| 【発明の名称】 |
動力車両 |
| 【発明者】 |
【氏名】水津 清明 【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内
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| 【要約】 |
【課題】前後進切換レバー84で後進を選択すると自動的に作業機が上昇位置に移動するバックアップ機能を設けた動力車両の操縦性を従来より高めること。
【解決手段】変速位置をバックにすると作業機36を上昇させる自動バックアップ機能を具備した動力車両において、バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず、変速位置をバックにした時はコントロールレバー87がどの位置にあっても、後輪操舵モード(RWS)となり、車両の変速位置を中立又は前進位置にした場合には、作業機36の位置またはコントロールレバー87の位置によって操舵モードを四輪操舵モード(4WS)または前輪操舵モード(FWS)に自動設定するように構成された自動操舵モード切換制御装置(コントローラ100)を備えた動力車両である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速位置をバックにすると作業機36を上昇させる自動バックアップ機能を具備した動力車両において、 バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず、変速位置をバックにした時はコントロールレバー87がどの位置にあっても、後輪操舵モード(RWS)となり、車両の変速位置を中立又は前進位置にした場合には、作業機36の位置またはコントロールレバー87の位置によって操舵モードを四輪操舵モード(4WS)または前輪操舵モード(FWS)に自動設定するように構成された自動操舵モード切換制御装置100を備えたことを特徴とする動力車両。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、動力車両における操舵モード切換制御装置に関するものであり、特に、作業機36の昇降に伴って自動的に四輪操舵の切換えを行う操舵モード切換制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 乗用管理機、トラクタ等をはじめとする動力車両において、前輪及び後輪の双方を操舵自在にした操舵制御装置が用いられている。この操舵制御装置によると、前輪のみ若しくは後輪のみ又は前後輪とも操舵できるように、油圧回路切換えによって四輪操舵の切換えを行う操舵シリンダ式の構成のものがある(特許第2551181号公報)。 【0003】 前記特許公報に開示された動力車両は、前輪操舵モード(FWS)で圃場を前進していて、動力車両が圃場の端部に来ると車両後部に昇降自在に連結した作業機を、コントロールレバーを上げ位置に操作して作業機を上昇させ、該レバーが上昇したことをセンサーで検出すると共に、次に作業機は上昇したと判断して前後輪逆位相の四輪操舵モード(4WS)に切換える四輪操舵装置を備えている。また、コントロールレバーを上げていない場合は、FWSとして走行している。 【0004】 この切換え後の4WSモードでは、車両は前輪と後輪とを逆位相で回向させ、旋回半径を可及的に小さくして畝や作物の損傷を防止しながら前進する。 【0005】 動力車両の後部にはロータリ耕耘装置などの作業機を連結する場合があるが、動力車両を後進させると、車両が後退方向に回転する後輪操舵モード(RWS)となり、このとき前記作業機を上昇させる選択が可能になっている機構が知られている。例えば、車両の後進を前後進切換レバー84で選択すると自動的に作業機36が上昇位置に移動するバックアップ機能を設けた動力車両である(たとえば、特開2000−139140号公報記載の動力車両)。このバックアップ機能はバックアップ選択スイッチを入り切りすることで選択自在になっている。 【0006】 【特許文献1】 特許第2551181号公報 【0007】 【特許文献2】 特開2000−139140号公報 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 前述のように、従来の操舵装置は前輪操舵モード(FWS)、少なくとも前後輪逆位相の四輪操舵モード(4WS)および車両の後進で作業機を上昇させるバックアップ機能を備えた後輪操舵モード(RWS)の操向モードを取り得るが、次のような問題点がある。 【0009】 4WSへの切換判定をコントロールレバーの上げ下げ位置の違いで行っているため、バックアップ機能使用時に作業機を下げた状態(すなわちコントロールレバーが下げ位置にある状態)で前後進切換レバーをバック位置にすると操舵モードがRWSになり作業機が上昇する。そして、この作業機が上昇した状態で前後進切換レバーを前進位置に移すと、4WSへの切換判定はコントロールレバーが下げ位置にあるためFWSで車両が前進するようにしていた。 【0010】 しかし、バックアップ機能を使用せずに後進時作業機を上げる場合は、前後進切換レバーをバック位置に入れることで後輪操舵モード(RWS)にした後にコントロールレバーの操作で作業機を上昇させるので、この状態(コントロールレバーを上げ位置としている)で前後進切換レバーを前進位置に変更した場合には4WSへの切換判定は4WSとなる。 【0011】 このように同じ前進時でも、バックアップ機能使用時には4WSへの切換判定は作業機を上げた状態でのFWSになり、バックアップ機能を使用しない場合には4WSへの切換判定は作業機を上げた状態での4WSとなり、操縦者はとまどうことになる。 【0012】 そこで本発明の課題は、前後進切換レバーで後進を選択すると自動的に作業機が上昇位置に移動するバックアップ機能を設けたものにおいて、バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず動力車両の操縦性を従来より高めることである。 【0013】 【課題を解決するための手段】 本発明の上記課題は次の構成で解決される。 すなわち、変速位置をバックにすると作業機36を上昇させる自動バックアップ機能を具備した動力車両において、バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず、変速位置をバックにした時はコントロールレバー87がどの位置にあっても、後輪操舵モード(RWS)となり、車両の変速位置を中立又は前進位置にした場合には、作業機36の位置またはコントロールレバー87の位置によって操舵モードを四輪操舵モード(4WS)または前輪操舵モード(FWS)に自動設定するように構成された自動操舵モード切換制御装置(コントローラ100)を備えた動力車両である。 【0014】 本発明によれば、バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず、前後進切換レバー84をバック以外(中立又は前進)にすると、作業機36が上昇位置またはコントロールレバー87が上げ位置になっている場合には、前後輪逆位相の四輪操舵モード(4WS)となる。また、前後進切換レバー84をバック位置にすると(車両後退時)、コントロールレバー87の位置にかかわらず、作業機36を上昇させると後輪操舵モード(RWS)にする(RWS優先)。 【0015】 従って、図8に示すようにバックアップ機能使用時にコントロールレバー87を下げた状態で前後進切換レバー84をバックに入れると、バックアップ機能により作業機36が上昇して後輪操舵モード(RWS)(S4)になるが、この状態から前後進切換レバー84をバック以外(中立又は前進)に変更すると、本発明では作業機36が上昇位置にあるので4WS(S5)となる。 【0016】 前記バックアップ機能を使って作業機36を上昇させた4WSで中立又は前進走行中に、作業機36が下がった状態で前進するFWSモードにするためには、一旦作業機36の上げ量以上にコントロールレバー87を上げ操作して(S6)、その後、コントロールレバー87を所定位置まで下げれば、作業機36はレバーの下げ位置に応じて下がり、FWSになる(S7)。 【0017】 このように、バックアップ機能使用時にコントロールレバー87で作業機36を下げると前後進切換レバー84がバック以外(中立又は前進)にあると、作業機36は下がった状態で前輪操舵モード(FWS)で走行し(S1)、この状態からコントロールレバー87で作業機36を上げると、前後進切換レバー84がバック以外(中立又は前進)では4WSで走行し(S2)、前述したようにこれからコントロールレバー87を下げると前後進切換レバー84がバック以外(中立又は前進)では作業機36が下がり、FWSで走行する(S3)。これからコントロールレバー87を下げたままで前後進切換レバー84をバックにするとバックアップ機能により作業機36が上昇し、RWS(S4)となる。 【0018】 また、バックアップ機能を使用しない時には、コントロールレバー87を下げた状態で前後進切換レバー84をバック以外(中立又は前進)に入れていると作業機36は下がったままでFWSモードとなり(S11)、このときコントロールレバー87を上げると作業機36は上昇し、4WSモードとなる(S12)。また、その後、バック以外(中立又は前進)の状態でコントロールレバー87を下げると、作業機36は下がり、FWSになる(S13)。この作業機36が下がった状態で前後進切換レバー84をバックに入れると作業機36は上昇しないでRWSモードとなり(S14)、このときコントロールレバー87を上げると作業機36は上昇し、RWSモードが保たれる(S15)。 【0019】 こうして、バックアップ機能のオン−オフに拘わらず、操舵モードの自動切換動作が一定となり(中立又は前進時には作業機36が上昇位置またはコントロールレバー87が上げ位置になっている場合には4WSとなり、車両後退時にはコントロールレバー87の位置にかかわらずRWSとなる。)、操縦者は混乱することもなく動力車両の操縦性と作業機36の作業性を従来より向上させることができる。 【0020】 【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態について図面と共に説明する。 図1に薬液散布装置を前部に取り付けたトラクタの側面図、図2には図1の平面図、図3にはコントロールパネルの平面図、図4にはトラクタの正面図、図5にはトラクタ前方の平面図を示す。 【0021】 トラクタ車体1は、高床形態として前車輪12及び後車輪13が、アクスルハウジングの左右両側部に高く軸装され、ステアリングハンドル14によって操行可能に設けられると共にボンネット15下のエンジン(図示せず)によって伝動走行される。この車体1には運転席17の後部から左右両側にわたって囲うように形成された薬液タンク18を搭載し、この薬液タンク18内の薬液を前側に設けられる散布ブーム19へ圧送する防除ポンプ20が車体1の運転席17下部に設けられている。薬液タンク18から防除ポンプ20を用いての散布ブーム19への薬剤供給機構の詳細な説明は省略する。 【0022】 前記車体1の前部には、ボンネット15の左右両側部に支持されたリフトリンク3が取り付けられている。リフトリンク3は、アッパリンク24とロワリンク25を平行状に配置して、この前端部間をヒッチブラケット4(4a、4b)で連結し、後端部間を直立した支柱23に軸支して平行リンク形態に構成され、この平行リンクが昇降シリンダ27、27により先端部が昇降移動することで散布ブーム19の薬剤散布高さを調節することができる。また、車体1の後部にはリンク機構35を介して、ロータリ等の対地作業機36が取り付け可能となっている(別作業時)。 【0023】 ヒッチブラケット4の下端部には機体左右方向に伸びる支持枠7を取り付けている。この支持枠7には散布ブーム19の内のセンタブーム43がその前面に取り付けられており、またその左右端部に上方に突出したシリンダ取付支柱26が設けられ、シリンダ取付支柱26の上端には電気的に作動制御される油圧タンク付ソレノイドバルブ28を介して伸縮するローリングシリンダである上下シリンダ(ローリングシリンダ)29の一端が取り付けられ、その下端にはサイドブーム44が回動自在に取り付けられている。ローリングシリンダの他端はサイドブーム44に連結しているのでローリングシリンダの伸縮でサイドブーム44が昇降される。 【0024】 前記散布ブーム19は、支持枠7に直接取付けられるセンタブーム43と、このセンタブーム43の外側に折畳可能に連結されるサイドブーム44とから構成され、各々薬剤噴霧用の噴霧ノズル45が一定間隔で配置されている。 【0025】 サイドブーム44はシリンダ取付支柱26を介して支持枠7に取り付けられているが、サイドブーム44は支持枠7に設けられた開閉シリンダ30により開閉される。 【0026】 コントロールパネル50の拡大平面図を図3に示すが、サイドブーム44の自動水平スイッチ53および該左右の各サイドブーム44の傾き調整用スイッチ54を隣接配置し、左右のサイドブーム44の基本ブームに対する伸縮ブームの伸縮用のブームレバー56を前記自動水平スイッチ53および傾き調整用スイッチ54の前側に配置した。このブームレバー56はそれぞれ左側と右側のブーム44の先端二重軸部伸縮用に左右一対配置し、右側のブームレバー56Rは右サイドブーム44を作動させ、左側のブームレバー56Lは左サイドブーム44を作動させる。そして左右のブームレバーとも外側に傾けると伸縮ブームが伸び、互いに内側に傾けると伸縮ブームが縮むように構成されている。 【0027】 また、一対のサイドブーム44を車体両側に収納するときには支柱40(40a、40b)にその後端部を載置する。 【0028】 また、自動水平スイッチ53および傾き調整用スイッチ54の列には変速位置をバックにすると作業機36を上昇させる自動バックアップ機能をオンオフ制御するバックアップスイッチ72を配置してある。 【0029】 このように左右のブームレバー56の動きとサイドブーム44の伸縮動作を同じ向きにすることで、右手だけで同時に左右のブームレバー56を自由に操作でき、わざわざコントロールパネル50上の操作方向を指示するラベルなどを見る必要もないので、作業者は前方のサイドブーム44の動きを見ているだけで良い。また、左右のサイドブーム44を同時に操作可能なので作業効率も従来より向上する。また、前記ブームレバー56は十字レバー構造として、前方に傾けるとそれぞれのサイドブーム44の突出遊端側である両先端側を下げ、後方へ傾けるとそれぞれのサイドブーム44の突出遊端側である両先端側を上げることができる。 【0030】 こうして、手の平におさまるサイズの一対の十字レバーであるブームレバー56を同時に操作できるので、高齢者、婦女子でも容易に操作ができる。 【0031】 また、コントロールパネル50の最前列にはセンタブーム43と左右のサイドブーム44とからなるブーム19の全体を昇降させる昇降スイッチ57、左右独立してサイドブーム44をそれぞれ開閉させる一対の開閉スイッチ58L、58Rを設けている。次の散布制御事項設定表示パネル部には薬液噴霧流量、噴霧圧力、噴霧量累計の表示パネル61とそれらに設定ボタン62、増減ボタン63、累計リセットボタン64、及び走行速度を基準にこれらのボタン62〜64による自動散布を開始する自動ボタン(自動−手動切換ボタン)67および表示切換ボタン69が設けられている。さらにその後方の列にはセンタブーム43と左右のサイドブーム44からの薬液噴霧用のコック開閉用のレバー70、71と薬液ポンプ20の作動表示ボタン73を配置し、最後列に前述のサイドブーム44の伸縮、上下操作用の十字レバーであるブームレバー56を配置する。 【0032】 このように、薬液散布をする作業である防除作業前に操作する最前列のブーム19全体の昇降スイッチ57とサイドブーム44の開閉スイッチ58と、防除作業開始後に操作する最後列のサイドブーム44の伸縮・上下操作用の十字レバーであるブームレバー56とを所定距離だけ離して設けることで、作業者は防除作業時に誤ってブーム19全体の昇降、サイドブーム44の開閉操作を行うおそれが少なくなり、防除作業前と防除作業開始後に操作するスイッチ・レバー類を区別して操作しやすくなる。また、防除作業開始直後より作業者はサイドブーム44の上げ下げ、伸縮ブームの伸縮用の操作レバー56のみを操作すれば良いので、ブームの誤作動等もない。 【0033】 図4の薬液散布装置を取り付けたトラクタの正面図、及び図5の薬液散布装置を取り付けたトラクタ前半分の平面図に示すように、センタブーム43の支持枠7の中央部に薬剤散布ブーム19全体の揺動支点19aを設けているが、薬剤散布ブーム19は特にサイドブーム44を幅方向に略一直線状に展開したときには、左右方向中央の揺動支点19aを中心に自動的に水平制御可能となるように構成している。その水平調整のための構成を以下説明する。 【0034】 車体1前部にリフトリンク3、3を介して昇降操作自在に設けられたブラケット4には、前述したように下部前方に突出した揺動支点19aに薬剤散布ブーム19の左右中間部材である支持枠7の中央部を揺動自在に取り付けている。このままでは薬剤散布ブーム19は、ヒッチブラケット4に対して一点支持のため姿勢が安定しない。そこで、ヒッチブラケット4の上部に配設した横柱である水平部4bの中央部に回動支点51aを有する十文字形の回動アーム51の水平部51cの両端とセンタブーム43の支持枠7の二点間を一対のバランススプリング74で正面視で台形状に保持して吊持すると共に、回動アーム51の上端部とヒッチブラケット4の垂直部4a間に伸縮自在に取り付けたアクチュエータ55である油圧作動のローリングシリンダを配設した構成としている。バランススプリング74は、走行作業時における薬剤散布ブーム19の揺動作動のショックを吸収しようとするものであり、水平制御の作動としては剛体のロッドと考えてよい。 【0035】 車体1またはヒッチブラケット4の適所には、図示しないが機体の左右方向の傾斜角度を検出するスロープセンサを設けており、薬剤散布ブーム19の自動水平制御として、スロープセンサで検出した角度を補正する方向にアクチュエータ55の長さを伸縮制御することで、薬剤散布ブーム19全体の水平度を自動的に保つ。 【0036】 回動アーム51の下方には回動アーム51が何度回動しているかを検出するポテンショメータであるセンサ52を設けている。図例では、回動アーム51から下方に突出したレバーで、センサ52の開放溝を有するアームを動かしているが、回動支点51aにセンサを直接設けて検出しても良い。該センサ52は、アクチュエータ55がスロープセンサで検出した角度を補正する方向に正しく作動しているかどうかを検出して確認するもので、別構成として薬剤散布ブーム19の支持枠7部に、ローリング角度を検出するローリングセンサを取り付けて、常に水平となっているかどうかを確認する構成も考えられる。 【0037】 また、薬剤散布ブーム19の水平状態の感度は回動アーム51の垂直部51bに上下方向に複数段設けた穴のいずれかを回動支点51aに係合させることで決めることができる。回動アーム51の上段側の穴を用いるほど鈍感になり、下段側の穴を用いるほど敏感になる。 【0038】 水田で防除作業を行う場合に、水田圃は地域により土壌硬度や表面の凹凸などで防除作業条件が異なり、防除作業中にはそれぞれの地域の水田圃に適したブーム19の水平制御速度が必要になってくる。このとき上記図4の構成により各作業条件に適合するブーム19の水平制御の感度調整が可能となる。 【0039】 サイドブーム44の開閉機構を説明すると、支持枠7の端部には開閉シリンダ30に端部が連結した取付アーム33が開閉支点33aを中心に回動自在に取り付けられている。取付アーム33の他端部とサイドブーム44の側面とは引張スプリング34(図2、図5)を介して連結されている。また取付アーム33の側面はシリンダ取付支柱26近傍に位置しており、開閉シリンダ30が前記引張スプリング34の付勢力に抗して取付アーム33を矢印A(図2)方向に押圧し、シリンダ取付支柱26を支持枠7の背部から側方に90度当接移動しながら同時に引張スプリング34を引っ張ってサイドブーム44を図4に示すように横水平状の張出姿勢位置に広げることができる。図示しないが、サイドブーム44の基部と取付アーム33他端間には間隙調節式のストッパボルトが設けられており、引張スプリング34に前面を引かれてもサイドブーム44の横水平状の張出姿勢を調節可能としている。開閉シリンダー30は電気的に作動するギヤードモータ31によって伸縮される。 【0040】 こうしてサイドブーム44を横水平状の張出姿勢と後方に回動させて車体1の横側に沿わせた収納姿勢とに切り替えることができる。 【0041】 なお、前述したようにサイドブーム44は図示しないストッパーにより前方への移動は所定角度以上移動しないような構成になっており、また地面上の障害物に、万一当たってもセンタブーム43に対して後方に折れ曲がるように引張スプリング34により釣り合わせて、破損防止を図っている。 【0042】 図6はトラクタの駆動系の油圧回路を示している。ステアリングハンドル14の回動基部にはオービツトロール80が設けられ、油圧ポンプ81からの圧力油を方向切換バルブ82、83へ圧送し、且つ、メインコントロールバルブ85には、別の油圧ポンプ91を介して圧力油を圧送している。トラクタの後部にはリンク機構35(図1)を介してロータリ等の対地作業機36が取り付けられており、前記メインコントロールバルブ85からの圧力油によって一対のリフトシリンダ86が作動し、前記対地作業機36を上下に昇降するように形成されている。 【0043】 メインコントロールバルブ85は下降バルブ85aと上昇バルブ85bを備え、それぞれのパイロットスプール85c、85dで作動制御される。また上昇バルブ85b側の油圧回路には安全弁85eが設けられている。 【0044】 また、オイルタンク93から油圧ポンプ81によつてオービットロール80へ圧力油が圧送され、ステアリングハンドル14の回動方向及び回動角度の大小によつて、圧力油は油口(R)又は油口(L)から方向切換バルブ82及び83へ圧送される。それぞれの方向切換バルブ82、83はソレノイド(S1)、(S2)のオン・オフによつてスプール(図示せず)が移動し、圧力油の方向を切換えて前後輪の各操舵用シリンダ95、96へ圧送する。図6に示した状態は各ソレノイド(S1)、(S2)が共にオフとなつており、前輪操舵モードになつている状態を示している。 【0045】 例えばステアリングハンドル14を時計方向へ回動すれば、圧力油は油口(R)から方向切換バルブ82を経て、操舵用シリンダ95の油口95aからシリンダ95内へ圧入し、ピストン95cを後方へ押圧して後分室側の油を油口95bから方向切換バルブ82へ戻す。更に、戻された油は方向切換バルブ83へ送られるが、ソレノイド(S2)がオフとなつているので操舵用シリンダ96へ圧力油は圧送されず、オービットロール80の油口(L)へ戻る。従って、前輪側ドラッグアーム 97がナックルアーム99を中心に図中時計方向へ回動し、前車輪12が点線で示すように回向してトラクタは右側へ旋回する。このとき後輪側ドラッグアーム 98は動かない。 【0046】 オービットロール80から分岐した圧力油はオイルタンク93へ戻る。前述したように別のオイルポンプ91を経た圧油は、分流弁89aを介してメインコントロールバルブ85へ圧送され、作業機36のリフトシリンダ86を作動させる。 【0047】 また、作業機36のローリング制御油圧回路89で制御されるローリングシリンダ94をオイルポンプ91からの圧油で作動可能にしている。 【0048】 図7にはコントローラ100の出入力装置のブロツク図を示す。手動でそれぞれ設定するスイッチ(SW1)は前輪操舵(FWS)モード、スイッチ(SW2)は後輪操舵(RWS)モード、スイッチ(SW3)は同位相四輪操舵(4WS)モード、スイッチ(SW4)は逆位相四輪操舵(4WS)モードへの切換スイッチであり、ランプ(PL1)(PL2)(PL3)(PL4)は切換えられた夫々のモードの表示ランプである。また、前輪側のセンサ10の作動ランプ(FP)と後輪側のセンサ11の作動ランプ(RP)が設けられている。 【0049】 上記各操舵モード選択用のスイッチとコントロールレバー87を用いる作業機36の上昇・下降位置について表1に示す。 【0050】 【表1】
【0051】 上記手動設定の各固定操舵モードの制御回路とは別に、自動操舵切換用の自動操舵モードスイッチ106が設けられている。自動操舵モードスイッチ106入りにより作業機36の高さ位置やバックアップ「入−切」等の各信号はA/Dコンバータ(図示せず)を介してコントローラ100へ伝達され、その制御部の判断による指令信号がI/O(図示せず)を経て各ソレノイドバルブ(S1)、(S2)へ送られ、ソレノイドをオン・オフさせる。また、前後のドラッグアーム97、98の適所に設けた回動位置検出用のセンサ102、103、並びに、コントロールレバー87(図1)に設けた作業機36昇降位置検出用のセンサ90及び前後進切換レバー84(図1)のシフト位置センサ92は、夫々A/Dコンバータ(図示せず)を介してコントローラ100へ接続されている。 【0052】 前記リフトシリンダ86を作動させるコントロールレバー87に設けられた昇降位置検出用のセンサ90によつてコントロールレバー87がオンであるか否かを検出する。また、前記ステアリングハンドル14の近傍に設けられた前後進切換レバー84にシフト位置検出用のセンサ92を設け、該前後進切換レバー84が後進位置にシフトされたか否かを検出可能に形成する。 【0053】 図8はコントローラ100で制御される本実施例の自動操舵モード切換制御の概要を示すフロー図である。 本実施例の自動操舵モード切換制御機構は、変速位置をバックにすると作業機36を上昇させる自動バックアップ機能を具備し、バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず、変速位置をバックにした時はコントロールレバー87がどの位置にあっても、優先的に作業機36が上昇した後輪操舵モード(RWS)となり、車両の変速位置をバック以外の中立又は前進位置にした場合には、作業機36の位置またはコントロールレバー87の位置によって操舵モードを4WSまたはFWSに自動設定するように構成されている。 【0054】 そのため、本実施例の自動操舵モード切換制御機構は、バックアップ機能の使用・不使用にかかわらず、前後進切換レバー84をバック以外(中立又は前進)にすると、作業機36が上昇位置またはコントロールレバー87が上げ位置になっている場合には、前後輪逆位相の四輪操舵モード(4WS)となる。また、前後進切換レバー84をバック位置にすると(車両後退時)、コントロールレバー87の位置にかかわらず、後輪操舵モード(RWS)になる。 【0055】 従って、図8に示すように自動操舵モードを選択後バックアップ機能使用時にコントロールレバー87を下げた状態で前後進切換レバー84をバックに入れると、作業機36が上昇して後輪操舵モード(RWS)(S4)になるが、この状態から前後進切換レバー84をバック以外(中立又は前進)に変更すると、作業機36が上昇位置に保持されたままであるので4WS(S5)となる。 【0056】 前記4WSで中立又は前進走行中に、一度作業機36が下がった状態で前進するFWSモードにするためには、一度作業機36の上げ量以上にコントロールレバー87を上げ操作して(S6)、その後、コントロールレバー87を所定位置まで下げれば作業機36は下がり、FWSになる(S7)。 【0057】 なお、バックアップスイッチ72のオンによりバックアップ機能使用時にコントロールレバー87を下げた状態で前後進切換レバー84がバック以外(中立又は前進)にあると、作業機36は下がった状態で前輪操舵モード(FWS)で走行し(S1)、この状態からコントロールレバー87を上げると前後進切換レバー84がバック以外(中立又は前進)では4WSで走行し(S2)、これからコントロールレバー87を下げると前後進切換レバー84がバック以外(中立又は前進)では作業機36が下がり、FWSで走行する(S3)。これからコントロールレバー87を下げたままで前後進切換レバー84をバックにすると作業機36が上昇し、RWS(S4)となる。 【0058】 また、バックアップ機能を使用しない時には、コントロールレバー87を下げた状態で前後進切換レバー84をバック以外(中立又は前進)に入れていると作業機36は下がったままでFWSモードとなり(S11)、このときコントロールレバー87を上げると作業機36は上昇し、4WSモードとなる(S12)。また、その後、バック以外(中立又は前進)の状態でコントロールレバー87を下げると、作業機36は下がり、FWSになる(S13)。この状態で前後進切換レバー84をバックに入れると作業機36は上昇しないでRWSモードとなり(S14)、このときコントロールレバー87を上げると作業機36は上昇し、RWSモードが保たれる(S15)。 【0059】 こうして、バックアップ機能のオン−オフに拘わらず、操舵モードの自動切換動作が一定となり(中立又は前進時には作業機36が上昇位置またはコントロールレバー87が上げ位置になっている場合には4WSとなり、車両後退時にはコントロールレバー87の位置にかかわらずRWSとなる。)、操縦者は混乱することもなく動力車両の操縦性と作業機36の作業性を従来より向上させることができる。 【0060】 また、本実施例では、ブーム19の水平制御機構についても次のような制御を行う。 ブーム19の水平制御機構として「自動水平モード」と「手動操作モード」の切換設定ができるように自動水平スイッチ53をコントロールパネル50に設ける。そしてこの自動水平スイッチ53は押した時のみオンとなるモーメンタリスイッチを用い、電源投入時は「手動モード」を初期値として設定している。 【0061】 従来はロータリスイッチ等で自動−手動のモード切換を行っているので自動モードの位置のまま電源をオンした場合は一旦手動モードにしてから自動モードの位置に変更しないと自動モードにならなかった。そのためロータリスイッチの操作が煩雑であった。また、ユーザーが自動モードの位置なのに手動モードであることに気がつかない場合もあった。 【0062】 本実施例ではモーメンタリ型の自動水平スイッチ53を使用することにより電源オン時は必ず手動モードから始まり、必要な時にワンタッチで自動モードに変更できるので操作性も向上し、安全である。 【0063】 自動水平スイッチ53をモーメンタリ型の照光式押しボタンスイッチとすると電源投入時は接点はオフなので手動モードに設定されるが、ユーザーがスイッチを一度押すと自動モードに変更され、自動モードを表示するランプが点灯する。もう一度押すと表示ランプが消灯し、手動モードとなる。 【0064】 また、詳細な説明は省略するが、本実施例のトラクタ(乗用管理機)の薬液タンク18は薬液散布量の制御装置を備えており、トラクタの各種走行モードに合わせてタイミング良く薬剤を適量だけ散布することができる。 【0065】 同じ条件で圃場上に薬剤散布作業を行う場合でも、トラクタが高速走行すれば、するほどスリップ率が大きくなるため、実車速より散布圧力計算に使用する計算車速の方が速くなる。その結果、反当りの薬剤の実散布量が計画散布量より多くなり、車速により散布圧力補正を作業者が変更しなければならず、薬剤散布の作業性と散布精度が低下する。 【0066】 そこで、本実施例では車速センサ105により検出される所定時間当たりのパルス数を用いて車速に換算する際のスリップ率を計算式より算出するか又は予め求められている前記パルス数とスリップ率の関係を示すテーブルから読み出し、薬剤散布圧力設定式に代入し、車速とスリップ率に応じた薬剤散布圧力を決定して薬剤散布モータ(図示せず)を駆動制御する。 【0067】 具体的には次のような手順で行う。 (a)薬剤散布圧力は次式(1)で計算する。 P=0.000324×Z2×Q2×V2+β(kg/cm2) (1) ここでZ:ノズル定数(散布設定値とノズル設定入力ポートの値により選択する)、Q:散布量設定値(リットル/10a)、V:車速(m/s)、β:オフセット項(kg/cm2) 【0068】 (b)散布量設定値Q、使用ノズルの種類、ノズル定数Z、オフセット項β及び必要な場合には薬剤の種類を関連づけた表からそれぞれの値を選択する。 【0069】 (c)車速計算 タイヤ径が900(mm)を基準にして、次式(2)で算出する。 V=0.0098×n×(1−α)×K1(m/s) (2) ここでn:500msec間の車速パルス数、α:スリップ率0.08(8%)、K1:タイヤ係数(タイヤ径の設定値によって予め得られた表から選択) 【0070】 また、タイヤの種類によりスリップ率を自動変更することができる。例えば標準タイヤスリップ率=10% 湿田用タイヤスリップ率=8%を用いて薬剤散布量の制御をすることができる。 【0071】 こうして、スリップ率を考慮に入れた車速に連動させて適切な薬剤散布量の制御ができ、特に高車速時は高スリップ率に自動変更することができ、反当りの薬剤散布量の精度低下を防止でき、車速により一々、薬剤散布圧力補正をしなくて良いので作業性も向上する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態の薬液散布装置を取り付けたトラクタの側面図である。 【図2】図1のトラクタの平面図である。 【図3】図1のトラクタのコントロールパネルの平面図である。 【図4】図1のトラクタの正面図である。 【図5】図1のトラクタの前半分の平面図である。 【図6】図1のトラクタの油圧回路図である。 【図7】図1のトラクタのコントローラの出入力部の構成図である。 【図8】図1のトラクタの自動操舵モード切換制御の概要を示すフロー図である。 【符号の説明】 1 車体 3 リフトリンク 4 ヒッチブラケット 7 支持枠 10 前輪側センサ 11 後輪側センサ 12 前輪 13 後輪 14 ステアリングハンドル 15 ボンネット 17 運転席 18 薬液タンク 19 散布ブーム 19a 揺動支点 20 防除ポンプ 23 支柱 24 アッパリンク 25 ロワリンク 26 シリンダ取付支柱 27 昇降シリンダ 28 ソレノイドバルブ 29 上下シリンダ 30 開閉シリンダ 31 ギヤードモータ 33 取付アーム 33a 開閉支点 34 引張スプリング 35 リンク機構 36 作業機 40 支柱 43 センタブーム 44 サイドブーム 45 噴霧ノズル 50 コントロールパネル 51 回動アーム 51a 回動支点 52 センサ 53 自動水平スイッチ 54 傾き調整用スイッチ 55 アクチュエータ 56 ブームレバー 57 昇降スイッチ 58 開閉スイッチ 61 表示パネル 62 設定ボタン 63 増減ボタン 64 累計リセットボタン 67 自動ー手動切換ボタン 69 表示気切換ボタン 70、71 レバー 72 バックアップスイッチ 73 作動表示ボタン 74 バランススプリング 80 オービットロール 81 油圧ポンプ 82、83 方向切換バルブ 84 前後進切換レバー 85 メインコントロールバルブ 85a 下降バルブ 85b 上昇バルブ 85c、85d パイロットスプール 85e 安全弁 86 リフトシリンダ 87 コントロールレバー 89 ローリング制御油圧回路 89a 分流弁 90 昇降位置検出センサ 91 油圧ポンプ 92 シフト位置検出センサ 93 オイルタンク 94 ローリング制御シリンダ 95、96 操舵シリンダ 95a、95b 油口 95c ピストン 97 前輪側ドラッグアーム 98 後輪側ドラッグアーム 99 ナックルアーム 100 制御装置 102、103 回動位置検出用センサ 105 車速センサ 106 自動操舵モードスイッチ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社 【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
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| 【出願日】 |
平成14年12月6日(2002.12.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096541 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 孝義
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| 【公開番号】 |
特開2004−187502(P2004−187502A) |
| 【公開日】 |
平成16年7月8日(2004.7.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−355313(P2002−355313) |
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