| 【発明の名称】 |
種子の発芽改善方法及び発芽改善種子、並びにコーティング種子 |
| 【発明者】 |
【氏名】前田 吉弘
【氏名】茂田 勝美
【氏名】佐藤 浩
【氏名】中田 博之
【氏名】赤尾 俊和
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| 【要約】 |
【課題】植物種子が栽培段階で未発芽や発芽の不揃い、発芽異常などの問題を引き起こさないように、発芽促進、休眠打破、初期生育の促進等に加えて、それら効果の持続性も併せ持つ、種子の発芽改善方法及びその方法により得られる種子、並びに、コーティング種子を提供する。
【解決手段】種子を植物成長剤及び水に接触させて種子含水率20〜45重量%に調整する薬剤付与及び含水率調整工程と、この工程で処理された種子を10℃未満の温度で24時間以上保存する低温保存工程とからなる発芽改善方法を用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 種子を植物成長剤及び水に接触させて種子含水率20〜45重量%に調整する薬剤付与及び含水率調整工程と、 該工程で処理された種子を10℃未満の温度で24時間以上保存する低温保存工程と からなることを特徴とする、種子の発芽改善方法。 【請求項2】 前記植物成長剤が、オーキシン類、サイトカイニン類、エチレンガス、エチレン発生剤、ジベレリン類、窒素化合物、及びリン酸化合物からなる群から選択された1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の種子の発芽改善方法。 【請求項3】 前記薬剤付与及び含水率調整工程が、植物成長剤を含む薬液に種子を接触させることにより行われることを特徴とする、請求項1に記載の種子の発芽改善方法。 【請求項4】 前記植物成長剤を含む薬液が界面活性剤をさらに含有することを特徴とする、請求項3に記載の種子の発芽改善方法。 【請求項5】 前記低温保存工程の後、相対湿度100%の中で種子に20〜45℃の熱ストレスを5分間〜1時間与える熱ストレス付与工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の種子の発芽改善方法。 【請求項6】 前記低温保存工程の後、20〜45℃の温度で種子を30分間〜3時間乾燥させ、種子含水率を同種の無処理の種子とほぼ同じ含水率まで低下させる乾燥工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の種子の発芽改善方法。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載された種子の発芽改善方法により処理された発芽改善種子。 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載された種子の発芽改善方法により処理され、かつコーティングされたコーティング種子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、種子の発芽改善方法及びその方法により処理された発芽改善種子、並びに、これをコーティングしたコーティング種子に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 植物の種子の中には発芽段階で未発芽や発芽の不揃い、異常発芽の多発などの問題を引き起こすものが存在する。また、種子の発芽は、播種された環境(温度、光、土壌の水分やpH、通気性等)の僅かな差異によっても大きく影響される場合がある。そのため、特に農作物や園芸作物における栽培用種子では、多くの場面で播種前の種子に対して発芽改善を目的とした処理が行われている。これらの発芽改善処理を行わないと、先に述べた通り様々な発芽問題が生じ、場合によっては栽培の作業効率のみならず、生産性をも著しく損なうことになる。このような発芽問題を解決するための種子の発芽改善方法としては、これまでにも種々のものが提案されている。 【0003】 例えば、特開平2−57111号公報には、浸透圧処理とエチレンまたはエチレン発生剤による処理との双方の処理を行った種子を被覆成形したコート種子が開示されている。また、特開平8−66108号公報には、レタス種子に限定しているが、種子をサイトカイニン類を含む水溶液に浸漬または該水溶液を含浸させた担体に接触させる工程、および種子をエチレンガスに接触させるか、またはエチレン発生剤を含む水溶液に浸漬させ若しくは該水溶液を含浸させた担体に接触させる工程の双方の処理後、得られた種子を10〜35℃の温度で2時間以内に含水率20%重量以下まで乾燥させる処方が開示されている。 【0004】 ところが、上記従来技術の処理方法では発芽改善の効果が不十分であり、種子の発芽不揃いが見られた。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。(1)前者は、浸透圧処理に用いられる無機塩や高分子化合物等が種子にダメージを与える。(2)後者は、休眠打破剤を使用した種子の処理温度が10〜25℃と高いため、種子内部では休眠打破剤による代謝よりも吸水による代謝の方が速く進み、種子内部で本来起こるべき代謝バランスが崩されている。そのため、これらの従来技術の方法では発芽の不揃いや異常発芽が増加し、却って種子の発芽性が抑制されるものと考えられる。 【0005】 また、以前から農作業における省力化などのため、野菜や花卉などの種子に赤土やクレーなどの鉱物を、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤を用いて、流動層型造粒機または傾斜回転パン型造粒機により造粒コーティングすることが知られている(例えば、特公昭38−3469号公報)。このようにして得られた造粒コーティング種子は、播種後に土壌中で適度な水分に遭うと、コーティング層が吸収して2〜3箇所に亀裂が生じることにより、ブロック状に破砕され、発芽が起こる。また、病害予防、害虫予防のために、各種種子に適した殺菌剤、殺虫剤を、高分子化合物を用いて付着させるフィルムコート種子が知られている。 【0006】 しかしながら、このような造粒材によりコーティングされた造粒コーティング種子、あるいは高分子化合物によりコーティングされたフィルムコーティング種子は、その機能性とは別に、物理的または化学的影響により、発芽遅延や異常発芽が発生するなど、もとの種子の発芽性を損なう場合があった。 【0007】 【特許文献1】 特開平2−57111号公報 【0008】 【特許文献2】 特開平8−66108号公報 【0009】 【発明が解決しようとする課題】 そこで、本発明は上記に鑑み、植物種子の栽培段階での未発芽や発芽の不揃い、発芽異常等の問題を解決することを目的とする。より具体的には、発芽促進、休眠打破、初期生育の促進等を実現し、更にそれら効果の持続性も併せ持つ、種子の発芽改善方法及びその方法により処理された種子、並びに、コーティングによる発芽阻害がなく、本発明の上記効果の持続性がより向上するコーティング種子を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の植物成長剤を付与し、かつ種子含水率20〜45重量%に調整した種子を10℃未満の温度で24時間以上保存することで、発芽に不適当な外的気象条件に晒されても、発芽促進、休眠打破、初期生育の促進等が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0011】 すなわち、本発明の種子の発芽改善方法は、上記の課題を解決するために、種子を植物成長剤及び水に接触させて種子含水率20〜45重量%に調整する薬剤付与及び含水率調整工程と、この工程で処理された種子を10℃未満の温度で24時間以上保存する低温保存工程とからなるものとする(請求項1)。ここで、種子含水率とは、種子に付着又は吸収された植物成長剤の重量を含む種子の総重量に対する、種子中の水分の重量比率をいうものとする。 【0012】 植物成長剤としては、オーキシン類、サイトカイニン類、エチレンガス、エチレン発生剤、ジベレリン類、窒素化合物、及びリン酸化合物からなる群から選択された1種又は2種以上の混合物を使用することができる(請求項2)。 【0013】 前記薬剤付与及び含水率調整工程は、植物成長剤を含む薬液に種子を接触させることにより行うことができ(請求項3)、その薬液は界面活性剤をさらに含有したものとすることができる(請求項4)。 【0014】 上記低温保存工程の後、相対湿度100%の中で種子に20〜45℃の熱ストレスを5分間〜1時間与える熱ストレス付与工程をさらに行うことができる(請求項5)。 【0015】 この熱ストレス付与工程に加えて、又はこれに代えて、20〜45℃の温度で種子を30分間〜3時間乾燥させ、種子含水率を同種の無処理の種子とほぼ同じ含水率まで低下させる乾燥工程をさらに行うこともできる(請求項6)。 【0016】 本発明の発芽改善種子は、上記種子の発芽改善方法のいずれかにより処理されたものである(請求項7)。 【0017】 また、本発明のコーティング種子は、上記発芽改善方法のいずれかにより処理され、かつコーティングされたものである(請求項8)。 【0018】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施に関する事項について詳細に説明する。 【0019】 本発明において対象となる種子は特に限定されないが、例えばキュウリ、メロン、カボチャ、スイカ等のウリ科、ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ等のナス科、エンドウ、インゲン等のマメ科、タマネギ、ネギ等のユリ科、ダイコン、カブ、ハクサイ、カンラン、ハナヤサイ、ミドリハナヤサイ等のアブラナ科、ニンジン、セルリー等のセリ科、ゴボウ、レタス、シンギク等のキク科、シソ等のシソ科、ホウレンソウ等のアカザ科等の野菜種子や、ハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科、ロベリア等のキキョウ科、アスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科、デルフィニウム等のキンポウゲ科、キンギョソウ等のゴマノハグサ科、プリムラ等のサクラソウ科、ベゴニア等のシュウカイドウ科、サルビア等のシソ科、ビオラ、パンジー等のスミレ科、ペチュニア等のナス科、ユーストマ等のリンドウ科等の草花種子が挙げられる。なお、本発明の発芽改善方法は、採種後1年未満の種子に対して適用した場合に、その効果が特に顕著となる。 【0020】 本発明で用いられる植物成長剤は、オーキシン類、サイトカイニン類、エチレンガス、エチレン発生剤、ジベレリン類、窒素化合物、リン酸化合物であり、従来より市販され、一般的に使用されてきたものが適宜利用できる。例としては、オーキシン類ではインドール酢酸、インドール酪酸、α−ナフタレン酢酸等、サイトカイニン類はゼアチン、ベンジルアデニン、カイネチン等、ジベレリン類ではGA3、GA4、GA7等、エチレン発生剤では2−クロロエチルホスホン酸等、窒素化合物ではチオ尿素、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム等、リン酸化合物ではリン酸カリウム等が挙げられ、これらを単独で若しくは2種以上を混合して使用することができる。 【0021】 これら植物成長剤の使用時の形態は限定されず、液体、粉体等の固体、気体のいずれでもよい。液体(薬液)には、水溶液、分散液の他、植物成長剤が水に溶け難い場合に、これを溶解可能な有機溶剤に溶かしてから水で希釈したものも含まれる。有機溶剤は水に溶解するものであればよく、特に限定されないが、例としては、アセトン、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。 【0022】 植物成長剤は、上記のような種々の形態で種子に接触させることにより、種子の表面に付着し、及び/又は種子の内部まで吸収される。植物成長剤が水溶液や分散液のような水を含む薬液の形態の場合は、種子を薬液に接触させることにより、植物成長剤の付着・吸収と種子含水量の調整を同時に行うことが可能である。一方、粉体や気体のような水を含まない形態の場合は、種子を植物成長剤に接触させた後、水に接触させて種子含水率の調整を行えばよい。すなわち、本発明における薬剤付与及び含水率調整工程としては、上記のような一段階の工程と二段階の工程のいずれをも採ることができる。 【0023】 植物成長剤を水溶液のような薬液として使用する場合の濃度は、種子の種類や薬液の処理形態等に応じて適宜設定されるが、おおよその目安としては、オーキシン類、サイトカイニン類、及びジベレリン類は0.1〜1000ppm、エチレン発生剤は5〜10000ppm、窒素化合物及びリン酸化合物は0.1〜10%である。 【0024】 植物成長剤を含む薬液には界面活性剤を含むことが望ましい。界面活性剤は種子への薬剤の浸透を促進するため、処理効率を向上させる補助剤的作用を有する。界面活性剤を使用する場合の濃度もその種類によって異なるが、おおよその目安としては0.01〜5重量%である。 【0025】 本発明での使用に適した界面活性剤は、非イオン性やアニオン性のものである。具体的には、非イオン界面活性剤としては、高級アルコール、アルキルフェノールもしくはポリプロピレングリコールなどにエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加してなるアルキレンオキサイド系界面活性剤、グリセリン、ソルビタンもしくはショ糖などを高級脂肪酸でエステル化してなるエステル系界面活性剤、このエステルに更にエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加してなるアルキレンオキサイド付加エステル系界面活性剤などが挙げられる。また、アニオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸系界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩もしくは高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩系界面活性剤が挙げられる。 【0026】 種子含水率は本発明の重要な要素であり、20〜45重量%の範囲内に調整することが必要である。最適な種子含水率は、種子の種類やロットによっても異なるが、特に好ましくは20〜40重量%の範囲である。この種子含水率が20重量%未満であると、種子内部の代謝にバラツキが生じ、45重量%を超えると、種子周りに水膜を作り、酸欠を引き起こすことで、どちらも発芽不揃いを引き起こす場合がある。なお、薬液の処理時間及び温度は、特に限定されず、種子の種類等に応じて上記種子含水率が得られるように適宜設定すればよい。 【0027】 植物成長剤を含む薬液で種子含水率20〜45重量%に調整する際の具体的な方法は特に限定されず、薬液を種子に噴霧したり、薬液に種子を浸漬したり等の、従来より種子に薬液を付与するために用いられている方法が用いられるが、好ましい例としては、薬液を保持させた担体に種子を接触させる方法が挙げられる。ここで担体とは、例えば特開平9−140219号公報に記載されているような無機ハイドロゲル(シリカハイドロゲル等)が好適に用いられるが、これ以外に吸水性ポリマー、吸水シート材料、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、ヤシ殻、水苔、鋸屑等の吸水性を有する物質を用いることができる。これらの担体を使用する場合は、種子を担体に接触させたまましばらく静置し、種子含水率が所望の数値になれば、篩い分け等の担体に応じた方法により種子を担体から分離させればよい。なお、種子含水率20〜45重量%に調整された種子は、次に述べる低温保存工程においてこの種子含水率が維持される必要があるため、酸欠しない程度の種子量(全容積の60%以下)を密封容器等に入れて保存することが望ましい。 【0028】 上記のようにして、薬剤処理され、種子含水率20〜45重量%に調整された種子を10℃未満、好ましくは6℃未満、更に好ましくは3℃未満の温度で24時間以上保存することにより、発芽改善種子が得られる。 【0029】 保存温度が10℃以上であると、種子内部の代謝が過度に進行して、処理中に種子が発根してしまったりして、結果的に処理後種子の保存性低下を招く事態を生じる。一方、温度が低すぎて種子が凍ると、細胞膜や細胞壁等の種子の組織が、凍結・解凍時の膨張・収縮により損傷を受け、結果的に播種後の異常芽生の増加や発芽力の失活等の発芽異常を引き起こす。このような理由から、下限は種子が凍らない温度となるが、種子の凍る温度は種子の種類や細胞内の成分濃度等、種子の状態により異なる。このため、実質的な下限は、種子が凍結した結果引き起こされる発芽異常の増加が生じない温度とする。 【0030】 保存時間は、通常は24〜120時間の範囲が好ましい。120時間を超えると保存中に発芽する場合が多くなるためである。なお、120時間以内でも温度によっては発芽する場合があるので、その場合は、発芽に至らない時間を設定する。 【0031】 本発明においては、上記により得られた発芽改善種子に対し熱ストレスを与えることや、上記により得られた種子を乾燥することもできる。熱ストレスの条件としては、相対湿度100%、温度20〜45℃で、5分間〜1時間が好ましい。熱ストレスによるプラス効果の理由は、定かではないが、このように熱ストレスを与えることで、種子内部で効果の持続性に関わる代謝作用を引き起こしているのではないかと考えられる。また、乾燥は20〜45℃の通風乾燥法を行うことが好ましく、種子含水率が同種の無処理の種子とほぼ同じ含水率まで低下するように、時間は30分間以上、より好ましくは1時間以上で、3時間以内とすることが好ましい。これらの熱ストレスの付加及び乾燥は、どちらか一方を行っても双方を行ってもよく、また、後述するコーティング処理の前に行っても、後に行ってもよい。 【0032】 これらの処理操作により、種子内部の代謝は吸水による生長代謝と薬剤による休眠打破作用代謝のバランスが非常に良好になり、さらに熱ストレスでそれらの効果の持続性が付与される。そのため、処理種子は発芽に不適当な外的気象条件下に晒されても、発芽促進、休眠打破、初期生育の促進などの優れた効果を現し、更にその効果の持続性をも併せ持つ発芽改善種子を得ることが出来る。 【0033】 次に、本発明のコーティング種子について述べる。本発明のコーティング種子は、フィルムコーティングされたものと造粒コーティングされたものの双方を含み、その製造には、従来から用いられているコーティング材及びコーティング方法が適宜使用可能である。 【0034】 フィルムコーティングは、高分子化合物を含有するコーティング液を噴霧等で種子に付与し、殺菌剤、殺虫剤等を付着させるものである。このようなコーティング液は、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、水系ウレタン樹脂等の水溶液或いは水分散液などを用いることができ、タルクや酸化チタン等の無機鉱物を配合することもできる。 【0035】 造粒コーティングは、湿潤剤を用いてこれを噴霧しながら種子表面に造粒材をコーティングするものである。本発明において、造粒コーティングに使用する湿潤剤及び造粒材は特に限定するものではなく、通常の造粒コーティングに用いられるものであれば使用可能である。例えば、造粒材としては、珪藻土、シリカ、赤土、クレー、パーライト、火山灰、火山岩、長石、粘土鉱物、ベントナイト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、カオリン、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイトなどを用いることができる。湿潤剤(バインダー)としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、デンプン、水系ポリウレタン樹脂等の水溶液或いは水分散液や水などを用いることができる。また、造粒コーティング中、或いは造粒コーティング前に、殺菌剤、殺虫剤等の農薬等を処理することもできる。 【0036】 これらのコーティング材によってコーティングされた種子は、従来技術において見られたような発芽異常等の問題を生じず、本発明の処理による発芽改善等の効果の持続性が更に向上するという特長を有する。また、コーティング種子は、菌や虫などの外敵から守られ、且つコーティング材が、温度、湿度を調整することで種子への直接的な影響が避けられるため、良好な種子状態を保つことができる。 【0037】 【実施例】 以下に本発明を実施例によって更に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。 【0038】 [実施例1] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、サイトカイニン類である6−(N−ベンジルアミノ)プリン(株式会社理研グリーン製)20ppm;硝酸カリウム0.3重量%に調整された薬液(水溶液、以下同様。)を含むシリカハイドロゲル(シリカゲルとしてSiO2含量99.0重量%以上、粒子径75〜500μmのもの、保水率約350重量%、以下同様。)とを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を2時間繰り返すことにより、種子含水率を35重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、5℃設定の冷蔵庫にて48時間保存した後、35℃設定の通風乾燥機で種子含水率5%まで乾燥して処理種子を得た。 【0039】 [実施例2] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、サイトカイニン類である6−(N−ベンジルアミノ)プリン(株式会社理研グリーン製)20ppm;硝酸カリウム0.3重量%に調整された薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を2時間繰り返すことにより、種子含水率を35重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、5℃設定の冷蔵庫にて48時間保存し、処理種子を得た。 【0040】 このようにして得られた処理種子を造粒材として重量比=9:1のアタパルジャイトとステアリン酸カルシウムの混合粉体、バインダーとして5重量%のPVP水溶液を用いて、傾斜回転パン型造粒機により粒径が3mmになるまで造粒コーティングを行った。 【0041】 その後、35℃設定の通風乾燥機で種子含水率5%まで乾燥して造粒コーティング種子を得た。 【0042】 [実施例3] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、カイネチン(ナカライテスク株式会社製)5ppm;2−クロロエチルホスホン酸500ppm(エテホン10%製剤、石原産業株式会社製);非イオン性界面活性剤であるアルキレンオキサイド系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製)0.1重量%に調整された薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を1時間繰り返すことにより、種子含水率を40重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、2℃設定の冷蔵庫にて72時間保存し、処理種子を得た。更に、得られた処理種子を相対湿度100%に調整された容器の中に入れ、40℃、1時間の熱ストレスを与えた。次いで、実施例2と同じ造粒材を用い、同様の造粒操作を行うことにより、造粒コーティング種子を得た。 【0043】 [実施例4] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、インドール酪酸(ナカライテスク株式会社製)50ppm;ジベレリンA3(ナカライテスク株式会社製)2ppmに調整された薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を1時間繰り返すことにより、種子含水率を25重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、8℃設定の冷蔵庫にて24時間保存し、処理種子を得た。更に、得られた処理種子を相対湿度100%に調整された容器の中に入れ、40℃、1時間の熱ストレスを与え、35℃設定の通風乾燥機で種子含水率6%まで乾燥した。次いで、実施例2と同じ造粒材を用い、同様の造粒操作を行うことにより、造粒コーティング種子を得た。 【0044】 [実施例5] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、リン酸カリウム(III)0.5重量%に調整された薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を4時間繰り返すことにより、種子含水率を37重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、2℃設定の冷蔵庫にて72時間保存し、処理種子を得た。得られた処理種子を相対湿度100%に調整された容器の中に入れ、45℃、30分間の熱ストレスを与えた。次いで、実施例2と同じ造粒剤を用い、同様の造粒操作を行うことにより造粒コーティング種子を得た。 【0045】 [比較例1] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)の無処理種子を比較例1の種子とした。 【0046】 [比較例2] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)を、カイネチン(ナカライテスク株式会社製)5ppm;2−クロロエチルホスホン酸500ppm(エテホン10%製剤、石原産業株式会社製);非イオン界面活性剤であるアルキレンオキサイド系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製)0.1重量%を含む薬液に常温で2時間浸漬して種子含水率を55重量%とし、その後、30℃で通風乾燥機を用いて2時間乾燥させることにより、種子含水率5重量%の処理種子を得た。次いで、実施例2と同じ造粒材を用い、同様の造粒操作を行うことにより、造粒コーティング種子を得た。 【0047】 [比較例3] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、6−(N−ベンジルアミノ)プリン(株式会社理研グリーン製)20ppm;硝酸カリウム0.3重量%に調整した薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を2時間繰り返すことにより、種子含水率を15重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、5℃設定の冷蔵庫にて48時間保存し、処理種子を得た。次いで、実施例2と同じ造粒材を用い、同様の造粒操作を行うことにより、造粒コーティング種子を得た。 【0048】 [比較例4] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、6−(N−ベンジルアミノ)プリン(株式会社理研グリーン製)20ppm;硝酸カリウム0.3重量%に調整した薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を2時間繰り返すことにより、種子含水率を25重量%に調整した。その後、0.1%/時間の乾燥速度となるように、25℃で72時間乾燥し、処理種子を得た。次いで、実施例2と同じ造粒材を用い、同様の造粒操作を行うことにより、造粒コーティング種子を得た。 【0049】 [比較例5] レタス種子(品種:レッドファルダー、タキイ種苗株式会社製)と、インドール酪酸(ナカライテスク製)50ppm;ジベレリンA3(ナカライテスク株式会社製)2ppmに調整した薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を1時間繰り返すことにより、種子含水率を25重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、8℃設定の冷蔵庫にて24時間保存し、処理種子を得た。更に、得られた処理種子を相対湿度100%に調整された容器の中に入れ、50℃、2時間の熱ストレスを与え、35℃設定の通風乾燥機で種子含水率6%まで乾燥した。次いで、実施例2と同じ造粒剤を用い、同様の造粒操作を行うことにより、造粒コーティング種子を得た。 【0050】 〔試験例1〕 実施例1〜5及び比較例1〜5によって得られた造粒コーティング種子及び無処理種子を、国際種子検査規程(International Rules for Seed Testing Rules 1999)記載のTP法に準じて、発芽試験を実施した。ただし、発芽試験は、レタス種子には発芽不適な高温条件34℃で行い、加工直後、1年後、2年後の3回実施した。その結果を表1に示す。 【0051】 【表1】
【0052】 表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜5の処理種子及びコーティング種子は、比較例のコーティング種子に比べて、不適発芽条件下での発芽性が優れ、また、その効果が持続する。 【0053】 [実施例6] 休眠性を有する台木用ナス種子(品種:トナシム、タキイ種苗株式会社製)と、6−(N−ベンジルアミノ)プリン(株式会社理研グリーン製)10ppm;ジベレリンA3(ナカライテスク株式会社製)2ppmに調整した薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を2時間繰り返すことにより、種子含水率を32重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、4℃設定の冷蔵庫にて36時間保存し、処理種子を得た。このようにして得られた処理種子を水系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製)5重量%と酸化チタン(石原産業株式会社製)10重量%を含む水分散溶液をフィルムコーティング液として用い、フィルムコーティング機(パウレック社製 ドリアコーター形式:DRC500)を使用して、種子への噴霧コーティングを行った。その後、ドリアコーターの設定を45℃にし、品温35℃以下の範囲で通風乾燥してフィルムコーティング種子を得た。 【0054】 [実施例7] 休眠性を有する台木用ナス種子(品種:トナシム、タキイ種苗株式会社製)と、カイネチン(ナカライテスク株式会社製)5ppm;チオ尿素(ナカライテスク株式会社製)1000ppmに調整した薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を3時間繰り返すことにより、種子含水率を42重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、2℃設定の冷蔵庫にて72時間保存し、処理種子を得た。このようにして得られた処理種子にCMC(第一工業製薬株式会社製)2重量%と酸化チタン(石原産業株式会社製)10重量%を含む水分散溶液をフィルムコーティング液として用い、実施例5と同様のコーティング操作を行って、フィルムコーティング種子を得た。 【0055】 [比較例6] 休眠性を有する台木用ナス種子(品種:トナシム、タキイ種苗株式会社製)の無処理種子を比較例6の種子とした。 【0056】 [比較例7] 休眠性を有する台木用ナス種子(品種:トナシム、タキイ種苗株式会社製)と、カイネチン(ナカライテスク株式会社製)5ppm;チオ尿素(ナカライテスク株式会社製)1000ppmに調整した薬液を含むシリカハイドロゲルとを混合し、均一な混合状態が維持されるように間欠的に攪拌と静置を1時間繰り返すことにより、種子含水率を15重量%に調整した。その後、該種子を密封容器内に入れ、2℃設定の冷蔵庫にて72時間保存し、処理種子を得た。このようにして得られた処理種子にCMC(第一工業製薬株式会社製)2重量%と酸化チタン(石原産業株式会社製)10重量%を含む水分散溶液をフィルムコーティング液として用い、実施例6と同様のコーティング操作を行って、フィルムコーティング種子を得た。 【0057】 [比較例8] 休眠性を有する台木用ナス種子(品種:トナシム、タキイ種苗株式会社製)を、ジベレリンA3(ナカライテスク株式会社製)2ppm、2−クロロエチルホスホン酸(エテホン10%製剤、石原産業株式会社製)1000ppm、及び酸化チタン(石原産業株式会社製)5重量%を含む水溶液をフィルムコーティング液として用い、実施例6と同様のコーティング操作を行って、フィルムコーティング種子を得た。 【0058】 〔試験例2〕 実施例6、7及び比較例6〜8によって得られたフィルムコーティング種子、無処理種子につき、国際種子検査規程(International Rules for Seed Testing Rules 1999)記載のTP法に準じて、発芽試験を実施した。ただし、発芽試験は変温と恒温の2条件下で実施した。変温条件は20℃8時間−30℃16時間とし、恒温条件は25℃とした。その結果を表2、3に示す。 【0059】 【表2】
【0060】 【表3】
【0061】 表2、3から明らかなように、本発明に係る実施例6、7の種子は、比較例6〜8の種子に比べて、発芽に不利な条件下でも発芽速度及び発芽率ともに改善されていた。 【0062】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明の発芽改善方法によれば、植物成長剤を付与し、かつ種子含水率20〜45重量%に調整された種子を10℃未満の温度で24時間以上保存することにより、発芽に不適当な外的気象条件下に晒されても、発芽促進、休眠打破、初期生育の促進が実現され、更にそれら効果の持続性も併せ持つ優れた種子が得られる。また、コーティングすることによる発芽阻害の問題も生じず、上記した本発明の効果の持続性をコーティングにより更に向上させることが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390028130 【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社 【識別番号】000003506 【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年10月11日(2002.10.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059225 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 璋子
【識別番号】100076314 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 正人
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| 【公開番号】 |
特開2004−129614(P2004−129614A) |
| 【公開日】 |
平成16年4月30日(2004.4.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−299560(P2002−299560) |
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