トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 田植機の昇降制御装置
【発明者】 【氏名】木村  浩人
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】北井 浩昭
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】前輪が畦に乗り上がるようになる田植作業の植え終わり時に、深植え傾向となってしまうことを、より高いレベルで改善させる。

【解決手段】後支点X回りで上下揺動自在な接地フロート17の揺動姿勢を目標姿勢にするように、苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段を設けた田植機の昇降制御装置において、接地フロート17の後に、立して揺動自在な補助接地体27を苗植付装置に支持させ、接地フロート17と補助接地体27との相対揺動角度を検出する角度検出手段Kを設け、接地フロート17の補助接地体27に対する前上がり角度が所定値を越えると苗植付装置を上昇させるように、角度検出手段Kの検出情報に基づいて苗植付装置の昇降制御を行う補助昇降制御手段を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に昇降自在に連結した苗植付装置に、左右向きの後支点回りで上下揺動自在に接地フロートを連結し、前記接地フロートの揺動姿勢が目標姿勢を基準に前下がり状態になると前記苗植付装置を下降作動させ、前記接地フロートの揺動姿勢が目標姿勢より前上がり状態勢になると前記苗植付装置を上昇作動させる昇降制御手段を設けてある田植機の昇降制御装置であって、
前記接地フロートの後において、苗植付対象圃場に浮く状態の補助接地体を、前記接地フロートとは無関係に左右向き支点回りで上下揺動自在に前記苗植付装置に支持するとともに、前記接地フロートと前記補助接地体との相対揺動角度を検出する角度検出手段を設け、
前記接地フロートの前記補助接地体に対する前上がり角度が所定値を越えると、前記苗植付装置を上昇させるように、前記角度検出手段の検出情報に基づいて前記苗植付装置の昇降制御を行う補助昇降制御手段を設けてある田植機の昇降制御装置。
【請求項2】
前記角度検出手段が、前記接地フロートの前記苗植付装置に対する前後傾斜角度を検出する第1角度センサと、前記補助接地体の前記苗植付装置に対する前後傾斜角度を検出する第2角度センサとから構成されている請求項1に記載の田植機の昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に昇降自在に連結した苗植付装置に、後支点回りで上下揺動自在に接地フロートを連結している田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】
田植作業において、苗の植え終りでは、畦に乗り上がり移動走行しながら田植することになる。この走行機体前部が持ち上がりながらの田植作業となる植え終りでは、走行機体が前上がり傾斜することで苗植付け装置、すなわち接地フロートも前上がり傾斜姿勢となることから、所定の接地圧を得るべくフロート後部が圃場に深く沈みこんで深植えになったり、場合によっては植付け不能になることがある。
【0003】
そこで、接地フロートの前上り傾斜姿勢が所定の角度よりも大になると、苗植付装置の昇降制御感度を敏感側に補正することにより、走行機体が前上り傾斜姿勢しても接地フロートは水平に近い所定の姿勢が維持できるようにして、植え終り時でも深植えなく良好に苗植付できるように構成された制御技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−108515号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術のように、昇降制御感度を用いて接地フロートの姿勢を補正する手段は、ほぼ制御ソフト上の変更(改造)で対処できるという利点がある。しかしながら、大きな傾斜姿勢変化に対処させるには限界があり、植え終わりにおける深植え傾向を「減少させることができる」という程度の改善状態であったため、更なる改善の余地が残されているものであった。
【0006】
本発明の目的は、前輪が畦に乗り上がるようになる田植作業の植え終わり時に、深植え傾向となってしまうことを、より高いレベルで改善させる点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の構成は、走行機体に昇降自在に連結した苗植付装置に、左右向きの後支点回りで上下揺動自在に接地フロートを連結し、接地フロートの揺動姿勢が目標姿勢を基準に前下がり状態になると苗植付装置を下降作動させ、接地フロートの揺動姿勢が目標姿勢より前上がり状態勢になると苗植付装置を上昇作動させる昇降制御手段を設けてある田植機の昇降制御装置において、
接地フロートの後において、苗植付対象圃場に浮く状態の補助接地体を、接地フロートとは無関係に左右向き支点回りで上下揺動自在に苗植付装置に支持するとともに、接地フロートと補助接地体との相対角度を検出する角度検出手段を設け、
接地フロートの補助接地体に対する前上がり角度が所定値を越えると、苗植付装置を上昇させるように、角度検出手段の検出情報に基づいて記苗植付装置の昇降制御を行う補助昇降制御手段を設けてあることを特徴とする。
【0008】
〔作用及び効果〕
請求項1の構成は、詳しくは実施形態の項で説明するが、左右向きの支点回りで独立して前後揺動自在な補助接地体を設けて、これら両者の姿勢から昇降制御させる手段である。すなわち、接地フロートと補助接地体との相対角度を検出する角度検出手段を設けて、接地フロートの補助接地体に対する前上がり角度が所定値を越えると、苗植付装置を上昇させるように、角度検出手段の検出情報に基づいて苗植付装置の昇降制御を行う補助昇降制御手段を設けたので、次のような作用が得られる。
【0009】
前輪が畦に乗り上がって走行機体が著しく前上がり傾斜する植え終わり時には、苗植付装置も接地フロートも急な角度で前上がり傾斜するので、従来の田植機では、前述したように所定のフロート接地圧を維持すべく苗植付装置が下降制御されて深植え傾向が強まってしまうのであるが、請求項1の構成では、そのような場合には独立揺動できる補助接地体は実質的に水平姿勢(若干の角度変化があるので、正確には、水平姿勢時の喫水線状態を維持する基準浮力姿勢と定義する)に維持されるので[図6(イ)参照]、接地フロートとの角度が所定値を越えることになり、その情報に基づいて苗植付装置が上昇制御されるのである。すると、接地フロートが上昇することで、この接地フロートの急角度での前上がり傾斜による深植え傾向が相殺されるようになり、植え終わり時でも所定の植付深さが維持された苗植付を行わせることが可能となる。
【0010】
その結果、独立揺動できる補助接地体を接地フロートの後方に配置して成る前述の補助昇降制御手段を新たに設けたことにより、接地フロートと補助接地体とによる2種の検出情報に基づくことで、接地フロートが急激な前上がり傾斜姿勢になったときには、従来の昇降制御手段による場合とは逆に、苗植付装置を上昇させる制御が可能になり、苗の植え終り時でも適切な深さで苗の植付作業を良好に行える田植機を提供することができた。
【0011】
〔構成〕
請求項2の構成は、請求項1の構成において、角度検出手段が、接地フロートの苗植付装置に対する前後傾斜角度を検出する第1角度センサと、接地体の苗植付装置に対する前後傾斜角度を検出する第2角度センサとから構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
〔作用及び効果〕
請求項2の構成によれば、角度検出手段が、接地フロートの苗植付装置に対する前後傾斜角度を検出する第1角度センサと、補助接地体の苗植付装置に対する前後傾斜角度を検出する第2角度センサとから構成されており、接地フロートの角度姿勢と補助接地体の角度姿勢との双方を互いに独立した状態で検出できるとともに、双方の検出結果から、接地フロートと補助接地体との相対角度を求めることができる。
【0013】
その結果、補助昇降制御手段を、補助接地体の絶対姿勢をも制御入力として活用できるので、例えば、圃場の起伏や凹凸によって補助接地体の姿勢が変化しているようなときには、補助接地体が水平姿勢になたときの接地フロートとの相対角度のみを補助昇降制御上の入力情報として扱うようにする、といったことが可能になり、請求項1の構成による作用及び効果をより強化することができて、昇降制御の信頼性を向上させることができた。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジンを備えた原動部4を配備し、走行機体3の後部に、前部ミッション5からの動力が伝えられる後部ミッション6を配置し、また、走行機体3の中央部にステアリングハンドル7、運転座席8、フロア9等から成る運転部10を配置し、走行機体3の後端部に対し油圧式昇降シリンダ11で駆動昇降される四連リンク機構12を介して苗植付装置Aを連結して乗用型の田植機を構成してある。
【0015】
苗植付装置Aは、苗載せ台13に載置されたマット状苗nを機体の走行速度と同期して回転するロータリケース15に備えた植付アーム16によって切出しながら圃場面に植付ける作動を行う苗植付機構を備えると共に、下部に複数の接地フロート17を装備して8条植え用に構成されている。また、運転座席8の後側の走行機体3上には、接地フロート17に支持される作溝器18に肥料を送る施肥装置14が搭載されている。
【0016】
図1に示すように、運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御とミッションケース6に内蔵された植付クラッチ(図示せず)の入り切り操作とを行う昇降レバー35を備えている。この昇降レバー35は図5に示すように、ガイド36に形成された経路内の「下降」位置に設定することで苗植付装置Aを下降させ、「上昇」位置に設定することで苗植付装置Aを上昇させ、「中立」位置に設定すると苗植付装置Aをそのレベルに維持するよう制御装置38に連係させてある。
【0017】
そして、昇降レバー35を「入」位置に設定すると、植付クラッチを入り操作するとともに苗植付装置Aに備えた接地フロート17(感知フロート17A)が接地する状態で所定の対圃場高さに維持する自動昇降制御を行わせる昇降制御手段37を制御装置38に装備してある。昇降レバー35を「切」位置に設定すると、植付クラッチを切り操作し、昇降レバー35を「自動」位置に設定するとステアリングハンドル7の近傍に備えた強制昇降レバー39の操作に従って苗植付装置Aの昇降を許容すると同時に苗植付装置Aの上昇時には植付クラッチの自動的な切り操作を可能にするものとなっている。尚、この昇降レバー35の基端部には図2に示すように、昇降レバー35の操作位置を計測するポテンショメータ型のレバーセンサ40を備えている。
【0018】
また、制御装置38には、ポテンショメータ型の感度調節ダイヤル41が接続してあり、感知フロート17Aの前後傾斜姿勢を検出する後述のフロートセンサ24の検出情報に基づいて、苗植付装置Aを上昇させて浅植え傾向にしたり、苗植付装置Aを下降させて深植え傾向にしたりする感度調節が、従来通りに行えるように構成されている。
【0019】
次に、苗の植え終わり時に威力を発揮する補助昇降制御について説明する。補助昇降制御とは、感知フロート17Aとその後に配置された補助接地体27との双方の前後揺動姿勢情報から、苗植付装置Aの昇降作動をトータル的に制御させることで、深植え傾向になる植え終り時でも、規定の植付深さによる良好な苗植付状態が得られるようにする技術である。
【0020】
図3に示すように、複数の接地フロート17のうち左右方向で中央位置の接地フロート(以下、感知フロート17Aと称する)は、植付フレーム19に支持される植付深さ調節軸20に一体形成した支持アーム21の揺動先端に対して、フロート後部の支持ブラケット23に設けた左右向きの揺動支点X周りで揺動自在に支持されている。感知フロート17Aの前部を下方に向けて付勢する感知圧設定用のバネ22を備え、又、感知フロート17Aの前部と、フロートセンサ24の操作軸24aに装備されたアーム機構25とを第1操作ワイヤー26を介して連動連結してあり、感知フロート17Aの揺動姿勢をフロートセンサ24で計測できるよう構成されている。
【0021】
そして、感知フロート17Aの後において、苗植付対象圃場に浮く状態の補助接地体27を、感知フロート17Aとは無関係に揺動支点X回りで上下揺動自在に支持アーム21(苗植付装置Aの一例)に支持してある。すなわち、揺動支点Xを持つ支軸29に枢支された天秤アーム28の後端に補助接地体27が取付けられており(図3では一体的に固定取付けされているが、枢支状態で取付けても良い)、天秤アーム28前端には、第2操作ワイヤー30のアウターワイヤ30bの受止め支持部28aが形成されている。第2操作ワイヤー30のインナーワイヤ30aの一端(後端)は、支持ブラケット23の上方突出部23aに枢支連結され、他端(前端)はアーム機構25に連動連結されている。
【0022】
アーム機構25は、フロートセンサ24の操作軸24aに直結された長さの短い第2アーム32と、操作軸24aに相対回動自在に外嵌された長さの長い第1アーム31と、第1アーム31を図3中において反時計回り方向に付勢する引張りバネ33と、第2アーム32を図3中において時計回り方向に付勢する引張りバネ34とから構成されている。第1操作ワイヤー26のインナーワイヤ26aの前端は第1アーム31の上端部に、かつ、第2操作ワイヤー30のインナーワイヤ30aの前端は第2アーム32の下端部に夫々枢支連結されている。
【0023】
第1アーム31における操作軸24aより下側には、第2アーム32を図3中において反時計回り方向には連れ回動させ、時計回り方向には第2アーム32には干渉しない突片31aを一体形成してある。第2操作ワイヤー30の他端のアウタ受け部、及び第1操作ワイヤー26の両アウタ受け部は、苗植付装置の固定部材に設けてあり、両リターンバネ33,34のアーム機構と反対側の端部も苗植付装置の固定部材に連結されている。つまり、アーム機構25やフロートセンサ24等から角度検出手段Kが構成されている。
【0024】
図4に示すように、制御装置38には、前述の昇降制御手段37とは別に、感知フロート17Aの補助接地体27に対する前上がり角度が所定値を越えると、苗植付装置Aを上昇させるように、角度検出手段Kの検出情報に基づいて苗植付装置Aの昇降制御を行う補助昇降制御手段42も装備されている。これら昇降制御手段37と補助昇降制御手段42とによる作用は次のようである。尚、43は、昇降シリンダ11の制御弁である。
【0025】
図3に示すように、感知フロート17A及び補助接地体27とが共に水平姿勢となる良好な苗植付状態では、第1アーム31が基準の角度姿勢(r0)にあり、かつ、第2操作ワイヤー30のインナーワイヤ30aが丁度緊張するか、或いは極僅かに弛む程度に長さ設定されている。従って、第2引張りバネ34で回動付勢される第2アーム32は、突片31aに当接して第1アーム31と平行となる姿勢に維持されている。このとき、第2インナーワイヤ30aの後端枢支点Y(支持ブラケット23の先端側枢支点)と揺動支点Xを結ぶ線分と、受止め支持部28aの第2アウタ受け点Zと揺動支点Xを結ぶ線分とが成す侠角θは基準侠角θ0であり、後端枢支点Yと第2アウタ受け点Zとの間隔dは基準間隔d0であると定義する。また、このときの両アーム31,32の基準角度姿勢はr0であると定義する。
【0026】
先ず、苗植付装置Aが基準高さ範囲よりも下がった場合には、圃場に沈みこんだ感知フロート17Aが、その浮力によって上昇移動しようとすることから、図5(イ)に示すように、揺動支点X回りで前上がり傾斜姿勢に変化する。すると、第1インナーワイヤー26aが弛んで、第1引張りバネ33の付勢力によって第1アーム31が第2アーム32と共に図中反時計回り方向に回動し、そのことによるフロートセンサ24の検出情報から昇降シリンダ11が短縮駆動され、感知フロート17Aが目標姿勢となるまで苗植付装置Aが上昇する自動昇降制御が、昇降制御手段37によって行われる。
【0027】
このとき、独立揺動できる補助接地体27は適正な浮き状態(前述の基準浮力姿勢)に維持されることから、前記侠角θが基準侠角θ0からθ1に開き、前記間隔dも基準間隔d0からd1に広がるので、第2インナーワイヤ30aがやや引っ張られるが、それによる第2アーム32の揺動方向は第1アーム31の揺動方向と同じであり、かつ、その揺動角度は第1アーム31のもの以下であるので、第2アーム32は突片31aに当接して第1アーム31と平行となる姿勢に維持されている。従って、自動昇降制御手段37による自動昇降制御が支障なく行われる。
【0028】
次に、苗植付装置Aが基準高さ範囲よりも上がった場合には、圃場から上昇した感知フロート17Aが、その重力と感知バネ22の付勢力とによって下降移動しようとすることから、図5(ロ)に示すように、揺動支点X回りで前下がり傾斜姿勢に変化する。すると、第1インナーワイヤー26aが引っ張られるので、第1引張りバネ33の付勢力に抗して第1アーム31が図中時計回り方向にr2の角度位置まで回動し、そのことによるフロートセンサ24の検出情報から昇降シリンダ11が自由伸張し、感知フロート17Aが目標姿勢となるまで苗植付装置Aが下降する自動昇降制御が、昇降制御手段37によって行われる。
【0029】
このとき、独立揺動できる補助接地体27は適正な浮き状態(前述の基準浮力姿勢)に維持されることから、前記侠角θが基準侠角θ0からθ2に狭まり、前記間隔dも基準間隔d0からd2に狭まるので、第2インナーワイヤ30aがやや弛み、それによって第2引張りバネ34で回動付勢される第2アーム32が突片31aに当接して第1アーム31と平行となる姿勢に維持される。従って、自動昇降制御手段37による自動昇降制御が支障なく行われる。
【0030】
そして、前車輪1が畦に乗り上げて走行機体3が大きく前上がり傾斜する植え終り時には、図6(イ)に示すように、走行機体3同様に苗植付装置A、すなわち感知フロート17Aも大きく前上がり傾斜するので、第1アーム31が図中時計回り方向に揺動(例えば角度r2)し、図5(ロ)の場合と同様に、感知フロート17Aは仮想線で示す状態に前下がり揺動しようとすかるら[図6(イ)に実線で示す前上がり姿勢から、仮想線で示す位置に前下がりする]、従来の昇降制御手段37のみの機能では、苗植付装置Aは仮想線で示す姿勢でさらに下降するように自動昇降制御されることになる。
【0031】
しかしながら、適正な浮き状態(前述の基準浮力姿勢)に維持される補助接地体27と感知フロート17Aとの相対角度である前記侠角θが基準侠角θ0から、θ1よりも大なる値であるθ3に開くので、前記間隔dも基準間隔d0からd3に大きく伸びるので、第1操作ワイヤー26が弛むのに対して、第2操作ワイヤー30は逆に引っ張られることになり、図6(イ)に示すように、第2アーム32は基準姿勢はr0から反時計回り方向に角度r3で揺動移動するようになる。
【0032】
従って、第2アーム32に操作軸24aが直結されているフロートセンサ24は、図5(イ)の場合と同様に上昇信号を出すことになり、感知フロート17Aと補助接地体27との相対角度が所定の角度範囲になるまで苗植付装置Aを下降させる自動昇降制御が、補助昇降制御手段42によって行われる。
【0033】
その結果、図6(ロ)に示すように、昇降制御手段37による制御を補償する補助昇降制御手段42の機能により、第1アーム31は角度r2に操作されるが、第2アーム32は基準姿勢r0に維持されるように感知フロート17Aが、すなわち苗植付装置Aが持ち上げられるので、従来の深植え傾向や、場合によっては植付不能となることが是正され、前車輪1が畦に乗り上げて走行機体2が大きく前上り傾斜する植え終り時であっても、適正な深さで苗植付を行うことが可能になったのである。尚、図面上において作用を理解し易くすべく、図6(ロ)に一点破線で描かれた感知フロート17Aは、図6(イ)に仮想線で描かれた位置を示し、図6(ロ)に仮想線で描かれた感知フロート17Aは、従来の昇降制御手段のみの制御によって下降されるべき位置を示している。
【0034】
つまり、補助昇降制御手段42による「感知(接地)フロート17Aの補助接地体27に対する前上がり角度が所定値を越えると」(請求項1)における「所定値θs」は、
θ3>θs>θ1
という関係に設定されている。
【0035】
図7に示すように、HST用の主変速レバー46を中立位置に戻し、かつ、その中立位置に所定時間(例:数秒)継続してセットされると、アクセル操作具47のセット位置とは関係なくエンジンEを停止させ、主変速レバー46を中立位置からそれ以外の位置に動かすとエンジンEを始動させ、かつ、アクセル操作具47による回転数に自動的にセットされるエンジン制御機構48を設けてある。このエンジン制御機構48は、キースイッチ(メインキー)49がON操作されているときに作動するものであるが、それに加えて、キースイッチ49が最初にON操作されたときだけは作動しない構成としても良い。(最初はキースイッチ49でのみエンジンEを始動させる。)
【0036】
つまり、図7に示すように、中立ゾーン中央の完全中立Nnに変速レバー46が操作されると作動する中立スイッチ50を設け、この中立スイッチ50が押し込まれてのON状態が所定時間継続されると、制御装置52が始動回路51にエンジン停止信号を発令してエンジンEを止める。そして、変速レバー46が前進中立位置Nf又は後進中立位置Nrに操作されて中立スイッチ50がOFFになると、そのOFF信号によってエンジンEが始動されるように、制御装置52が始動回路51に始動信号を発令するにおである。このエンジン制御機構48により、無駄なアイドリング運転が回避できるので、燃費が改善されるとともに、排気ガスを減らして環境に優しい田植機にできる利点がある。
【0037】
〔別実施形態〕
図8に示すように、角度検出手段Kを、感知(接地)フロート17Aの苗植付装置Aに対する前後傾斜角度を検出する第1角度センサS1と、補助接地体27の苗植付装置Aに対する前後傾斜角度を検出する第2角度センサS2とから構成して、自動昇降制御及び補助昇降制御を行わせるようにした制御装置38を田植機に備えても良い。
【0038】
つまり、補助接地体27に取付けられ支持アーム44を、揺動支点Xとは別の左右向き支点である第2揺動支点Wでもって支持アーム21の最後端部に枢支させ、ポテンショメータ等による第2角度センサS2と支持アーム44とを第2操作ワイヤー30で連動連結し、ポテンショメータ等による第1角度センサS1と感知フロート17A前部とを第1操作ワイヤー26で連度連結する。
【0039】
そして、制御装置38には、各センサS1,S2夫々の検出角度情報から、感知フロート17Aと補助接地体27との相対角度を求める演算手段45を設けてあり、前述した終え終わり時でも適正な深さでの良好な苗植付作業が行われる補助昇降制御を、2個のセンサS1,S2の検出結果から行うように制御装置38が機能するのである。この場合には、2個のセンサS1,S2と演算手段45とから角度検出手段Kが構成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】フロート支持構造及び角度検出手段の構造を示す系統図
【図4】アーム機構の構造を示す要部の断面図
【図5】(イ)昇降制御手段による上昇制御状態を示す作用図
(ロ)昇降制御手段による下降制御状態を示す作用図
【図6】(イ)補助昇降制御手段による上昇制御の途中状態を示す作用図
(ロ)補助昇降制御手段による植え終り時のフロート状態を示す作用図
【図7】エンジン制御機構を示す系統図
【図8】別構造の角度検出手段を備えた概略の昇降制御系統図
【符号の説明】
3       走行機体
17      接地フロート
27      補助接地体
37      昇降制御手段
42      補助昇降制御手段
A       苗植付装置
K       角度検出手段
S1      第1角度センサ
S2      第2角度センサ
X       後支点
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成14年9月30日(2002.9.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2004−121038(P2004−121038A)
【公開日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願番号】 特願2002−287210(P2002−287210)