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【発明の名称】 ネギ類における健苗の育成方法
【発明者】 【氏名】木澤 悟
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化学工業株式会社内

【要約】 【課題】ネギ類苗の育成において、機械移植に適した草丈や太さを有し、かつ、根張りの優れた苗を容易に得る方法を提供すること。

【解決手段】1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)を苗床の土壌に処理して育成することを特徴とするネギ類苗の育成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)をネギ類の苗床の土壌に処理してネギ類苗を育成することを特徴とするネギ類における健苗の育成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネギ類における健苗の育成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ネギ、タマネギ等のネギ類の栽培は、通常、苗床で育成した苗を本圃に移植して行われる。ネギ類の育苗においては、小面積で多数の苗を育成することから、気温、土壌水分又は施肥によっては苗が徒長してしまったり、根量が少なくなったりして健全な苗が得られないことがしばしば生じる。
近年、農作業の省力化のために、ネギ類の栽培においてセル成型苗の機械移植が導入されているが、機械移植に適した草丈や太さを有した健苗を得るには、苗の徒長を防止するための施肥や水分管理に細心の注意を払った上に、伸長した茎葉部を剪葉する作業をたびたび行う必要があり、作業効率上の問題となっている。またセル成型苗は、一般に根張りが悪く根鉢が充分に形成されないことが多く、解決策が求められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
タキイ種苗株式会社発行、園芸新知識、2001.08、p16−p18
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ネギ類における苗の育成において、機械移植に適した草丈や太さを有し、かつ、根張りの優れた健苗を育成する方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況下に鋭意検討した結果、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)をネギ類の苗床の土壌に処理してネギ類苗を育成することにより、機械移植に適した草丈や太さを有し、かつ、根張りの優れた健苗が安定的にして得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)(以下、本化合物と記す。)をネギ類の苗床の土壌に処理してネギ類苗を育成することを特徴とするネギ類における健苗の育成方法(以下、本発明方法と記すこともある。)を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明におけるネギ類としては、例えば、ネギ(Allium fistulosum)、タマネギ(Allium cepa)等をあげることができる。
【0007】
本発明においてネギ類の苗床の土壌に処理する本化合物は植物においてジベレリン類の生合成経路上のent−カウレンからent−カウレン酸に至る酸化反応を阻害する作用を有する化合物であり、植物生長調節剤の成分として用いられている(Horticultural Reviews, Vol. 24, p55−138)。また、本化合物のうち、例えば(E)−(RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)はウニコナゾール(uniconazole)として知られている。更にまた、当該化合物の光学活性体として(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)はウニコナゾールP(uniconazole − p )として知られている。
本発明においてはこのような光学活性体も本化合物に含まれる。
【0008】
本化合物は、通常、液体担体、固体担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤等を用いて乳剤、液剤、水和剤又は懸濁剤等の製剤とすることにより使用される。これらの製剤には、本化合物が、通常、約0.01重量%〜90重量%含有される。
【0009】
これらの製剤は、通常、水に希釈された希釈液の状態で使用され、当該希釈液における有効成分の濃度は、通常、約0.01ppm〜約300ppmであり、好ましくは約0.1ppm〜約100ppmである。
【0010】
本化合物をネギ類の苗床の土壌に処理する方法には、例えば、(1)ネギ類の種子を播種して覆土した後に、上記の希釈液を土壌表面に処理する方法、(2)ネギ類の種子を播種して覆土した後に、上記の希釈液を土壌に潅注処理する方法、(3)上記の希釈液を土壌に処理して混和した後に、当該土壌中にネギ類の種子を播種する方法等があげられる。
【0011】
上記の希釈液を土壌表面に処理する場合には、噴霧器、霧吹き等を用いて、通常、1ヘクタール当たり約50L〜約2000L、好ましくは、約200L〜約1000Lの割合で土壌表面に散布する。
土壌に潅注処理する場合には、ネギ類の種子を播種して覆土した後に、上記の希釈液を1ヘクタール当たり約10000L〜約100000L、好ましくは、約20000L〜60000Lの割合で土壌に潅注処理する。
【0012】
本発明において本化合物を処理する場合には、単独で用いてもよいが、勿論、他の植物生長調節剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、肥料、界面活性剤等と混合して用いてよい。
【0013】
ネギ類の種子の播種及び育成は、通常、播種及び育成方法に従って行えばよく、格別の操作は必要としない。以下にタマネギの場合における一例を記載する。
【0014】
タマネギの苗は、露地又は育苗箱にて育成される。苗床の土壌には、通常、堆肥、ナタネかす等の有機質肥料を混ぜ込んでおくとよい。また、市販のタマネギ育苗用の培土を用いてもよい。
露地又は育苗箱にタマネギの種子を播種した後、適宜間引きを行いながら、通常、約15℃〜約30℃の温度範囲にてタマネギの苗を育成する。タマネギの種子を播種した後、約45日間〜約65日間育成することにより、ネギ類における移植用の健苗を得る。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例にてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0016】
試験例1
市販のスミセブンP液剤(ウニコナゾールP0.025%含有、株式会社アグロス製)2mLを水で希釈して希釈液250mLを得た。合成樹脂製のポット(幅10cm、奥行15cm、高さ7cm)に市販の培土を詰め、得られた希釈液75mLを土壌に潅注処理した後、当該土壌を深さ3cmまで十分混和した。次いで、タマネギ(泉州黄)の種子を1cmの深さに播種した。その後、ガラス温室内において適宜潅水することによりタマネギの苗を育成した(本発明区と記す)。タマネギの種子を播種してから48日後にタマネギの地上部の長さ及び茎葉部の直径(根元から2〜5cmの部分の最大直径)を測定した。
尚、比較として、薬剤を処理しないこと以外は本発明区と同様にタマネギの苗を育成した無処理区を設けた。
結果を表1に示した。尚、測定は各区とも10本行い、その平均値で示した。
【0017】
【表1】


【0018】
試験例2
合成樹脂製の育苗用セルトレイ(128穴、幅27cm、奥行53cm、高さ5cm)に市販の培土を詰め、タマネギ(泉州黄)の種子を1cmの深さに播種した。市販のスミセブンP液剤(ウニコナゾールP0.025%含有、株式会社アグロス製)を所定濃度になるように水で希釈し、調製された希釈液をセルトレイ当たり400mLの割合で土壌に潅注処理した。その後、ガラス温室内において適宜潅水することによりタマネギの苗を育成した(本発明区と記す)。タマネギの種子を播種してから64日後にタマネギの地上部の長さ、茎葉部の直径(根元から2〜5cmの部分の最大直径)及び根数を測定した。
尚、比較として、薬剤を処理しないこと以外は本発明区と同様にタマネギの苗を育成した無処理区を設けた。
結果を表2に示した。尚、測定は各区とも10本行い、その平均値で示した。
【0019】
【表2】


【0020】
以上の試験例に示すように、本発明区では無処理区と比較して地上部が短く太い苗、即ち、機械移植に適した苗が得られるだけでなく、根部重量の重い苗、即ち、根張りの優れた健苗を育成することができた。
【0021】
【発明の効果】
本発明では、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール)をネギ類の苗床の土壌に処理してネギ類苗を育成することにより、機械移植に適した草丈や太さを有し、かつ、根張りの優れた健苗が安定的にして得られるネギ類苗を育成することにより、苗の徒長を防ぐとともに、機械移植に適した草丈や太さを有し、かつ、根張りの優れたネギ類苗を容易に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
【出願日】 平成15年1月31日(2003.1.31)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之

【公開番号】 特開2004−187666(P2004−187666A)
【公開日】 平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願番号】 特願2003−23905(P2003−23905)