| 【発明の名称】 |
農用トラクタ |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 健太郎 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
【氏名】久津見 理 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
【氏名】梅本 享 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
|
| 【要約】 |
【課題】判りやすい簡単な操作で標準的な作業走行形態を容易に設定できるようにして、機能を熟知しないユーザーでも誤操作なく作業を行うことができるようにする。
【解決手段】トラクタ本機に装着した作業装置の作業位置姿勢に係わる制御機能と、トラクタ本機における走行系の制御機能の両方を一括操作でオン状態あるいはオフ状態に切換える一括スイッチ70を備える。作業装置の作業位置姿勢に係わる制御要素としては、作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系が備えられ、走行系の制御機能の制御要素として、設定角度以上の前輪操向に連動して前輪を増速する前輪変速制御系が備えられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トラクタ本機に装着した作業装置の作業位置姿勢に係わる制御機能と、トラクタ本機における走行系の制御機能の両方を一括操作でオン状態あるいはオフ状態に切換える一括スイッチを備えてあることを特徴とする農用トラクタ。 【請求項2】 作業装置の作業位置姿勢に係わる前記制御機能の制御要素として、作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、前記作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系が備えられ、走行系の制御機能の制御要素として、設定角度以上の前輪操向に連動して前輪を増速する前輪変速制御系が備えられている請求項1記載の農用トラクタ。 【請求項3】 作業装置の作業位置姿勢に係わる前記制御機能の制御要素として、作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、前記作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系、トラクタ本機の前輪が設定角度以上に操向されると前記作業装置を上昇させるオートアップ制御系、および、トラクタ本機が後進状態になると前記作業装置を上昇させるバックアップ制御系が備えられている請求項1記載の農用トラクタ。 【請求項4】 トラクタ本機の後部に装着した作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、前記作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系、トラクタ本機の前輪が設定角度以上に操向されると前記作業装置を上昇させるオートアップ制御系、および、トラクタ本機が後進状態になると前記作業装置を上昇させるバックアップ制御系を、一括操作で作動状態あるいは非作動状態に切換えるる一括スイッチを備えてあることを特徴とする農用トラクタ。 【請求項5】 前記一括スイッチでオン状態に切換えられた前記制御機能の制御要素は、予め設定された標準機能状態あるいは標準感度状態で作動するよう構成してある請求項1〜4のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項6】 前記一括スイッチでオン状態に切換えらる前記制御機能の制御要素を個別にオン・オフする個別操作具を備えてある請求項1〜5のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項7】 前記一括スイッチでオン状態に切換えられる制御機能の制御要素の機能あるいは感度を個別に調節する個別操作具を備えてある請求項1〜6のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項8】 前記一括スイッチによって一括にオン状態に切換えられたことを表示する表示手段を備えるとともに、一括スイッチによってオン状態に切換えられた後に前記個別操作具が操作されると、前記表示手段によって一括操作が解除されたことを表示するよう構成してある請求項1〜7のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項9】 制御装置が起動された時、前記一括スイッチによる指令は、制御装置が停止された時点でのスイッチ操作状態から開始されるよう構成してある請求項1〜8のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項10】 前記一括スイッチを、トラクタ本機における運転部正面に設けられたフロントパネルの近傍に配備してある請求項1〜9のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項11】 運転座席を中心として、その横一側方に作業装置系の操作具を配備するとともに、横他側方に走行系の操作具を配備してある請求項1〜10のいずれか一項に記載の農用トラクタ。 【請求項12】 前記一括スイッチのオン操作で、標準作業モードと牽引作業モードを選択可能に構成してある請求項1〜11のいずれか一項に記載の農用トラクタ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、機体後部にロータリ耕耘装置などの作業装置を昇降自在に連結してなる農用トタクタに関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、農用トタクタにおいては、機体後部に連結した作業装置を昇降レバーの操作位置に対応する高さまで昇降させるポジション制御系と、作業装置を設定した目標耕深に安定維持させるよう昇降制御する自動耕深制御系と、作業装置を設定した左右傾斜姿勢に安定維持させるローリング制御系とを備えるとともに、自動耕深制御系およびローリング制御系のそれぞれの機能を人為的に選択調整する操作具類を備えたものが開発され実用化されている。 【0003】 上記のような高機能化した農用トタクタは、制御系の仕様を選択調整することで作業条件に適応したきめの細かい作業を行うことができるのであるが、その反面、機能の選択調整が難解になる傾向にあり、機能を熟知しないユーザーにとってはかえって誤操作をもたらすおそれもあった。 【0004】 そこで、判りやすい簡単な操作で標準的な作業の形態を容易に設定できるようにして、機能を熟知しないユーザーでも誤操作なく作業を行うことができるようにするために、前記自動耕深制御系とローリング制御系とを同時にオン・オフする単一の一括スイッチを備えるとともに、この一括スイッチのオン操作によって、実耕深の検出結果に基づいて前記作業装置を昇降制御する標準仕様の自動耕深制御モードと、目標傾斜角度が水平となる標準仕様のローリング制御モードとが設定されるよう構成したものが開発され実用化されている(特許文献1参照)。 【特許文献1】 特開2000−262108号公報 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 上記のような一括スイッチを導入することで、作業装置の高さや姿勢に対する標準的な制御を誰もが簡単に行えるのであるが、近年、走行系についても旋回時の前輪増速制御などの種々の制御が導入されてきており、これらの制御に対しては別途オン・オフ操作する必要があり、機能を熟知しないユーザーにとっては扱いにくいものになるおそれがあった。 【0006】 本発明は、このような点に着目してなされたものであって、判りやすい簡単な操作で標準的な作業の形態を容易に設定できるようにして、機能を熟知しないユーザーでも誤操作なく作業走行を行うことができるようにすることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕 【0008】 請求項1に係る発明は、トラクタ本機に装着した作業装置の作業位置姿勢に係わる制御機能と、トラクタ本機における走行系の制御機能の両方を一括操作でオン状態あるいはオフ状態に切換える一括スイッチを備えてあることを特徴とする。 【0009】 上記構成によると、一括スイッチをオン操作することで、作業装置の作業位置姿勢に係わる制御機能と、トラクタ本機における走行系の制御機能の両方をオン状態に切換えることができ、そのままで標準的な作業走行が行える。そして、機能を熟知しているユーザーは、制御機能を選択あるいは調整操作して、各制御を所望の仕様にして作業走行を行うことができる。また、一括スイッチをオフ操作すれば、作業走行に必要であった各制御がオフとなって、路上走行に適した状態となる。 【0010】 従って、請求項1に係る発明によると、機能を熟知していない未熟練ユーザーや高齢ユーザーでも、一括スイッチをオン操作するだけで作業走行に適した制御を行える状態を得ることができとともに、オフ操作で路上走行に適した状態に切換えることができ、操作の簡素化によって誤操作のない作業走行や路上走行を行うことができるようになった。 【0011】 〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕 【0012】 請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、作業装置の作業位置姿勢に係わる前記制御機能の制御要素として、作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、前記作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系が備えられ、走行系の制御機能の制御要素として、設定角度以上の前輪操向に連動して前輪を増速する前輪変速制御系が備えられているものである。 【0013】 上記構成によると、一括スイッチをオン操作することで、耕深制御とローリング制御が実行されるとともに、畦際における機体方向転換に連動した前輪変速制御が可能な状態となる。 【0014】 従って、請求項2に係る発明によると、所定の耕深でのロータリ耕耘などを良好に行うことができるとともに、畦際での機体方向転換を円滑かつ速やかに行える状況を、一括スイッチのオン操作によって簡単に現出することができる。 【0015】 〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕 【0016】 請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、作業装置の作業位置姿勢に係わる前記制御機能の制御要素として、作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、前記作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系、トラクタ本機の前輪が設定角度以上に操向されると前記作業装置を上昇させるオートアップ制御系、および、トラクタ本機が後進状態になると前記作業装置を上昇させるバックアップ制御系が備えられているものである。 【0017】 上記構成による、一括スイッチをオン操作することで、耕深制御とローリング制御が実行される状態となり、ロータリ耕耘などを良好に行うことができるとともに、畦際での機体方向転換時におけるオートアップ制御による作業装置の自動上昇、および、畦際でのスイッチバック時におけるバックアップ制御による作業装置の自動上昇が可能な状態が現出される。 【0018】 従って、請求項2の発明によると、多くの制御要素の選択や設定を一挙に行うことができ、請求項1に係る発明の上記効果を助長する。 【0019】 〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕 【0020】 請求項4に係る発明は、トラクタ本機の後部に装着した作業装置の対地作業深さを設定深さに維持する耕深制御系、前記作業装置の左右傾斜角度を設定角度に維持するローリング制御系、トラクタ本機の前輪が設定角度以上に操向されると前記作業装置を上昇させるオートアップ制御系、および、トラクタ本機が後進状態になると前記作業装置を上昇させるバックアップ制御系を、一括操作で作動状態あるいは非作動状態に切換えるる一括スイッチを備えてあることを特徴とする。 【0021】 上記構成によると、一括スイッチをオン操作することで、耕深制御とローリング制御が実行される状態となり、ロータリ耕耘などを良好に行うことができるとともに、畦際での機体方向転換時におけるオートアップ制御による作業装置の自動上昇、および、畦際でのスイッチバック時におけるバックアップ制御による作業装置の自動上昇が可能な状態が現出される。 【0022】 従って、請求項4の発明によると、多くの制御要素の選択や設定を一挙に行うことができ、取り扱い性の向上に有効となる。 【0023】 〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕 【0024】 請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項の発明において、前記一括スイッチでオン状態に切換えられた前記制御機能の制御要素は、予め設定された標準機能状態あるいは標準感度状態で作動するよう構成してあるものである。 【0025】 上記構成によると、一括スイッチのオン操作によって作動可能となった制御要素は標準機能状態あるいは標準感度状態で作動する。 【0026】 従って、請求項5の発明によると、機能を熟知していない未熟練ユーザーや高齢ユーザーでも、一括スイッチをオン操作するだけで標準的な制御を伴う作業走行を良好に行える。 【0027】 〔請求項6に係る発明の構成、作用および効果〕 【0028】 請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項の発明において、前記一括スイッチでオン状態に切換えられる前記制御機能の制御要素を個別にオン・オフする個別操作具を備えてあるものである。 【0029】 上記構成によると、一括オンすることのできる制御要素でも、必要に応じて任意にオフ操作することができ、圃場条件などに応じた好適な仕様での作業走行を行うことができる。 【0030】 〔請求項7に係る発明の構成、作用および効果〕 【0031】 請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項の発明において、前記一括スイッチでオン状態に切換えられた制御機能の制御要素の機能あるいは感度を個別に調節する個別操作具を備えてあるものである。 【0032】 上記構成によると、一括オンすることのできる制御要素でも、その機能や感度を必要に応じて任意に選択調節することができ、圃場条件など応じた好適な仕様での作業走行を行うことができる。 【0033】 〔請求項8に係る発明の構成、作用および効果〕 【0034】 請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか一項の発明において、前記一括スイッチによって一括にオン状態に切換えられたことを表示する表示手段を備えるとともに、一括スイッチによってオン状態に切換えられた後に前記個別操作具が操作されると、前記表示手段によって一括操作が解除されたことを表示するよう構成してあるものである。 【0035】 上記構成によると、所定の制御要素が一括オンされている状態か、一括操作が解除されている状態かを、表示手段の表示から容易に認識することができ、誤操作の回避に有効となる。 【0036】 〔請求項9に係る発明の構成、作用および効果〕 【0037】 請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項の発明において、制御装置が起動された時、前記一括スイッチによる指令は、制御装置が停止された時点でのスイッチ操作状態から開始されるよう構成してあるものである。 【0038】 上記構成によると、エンジンを停止して作業走行を中断した場合、次にエンジンを起動すると、中断前と同じ制御仕様で作業走行を再開することができ、制御仕様の設定をやり直す必要がなく、取扱い性の面で有効となる。 【0039】 〔請求項10に係る発明の構成、作用および効果〕 【0040】 請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか一項の発明において、前記一括スイッチを、トラクタ本機における運転部正面に設けられたフロントパネルの近傍に配備してあるものである。 【0041】 上記構成によると、運転部正面は目につきやすく、かつ、身体を大きく動かすことなく操作することができる位置であり、ここに設けられた一括スイッチは扱いやすいものとなる。 【0042】 〔請求項11に係る発明の構成、作用および効果〕 【0043】 請求項11に係る発明は、請求項1〜10のいずれか一項の発明において、運転座席を中心として、その横一側方に作業装置系の操作具を配備するとともに、横他側方に走行系の操作具を配備してあるものである。 【0044】 上記構成によると、作業装置系の操作具と走行系の操作具とが区分されて左右に振り分け配備されることで、運転座席に着座した作業者は間違いなく所望の操作を速やかに行うことができ、操作性の向上を図る上に有効となる。 【0045】 〔請求項12に係る発明の構成、作用および効果〕 【0046】 請求項12に係る発明は、請求項1〜11のいずれか一項の発明において、前記一括スイッチのオン操作で、標準作業モードと牽引作業モードを選択可能に構成してあるものである。 【0047】 上記構成によると、所定の制御要素を単にオン・オフするだけでなく、作業モードに適した制御要素のオン・オフをも行うことができ、一層便利に使用することができる。 【0048】 【発明の実施の形態】 図1に、ロータリ耕耘仕様に構成された農用トラクタの全体が、また、図2にその後部がそれぞれ示されている。この農用トラクタは、四輪駆動仕様に構成されたのトラクタ本機1の後部に、作業装置の一例であるロータリ耕耘装置2が、三点リンク機構3を介して昇降およびローリング可能に連結された構造となっている。ここで、前記三点リンク機構3は、図2に示すように、トップリンク3aと左右一対のロアーリンク3bとからなり、外装式の単動型油圧シリンダからなるリフトシリンダ4によって駆動される左右のリフトアーム5と左右の各ロアーリンク3bがリフトロッド6とローリングシリンダ7を介してそれぞれ連結されている。 【0049】 図6に、このトラクタ本機1における走行伝動系の概略が示されている。エンジン9の出力は主クラッチ10を介してミッションケース11に伝達され、ギヤ変速装置12で多段に変速された後、後部デフ機構13を介して左右の後輪14に伝達されるとともに、変速後に分岐された動力が前輪変速機構15および前部デフ機構16を介して左右の前輪17に伝達されるようになっている。また、図示しないが、エンジン出力の一部がミッションケース内で変速された後、PTO軸18から取り出されてロータリ耕耘装置2に軸伝達されるようになっている。そして、前記主クラッチ10は、運転部の足元左側に配備された主クラッチペダル19の踏込みによって切り操作されるよう機械的に連動連結されるとともに、左右後輪14の伝動系に介在された左右のサイドブレーキ20が、運転部の足元右側に並列配備されたサイドブレーキペダル21の踏込みによって制動操作されるように機械的に連動連結されている。 【0050】 ここで、図7に示すように、前記前輪変速機構15は、低速段油圧クラッチ22と高速段油圧クラッチ23を備えており、低速段油圧クラッチ22のみを入れることで前輪17を後輪14と同調した標準速度で駆動することができ、高速段油圧クラッチ23のみを入れることで前輪17を後輪14の略2倍に増速して駆動することができ、また、両クラッチ22,23を共に切ることで前輪17への動力伝達を断つよう構成されている。 【0051】 また、サイドブレーキペダル21とサイドブレーキ20とは油圧シリンダ24とロッド25を介して連動連結されており、通常、油圧シリンダ24は排油されて伸長限界状態にあり、この状態でサイドブレーキペダル21が踏込まれると、ロッド25が前方に引かれてサイドブレーキ20が制動操作され、また、サイドブレーキペダル21が踏込まれない状態でも、油圧シリンダ24が圧油供給によって短縮作動してロッ25ドが前方に引かれることによっても、サイドブレーキ20が制動操作されるようになっている。 【0052】 この農用トラクタには、ロータリ耕耘装置2の作業位置姿勢を制御する機能と、前輪変速機構15を作動させる前輪変速制御機能、および、サイドブレーキ20を作動させる制動制御機能が備えられており、これらの制御を実行するための制御ブロックが図8に示されている。 【0053】 ロータリ耕耘装置2の作業位置姿勢を制御する制御機能の制御要素としては、ロータリ耕耘装置2をリフトシリンダ4によって昇降する昇降制御系、ロータリ耕耘装置2をローリングシリンダ7によって左右傾斜させるローリング制御系が含まれており、さらに、昇降制御系には、ロータリ耕耘装置2を運転者が設定した任意の高さに昇降させるポジション制御系、ロータリ耕耘装置2を耕深検出結果に基づいて昇降させて耕深を設定耕深に安定維持する自動耕深制御系と、トラクタ本機1の前輪9が設定角度以上に大きく操向されるとロータリ耕耘装置2を設定された上限位置まで自動的に上昇させるオートアップ制御系と、機体が後進されるとロータリ耕耘装置2を設定された上限位置まで自動的に上昇させるバックアップ制御系と、ポジション制御系並び自動耕深制御系に優先してロータリ耕耘装置2を任意に昇降させることのできる優先昇降制御系とが含まれている。また、ローリング制御系には、平地圃場においてロータリ耕耘装置2をトラクタ本機1の左右傾斜にかかわらず設定された左右傾斜角度に維持する標準のローリング制御系と、傾斜圃場においてロータリ耕耘装置2を設定された左右傾斜角度に維持する傾斜地ローリング制御系とが含まれている。そして、リフトシリンダ4の作動を司る電磁制御弁26、およびローリングシリンダ7の作動を司る電磁制御弁27は、マイクロコンピュータを使用した制御装置30に接続されており、以下に、これら昇降用の電磁制御弁26およびローリング用の電磁制御弁27を作動させる前記各制御系についてその概略を説明する。 【0054】 〔ポジション制御系〕 ポジション制御系の入力機器として、運転座席31の右横側に配備された昇降レバー32の操作に基づいて目標高さが設定されるポテンショメー利用のポジション設定器33と、リフトアーム5の揺動角度からロータリ耕耘装置2の高さを検出するポテンショメータ利用のリフトアームセンサ34が制御装置30に接続されており、ポジション設定器33からの設定値とリフトアームセンサ34からの検出値とが均衡するように、昇降用の電磁制御弁26を介してリフトシリンダ4を伸縮制御することで、ロータリ耕耘装置2を昇降レバー32の操作位置に対応した位置にまで昇降させてその位置に保持することができる。 【0055】 〔標準自動耕深制御系〕 この標準自動耕深制御系の入力機器として、目標耕深を設定するポテンショメータ利用の耕深設定器35と、ロータリ耕耘装置2における後カバー36の揺動変位量を実耕深として検出するポテンショメータ利用のカバーセンサ37とが制御装置30に接続されており、耕深設定器35からの耕深設定値とカバーセンサ37からの耕深検出信号とが均衡するように、昇降用電磁制御弁26を介してリフトシリンダ4を伸縮制御することで、トラクタ本機1の前後傾斜や圃場への沈下具合にかかわらず設定された所定の耕深でのロータリ耕耘を行うことができる。 【0056】 〔エンジン負荷対応式自動耕深制御系〕 この自動耕深制御系の入力機器として、前記耕深設定器35と、エンジン回転数を検出する回転センサ38と、前記リフトアームーセンサ15とが制御装置30に接続されており、基本的にはロータリ耕耘装置2の高さ(リフトアーム5の高さ)を耕深設定器35で設定された目標耕深に維持するとともに、エンジン負荷が増大すると耕深が深くなったものとして上昇制御を行い、エンジン負荷が回復すると元の耕深になるよう下降制御を行うことで、実耕深を安定化することができる。ここで、回転センサ38のからの信号に基づいてエンジン負荷が検出され、このエンジン負荷の変動に応じて、例えばファジイ推論に基づいて電磁制御弁26への制御量が決定されるのである。従って、エンジン負荷対応式の自動耕深制御系を用いた昇降制御では、上記標準自動耕深制御系で使用するカバーセンサ37が不要であり、湿田での荒起こし作業、内盛り耕耘作業、畝立て作業など、後カバー36を大きく持ち上げたまま行うロータリ耕耘作業、などにおいて有効に利用される。 【0057】 〔オートアップ制御系〕 オートアップ制御系の入力機器として、トラクタ本機1における前輪17を操向するピットマンアーム(図示せず)の揺動角度を検出するステアリングセンサ39と、トラクタ本機1における走行速度を設定する主変速レバー40、および、前後進切換えレバー41の各操作位置を検出する走行変速センサ42,43と、トラクタ本機1におけるPTO軸18の回転速度を選択するPTO変速レバー44の操作位置を検出するPTO変速センサ45とが制御装置30に接続されている。 【0058】 このオートアップ制御系においては、前記走行変速センサ42,43からの信号によって前進走行状態にあることが検出され、PTO変速センサ45からの信号によってPTO軸18に動力が伝達されている状態にあるとき、すなわち、ロータリ耕耘層2を駆動して前進作業走行を行っているとき、ステアリングセンサ39によって直進状態から左方あるいは右方に設定角度以上(例えば30度以上)に前輪17が操向されたことが検出されると、畦際での機体方向転換であると判断して、ロータリ耕耘装置2を設定された上限まで自動的に上昇制御するものである。 【0059】 〔バックアップ制御系〕 バックアップ制御系の入力機器としては、前記走行変速センサ42,43が制御装置30に接続されており、トラクタ本機1が後進状態になったことが検出されるとると、ロータリ耕耘装置2を設定された上限まで自動的に上昇制御するものであり、畦際での後進時にロータリ耕耘装置2が畦に接触することが未然に回避することができる。 【0060】 〔優先昇降制御系〕 優先昇降制御系の入力機器としては、トラクタ本機1における運転部の正面に配備されたステアリングハンドル46の右側脇に設けた優先昇降レバー47によって操作される優先昇降スイッチ48が制御装置30に接続されている。この優先昇降レバー47は中立復帰付勢された上下揺動自在なレバーとして構成さており、上方へのワンショット操作で、選択されている昇降制御系に優先してロータリ耕耘装置2が上限まで上昇され、下方へのワンショット揺動操作でロータリ耕耘装置2が選択されている昇降制御系で設定された目標耕深まで下降制御されるようになっている。 【0061】 〔ローリング制御系〕 ローリング制御系の入力機器としては、トラクタ本機1の左右傾斜角度を重力式の傾斜センサや角速度センサを利用して検出する傾斜検出機構50と、ロータリ耕耘装置2の左右方向での目標傾斜角度(例えば左右水平)に設定するポテンショメータ利用の傾斜角設定器51と、ローリングシリンダ7の長さを検出するストロークセンサ52と、手動傾斜スイッチ53とが制御装置30に接続されている。このローリング制御系によれば、トラクタ本機1が左または右に傾斜すると、傾斜検出機構50の検出値に基づいて、本機傾斜に伴うロータリ耕耘装置2の傾斜を修正して目標傾斜角度にする目標シリンダ長さが演算され、この目標長さに一致するようにローリングシリンダ7が電磁制御弁27を介して伸縮制御されることで、ロータリ耕耘装置2の傾斜角度が目標傾斜角度に安定維持されるのである。 【0062】 なお、手動傾斜スイッチ53は「上」位置に操作している間だけロータリ耕耘装置2を右上がり方向に傾斜させ、「下」位置に操作している間だけロータリ耕耘装置2を右下がり方向に傾斜させるようにローリングシリンダ7が優先的に操作され、手動操作スイッチ53から手を放すと、元の目標傾斜角度に復帰制御されるようになっている。 【0063】 また、傾斜地ローリング制御系は、トラクタ本機1を傾斜圃場の等高線に沿って走行する場合に使用されるものであって、基本的には標準的な上記ローリング制御と同様であるが、谷側車輪の沈下を見越して自動的に目標傾斜角度に補正が加えられるものである。 【0064】 次に、上記各制御系の選択や目標値の設定を行う手段について説明する。 図3,図5に示すように、トラクタ本機1における運転座席31の右横側には操作パネル55が配備され、ここに回転ダイヤル式に構成された前記耕深設定器35、自動耕深制御の感度を標準に設定した標準自動昇降制御モード、感度を敏感に設定した標準自動昇降制御モード、エンジン負荷対応式自動昇降制御モードのいずれかに選択する個別操作具としての自動昇降モード選択スイッチ56、標準のローリング制御モードと傾斜地ローリング制御モードとのいずれかを選択する個別操作具としてのローリング制御モード選択スイッチ57、ロータリ耕耘装置2の仕様に対応して制御基準値を補正するためのロータリ仕様選択スイッチ58、回転ダイヤル式に構成された前記傾斜設定器51、リフトアーム5の上限を設定する回転ダイヤル式の上限設定器59、オートアップ制御を個別にオン・オフする個別操作具としての切換えスイッチ60、バックアップ制御を個別にオン・オフする個別操作具としての切換えスイッチ61、手動傾斜スイッチ53が配備されている。なお、モード等を選択する前記スイッチ類56,57,58は、押し操作するたびに選択される内容が順次切り換わるパネルタッチ型スイッチで構成されるとともに、オン・オフ用の前記切換えスイッチ60,61は、押し操作するたびにオン・オフを繰り返すパネルスイッチで構成されている。また、手動傾斜スイッチ53は中立復帰型のレバースイッチで構成されている。 【0065】 また、個別操作具である自動昇降モード選択スイッチ56、ローリング制御モード選択スイッチ57、ロータリ仕様選択スイッチ58のそれぞれの上側箇所には、押し操作ごとに選択された仕様を点灯によって示すLEDからなる表示ランプL1 ,L2 ,L3 ,L4 が配備されている。また、個別操作具であるオートアップ制御オン・オフ用の切換えスイッチ60、および、バックアップ制御オン・オフ用の切換えスイッチ61の側脇にも、オン操作されると点灯し、オフ操作されると消灯するLEDからなる表示ランプL4 ,L5 が配備されている。 【0066】 さらに、図4に示すように、ステアリングハンドル65を備えたフロントパネル66には、ローリング制御モード選択スイッチ57の操作に対応して点・消灯する表示ランプML1、標準自動耕耘制御のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML2、エンジン負荷対応式自動耕耘制御のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML3、優先昇降レバー47によって上昇操作した時に点灯する表示ランプML4、バックアップ制御系のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML5、および、オートアップ制御系のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML6が配備されており、運転中でも現在の制御仕様の選択具合、等を容易に目視確認することができるようになっている。 【0067】 また、前記フロントパネル66の左側における下方近傍には、走行モード選択スイッチ67が設けられている。この走行モード選択スイッチ67は、押し操作するたびに選択される走行モードが順次切り換わるパネルタッチ型スイッチで構成されており、「急旋回モード」、「小回り旋回モード」、「四輪駆動モード」、および、「二輪駆動モード」を選択することができるようになっており、前記前輪変速機構15の油圧クラッチ22,23の作動を司る電磁制御弁68と、サイドブレーキ操作用の前記油圧シリンダ24の作動を司る電磁制御弁69とが前記制御装置30に接続されて、選択された走行モードに応じて以下のように制御される。 【0068】 〔急旋回モード〕 走行モード選択スイッチ67が「急旋回モード」に選択されると、前輪変速機構15が低速段に維持された四輪駆動状態が現出され、前輪操向角度が設定未満の範囲では前輪17が後輪14に同調した低速度で駆動される。そして、前輪操向角度が設定以上になったことが検知されると、前輪変速機構15が高速段に切換えられるとともに、旋回内側となる後輪14のサイドブレーキ20が制動操作され、大きく操向されて増速された左右前輪17と後部デフ機構13を介して増速駆動される旋回外側の後輪14との三輪駆動で急速に旋回作動する。なお、この急旋回は走行速度が設定以下の低速時にのみ実行されるように、走行変速情報に基づいて牽制がかかるようになっている。 【0069】 なお、サイドブレーキ20を作動させる際の電磁制御弁69の励磁状態を調節可能に構成して、急旋回モードでの制動力を調節可能にし、圃場条件などによっては旋回内側の後輪14に半制動をかけるようにすることも可能である。 【0070】 〔小旋回モード〕 走行モード選択スイッチ67が「小回り旋回モード」に選択されると、前輪変速機構15が低速段に維持された四輪駆動状態が現出され、前輪操向角度が設定未満の範囲では前輪17が後輪14に同調した低速度で駆動される。そして、前輪操向角度が設定以上になったことが検知されると、前輪変速機構15が高速段に切換えられ、大きく操向されて増速された左右前輪17と後部デフ機構13を介して速度分配駆動される左右の後輪14との四輪駆動で小回りで旋回作動する。なお、この小回り旋回も走行変速情報に基づいて牽制がかかるようになっている。 【0071】 〔四輪駆動モード〕 走行モード選択スイッチ67が「四輪駆動モード」に選択されると、前輪17が設定角度以上に操向されてもサイドブレーキ20が制動操作されることはなく、常に前輪変速機構15が低速段に維持された四輪駆動状態での走行および操向が行われる。 【0072】 〔二輪駆動モード〕 走行モード選択スイッチ67が「二輪駆動モード」に選択されると、前輪17が設定角度以上に操向されてもサイドブレーキ20が制動操作されることはなく、常に前輪変速機構15が中立状態に維持されて後輪14のみが駆動される二輪駆動状態での走行および操向が行われる。 【0073】 そして、前記フロントパネル66の左側には、「急旋回モード」のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML7、「小回り旋回モード」のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML8、「四輪駆動モード」のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML9、および、「二輪駆動モード」のオン・オフに対応して点・消灯する表示ランプML10が配備されており、運転中でも現在の走行モードの選択具合を容易に目視確認することができるようになっている。 【0074】 そして、本発明では、上記構成に加えて以下のような操作手段が備えられている。つまり、前記フロントパネル66の右側における下方近傍には、一括スイッチ70が備えられて制御装置30に接続されている。この一括スイッ70は、押し操作するたびにオン・オフが交互に切り換えられるモニタランプ内臓のパネルタッチ型スイッチで構成されており、図9の図表に示すように、オン操作されると、作業装置の作業位置姿勢に係わる制御機能の制御要素である「標準自動耕深制御」、「ローリング制御」、「オートアップ制御」、「バックアップ制御」と、走行系制御機能の制御要素である「急旋回モード」が一括してオン(図表中の○印)されるとともに、内臓したモニタランプ(表示手段)ML11が点灯作動して一括オン状態が選択されていることが容易に認識できるようプログラム設定されている。そして、一括スイッチ70がオン操作された後に、一括オンされたこれら制御要素のうちのいずれかを個別操作具としての選択スイッチ56,57,58や切換えスイッチ60,61で選択変更したりオフ操作すると、モニタランプML11は消灯状態に切換わり、一括オン状態が解除されていることを表示するようになっている。 【0075】 また、一括スイッチ70をオフ操作すると、「標準自動耕深制御」、「エンジン負荷対応式自動耕深制御」、「オートアップ制御」、「バックアップ制御」、「ローリング制御」がオフ状態(図表中の×印)になって「ポジション制御」のみが可能になるとともに、走行系の制御機能は「四輪駆動モード」に特定された状態となるようにプログラム設定されている。 【0076】 また、作業装置の作業位置姿勢に係わる制御機能の制御要素、および、走行系制御機能の制御要素を任意にオン・オフ選択した状態でエンジン9を停止し、再びエンジン9を起動して制御装置30をオンすると、各制御要素のオン・オフ選択状態は、エンジン9を停止した時点のオン・オフ選択状態で各制御が再開されるようにプログラム設定されている。 【0077】 本発明は、以下のような形態で実施することもできる。 【0078】 (1)前記一括スイッチ70を、押し操作するたびに選択される内容が順次切り換わるパネルタッチ型スイッチで構成し、標準耕耘作業用の第1オン状態、牽引作業用の第2オン状態、および、オフ状態を選択操作可能に構成し、各選択状態において、図10の図表に示すように、制御機能の制御要素をオン・オフするようにして実施することもできる。なお、牽引作業用のドラフト制御は、周知のように、三点リンク機構3連結したプラウなどの牽引型作業装置の牽引負荷を設定値に維持するようにリフトアーム5を昇降制御することで作業深さの安定化を図るものであり、牽引負荷検出センサと牽引負荷設定器が制御装置30に接続されることになる。 【0079】 (2)走行系における制御機能の制御要素として、エンジン負荷に応じて走行速度を変速する自動変速制御を付加するもよい。 【0080】 (3)前記一括スイッチ70は、パネルタッチ型スイッチで構成する他に、レバー型のスイッチとすることもできる。 【図面の簡単な説明】 【図1】トラクタの全体側面図 【図2】機体後部の斜視図 【図3】機体後部の平面図 【図4】フロントパネルの正面図 【図5】操作パネルの平面図 【図6】走行伝動系の概略図 【図7】前輪変速機構およびサイドブレーキの操作系を示す概略図 【図8】制御ブロック図 【図9】一括スイッチの作動を説明する図表 【図10】別実施形態における一括スイッチの作動を説明する図表 【符号の説明】 1 トラクタ本機 2 作業装置 17 前輪 56 個別操作具 57 個別操作具 60 個別操作具 61 個別操作具 70 一括スイッチ
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ 【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
|
| 【出願日】 |
平成14年11月15日(2002.11.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2004−159620(P2004−159620A) |
| 【公開日】 |
平成16年6月10日(2004.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2002−332371(P2002−332371) |
|