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【発明の名称】 歩行型移植機
【発明者】 【氏名】布野 隆
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】横送り変速レバーを、その操作性を考慮して苗載台の後側(運転ハンドル側)に配置するにあたり、横送り変速レバーが、植付苗に干渉したり、オペレータの歩行を阻害する不都合を解消する。

【解決手段】運転ハンドル6が設けられる機体後部に、苗載面5aが前方を向くように苗載台5を配置し、該苗載台5の前側下部に、苗載台5から掻取った苗を所定の条間隔Aを存して圃場に植付ける複数の植付爪21aを配置する一方、苗載台5の後側に、苗載台5を横送りする苗載台横送り機構23を配置した歩行型移植機であって、前記苗載台5の後側に、横送り変速レバー41の操作に応じて苗載台5の横送り速度を変速する横送り変速機構30を設けると共に、前記横送り変速レバー41を、前記植付爪21aの植付条間C1〜C3に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転ハンドルが設けられる機体後部に、苗載面が前方を向くように苗載台を配置し、該苗載台の前側下部に、苗載台から掻取った苗を所定の条間隔を存して圃場に植付ける複数の植付爪を配置する一方、苗載台の後側に、苗載台を横送りする苗載台横送り機構を配置した歩行型移植機において、前記苗載台の後側に、横送り変速レバーの操作に応じて苗載台の横送り速度を変速する横送り変速機構を設けると共に、前記横送り変速レバーを、前記植付爪の植付条間に配置したことを特徴とする歩行型移植機。
【請求項2】
請求項1において、前記横送り変速レバーは、複数の植付条間のうち、機体中央部から外れた植付条間に配置されることを特徴とする歩行型移植機。
【請求項3】
請求項1乃至2において、前記横送り変速レバーは、側面視で前記運転ハンドルの下方に配置されることを特徴とする歩行型移植機。
【請求項4】
請求項1乃至3において、前記横送り変速レバーは、前記植付爪の縦方向の苗掻取量を調節する掻取量調節レバーの近傍に配置されることを特徴とする歩行型移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行型田植機等の歩行型移植機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の歩行型移植機においては、所定速度で横送りされる苗載台から苗を掻取って圃場に植付けるにあたり、前記苗載台の横送り速度を、苗の種類(稚苗、中苗、成苗)に応じて変速する必要がある。そこで、横送り伝動経路に、横送り速度を変速する横送り変速機構を設けると共に、該横送り変速機構を、横送り変速レバーの操作に基づいて変速動作させるものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記横送り変速レバーを、その操作性を考慮して苗載台の後側(運転ハンドル側)に配置した場合、横送り変速レバーが、植付苗に干渉したり、オペレータの歩行を阻害する惧れがある許りでなく、運転ハンドルに設けられる操作具を操作する際に、横送り変速レバーを誤操作する可能性がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、運転ハンドルが設けられる機体後部に、苗載面が前方を向くように苗載台を配置し、該苗載台の前側下部に、苗載台から掻取った苗を所定の条間隔を存して圃場に植付ける複数の植付爪を配置する一方、苗載台の後側に、苗載台を横送りする苗載台横送り機構を配置した歩行型移植機において、前記苗載台の後側に、横送り変速レバーの操作に応じて苗載台の横送り速度を変速する横送り変速機構を設けると共に、前記横送り変速レバーを、前記植付爪の植付条間に配置したことを特徴とする。つまり、横送り変速レバーを、苗載台の後側に配置しても、植付苗に干渉することがなく、しかも、横送り変速機構から横送り変速レバーを直接取り出し、構造の簡略化を図ることができる。
また、前記横送り変速レバーは、複数の植付条間のうち、機体中央部から外れた植付条間に配置されることを特徴とする。この場合においては、横送り変速レバーによってオペレータの歩行が阻害される不都合を回避することができる。
また、前記横送り変速レバーは、側面視で前記運転ハンドルの下方に配置されることを特徴とする。この場合においては、運転ハンドルに設けられる操作具の操作に際し、横送り変速レバーが誤操作される不都合を回避することができる。また、前記横送り変速レバーは、前記植付爪の縦方向の苗掻取量を調節する掻取量調節レバーの近傍に配置されることを特徴とする。この場合においては、苗掻取量調節に関連する二つの操作具が近傍に配置されるので、苗掻取量調節を容易にすることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は歩行型田植機の走行機体であって、該走行機体1は、機体前部に搭載されるエンジン(図示せず)と、該エンジンの後方近傍に配置されるトランスミッションケース2と、該トランスミッションケース2の後部に、筒状のフレーム3を介して一体的に連結されるドライブケース4と、該ドライブケース4上に、苗載面5aが前方を向くように配置される苗載台5と、上記ドライブケース4の後端部から苗載台5の後面に沿って延設される運転ハンドル6と、上記トランスミッションケース2の左右両側部に、チェンケース7を介して上下昇降自在に設けられる車輪8と、機体底部に設けられるフロート9とを備えている。
【0006】
ドライブケース4は、入力軸10、植付伝動軸11、中間軸12、縦送り軸13およびスクリュー軸14を回転自在に支持している。入力軸10は、トランスミッションケース2からチェン15を介して入力した動力を、チェン16を介して植付伝動軸11に伝動する一方、チェン17、中間軸10およびチェン18を介して縦送り軸13に伝動する。ドライブケース4の前部(苗載台5の前側下部)には、シャフトケース19を介して複数の植付伝動ケース20が設けられている。各植付伝動ケース20は、クランク式の植付機構21を備えると共に、シャフトケース19内の連結シャフト22を介して植付伝動軸11から動力を入力し、植付機構21を動作させる。
【0007】
植付機構21は、苗載台5の下端部から苗を掻取ると共に、掻取った苗を圃場に植付ける植付爪21aを備えている。4条植え仕様である本実施形態の歩行型田植機においては、左右方向に所定の条間隔Aを存して4本の植付爪21aが配置され、その植付動作により、圃場に4本の植付条Bが形成される。その際、運転ハンドル6を握るオペレータは、3本の植付条間C1〜C3のうち、中央の植付条間C2を歩行することになる。
【0008】
苗載台5は、運転ハンドル6等で左右移動自在に支持されると共に、後述する苗載台横送り機構23によって往復方向に横送り動作される。苗載台5の下端部には、マット苗の下端を受止めるエプロン24が配置され、該エプロン24に形成される掻取口24aから植付爪21aが苗を掻取るようになっている。また、エプロン24は、掻取量調節機構25に連繋されており、該掻取量調節機構25の動作に応じて上下位置が調節される。これにより、植付爪21aによる縦方向の苗掻取量を調節することが可能になる。本実施形態の掻取量調節機構25は、平行リンク26を備え、掻取量調節レバー27の操作に応じた平行リンク26の動作により、エプロン24を上下動させるように構成されている。
【0009】
苗載台横送り機構23は、前述のスクリュー軸14と、スライドブロック28と、スライドバー29とにより構成されている。スクリュー軸14は、外周部に無端状の螺旋溝14aを有しており、縦送り軸13から横送り変速機構30を介して伝動される動力で一方向に回転される。スライドバー29は、ドライブケース4に左右スライド自在に支持されると共に、その両端部が苗載台5の裏面に連結されている。スライドブロック28は、一端部がスライドバー29に一体的に連結され、他端部がスクリュー軸14にスライド自在に外嵌されるが、その内部には、螺旋溝14aに係合するガイドピース28aが組み込まれている。従って、スクリュー軸14が一方向に回転すると、スライドブロック28が左右方向に往復移動し、それに追随するスライドバー29が苗載台5を横送りさせることになる。
【0010】
横送り変速機構30は、縦送り軸13に回転自在に支持される一対の駆動側スプロケット31、32と、縦送り軸13にスプライン嵌合され、駆動側スプロケット31、32の爪部31a、32aに選択的に噛み合う爪クラッチ33と、スクリュー軸14に一体的に設けられる一対の従動側スプロケット34、35と、駆動側スプロケット31と従動側スプロケット34との間に巻回されるチェン36と、駆動側スプロケット32と従動側スプロケット35との間に巻回されるチェン37とを備えている。つまり、横送り変速機構30は、速度比が異なる一対の伝動経路を構成すると共に、爪クラッチ33によって伝動経路を選択するように構成されている。これにより、走行速度に対する苗載台5の相対的な横送り速度が変速され、植付爪21aによる横方向の苗掻取量を調節することが可能になる。
【0011】
横送り変速機構30は、さらに、前記一対の伝動経路を覆うケース38と、該ケース38に回転自在に支持されるシフタ39と、該シフタ39の外端部に一体的に設けられるシフトアーム40と、該シフトアーム40の位置を切換え操作する横送り変速レバー41と、該横送り変速レバー41およびシフトアーム40の位置規制を行うガイドプレート42とを備えている。シフタ39は、前記爪クラッチ33に係合するシフトフォーク39aと、該シフトフォーク39aを介して爪クラッチ33を変速動作させるシフト軸39bとで構成される。シフトアーム40は、ケース38から突出するシフト軸39bの外端部に取り付けられ、その回動によって爪クラッチ33を変速操作させるが、その回動範囲は、ガイドプレート42のストッパ部42a、42bによって規定されている。横送り変速レバー41は、捻りコイルバネを構成しており、そのコイル部41aが、シフト軸39bを支持するケース38のボス部38aに回動自在に外嵌している。コイル部41aから延出する一対のレバー部41b、41cのうち、一方のレバー部41bは、シフトアーム40の長孔40aに係合される。他方のレバー部41cは、一側方に延出すると共に、ガイドプレート42に形成される上下一対の係止溝42c、42dの何れかに係止される。つまり、横送り変速レバー41のレバー部41cを下側の係止溝42dに係止させると、コイル部41aの付勢力によってシフトアーム40が上方変速位置(上側のストッパ部42aに接当する位置)に回動する一方、横送り変速レバー41のレバー部41cを上側の係止溝42cに係止させると、コイル部41aの付勢力によってシフトアーム40が下方変速位置(下側のストッパ部42bに接当する位置)に回動する。これにより、横送り変速レバー41による横送り変速機構30の変速操作が可能になる。
【0012】
つぎに、横送り変速レバー41(レバー部41c)の配置について説明する。横送り変速レバー41は、図2に示すように、植付爪21aの植付条間C1に配置される。これにより、横送り変速レバー41を苗載台5の後側に配置しても、横送り変速レバー41が植付苗に干渉することを回避でき、また、横送り変速機構30から横送り変速レバー41を直接取り出し、構造の簡略化を図ることが可能になる。また、図2に示すように、横送り変速レバー41は、複数の植付条間C1〜C3のうち、機体中央部から外れた植付条間C1(またはC3)に配置される。これにより、オペレータの歩行に際し、横送り変速レバー41が邪魔になる不都合を回避することができる。
【0013】
また、横送り変速レバー41は、図1に示すように、側面視で運転ハンドル6の下方(運転ハンドル基端部近傍)に配置される。これにより、運転ハンドル6に設けられる操作具の操作に際し、横送り変速レバー41が邪魔になったり、横送り変速レバー41が誤操作される不都合を回避することが可能になる。
【0014】
また、横送り変速レバー41は、図3に示すように、掻取量調節レバー27の近傍に配置される。これにより、苗掻取量調節に関連する二つの操作具を近傍に配置し、苗掻取量調節における作業性を向上させることが可能になる。
【0015】
叙述の如く構成されたものにおいて、運転ハンドル6が設けられる機体後部に、苗載面5aが前方を向くように苗載台5を配置し、該苗載台5の前側下部に、苗載台5から掻取った苗を所定の条間隔Aを存して圃場に植付ける複数の植付爪21aを配置する一方、苗載台5の後側に、苗載台5を横送りする苗載台横送り機構23を配置した歩行型移植機であって、前記苗載台5の後側に、横送り変速レバー41の操作に応じて苗載台5の横送り速度を変速する横送り変速機構30を設けると共に、前記横送り変速レバー41を、前記植付爪21aの植付条間C1〜C3に配置したため、横送り変速レバー41を、苗載台5の後側に配置しても、植付苗に干渉することがなく、しかも、横送り変速機構30から横送り変速レバー41を直接取り出し、構造の簡略化を図ることができる。
【0016】
また、前記横送り変速レバー41は、複数の植付条間C1〜C3のうち、機体中央部から外れた植付条間C1(またはC3)に配置されるため、横送り変速レバー41によってオペレータの歩行が阻害される不都合を回避することができる。
【0017】
また、前記横送り変速レバー41は、側面視で前記運転ハンドル6の下方に配置されるため、運転ハンドル6に設けられる操作具の操作に際し、横送り変速レバー41が邪魔になることがなく、また、横送り変速レバー41の誤操作も防止することができる。
【0018】
また、前記横送り変速レバー41は、前記植付爪21aの縦方向の苗掻取量を調節する掻取量調節レバー27の近傍に配置されるため、苗掻取量調節に関連する二つの操作具を近傍に配置し、苗掻取量調節時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】歩行型田植機の側面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】同上背面図である。
【図4】ドライブケースの伝動構造を示す展開図である。
【図5】掻取量調節機構を示す背面図である。
【図6】苗載台横送り機構および横送り変速機構を示す背面図である。
【図7】横送り変速機構の背面図である。
【図8】同上側面図である。
【符号の説明】
1   走行機体
2   トランスミッションケース
4   ドライブケース
5   苗載台
5a  苗載面
6   運転ハンドル
14  スクリュー軸
20  植付伝動ケース
21  植付機構
21a 植付爪
23  苗載台横送り機構
24  エプロン
25  掻取量調節機構
27  掻取量調節レバー
30  横送り変速機構
41  横送り変速レバー
A   条間隔
B   植付条
C   植付条間
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成14年6月6日(2002.6.6)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫

【公開番号】 特開2004−8077(P2004−8077A)
【公開日】 平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願番号】 特願2002−165690(P2002−165690)