| 【発明の名称】 |
乗用田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹内 修 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ハンドルの操作力を低減し、また、部材の軽量化を図りコスト削減できる乗用田植機を提供する。
【解決手段】ハンドル8と左右のサイドクラッチ機構79・79とを、リンク機構100、カム機構180を介して連動連結する乗用田植機であって、前記カム機構を、ハンドル8の回転に連動して回動するカム部材181と、該カム部材181の外周面を転動する左右のローラ185L・185Rと、該ローラ185L・185Rを支持する左右の操作アーム182・182と、該左右操作アーム182・182を連結するバネ184とで構成するとともに、前記カム部材181、左右のローラ185L・185R、左右の操作アーム182・182、バネ184によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持し、ハンドル8を直進位置から左右所定角度回動させて保持状態を解除することによりサイドクラッチを切るように構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハンドルと左右のサイドクラッチとを、リンク機構、カム機構を介して連動連結する乗用田植機であって、 前記カム機構を、ハンドルの回転に連動して回動するカム部材と、該カム部材の外周面を転動する左右の転動部材と、該転動部材を支持する左右の操作部材と、該左右の操作部材間に介装され左右の転動部材をそれぞれカム部材側へ付勢する弾性部材とで構成するとともに、前記カム部材、左右の転動部材、左右の操作部材と弾性部材によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持可能とし、ハンドルを直進位置から左右所定角度回動させて保持状態を解除することによりサイドクラッチを切るように構成したことを特徴とする田植機。 【請求項2】 ハンドルと左右のサイドクラッチ及びサイドブレーキとを、リンク機構、カム機構を介して連動連結する乗用田植機であって、 前記カム機構を、ハンドルの回転に連動して回動するカム部材と、該カム部材の外周面を転動する左右の転動部材と、該転動部材を支持する左右の操作部材と、該左右操作部材を連結する弾性部材とで構成するとともに、前記カム部材、左右の転動部材、左右の操作部材と弾性部材によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持し、ハンドルを直進位置から左右所定角度回動させて、保持状態を解除することによりサイドクラッチを切り、その側のサイドブレーキを制動するように構成したことを特徴とする田植機。 【請求項3】 前記左右の転動部材の間隔が、直進位置とサイドクラッチ「切」位置とで同じとなるように、前記カム部材を構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の田植機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、乗用田植機のハンドルの操作力を軽減する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来から、乗用田植機において、ハンドルの操作とサイドクラッチとを連動して、乗用田植機が旋回する際、旋回方向内側の後輪のサイドクラッチを切って、内側の後輪に動力を伝達しないようにして、田植機の旋回半径が小さくなるように構成していた(例えば、特許文献1参照)。 具体的には、ハンドルのステアリング装置と、リンク機構を介して、ミッションケース後部上方に配置しているカム機構と、後輪サイドクラッチを連動連結させる。そして、リンク機構及びカム機構によりハンドルの操作をサイドクラッチに伝達し、カム機構により、ハンドルを操作した旋回内側の後輪のサイドクラッチを切って、田植機の旋回を行なう構成としていた。 【0003】 【特許文献1】 特開2002−340021号公報 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、従来のカム機構を使用した乗用田植機においては、サイドクラッチを切る力は旋回のためのハンドル操作力に加わる力となるため、ハンドルの操作荷重が大きく、作業者に負担となっていた。 また、ハンドルの操作力を軽減するため、アシスト装置を乗用田植機に設ける技術も公知となっているが、小型の乗用田植機には、設置スペースを確保することが困難で、また、重量が増加しコストもかかるという不具合があった。 そこで、本発明では、ハンドルの操作力を低減し、また、部材の軽量化を図りコスト削減できる乗用田植機を提供する。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 【0006】 即ち、請求項1においては、ハンドルと左右のサイドクラッチとを、リンク機構、カム機構を介して連動連結する乗用田植機であって、前記カム機構を、ハンドルの回転に連動して回動するカム部材と、該カム部材の外周面を転動する左右の転動部材と、該転動部材を支持する左右の操作部材と、該左右の操作部材間に介装され左右の転動部材をそれぞれカム部材側へ付勢する弾性部材とで構成するとともに、前記カム部材、左右の転動部材、左右の操作部材と弾性部材によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持可能とし、ハンドルを直進位置から左右所定角度回動させて保持状態を解除することによりサイドクラッチを切るように構成したものである。 【0007】 請求項2においては、ハンドルと左右のサイドクラッチ及びサイドブレーキとを、リンク機構、カム機構を介して連動連結する乗用田植機であって、前記カム機構を、ハンドルの回転に連動して回動するカム部材と、該カム部材の外周面を転動する左右の転動部材と、該転動部材を支持する左右の操作部材と、該左右操作部材を連結する弾性部材とで構成するとともに、前記カム部材、左右の転動部材、左右の操作部材と弾性部材によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持し、ハンドルを直進位置から左右所定角度回動させて、保持状態を解除することによりサイドクラッチを切り、その側のサイドブレーキを制動するように構成したものである。 【0008】 請求項3においては、前記左右の転動部材の間隔が、直進位置とサイドクラッチ「切」位置とで同じとなるように、前記カム部材を構成したものである。 【0009】 【発明の実施の形態】 次に、発明の実施の形態を説明する。 図1は本実施例に係る乗用田植機の全体平面図、図2は同じく側面図、図3は車体フレームの概略斜視図である。 図4はミッションケース全体の側面図、図5はミッションケース全体の平面展開断面図、図6はエンジンとミッションケース間の概略斜視図、図7はミッションケース前部における入力軸からPTO出力軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図、図8はミッションケース前部における副変速軸から主変速軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図、図9はミッションケース前部の平面展開断面図である。 図10はリンク機構を示す側面図、図11は同じく平面図、図12は同じく斜視図、図13はカム機構を示す斜視図、図14は同じく後面図、図15はカム部材及びアームを示す図、図16はカム部材を示す拡大図、図17はカム部材を示す図、図18は操作アームを示す図である。 図19は別実施例のカム機構を示す斜視図、図20は同じく後面図である。 【0010】 以下に本発明の実施例について図面を参照しながら具体的に説明する。 なお、本実施例では走行車両1として乗用田植機を例に採り説明しているが、走行車両1はこれに限定されることなく、トラクタ、コンバイン、野菜移植機等の各種作業機の走行車両にも適用できるものである。 【0011】 図1及び図2に示す如く、乗用田植機は、走行車両1と、該走行車両1の後部に昇降リンク機構10を介して昇降可能に連結した植付部9とで構成されている。そして、走行車両1の前部及び後部にはそれぞれ前輪2・2と後輪3・3とが懸架され、車体フレーム4の前部には動力部であるエンジン5が搭載されてボンネット22で覆われている。 前記ボンネット22の両側には予備苗載台90が配設され、同じくボンネット22の後上方には操向ハンドル8が配設されている。そして、操向ハンドル8の周囲であってボンネット22の後部左側には主変速レバー75、全動力を入切操作可能な苗継ぎレバー76等が配設され、該操向ハンドル8の右側下方には、車体内側からブレーキペダル73、変速ペダル74が配設されている。 【0012】 エンジン5後方であって車体フレーム4の左右略中央には前後方向に長く形成したミッションケース6が配置されており、該ミッションケース6の前部で前輪2・2が支持され、後部で後輪3・3が支持されている。ミッションケース6は、ボンネット22後方から車体カバー20によって覆われており、該車体カバー20の後上部には運転席7が設けられている。さらに、車体カバー20の運転席7側方には植付部9の昇降を行なう植付部昇降レバー77、油圧感度調節レバー25等が設けられている。また、前記植付部昇降レバー77は、植付部9の昇降・植付部への動力の入切・植付時の変速・線引きマーカ等の操作を行なうことができる。 【0013】 このようにして、上述の乗用田植機は、エンジン5の動力を利用して前輪2・2及び後輪3・3を走行駆動して走行移動させると共に、植付部9を駆動して連続的に苗を植え付けるように構成されている。 【0014】 次に、上述のような全体構成を有する乗用田植機において、ミッションケース6に係わる各部の構成について説明する。 【0015】 [ミッションケースの支持構造] ミッションケース6の支持構造について説明する。 まず、ミッションケース6を取り付ける車体フレーム4の構造について説明する。 図1乃至図3に示す如く、前後方向に伸延しその略中央部から後側を上方に向けて屈曲するように形成された左右一対のメインフレーム41L・41Rに対して、前端部間に平面視略コ字状のトップフレーム40が架設され、前側中途部間にフロントフレーム45が架設され、また、前後中途部間にステップ支持フレーム46と、正面視略門型の座席支持フレーム51の基端部とが架設され、さらには、後端部間に背面視略門型のリヤフレーム43の上部が架設されて、車体フレーム4が構成されている。 【0016】 前記トップフレーム40の中央部とフロントフレーム45の中央部との間にエンジン5を載置するための矩形平板状のエンジン支持板50が架設され、該エンジン支持板50の後端には、ステアリング機構を支持するための矩形平板状のステアリング支持板50aが延設され、該ステアリング支持板50aの上面にミッションケース6の前上部が取り付けられるブラケット49が設けられている。 【0017】 前記フロントフレーム45の左右端部には、トップフレーム40の左右端部が連結されるとともに、予備苗載台90・90の構成部材である予備苗載台支柱90a・90aの基端部がブラケット29・29を介して固定されており、また、フロントフレーム45とメインフレーム41L・41Rとの交差部にはステップ支柱57・57が立設されている。 【0018】 前記トップフレーム40の中央上部に左右一対のボンネットフレーム36・36の前端下部が固定され、該ボンネットフレーム36・36の後端上部は、ステアリング軸59を回動自在に支持する円筒状のステアリングポスト58に略U字状のプレート36a及びブラケット58bを介して固定されている。 前記ステアリングポスト58の下部には、トルクジェネレータケース27が接続され、該トルクジェネレータケース27は前記ステアリング支持板50aに螺設されている。 【0019】 また、ステップ支持フレーム46の左右略中央部にはブラケット48・48が設けられており、該ブラケット48・48の上部48a・48aには、前記植付部9を昇降させるための油圧式昇降シリンダ(図示せず)の基部が支承され、同じく下部48b・48bにはミッションケース6の前後中途部が取り付けられている。 【0020】 さらに、図2及び図3に示す如く、リヤフレーム43の左右側部に左右一対のステップ支持フレーム47・47の基端部が固定されるとともに、リヤフレーム43とステップ支持フレーム47・47の基端部との間にリヤデッキ支持ブラケット44・44が固定されている。各ステップ支持フレーム47・47は、その基端部を左右幅方向に向けて伸延するとともに、中途部で屈曲して、その先端部を前後方向に向けて伸延する状態に形成されている。 また、前記リヤフレーム43の下端部左右両側にはリヤアクスルケース38・38を固定するためのステー39・39が固設されており、さらに、前記リヤフレーム43の左右中央部には昇降リンク機構10の前端を支承するためのブラケット42が固設されている。 【0021】 上述の如く構成した車体フレーム4において、ミッションケース6の前端部は、前記エンジン支持板50の後端部上面に設けられたブラケット49に連結されるとともに、ミッションケース6の前後途中部は、前記ステップ支持フレーム46の車体幅方向略中央に設けられたブラケット48の下部に連結され、さらに、ミッションケース6の後部に一体的に形成されたリヤアクスルケース38・38はステー39・39を介してリヤフレーム43下端に連結されている。 【0022】 [ミッションケースの構成] 次に、ミッションケース6の概略構造について説明する。 図4及び図5に示す如く、ミッションケース6には、前輪2・2を支承するフロントアクスルケース37・37と、後輪3・3を支承するリヤアクスルケース38・38とが一体的に設けられている。 ミッションケース6の前部には、主変速機構が内設される変速室60が形成され、該変速室60の左右両側面にはフロントアクスルケース37・37が固設されている。該フロントアクスルケース37・37の左右端部より下方に向かっては、車軸ケース66a・66a(図1)が固設され、該車軸ケース66a・66aの下端部に前輪2・2を固設する前車輪軸66・66が軸支されている。 【0023】 また、前記変速室60の右側部には、植付伝達室34が形成され、該植付伝達室34の後部には前後方向に軸芯を有する植付PTO軸65が軸支されており、該植付PTO軸65後端は、図示せぬPTO伝動軸等を介して前記植付部9に連結され、苗植え装置駆動のための動力を伝達するようにしている。同様にして、変速室60の左側部にも、作業機伝達室201が形成され、該作業機伝達室201の後部に前後方向に軸芯を有する作業機PTO軸202が軸支され、該作業機PTO軸202後端は、変速機等を介して、施肥機等の田植機に搭載される作業機を駆動するための動力を伝達するようにしている。 【0024】 一方、ミッションケース6の後端部には、軸芯を左右方向に持つリヤアクスルケース38が一体的に形成され、該リヤアクスルケース38内には、前から順に、サイドクラッチ機構79・79が設けられたクラッチ軸35、中間軸31が設けられている。該中間軸31の左右両端部には減速ギア32が固設され、該減速ギア32は減速ギア33に噛合され、該減速ギア33は、前記後輪3を外側端部に固設した後車輪駆動軸69の内側端部に固設されている。そして、これら減速ギア32・33の外側には、後車輪駆動軸69を軸支するファイナルケース16が覆設されている。 【0025】 [ミッションケースへの伝動機構] 次に、ミッションケース6内への動力入力構成について説明する。 図6に示す如く、前記エンジン支持板50上にはエンジン5が載置固定されるとともに、該エンジン5から左側方には出力軸である駆動軸52が突出され、該駆動軸52上に、左右一対の皿状の円錐プーリからなる駆動側プーリ53が固設されている。 一方、前記ミッションケース6前部から入力軸56が側方に突出され、該入力軸56にも、同様にして左右一対の皿状の円錐プーリからなる従動側プーリ55が取り付けられるとともに、該従動側プーリ55と前記駆動側プーリ53との間にはベルト54が巻回されて、ベルト式無段変速機構13が形成されている。 そして、該ベルト式無段変速機構13において、前記円錐プーリ間に形成される溝幅を変更することにより、各プーリ53・55の有効径を自在に変化させ、ミッションケース6内へ、エンジン5からの動力を変速して入力できるようにしている。本実施例の円錐プーリ53間の溝幅変更機構はアクチュエータとして変速モータ348の駆動により作動され、該変速モータ348は変速ペダル74の操作位置に応じて制御され、他方のプーリ55はバネ等で狭める方向に付勢している。 【0026】 [ミッションケース内の伝動機構] 次に、ミッションケース6内における動力伝達構成について説明する。 図4、図5、図7及び図8に示す如く、前記変速室60においては、入力軸56の斜め下後方に、副変速軸63、主変速軸61が順に平行に軸支され、さらに、このうちの副変速軸63の後方には、後進軸67、株間変速軸68、PTO出力軸64も順に平行に軸支されている。 【0027】 前述の如く、入力軸56の左端は、ベルト式無段変速機構13を介してエンジン5の駆動軸52に連結連動され、同じく右端は、ミッションケース6より右側方に突出し、ここに主クラッチ機構14が設けられている。そして、該入力軸56上に配置された大径ギア121a・小径ギア121bからなる二連の遊嵌ギア121と入力軸56間の動力伝達を、該主クラッチ機構14により断接できるようにしている。 【0028】 図7及び図8に示す如く、副変速軸63上には副変速機構70が設けられ、右側から順に、前記遊嵌ギア121に噛合可能でスプライン嵌合した二連の摺動ギア120と、固定ギア118と、大径ギア119a・小径ギア119bからなる固定ギア119とが配置されている。 前記摺動ギア120は、低速ギア120aと高速ギア120bとから構成されており、フォーク軸102に固設されたシフトフォーク101が嵌合されている。 【0029】 前記副変速機構70では、副変速軸63上の摺動ギア120を進行方向右方に摺動し、摺動ギア120の低速ギア120aを入力軸56上の遊嵌ギア121の小径ギア121bと噛合させ、動力を伝達して低速走行可能とし、また、摺動ギア120を左方に摺動し、摺動ギア120の高速ギア120bを遊嵌ギア121の大径ギア121aと噛合させ、動力を伝達して高速走行可能としている。 【0030】 なお、主クラッチ機構14により入力軸56から遊嵌ギア121までの動力伝達を断った状態で走行車両1を停止させると、走行系の動力伝達も断絶された状態となり、入力軸56及び主変速軸61の回転が停止される。また、苗継ぎレバー76を操作して、主クラッチ機構14とブレーキ機構78を同時に作用させると入力軸56及び主変速軸61の回転が停止される。 【0031】 図8及び図9に示す如く、主変速軸61上の左右略中央には、ギア122aと駆動スプロケット122bからなる動力分岐ギア122が固設されており、主変速軸61上の駆動スプロケット122bと、ミッションケース6後部の従動スプロケット126との間には、チェーン80が巻回され、主変速軸61の駆動力を後車輪駆動軸69に伝達可能とする一方、主変速軸61上のギア122aに、左右の前車輪駆動軸62を駆動する差動装置81のリングギア123が噛合され、これらの動力分岐ギア122を用いて動力を前後方向に分岐するようにしている。 【0032】 また、主変速軸61上には前記固定ギア119に噛合可能な低速ギア124aと高速ギア124bから成る二連の摺動ギア124が配置されている。該摺動ギア124には、前記主変速レバー75に連結連動されたフォーク軸104に固設のシフトフォーク103が嵌合して、主変速機構71を構成している。 主変速機構71では、摺動ギア124を右方に摺動し、摺動ギア124の高速ギア124bを、前記固定ギア119の大径ギア119aと噛合させることにより、動力を伝達して高速走行可能としている。また、摺動ギア124を左方に摺動し、摺動ギア124の低速ギア124aを前記固定ギア119の小径ギア119bと噛合させることにより、動力を伝達して低速走行可能としている。 【0033】 さらに、主変速軸61の右側端部にはブレーキ機構78が設けられており、該ブレーキ機構78により、主変速軸61を制動可能としている。 【0034】 また、後進軸67上の左半分に固設された中間ギア127は、前記副変速軸63上の固定ギア118と常時噛合する入力ギア127aと、大径ギア127b・小径ギア127dと、逆転ギア127cとからなり、該逆転ギア127cは、前記主変速軸61上の低速ギア124aと噛合可能としている。 【0035】 ここで、主変速レバー75を操作して、主変速軸61の低速ギア124aを副変速軸63の固定ギア119から離脱させ、更に左方に摺動させると、この主変速軸61の低速ギア124aは、後進軸67の逆転ギア127cと噛合するようになり、入力軸56から副変速軸63まで伝達されてきた駆動力は、副変速軸63→固定ギア118→入力ギア127a→後進軸67→逆転ギア127c→低速ギア124a→主変速軸61のように伝達される。つまり、駆動力はそのまま主変速軸61には伝達されず、後進軸67で一旦回転方向が逆転された後、逆転の駆動力として主変速軸61に伝達されるのである。 【0036】 そして、図7に示すように、株間変速軸68上の右半分には、第一ギア131a・第二ギア131b・第三ギア131cからなる固定ギア131が配置され、左半分には、株間変速用の爪式クラッチ82が設けられている。該爪式クラッチ82においては、株間変速軸68上に、内側面に噛合歯を固設した高速クラッチギア129と低速クラッチギア130とが遊嵌され、そのうち高速クラッチギア129は前記大径ギア127bに、低速クラッチギア130は前記小径ギア127dに常時噛合されている。 【0037】 さらに、この高速クラッチギア129と低速クラッチギア130との間には、左右両側面に噛合歯を固設した摺動クラッチ爪128がスプライン嵌合されるとともに、該摺動クラッチ爪128には、フォーク軸107上を移動可能に外嵌されたシフトフォーク106が嵌合されている。 【0038】 ここで、摺動クラッチ爪128を右方に摺動し、摺動クラッチ爪128と高速クラッチギア129を噛合させることにより、前記後進軸67に入力された駆動力は、大径ギア127b→高速クラッチギア129→摺動クラッチ爪128→株間変速軸68→固定ギア131のようにして高速動力を伝達可能としている。 逆に、摺動クラッチ爪128を左方に摺動し、摺動クラッチ爪128の噛合歯を低速クラッチギア130の噛合歯に係合させることにより、前記後進軸67に入力された駆動力は、小径ギア127d→低速クラッチギア130→摺動クラッチ爪128→株間変速軸68→固定ギア131のように低速動力を伝達可能としている。 【0039】 また、図5及び図9に示す如く、PTO出力軸64の右半分には筒体108が遊嵌され、該筒体108の外周には、スプライン嵌合した摺動ギア132と、前記第三ギア131cに常時噛合する遊嵌ギア133とが外嵌されている。該摺動ギア132には前記フォーク軸107上を左右動可能に外嵌されたシフトフォーク105が嵌合されている。 【0040】 さらに、筒体108の左方には、PTO出力軸64への駆動力の断接を行なうPTOクラッチ83が設けられている。該PTOクラッチ83においては、右側面に噛合歯を固設した摺動クラッチ爪134が、PTO出力軸64にスプライン嵌合された上、押圧バネ111により、筒体108の左側端に固設したクラッチギア135の噛合歯に係合する方向に付勢されており、さらに、クラッチ爪134には、ミッションケース6に軸支される操作軸110に連結されたフォーク109が嵌合されている。そして、該操作軸110には、PTOクラッチレバーを兼用する前記植付部昇降レバー77が連結連動されている。 【0041】 ここで、摺動ギア132を左方に摺動して、摺動ギア132の左側面からの突出部132aを、遊嵌ギア133に開口した受け孔部133aに係合すると、それまで小径の前記第一ギア131aまたは第二ギア131b→摺動ギア132→筒体108と伝達されてきた駆動力は、大径の第三ギア131c→遊嵌ギア133→摺動ギア132→筒体108の順で伝達されるようになり、筒体108の回転速度を変速することができる。 【0042】 そして、植付部昇降レバー77を操作して摺動クラッチ爪134を左方に摺動させることにより、該摺動クラッチ爪134の噛合歯と前記筒体108のクラッチギア135の噛合歯との係合を解除して、筒体108→クラッチギア135→摺動クラッチ爪134→PTO出力軸64という動力伝達経路を切断可能として、PTOクラッチ83を形成している。 【0043】 次に、ハンドル8の操作に連動して、左右のサイドクラッチ機構の入切動作を行なう構成について説明する。 図10乃至図12に示すように、前記サイドクラッチ機構79・79は、前記ハンドル8と、リンク機構100及びカム機構180を介して連動連結しており、ハンドル8の操作を、ステアリング装置からリンク機構100を介してカム機構180に伝えて、該カム機構180によりサイドクラッチ機構79・79のアームを回動してクラッチを「入」「切」操作できるようにしている。 本発明では、ハンドル8の操作力を軽減するため、小さな力でサイドクラッチ機構79を操作することができるカム機構180を備えている。 【0044】 まず、リンク機構100について説明する。 リンク機構100は、ハンドル8とカム機構180との間に介設されており、ステアリングアーム91、第一・第二プレート92・94、第一・第二の軸93・96、第一・第二ロッド95・98、第一・第二アーム99・97等で構成されて、ハンドルの回転に連動してカム機構180を回動するようにしている。 【0045】 前記ハンドル8の下方に設けられている前記ステアリングポスト58の下端に、ステアリング装置の油圧制御装置84が配置され、ハンドル操作によりバルブを切り換えてパワーステアリング装置のシリンダを駆動して前輪を回動するようにし、該ステアリング装置の油圧制御装置下部84にはギアボックス85を付設して、ハンドル軸の回転をギアボックス85内の歯車等により減速して、その出力軸にステアリングアーム91の一端を固設している。こうして、ハンドル8の回転をステアリングアーム91に伝える構成としている。該ステアリングアーム91の他端部は右方に突出して、第一プレート92の一側(前側)に連結されている。 該第一プレート92の他側(後側)は、第一の軸93の下部に固定されており、該第一の軸93の上端には、第二プレート94の一側(内側)が固定されており、第一プレート92、第二プレート94及び第一の軸93は、平面視く字状に形成されて、第一の軸93を中心に一体的に回動可能に構成されている。 該第一の軸93は、正面視コ字状のプレート89に回動自在に枢支されており、該プレート89は、フロントアクスルケース37を介してミッションケース6に固定されている。 【0046】 前記第二プレート94の他側(外側)には、第一ロッド95の前端が枢結されており、該第一ロッド95の後端は、第一アーム99を介して第二の軸96に枢結している。 第二の軸96は、ステアリング装置とカム機構180の間に配置しており、本実施例ではミッションケース6の前後中央部に配置しており、ミッションケース6の前後中央部上面に一体的に形成されている支持部材88に左右水平方向に枢支されている。 該支持部材88には、円柱形の孔が左右方向に形成されており、該孔に第二の軸96の左側を挿通し、ミッションケース6に第二の軸96を回動自在に枢支している。 該第二の軸96の右側部には、前記第一アーム99が固設されており、前記支持部材の側方であって、第二の軸96の略中央部に第二アーム97が固設されている。第一アーム99は、第二の軸96の下方に向けて突出しており、第二アーム97は、第二の軸96の上方に向けて突出しており、第一アーム99、第二の軸96、第二アーム97は、一体的に回動可能に構成している。但し、第一ロッド95を左側に配置する構成することもできる。 前記第二の軸96の端部に設けられている第一アーム99には、前述の如く前記第一ロッド95の後端が接続されており、第二の軸96の略中央部に設けられている第二アーム97には、第二ロッド98の前端が接続されている。そして、前記第二ロッド98の後端には、カム機構180が接続されている。なお、第二ロッド98にはターンバックル等により長さ調整可能として、作動タイミングや作動量等を調節できるようにしている。 【0047】 図10に示すように、リンク機構100をすべてミッションケース6の底面よりも上方に配置することで、深田等での作業時にリンク機構100が最初に沈むのを防ぐことができ、リンク機構100の保護を図ることができる。 また、前記第一・第二の軸93・96等の回動支点を、前記プレート89や前記支持部材88を介してミッションケース6に固定することで、第一・第二の軸93・96等の回動支点はすべて加工面で支持されることとなり、該加工面は精度高く形成することができるので、リンク機構100の精度を向上させることができる。 【0048】 本発明では、ハンドルの操作力を軽減するため、小さな力でサイドクラッチ機構を操作できるカム機構を備えている。 次に、カム機構180について説明する。 図10に示すように、カム機構180は、ミッションケース6の後部上方に配置しており、サイドクラッチ機構79・79の上方近傍位置に略水平方向に配置して、サイドクラッチとの連結距離を短くし、誤差を小さくし、また、メンテナンスも容易にできるようにして、ミッションケース6上方の空いた空間を利用して配置するようにしている。 そして、該カム機構180は、固定部材87を介してミッションケース6に固定されている。 該カム機構180は、図13に示すように、カム部材181、左右の操作部材である左右操作アーム182・182、弾性部材であるバネ184、左右の転動部材であるローラ185L・185R等で構成されている。 【0049】 カム部材181は、略扇形のプレート状部材で、左右対称に形成されている。 図13、図15乃至図17に示すように、カム部材181の前中央部(円弧の中心部)には、円形の孔181cが開口されており、該孔181cに軸198を挿通して、軸198を中心に回動可能に取り付けている。該軸198は、前記固定部材87に立設されている。なお、カム部材181には適宜軽量化するための孔が開口されている。 また、前記孔181cの上部にパイプ形状のボス187が同心状に固定され、該ボス187の下面がカム部材181に固定され、ボス187の上部にアーム188の一側が固設され、該カム部材181とボス187とアーム188が一体的に固定されるとともに、前記ボス187に前記軸198が挿通されて回転自在に支持されている。 該アーム188はカム部材181と平行に配置しており、該アーム188の他側には、前述したリンク機構100の第二ロッド98の後端が枢支されている。 【0050】 前記カム部材181の左右の外周面には、ローラ185L・185Rが当接して転動するように配設しており、該ローラ185L・185Rは、左右の操作アーム182・182の中途部上面に回転自在に取り付けられている。 【0051】 図13に示すように、前記操作アーム182・182は、カム部材181の左右側部の下方に配置している。 まず、左側の操作アーム182について説明する。 図13、図18に示すように、操作アーム182は、略円弧状のプレート状部材191と、該プレート状部材191の一端に挿通固定している軸部192とで構成されている。 プレート状部材191は、後端部に軸部192の上部が挿通して一体的に固定されている。 該プレート状部材191の前後略中央部で外側寄りに、前記ローラ185Lを固定するためのピン状部材191aを固設している。該ローラ185Lは、上下方向に孔部を有する筒状の輪体で構成され、前記孔部を前記ピン状部材191aに挿入して抜け止めされ、輪体の外周面を前記カム部材181の外周面に当接させて、転動するようにしている。なお、このローラ185が直進時において、カム部材181を押圧する方向(軸部192の軸心を中心としたローラ185の位置における接線方向)は軸198の軸心方向としている。 【0052】 また、該プレート状部材191の前端部の上面には、筒状部材193が固定されている。該筒状部材193は、ハンドル8が直進位置にあるとき、その軸心が進行方向に対して垂直方向に向くように配置している。 該筒状部材193には、バネ184の一端に設けた調節部材194を挿通している。該調節部材194はIボルト状に構成して、一側には、孔194aが形成されており、該孔194aにバネ184の一端が係止され、該調節部材194の他側には、ダブルナットを螺装してバネの調節部194bとしている。該調節部194bは筒状部材193側のナットを回動してバネ184のバネ力を調節し、他方のナットを締め付けてロックするようにしている。なお、弾性部材とし本実施例ではコイルバネを採用しているが、板バネやゴム等で構成することも可能である。 また、該調節部194bは、図11に示すように、ミッションケース6を挟んで植付けPTO軸65と反対側であって、本機中央に対し植付部昇降レバー77と反対側に配置している。 このように、バネ184の調節部194bを、ミッションケース6を挟んで植付けPTO軸65と反対側に配置することで、調節時にPTO軸65が邪魔にならず、また、本機中央に対し植付部昇降レバー77と反対側に配置することで、バネ184のバネ力を調節する時に、レバーと連結されるリンクやワイヤ等が邪魔にならず、左側の開放された空間において、調節用の工具を扱うスペースが確保することができ、バネ184の調節作業を容易に行なえるようにしている。 【0053】 また、図18に示すように、前記軸部192は、プレート状部材191の後端に配置しており、該軸部192の上端がプレート状部材191に嵌入固定されている。 前記軸部192は、上部が円柱形状に、中央部が略四角柱形状(多角形状)に、下部が上部より径の小さい円柱形状に、形成されている。 そして、図13、図14に示すように、軸部192の中央部には、筒状のカム体195が挿通固定されている。該カム体195の筒部の内部形状が前記軸部192の中央部の外形形状に合わせて構成することにより、回動力を確実に伝えることができるようにし、固定部材等を省略でき、組立容易な構成としている。そして、軸部192の下部がミッションケース6側に枢支するようにしている。 該カム体195は、上下方向に配置しており、上部と下部にカム部195a・195aが平行に設けられ、後方に向けて突出して後述する摺動体196のボス部を上下で挟むように配置している。該カム部195a・195aは、平面視で略三角形状のプレート状に形成されている。 【0054】 次に、右側の操作アーム182について説明する。 図13に示すように、右側の操作アーム182は、左側の操作アームを左右対称に構成したものである。そして、操作アーム182のプレート状部材191の前端には、孔191bを上下方向に形成しており、前記バネ184の他側を該孔191bに引っ掛けて係止している。 その他の構成は、左側の操作アーム182と略同様の構成としている。 【0055】 次に、本発明の要部であるカム部材181について、図15乃至図17より説明する。該カム部材181は左右対称に構成されているため、左右一側について説明する。 カム部材181の外周形状は、側部において段階的に中心O1からの半径が小さくなるように、前方に向かって徐々に半径が小さくなるように構成している。側部の前後略中央部に直進位置SOが設定され、該直進位置SOには前記孔181cの中心O1を中心した短い円弧181aが形成され、前記ローラ185Rが安定して保持できるように構成している。所謂、デテントと同様の作用をする。 【0056】 また、直進位置SOから角度θ1右方向及び左方向に回動した位置にサイドクラッチ「切」位置SL・SRが設定され、直進位置SO同様に、前記孔181cの中心O1を中心にした短い円弧181bL・181bRが形成されてデテント作用を有するようにしている。中心O1から直進位置SOまでの半径方向の距離と、中心O1からサイドクラッチ「切」位置SL(またはSR)までの半径方向の距離との差の長さは、右「切」位置と左「切」位置で略同じとし、カム部材181の左右で同一長さとしている。 そして、直進位置SO両側のカム部材181の外周形状は、前記サイドクラッチ「切」位置SLと直進位置SOの間の斜面と、直進位置SOにおける接線との間の傾斜角度β1と、サイドクラッチ「切」位置SRと直進位置SOの間の斜面と、直進位置SOにおける接線との間の傾斜角度β2は右側においてβ2>β1の関係となるように構成している。つまり、傾斜角度が同じであれば、バネ184は伸縮しないが、カム部材181の外周形状は旋回操作する側のローラ185の当接面の傾斜を大きくし、反対側の傾斜を小さくすることにより、バネ184の付勢力により、ローラ185はバネ184が縮む側の斜面を押してカム部材181を旋回側に回動しようとし、ハンドル8の操作力を増加させずにサイドクラッチを入切操作でき、ハンドルの操作力を低減することができるのである。 【0057】 そして、ハンドル8をサイドクラッチ「切」位置SL・SRまで回動すると、ローラ185L・185Rは同じ半径長さだけ中心側と外側に移動することになり、バネ184は直進時と同じ長さとなってバランスされる。このローラ185L・185Rの半径方向の移動により操作アーム182が回動されて、サイドクラッチが「切」とされるのである。 また、前記カム部181は、前記左右のローラ185L・185Rの間隔が、直進位置とサイドクラッチ「切」位置とで同じとなるように構成しており、ハンドルの直進位置と旋回時のサイドクラッチ「切」位置とでカム機構を均衡状態とすることができ、直進走行時と回行時にハンドル操作を安定させることができる。 なお、走行時において、ハンドル8をサイドクラッチ「切」位置SL・SRから直進方向に戻す場合は、キャスタ効果(前輪のキングピンが進行方向に傾斜させている)により大きな力を必要とせず戻すことができる。 【0058】 そして、更にハンドル8を旋回方向に回動すると、ローラ185L・185Rはサイドクラッチ「切」位置SL・SRを超えて、斜面に沿って転動し、操作アーム182を回動するが、この斜面の傾斜は左右回動方向で同じ傾斜角として、バネ184はバランスされた状態としている。ただし、前記同様に旋回方向の傾斜角を大きくして、操作力を軽減する構成とすることもできる。 【0059】 また、図13、図14に示すように、前記カム体195のカム部195a・195aの間には、前記クラッチ軸35が配置されている。また、該クラッチ軸35の左右中央には、左右一対のサイドクラッチを構成する摺動体196L・196Rが配設されている。該摺動体196は、ボス部の外側にフランジ部を形成して、前記カム部195a・195aが回動されると、該カム部195a・195aがフランジ部に当接して摺動され、該摺動体196に形成した爪部の咬合が外れて動力の伝達が断たれるようにしている。つまり、摺動体196は、図14の矢印方向に移動して、クラッチ機構79のクラッチが切れて、後輪へ動力を伝達しないようにする。なお、摺動体196L・196Rは図示しないバネにより左右中央側に付勢されている。 【0060】 このような構成で、乗用田植機を左側に旋回させたい時、ハンドル8を直進位置から左に回動操作すると、図11に示すように、第一ロッド95が後方に移動し、第二の軸96を介して第二ロッド98が前方に移動する。 そして、図13、図16、図17に示すように、第二ロッド98が前方に移動すると、カム機構180のアーム188の端部が前方に引張られて、アーム188、ボス187及びカム部材181が、回転軸198を中心に左側に回転する。 よって、カム機構180の左側のローラ185Lは、直進位置SOから傾斜角の大きい斜面(傾斜角度β2)を転動してサイドクラッチ「切」位置SLに移動し、一方、右側のローラ185Rは、直進位置SOから傾斜角の小さい斜面を転動してサイドクラッチ「切」位置SLに移動する。 このとき、カム部材181の外周面の形状により、ローラ185Lの当接位置の中心O1に対する半径は急激に小さくなり、ローラ185Lはバネ184の付勢力により回転軸198側に移動し(このときカム部材181を回転するように押してクラッチ操作の補助を行なう)、左側の操作アーム182が、軸部192を中心に、前方が右側方に回動する。よって、軸部192に嵌入しているカム体195も平面視で右回りに回動し、カム体195のカム部195a・195aが左側の摺動体196Lを押して摺動させ、左側のクラッチが「切」となり、左後輪の車輪が駆動せず、車体が左に旋回する。一方、右側のローラ185Rの当接位置の中心O1に対する半径は徐々に大きくなり操作アーム182も右回転するが、摺動体196Rは摺動されず、駆動力は伝達されたままとなる。 一方、乗用田植機を右側に旋回させた時は、前記と逆の方向に作用する。 【0061】 このように、カム部材181の左右の外周面の形状を、ハンドル8が操作された際、小さな力でクラッチ機構を操作することができるように形成することで、ハンドル8を一定角以上回転させると、その後は、ローラ185L・185Rやカム部材の外周面の形状により、カム機構180を軽い力で作動させることができ、クラッチ機構79・79のクラッチを軽い力で切ることができ、ハンドル8の操作力を低減し、また、リンク機構100の部材の軽量化を図りコスト削減することができる。 また、左右の操作アーム182・182をバネ184で連結しているので、左右のどちらの旋回時も、バネ力が均等になり、操作力の安定化が図れ、また、部品点数を削減することもできる。 【0062】 次に、別実施例について説明する。 前記クラッチ軸35に、摺動体196L・196Rとともに、サイドブレーキ機構を設けることもできる。 図19、図20に示すように、前記クラッチ軸35の左右に摺動体196・196を配設し、該摺動体196L・196Rは、前記カム体195のカム部195a・195aの側方に配置しており、前述の実施例と同様の構成としている。 そして、前記摺動体196L・196Rの外側側方に、更にサイドブレーキ機構197・197を配設する。 該サイドブレーキ機構197は、前記摺動体196が外方向に摺動すると、摩擦板が押圧されて、その側の後輪を制動する構成としており、カム部195a・195aで、サイドクラッチ機構79・79のクラッチを切るとともに、更にハンドル8を旋回方向に回動することで後輪にブレーキをかけることができる構成としている。 その他の構成は、前述の実施例と同様の構成としている。 【0063】 このような構成で、旋回時に、ハンドル8のハンドル8を左(右)に回動操作すると、前述のサイドクラッチ「切」位置SL(SR)までは前記と同様に作用し、サイドクラッチ「切」位置SL(SR)からさらにハンドル8が回動されると、左側(右側)の前記摺動体196の摺動により左側(右側)のサイドブレーキ機構197が押圧されて制動する(図20)。 よって、左側(右側)のクラッチが切れてから、サイドブレーキがかかり、左後輪(右後輪)の車輪が制動され、車体は左(右)に旋回する。 【0064】 このように、カム部材181の左右の外周面の形状を、ハンドル8が操作された際、小さい力でクラッチ機構を操作することができるように形成することで、ハンドル8を一定角以上回転させると、その後は、ローラ185L・185Rやカム部材の外周面の形状により、カム機構180を軽い力で作動させることができ、クラッチ機構79・79のクラッチを軽い力で切ることができ、ハンドル8の操作力を低減し、また、リンク機構100の部材の軽量化を図りコスト削減することができる。 また、カム機構により、サイドクラッチ及びサイドブレーキの操作を行なう構成とするので、旋回する際は、内後輪のサイドクラッチを切って、内後輪にブレーキをかけるので、確実に、内後輪を停止させることができ、旋回時のずれを防止することができ、また、サイドクラッチを切るタイミングとサイドブレーキをかけ始めるタイミングを自由に設定することができ、カム部材の交換で田植機の圃場適応性を高めることができる。 更に、左右対称のカム部材を使用するので、左右のブレーキ力を均等にすることができる。 【0065】 【発明の効果】 本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。 【0066】 即ち、請求項1に示す如く、ハンドルと左右のサイドクラッチとを、リンク機構、カム機構を介して連動連結する乗用田植機であって、前記カム機構を、ハンドルの回転に連動して回動するカム部材と、該カム部材の外周面を転動する左右の転動部材と、該転動部材を支持する左右の操作部材と、該左右の操作部材間に介装され左右の転動部材をそれぞれカム部材側へ付勢する弾性部材とで構成するとともに、前記カム部材、左右の転動部材、左右の操作部材と弾性部材によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持可能とし、ハンドルを直進位置から左右所定角度回動させて保持状態を解除することによりサイドクラッチを切るように構成したので、 ハンドルを一定角以上回動させると、その後は、転動部材やカム部材の外周面の形状により、カム機構を軽い力で作動させることができ、サイドクラッチ機構のクラッチを軽い力で切ることができ、ハンドルの操作力を低減し、また、部材の軽量化を図りコスト削減することができる。 【0067】 請求項2に示す如く、ハンドルと左右のサイドクラッチ及びサイドブレーキとを、リンク機構、カム機構を介して連動連結する乗用田植機であって、前記カム機構を、ハンドルの回転に連動して回動するカム部材と、該カム部材の外周面を転動する左右の転動部材と、該転動部材を支持する左右の操作部材と、該左右操作部材を連結する弾性部材とで構成するとともに、前記カム部材、左右の転動部材、左右の操作部材と弾性部材によりサイドクラッチの「入」もしくは「切」状態を保持し、ハンドルを直進位置から左右所定角度回動させて、保持状態を解除することによりサイドクラッチを切り、その側のサイドブレーキを制動するように構成したので、 ハンドルを一定角以上回動させると、その後は、転動部材やカム部材の外周面の形状により、カム機構を軽い力で作動させることができ、サイドクラッチ機構のクラッチを軽い力で切ることができ、また、サイドブレーキを軽い力で操作することができ、ハンドルの操作力を低減し、また、部材の軽量化を図りコスト削減することができる。 また、旋回する際は、内後輪のサイドクラッチを切って、内後輪にブレーキをかけるので、確実に、内後輪を停止させることができ、旋回時のずれを防止することができ、また、サイドクラッチを切るタイミングとサイドブレーキをかけ始めるタイミングを自由に設定することができ、カム部材の交換で田植機の圃場適応性を高めることができる。 【0068】 請求項3に示す如く、前記左右の転動部材の間隔が、直進位置とサイドクラッチ「切」位置とで同じとなるように、前記カム部材を構成したので、 ハンドルの直進位置と旋回時のサイドクラッチ「切」位置とでカム機構を均衡状態とすることができ、直進走行時と回行時にハンドル操作を安定させることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施例に係る乗用田植機の全体平面図。 【図2】同じく側面図。 【図3】車体フレームの概略斜視図。 【図4】ミッションケース全体の側面図。 【図5】ミッションケース全体の平面展開断面図。 【図6】エンジンとミッションケース間の概略斜視図。 【図7】ミッションケース前部における入力軸からPTO出力軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図。 【図8】ミッションケース前部における副変速軸から主変速軸までの動力伝達構成を示す平面展開断面図。 【図9】ミッションケース前部の平面展開断面図。 【図10】リンク機構を示す側面図。 【図11】同じく平面図。 【図12】同じく斜視図。 【図13】カム機構を示す斜視図。 【図14】同じく後面図。 【図15】カム部材及びアームを示す図。 【図16】カム部材を示す拡大図。 【図17】カム部材を示す図。 【図18】操作アームを示す図。 【図19】別実施例のカム機構を示す斜視図。 【図20】同じく後面図。 【符号の説明】 6 ミッションケース 8 ハンドル 79 サイドクラッチ機構 100 リンク機構 180 カム機構 181 カム部材 182 操作アーム(操作部材) 184 バネ(弾性部材) 185L・185R ローラ(転動部材)
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
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| 【出願日】 |
平成15年1月14日(2003.1.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2004−215572(P2004−215572A) |
| 【公開日】 |
平成16年8月5日(2004.8.5) |
| 【出願番号】 |
特願2003−6433(P2003−6433) |
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