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【発明の名称】 スライド式の播種器
【発明者】 【氏名】小川 仁

【氏名】高木 和彦

【氏名】武市 啓志

【要約】 【課題】上播種板とシャッター板の間に隙間ができるのを阻止して、小さい種をも正確な個数でポットに供給する。

【解決手段】スライド式の播種器は、互いに面接触する状態で摺動できるように上下に積層して配設してなる上播種板1とシャッター板3を備える。上播種板1とシャッター板3は、対向する位置に種を通過させる貫通孔5を設けている。播種器は、上播種板1とシャッター板3の貫通孔5が一致する位置に上播種板1とシャッター板3の相対位置を調整して、上播種板1の貫通孔5に供給された種をシャッター板3に通過させるようにしている。さらに、播種器は、上播種板1とシャッター板3のいずれかまたは両方に永久磁石6を設け、この永久磁石6の磁気的な吸引力で上播種板1とシャッター板3とを吸引して摺動できるように連結しており、上播種板1とシャッター板3の間に種が入り込むのを防いでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに面接触する状態で摺動できるように上下に積層して配設してなる上播種板(1)とシャッター板(3)を備え、上播種板(1)とシャッター板(3)は、対向する位置に種を通過させる貫通孔(5)を設けており、上播種板(1)とシャッター板(3)の貫通孔(5)が一致する位置に上播種板(1)とシャッター板(3)の相対位置を調整して、上播種板(1)の貫通孔(5)に供給された種をシャッター板(3)に通過させるようにしてなる播種器であって、
上播種板(1)とシャッター板(3)のいずれかまたは両方に永久磁石(6)を設け、この永久磁石(6)の磁気的な吸引力で上播種板(1)とシャッター板(3)とを吸引して摺動できるように連結して、上播種板(1)とシャッター板(3)の間に種が入り込むのを防ぐようにしているスライド式の播種器。
【請求項2】
上播種板(1)とシャッター板(3)の一方が磁石で吸引される磁性体材料で、他方に磁石を固定して、磁気的な吸引力で上播種板(1)とシャッター板(3)とを吸引させている請求項1に記載されるスライド式の播種器。
【請求項3】
上播種板(1)が磁性金属板で、シャッター板(3)の下面に永久磁石(6)を固定して、永久磁石(6)でもって上播種板(1)をシャッター板(3)に吸引する請求項1に記載されるスライド式の播種器。
【請求項4】
シャッター板(3)が磁性金属板で、上播種板(1)の上面に永久磁石(6)を固定して、永久磁石(6)でもってシャッター板(3)を上播種板(1)に吸引する請求項1に記載されるスライド式の播種器。
【請求項5】
磁性金属板が鉄板で、永久磁石(6)を固定している上播種板(1)またはシャッター板(3)がアルミニウム板又は透明のプラスチック板である請求項3または4に記載されるスライド式の播種器。
【請求項6】
上播種板(1)の上面と、シャッター板(3)の下面に、互いに吸引するように一対の永久磁石(6)を設け、一対の永久磁石(6)で上播種板(1)とシャッター板(3)とを吸引させる請求項1に記載されるスライド式の播種器。
【請求項7】
上播種板(1)とシャッター板(3)が透明のプラスチック板である請求項6に記載されるスライド式の播種器。
【請求項8】
複数の永久磁石(6)を所定の間隔で固定している請求項3ないし6のいずれかに記載されるスライド式の播種器。
【請求項9】
永久磁石(6)を、磁気材料を成形している磁気ケース(7)に入れている請求項3ないし6のいずれかに記載されるスライド式の播種器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、野菜、花などの種子を、育種トレイに設置したポット内に播種するのに最適な播種器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、育苗トレイに設置したポット内に種子を播種する播種器は開発されている。この播種器は、互いに相対的に平行移動できるように上播種板とシャッター板を重ねている。上播種板とシャッター板には、対向する位置に種を通過させる貫通孔を設けている。上播種板とシャッター板の貫通孔が一致しない位置で、上播種板の貫通孔に種を供給する。この状態で、上播種板とシャッター板を相対的に移動させて、貫通孔を同じ位置にすると、上播種板の貫通孔にある種は、シャッター板の貫通孔から落下する。このとき、シャッター板の貫通孔の真下に、育苗トレイに設置されたポットを配置しておくと、落下する種はポットに供給される。このような播種器は、例えば、特開平8−331916号公報に記載される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この構造の播種器は、上播種板の下にシャッター板を重ねて移動させることにより、シャッター板を上播種板のシャッターとして使用する。この構造の播種器は、一度に多くのポットに播種できるように、すなわち能率よく多量のポットに播種できるように、上播種板とシャッター板に多数の貫通孔を設けて大きくする必要がある。能率よく大きくのポットに播種できるように、上播種板とシャッター板を大きくすると、全てのポットに正確に播種するのが難しくなる。とくに、小さい種をポットに供給するとき、正確に供給するのが極めて難しくなる。それは、上播種板とシャッター板の隙間に種が侵入するからである。播種する種が小さくなると、この傾向が強くなる。それは、小さい種は、上播種板とシャッター板の狭い隙間に侵入するからである。困ったことに、この構造の播種器は、小さい種をポットに能率よく供給できることを特長とすることから、たとえば、0.5mm程度の極めて小さい種の播種にも使用されることから、小さい種を確実にポットに供給することが特に大切である。さらに、多数のポットに播種するために、上播種板とシャッター板を大きくすると、この傾向が強くなってしまう。大きな上播種板とシャッター板は、わずかな反りで隙間ができて、ここに種が侵入するからである。また、上播種板は、その厚さが貫通孔の容積を特定して、ここに供給する種の個数を特定するので、厚くすることができない。厚すぎる上播種板は、貫通孔に必要以上の種が供給されて、決められた個数の種をポットに供給できなくなるからである。上播種板の厚さに制限があることは、上播種板の強度を制限する。充分な強度にできない上播種板は、変形したり沿ったりしやすく、シャッター板との間に隙間ができるのを阻止するのが難しくなる。
【0004】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、上播種板とシャッター板を互いに磁気的な吸引力で互いに密着させることにより、上播種板とシャッター板の間に隙間ができるのを阻止して、小さい種をも正確な個数でポットに供給できる播種器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のスライド式の播種器は、互いに面接触する状態で摺動できるように上下に積層して配設してなる上播種板1とシャッター板3を備える。上播種板1とシャッター板3は、対向する位置に種を通過させる貫通孔5を設けている。播種器は、上播種板1とシャッター板3の貫通孔5が一致する位置に上播種板1とシャッター板3の相対位置を調整して、上播種板1の貫通孔5に供給された種をシャッター板3に通過させるようにしている。さらに、播種器は、上播種板1とシャッター板3のいずれかまたは両方に永久磁石6を設け、この永久磁石6の磁気的な吸引力で上播種板1とシャッター板3とを吸引して摺動できるように連結しており、上播種板1とシャッター板3の間に種が入り込むのを防ぐようにしている。
【0006】
本発明の播種器は、上播種板1とシャッター板3の一方を磁石で吸引される磁性体材料として、他方に磁石を固定し、磁気的な吸引力で上播種板1とシャッター板3とを吸引させることができる。播種器は、上播種板1を磁性金属板として、シャッター板3の下面に永久磁石6を固定して、永久磁石6でもって上播種板1をシャッター板3に吸引することができる。さらに、播種器は、シャッター板3を磁性金属板として、上播種板1の上面に永久磁石6を固定して、永久磁石6でもってシャッター板3を上播種板1に吸引することができる。これらの播種器は、磁性金属板を鉄板として、永久磁石6を固定している上播種板1またはシャッター板3をアルミニウム板又は透明のプラスチック板とすることができる。
【0007】
さらに、本発明の播種器は、上播種板1の上面と、シャッター板3の下面に、互いに吸引するように一対の永久磁石6を設けて、一対の永久磁石6で上播種板1とシャッター板3とを吸引させることができる。この播種器は、上播種板1とシャッター板3とを透明のプラスチック板とすることができる。
【0008】
複数の永久磁石6は、所定の間隔で固定することができる。永久磁石6は、磁気材料で成形している磁気ケース7に入れて配設することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための播種器を例示するものであって、本発明は播種器を下記のものに特定しない。
【0010】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0011】
図1ないし図3の播種器は、四角形のフレーム2と、このフレーム2に固定しているシャッター板3と、このシャッター板3の上に面接触する状態で摺動できるように配設している上播種板1とを備える。フレーム2は周壁4を有し、底部にシャッター板3を固定している。図の播種器は、シャッター板3をフレーム2に固定して、シャッター板3の上に上播種板1を摺動できるように配設しているが、本発明の播種器は、上播種板をフレームに固定して、この下にシャッター板を移動できるように連結することもできる。この播種器は、シャッター板を摺動させるガイド溝を周壁の対向面に設けて、シャッター板を落下しないようにフレームに装置する。ただ、本発明の播種器は、上播種板とシャッター板とを永久磁石6の磁気的な吸引力で互いに吸引するので、上播種板を必ずしもフレームのガイド溝に連結する必要はない。さらに、本発明の播種器は、磁気的な吸引力で上播種板をシャッター板に吸引するので、フレームのない構造とすることもできる。
【0012】
上播種板1とシャッター板3は、対向する位置に複数の貫通孔5を設けている。貫通孔5は、縦横に並べて開口される。貫通孔5は、播種器の下に配設するポットの位置に開口している。上播種板1の貫通孔5は、一度にポットに供給する種を供給できる大きさに開口される。たとえば、ポットに1個の種を供給する播種器は、貫通孔5を、1個の種を収納できる大きさに開口する。また、2〜3個の種をポットに供給する播種器は、貫通孔5を、2〜3個の種を供給できる大きさに開口している。
【0013】
種々の種をポットに供給できる播種器は、上播種板1を交換できるようにフレーム2に連結している。周壁にガイド溝を設けている播種器は、ひとつの周壁にスリットを設けて、このスリットから上播種板をフレーム外に引き抜きできるようにする。フレーム2に装着する上播種板1を交換して、ポットに供給する種を変更する。交換された上播種板1は、貫通孔5の大きさが異なり、ポットに最適な状態で種を供給する。上播種板1は、シャッター板3の上面を摺動して、フレーム2内で移動できるようにシャッター板3に載せられる。このことを実現するには、上播種板1の外形をフレーム2の内形よりもわずかに小さくする。上播種板1は、縦方向に、あるいは横方向に、あるいは縦横に移動できるようにフレーム2内に配設される。上播種板1は、フレーム2の1辺または2辺に当接する位置に移動されて、貫通孔5をシャッター板3の貫通孔5に一致させる。
【0014】
シャッター板3は、上播種板1と同じ位置に貫通孔5を開口しているが、この貫通孔5は上播種板1の貫通孔5に比較して充分に大きく開口される。貫通孔5に供給された種を確実に通過させて落下させるためである。とくに、上播種板1を交換する播種器は、セットされる上播種板1に開口される最大の貫通孔5よりも大きな貫通孔5を設けている。
【0015】
シャッター板3は、上播種板1と同じ位置に貫通孔5を設けているが、シャッター板3と上播種板1の相対位置をずらせて、貫通孔5の位置をずらせることができる。上播種板1の貫通孔5に種を供給するときに、種が落下するのを阻止するためである。上播種板1の全ての貫通孔5に所定の数の種が供給された後、シャッター板3と上播種板1の貫通孔5を一致させて、上播種板1の貫通孔5の種を落下させてポットに供給する。
【0016】
本発明の播種器は、上播種板1とシャッター板3との間に隙間ができないように、上播種板1とシャッター板3のいずれかまたは両方に永久磁石6を設けている。この永久磁石6の磁気的な吸引力は、上播種板1とシャッター板3とを吸引して摺動できるように連結する。この状態で連結される上播種板1とシャッター板3は、間に種が入り込むのを防止して、正確に種をポットに供給する。
【0017】
上播種板1とシャッター板3とを磁気的な吸引力で吸引するには、一方を磁性金属板として、他方に永久磁石を固定する構造、上播種板とシャッター板の両面に互いに吸引するように永久磁石を配設する構造、上播種板とシャッター板の片方を永久磁石板として他方を磁性金属板とする構造、上播種板とシャッター板の両方を永久磁石板とする構造により実現される。
【0018】
図4は、図1の播種器の拡大断面図で、この図の播種器は、上播種板1を磁性金属板である鉄板として、シャッター板3の下面に永久磁石6を固定している。永久磁石6は、磁気的な吸引力で上播種板1を吸着するので、この間に挟着しているシャッター板3が上播種板1に吸着される。図の播種器は、上播種板1とシャッター板3を全面で隙間なく密着するために、複数の永久磁石6を所定の間隔で配設している。永久磁石6は、接着やネジ止等の構造でシャッター板3の下面に確実に固定できる。ただ、永久磁石6は、上播種板1の下面に落下しないように吸着されるので、必ずしも固定する必要はない。この構造の播種器は、永久磁石6を下面に固定しているので、上播種板1の貫通孔5に種を供給するときに永久磁石6が邪魔にならない特長がある。
【0019】
ただ、図5に示すように、上播種板1の上面に永久磁石6を配設して、シャッター板3を磁性金属板で製作することもできる。この播種器は、永久磁石6を上播種板1の上で自由に移動させて、上播種板1とシャッター板3とを隙間ができないように調整できる特長がある。また、永久磁石6が落下しないので、上播種板1に固定することなく便利に使用できる特長もある。
【0020】
図6の播種器は、上播種板1の上面と、シャッター板3の下面に、互いに吸引するように一対の永久磁石6を設けて、一対の永久磁石6で上播種板1とシャッター板3とを互いに吸引させている。この構造は、永久磁石6とシャッター板3の両方を金属板とする必要がない。このため、上播種板1とシャッター板3の両方を、透明のプラスチック板として、互いに隙間ができないようにできる。上播種板1とシャッター板3を透明板とする播種器は、種が完全に落下したことを見て確認できる特長がある。
【0021】
永久磁石6は、図4ないし図6に示すように、鉄板等の磁気材料で成形している磁気ケース7に入れて、より強力に吸引力を発生させることができる。それは、永久磁石6の磁束を磁気ケース7に通過させて、磁気抵抗を小さくできるからである。図4と図5に示すように、磁性金属板を吸着する永久磁石6は、磁気ケース7を磁性金属板の方向に開口して。永久磁石6と磁気ケース7の磁束を磁性金属板に通過させる。図6に示すように、一対の永久磁石6を上播種板1と磁気ケース7に配設する構造は、磁気ケース7を互いに対向する面に開口する。この磁気ケース7は、永久磁石6の周囲の磁束を上播種板1と磁気ケース7に通過させる。
【0022】
以上の播種器は、以下のようにして播種する。
▲1▼ シャッター板3と上播種板1を、貫通孔5が一致しない状態として、上播種板1の全ての貫通孔5に種子を供給する。
▲2▼ シャッター板3の貫通孔5の真下にポットを配置する。
▲3▼ 上播種板1とシャッター板3の貫通孔5が一致するように、上播種板1またはシャッター板3を移動させる。上播種板1の貫通孔5に供給されていた種は、シャッター板3の貫通孔5を通過して、その下に配設しているポットに落下する。
その後、▲1▼ないし▲3▼の動作を繰り返して、次々とポットに種を供給する。
【0023】
【発明の効果】
本発明の播種器は、小さい種をも正確な個数としてポットに供給できる特徴がある。それは、本発明の播種器が、上播種板とシャッター板を互いに磁気的な吸引力で吸着して、互いに隙間ができないように密着して、播種できるからである。とくに、磁気的に吸引力で互いに吸着される上播種板とシャッター板は、互いに密着する状態でスムーズに摺動できる。また、磁気的な吸引力を調整することにより、上播種板やシャッター板が反って隙間ができる状態となっても、上播種板とシャッター板とを強制的に吸引して隙間をなくすることができる。このため本発明の播種器は、長期間にわたって、上播種板とシャッター板の間に種が流入するにを防止して、極めて小径な種をも正確に播種もできるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるスライド式の播種器の斜視図
【図2】図1に示す播種器の平面図
【図3】図1に示す播種器の正面図
【図4】図1に示す播種器の拡大断面図
【図5】本発明の他の実施例にかかるスライド式の播種器の拡大断面図
【図6】本発明の他の実施例にかかるスライド式の播種器の拡大断面図
【符号の説明】
1…上播種板
2…フレーム
3…シャッター板
4…周壁
5…貫通孔
6…永久磁石
7…磁気ケース
【出願人】 【識別番号】592197108
【氏名又は名称】徳島県
【出願日】 平成14年7月22日(2002.7.22)
【代理人】 【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘

【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司

【公開番号】 特開2004−49150(P2004−49150A)
【公開日】 平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願番号】 特願2002−213189(P2002−213189)