断結果が相違するとき、前記水平制御モータ16への出力を停止させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に左右傾斜自在に連結される移植部と、前記走行機体と移植部との間に介設され、前記移植部を強制的に左右傾斜させるアクチュエータと、前記移植部の左右傾斜を検出する傾斜センサとを備えると共に、前記傾斜センサの検出値に基づいて、前記アクチュエータを自動的に制御する移植機であって、 該移植機に、前記移植部又は走行機体の左右傾斜変化速度を検出する角速度センサと、該角速度センサの検出値に基づいて、前記移植部の左右傾斜変化方向を判断する第1の傾斜変化方向判断手段と、前記傾斜センサの現在の検出値及び過去の検出値に基づいて、前記移植部の傾斜変化方向を判断する第2の傾斜変化方向判断手段と、前記第1及び第2傾斜変化方向判断手段の判断が相違するとき、前記アクチュエータへの出力を停止させるアクチュエータ出力停止手段とを設けたことを特徴とする移植機。 【請求項2】 前記角速度センサは、前記移植部に設けられることを特徴とする請求項1記載の移植機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、傾斜センサの検出値に基づいて、移植部の左右傾斜姿勢を自動的に制御する乗用田植機などの移植機の技術分野に属するものである。 【0002】 【従来の技術】 移植部の左右傾斜姿勢を自動的に制御する移植機が知られている。この種の移植機は、移植部を強制的に左右傾斜させるアクチュエータと、移植部の左右傾斜を検出する傾斜センサとを備えており、該傾斜センサの検出値に基づいて、アクチュエータを自動的に制御するように構成されている。 しかしながら、前記傾斜センサは、傾斜変化に対する応答に遅れがあり、特に、傾斜変化の初期には、逆方向の信号が出力される可能性がある。そのため、傾斜センサの応答遅れに起因し、傾斜自動制御(水平制御)の精度向上に限界がある。 【0003】 近年、移植部の左右傾斜変化速度を検出する角速度センサを更に備え、該角速度センサ及び前記傾斜センサの検出値に基づいて、前記アクチュエータに対する制御出力を演算する移植機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。 このように構成された移植機によれば、傾斜変化に対する応答が速い角速度センサの信号により、傾斜センサの応答遅れを補いながら、傾斜自動制御を行うことが可能になる。 【0004】 【特許文献1】 特許第2919442号公報(第5頁、第9図) 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記特許文献1に示されるものでは、アクチュエータに対する制御出力を、傾斜センサ及び角速度センサの検出値に基づいて逐次演算するため、演算処理能力が高い高価なCPU(マイコン)を必要とし、コストアップを招来するという問題がある。 また、上記特許文献1に示されるものでは、傾斜センサ及び角速度センサの現在値に基づいて制御出力を演算するため、瞬間的に生じる傾斜センサのノイズ的な信号変化にも敏感に反応し、傾斜自動制御の安定性を低下させるという問題がある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行機体に左右傾斜自在に連結される移植部と、前記走行機体と移植部との間に介設され、前記移植部を強制的に左右傾斜させるアクチュエータと、前記移植部の左右傾斜を検出する傾斜センサとを備えると共に、前記傾斜センサの検出値に基づいて、前記アクチュエータを自動的に制御する移植機であって、該移植機に、前記移植部又は走行機体の左右傾斜変化速度を検出する角速度センサと、該角速度センサの検出値に基づいて、前記移植部の左右傾斜変化方向を判断する第1の傾斜変化方向判断手段と、前記傾斜センサの現在の検出値及び過去の検出値に基づいて、前記移植部の傾斜変化方向を判断する第2の傾斜変化方向判断手段と、前記第1及び第2傾斜変化方向判断手段の判断が相違するとき、前記アクチュエータへの出力を停止させるアクチュエータ出力停止手段とを設けたことを特徴とする。 つまり、傾斜センサの現在の検出値及び過去の検出値に基づいて、移植部の傾斜変化方向を判断し、これが、角速度センサの検出値に基づいて判断される傾斜変化方向と相違するとき、ノイズ的な信号であると判断してアクチュエータへの出力を停止させるため、傾斜センサのノイズ的な信号変化が傾斜自動制御に反映されてしまう従来のものに比べ、安定性に優れた傾斜自動制御を行うことができる。 しかも、角速度センサの検出値は、制御出力の演算に用いることなく、単に傾斜変化方向の確認に利用されるため、傾斜センサ及び角速度センサの検出値に基づいて逐次制御出力を演算するもののように、演算処理能力が高い高価なCPUを必要としない。その結果、コストアップを回避しつつ、安定性に優れた傾斜自動制御を行うことが可能になる。 また、前記角速度センサは、前記移植部に設けられることを特徴とする。この場合には、走行機体に角速度センサを設けた場合のように、走行機体の左右傾斜変化に敏感に反応することを回避し、傾斜自動制御の安定性を更に向上させることができる。 【0007】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して移植部3が連結されている。移植部3は、左右両側に苗載台ステー4aが立設される移植部フレーム4と、該移植部フレーム4から後方に延出する複数の植付伝動ケース5と、該植付伝動ケース5の後端部に組付けられる移植機構6と、前記移植部フレーム4によって左右移動自在に支持され、かつ、移植機構6の苗掻取タイミングに合わせて強制的に横送りされる苗載台7と、前記植付伝動ケース5の下方に上下揺動自在に設けられるフロート8とを備えて構成されている。 【0008】 昇降リンク機構2は、その後端部に移植部ホルダ9を備える。移植部ホルダ9は、ローリング支軸10を介して、移植部フレーム4を支持している。つまり、移植部ホルダ9の下端部には、前後方向を向くボス部9aが一体的に設けられ、このボス部9aが、移植部フレーム4から前方に突出するローリング支軸10を回動自在に支持している。これにより、走行機体1に対する移植部3の左右揺動(左右傾斜)が許容される。 【0009】 移植部ホルダ9と移植部3との間には、中間部材11が介設されている。中間部材11の下端部には、前後方向を向くボス部11aが一体的に形成され、このボス部11aが、移植部ホルダ9のボス部9aに回動自在に外嵌することにより、中間部材11の左右揺動が許容される。 【0010】 中間部材11は、ローリング支軸10から上方に延出するアーム部材であり、その上端部には、左右方向を向くラックプレート12が一体的に設けられている。ラックプレート12の左右両端部は、連結ロッド13を介して移植部フレーム4に連結されている。ラックプレート12と連結ロッド13との連結部は、ピン12aと長孔13aで構成されているため、移植部3が中間部材11に対して僅かな範囲で左右揺動可能であるが、この揺動は、過負荷時を除き、スプリング14の付勢によって規制される。これにより、移植部3は、中間部材11に一体的に連結され、中間部材11の揺動に応じて、強制的に左右傾斜されることになる。 【0011】 移植部ホルダ9の一側部には、モータブラケット15を介して、減速機構付の水平制御モータ(アクチュエータ)16が設けられている。水平制御モータ16の出力ギヤ16aは、ラックプレート12に形成される円弧状のラック部12bに噛合し、水平制御モータ16の駆動に応じて、中間部材11を左右揺動させる。これにより、水平制御モータ16による移植部3の強制的な左右傾斜制御が可能になる。 【0012】 移植部3には、センサユニット17が設けられている。センサユニット17には、移植部3の左右傾斜角を検出する傾斜センサ18と、移植部3の左右傾斜変化速度を検出する角速度センサ19とが一体的に組み込まれている。本実施形態では、移植部フレーム4におけるローリング支軸10の上方近傍位置、つまり、移植部3の左右傾斜中心位置にセンサユニット17を配置することにより、移植部3の左右傾斜に伴うセンサユニット17の移動量を最小化し、センサユニット17の移動に起因する検出誤差の発生を抑制している。 【0013】 走行機体1には、マイコン(CPU、ROM、RAMなどを含む。)を用いて構成される制御部20が搭載されている。制御部20の入力側には、前述した傾斜センサ18及び角速度センサ19に加え、移植部3の昇降高さを検出するリフトセンサ21などが接続される一方、出力側には、水平制御モータ16などが接続されている。そして、制御部20は、あらかじめROMに書き込まれた傾斜センサデータ処理ルーチン(プログラム)、水平制御ルーチンなどに基づいて、水平制御モータ16を駆動制御し、移植部3を水平姿勢に保つ。以下、上記ルーチンに基づいた制御動作をフローチャートに沿って説明する。 【0014】 水平制御ルーチンでは、まず、移植部3の高さを判断し、これが所定高さよりも高い場合は、水平制御停止処理を実行して上記ルーチンに復帰する。一方、移植部3の高さが所定高さ以下のときは、傾斜センサデータを読み込むと共に、制御フラグを参照する。この制御フラグには、所定のタイミングで「比較処理」と「出力処理」とが交互にセットされるようになっており、その内容に応じて比較処理と出力処理との切換えが行われる。制御フラグに「比較処理」がセットされた状態では、傾斜センサデータに基づいて出力方向1と出力ON時間を計算する。 【0015】 出力方向1とは、水平制御モータ16を駆動させる方向であり、移植部3の傾斜方向に背反する方向である。本発明では、出力方向1を計算する際、現在の傾斜センサデータと過去の傾斜センサデータとに基づいて、移植部3の傾斜変化方向を判断し(第2傾斜変化方向判断手段)、その背反方向を出力方向1とする。 また、出力ON時間(デューティ比)は、水平制御モータ16の駆動速度を決定するパラメータであり、例えば、水平に対する現傾斜角の偏差や、現傾斜角と過去の傾斜角の差分(傾斜変化速度)に応じて、比例的に変化するように設定される。 【0016】 出力方向1及び出力ON時間を計算した後は、角速度センサデータを読み込むと共に、角速度センサデータに基づいて、出力方向2を計算する。出力方向2の計算に際しては、角速度センサデータに基づいて、移植部3の傾斜変化方向を判断し(第1傾斜変化方向判断手段)、その背反方向を出力方向2とする。 【0017】 そして、出力方向2を計算した後は、出力方向1と出力方向2とを比較し、これらが一致するときは、出力方向1をモータ出力方向にセットすると共に、出力ON時間をモータ出力ON時間にセットし、それに基づいて水平制御モータ16に駆動信号を出力(出力処理)するが、出力方向1と出力方向2とが相違する場合には、モータ出力方向及びモータ出力ON時間をセットすることなく、上位ルーチンに復帰するようになっている。 【0018】 つまり、傾斜センサ18の現在の検出値及び過去の検出値に基づいて判断される移植部3の傾斜変化方向が、角速度センサ19の検出値に基づいて判断される傾斜変化方向と相違するときは、傾斜センサ18の遅れ、又はノイズ信号であると判断し、水平制御モータ16の駆動を停止させる。これにより、傾斜センサ18の遅れやノイズ信号が水平制御(傾斜自動制御)に反映されてしまう従来のものに比べ、安定性に優れた水平制御を行うことが可能になる。尚、傾斜センサ18の遅れやノイズ信号は、移植部3の急激な荷重変化によって生じ易く、例えば、苗載台7の方向変換時などに発生する。 【0019】 しかも、角速度センサ19の検出値は、制御出力(出力ON時間)の計算に用いることなく、単に傾斜変化方向の確認に利用されるため、傾斜センサ18及び角速度センサ19の検出値に基づいて逐次制御出力を計算するもののように、演算処理能力が高い高価なCPUを必要としない。これにより、コストアップを回避しつつ、安定性に優れた水平制御を行うことが可能になる。 【0020】 傾斜センサデータ処理ルーチンは、処理タイマのタイマ値を参照し、これが0のとき、処理タイマをセットして傾斜センサデータの処理を行う。つまり、傾斜センサデータの処理は、処理タイマの設定時間毎に実行される。傾斜センサデータを処理する場合は、まず、処理カウンタを参照し、これが既定値以下のときは、処理カウンタ番目のデータに現在の傾斜センサ値を代入すると共に、処理カウンタ値を加算(カウンタ値+1)する。 【0021】 一方、処理カウンタが既定値よりも大きい場合は、N個前のデータと現在の傾斜センサ値との差分を計算すると共に、この差分に所定の係数を掛け、それを現在の傾斜センサ値に加えて傾斜センサデータとする。その後、1〜(N−1)番目のデータを順次0〜(N−2)番目のデータにシフトして上位ルーチンに復帰する。つまり、本実施形態では、水平制御に用いる傾斜センサデータとして、現在の傾斜センサ値をそのまま代入することなく、過去の傾斜センサ値を加味して傾斜センサデータとするため、ノイズ的な傾斜センサ値に起因する制御精度や安定性の低下を防止することが可能になる。 【0022】 叙述の如く構成されたものにおいて、走行機体1に左右傾斜自在に連結される移植部3と、前記走行機体1と移植部3との間に介設され、前記移植部3を強制的に左右傾斜させる水平制御モータ(アクチュエータ)16と、前記移植部3の左右傾斜を検出する傾斜センサ18とを備えると共に、前記傾斜センサ18の検出値に基づいて、前記水平制御モータ16を自動的に制御する乗用田植機(移植機)であって、前記移植部3に、その左右傾斜変化速度を検出する角速度センサ19を設け、該角速度センサ19の検出値に基づいて、前記移植部3の左右傾斜変化方向を判断すると共に、前記傾斜センサ18の現在の検出値及び過去の検出値に基づいて、前記移植部3の傾斜変化方向を判断し、これらの判断結果が相違するとき、前記水平制御モータ16への出力を停止させるようにしたため、傾斜センサ18の遅れやノイズ信号が水平制御に反映されることを防止し、安定性に優れた水平制御を行うことができる。 【0023】 しかも、角速度センサ19の検出値は、制御出力の演算に用いることなく、単に傾斜変化方向の確認に利用されるため、傾斜センサ18及び角速度センサ19の検出値に基づいて逐次制御出力を演算するもののように、演算処理能力が高い高価なCPUを必要としない。これにより、コストアップを回避しつつ、安定性に優れた水平制御を行うことが可能になる。 【0024】 また、前記角速度センサ19は、前記移植部3に設けられるため、走行機体1に角速度センサ19を設けた場合のように、走行機体1の左右傾斜変化に敏感に反応することを回避し、水平制御の安定性を更に向上させることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】乗用田植機の側面図である。 【図2】同上平面図である。 【図3】水平制御のための機械的な構成を示す要部正面図である。 【図4】同上側面図である。 【図5】制御部の入出力を示すブロック図である。 【図6】水平制御ルーチンのフローチャートである。 【図7】傾斜センサデータ処理ルーチンのフローチャートである。 【符号の説明】 1 走行機体 3 移植部 10 ローリング支軸 11 中間部材 12 ラックプレート 13 連結ロッド 14 スプリング 15 モータブラケット 16 水平制御モータ 17 センサユニット 18 傾斜センサ 19 角速度センサ 20 制御部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
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| 【出願日】 |
平成15年1月31日(2003.1.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085394 【弁理士】 【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
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| 【公開番号】 |
特開2004−229608(P2004−229608A) |
| 【公開日】 |
平成16年8月19日(2004.8.19) |
| 【出願番号】 |
特願2003−24737(P2003−24737) |
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