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【発明の名称】 植物栽培方法、植物栽培装置及び肥効調節型肥料保持部材
【発明者】 【氏名】西村 靖
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】井手 達也
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】松沼 保夫
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】渋谷 和男
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】杵渕 覚
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【要約】 【課題】肥効調節型肥料の新たな使用法を提供する。

【解決手段】貯液タンク10内に保持した水等の液体中に、肥効調節型肥料30を保持部材40に保持させて浸漬する。肥効調節型肥料30は、保持部材40に形成された液体通過部を通じて水等の液体と接触し、その肥料成分が、該液体中に溶出する。肥料成分が混合された該液体は、送液管22を通じて送液され、散水チューブ24より栽培床100に供給される。従って、肥効調節型肥料を、植物の栽培領域に散布される液体により溶出するように、置肥として用いるのではなく、植物の栽培領域に散布する液体中に積極的にその肥料成分が混合されるように用いるものであり、肥効調節型肥料の新たな使用法を提供できた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留タンク内に保持された液体中に、肥効調節型肥料を浸漬して肥料成分を溶出させ、この肥効調節型肥料の肥料成分が混合された前記液体を植物の栽培領域に供給することを特徴とする植物栽培方法。
【請求項2】
肥効調節型肥料の肥料成分が混合された前記液体と、肥効調節型肥料の肥料成分が混合されていない液体とを選択的に又は混合して供給することを特徴とする請求項1記載の植物栽培方法。
【請求項3】
前記肥効調節型肥料を、周面に液体の通過を許容する液体通過部を備えた保持部材内に充填して、前記液体中に浸漬することを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培方法。
【請求項4】
前記保持部材の液体通過部が、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止可能な大きさで形成されており、該保持部材をフィルタとして機能させることを特徴とする請求項3記載の植物栽培方法。
【請求項5】
前記液体が水であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の植物栽培方法。
【請求項6】
肥効調節型肥料が浸漬される液体を保持する貯留タンクと、前記貯留タンクと植物の栽培領域との間に設けられ、肥効調節型肥料の肥料成分が溶出してなる前記液体を、前記植物の栽培領域に供給するための供給管系とを具備することを特徴とする植物栽培装置。
【請求項7】
肥効調節型肥料が浸漬される液体を保持する一の貯留タンクと、
肥効調節型肥料が浸漬されない状態で液体を保持する他の貯留タンクと、
前記各貯留タンクと植物の栽培領域との間に設けられ、前記一の貯留タンク内で肥効調節型肥料の肥料成分が溶出してなる前記液体と、前記他の貯留タンクに保持された液体とを、前記植物の栽培領域に選択的に供給するための供給管系とを具備することを特徴とする植物栽培装置。
【請求項8】
肥効調節型肥料が浸漬される液体を保持する一の貯留タンクと、
肥効調節型肥料が浸漬されない状態で液体を保持する他の貯留タンクと、
前記一の貯留タンクと他の貯留タンクとの間に、開閉弁を介して設けられる連結管と、
前記他の貯留タンクと植物の栽培領域との間に設けられる供給管系とを具備し、
前記連結管の開閉弁を開放動作することにより、前記一の貯留タンク内で肥効調節型肥料の肥料成分が溶出してなる前記液体を前記他の貯留タンク内に混入させ、他の貯留タンク内で濃度調整して供給する構成であることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項9】
前記肥効調節型肥料が保持されている貯留タンク内から前記供給管系の液体吐出部までのいずれか少なくとも任意の1カ所以上に、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載の植物栽培装置。
【請求項10】
前記肥効調節型肥料が、周面に液体の通過を許容する液体通過部を備えた保持部材内に充填されて前記貯留タンクに保持されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1に記載の植物栽培装置。
【請求項11】
前記保持部材の液体通過部が、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止可能な大きさで形成されており、該保持部材がフィルタとして機能する構造であることを特徴とする請求項10記載の植物栽培装置。
【請求項12】
周面に液体の通過を許容する液体通過部を備えると共に、内部に肥効調節型肥料が充填されてなり、貯留タンク内に保持された液体中に浸漬されて使用されることを特徴とする肥効調節型肥料保持部材。
【請求項13】
前記液体通過部が、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止可能な大きさで形成されており、フィルタとして機能するものであることを特徴とする請求項12記載の肥効調節型肥料保持部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肥効調節型肥料を用いた植物栽培方法、植物栽培装置及び肥効調節型肥料保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の土耕栽培では、1回/週〜1回/月程度の範囲で潅水を行う。これは、天候、気温等を考慮して経験を頼りに実施するものであり、水や肥料成分のコントロールが難しい。これに対し、近年は、養液土耕栽培や隔離床栽培など、毎日、あるいは1日数回というように、頻繁に少量ずつ潅水や施肥を行う栽培技術が普及してきている。一般の土耕栽培では、前記の理由により、余剰の水や肥料が流出するなどの無駄が多いのに対し、養液土耕栽培や隔離床栽培などではそのような無駄がなく、少量ずつ潅水、施肥を行うために生育ストレスが小さく、収量や品質の向上が期待できる技術として注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる養液土耕栽培等においては、水に対する液肥の混合比率を植物の成長に合わせて調整し、必要な量のみ供給する手法であるため、上記のように毎日、あるいは1日数回供給することが可能である。しかしながら、液肥の混合比率は、植物の栽培領域となっている土壌に供給された土壌溶液のEC値を測定し、その測定値をフィードバックして調整している。従って、養液土耕栽培等においては、厳密な肥培管理を行うために設備構成が複雑であると共に、設備コストも高い。
【0004】
ところで、一般に「緩効性肥料」と呼ばれる肥効調節型肥料の使用が近年普及してきている。肥効調節型肥料は、粒状肥料の表面を樹脂膜で被覆するなどして、養分の溶出を調節して肥効をコントロールできるものであり、被覆肥料、化学合成緩効性肥料及び硝化抑制剤入り肥料に分類される。養分の溶出量は、粒状肥料を被覆している樹脂膜の材料、膜厚あるいは孔隙を調整するなどして、使用環境に応じ、並びに栽培対象となる植物の種類などに応じて種々調整することができる。従って、肥効調節型肥料を肥料成分が溶出可能な環境に配置するだけで、植物の成長度や植物の種類等に見合った肥効制御がいわば自動的になされるようになっている。しかしながら、従来、かかる肥効調節型肥料は、専ら培地内に埋めて、置肥として使用されるが、置肥以外の新たな使用法の開発が望まれている。
【0005】
また、肥効調節型肥料は、上記のように粒状肥料を被覆している樹脂膜の材料選択等により、肥料成分の溶出量を微妙に制御でき、また、栽培初期においては肥料成分の溶出量が少なく、植物が成長するに従って溶出量が徐々に増すように設計することも可能である。従って、このような肥効制御機能を有する肥効調節型肥料を、養液土耕栽培等で点滴チューブや散水チューブを通じて潅水施肥する際に使用する液肥の代わりに用いれば、養液土耕栽培等で行っていた液肥投入量制御のための特別な設備や工程を不要としても、遜色ない栽培を実施できることが期待できる。しかも、液肥投入量を制御するための特別な設備等が不要となるため、簡易かつ低コストで養液土耕栽培等の実施が可能となる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、肥効調節型肥料の新たな使用法を提供することを課題とする。また、本発明は、養液土耕栽培や隔離床栽培などのように、比較的厳密な肥培管理を要する栽培手法において、簡易かつ低コストな設備でありながら、従来と比較して遜色ない肥培管理を容易に実施できる植物栽培方法、植物栽培装置及び肥効調節型肥料保持部材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、貯留タンク内に保持された液体中に、肥効調節型肥料を浸漬して肥料成分を溶出させ、この肥効調節型肥料の肥料成分が混合された前記液体を植物の栽培領域に供給することを特徴とする植物栽培方法を提供する。
請求項2記載の本発明では、肥効調節型肥料の肥料成分が混合された前記液体と、肥効調節型肥料の肥料成分が混合されていない液体とを選択的に又は混合して供給することを特徴とする請求項1記載の植物栽培方法を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記肥効調節型肥料を、周面に液体の通過を許容する液体通過部を備えた保持部材内に充填して、前記液体中に浸漬することを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培方法を提供する。
請求項4記載の本発明では、前記保持部材の液体通過部が、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止可能な大きさで形成されており、該保持部材をフィルタとして機能させることを特徴とする請求項3記載の植物栽培方法を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記液体が水であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の植物栽培方法を提供する。
請求項6記載の本発明では、肥効調節型肥料が浸漬される液体を保持する貯留タンクと、
前記貯留タンクと植物の栽培領域との間に設けられ、肥効調節型肥料の肥料成分が溶出してなる前記液体を、前記植物の栽培領域に供給するための供給管系とを具備することを特徴とする植物栽培装置を提供する。
請求項7記載の本発明では、肥効調節型肥料が浸漬される液体を保持する一の貯留タンクと、
肥効調節型肥料が浸漬されない状態で液体を保持する他の貯留タンクと、
前記各貯留タンクと植物の栽培領域との間に設けられ、前記一の貯留タンク内で肥効調節型肥料の肥料成分が溶出してなる前記液体と、前記他の貯留タンクに保持された液体とを、前記植物の栽培領域に選択的に供給するための供給管系とを具備することを特徴とする植物栽培装置を提供する。
請求項8記載の本発明では、肥効調節型肥料が浸漬される液体を保持する一の貯留タンクと、
肥効調節型肥料が浸漬されない状態で液体を保持する他の貯留タンクと、
前記一の貯留タンクと他の貯留タンクとの間に、開閉弁を介して設けられる連結管と、
前記他の貯留タンクと植物の栽培領域との間に設けられる供給管系とを具備し、
前記連結管の開閉弁を開放動作することにより、前記一の貯留タンク内で肥効調節型肥料の肥料成分が溶出してなる前記液体を前記他の貯留タンク内に混入させ、他の貯留タンク内で濃度調整して供給する構成であることを特徴とする植物栽培装置を提供する。
請求項9記載の本発明では、前記肥効調節型肥料が保持されている貯留タンク内から前記供給管系の液体吐出部までのいずれか少なくとも任意の1カ所以上に、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載の植物栽培装置を提供する。
請求項10記載の本発明では、前記肥効調節型肥料が、周面に液体の通過を許容する液体通過部を備えた保持部材内に充填されて前記貯留タンクに保持されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1に記載の植物栽培装置を提供する。
請求項11記載の本発明では、前記保持部材の液体通過部が、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止可能な大きさで形成されており、該保持部材がフィルタとして機能する構造であることを特徴とする請求項10記載の植物栽培装置を提供する。
請求項12記載の本発明では、周面に液体の通過を許容する液体通過部を備えると共に、内部に肥効調節型肥料が充填されてなり、貯留タンク内に保持された液体中に浸漬されて使用されることを特徴とする肥効調節型肥料保持部材を提供する。
請求項13記載の本発明では、前記液体通過部が、肥効調節型肥料の残留成分の通過を阻止可能な大きさで形成されており、フィルタとして機能するものであることを特徴とする請求項12記載の肥効調節型肥料保持部材を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施の形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一の実施形態にかかる植物栽培装置1を示す図であり、貯留タンク10、供給管系20、肥効調節型肥料30を備えて構成される。本実施形態は、いわゆる隔離床栽培に本発明を適用しており、植物の栽培領域となる栽培床100として、平面視で略円形の栽培容器101に培地を充填したものを用いている。
【0009】
貯留タンク10には、肥効調節型肥料の肥料成分を溶出させる溶媒となる液体が所定量保持される。かかる液体としては、通常、水が用いられるが、適宜の養分を含むものであっても良い。なお、符号11は、水等の液体の貯留量を制御するボールタップである。
【0010】
供給管系20は、上記貯留タンク10内に配置される水中ポンプ21、この水中ポンプ21に一端が接続され、貯留タンク10外に引き出されると共に、栽培床100付近まで送液する送液管22、該送液管22に接続される給液ホース23、該給液ホース23の先端に設けられ、栽培床100の上方に配置される液体吐出部である散水ノズル24を有して構成される。
【0011】
上記した栽培床100は、例えば、温室の長手方向に沿って複数個ずつ配設される一方で、長手方向に沿って配設される複数個の栽培床100を一列とすると、温室の幅方向(側面間の方向)に沿って複数列設けられている。従って、送液管22は、貯留タンク10外に引き出された後、複数に枝分かれしており、各送液管22は、長手方向に沿って配設された各列の栽培床100ごとに設けられている。このため、各送液管22には、貯留タンク10内の液体を送液するに当たって、送液系統を切り替えるための電磁弁22aがそれぞれ設けられている。なお、符号22bは圧力計である。
【0012】
肥効調節型肥料30は、上記した貯留タンク10内の液体中に浸漬されて配設される。肥効調節型肥料30は、上記したように、水等の液体と接触することにより、樹脂膜の厚みや孔隙の大きさ等に従って、ほぼ設計通りに肥料成分が徐々に溶出していくものであるが、粒状肥料の造粒成分や樹脂膜などが残留成分として残る。このため、肥効調節型肥料30を貯留タンク10内の液体中に浸漬して使用する場合、これらの残留成分が流出して、液体吐出部である散水ノズル24が目詰まりするおそれがある。従って、肥効調節型肥料30の残留成分によって散水ノズル24の詰まりがないように、貯留タンク10内から散水ノズル24までのいずれか少なくとも任意の1カ所以上にフィルタを設けることが好ましい。フィルタは、散水ノズル24寄りの送液管22内等に設けることも可能であるが、残留成分が貯留タンク10外に流出しないように、貯留タンク10から送液管22内に送られる前の部位に、例えば、水中ポンプ21の液体の吸い込み口等に設けることがより好ましい。
【0013】
また、肥効調節型肥料30は、上記したフィルタを設けることにより、貯留タンク10内の液体中に直接浸漬することも可能であるが、通常、数十個から数百個単位で浸漬するため、取扱い上の便宜から、周面に液体の通過を許容する液体通過部41を備えた保持部材40内に充填して用いることが好ましい。また、この液体通過部41の大きさを、肥効調節型肥料30の残留成分の流出を阻止できる程度の大きさとすることにより、かかる保持部材40にフィルタとしての機能を兼ねさせることができるため、上記した水中ポンプ21の吸い込み口等に設ける別途のフィルタに代えることもできるし、この別途のフィルタと併用して、残留成分の流出による散水ノズル24の目詰まりをより確実に防止する構成とすることもできる。
【0014】
保持部材40は、このような機能を果たすものであれば何であってもよいが、肥効調節型肥料30の充填のし易さや取り扱いの容易さを考慮すると、液体通過部41となる網目を備えた不織布や織布等からなる袋部材を用いることが好ましい。液体通過部(網目)41の大きさは、液体との接触による肥料成分の貯留タンク10内への流出と、肥効調節型肥料30の残留成分の流出阻止とのバランスを図る関係から、好ましくは1μm〜2mm、より好ましくは1μm〜500μm、最も好ましくは50μm〜150μmの範囲である。また、保持部材40として袋部材を用いた場合には、肥効調節型肥料30の補充や貯留タンク10のメンテナンス等のため、容易に取り出すことができるよう、紐部材42等を用いて、貯留タンク10内につり下げ支持する構成とすることが好ましい。
【0015】
肥効調節型肥料30としては、被覆肥料、化学合成緩効性肥料及び硝化抑制剤入り肥料のいずれであってもよく、貯留タンク10内に保持される液体の容量、植物の栽培領域となる栽培床100の面積、植物の種類等に合わせて、適宜に選択される。肥効調節型肥料30の保持部材40への充填量も同様である。
【0016】
ここで、本実施形態では、上記のように植物の栽培領域となる栽培床100として、平面視で略円形に形成された栽培容器101を用いていると共に、略円形の栽培容器101に保持される培地に対し、肥効調節型肥料30の肥料成分が溶出した液体を均等に散布するため、該液体を放射状に散布するスプリンクラー式の散水ノズル24を栽培容器101の略中心部の上方に配置している。しかしながら、これはあくまで一例であり、栽培床100としては、上面開口の略直方体状の栽培容器を用いても良いし、本発明を養液土耕栽培において適用する場合には、畝が植物の栽培領域となる。また、散水ノズル24に代えて、培地や畝に敷設される点滴チューブや散水チューブ(エバフロー等)等を用いることももちろん可能である。
【0017】
また、図1においては、栽培容器101のほぼ中心に、肥料投入容器110が設けられている。これは、この肥料投入容器110内に肥効調節型肥料を充填して置肥として用いるために設けたものであるが、栽培対象となっている植物の種類等によって、設置するか否かは任意である。
【0018】
本実施形態の植物栽培装置によれば、水等の液体が保持された貯留タンク10内に、肥効調節型肥料30が所定量充填された保持部材40を浸漬する。これにより肥効調節型肥料30からは徐々に肥料成分が溶出し、液体に混入する。肥料成分が混合された液体は、水中ポンプ21により送液管22に送り込まれ、給水チューブ23、散水ノズル24を通じて植物の栽培領域である栽培床100に供給される。なお、図1において、符号50は制御盤であり、この制御盤50を用いて液体の供給量、供給回数、供給時間等を制御する。肥効調節型肥料30は、肥料成分が液体中に徐々に溶出するように形成されているため、この肥効調節型肥料30の肥料成分が混合された液体を少量ずつ頻繁に供給しても肥料の供給過多となることがない。従って、養液土耕栽培や隔離床栽培などで行われていた土壌溶液のEC値を測定してフィードバック制御するなどの複雑な操作、機構が不要である。
【0019】
図2は、本発明の他の実施形態にかかる植物栽培装置の要部を示す図である。図2に示したように、本実施形態においては、2つの貯留タンク60,70を用い、一方の貯留タンク60には、水等の液体中に肥効調節型肥料30が浸漬されており、他方の貯留タンク70には、肥効調節型肥料30が浸漬されず、単に水等の液体のみが保持されている。また、一方の貯留タンク60と他方の貯留タンク70との間には、開閉弁81を介して連結管80が設けられ、これにより両者が連通接続されていると共に、連結管80にはフィルタ82を介在させ、一方の貯留タンク60に充填された肥効調節型肥料30の残留成分が他方の貯留タンク70に混入することを防止している。供給管系20を構成する水中ポンプ21は他方の貯留タンク70内に配置され、送液管22は、この他方の貯留タンク70から外部に引き出され、各栽培床(図1参照)に液体を散布可能となっている。
【0020】
本実施形態によれば、一方の貯留タンク60内では、肥効調節型肥料30の肥料成分が溶出することにより液体に混入する。肥料成分が混入した液体は、開閉弁81の操作により連結管80を介して他方の貯留タンク70内に混入され、他方の貯留タンク70内に保持されている水等の液体により希釈され、肥料濃度が調整される。そして、希釈された液体が水中ポンプ21の動作によって送液管22を介し、植物の栽培領域である栽培床や畝に供給される。従って、本実施形態の場合には、例えば、一方の貯留タンク60の液体中に浸漬する肥効調節型肥料30の投入量を多くし、肥料成分が混合する液体の肥料濃度を高くしておき、開閉弁81の開閉角度を調整し、他方の貯留タンク70内で希釈することにより、肥効調節型肥料30を大量に用いているにも拘わらず、所望の肥料濃度の液体を供給することが可能となる。
【0021】
図3は、本発明のさらに他の実施形態を示す。本実施形態においては、2つの貯留タンク60,70を用い、一方の貯留タンク60に保持した液体中に、肥効調節型肥料30を収容した保持部材40を浸漬し、他方の貯留タンク70中には、肥効調節型肥料30を浸漬せずに、水等の液体のみを保持させている点で、上記図2に示した実施形態と同様である。但し、本実施形態では、2つの貯留タンク60,70を連結管で接続せずに、それぞれ独立して供給管系20,20’を設けている。すなわち、肥効調節型肥料30が浸漬されない他方の貯留タンク70に、上記図2に示した実施形態と同様に、水中ポンプ21を設置して送液管22を接続すると共に、肥効調節型肥料30が浸漬される一方の貯留タンク60にも水中ポンプ21’を設置し、栽培床等の植物の栽培領域に液体を供給可能な送液管22’を設けている。また、各送液管22,22’には、電磁弁22a,22’aが設けられている。
【0022】
本実施形態の場合には、他方の貯留タンク70側に設けられる電磁弁22aを閉じ、一方の貯留タンク60側に設けられる電磁弁22’aを開けることにより、一方の貯留タンク60内で、肥効調節型肥料30の肥料成分が溶出して混合している液体を植物の栽培領域に付与でき、一方の貯留タンク60側の電磁弁22’aを閉じ、他方の貯留タンク70側の電磁弁22aを開けることにより、他方の貯留タンク70内に保持された、肥効調節型肥料30の肥料成分が混合されていない水等の液体のみを付与できる。従って、本実施形態によれば、電磁弁22a,22’aの切換操作によって、肥効調節型肥料30の肥料成分が混合した液体と、肥料成分が混合していない液体とを選択的に供給でき、植物の成長度等に応じて、図2に示した実施形態と同様に、肥効調節型肥料の投入量を多くしても正確な潅水施肥制御を実施することができる。
【0023】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではないことはもちろんであり、肥効調節型肥料を、植物の栽培領域に供給するために保持した液体中に浸漬、その肥料成分を溶出させて用いることができる構成であればよい。従って、例えば、図2に示した実施形態に対し、水等の液体のみを保持し、別系統の供給管系を備えたさらに別の貯留タンクを組み合わせたり、図2に示した実施形態と図3に示した実施形態とを組み合わせて実施するなど、栽培規模や植物の種類等に応じて様々な態様で実施することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の植物栽培方法及び植物栽培装置によれば、肥効調節型肥料を水等の液体中に浸漬することにより、溶出した肥料成分が混合された液体を、植物の栽培領域に供給する構成である。すなわち、肥効調節型肥料を、植物の栽培領域に散布される液体により溶出するように、置肥として用いるのではなく、植物の栽培領域に散布する液体中に積極的にその肥料成分が混合されるように用いるものであり、肥効調節型肥料の新たな使用法として期待できる。また、このように植物の栽培領域に散布する液体中に積極的に溶出する構成とした場合には、肥効調節型肥料の残留成分による液体吐出部の目詰まりが問題となるが、フィルタ又はフィルタとして機能する保持部材を設けることにより、かかる目詰まりを生ずることなく、肥効調節型肥料の積極的な活用が可能である。従って、養液土耕栽培や隔離床栽培などのように、比較的厳密な肥培管理を要する栽培手法を、肥効調節型肥料を用いることにより、簡易かつ低コストな設備でありながら、従来と比較して遜色なく実施することができる。
【0025】
また、本発明の肥効調節型肥料保持部材によれば、数十個から数百個単位で使用される肥効調節型肥料の取扱いが容易となり、貯留タンク内に配置する際の作業が容易となると共に、販売時等の取り引きの便宜にも資する。さらに、残留成分の通過を阻止し得る大きさの液体通過部を有する構造とすることにより、保持部材自体をフィルタとして機能させることができるため、植物栽培装置の構造をより簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態にかかる植物栽培装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態にかかる植物栽培装置の要部を示す図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の実施形態にかかる植物栽培装置の要部を示す図である。
【符号の説明】
1 植物栽培装置
10,60,70 貯留タンク
20,20’ 供給管系
21,21’ 水中ポンプ
22,22’ 送液管
23 給水チューブ
24 散水ノズル
30 肥効調節型肥料
40 保持部材
【出願人】 【識別番号】390010814
【氏名又は名称】株式会社誠和
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀1−6−1
【出願日】 平成14年6月13日(2002.6.13)
【代理人】 【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆

【公開番号】 特開2004−16037(P2004−16037A)
【公開日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願番号】 特願2002−172543(P2002−172543)