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【発明の名称】 地面を、年中草が生えないように、つるつるにする装置
【発明者】 【氏名】井上 勇偉

【要約】 【課題】 畑や水田の草は、野菜や稲が少しひ弱である点を除けば、植物としての両者の習性はそう変わらない。畑などの草を防止するには、野菜などの生育にやってはいけないことを、草には積極的にやる必要がある。野菜には絶対に禁物で、草にはやるべきことは、成長した草は茎の根元を地表面直下数ミリ以内で切断する。地表に葉が出たばかりの草や地中にある茎や種を、切断、周囲の土とかきまぜることである。ただし、この際野菜の根や葉をいためないこと、除草作業はひざや腰を曲げない作業で辛労でないこと、農具は軽くて作業性がよいこと、除草の効果が保証できることである。

【解決手段】 薄い細長板の少なくとも一部の周辺に刃を持つ単位刃の複数枚を、ムカデの足のように配置し、これらを胴体に相当する細長長方形板で結合して、ムカデ状に成形した多列刃を発明して解決した。    
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部の周辺に刃を持つ単位刃と称する薄肉の細長板を、組み立て形成および一体形成によって、ムカデ状に成形してなる多列刃。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
 本発明は、雑草が生えてもらいたくない所、生えてもらっては非常に困る所を、草をはやさずに年中土の表面をつるつるにならしめる除草装置。
【背景技術】
【0002】
従来の除草は、草が適当に大きくなってからまとめて除く(本発明では
これを「草の後追い除草」と称することにする)ことが前提となっている。
従来の草の後追い除草は、十分に草の成長を待って地表面上近くで茎を草かり機や鎌で刈り取るやり方と、十分成長した草であれまだ小さな草であれ根全体から掘り取るあるいは掘り返し埋め込むやり方に大別される。
そして、後者のやり方には、状況を見て適宜耕運機で耕すといったことから、とんぐわやくわなどで根ごみ掘り取るなどいろいろなレベルがあり、ほとんどの除草がこれに属している。この場合、根ごみ掘り取るあるいは掘り返し埋め込むなどを目的としながらも、一部に途中切断で根が残って、充分に目的が達成されないのもやむなしとするものである。たとえば、三角ホーは草を土といっしょに削り取る機能が強化されている農具であるが、基本は刃の剛性と重量で土を掘る機能でもって、草を削り掘るものであり、従来の除草のやり方と同じコンセプトに基づくものである。
(2)ここには、草の習性を利用して、先手を打って草の成長を待たずに先取りしようとする戦略がみられない。
そこには、草は一本一本根から引き抜くものだという潜在意識化した常識(意識はしていないように見えるが、具体的な意思決定の基となっている常識)が、根本にあるため、土地を耕やすことが草の成長防止に有効であることや、草は極く小さいうちに根ごみ土とかき乱してしまうことが、除草に大変効果があることを体験的に知りながら、残念ながらこの事実を積極的に活用する除草法というものが研究開発されてこなかったのである。
本発明の除草法と装置により、夏の炎天下の草のない畑を前にして、かき乱されるなどして梅雨時期をすんなりと越されないようにされた草は夏草として成長できないのだということ、私達や野菜にとって厳しい夏は、同様に草にとってもきびしいのだということを、やっと気づいた次第である。
また、除草剤を散布した土地の雑草の枯れ方の不自然さを目にして思うことは、絶対に農薬や除草剤を使わないようにしなければならないということである。
石器時代の人は石の農具で草と係わっていたのだから、鉄器時代の私達が鉄の農具で草を完全にコントロールできないはずはないという信念とそれを支えるための技術を徹底的に追求すべきであると思う次第である。結果論ながら、そこをなおざりにして、化学兵器(枯葉剤という意味)まで持ち込むから、自然からお叱りを受けてやっと気がついたというのが昨今ではなかろうかという感じがするのである。
私達は雑草の強さをいやというほど知りながら、それでも、なおその葉っぱから根まで十把一絡げにして、枯らしてしまう除草剤の計り知れない破壊エネルギーを、感じとる感性が鈍ってきていることに恐ろしさを感ぜざるをえないのである。
(3)手動の農具について見れば、くわなどの立って使う農具にしろ、カッチンなどの膝を折って使う農具にしろ、草が適当に大きくなってから取ると、取った草の根には生き返るために十分な土がついている場合がほとんどである。
このような土のついた草は畑の外に捨てたり、畑のなかに深い穴を掘って埋め腐らせざるをえないことになる。
この場合、くわなど大型の農具を使った場合には、根にくっつく土の量はより多くなり、畑の外に捨てるにしても、畑のなかに穴を掘って埋めるにしても重労働の作業となる。このことは、高齢者の畑作業を困難にする大きな要因の一つとなっている。
また、除草のために掘り起こされた土によって、まだとっていない大小の草が埋められたままになるケースが多々あって、まんべんなく、すっきりした除草を困難にしている。重要なことは、このような中途半端な除草しかできない状態では、除草の有効期間(除草しなくてよい期間)は非常に短くなる。
このことが草は一本一本根から引き抜くもので、そのためには膝を折って手動の小道具を使わなければならないという潜在意識化した常識をより確固たるものにするのである。
草取り ⇒ 膝折 ⇒ 辛労 という公式が私たちの脳裏に刻み込まれているのが、なによりの証拠である。
だからといって頻繁に除草を行うわけにも行かず、ある程度の期間をおいてまとめて行わざるを得なくなる。この間に、草は野菜を覆いつくすようになり、しまいには畑を見るのもいやになって、家庭菜園の夢が挫折に至るのである。
(4)また、草刈機など動力による農機具は、完全に伸びきった草を広い範囲で刈り取るためのものであって、草の後追い作業の最たるものということができる。
しかも、草刈機のビニールの刃は地表面をなで削ることができるが、試みてみればすぐわかるように、その有効期間は1週間ともたないのである。
しかも、手間のかかる野菜の間 の除草には対応するすべもないのである。
(5)従来の農具を人間工学的な面から見ると、手動の草取り農具のほとんどが、除草の機能だけに目が向けられたもので、作業する人間の立場にはあまり配慮がなされていないものになっている。
すなわち、従来のすべての農具は、作業は腰を曲げるかあるいは膝を折るかを前提にした設計であった。腰の曲げと膝の折りは、もっとも辛労でエネルギーを消耗する作業姿勢であり、もっとも人間の不得意とするところであり、最大の人間の弱点をあえてさらけ出させることになっている。
特に、膝を折る作業で忘れてはならないことは、膝折りの作業は地面から40cmの間の作業になるというである。地表から30cm以内は虫の住家であり、そこに立ち入るのだから、蚊や蜂などから虫さされなどのしっぺ返しをうける。このことは、膝折りがあまりに辛労であるためその影に隠れて、あまり意識されてこなかったが、再認識をする必要があることである。なぜなら、膝折作業の辛労さを倍化しかねない要素であるからである。この膝折作業の辛労さの回数をできるだけ減らしたいという潜在的な願望が、従来の草の後追い除草につながっているわけである。
本来は、必要最小限の腰曲げや膝おり作業が追求さるべきなのに、それが四六時中の作業姿勢というのだから、草取りには体力的に相当の覚悟がいることになる。
仕事というものは、辛労をともなうべきもの、という考えがあるのではないかと疑わざるをえないほどである。
しかも、腰と膝は年とともに、もっとも早く弱体化するところである。高齢者の身障的様子を目にするにつけ、農作業によるしごきが、高齢時の恒常的な腰の曲がりや膝の関節炎につながるのではないか、という脅迫観念さえ抱かせかねないのである。健康維持に役立つはずだという一方で、将来の病気の原因を積み込んでいるのではないかという不安さえ付きまとうのである。
昨今注目されている有機野菜の本来の目的は、これにかかわる生産者や消費者がそれによって、まず身の回りの汚染という精神的不安から少しでも開放されて、その証として肉体的に健康になることのはずである。つまり、有機野菜によってどれだけ健康が永続的に維持できているかが最大の評価ポイントでなければならない。病気をしてから、入院をしてからでは遅いのである。
このような観点からして、有機野菜栽培を阻害する要因は一つずつ取り除いていく努力がなされなければならない。
ただ一つ救いなのは、最近では腰を曲げなくても草取りができるように、垂直の姿勢で作業をするのに、十分な長さの柄を持ち、くわの形も除草に便利なように工夫された草取り専用農具、たとえば三角ホーなどが店頭で、売られるようになった。非常に、ありがたいことである。これらには草の削り取り機能にかなりの改善が見られるものの、草の後追い除草を想定している点、つまり草が野菜にとって許容できないところまで成長した時点で、刃の剛性と重量と人の力によって根から掘り取るという点では、従来の農具のコンセプトと変わりはないのである。
ただこの場合は、従来の状況とは様子がことなる。従来の腰を曲げたり、膝を折ったりする辛労から解放されることやくわの形状の工夫によって未除去の草の土かぶりの量が非常に軽減されることから、手軽に毎回まいかいの除草を行うことができるようになった。従来の草の後追い除草からすれば、かなり改善である。
とはいえ、油断は禁物で少し気を抜くと、野菜が草に埋もれることになりかねないのは、従来の草の後追い除草と基本がおなじで、人力のウエイトが大きいからである。
(6)畑がどれだけの広さ作れるか(耕作できるか)あるいは何歳まで野菜が作れるかを決める最もおおきな要素が、どれだけの広さの畑の草の面倒が見れる(除草ができる)か、あるいは体力の消耗を少なくして、楽に除草ができるか、にかかっているといっても過言ではない。人は誰でもそれなりの広さの草を取って耕して種をまいたり、苗を植えるところまでは、いとわずにやるものである。
(7)たとえば、草の後追い戦争に敗れはしても、背に腹は替えられず、高齢などで除草もままならず、かといって茫々と草をはやして、周囲の手前虫の巣とするわけにもいかず、苦肉の果ては除草剤に頼ってしまうことになっている場合が実に多い。
安全で健康な野菜を作ってこれを食して健康な生活を送る、という本来の目的からすれば、まったくの本末転倒といわざるをえない。
(8)本来は、農業の専業者であれ、家庭菜園者であれ、自然のエネルギーを身包みいっぱいに受けるものは、もっとも健康であると考えられてきたが、意外と農業の専業者には60歳を過ぎてから、寝たきりになっている話を耳にすることが多いのである。
また、収穫したキュウリがにがくて食べられないといった話は、そう珍しいことではないのである。
【特許文献1】特開平02−138912(揺動草刈機)
【特許文献2】特開平06− 22622(フロントマウント型芝刈機)
【特許文献3】特開平07−155040(往復作動式草刈機)
【特許文献4】特開平08−154444(レシプロ刈刃)
【特許文献5】実開昭55−  5706(草刈機)
【特許文献6】実開昭61−104031(草取機における刈刃取付け機構)
【特許文献7】実開平01−167128(チエーン刈刃)
【特許文献8】実開平02−93923(往復動刃式草刈装置)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の除草作業を困難にしているものの主たる要因は草の後追い除草と人間中心に設計されていない農具の二つであり、この点が本発明が解決すべき課題である。
まず、草の後追い除草の考えを、草の先取り除草(ここでは従来の、そろそろ草取りをしないといけないなあと感じるまで、草の成長を待つのでなく、できるだけ早いうちに、大掛かりにならないうちに、除草してしまうことを意味するものとする)の考えに私たちの意識を変える必要がある。そのためには、何よりも草というもをよく観察して、その習性をよく知ることが必要になる。
草は、雑草としての強さの方が印象が強い。しかし、野菜が水や空気、施肥などの管理といった保護が必要であることを除けば、植物としての両者の習性はそう変わるものではない。
したがって、感覚的にいえば、野菜の発芽・成長のためにやってはいけないことを、草に対しては、積極的にやるようにすればよい、というより積極的にしなければならないことになる。野菜の発芽・成長にもっとも重要なこととして、茎や根を切断しないことは論外として、根が周りの土と離れないように細心の注意を払うわけだから、逆に草に対しては茎や根を切断したり、地中の茎やタネある土を極力かき回すことが必要になる。
草の先取り除草で必要なことは、従来の草の後追い除草の品質の欠陥が解消される必要がある。すなわち、取った草が生き返るために必要な土が根につかないことと、草といっしょに掘り起こされた土が、まだ除草していない草をうめないようにすることである。これを総称的にいえば、除草の品質の確保が必要ということができる。
従来の人間中心に設計されていない農具は、草の先取り除草を前提とした設計に切り替え、それを可能にするものでなければならないことはもちろんである。
そこで重要なことは、作業の辛労さの密度(作業者が感じる単位時間の辛労さを意味することとする)を極力おさえなければならない。たとえば、畑の掃除感覚でワンラウンド(満遍なく一通りという意味)除草することができて、適度の辛労さの密度に見合う以上の除草効果が実感でき、掃除後の爽快な気分を味わうことができれば、人は進んで年中ラウンドを重ねることができるのである。
すなわち、人は辛労さの密度が小さく、納得できる成果があれば、限りなく継続ができるのである。
(5)上に述べてきたことは、あくまでもマクロな観察に基づくものである。
それにしても、なぜ人は草があってほしくないところに草がないようにする、あるいはあっても、たとえば野菜の成長に悪影響をしないといった程度には、たいした辛労なしに草をコントロールできないのであろうか。簡単に言えば、なぜ人は草に負けるのか、ということである。
除草の抜本策を確立するためには、科学的に洞察を加えることが不可欠になる。
わたくしは数年間の家庭菜園で、除草剤を除けば、従来の方法でできるだけ多くのものを実施し、また他人のやり方を注意深くみて来たつもりである。しかし、残念ながらこれだ!といえる方法を見つけることはできなかった。この間の詳細な草の観察からわかったことは、私たちは草に負けるべくして負けているということであり、本来、草に負けるような自然の枠組みの中にいるということである。
それは草も野菜も共生できる自然の恵みの枠組みである。草が生えることが、野菜が育つことの指標である。ただ、少し野菜のほうがひ弱なので、これをカバーするために除草を行っているというわけである。そして、年中、常に除草をした後のすっきりした状態にしておきたいというのが、私たちがとても叶えられないと思っている願いなのである。
この枠組みをはみ出ない限り、このような人間の営みは未来永劫にわたって善循環が可能となる。したがって、私たちの除草の方法はすべからくこの枠組みの範囲を超えてはならないのである。
不幸なことに反面教師として、除草剤はこの枠組みの重要性を教えてくれる。除草剤はこの枠組みをはみ出した最たるもので、草を地中の種や生物こみ絶やすということであるから、土の生命力を抹殺することを意味する。これは野菜が享ける地球からのエネルギーの抹殺につながるものである。結果は、いうまでもなく、人は直接除草剤そのものから、また間接に食物から人体へののっぴきならない被害のしっぺ返しを受けるということになっているわけである。
草はそのほとんどが、平面的には全域に、また引き抜いた地中の茎や根の観察状況から、垂直方向には地表から50mm程度の深さの所までに、すでに成長して野菜に悪影響を及ぼしているものをはじめ、無限数の種まで、確率的に分布している草林を考えることができる。
地面を透視できたとすれば、そこは私たちが草取りをせかされる厄介な成長しきった草をはじめ、地面から葉が出たばかりのものや地中にあって柔らかい白い茎を伸ばしつつあるもの、発芽したばかりのもの、まだ種のままのものまで、さまざまな成長過程にある無数の草が、確立分布している無限の世界である。
草の根や種は、周りの土を乱されると、ものすごくエネルギーを消耗する。
草取りをした後、耕して作物を植えた畑は草が出にくいのは、種や根の深さや位置によるのではなく、まさにこのエネルギーの消耗によるのである。
(7)除草の点からして、草の成長で厄介なことは、成長速度もまた確率分布的であることである。昨日は完全に草がないことを確認した場所に、一夜にして数十ミリ程度にすっと伸びた草を発見したときは、さすがにびっくりする。通常は日に数ミリしか伸びない草だかである。
(8)あらゆる成長段階にある無数の草が乱立する草林の個々の草が、確率的な成長速度(思い思いの気まぐれとも思える速さ)をもって振舞うのだから、草林は無限の局面をもつことになる。
私たちは、草取りといって個人的にあるいは集団的に日を決めて集中的におこなっているが、無限の局面の中の一局面の見える草を相手に、除草しているにすぎないわけである。しかも、先に述べたように、それは非常に辛労である割には、不完全、不満足とならざるを得ないのである。
一つの局面の除草でさえ辛労なのだから、無限の局面に対応できるはずがない。2,3局面(もう少し)をまとめて、あるいは10局面(同じやるならもっと)をまとめてとなって、ついにはギブアップとなるのである。これが草茫々にいたるおきまりのストーリーである。
すなわち、草の展開は際限のない立体的であるのに対し、私たちの対応は見える草の部分を相手にした点的あるいはおお目に見ても線的対応にすぎないのである。これでは草に対して勝ち目の可能性すらない。
先に、私たちは草に負けるべくして負けているといったが、これがその意味するところである。
(9)このようにもともと御しがたい草であるが、共生という立場に立てば、発想の転換を図ることができる。
すなわち、作業者の方から解決が望まれる課題は、庭を掃くような感覚で、畑が除草できること。その際、曲げ腰を供あわない、まったく立ち腰で箒(ほうき)感覚の動作で辛労なく、除草ができる農具があること。農具の作業性、効率性がよく除草の品質が保証されたものであること。除草した後は、畑がつるつるなって、庭を掃いた後のような爽快な気分になれること、などである。
他方、畑についての課題は、除草によって作物の葉っぱも根も傷めないことであり、そのために除草ための土の削り代は感覚的には数ミリ程度で可能であることである。
数ミリ程度の削り代の中で、
すでに成長しきって野菜に悪影響を及ぼしている草は、地表境界面近くで切断し、残った根から芽が出るのをおくさせる。まだ、野菜に悪影響は及ぼしてはいないものの、地表に葉っぱがでているものやまだ地表にはでていないものの、発芽して茎が地中にあるもの、まだ発芽せずに種のままでいるものを、十把一絡げしてきれるものは切断し、切断片や種のついた茎、種そのものなどを土とかきまぜる。これによって、畑を耕した場合と同等かあるいはそれ以上の草の成長をおくらせることができるようになることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
除草において、腰を曲げることも膝を折る必要もなく、したがって作業の辛労を感ずることなく、除草した草に土がつくことがなく、除草の有効期間が耕作した場合とおなじかそれ以上に期待でき、しかも野菜に悪影響を及ぼさない除草の実現を可能ならしめることが、本発明の一貫するコンセプトである。このために、
少なくとも一部の周辺に刃を持つ単位刃と称する薄肉の細長板を、組み立て形成および一体形成によって、ムカデ状に成形してなる多列刃
を発明することにより解決した。
薄肉の細長板に用いる材料は、鋼鉄およびプラスチックが選択肢となる。
ムカデ状の多列刃をムカデの胴体方向に往復運動を行うことによって、周囲に刃を持ったムカデの足によって、刃線が横方向に連続的に伸びていることで、
刃巾と往復運動のストロークの作る長方形の面積内の除草ができるようになる。すなわち、これはまず面的除草の可能性を確保できたことを意味する。
しかし、草の硬さなどの状況や地面の凹凸、硬さなどによって、たとえば多列刃の押し出しで、最前列の単位刃に負担がかかりすぎて切り残したり、刃をすり抜けたりした草を、2列目、3列目...で削り取る、それでも残るものあれば多列刃の引き戻しで削り取る、さらにそれでも残るものがあれば、多列刃の押し出しと引き戻しの往復運動を繰り返して、先の面的除草を効率良く完成できることが、単位刃を複数枚並べて多列刃とした所以(ゆえん)である。少し大げさに言えば、深さ数ミリ程度であるが、深さ方向に立体性のある除草が完成するのである。
この辺の事情を数学的に言えば、ある1本の草が1つの単位刃によって削り取られる確率をαとすれば、複数名の単位刃によって削り取られる確率はαの単位刃の枚数倍となるということである。
多列刃を構成する単位刃として、薄く幅の狭い、鋼鉄製あるいはプラスチック製の細長板の少なくとも一部周辺に、刃を設けることで、1.土の湿りの如何にかかわらず、刃に土がつかなく、刃の切れ味が維持できる。2.除草の土の削りしろを数ミリ以下とすることができる。3.除草によって、畝などの土の移動が極小となり、作物の根をいためないですむ。
数ミリ以下の土の削り代の中で、
4.すでに、成長しきって野菜に悪影響を及ぼしている草は、地表境界面直下近くで切断し、残った根から芽が出をおくさせるか、そのまま腐らせる。5.まだ、野菜に悪影響は及ぼしてはいないものの、地表に葉っぱがでているものやまだ地表にはでていないものの、発芽して茎が地中にあるもの、まだ発芽せずに種のままでいるものは、十把一絡げにしてきれるものは切断し、切断片や種のついた茎や茎だけのもの、種そのものなどを土とかきまぜる。これによって、畑を耕した場合と同等かあるいはそれ以上に草の成長をおくらせることができることになる。
単位刃の複数枚を、ムカデ状に形成した多列刃とすることで、6.茅のような手ごわい除草も、各単位刃の負担を軽くしながら、地表境界面近くで切断してしまうことができるようになる。ただし、茅のような背の高い草は前もって鎌や草刈機などで短く刈り込んでおく必要がある。
すなわち、畑についての課題が解決されたことになる。
(3)7.単位刃を薄く幅の狭いものにすることによって、全体重量を1kg程度に押さえることができ、これを前後に往復をくりかしながら前進あるいは後進すればいいわけだから、作業の辛労はなくなり、農具としての多列刃の作業性、効率性がよくなり、除草の品質も保証されたものとなる。
単位刃をムカデ状に結合するための、鋼鉄製あるいはプラスチック製の細長板の端部に、柄取付け用の字具を結合し、これに取付けた柄を人が垂直に立ったまま、片手あるいは両手で、多列刃の前後方向に、手の動く範囲内のストロークで、農具を置いた位置で数回往復運動をすれば除草ができるわけだから、畑の掃除をするといった感覚であり、辛労というより、除草した後は、畑がつるつるになって、庭を掃いた後のように爽快な気分になれる。
すなわち、作業者の方から解決が望まれる課題も解決されることになる。
【発明の効果】
【0005】
概して、私たちはきちんと除草をした後で、たとえば耕運機で耕して野菜を植え付けた場合、一ヶ月位の有効期間(除草しなくてよい期間、あるいは草はあっても野菜に対する影響が無視できる期間))があるものと体験的に受けとっている。
本発明の多列刃によれば、有効期間は耕運機などによる耕し以上に期待できる。それは多列刃による除草では、まだ地中にある茎や根を切断することができ、著しく草の成長エネルギーに打撃を与えて、成長を著しく遅らせることができるからである。
変ないいかたであるが、1ヶ月後に草とりに行って草がないのに拍子抜けがするくらいである。かって、草の成長に生活のスケジュールを拘束され、草におびえていたころが、全くうそのようである。
ここにいたって、草から完全に開放され、草を完全にコントロールできたという実感を持つことができるようになったのである。これほどの厄介な雑草がコントロールできたのだから、ほかのことでも必ずやり通せるという自信を持つことができるようになったことも、見逃すことのできない効果である。
今も昔も、農業者の仲間で、畑の草で必ずといっていいほど話題になるのは、スギナの厄介さであるが、多列刃による草の先取りの実行によって、今では畑の境界である生垣の下にたまに姿を見るだけである。数年前に家庭菜園をはじめたころは、畑に生えてくるスギナやヨモギをみて、どうしたものかと頭を悩ましたことをかすかに思い出すと、今昔の感を禁じえないのである。ヨモギは畑の境界の外から、茎と葉が顔をだす程度である。
今にして、印象的に思うことは、スギナもヨモギも茎は特に柔らかく、どんな低級な刃がねでも簡単に削りきることができる。この柔軟さが生命力の旺盛さと裏表の関係になっていて、この削りきりによって間接的に生命力の旺盛さを削ぐことになっているのではないかと思う次第である。この辺に、後述のミズカヤツリなどの地下茎の草の攻略のヒントがあるのではないかと思う次第である。
ところで、最近草ぼうぼうになりかけた私の隣接の玉ねぎ畑(約2坪)を見るに見かねて、持ち主の了解を得て、多列刃によって除草をおこなった。玉ねぎ苗の間を多列刃がスムーズに通る間隔がある列間では、数日おきに3回多列刃を通すことによって、後は1ヶ月以上いわゆる草のない状態でしかも、ローラをかけた後のような状態となった。
それ以前は、試行錯誤の末、多列刃による草の先取りの実行によって、自分なりに草なし畑を実現していたが、それは試行錯誤の悪戦苦闘による特別の状態、たとえば草のタネが非常に少ない状態になっているなどによるのであろうと思っていたから、このときはさすがに驚かざるを得なかった。
こういうことがあって、これまでのマクロな観察や感じではなく、少し定量的に草を観察する必要があることを痛感したわけである。
観察計画をするに際して参考にしたことは、人間の脊髄損傷と再生の問題のモデルはクリスマスツリーによってイメージされる、ということである。
すなわち、クリスマスツリーを逆さまにすれば、根が頭に、幹が脊髄に、根と幹の接点の地表面は首に相当するものとしてイメージすることができるというわけである。
脊髄の損傷個所が頭より遠ければ遠いほど、損傷個所以降の脊髄に支配される神経の範囲も少ないので、神経が麻痺するダメージの範囲もすくなる。このことがクリスマスツリーで類似できるので、脊髄の再生問題がクリスマスツリーでイメージできるというわけある。
さて、削った草が再び伸びてくる問題は、草の再生の問題であることには違いないので、クリスマスツリーの再生問題をイメージしながら、観察計画をたて実行することとしたわけである。
観測の目的は、第一に先の玉ねぎ畑が多列刃を最初に摺動除草をしてから2週間足らずの間に、合計で3回摺動除草しただけでその後1ヶ月以上もの間、いわゆる草のない状態になった理由を知ることである。
第二には個人的には1ヶ月1回の多列刃の使用で草なし畑を実現していることを普遍化するためのヒントを得ることである。
第三には、願がわくばこれまでの家庭菜園の体験から得た仮説とも言うべき知見、すなわちいかなる草にも旬というものがあって、旬をはずせば草の種や根は完全に成長をやめるか、あるいは腐れるかのいずれかである、ということを検証できないか、少なくともそのきっかけだけでも掴むことである。
先に述べたように、地下茎の植物で、繁殖力旺盛なスギナやヨモギさえも、その葉、茎の柔らかさを逆用して、畑から追い出すことができたことに勇気付けられて、この観測には、最も厄介な草の一つであるミズカヤツリも地下茎であり葉、茎が非常に柔らかいことを逆用すれば、畑から追い出すことができるのではないかという期待がある。
観察の季節は草の成長に最も適した時期と考えられる雨季を中心に、4月から8月に至る5ヶ月間、観察場所は予備観測を自宅の周辺の砂置き場で、本観測を畑で行った。また。観測に選んだ草の種類は、最も厄介な草の一つであるミズガヤツリと私個人として比較的制御がしやすいと感じているヒメジオン、ヒメシバ、エノコログサ、イボグサ、ひよこ草、さらに通常は花や野菜とされているが、成長すると雑草に劣らないくらい畑を荒らすケイトウとシソである。
これらの草は、いずれも観察しやすいようにすべて、先に述べたように人間でいえば致命的な首に相当する地表面ぎりぎりのところで、鋏により切断した。以下、これを切断モデルと称することにする。なお、多列刃による除草は地表面下2,3mmまでのところで切断することになるから、切断モデルの観測結果を評価する上では厳しい側、すなわち安全側のデータとなるものと考えられる。
また、雨季は草にとっては最高の季節であるから、観察データは年間を通して、安全がわに適用できるものと思われる。しかし、他の季節に適用する場合には逆に安全側過ぎないように注意も必要である。すなわち、必要以上の過剰作業とならないように注意をしなければならないということである。
まず、草の予備観測は、4月自宅の周辺の砂置き場で行ったものである。観測結果は、次のとおりである。
4月某日にイボグサ3本を地表面ぎりぎりのところで切断した。1本だけは1週間以内に発芽して草として再生したが、残りの2本は再生せず切り口は跡形もなくなった。単純に発芽率は1/3である。
また、日を違えて4月某日にイボグサ2本を地表面ぎりぎりのところで切断した。1本は再生したが、残りの1本は再生せず切り口は跡形もなくなった。単純に発芽率は1/2である。
上記と同じ場所で、2本のひよこ草を同じように切断して観察をしたが、2本とも発芽しなかった。単純に発芽率はゼロである。
これから、大胆に再生率は危険側に0〜安全側に1/3と想定してみることとした。
先のような予備観測から、観測の第一の目的である、草ぼうぼう症候群の玉ねぎ畑が2週間足らずの間に合計で3回刃を通すだけで、その後1ヶ月以上もの間、いわゆる草のない状態になった理由を、大胆に次のように推測してみた。すなわち、
1. 通常、地表から深さ50mmの間に十分に成長した草の根から、地表に顔を出さんとする症候群、すなわち茎の状態にある草の根やタネが、分布している。このような状態で
2.多列刃で数ミリ深さ削る。
3.この時、削った草の根やタネはたまたますべて、通常主にタネが分布していると考えられる50mmの1/3の深さまでの領域(領域Iと称することにする)にあったものと仮定する。
なお、後述の便宜のために、先の50mmの中間1/3領域を領域II、最深部の1/3領域を領域IIIと称することにする。
4.上記切断した草の再生率を大胆に、危険側に0%として、領域Iからは当面1ヶ月間、除草が必要になるような草は出てこないものとする。
5.次に、数日後に領域IIから、草が出てきて先の領域Iと同様に成長した状態となるが、多列刃による除草を行うことにより、上記と同様の理由で、当面1ヶ月間領域IIの草はなくなるものとする。
6.同様にして、当面1ヶ月間領域IIIの草はなくなるものとする。
7.以上の手順によって、3回の多列刃による除草で、当面1ヶ月間この場所の草がなくなることになる。
以上が予備観測から得られた大雑把なデータから、先の玉ねぎ畑の草なし理由を強引に推測した道筋である。
次は、畑における本観測である。畑は先の1ヶ月以上いわゆる草のない状態となった玉ねぎ畑とそれに隣接した私個人の自称草なし畑の2ヶ所である。
表1、表2に観測結果を示す。
【0006】
【表1】


【0007】
【表2】


表1は同日に切断をはじめた、ヒメジオン〜ミズカヤツリの観測の経過からミズカヤツリ以外は、これからも発芽の可能性はまずないと、判断し観測を中止した最初の切断から29日までを、
表2は、またその次の日から、最初の切断から63日までの観測記録を記載したものである。なお、ケイトウとシソについても、最初に切断をした後、16日間観測を行ったが、発芽することはなかった。
表1より、観測の対象としたミズカヤツリを除けば、ヒメジオン、ヒメシバなどは、一回の切断でそれ自身は再生できない草であるといえる。
表2からは、ミズカヤツリと言えども、切断を執拗に繰り返せば再生しないものが増えてくる。また、観測結果のようにすべてが発芽しなくなることもあり得ることを示している。
ミズカヤツリのように、日に1cm位伸びる草とわかっていても、3日、5日ごとに切断を繰り返していくことは、観測とか何かの目的でもない限り、現実には不可能である。しかし、削る回数を増やせば増やすほど、草に与えるダメージが大きいことや草の数が減ることは有っても、増えることはないこと、万が一にも草が全滅する可能性すらあること、それを可能ならしめる作業が多列刃によって庭掃除感覚で実行できることが、明らかになったことは実に大きな意味があるのである。
なぜなら、たとえ健康とか何か外乱があっても、草ぼうぼうのお決まりのストーリーを避けるために、なけなしのエネルギーを投入すべき頑張りどころを前もって知ることができるからである。
ミズカヤツリの成長は、あまり天気には関係なく大略1日当たり0.5〜1cmである。ただし、観測で記録した天気というのは、天気予報的なメッシュのもので、たとえば晴れと記録した日でも夕方2時間も豪雨となることもあって、必ずしも土中の水分と相関しているとはいえない。あくまでも、平均的な目安である。
以上のようなわずかな個数と条件のデータからは、とても削られた草の再生について一般的に言及することはできないが、少なくとも草には発芽・再生に強いものから、1回の切断で駄目になるものまで、いろいろであることは確かである。
先の数日おきに合計で3回多列刃を通すことによって、後は1ヶ月以上いわゆる草のない状態となった畑は、観測を契機にはじめて気づいたことであるが、厄介なミズガヤツリは観測に貴重なほどの数本しかなかった。ヒメシバや、エノコログサなどが主な草であった。
これが幸いして、わずか3回の多列刃を通すだけで、1ヶ月以上いわゆる草のない状態にできたわけである。
上述のごとく、観測目的の第一である、玉ねぎ畑の草なしの理由がほぼ明らかになったということができる。
参考までに、先の予備観測からの玉ねぎ畑の草なし理由の強引な推測において、最初の除草で対象となった草が実際にあった領域を観念的ではあるが、これを領域Iとし、同様に2回目、3回目の除草で対象となった草の所属する領域を領域II、領域IIIと考え、さらに畑の観測データ(表3、表4参照)やたまたまミズガヤツリが極少であったことを考え合わせると、先の強引な推測もあたらずとも遠からずのように思われる。今後、実証のために、適切な観測方法でデータを得て行きたいものである。
先の玉ねぎ畑の草なし状態の実現は、私たちにもっと大きな示唆を与えてくれる。すなわち、従来、草は根からとらなければ直ぐ発芽して大きくなるため除草の効果が薄いということは、常識中の常識として無条件に一律に思い込まれていることであり、これを実行している姿は家庭菜園でも再三目にするところである。
先の畑の草なしは、この常識が実際はまさしくそのとおりの場合もあるし、ぜんぜん該当しない場合などさまざまなケースがあることを示しているのである。上記実例の場合のように、まさしく常識とおりでない場合の方が実際はずっと多いのである。
しかし、通常はこの常識から抜け出せずに、草を一本一本引き抜くことを前提にして、除草までの時間を最長限に稼ぐことと、除草時の茎や根の頑丈さや草の多さによる辛労を天秤にかけながら、いつ除草の決心をするかに気を揉んでいるわけである。
問題は野菜などのための田畑の除草の目的から、根から完全に掘り取る作業が適正な作業であるかどうかである。すなわち、必要以上の過剰作業になっていないかということである。
常識にしたがって、草が激減することを期待して重労働をおして、根からとったはずなのに、実際は草との格闘を繰り返し続けることが現状だからである。
草がはびこる ⇔ 根から完全に掘り取る、という簡単な構図であるが、人間の莫大な体力の消耗戦なのである。その証拠に、健康とか何か、ちょっと外乱があれば、畑はたちまちにして草ぼうぼうに一変するのである。
常識通りには行かないために、重労働を重ねることを強いられながら、常識の当否を問わないのは、なんとも不思議といわざるをえない。常識が草の先取り除草のあらゆる可能性をアプローチすることを、放棄させてしまっている、このことが最大の問題なのである。
恐らく、除草というのは本来非常にアバウトな作業であって、草の根を完全に取り除くといった芸当は所詮できることではない。また、まだ地中にあって地表に顔を出さんとする無数の症候群に対しては手の施しようがないことを暗黙のうちに了解しているからであろう。なによりも、少しでも除草効果をあげようとする努力の現われと好意的にみるべきかもしれない。
すなわち、草は根からとらなければ除草の意味がないという常識は、本来実行するにも中途半端であり、したがって除草の成果も大概の中途半端が関の山なのである。
それならば、中途半端さを積極的に逆用して、地表面で切断されても、ものともしないような、たとえばミズガヤツリなどには徹底的に切断を繰り返すか、根から掘り取る一方、鋼鉄の刃に恐れをなすように見える、たとえばヒメシバなどには1ヶ月に1辺の切断でまかなうようにできないかというのが一つの見識である。
実際、本発明の多列刃によって、草の先取り除草のサイクルを実行すれば、1ヶ月に1辺の切断でまかなうことは直ぐに実現されることなのである。
これまで観測した結果では、ミズガヤツリといえどもたゆまない切断の繰り返しによって、あだかも冬眠ならぬ夏眠に入ったかのように、ある時期から発芽しなくなるものがでてきて、草の数が著しく減少する可能性も期待できるのである(表2参照)。
ミズガヤツリ自体は実に柔らかく、切断するに何の抵抗もない草であり、さしたる労力を要しないから、切断の執拗な繰り返しの成果、たとえば根が腐れるといったことが確実に期待できれば、私たちは切断のマラソンさえもいとわず実行できるのである。
あるいは、またたとえばミズガヤツリがコントロールしがたい特別の草であることが確認できれば、私たちは根まで掘り取ってしまう一度だけの重労働もいとわずに実行することができるのである。
ようするに、たとえば1ヶ月1回の多列刃による庭掃除感覚の除草で、畑の草をなくすることができれば、そのためにいろいろな資材や時間といったエネルギーを投入することは、いとわないということである。エネルギーの投入成果の見通しがなによりもまして、重要なのである。
上述のように、畑の観測からその第二の目的である、1ヶ月1回の多列刃の使用で、草なし畑の実現を普遍化するためのヒントを得るということについては、個々の草の切断に対する再生の特性、あるいはもっと広く有機農法的な観点から草の習性を把握していくことによって、展望が開けるという確信を持つことができた。
従来、雑草についての相当の知見を、公刊された書籍で見ることができるが、残念ながら 草の習性 ⇒ 有効な除草剤の選定 という構成になっていて、有機農法には利用の仕様がないのである。
畑の観測からその第三の目的である、いかなる草に旬というものがあって、旬をはずせば草のタネや根は完全に成長をやめるか、腐れるかのいずれかである、という知見の検証はできなかった。もちろん、参考になるデータらしきものも掴むこともできなかった。観測結果を見ながら、草の旬とは何かと、問い直さざるをえなかった。
旬というのは極めて親しみやすく分かりやすいことから、このような知見で草の習性が把握できれば、草のコントロールが非常にでき易くなると期待されるのである。
そこで、旬というものを、便宜上草の勢い盛んなる今の状態、ということにすれば、切断は勢いを致命的に削ぐものであるから、多列刃による削りによって草は旬をはずすことになり、その結果発芽できなくなるという筋書きができる。先の知見が一応文字通り生きたことになるのである。
次は、水田の除草における多列刃の有用性について述べる。水田は一般に田畑といわれるもののなかで、最も管理の行き届いたものの一つである。草の先取り除草の善循環の格好の見本が、ここにはあるのである。ここでは、硬い大きな草は基本的には認知されないと言って良い。これは、水田が本発明の多列刃が最も効率よく活躍できる場所の一つであることを意味する。
具体的な効果を示すデータは3例しかないが、まず1例目は、田植え10日後、比較のために多列刃と通常のエンジン付き除草機で区域を別にして除草をおこなったが、多列刃で除草したところは16日以上次の除草を必要としない結果となった。16日以降は合鴨(あいがも)が入田されたために、草のフォローができなくなったのである。この間、除草機の個所は1回の除草が必要になり実行された。
なお、多列刃で除草した区域は株間2列で長さ約50mである。地表面が出ているところから、張り水の最大推進約10cmのところまでと多様であった。
水田は、棚田であり、水持ちは良くはないが、毎日朝十分に水田に入水して、一日中水が絶えないように水の管理がおこなわれた。
2例目は、用水路の水温が13℃と低く、日数の半分以上水のない状態に管理されている水田の除草である。
比較のために多列刃と通常の手動の除草機で行う区域を別にして除草をおこなうこととした。
多列刃は、田植え15日後1回目の縦方向の除草(以下、縦除草と略記)を行い、さらに7日後1回目の横方向の除草(以下、横除草と略記)を行なった。
縦除草・横除草では全体的に水はなく、用水の入り口よりも一番遠いところ辺では干割れが入った粘土状であった。
1回目の横除草後、16日で再度除草が必要になったが、天候などの都合で、3日後つまり1回目の横除草後19日後に2回目の横除草をおこなった。横除草直前の草の状況は、稲株と畔の間を除けば、ほとんどがスギナで大きいものは30cm以上のものがあった。水と土の状態は、この時も1回目の縦除草・横除草とほぼ同様で、水はなかった。
2回目の横除草の後、13日で草の点検を行ったが、若干のスギナはあるものの、除草の必要はなかった。しかし、今回の点検が一応最後とすので、念のため部分的に縦・横除草を行った。
なお、今回の目的は、先の多列刃の区域の草の点検とともに、水を十分に張ったときに、多列刃による除草が設計のイメージどおり水遊びの感覚でできることを、確認することであった。実施は、水が張りやすいことから、これまで手動の除草機で除草されてきた区域(約30坪)で行った。
草は横列の株間を主にして、大きいもので30cm位から小さいものまで、関心するくらいにたっぷりとあった。水と土の状態は、直前に1時間集中豪雨が降ったにもかかわらず、水のあるところで水深は1.5〜2.5cmであった。これは水田が棚田であるため、水持ちが良くないためである。地面には凸凹があるから、感じとしては40%くらいは地面が出ていたのではないかと思われた。
このような状況で、多列刃は土の中に沈みすぎることなく、予想とおり除草を行うことができた。しかし、このような水と土、草の状態では、水遊びの感覚で除草というわけにはいかなかった。
1回目の横除草を行ってから、草の観測を終了するまで、32日が経過したが、この間に1回の横除草が必要であった。しかし、これは主にスギナの除草のためであった。スギナは本来、畑の草であるから、水が張られていれば存在し得なかった草である。このように、水田の草を防ぐには水を張る管理が重要なのである。
先の水田で水が張られておれば、32日の間、あるいはそれ以上の期間、1回目の横除草は有効であったのではないかと期待されるのである。
このようなわけで、水を十分に張ったときに、多列刃による除草が設計イメージどおり水遊びの感覚でできることを、確認することはできず、宿題を残すこととなった。
3例目は、実際の水田除草の様子や問題点をまえもって知るために、一時的に家庭菜園の畑に設けたパイロット水田についてである。
パイロット水田は、先の1例目と2例目のように実際の水田で多列刃を使って除草をする前に、多列刃の水と土とのかかわり具合や多列刃の水田の除草具合をイメージしておくこと、問題があった場合に解決のための検討をおこなうなどのためである。
1回目の除草から、現在60日を経過したが、刃が通せない稲株と畔の間にコナギが数本姿を見せただけで、刃を通したところの草は皆無であった。菜園の指導者いわく、それは畑をにわか仕込みした水田には水草のタネがないし、畑の草は水があれば生えることはできないからだと。
それにしても、水草は完全にゼロではなかろうと思われるが、この3例目の除草効果のデータはそのまま受け入れるわけにはいかないと考えた方がよさそうである。なお、3例目において特記すべきことは、先の2例目において宿題として残った、多列刃が浮くために必要な水があれば、水遊び感覚で除草ができることの確認ということについて、水遊び感覚で除草ができるための、少なくとも一つの条件を知ることができたことである。
それは、多列刃が完全に浮いて、しかも単位刃の下面より下に1cm位の水があることである。多列刃を押し出すとき、柄に働くスラストによって単位刃は土に押し入るようにして削り、押しこみを中止すると同時に浮き上がってくる。
次に、多列刃を引き込む時には、若干柄を下げれば単位刃は地面に刃先を立てるようになるから、単位刃は土に引き入るようにして削ることができるのである。
先に述べたように、本発明の多列刃は1kg以下と軽く、長柄によって腰を曲げずに立ったままで、片手で往復運動ができ、除草ができる。辛労を感じるまえに、草取りは終わってしまうというのが実感なのである。
では、どの程度の作業能率と辛労さで除草ができるのかを、感じ取れる具体的な事例を示すことにする。
まず、多列長方形型刃によって、畑の極く地表だけを削りならす所要時間はざっと次のように試算することができる。例として、多列長方形型刃の幅を20cm、往復運動のストロークを45cm(試算の便利上一坪の一辺の1/4としたもの)とする。一坪(180cm X 180cm)は、対進行横方向に180÷20=9、同様に進行方向に、180÷45=4となり、多角形刃の往復運動のストローク開始終了位置を、幅方向に9回、進行方向に4回移動すれば、完全に1坪全面を1回、往復運動でカバーできるから、結局9 X 4=36で、36回の往復運動の位置変えが必要になる。
1つの刃の位置で45cmのストロークの1往復に要する時間を2秒(多列刃の位置替えも含むものとする)とすると、36×2=72で、72秒で45cmのストロークの往復運動で1坪を一通り削りとることができることになる。
実際には、畑の場合は一つの刃の位置で2〜3回は往復運動を繰り返すから、
3回繰り返すとすれば72×3=216秒=3.6分となる。
賃貸しの家庭菜園では、普通10〜20坪であるから、ちなみに20坪とすれば3.6×20=72で、結局72分、つまり1時間12分で20坪の畑の除草が完了する。
なお、水田の場合は前進行きのみあるいは1往復で間に合うこともあるから、仮にI往復とすれば、72/3=24で、24分、結局20坪の水田は24分〜1時間12分で除草が完了することになるわけである。両極端の所要時間の差は48分と大きい。これこそが草の先取り除草と草の後追い除草の差を示す格好の事例とみなすことができる。72/24=3で、1/3の時間、すなわち1/3の負荷で、あと2回分をやるだけの余裕をもって除草を完了することができるようになる。これこそが、草の先取り除草の真骨頂なのである。
さて、畑の話にもどすと、草の先取り除草が実行されていれば、20坪の畑は
1時間12分で除草が完了する。
この場合に除草者の辛労さは、次のように定量化することができる。刃と土との摩擦の状態が類似していると思われる、柔軟な砂質道路の場合、摩擦係数の最大値は0.6〜0.7と文献に示されているので、仮に0.7とすれば、多列刃の重量を1kgとして、1000x0.7=700で、結局700gの水平力をかけて、45cmのストロークを1秒間で動かすことが最大の作業密度である。なお、700gの水平力をかけて、45cmのストロークを1秒間で動かすということをシミュレートするには、正味の入った牛乳ビンは一本400gあるから、2本の牛乳ビンをたとえばレジ袋に手下げて、大き目の歩幅の姿勢を保ったまま、1秒間で、いーち、次の1秒間で、にー と牛乳がゆれないように、手提げ位置を45cm前後して、往復運動を繰り返すことでほぼ実感できる。
さて、1往復は45x2=90で、90cm、20坪は1通りの36往復で1当たりできるから、90x36=3240で、3240cm=32.4mの行程で1当たり削ることができる。
刃の往復運動を同じ場所で3回繰り返すとすれば、32.4x3=97.2で、
結局、全行程97.2mを45cmのストロークで、位置をかえながら700gの水平力でピストン作業を1時間12分行うことになる。
そして、草の先取り除草が循環している畑では、除草の有効期間は30日あるわけだから、最も極端な場合30日間に、小分けにして毎日72/30=2.4分間行うとすれば、たとえば最初に除草したところは31日目に2.4分間除草することで、草なしの状態が長く循環可能となるのである。
先の試算からわかるように、体力にあった小分けの作業にすることによって、普通に年中草なし畑を実現することができるのである。
一方、草の後追い除草の畑であって、草ぼうぼうの状態だとすれば、直ぐに数倍あるいは一桁倍の時間と労力が必要になる。必要になるばかりか、時間と体力を消耗し尽くすのである。
同じ小分けにするにしても、草の先取り除草では、個々の除草を喜びをもって実行でき、余裕と楽しみと計画性をもって終えることができる。これが、多列刃がリハビリなどのセラピーにも有用であると考えることができる根拠である。
一方、草の後追い除草では体力を使い果たして、当面の辛労さ以外、後のことを考える余裕どこではないのである。このように、草の後追い除草はいずれの面からしても、割の合わない除草法なのである。
そもそも、先述のごとく、旬ということを勢い盛んな状態とすることにすれば、草が芽を出して成長するには、それぞれ一本一本の草に旬なる時期があって、その時期をはずすと草は著しく成長力をなくすか、種ならば発芽しなくなると考えることができる。勢い盛んな時期の草は切ってもきっても、次から次と茎や葉っぱが出てきて、一見手におえないように思われる、いやその一部、たとえばミズカヤツリは実際そうであるが、しかし大部分のものは、昨日は地中に確率的に分布して地上に顔を出す草の症候群であったものが、確率的な成長速度でもって、今日たまたま私達の前に、すっと姿を見せているにすぎないのである。
そこで、まとめて身構えて一度にと云ったような草の後追いの考え方でなく、草の先取りの考え方で、適宜野菜の間の地表を多列刃でさすってやれば、その都度地表はつるつるになって、よく整備されたテニスコートにも匹敵するような状態にすることができる。この際に、多列刃によって、切断されたり乱されたりして、草や草の種の成長力は壊滅状態になる。
さて、壊滅状態にすることを適宜繰り返すうちに、それぞれの草が成長の旬を過ぎることになるばかりか、発芽のチャンスを失った種は自ら腐らざるを得なくなる。このような草の先取りの善循環を繰り返すうちに、畑固有の草の種はなくなり、わずかに外から風で運ばれてくる種の草だけになる。
このようにして、一本の草がもない庭や身構え、覚悟して草取りにいって草のなさに拍子抜けがしたり、近距離の畑であれば探さないと草が見つからないような状態にできることは、先に述べたとおりである。
最後に、本発明の効果は、次のようにまとめることができる。
畑や水田の草を多列刃による草の先取り除草によって、完全にコントロ
ールすることができるようになった。
家庭菜園をはじめ、野菜栽培、稲作など除草という作業無しには成立しないといっても過言ではない。従来、春先、梅雨時、猛暑の夏など、草が伸びているだろうなと思って恐る恐る畑に行くと、思った以上に草がまさに意気盛んで作物を圧倒している光景に、一瞬のけぞるようになったものである。
また、草取りの時期を無視して、家をしばらく空けるといったこともできなかった。草茫々となるのが目に見えていて、後が怖いからである。本発明の効果を端的に云えば、年中季節を問わず、意識の上でもまた実際の作業からも、雑草のプレッシャーから完全に開放されることである。
従来の草の後追いの意識を、草の先取りの意識に切り替えれば、本発明の除草の方法と装置は、除草作業の辛労さから私達を開放してくれて、畑を多列刃でなでるという、いわば畑を箒で掃くような感覚の作業に変えさせてくれる。
畑を箒で掃く、といったような感覚の作業は小回りのきく作業であるから、作物の成長状態や天候、季節、土の柔らかさに影響されることなく、いつでも自分の好きなときに行うことができ、しかも除草の品質(有効期間)は草をきちんと取った後で、耕運機で耕した畑にまさるとも劣らないくらいに保証される。強いて難をいえば、水を含んだ柔らかい土の場合、土と多列刃の摩擦係数が大きくなり、往復運動に要する力が、土との摩擦が大きくなる分増すことである。
本発明の除草法と装置の本当のねらいは、まず第一は畑固有の草の種をなくして、草を生えないようにすることである。このとき、主として畔から畑に侵入しようと草の除草だけをやればすむことになる。この際、草の先取り除草を実行すれば、楽に目的を達することができるようになる。
 第二は草がない、あるいは草が少ない畑では、私達のほとんどのエネルギーを、草や虫との共生、すなわち虫と人間の食べ分けなどを前提にして、有機野菜を如何にうまく栽培するかというテーマに集中できる。たとえば、常識とされている野菜の成長のために草も必要なんだよ、といった草の寄与の本当の所はどうなのか、あるいはブロッコリーに青カエルが一匹住み着けば、青虫から1本のブロッコリーを守ることができたように、ナスの夏の収穫を駄目にする天道虫の天敵となるものを探すといったことである。
農業の除草や栽培に関するノウハウは、地域単位や個人単位で蓄積されているものが多く、情報の収集には特に時間を必要とするのである。
人は店で、売りにだされた野菜を絶えず見ていて、あるとき野菜の苗や種を見て、家庭菜園に夢を膨らませる。草ぼうぼうの荒地を耕し、きれいに整地し苗を植え付けるところまでは、家庭菜園を志す人ならば例外なく行うものである。それから収穫まで数ヶ月から半年を越える長丁場となるわけである。
そして、現実には、植付けと収穫の間に雑草と猛暑という高い壁があって、この壁に阻まれて家庭菜園の夢を破られているのである。
今、人が本当に求めているのは、安い中国の野菜ではなく、安全性が確信できる日本の野菜で健康になることである。その突破口にあるのが、家庭菜園のはずだがそれにしても、あっちを見ても、こっちを見ても草茫々の家庭菜園の区画や果樹園がいかに多いことか。その原因と対策がわかるから、余計に惜しまれる。この発明がこれらの突破口に役立つことを切に願う次第である。
一坪の畑があれば、季節毎の植付け野菜の種類の循環と野菜の背丈の高低の組み合わせによって、一家4人の野菜が自給できるとさえ言われている。
一坪とは云わないまでも、本発明の除草法と装置は、家庭菜園の夢の実現はもちろんのこと、土地が広くて除草剤かさもなくば草茫々とする以外、手の施しようがない専業者のニーズにも、エンジンによる駆動装置の導入によって、十二分に答えうるものなのである。
畑や水田などの雑草を完全にコントロールすることができるようになっ
たが、大切なことは雑草をコントロールするのは人であって、道具はただそれを手助けするに過ぎないということである。人はきれいに草をとって作物を作付けした畑では、1ヶ月位は草をとらなくてすむことや、小さければ小さいうちにかき乱すほど、すなわち草の先取り除草をすれば、草は御しやすいことを経験的に知っている。しかし、現状は小さい草のかき乱しによる草の制御が活用されていない。
小さい草をかき乱して、草が作物に害を及ぼさないように、草を制御するためには、感覚的に従来の草の除草たとえば三角ホーなどによる除草の10分の1、すなわち1桁少ない労力でやれないといけないのである。
草を制御するのは人であるが、可能ならしめるものは人の中の意欲と体力すなわち健康である。意欲と健康が両輪となって機能するとき、草なしの畑や水田が実現されるのである。
人の健康は日々波のように変化する。波底は誰にでも日常茶飯事のごとくやってくる。このとき、意欲さえあれば、そして軽微な労力で除草ができれば、セラピー(物理療法)をかねて、草の制御が可能とさえなるのである。
また、意欲はあっても軽微な労働にもたえられない場合もあるであろう。そのときは、草はある程度は大きくなるかもしれないが、従来の草の後追いような状態にはまずはならない。1ヶ月1回の多列刃の摺動で草の管理ができる素地ができているからである。
あるいは、従来のような成長しきった草いっぱいの畑になるかもしれない。しかし、今度は今までとはちょっと違うのである。強力な対策が準備されているのである。茎を鎌や草刈機などで短く切って、V字型多列刃などが草の間に挿入しやすいようにしておけば、後は容易に草の根と茎を地表面直下数ミリ以内のところで切り離すことができるのである。
この場合、草の先取り除草よりも、2倍あるいは数倍の時間と辛労になるかもしれない。しかし、それによって、草なし畑の善循環の再スタートが切れるのである。
このように、先取り除草の意欲さえあれば、健康の好不調に臨機応変に対応できて、たとえば家庭菜園の夢がやぶれることがなくなるのである。
これこそが本発明の多列刃の真骨頂なのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の多列刃を構成する単位刃の形状は、長方形型を基本とするが、V字型および三日月型、凹レンズ型、凸レンズ型、ひし形型も選択肢である。
また、これらの単位刃を多列刃に成形する場合、単位刃の上面より細長い板を宛がってボルトなどによる締め付けによって、ムカデ状に成形する組み立て多列刃と同一材料の板から切りぬいて、単位刃をムカデ状に、一体平ものとして成形する一体多列刃がある。
これらの単位刃によって成形された多列刃は、草の切断機能に多様性を持たせることができる。
たとえば、まばらに生えた草には単位刃の間隔の狭いところが一網打尽に削りきるのに有効であり、また芝のような密生した草には逆に間隔が広い複数枚の刃で、往復運動を繰り返すことで、地面に張り巡らされた茎をもみ切りしながら、地表面直下で茎や根を切りはがすことができるのである。
単位刃の周の少なくとも一部に設ける刃は、1.単位刃の上面のみに刃の斜面を持ち、その斜面と単位刃の下面との交線が刃線(刃先を連ねた線)となる場合および2.単位刃の下面のみに刃の斜面を持ち、その斜面と単位刃の上面との交線が刃線となる場合、3.単位刃の上面と下面に刃の斜面を持ち、この2つの斜面の交線が刃線となる場合の3つのケースがある。
多列刃は土の削り代を数ミリ以下の感覚で、削れることが本発明の重要なコンセプトであるから、理論的には上記1.の単位刃はその上面に刃の斜面がある場合がもっとも理にかなっていることになる。しかし、薄板の場合には上記2.,3.の場合も、地面のうす削り機能に著しい差異はなく、加工の自由度が増す点で有用な選択肢となる。
実際の加工においても、たとえば1.の場合に単位刃の上面から刃の斜面を削っていくとき、大概下面との交線でばりが生じるので、これを除くために下面から戻し削りを行うが、このとき強めに戻すと、上面と下面に斜面をもつ傾向の刃となる。
市販の鎌や小型農具、三角ホーなどには、上記1.2.3.のケースがあり、一方金きり鋸などの硬い材料に刃立てをするには、上面と下面からの加工が効率的であるから、これらを改良・流用する場合には、先の3つのケースが選択肢になるのである。
単位刃に用いる鋼鉄材は、通常のくわに使用されている焼き入れ鉄やSC鋼、刃がね用のゲージ鋼、ばね鋼、タングステン鋼などが選択肢となり、多列刃の使用場所や対象とする草の種類や大きさ、製作コストなどによって選定されることになる。
また、単位刃に用いるプラスチックは、通常のプラスチックや強化プラスチックが対象となる。プラスチックは砂張りの庭の除草には十分有効であり、水田の草取りや砂混じりの比較的柔らかい土の畑や庭などで、十分に実用に供しうるものである。コストが安いことと、重量が軽いことがなによりのメリットである。
プラスチックや強化プラスチックなら、日曜大工のレベルで扱えるので、試作機の前段階の検討としても、有効に活用できる。
特に、水田では田植え時は通常15〜30cm位は人の足が自重で入り込むくらいに柔らかい。しかも、水田では草の成長を遅らせるために、稲の成育に支障がない限り、常に水がはられていて、土が柔らかい状態が保たれる。水田の除草は草が大きくならない数センチ以下の状態で行われる。水田の草には、根がついていようがいまいが、水に浮いたままであれば光合成を行うことができず、早晩腐れてしまう。したがって、水田の草取り用の単位刃に必要な機能は、浅い根の草を表面の泥をかき回して根ごみうかせることができれば十分である。また、単位刃を組み込んだ多列刃ができるだけ軽いことである。
これが通常のプラスチックや強化プラスチックであれば、多列刃は浮きがなくても泥に沈みこむこともなく、十分に間に合うという意味である。
組み立て多列刃の場合、配列した単位刃の上面に宛がう細長長方形板は、鋼鉄製およびプラスチック製が対象となる。この場合、鋼鉄製は軟鋼で十分であり、プラスチック製は所要の剛性と耐久性あるのであれば用いることができる。
この細長長方形板の一方の端部に、治具を介して取りつけた柄を、人は腰の位置でもって、垂直に立ったまま、片手あるいは両手で、細長長方形板の長手方向に、手の動く範囲内のストロークで、多列刃を同じ場所で数回往復運動を行なえば、通常の草なら地表面直下で間単に切断できることになるのである。
この手順で、草のある場所をポイントにするものの、それにはこらわらず、表面を総なめしていけば、地表面は草のないつるつるとなり、草にとっては壊滅状態とすることができるのである。
【実施例】
【0009】
 以下、添付図面にしたがって、実施例を説明する。
図1は本発明の多列刃を構成する各種単位刃の一つ、長方形型の単位刃(以下、誤解の恐れがない限り、単位刃および刃と略記する)を示したものである。長方形型の単位刃は細長長方形の少なくとも一部の周辺に、刃を持つものである。
図1において、2は単位刃の上面、3は単位刃の下面側の刃面、4は単位刃の端面、5は上面側斜面の刃面、6は刃先、7は単位刃の両端部の折り曲げ上げ部分である。折り曲げ上げ部分7は、単位刃の両端部は自由端であるから、ねじれに対する抵抗が弱いので、これを補強するためや畑の畝の斜面に沿わせて斜面と溝の草を同時に往復摺動により効率よく除草するために有効である。
したがって、水田の除草のように草も土も柔らかく、しかも稲の株元まで刃のアプローチが要求される場合には、折り曲げ上げ部分7は不要になる。
なお、単位刃の端面4は刃をもつ場合も、また持たない場合もある。前者の場合、必要に応じ単位刃の細長方向の動きで草を削ることが可能となる。
図1では、単位刃の刃の斜面は上面側だけに設けた場合を示しているが、
図2は先の2.の単位刃の下面側のみに刃の斜面を持つ場合を、
図3は先の3.の単位刃の上面側と下面側に刃の斜面を持つ場合を示している。
図2において、5は刃の下面側の斜面を、図3において、5は刃の上・下面側の斜面を示す。
図4は長方形型の単位刃を複数枚(図では5枚)を、軟鋼の細長長方形板で結合することによって、ムカデ状に形成した多列刃を示す。これを組み立て多列長方形型刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列刃および刃と略記する)と称することにする。図4において、1は作業者が腰のあたりで手にもって、腰を曲げないで往復運動を行うための柄、8は単位刃を結合してムカデ状に形成するための細長長方形板で、一方の端部は柄取り付け用冶具パイプ9の取り付けのために曲げ上げている。9は柄取り付け用冶具パイプ、10は単位刃と細長長方形板の結合ボルト、12は除草の多列刃の往復運動方向、14は多列刃の前方向、15は多列刃の後方向、29は多列刃の巾、30は多列刃の長さである。
図5、図6はそれぞれ稼動時の多列刃の機能が理解しやすいように、A―A矢視、B―B矢視(図4参照)による断面図を示したものである。図5、図6において、11は地表面を示す。
図7は水田用の多列刃として、先の組み立て多列長方形型刃に浮きをつけたものを示している。これを組み立て多列長方形型浮き付き刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列刃および浮き付き刃、刃と略記する)と称することにする。この場合、長方形型の単位刃の曲げ上げ部7は不要であるので除いている。図7において、40はねじ付きの鋼棒、41はナット、42は発砲スチロールのような軽く、水密のため、浮力が大きい材料でできた浮きである。
水田には、通常草防止のために、稲の成育に差し支えない限りにおいて、深さ数cmの水が張られている。このことは、もし除草に必要ならば除草の時だけでも、いかなる水田も深さ数cmの水をいつでも張ることができるということでもある。
浮き付き刃は柄などを含めた全重量が1kg以下である。図7のように刃と同じ広さの発砲スチロールの浮きを用いるとすれば、刃を浮かすための必要な浮きの高さは数cmあればよい。
したがって、図7のように刃を浮かすために、必要最小限の浮力を持つ浮きを刃に付けておけば、水田に張られた水の深さに応じて、浮きの上下位置を調整することによって、単位刃の下面の土との接地圧がゼロの状態にセットすることができるのである。
実際の刃の前後の往復運動作業では、刃は前後にロッキングをするから、数ミリ深さ以内で泥と草を削りながら前進する除草が行えるというわけである。
水田の除草においても、草は切れるに越したことはないが、必ずしもその必要はなく、水に根を洗われて浮いた草は、水草といえども水面で無力となって腐る以外になく、再び成長をはじめることはまずないのである。
実際の除草の際の刃の往復運動において、刃の速度は数十cm/秒程度であるから、浮きと刃はほとんど水の抵抗をうけることなく、軽快な片手操作で除草ができる。まさに水遊びの感覚であり、腰を曲げることもなく従来の辛労さとは程遠い作業となる。なお、単位刃の下面に1cmの水がある場合には、水遊びの感覚でスムーズに除草ができることを、パイロット水田によって確認済みである(詳細は「発明の成果」参照)。
一方で、水田の除草というものはアバウトな作業であり、いつも先のように設計通りに水をはるなど最適の条件で除草をできるわけではない。そうでない状況で、除草をすることも、多いのである。
極端な場合、水が全然なく、まさに粘土に干割れが入った状態での除草もあるのである。ただ、この場合でも、はっきり言えることは、干割れが入った粘土の状態でも、雨がりの柔らかくなった畑の土以上には硬くはないということである。
水のない水田の除草の場合、浮きは当然ねじ付きの鋼棒40の最下位置にセットすることになる。
刃を浮かすための水の深さが十分ない場合には、刃と浮きは泥の中に沈むことになるが、浮きが排除した体積に相当する、水よりも重い泥の重量が刃に浮力として作用することになるので、刃は若干泥の中に沈むだけで、水が十分設計どおりにある場合と遜色なく除草ができて、除草の品質も確保できるのである。
また、先の極端な場合である、土が干割れの入った粘土状態といえども浮き付き刃の受ける抵抗は、雨上がりの畑の土の状態よりはずっと小さいのである。干割れの入った粘土状態でも浮きは有効に働いて、刃が必要以上に沈むのを防いでくれるからである。この場合、強いて難をいえば、削り抵抗が若干増えることと浮きの耐久性・強度が要求されることである。
つまり、浮きは水田の水の多少あるいは有無にかかわらず、除草のために土の中に適度の深さに刃が沈むことを保証してくれる働きをするのである。
なお、個人的な試行実験では水がある場合も極端にない場合でも、同じような除草効果を期待できそうなデータを得ており、これに付いては後述の「発明の効果」で記述することにする。
浮き付き刃の巾は、稲株の隣接する縦列間の距離(以下、縦列間隔と略記する)、通常は30cmに対して最終除草時の株の大きさに余裕を持たせて設計される。
刃の巾を20cmに設定したとすれば、田植え後10日くらいで行う最初の除草では縦列間隔と刃の間には、ほぼ10cmの最大クリアランスが生じることになるが、2,3回刃を横方向にずらしながら往復運動を行うことにより、刃の横ヘリが稲株の根元に接するまで、アプローチできるのである。
この際、最も注意をすべきことは、間違っても稲を傷つけないことである。角を矯めて牛をころすようなことにならないようにしなければならない。
その方法としては、刃の有効巾(刃が往復運動で草を切断できる刃線の巾)を損なわないように、単位刃の極く先端部に最初から刃を付けない方法や単位刃の先端部にテーピングをして刃の機能を殺しておく方法が有力な選択肢である。
一方、浮きを利用するのも有効である。すなわち、浮きの巾と長さを浮き付き刃の巾と長さよりも若干大きくしておくのである。刃が稲株にあたる前に浮きが先に当たって稲を揺らすので、この時刃を即座に止めれば、稲を傷つけなくて済むのである。
従来、水田の除草は人手や手動あるいはエンジン付きの除草機で行われてきた。中でも、人手による除草の辛労さは、若者を農業から遠ざけて余りある歴史があると言っても過言ではない。
手動の除草機の草かき回転部の巾は約24cm、エンジン付きでは約14cmである。両者とも1回だけの縦方向の通し行きであるから、稲株縦列のなすラインを中心に左右数cmの巾の帯状の区域が除草されないまま残るのである。
しかも、稲株の横列の間隔(稲株の縦列において隣接する稲株間隔)は通常19cmと狭いので、除草機による横方向の除草は実行できず、結局先の縦方向の除草で、除草されないまま残る帯状の区域の除草は、人手によらざるを得ないのである。ここにおいて、人は昔からの、人の体を痛め尽くす腰曲げの除草を強いられているのである。
これに対し、本発明の組み立て多列長方形型浮き付き刃では、必要ならば刃巾の狭いものを、注文作成の場合1万円程度で入手できて、横列通しの除草が可能となるのである。
水田の除草では、水田の端で除草機を180度方向転換するために、除草機を持ち替える必要がある。
従来のエンジン付きの除草機は12kgの重量があり、その下部は泥の中に浸かっているので、持ち替えの場合には泥を瞬間的に振り切って持ち上げる必要がある。本体の12kgに割増された重量を持ち上げることになり、かなりの重労働を強いられることになるのである。
一方、先に述べたように浮き付き刃は1kg以下の重量であり、持ち替えは軽々と行うことができる。
図8は先の組み立て多列長方形型浮き付き刃に、その左右横ふちに切り欠きを設けてその部分の刃が、横方向から稲株の根元まで抱くようにアプローチできて、除草できる多列刃を示している。これを組み立て多列切り欠き長方形型浮き付き刃(以下、誤解の恐れがない限り、切り欠き浮き付き刃および多列刃、刃と略記する)と称することにする。図8において、43は多列刃の切り欠き部、61は切り欠き部62をもつ浮き、62は浮きの切り欠き部である。
刃の切り欠き部43は、半円弧のような曲線弧の場合および折れ線の部分直線の場合がある。
切り欠き部43は、最終除草時期の成長した稲株を横方向から抱く場合、半円弧の場合が最も多く抱けるから、出来だけ半円形に設計される。これによって、稲株の根元を含め、ほとんどすべての区域を、稲株縦列方向の多列刃の通し行きだけで、除草できるようになり、横列行きの除草が必要でなくなるのである。
上記、水田用の二つの多列刃、すなわち組み立て多列長方形型浮き付き刃、組み立て多列切り欠き長方形型浮き付き刃は、稲株を野菜に置き替えれば、特に良く管理されて、草の先取り除草が行われている畑の状況に相当するから、そのような畑では、浮きを付けたままで活用できる。また、現場の地形や草の状況によって、浮きをはずすことによって、そのまま有効に使用できるようになるのである。
【0010】
上記図4の組み立て多列長方形型刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列刃および刃と略記する)は、通常の畑の草のように、どの刃先でもよいから草の茎の根元にあたるか、あるいは少なくとも最後列か最前列の刃先が、草の茎の根元に当たるだけの草と草の間の切れ目がある場合に、機能を十分に発揮できるものである。しかし、芝生やコケのような場合、多列刃は草の上で浮いたように動くだけで、刃先を草の茎の根元に当てることができなくなる。
図9は芝生のように大部分の茎が地面に平行に這っている草の除草用の多列刃の全容である。これを組み立て多列長方形型傾斜刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列刃傾斜刃、刃と略記する)と称することにする。図10は多列傾斜刃のAーA矢視(図9参照)による断面を示している。多列傾斜刃は、長方形型の単位刃の下側刃面3(図1参照)を地表面11に対して角度を持たせ、最前列の単位刃は多列傾斜刃の前方向に、最後列の単位刃は多列傾斜刃の後方向に傾斜させて配置している。それ以外の単位刃は最前列あるいは最後列を基点にして交互に刃先が前方向あるいは後方向を向くように配置させるものである。これにより除草における多列傾斜刃の往復運動方向12の稼動によって、草の上方より段階的にむしり切って、最後は茎の根元を地表面直下数ミリ以内のところで切断することができるようになる。
【0011】
図11は硬い草も効率よく切断するために、長方形型の単位刃の約半分の長さを、交点が偏心したV字型に形成したもの全容である。これを組み立て多列長方形型V字型刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列V字型刃および多列刃、刃と略記する)と称することにする。なお、図12は、多列V字型刃のフラットな部分と跳ね上がりの部分を明らかに示すための、C―C矢視(図11参照)による平面図である。
図11において、13は短単位刃で、長方形型の単位刃をほぼ2分した長さ、16は駆動装置の進行方向である。なお、図12において、63はフラット部、64ははね上がり部である。
短単位刃13は、左右交互に配置して、2枚一組で交点が偏心したV字を形成するようにしたものである。
なお、短単位刃13をV字の交点を偏心させて配置しているのは、ボルト用の穴あけさえできれば、いかなる材料でも、一般に作成できる刃として提案しているためである。
たとえば、ばね鋼のような鋼板は高価であるうえに、板厚、板幅、板長など極く限られた形でしか入手できないことや普通の設備では穴あけ加工ができないなどの制約があるのである。また、図11では、多列V字型刃の後方向15側にV字型刃の開き設けているが、これは手動の場合の硬い草の切断に有効である。
その作用は、先の多列長方形型刃(図4参照)の試作機の稼動実績による経験をふまえで次のように説明することができる。
すなわち、手動による往復運動の場合には、柄1は地表平面に対して数十度オーダの角度になるので、多列刃をその前方向14に地表平面に平行に押し出す場合でも、多列刃の単位刃特に最前列の単位刃を土にめり込ませる力が働いて、逆に土から大きなめり込み抵抗を受けることになる。
そこで、この力を軽減するために、多列刃の後方向15側に支点を置いて、その前方向14側を浮かせ気味にすればよいわけであるが、実際はこの微妙な加減の操作が難しい。
この微妙な操作を避けるために、結局私達は最初から常に多列刃の最後列の単位刃に支点を置き気味にして、多列刃を後方向に引いたときに、最後列のV字型刃の開いた刃で狙った草が切断できるように、多列刃と草との間合いを取って行くのが、最も切断の効率がよく、操作がしやすいのである。
他方、エンジンを用いた駆動装置の試作機による稼動では、逆にV字型刃の開きは多列V字型刃の前方向14にあったほうが、草の切断がしやすくなる。駆動装置の場合は、柄1は地面にほとんど平行にセットできるので、短単位刃13のいずれも、土にめり込むような力が働くことがない。駆動装置の進行方向16に、多列V字型刃を押し出したときにその勢いに預かって、進行方向に開いたV字型刃で草の根元を切断することを基本にした操作が、自然の流れに沿って無理がなく最も大きな切断力を発揮できるからである。
したがって、手動にも駆動装置にも有効に兼用できるものとして、多列V字型刃の前方向14側半分をすべて、前方向に開いたV字型刃とし、後方向15側半分をすべて、後方向に開いたV字型刃としたものも有効な選択肢となるのである。
次に、V字型刃が地表面の草を、地表面下数mm以内の極く浅いところで削り取る力学的作用は次の通りである。
V字の尖端鋭部は、手ごわい草の根を押し裂き切ることができる。また、尖端鋭部以外のV字の凸側の刃は、たとえば密生した草の中に押し出すとき、くさび効果によって草を押し分けながら、なで切りすることになる。なで切りできる分だけ切り、その他は左右に押し広げながら、やり過ごすのが、なで切りの特徴である。したがって、押しだし力も小さくてすみ、どちらかといえば地表面を乱しながら、取っ掛かりの傷をつける働きが得意ということになる。
一方、V字の開き側の刃は、通常の草刈鎌のように、V字の凹の部分に草を抱き込んで掴み切るという特徴がある。当然、切断能力以上の草を抱え込むと草からなぎ倒し抵抗をうけて、大きな力を強いられることになる。
このように、草の密集した地面にV字の凸側の刃で刃筋を入れ、これを起点にして凹側の刃で絡めとって整地までしてしまうことができ、これがV字型刃の基本の作用である。図11、図12のように、すべてのV字が同一方向を向けて並んでいる場合には、多列刃の押し出しと引きの動きに対して、一律になで切りと抱えきりという同じ作用を行うことになる。
図13はV字の先端の鋭点を重ねて向き合わせたX字型刃の多列刃である。これを組み立て多列長方形型X字型刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列X字型刃および、多列刃、刃と略記する)と称することにする。図13において、44は既出の長方形型の単位刃(図1参照)で、X字型刃の一方の斜めの刃を形成するものである。
多列X字型刃は一組のX字型刃で、多列刃の押し出しと引き込みのいずれの動きに対しても、凸部の刃によるなで切り作用および凹部の刃による抱え切りの作用をあわせ行うことができる。そして、単位刃間の間隔が一様でないことにより、多列刃としての多様な機能に寄与するものである。たとえば、芝などの地面に這って密生した草の上に多列X字型刃を載せて、もみもみしながらはがしとる場合、単位刃間の間隔が広いところで草の葉や茎を抱き込むことができるなど、有効に働くのである。
図14は2つのV字の一方を逆さまにして傾斜の等しい辺を重ねてできるZ字型刃を多列刃として使用するものである。これを組み立て多列長方形型Z字型刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列Z字型刃および、Z字型刃、刃と略記する)と称することにする。
多列Z字型刃は刃の押し出しと引き込みのいずれの動きに対しても、常になで切り作用を行うものである。一般に、蓮華のような密生した柔らかい草でもこれを横に払い切るのは、造林鎌(商品名)などを少々工夫、改良した刃をもってしても簡単ではないが、Z字型刃によれば上方より、小さな力でもみもみしながら根元まで効率よく剥ぎ取ってしまうことができるのである。
これまでは、すべて長方形型の単位刃(図1参照)および短単位刃13(図11,12参照)で長方形型刃およびV字型刃、X字型刃、Z字型刃など組み立て多列刃の場合について述べてきた。
一方、経済性や用途の多様性の面から、多列刃の最後列か最前列の一組だけをV字型刃とした組み立て多列長方形型部分V字型刃も多列刃の形の有力な選択肢である。
たとえば、ばね鋼を用いた組み立て多列長方形型刃が高価(試作のばね鋼による多列刃では2万円程度)であり、通常の農具のように、用途に応じて複数本を用意するというわけにはいかない。V字型刃を形成した短単位刃を、長方形型の単位刃に付けかえことによって、組み立て多列長方形型部分V字刃と組み立て多列長方形型刃の互換が可能となり経済性や機能の多様なニーズに答え得るものとなる。
これまで述べてきた組み立て多列刃は、長方形型の単位刃および短単位刃の加工が穴あけ加工を含めて、可能でありさえすれば、製作可能なものである。
図15は、これに対してV字型の単位刃を一体として作成するもので、これを一体V字型の単位刃と称することにする。これは材料の種類や加工業者の設備、技術に制約をうける。しかし、実際の使用において、構造がよりシンプルになる分、取り扱い勝手やメンテナンスに便利となるもので、現場の状況によっては、有力な選択肢である。なお、V字型の単位刃の多列刃に組み込み方や作用、効果は先に述べたV字型刃に関連する多列刃(図11、13、14参照)と事情は同じである。
図16は三日月型の単位刃(以下、誤解の恐れがない限り、刃と略記する)である。図16において、45は刃の凸側の中央部、46は刃の凸側の端部、47は刃の凹側の中央部、48は刃の凹側の端部である。刃の中央部45、47は緩やかな曲線に、また刃の端部46,47は急な曲線に設計することができる。これによって、三日月型刃は草に対峙する角度、したがって作用として、長方形型の単位刃とV字型の単位刃およびそれらの中間の特性を併せ持つことになる。すなわち、草の切断においても、押しきりおよびなで切り、抱えきりの機能を発揮することができ、現場の草や地面の状況により柔軟に対応できるようになるのである。
上記三日月型の単位刃と同様に単位刃に多様性を持たせる目的で、次のような形状の単位刃を考えることができる。なお、記述の便宜上、図16の三日月型の単位刃を基準にして、これからの変形という形で述べることにする。
まず、三日月型の凸を凹とすれば凹レンズ型の単位刃(図17)となる。
三日月型の凹を凸とすれば凸レンズ型の単位刃(図18)となる。
三日月型の凹および凸の代わりに、V字の鋭部を向かい合うように配置すれば、つづみ型のの単位刃(図19)となる。
三日月型の凹および凸にV字の開口部を向かい合うように配置すれば、ひし形型の単位刃(図20)となる。
これらの単位刃は、同種のものだけを組み込んで、たとえば組み立て多列三日月型刃を形成することもまた、これらを組み合わせた組み立て多列組み合わせ刃とすることもできる。
これまで述べてきた組み立て多列刃は、材料や加工の制約を受けない限り、すべて一枚の板から切りぬいた一体ものとしての製作が可能である。
図21は一体作成することの優位さを如何なく発揮できる水田用の一体多列長方形型X字型付き刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列X字型付き刃および多列刃、X字型付き刃と略記する)である。図21において、50はX字型部の最大開き部の中心、51はX字型部の交叉部に設けた半円弧部、52は多列刃の巾、53は多列刃の長さ、54はX字型付き刃の最前列の単位刃前側刃線、55は同最後列の単位刃の後側刃線、56は除草期間の最大稲株の中心とX字型部の最大開き部の中心50を、一致するように多列刃を縦列に平行に配置するとき、稲株の外接半円周と最大開き部の刃線とのクリアランス、57は除草期間の最大稲株の中心とX字型部の最大開き部の中心50を、一致するように多列刃を縦列に平行に配置するとき、稲株の外接半円周である。
多列X字型付き刃は、ほぼ100%、除草期間中の最大稲株の根元まで、縦列行きの除草だけでアプローチできて、除草ができることを除いては、先の水田用として述べた組み立て多列長方形型浮き付き刃や組み立て多列切り欠き長方形型浮き付き刃(図7、図8参照)と事情は同じである。
すなわち、X字型付き刃には、浮きをつけることになるが、浮きはX字型付き刃の巾52と長さ53の大きさのものに、交叉部に設けた半円弧部51に沿って、X字型部の最大開き部まで切り欠いだものとなる。また、X字型付き刃の浮きはこの切り欠き部およびその他の周辺が、鉛直方向から見た場合に、多列刃の刃を隠すように若干大き目に設定するなど、等々である。X字型付き刃が水田のすべての領域にアプローチできて、除草できることを、次のように示すことができる。
まず、X字型付き刃の除草機能として明白なことは、除草期間内に予想される最大稲株に円弧部46を横からアプローチすれば、稲株の根もと半円周を抱くことができ、除草ができることになる。
次に、X字型付き刃を稲株の縦列に平行に、最大開き部の中心50を、特定の稲株の中心に一致するようにおくことにする。この時、X字型付き刃の最前列刃線54および最後列刃線55が、縦列方向の隣接稲株間隔(通常19cm)(以下、誤解の恐れがない限り、稲株間隔と略記する)の中間位置、すなわち縦列方向の稲株間隔の2分の1の位置にくるように設計することとする。
さらに、最大稲株の外接直径を稲株間隔の3分の1(約6,3cm)として、稲株と最大開き部の刃先とのクリアランス56を稲株の半径、すなわち稲株間隔の6分の1と設定することにすれば、ほぼこのクリアランスだけ多列刃は前後方向に往復運動できて、除草ができることになる。
結局、X字型付き刃の最前列刃線54および最後列刃線55は、1/2+1/6=2/3で、稲株間隔の2/3弱の位置までカバーできて、この間の除草ができることになる。なお、2/3弱という意味は、浮きは刃先を隠すように若干大き目に設定されるので、その分2/3より小さくなるという意味である
この操作を各稲株について行っていくわけであるが、このとき一つの稲株間隔では、2/3−1/3=1/3で、すなわち稲株間中央の1/3の区域は2度刃が通されるという、2重の濃い除草となっているのである。
上記の設定値は、たとえば多列刃の巾を20cm、長さを19cmとしたときに、無理なく設計できる数値なのである。
X字型付き刃によって、さきに述べたように従来の手動やエンジン付きの除草機では除草できず人手作業を強いられていた、稲株縦列を中心とした左右数cmの帯状の区域を、少なくとも除草時だけ必要な水はりができれば、完全に水遊びの間隔で除草できるようになるのである。
なお、上記水田用の一体多列長方形型X字型付き刃も、先の組み立て多列長方形型浮き付き刃や組み立て多列切り欠き長方形型浮き付き刃同様、稲株を野菜に置き替えれば、特に良く管理されて、草の先取り除草が行われている畑の状況に相当するから、そのような畑では、浮きを付けたままで活用できる。また、現場の地形や草の状況によって、浮きをはずすことによって有効に使用できるようになるのである。
【0012】
上記のように、種々の単位刃のいろいろな組み合わせによって、種々の組み立て多列刃や一体多列刃が考えられるが、基本は多列長方形型刃で(図4)あることは云うまでない。多列長方形型刃は、空間的に最もコンパクトであり、野菜に対するアプローチが単純であるため野菜の葉や茎、根を傷つけるミスも少なくて済む。また、誤って切断行為をしても途中で気づけば、致命傷になるのを避けやすい。また、多列長方形型刃の最前列あるいは最後列の単位刃は、削り落ちた土の畝上げなど小回りがきくことも無視できないメリットである。
【0013】
これまでは、多列長方形型刃(以下、誤解の恐れがない限り、多列刃および刃と略記する)から出発して種々の多列刃のハード面だけを述べてきたが、これからは、ハードのもてる機能を最大限に引き出すための1例として、特に野菜の計画的植え方を中心に述べる。
なお、以下では、先に述べた種々の多列刃の代表を、基本となる多列長方形型刃として、野菜の除草とのかかわりを述べることにする。
これは従来の草の後追い除草の状態から、物心両面から脱皮できて、草の先取り除草ができるようになって、畑の除草が多列長方形型刃だけで間に合うようになった状態をイメージしていることになる。
図22、図23は、多列刃がもっとも除草の機能を発揮できる一畝に野菜一列を植える場合であり、説明の便宜からこれをケース1とする。図22は畝の断面を示すもので、17は畝の高さ、18は植付け野菜、19は通路の中心線、20は畝の上面、21は畝の斜面、22は通路、23は通路と畝の斜面の縁線、24は畝の上面と畝の斜面の縁線、26は植付け野菜の根部、28は畝巾方向、60は畝巾である。また、図23は畝(図22参照)の平面図を示すもので、同図において25は植付け野菜の畝行き方向の間隔、27は畝行き方向である。
畝の斜面21および畝の上面20には、植付け野菜の根部26を深めに植え付けるなどして除草のための削り代に、余裕を持たせておく必要がある。そうしておくと、その後の除草が、効率良く楽にやれるようになるからである。なお、ケース1の場合、植付け野菜の畝行き方向の間隔25は、多列刃の巾29(図4参照)に関係なく決定できることが、目玉の一つであるが、後述のケース2やケース3との土地利用の効率の比較のために、多列刃の巾29に余裕を持たせた野菜間隔としており、ケース2やケース3の場合と同じにしている。このことは、畝行き方向27および畝巾方向28の両方向から、植付け野菜の間で、刃が完全な往復運動ができるようになるわけで、それはそれで意味のあることである。この場合、通路22の巾に余裕を取っておけば、動力による駆動装置の導入が容易にできるようになる。なお、試作の駆動装置の車輪巾は200mmとしたが、稼動時の安定性は十分であった。
図24、図25は植付け野菜18を2列に千鳥がけに配置した場合のそれぞれ畝の断面図、平面図である。説明の便宜から、これをケース2とする。図24において、35は畝巾方向の野菜間隔である。図25からわかるように、植付け野菜の畝行き方向の間隔25を、ケース1(図22)の一畝に野菜一列を植える場合と同じように、多列刃の巾29に余裕を持たせたものにしておくと、畝の上面20の向かい列の野菜の根元まで、畝巾方向28からのアプローチが可能になるので、畝巾方向の野菜間隔35の大小にかかわらず、植付け野菜間の畝の除草をほぼ完璧に行うことができるようになる。なお、ケース2(図24)の場合の畝などの大きさが、ケース1(図22)の場合と比較できるように、畝巾60と畝巾方向の野菜間隔35以外は同一寸法としているので、通路の中心線19を図上で一致させれば、両者の相対的な大きさを見ることができる。畝巾方向の野菜間隔35は、ケース1(図22)において隣接する畝間の通路22の巾とその通路と左右で接する両斜面21を除いて、残った畝を単純に移動して、くっつけてできる状態としている。
図26、図27は、植付け野菜18をもっとも単純に対面2列に配置した場合のそれぞれ畝の断面図、平面図である。説明の便宜からこれをケース3とする。
この場合、まず畝巾方向28の野菜間隔35は、ケース2(図25)の植付け野菜18の畝行き方向の間隔25(多列刃の巾29に余裕を持たせた寸法で、ケース1と同じ)と同じにする。
次に、畝巾60は次の手順で設定する。ケース1(図22)の畝を、植付け野菜18の縦列を含む垂直面で、畝巾方向28に、野菜間隔35だけ切り離して、移動する。この移動して空いたところに畝を補って、改めて畝の上面20と畝巾60を設定する。
ケース3(図26)の場合も、畝などの大きさが、ケース1(図22)、ケース2(図24)の場合と比較できるように、畝巾60と畝巾方向の野菜間隔35以外は同一寸法としているので、通路の中心線19を一致させれば、図上で3つのケースの畝の大きさを、相対的に知ることができる。
【0014】
さて、ケース1、ケース2、ケース3を見比べてすぐに気がつくのは、土地利用の効率はどうなるのであろうか、ということである。
もっとも、昨今の休耕地をはじめ、家庭菜園の草茫々の土地が如何に多いかを見ると、土地利用の効率性なんてナンセンス!草さえなくせれば、それがすべて!とさえ思われるが、普通に土地を賃借りして家庭菜園を行おうとすると、年間一坪数百円〜数千円の借地料が要ることには間違いないわけだから、土地利用の効率を試算して目安をつけておくことは必要なことだと思われる。
図28はこのための畑一区画の中の通路、畝巾および野菜の配置を、代表としてケース1の一畝に野菜一列の場合(図22)、(図23)について示したものである。
試算ための設定条件は次のとおり。
畑の区画の広さ:巾5m x 長さ10m = 50m= 15.2坪
通路22の巾:200mm    畝の斜面21の水平距離:50mm  
植付け野菜18と畝上面の縁線24の距離:50mm
畝の高さ17:100mm   畝の斜面21の巾:112mm
植付け野菜18の畝行き方向間隔25:300mm
(なお、ケース2(図24)の畝巾方向の野菜間隔35:100mm、ケース3(図26)の畝巾方向の野菜間隔35:300mmとする)
まず、ケース1(図22)、ケース2(図24)、ケース3(図26)に共通に適用する、畑の区画に畝、通路および野菜を配置する方法を説明する。
畑の区画の周囲には、通路22の巾200mmを配置することとする。ただし、下記の残り端数の如何によっては、通路巾は200mmを超えることもある。
区画における畝巾方向に畝を作る際の始まり側33から、通路22の巾200mm+畝巾29を配置していったとき、残り端数が(図22)の一畝に野菜一列の場合の畝巾とその両側に通路ができる寸法(畝巾29+通路20の巾x2=200+200x2=600mm)が確保できるものであれば、一畝に野菜一列用の一畝を設けることとする。そうでなければ、残り端数は、畝巾方向に畝を作る際の終わり側34の通路とする。
野菜の植付けは、野菜の植付け始まり側31の、畝巾方向の畝上面の縁線より50mmの位置に1本目を植えることとする。なお、畝巾方向の畝の斜面は、畝行方向の畝の斜面21と同じ水平距離50mmとし、その斜面の始まりは畝巾方向の通路(巾200mm)の交線とする。その後は300mm間隔で植えて行き、最後の植え付け野菜の位置が、野菜の植付けの終わり側32の、畝巾方向の畝上面の縁線より50mm内にあれば、その位置、あるいは若干の調整をした位置に最後の1本の野菜を植え、そうでなければ植えないこととする。
以上が植付け野菜18のレイアウトと土地利用の効率を検討するための設定条件である。設定値の根拠といえば、試作してジャガイモやサツマイモの植付け、その後の除草の実作業を行った多列刃の巾29が250mmであったことである。
また、畝巾60を決める上でベースとしたケース1の1畝に野菜1列(図22)、(図23)の場合が、本発明の多列刃が最も有効に生かせることから、ほかのケースよりも有利になるように、畝巾を通常よりは100mm程度小さ目の設定としている。
多列刃の巾29をベースとして、これに作業のための余裕を見こんで、植付け野菜18の間隔としたが、そうすることによって除草作業の効率と容易さには、駆け足でできるとは言わないまでも、雲泥の差となるのである。
その意味で、巾250mmの多列刃を徹底的に有効に使うとすれば、こういう場合もあり得るという参考データとして、検討結果を表3に示す。
【0015】
【表3】


表3において、ケース1の1畝に野菜1列の場合は、通路22の掘り作業など手間ひまがもっともかかる上に、土地利用の効率ももっとも悪い。ちなみに畝巾29の200mmを100mm増やして300mmとした場合、土地利用の効率は畝巾200mmmの場合の7.1本/mから5.8本/mとさらに悪くなる。
したがって、一見、できるだけ避けたい野菜のレイアウトのように見えるが、通路22の掘り作業は穏やかな天候の日を選んで一回ぎりですむが、従来であれば、除草の作業は猛暑など容赦なく幾度となくやってくる。草取りが楽になり月に1回の除草で済むことになれば、ペイして余りがあるようになるのである。
表4には、それぞれのケースについて、通路22、畝の斜面21、畝の上面20の面積とその合計に対する割合を示している。
【0016】
【表4】


表4において、ケース1の場合、通路面積41.9%と斜面40.1%は、多列刃の往復運動をしながら、畝行き方向に地表をなでながら進んで行くことにより除草作業を行うことができる。さらに、野菜に注意すれば上面の17.8%も全く同じ作業によって除草できてしまう。この状況は、図28上でイメージ
トライアルを行うことで、感知することができる。
すなわち、図28からイメージできるように、畝の上面の野菜の両側が、畝の斜面や通路の自由空間となっていることから、畑全体が多列刃の往復運動をしながら、畝行方向に進んで行くことにより除草が完全に完了することになる。
また、ケース1の1畝に野菜1列の場合の最も大きな利点は、畝行方向の植付け野菜間隔25は、試作の多列刃の巾29をベースに余裕代を見こんで300mmとしたが、多刃の巾29に関係なく、しかも除草作業の効率を損なうことなく、野菜に必要な最小限の間隔をえらぶことができることである。これは土地利用の効率の改善に役立つことになる。
たとえば、通常の野菜では、150〜200mmの間隔で植えることが多いから、ちなみに200mmの間隔とすれば、土地利用の効率は 7.1 x 300/200=10.7本/mとなり、ケース3の1畝に野菜2列の8.3本/mを超え、150mmの間隔とすれば7.1 x 300/150=14.2本/mとなり、ケース2の1畝に野菜千鳥がけ2列の11.3本/mを超えることになる。
ただし、上記計算は畝行き方向の野菜を、多列刃の巾250mmに50mmの余裕を持たせて300mmと設定し、実際の野菜間隔が150〜200mmであることによる、計算のマジックのところがある。
仮に実際の野菜間隔150〜200mmと多列刃の巾に50mmの余裕を持たせた植え付け野菜間隔が一致したとすれば、ケース1,2,3のそれぞれの土地利用の効率の相対的な関係は、表1と大略同じ傾向を示すことになる。
この場合、多列刃の巾は100〜150mmとなるわけであるが、さてこれで通路や斜面の通常の除草の作業効率は保証されるかという問題である。
結論として、種々多列刃を試作し稼動した経験を総合すれば、多列刃の巾は150〜200mmが適当であるといえるのである.
ここ半年間の多列刃の稼動実績を踏まえて発見したことは、梅雨時の草を多列刃で壊滅状態にして、地面をつるつるにしておけば、新たに芽を出して威勢良く成長する夏草はないということである。夏草として茂るのは、壊滅状態を免れた梅雨時の草だけだということである。私達にとって厳しい夏は、草にとっても厳しいのである。それだけに、これを活用しない手はないのである。
このように、多列刃による除草を繰り返すうち、真夏の畑に草がほとんどない状態がおこりうるのである。このとき、掃除感覚で畑の除草をすることが、現実になる。そこでは、畝や通路が多いとか土地の利用効率が悪いと言ったことは、問題にならないようになるかもしれない。
したがって、野菜の植付けのための畝つくりの際にはケース1の1畝に野菜1列は、一考に値する畝つくりと考えることができる。特に、耕運機による畝つくりの場合は、通路つくりの労力が無視できるようになるから、最有力な畝つくりの方法となるものと思われる。
さらに、多列刃をエンジンによる駆動装置で稼動するような場合には、通路と斜面も駆動装置で対応できるから、結局畝の上面面積の17.8%を人の労力でやればすむことになる。
ケース2の1畝に野菜千鳥がけ2列の場合は、従来最も多くも用いられてきた野菜の栽培法の一つである。ケース2の場合は、ケース3の1畝に野菜対面2列の場合に比べて、畝数で3割増(通路数も同じ)であるが、土地利用の効率が4割増となり、手間ひまにみあった効率アップが期待できそうである。これは従来最も多くも用いられてきたことの裏付けデータを示しているとも云える。野菜の種類など個々の場合に、具体的に検討に値するケースといえる。
ケース3の1畝に野菜対面2列の場合は、従来の感覚からすると、土地がもったいないという気になるものである。しかし、まず、表3において、土地利用の効率ではケース1の1畝に野菜1列の場合よりも勝っている。また除草の作業性もケース1と同様に、畑全体が多列刃の往復運動をしながら、畝行方向に進んで行くことにより除草が完全に完了することになる。強いて違いを言えば、表4において、各々の畝上面面積が各々の合計面積に対する割合でケース1よりも25%程度増加することや畝巾方向の野菜間隔35が多列刃の巾29の影響を受けること、畝の上面で畝行き方向に往復運動をするとき、左右に野菜があって窮屈であり、野菜をいためる可能性が高いことなどである。しかし、ケース3の場合も野菜の畝つくりの際には有力な選択肢と言える。
以上、本発明の組み立て多列長方形型刃の有効性を、従来の畝つくりと野菜配置とのかかわりで見てきたが、当然のことながら、いずれの畝つくりと野菜配置にも一長一短がある。しかし、多列刃の大きさやそれを最大限に活用する状況をイメージして畝つくりと野菜配置に配慮すれば、私達は畑の除草の重圧から完全に開放されることができるのである。
【0017】
これまでは、特許出願という手前、格好のついた面について述べてきたが、実は本発明は、もっと卑近なところでも有効に生かせるのである。私達はひざを折って草を取る機会は結構あるものだが、このとき素手で取ったりカッチンやハンドスコップなどを使う。しかし、いずれにしても1本1本取ることが如何に利に合わないかは、先に述べたように草の習性の実態からして明らかである。問題は、花壇などの除草で、道具を使ってひざを折って草を取る場合である。それがカッチンやハンドスコップであれば、その代わりにミニ多列刃を使ってみてはいかがですかということである。ミニ多列刃でやれる範囲は知れているが、使った分については、使わなかった分と比較して雲泥の差が生じることを知ることになるのである。
これに似たようなこと、たとえばサツマイモのつるを持ち上げて、柄の基を片手で持って、多列刃で畝の上面を摺動することは、実際に行っていることなのである。もちろん、この場合、膝を折ったり、腰を曲げたりすることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】長方形型の単位刃で、その上面側だけに刃の斜面を設けた場合である。
【図2】長方形型の単位刃で、その下面側だけに刃の斜面を設けた場合である。
【図3】長方形型の単位刃で、その上面側と下面側に刃の斜面を設けた場合である。
【図4】組み立て多列長方形型刃である。
【図5】組み立て多列長方形型刃のA―A矢視(図4参照)による断面図である。
【図6】組み立て多列長方形型刃のB―B矢視(図4参照)による断面図である。
【図7】組み立て多列長方形型浮き付き刃である。
【図8】組み立て多列切り欠き長方形型浮き付き刃である。
【図9】組み立て多列長方形型傾斜刃である。
【図10】組み立て多列長方形型傾斜刃のAーA矢視(図9参照)による断面図である。
【図11】組み立て多列長方形型V字型刃である。
【図12】組み立て多列長方形型V字型刃のC―C矢視(図11参照)による平面図である。
【図13】組み立て多列長方形型X字型刃である。
【図14】組み立て多列長方形型Z字型刃である。
【図15】一体V字型の単位刃である。
【図16】三日月型の単位刃である。
【図17】凹レンズ型の単位刃である。
【図18】凸レンズ型の単位刃である。
【図19】つづみ型の単位刃である。
【図20】ひし形型の単位刃である。
【図21】一体多列長方形型X字型付き刃である。
【図22】一畝に野菜一列を植える場合の断面図である。
【図23】一畝に野菜一列を植える場合の平面図である。
【図24】一畝に野菜千鳥がけ二列を植える場合の断面図である。
【図25】一畝に野菜千鳥がけ二列を植える場合の平面図である。
【図26】一畝に野菜対面二列を植える場合の断面図である。
【図27】一畝に野菜対面二列を植える場合の平面図である。
【図28】畑の一区画の通路および畝、野菜の配置図である。
【符号の説明】
【0019】
2 長方形型などの単位刃(以下単位刃と略記)の上面
3 単位刃の下面側の刃面
4 単位刃の端面
5 単位刃の上面側斜面および下面側斜面の刃面
6 刃先
7 単位刃の両端部の折り曲げ上げ部分
1 組み立て多列長方形型刃などの多列刃(以下、多列刃と略記)の柄 
8 単位刃を結合するための細長長方形板
9 柄取り付け用冶具パイプ
10 単位刃と細長長方形板の結合ボルト
12 除草の多列刃の往復運動方向
14 多列刃の前方向
15 多列刃の後方向
29 多列刃の巾 
30 多列刃の長さ
11 地表面
40 ねじ付きの鋼棒
41 ナット
42 浮き
43 組み立て多列切り欠き長方形型浮き付き刃の切り欠き部
61 切り欠き部をもつ浮き
62 浮きの切り欠き部
13 短単位刃で、長方形型の単位刃をほぼ2分した長さ
16 駆動装置の進行方向
63 組み立て多列長方形型V字型刃のフラットな部分
64 組み立て多列長方形型V字型刃のはね上がり部分
44 長方形型の単位刃で、X字型刃の一方の斜め線部の刃を形成する
45 三日月型の単位刃(以下、刃と略記)の凸側の中央部
46 刃の凸側の端部
47 刃の凹側の中央部
48 刃の凹側の端部
50 一体多列長方形型X字型付き刃のX字型部の最大開き部の中心
51 一体多列長方形型X字型付き刃のX字型部の交叉部に設けた半円弧部
52 一体多列長方形型X字型付き刃の巾
53 一体多列長方形型X字型付き刃の長さ
54 一体多列長方形型X字型付き刃の最前列の単位刃の前側刃線
55 一体多列長方形型X字型付き刃の最後列の単位刃の後側刃線
56 除草期間の最大稲株の中心とX字型部の最大開き部の中心50が、一致するように多列刃を稲株の縦列に平行に配置するとき、稲株の外接半円周57と最大開き部の刃線とのクリアランス
57 除草期間の最大稲株の中心とX字型部の最大開き部の中心50が、一致するように多列刃を稲株の縦列に平行に配置するとき、稲株の外接半円周
17 畝の高さ
18 植付け野菜
19 通路の中心線
20 畝の上面
21 畝の斜面
22 通路
23 通路と畝の斜面の縁線
24 畝の上面と畝の斜面の縁線
26 植付け野菜の根部
28 畝巾方向
60 畝巾
25 植付け野菜の畝行き方向の間隔
27 畝行き方向
35 畝巾方向の野菜間隔
31 畝行き方向の野菜の植付け始め側
32 畝行き方向の野菜の植付けの終わり側
33 畝巾方向に畝を作る際の始まり側
34 畝巾方向に畝を作る際の終わり側
【出願人】 【識別番号】302048991
【氏名又は名称】井上 勇偉
【出願日】 平成15年8月25日(2003.8.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−113237(P2004−113237A)
【公開日】 平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願番号】 特願2003−299862(P2003−299862)