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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】本間 孝太郎

【要約】 【課題】田植え作業時に溝を形成することができる田植機を提供する。

【解決手段】走行機体3の後端部に苗植付装置10を設けた田植機において、苗植付装置10の下部側に前部及び後部溝切体22,21を設ける。前部溝切体22の後部に前記後部溝切体21が設けられる。苗の植付と同時に苗植付装置10の下部側に設けた溝切体22,21は圃場面31に溝32を形成することができ、一度の作業で苗の植付と溝の形成を行なうことができる。前部溝切体22によって形成された溝31は、後部溝切体21によって再び溝32を形成するとともになぞられて再び溝32を形成できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後端部に苗植付装置を設けた田植機において、前記苗植付装置の下部側に溝切体を設けたことを特徴とする田植機。
【請求項2】
走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けるとともに、前記苗植付装置はマット状苗を載置する苗載せ台と、この苗載せ台の下部に設けられ前記走行機体の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設する植付アームと、前記複数の植付アームの間に設けられるフロートとを備えた田植機において、前記フロートまたは前記フロートの近傍に溝切体を設けたことを特徴とする田植機。
【請求項3】
走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けるとともに、前記苗植付装置はマット状苗を載置する苗載せ台と、この苗載せ台の下部に設けられ前記走行機体の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設する植付アームと、前記複数の植付アームの間に設けられるフロートとを備えた田植機において、前記フロートまたは前記フロートの近傍に後部溝切体を設けるとともに、前記後部溝切体の前方に前部溝切体を設けたことを特徴とする田植機。
【請求項4】
前記前部溝切体の後部延長線上に前記後部溝切体が設けられるとともに、これら前部溝切体と後部溝切体は、隣接する前記植付アームの間の前方に配置されることを特徴とする請求項3記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種のものとして特開2001−258343号公報には、ステアリング操作される駆動型の前車輪、及び、駆動型の後車輪を備えた走行機体の前部にエンジンを搭載すると共に、この走行機体の後部にエンジンからの動力が伝えられる静油圧式の無段変速装置、及び、ミッションケースを配置し、また、走行機体の中央部に運転座席を配置し、走行機体の後端部に対し油圧シリンダで駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を連結した乗用型の田植機が開示されている。
【0003】
このような乗用型の田植機を使用して苗を多条に田植え作業を行った後に、圃場の排水性などを向上するために並んだ苗の間に、例えば別途に機械を使用して溝を形成することが行なわれいる。
【0004】
溝を形成する機械として、特開平6−237601号公報の水田用作業機が公知である。この水田用作業機は、走行機体の後部に備えた昇降リンク機構に、苗植付け装置に代えて排水溝形成用の作業装置を連結してなる水田用作業機において、前記作業装置に溝切板と、前記昇降リンク機構を駆動する油圧シリンダの制御手段に連係したフロートとを装備し、フロートの上下変位に基づいて昇降リンク機構を駆動制御して作業装置を圃場面に対して所定高さに維持するように構成するとともに、前記フロートの溝切板に対する基準高さを変更調節する作業深さ調節具を、走行機体の運転座席から操作可能に装備しているものである。
【0005】
しかしながら、このような水田用作業機は、田植え作業後に行なっていたので、田植え作業、溝形成作業の2つの作業を行なう必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題を解決して田植え作業時に溝を形成することができる田植機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、走行機体の後端部に苗植付装置を設けた田植機において、前記苗植付装置の下部側に溝切体を設けたことを特徴とする田植機である。
【0008】
この請求項1の構成によれば、苗の植付と同時に苗植付装置の下部側に設けた溝切体は圃場面に溝を形成することができる。
【0009】
請求項2の発明は、走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けるとともに、前記苗植付装置はマット状苗を載置する苗載せ台と、この苗載せ台の後側下部に設けられ前記走行機体の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設する植付アームと、フロートとを備えた田植機において、前記フロートまたは前記フロートの近傍に溝切体を設けたことを特徴とする田植機である。
【0010】
この請求項2の構成によれば、苗の植付と同時にフロートまたは前記フロートの近傍に設けた溝切体は圃場面に溝を植付アームの前方に形成することができる請求項3の発明は、走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けるとともに、前記苗植付装置はマット状苗を載置する苗載せ台と、この苗載せ台の後側下部に設けられ前記走行機体の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設する植付アームと、フロートとを備えた田植機において、前記フロートまたは前記フロートの近傍に後部溝切体を設けるとともに、前記後部溝切体の前方に前部溝切体を設けたことを特徴とする田植機である。
【0011】
この請求項3の構成によれば、苗の植付と同時に前部溝切体により圃場面に溝を植付アームの前方に形成した後に、後部溝切体により前記溝を再びなぞるようにして溝を形成する。
【0012】
請求項4の発明は、前記前部溝切体の後部延長線上に前記後部溝切体が設けられるとともに、これら前部溝切体と後部溝切体は、隣接する前記植付アームの間の前方に配置されることを特徴とする請求項3記載の田植機である。
【0013】
この請求項4の構成によれば、前部溝切体によって形成される溝は隣接する前記植付アームの間に形成され、また後部溝切体によって再び溝を形成できる。
【0014】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図を参照して説明する。一実施形態に示すようにステアリング1A操作される駆動型の前車輪1、及び駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の後部にエンジン4からの動力が伝えられる油圧式の無段変速装置5、及びミッションケース6を配置し、また、走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8で駆動昇降するリンク機構9を介して苗植付装置10を連結して乗用型の田植機を構成する。尚、11は苗植付装置10の昇降制御と苗植付操作の入り切りを行う操作レバーである。
【0015】
苗植付装置10はマット状苗Wを載置する苗載せ台13、前記ミッションケース6より苗植付装置10へ動力を伝える伝動軸12からの動力が伝えられる左右一対の伝動ケース14、この伝動ケース14からチェーンケース15を介して伝えられる動力で回転するロータリケース16、このロータリケース16に一対ずつ備えられた植付アーム17を備える。そして、作業時には苗載せ台13に載置されたマット状苗Wの下端から苗を植付アーム17が1株ずつ切出して圃場面に植え付ける。さらに苗植付装置10ではロータリケース16の下方には接地体としてのフロート18が設けられる。このフロート18は、中央に配置されるセンタフロート18Cと、このセンタフロート18Cの両側に配置される左右一対のサイドフロート18Sからなる。尚、実施形態では8条植用に構成されており、前記植付アーム17は、前記走行機体3の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設するもので、センタフロート18Cの後側両側に配置される第1,2の植付アーム17A,17B、一方のサイドフロート18Sの両側及び中央に配置される第3,4,5の植付アーム17C,17D,17E、他方のサイドフロート18Sの両側及び中央に配置される第6,7,8の植付アーム17F,17G,17Hが設けられる。
【0016】
前記リンク機構9は単一のトップリンク9Tと左右一対のロアーリンク9L夫々の後端を縦リンク9Vで連結して成り、この縦リンク9Vの下端位置に対して前後向き姿勢のローリング軸芯周りでローリング自在に苗植付装置10が連結支持されている。
【0017】
さらに、前記センタフロート18Cの底面に後部溝切り体21を設けるとともに、この後部溝切り体21の前方に前部溝切体22を設ける。これら後部溝切り体21と前部溝切体22は前後方向に一直線状に配置されるとともに、前記第1の植付アーム17Aと第2の植付アーム17Bとの間隔の前方に配置されている。
【0018】
前記後部溝切り体21は、平面が前方を先鋭とした三角形状であり、そして先端を通る中心線上を後方へ向けて下向きに向けて順次深くなるように船底状底部21Aを形成する。さらに、船底状底部21Aの左右両側は水平板部21Bが形成されるとともに、船底状底部21Aの側面と水平板部21Bとはなだらかな面状の連続部21Cによって連続している。尚、底部21Aの上面内側には、木材等の図示しない補強部材が設けられる。
【0019】
前記前部溝切体22は、平面が前方を先鋭とした三角形状であり、そして先端を通る中心線上を後方へ向けて下向きに向けて順次深くなるように船底状底部22Aを形成する。さらに、船底状底部22Aの左右両側は水平板部22Bが形成されるとともに、船底状底部22Aの側面と水平板部22Bとはなだらかな面状の連続部22Cによって連続している。そして、前記前部溝切体22は前後方向に移動できるように、前部溝切体22に立設したブラケット23に、リンクアーム24の下端を回動自在に連結するとともに、その上部を前記ロアーリンク9Lに回動自在に連結し、さらに前部溝切体22を前方へ付勢する付勢手段としてのバネ25が接続している。このバネ25は、一端をリンクアーム24に接続すると共に他端を例えば後車輪2の車軸2Aに引っ掛け等により車軸2Aの回転を阻害しないように接続している。また、リンクアーム24の上端側には複数の取り付け孔24Aが長手方向に並設され、これらのうちの1箇所が選択的にロアーリンク9Lに回動自在に連結している。そして、走行機体3を走行して田植え作業時においては、前部溝切体22が圃場の土によって抵抗を受けて後方へ移動するが、この際水平板部22B、水平板部21Bは圃場面31に位置するとともに、前部溝切体22の後部が後部溝切り体21の前部に当接するようになっている。
【0020】
また、図3〜図5に示すように、前部溝切体22の中心軸線Zの延長線上に後部溝切り体21の軸線が一致するように設けられ、そして船底状底部22Aの最大幅W(すなわち左右一対の水平板部22Bの内側縁間の最大長さ)は、船底状底部21Aの最大幅w(すなわち左右一対の水平板部21B内側縁間の最大長さ)より小さく形成され、また水平板部22Bの外側縁間の最大幅Xは、水平板部21Bの外側縁間の最大幅xより小さく形成されている。船底状底部22Aの最大深さYは、船底状底部21Aの最大深さyとほぼ同じに形成されている。さらに、第1,2の植付アーム17A,17Bの内側の間隔より前記船底状底部22A,21Aの最大幅W,wは小さく形成されている。そして、溝形成時においては、前部溝切体22が土の抵抗を受けてリンクアーム24とともに後方へやや移動した際に、左右一対の水平板部22Bの内側縁の後方へ向けての一点鎖線で示した仮想線Z´が、左右一対の水平板部21B内側縁後部の最大長さの箇所またはその近傍を通ることができるようになっている。
【0021】
次に前記構成についてその作用を説明する。運転座席7に着座してエンジン4を始動することにより、動力が後車輪2に伝達して前進する。そして操作レバー11を操作することにより油圧シリンダ8で駆動昇降するリンク機構9を介して苗植付装置10が降下するとともに苗植付作業が始まる。苗植付作業は、苗載せ台13に載置されたマット状苗Wの下端から苗を植付アーム17が1株ずつ切出して圃場面に植え付ける。この際、センタフロート18Cと、このセンタフロート18Cの両側に配置される左右一対のサイドフロート18Sは圃場面31を滑走して、苗植付装置10を圃場面31上に支持する。また前部溝切体22は圃場の土により抵抗を受けてバネに抗してやや後退してセンタフロート18Cの近傍に配置されてその後部が後部溝切り体21の前部に近づき前部溝切体22と後部溝切り体21は前後に連続して図4に示すように一体的となる。そして、前部溝切体22の船底状底部22Aにより断面が三角形状の溝32を圃場面31に形成する。また、水平板部22Bにより溝32の両側の圃場面31を水平に均すとともに、連続部22Cにより溝32と水平な圃場面31との間をなだらかな面で接続するようにする。さらに、後部溝切り体21の船底状底部21Aにより溝32の表面をなぞるようにして溝32をさらに大きくするとともにその形が崩れないようにする。また、水平板部21B、連続部21Cは、水平板部22B、連続部22Cにより形成された面を再びなぞるようにして溝32の形が崩れないようにする。尚、この溝32は第1,2の植付アーム17A,17Bの間に形成されるものであるので、溝32に苗が植付られることはない。
【0022】
以上のように、前記実施形態では、走行機体3の後端部に苗植付装置10を設けた田植機において、前記苗植付装置10の下部側に前部及び後部溝切体22,21を設けたことにより、苗の植付と同時に苗植付装置10の下部側に設けた溝切体22,21は圃場面31に溝32を形成することができ、一度の作業で苗の植付と溝の形成を行なうことができる。
【0023】
また、溝切体22,21をセンタフロート18Cに設けたことにより、圃場面31に溝32を植付アーム17の前方に形成することができ、溝32は苗の植付の直前に形成されるので、溝32の変形がない状態で苗の植付を行うことができる。
【0024】
さらに、センタフロート18Cに後部溝切体21を設けるとともに、前記後部溝切体21の前方に前部溝切体22を設けたことにより、苗の植付と同時に前部溝切体22により圃場面31に溝32を植付アーム17の前方に形成した後に、後部溝切体21により前記溝32を再びなぞるようにして溝32を形成するため、形崩れすることのないように溝32を確実に形成することができる。
【0025】
しかも、前記前部溝切体22の後部延長線上に前記後部溝切体21が設けられるとともに、これら前部溝切体22と後部溝切体21は、隣接する前記第1及び第2植付アーム17A,17Bの間の前方に配置されるので、前部溝切体22によって形成された溝31は、後部溝切体21によって直後に再び溝32を形成できる。このために前部溝切体22による溝32の形成と後部溝切体21による溝32の形成の途中に中断がなくなり、連続して溝31を確実に形成することができる。また、苗の植付けは溝32になされることもない。
【0026】
しかも、溝形成時においては、前部溝切体22が土の抵抗を受けてリンクアーム24とともに後方へやや移動した際に、左右一対の水平板部22Bの内側縁の後方へ向けての一点鎖線で示した仮想線Z´が、左右一対の水平板部21B内側縁後部の最大長さの箇所またはその近傍を通ることができるようになっているので、前部溝切体22で形成した溝32をさらに後部溝切体21によりやや大きくするとともに、溝32をなぞるようにして形を整えることができる。
【0027】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば後部溝切体21をセンタフロート18Cに直接設けるのではなく、センタフロート18Cの近傍に設けてもよい等本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けた田植機において、前記苗植付装置の下部側に溝切体を設けたことを特徴とする田植機であり、一度の作業で苗の植付と溝の形成を行なうことができる。
【0029】
請求項2の発明は、走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けるとともに、前記苗植付装置はマット状苗を載置する苗載せ台と、この苗載せ台の後側下部に設けられ前記走行機体の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設する植付アームと、フロートとを備えた田植機において、前記フロートまたは前記フロートの近傍に溝切体を設けたことを特徴とする田植機であり、一度の作業で苗の植付と溝の形成を行なうことができ、また溝は苗の植付の直前に形成されるので、溝の変形がない状態で苗の植付を行うことができる。
【0030】
請求項3の発明は、走行機体の後端部に対し駆動昇降するリンク機構を介して苗植付装置を設けるとともに、前記苗植付装置はマット状苗を載置する苗載せ台と、この苗載せ台の後側下部に設けられ前記走行機体の前後方向と交差する方向に複数間隔をおいて並設する植付アームと、フロートとを備えた田植機において、前記フロートまたは前記フロートの近傍に後部溝切体を設けるとともに、前記後部溝切体の前方に前部溝切体を設けたことを特徴とする田植機であり、一度の作業で苗の植付と溝の形成を行なうことができ、また後部溝切体はフロートまたは前記フロートの近傍に設けられて、苗の植付の直前に形成されるので、溝の変形がない状態で苗の植付を行うことができる。しかも、溝を前部溝切り体で形成した後、さらに後部溝切り体によっても前記溝を形成することとなるので、形崩れすることのないように溝を確実に形成することができる。
【0031】
請求項4の発明は、前記前部溝切体の後部延長線上に前記後部溝切体が設けられるとともに、これら前部溝切体と後部溝切体は、隣接する前記植付アームの間の前方に配置されることを特徴とする請求項3記載の田植機であり、前部溝切体による溝の形成と後部溝切体による溝の形成により、連続して溝を確実に形成することができる。また、溝に苗が植付けられることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す要部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す要部の平面図正面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す要部の正面図である。
【符号の説明】
3 走行機体
9 リンク機構
10 苗植付装置
13 苗載せ台
17 植付アーム
18 フロート
21 後部溝切り体(溝切り体)
22 前部溝切り体(溝切り体)
W マット状苗
【出願人】 【識別番号】502239162
【氏名又は名称】本間 孝太郎
【出願日】 平成14年7月2日(2002.7.2)
【代理人】 【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護

【識別番号】100119334
【弁理士】
【氏名又は名称】外山 邦昭

【公開番号】 特開2004−33076(P2004−33076A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−193182(P2002−193182)