| 【発明の名称】 |
空気注入による湿地・干潟の活性装置及び方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉村 文雄
【氏名】田平 秀樹
【氏名】長谷川 勝利
【氏名】小田 博史
【氏名】大下 光明
|
| 【要約】 |
【課題】軟弱地盤上を自力走行可能であり、地盤の土中に直接空気を注入して、土中の好気性菌を活性化することにより、好気性菌が有機物の分解を行い、土質を改善する空気注入による湿地・干潟の活性装置及び方法を提供する。
【解決手段】エンジン12によって軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物11と、エンジン12より取り出される回転動力によって駆動される空気圧縮手段15と、空気圧縮手段15により圧縮された空気を軟弱地盤の土中に注入する空気注入手段18とを備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンによって軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物と、 前記エンジンより取り出される回転動力によって駆動される空気圧縮手段と、 前記空気圧縮手段により圧縮された空気を前記軟弱地盤の土中に注入する空気注入手段とを備えていることを特徴とする空気注入による湿地・干潟の活性装置。 【請求項2】 請求項1記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置において、前記空気圧縮手段は回転羽根式の圧縮機であって、しかも、前記エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して連結されていることを特徴とする空気注入による湿地・干潟の活性装置。 【請求項3】 請求項1及び2のいずれか1項に記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置において、前記空気圧縮手段から排出される空気の空気圧が1〜3kg/cm2 であることを特徴とする空気注入による湿地・干潟の活性装置。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置において、前記空気注入手段は流線形に形成され、前記乗り物の進行方向に対して抵抗が小さくなっていることを特徴とする空気注入による湿地・干潟の活性装置。 【請求項5】 軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物に、空気圧縮手段を搭載し、当該空気圧縮手段で圧縮した空気を前記軟弱地盤の土中に注入して、当該軟弱地盤の土質を改善する湿地・干潟の活性方法であって、前記空気圧縮手段の動力を、前記乗り物を駆動するエンジンの出力軸から得たことを特徴とする空気注入による湿地・干潟の活性方法。 【請求項6】 請求項5記載の空気注入による湿地・干潟の活性方法において、前記空気圧縮手段は回転羽根式の圧縮機であって、しかも、前記エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して連結され、更に前記圧縮機から発生する空気の圧力は1〜3kg/cm2 であることを特徴とする空気注入による湿地・干潟の活性方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、湿地・干潟等の軟弱地盤上を自力走行可能であり、軟弱地盤の土中に直接空気を注入して、土質を改善する空気注入による湿地・干潟の活性装置及びその方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 湿地・干潟等においては、背後圏の都市化の進展や自然環境の変化に伴う、流入水質の悪化が進んでいる。このため、湿地・干潟等においては環境負荷が自然浄化能力を上回っており、底質環境の悪化が深刻な状況である。 一方、湿地・干潟を再生し浄化能力を高めるためには、作業性の悪い軟弱地盤上において底質浄化対策を講じることが求められている。 従来、湿地・干潟等を走行するためには、板そりに片膝をつき、他方の足で軟泥を蹴って進む人力による潟スキーが用いられていた。更に、走行用のエンジンを有し、無限軌道車の駆動部分に浮力を持たせた乗り物や、接地面積の大きな多車輪を用いた乗り物、更には水上走行さえ可能な軟弱地盤走行用の乗り物が提案されていた。 このような装置として、例えば、実用新案登録第3084356号には、海苔適用船の前部両舷に羽根車を付けて、軟泥を掻くことにより前進、後退及び舵取りを行い、湿地・干潟等の軟弱地盤上を容易に移動することができ、更に、後部に干潟走行機の走行により作用する鋤状部材や回転式鋤等の耕作用鋤装置を取付けて、土を耕す干潟走行機が開示されている。干潟走行機で土を耕すことによって、土中に空気、即ち酸素を含ませるので、土中の好気性菌が活性化し、好気性菌が有機物の分解を行い、土質の改善を図ることができた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、干潟走行機の後部に配設した耕作用鋤装置により、土を耕すので、細かく耕すことができず、土中に効率よく酸素を送り込むことが困難であった。また、耕作用鋤装置は動力によって動かず、干潟走行機の走行によって作動するので、干潟走行機の速度や土の粘性によって、耕作の効率、即ち土中の活性化の度合いが変わっていた。 本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、軟弱地盤上を自力走行可能であり、地盤の土中に直接空気を注入して、土質を改善する空気注入による湿地・干潟の活性装置及び方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 前記目的に沿う第1の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置は、エンジンによって軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物と、前記エンジンより取り出される回転動力によって駆動される空気圧縮手段と、前記空気圧縮手段により圧縮された空気を前記軟弱地盤の土中に注入する空気注入手段とを備えている。 また、第2の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置は、第1の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置において、前記空気圧縮手段は回転羽根式の圧縮機であって、しかも、前記エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して連結されている。 第3の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置は、第1、第2の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置において、前記空気圧縮手段から排出される空気の空気圧が1〜3kg/cm2 である。 第4の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置は、第1〜第3の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置において、前記空気注入手段は流線形に形成され、前記乗り物の進行方向に対して抵抗が小さくなっている。 【0005】 そして、第5の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法は、軟弱地盤上をエンジンで自力走行可能な乗り物に、空気圧縮手段を搭載し、当該空気圧縮手段で圧縮した空気を前記軟弱地盤の土中に注入して、当該軟弱地盤の土質を改善する湿地・干潟の活性方法であって、前記空気圧縮手段の動力を、前記乗り物を駆動するエンジンの出力軸から得ている。 第6の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法は、第5の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法において、前記空気圧縮手段は回転羽根式の圧縮機であって、しかも、前記エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して連結され、更に前記圧縮機から発生する空気の圧力は1〜3kg/cm2 である。 【0006】 第1〜第4の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置及び第5、第6の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法においては、湿地・干潟等の軟弱地盤上をエンジンによって自力で走行し、地盤の土中に空気注入手段によって空気、即ち酸素を注入することができるので、土中の好気性菌を活性化することにより、好気性菌が有機物の分解を行い、土質の改善を図ることができる。また、土中に直接空気を入れることによって、土を部分的に掘り起こしながら攪拌すると共に、土中に空気の抜け通路を形成するので、処理後の土も通気性が向上する。 軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物としては、軟弱地盤上で十分な浮力を有する軽量かつ強固な本体に、土を掻いて進む等の推進装置を備えた乗り物が好適に使用される。 【0007】 エンジンとは、ガソリン、軽油、重油等を燃料とする回転動力発生源をいう。空気圧縮手段とは、エンジンの回転力によって回転駆動され、必要な圧力の空気を発生させる手段をいうが、高速羽根によって必要な圧縮空気を得るもの(所謂、過給機やロータリーコンプレッサ)と、エンジンの回転力によって往復動するピストンを有し、吸い込んだ空気を直接圧縮して所定の圧縮空気を発生させるもの(所謂、往復動圧縮機)がある。 ここで、エンジンの排ガスを用いて排気タービンを回転し、その回転力によって圧縮機(過給機又はロータリコンプレッサ)を高速回転して、必要な圧縮空気を発生させる方法もあるが、排気ガスの量は消費する燃料に依存し、エンジンに負荷が少ない場合には、仮にエンジンが高速回転していても、排気ガスは少なく、結果として、常時十分な圧縮空気量を確保することが難しいという問題や、排気ガスを用いるために、過給機が排ガスによって加熱され発生する圧縮空気の温度が高くなり、土中の生物に悪影響を与える問題がある。 【0008】 一方、本発明においては、エンジンの回転力によって空気圧縮手段を駆動しているので、仮にエンジンに乗り物を走行させるというような負荷がなくても、エンジンの回転を実質上弊害のない範囲で一定に保つことができ、これによって、発生する圧縮空気の量が安定し、土中に注入する空気の量を確保できる。 空気注入手段としては、空気圧縮手段により圧縮された空気を土中に注入できればよい。空気注入手段として、例えば、乗り物の後部に取付けられ、土中に一定深さその先端が差し込まれ、その先部から土中に圧縮空気を噴出するノズル(プラスチック、金属、ゴム製)があり、鋤状に形成したものを土中に一定深さ差し込み、その下端や後端位置から土中に圧縮空気を吹き込むものであってもよい。この場合、これらの空気注入手段の空気の噴出口は複数あって、乗り物の後部に隙間を設けて並べて配置される方がより好ましい。 また、本発明においては、乗り物を走行させるためのエンジンの回転動力に連結して、空気圧縮手段が駆動され、圧縮空気を発生させる他の動力源(例えば、別のエンジンやモータ)を使用していないので、全体として乗り物の軽量化及び小型化ができる。 【0009】 特に、第2の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置、及び第6の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法においては、以下の作用を有する。即ち、エンジンの出力軸は、走行時は当然として乗り物が低速走行時や停止時でも高速回転しており、この出力軸から、増速型の動力伝達機構を介して圧縮機を駆動しているので、圧縮機に必要な高速回転を容易に得ることができ、結果として圧縮機から所定の空気量を確保できる。増速型の動力伝達機構としては、直径比の異なる対となるVプーリー及びVベルトが好適に用いられる。なお、一般には乗り物を走行させるための車輪やキャタピラと、これらを駆動するためのエンジンとの間に減速機やクラッチが設けられているが、この発明においては、これを介さず、エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して直接駆動されるので、乗り物が停止時や低速走行時であっても、圧縮機の高速回転が行える。 【0010】 第3の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置、及び第6の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法においては、空気圧縮手段から排出される空気の空気圧を1〜3kg/cm2 とすることによって、土中に注入する空気の圧力が高いので、土中に効率よく空気を注入することができる。ここで、土中に注入する空気圧が1kg/cm2 未満では土中の圧力が高いため、空気を注入し難く、3kg/cm2 を超えると空気が勢いよく注入されるため土を吹き飛ばすことがあり、また、動力の無駄である。 そして、第4の発明に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置においては、空気注入手段を土中に沈めて活性装置を走行させても、活性装置の走行に大きな支障がなく、更には、活性装置の走行により、相対的に軟弱な土が流速を有するので、この土の流れによって空気注入手段の後部側の土に、ベンチュリー効果によって負圧が生じ、周囲から土が空気吹き出口側に引き込まれ、積極的に土と空気との攪拌が行われる。 【0011】 【発明の実施の形態】 続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。 ここで、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置の平面図、側面図、図2は同活性装置のエンジンの回転動力伝達の説明図、図3(A)は同活性装置の空気注入手段の説明図、(B)は空気注入手段の取付け部分の説明図、図4(A)〜(C)はそれぞれ同活性装置の空気注入手段の正面図、側面図、平面図、図5(A)、(B)はそれぞれ同活性装置の変形例に係る空気注入手段の一部省略平面図、一部省略側面図である。 【0012】 図1(A)、(B)、図2、図3(A)に示すように、本発明の一実施の形態に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置10は、湿地・干潟等の軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物の一例である角舟11を有し、角舟11の前側中央部の船底には、エンジンの一例であって耕運機の車輪を除去した10馬力のディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)12が備えられ、エンジン12の回転動力を伝える車軸13が角舟11の進行方向(図中の矢印方向)に対して実質的に直交するように角舟11の船底に取付けられている。 更に、エンジン12の出力軸12aには、第1のVプーリー12bと、第1のVプーリー12bに取付けられた第1のVベルト14と、第1のVプーリー12bと直径比が異なり対となる第2のVプーリー12cとから形成される増速型の動力伝達機構を介して、空気圧縮手段の一例である回転羽根式の圧縮機15が連結されている。例えば、第1のVプーリー12bと第2のVプーリー12cの直径比が3倍であると、圧縮機15の回転軸14aの回転数は、出力軸12bの回転数の3倍となる。更に、圧縮機15には先端部が二股になっているフレキシブルホース16の基部が接続され、更に、フレキシブルホース16のそれぞれの先端には角舟11の後端部に所定の間隔で配置された導管17が接続されている。 【0013】 更に、導管17の先端にはそれぞれ空気注入手段の一例である空気注入具18が、流線形に形成され、角舟11の進行方向に対して抵抗が小さくなるように取付けられている。空気注入具18の後部(進行方向の反対側)には、空気吐出口19を設けている。 また、エンジン12には、エンジン12の出力軸12aに設けられた第3のVプーリー19aと、第3のVプーリー19aに取付けられた第2のVベルト19bと、第3のVプーリー19aと直径比が異なる対となる第4のVプーリー19dを介して減速機19cが連結されている。減速機19cによって減少した回転動力が、減速機19cに設けた回転軸19e及び車軸13にそれぞれ設けた歯車19f、19gを介して、車軸13に伝えられ、更に、車軸13の先端、即ち進行方向に対して角舟11の左右両側に取付けられた外車輪20、21を駆動させる。これらによって、走行手段が構成される。 【0014】 角舟11は、軟弱地盤に対して適切な接地圧(例えば、110kg/m2 )になるような底面積を有し、エンジン12、圧縮機15及び操縦するために乗り込む人等の全ての重量に対しても浮力を得られるように設計されている。角舟11の船底の角部を小半径のアールとすることで、広い底面積が得られ、接地圧を小さくできると共に、角舟11の旋回時の抵抗を軽減することができる。 また、角舟11は、エンジン12の出力を制御するスロットルレバー22と、左右の外車輪20、21とエンジン12との連結をそれぞれ結合又は解除する左右のクラッチ23、24と、エンジン12に配設された減速機19cのギア比を切替えるギア25と、高速用又は低速用のギアを切替える切替スイッチ26を備えている。 【0015】 図3(A)、(B)を参照しながら、空気注入具18の角舟11への取付けについて説明する。導管17は、角舟11の後部外側壁に固定される垂直部分と、フレキシブルホース16と接続される水平部分とを有した折れ曲がり構造をしており、垂直部分の上部には回転軸30を有する第1の支持部材31と、支持部材31の下側には圧着による摩擦により導管17を保持する第2の支持部材32とを備えている。更に、導管17の垂直部分の第2の支持部材32より下部は伸縮自在に形成され、空気注入具18が土中に沈み込む深さ(例えば、ほぼ30cm)を調節している。また、角舟11の後部には、第1の支持部材31及び第2の支持部材32の取付け位置にそれぞれ対応し、第1の支持部材31及び第2の支持部材32を保持する第1の取付け部材33、第2の取付け部材34が設けられた導管取付け具35が角舟11後端の内側壁に万力36により取付けられている。活性装置10の走行中において、空気注入具18に岩等の異物や岩盤等の硬い土が衝突する場合や、活性装置10の速度が速くなり空気注入具18に負荷がかかる場合には、第2の支持部材32は、第2の取付け部材34と離れるので、第1の支持部材31の回転軸30を中心として、空気注入具18が跳ね上がってショックを回避することにより、空気注入具18、導管17の破損を防止することができる。 【0016】 図4(A)〜(C)に示すように、空気注入具18は、流線形かつ水平方向に長く形成されている。しかも、進行方向の反対側に空気を排出する空気吐出口19が横方向に長く設けられている。空気注入具18が流線形に形成されているので、角舟11の進行方向に対して抵抗が小さくなって、活性装置10の走行により、相対的に軟弱な土が流速を有し、土の流れによって空気注入具18後部の空気吐出口19近傍では、所謂ベルヌーイの定理によるベンチュリー効果によって負圧が生じる。これによって、空気吐出口19から放出される圧縮空気は、土中にスムーズに送り込まれるので、周囲から土が空気吐出口19側に引き込まれ、積極的に土と空気との攪拌が行われる。更に、空気吐出口19が幅広に形成されているので、土中に広く空気を放出することができる。なお、土中に空気注入具18を沈めて活性装置10を走行させても、空気注入具18が流線形なので抵抗が少なく、活性装置10の走行に大きな支障がない。 【0017】 また、図5(A)、(B)に示すように、空気注入手段の変形例として、先端部が三股になっているフレキシブルホース37のそれぞれの先端に、導管17aを接続し、各導管17aの先端に接続された空気注入具38を用いることもできる。空気注入具38は流線形かつ垂直方向に長く形成され、角舟11の進行方向に対して抵抗が小さくなるように取付けられている。しかも、進行方向の反対側に空気を排出する空気吐出口39がノズル状に設けられているので、空気を勢いよく注入することができる。また、空気注入具38が取付けられた角舟11の走行により、相対的に軟弱な土が流速を有し、土の流れによって空気注入具38後部の空気吐出口39近傍では、所謂ベルヌーイの定理によるベンチュリー効果によって負圧が生じる。これによって、空気吐出口39から放出される圧縮空気は、土中にスムーズに送り込まれる。更に、空気吐出口39から注入した空気が上方に抜け、土が開削するのを防止するために、開削防止板40を導管17aの第2の支持部材32下部に、実質的に軟弱地盤の上面と接するように設けている。 【0018】 次に、本発明の一実施の形態に係る空気注入による湿地・干潟の活性方法について活性装置10を用いて説明する。この活性方法は、圧縮機15を搭載した角舟11を湿地・干潟等の軟弱地盤上を自力走行させて、圧縮機15で圧縮された空気を軟弱地盤の土中に注入して土質を改善する方法であって、角舟11を駆動するエンジン12が、例えば1300rpmで回転し、その回転動力を、エンジン12の出力軸12aに取付けられた第1のVプーリー12b、第1のVベルト14、第1のVプーリー12bの直径の1/3に形成された第2のVプーリー12c、圧縮機15の回転軸14aを介して、回転羽根式の圧縮機15に伝達している。この場合には、圧縮機15は3900rpmで回転する。圧縮機15は、圧縮機15外部の空気を取込み、これを圧縮して、圧縮機15外部(フレキシブルホース16)に放出する。放出される空気の圧力は、1〜3kg/cm2 、好ましくは1.5〜2.5kg/cm2 と高く、土中に空気を効率よく放出することができる。放出される空気量は、例えば、1時間当たり数百m3 である。圧縮機15により圧縮された空気は、フレキシブルホース16、導管17、空気注入具18を通り、空気注入具18の後部の空気吐出口19から放出される。エンジン12に無段変速機等の変速装置を介して、圧縮機15を作用させると、エンジン12の出力が低下、つまり、活性装置10の走行速度が低下しても圧縮機15の回転数は低下しない。 【0019】 活性装置10の操縦は、スロットルレバー22、クラッチ23、24、ギア25、及び切替スイッチ26で行う。ギア25の変速段数は、例えば前進3段、後退1段のものを使用している。更に、高速用及び低速用の2段階に切替可能な切替スイッチ26により前進の変速段数を6段までにすることができる。 活性装置10を前進させるには、左右のクラッチ23、24を繋ぎ、スロットルレバー22によりエンジン12の出力を上げ、左右の外車輪20、21を回転させる。また、左に旋回する場合には、左のクラッチ23を切り左側の外車輪20の回転を止め、右のクラッチ24を繋ぎ右側の外車輪21を回転させる。右に回転させる場合は、その逆の動作を行えばよい。後退する場合には、ギア25を後退する位置に切替えることにより行う。また、ギア25及び切替スイッチ26を切替えることにより活性装置10の速度を調整することができる。 【0020】 図1(B)に示すように、外車輪20、21は複数枚(例えば6枚)の掻き羽根27が取付けられている。泥詰まり防止及び推進力の増加のため、掻き羽根27の先端部(外車輪20、21の円周側)は、それぞれの掻き羽根27が土と接地する時に、地面と掻き羽根27の先端部がほぼ平行となる角度を有し、効率よく土を掻くことができる。また、外車輪20、21は補強のために、外車輪20、21の外周の内側及び外側に輪28が取付けられている。更に、輪28は地盤の硬軟に応じて外車輪20、21の土中に沈み込む深さを調整して、掻き羽根27に過度の抵抗がかかり、破損するのを防いでいる。外車輪20、21には泥土の飛沫防止のために泥除け29が設けられ、乗組員に泥がかからないようにしている。 【0021】 本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の空気注入による湿地・干潟の活性装置を構成する場合にも適用される。 例えば、前記実施の形態において、エンジンとして、ディーゼルエンジンを用いたが、ガソリンエンジンでもよい。ディーゼルエンジンの出力も10馬力に限定されるものではないが、本実施の形態では圧縮機に3馬力の出力が使用されているので、回転羽根式の圧縮機を用いる場合には、圧縮機に使われる出力を差し引かなければならない。また、エンジンに無段変速機を介して圧縮機を備えてもよく、無段変速機により、エンジンの回転数に関わらず、圧縮機の効率を一定にすることができる。フレキシブルホースの分岐を2又は3としたが、4以上に分岐して、それに接続する導管及び空気注入手段の数を増やしてもよい。 【0022】 【発明の効果】 請求項1〜4記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置、請求項5及び6記載の空気注入による湿地・干潟の活性方法においては、エンジンによって軟弱地盤上を自力走行可能な乗り物と、エンジンより取り出される回転動力によって駆動される空気圧縮手段とを備えているので、軟弱地盤上を走行しながら、例えば、空気圧縮手段により圧縮された空気を軟弱地盤の土中に直接注入することが可能となり、土中の好気性菌の活性化し、有機物の分解を行って、土の改善を図ることができる。 更に、軟弱地盤の土壌を耕す場合に比較して、効率的に酸素を土中に送り込むことができ、更には土中の組織の破壊を極力抑えながら、湿地・干潟の軟弱地盤の活性化を行うことができる。また、土中に直接空気を入れることによって、土を部分的に掘り起こしながら攪拌すると共に、土中に空気の抜け通路を形成するので、処理後の土も通気性が向上する。 また、空気圧縮手段は、軟弱地盤上を走行する乗り物のエンジンによって回転駆動されるので、常時安定した高速回転を得ることができ、例えば、エンジンの排ガスを利用した過給機等を用いる場合に比べて、所定圧以上で一定量以上の圧縮空気を確保できる。これによって、燃料の無駄を省くことができると共に、エンジンを兼用させているので、装置全体の軽量化を行うことが可能となる。 【0023】 特に、請求項2記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置においては、空気圧縮手段は回転羽根式の圧縮機であって、しかも、エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して連結されているので、圧縮機に必要な高速回転を、走行時は当然として乗り物が低速走行時や停止時でも容易に得ることができ、圧縮機から所定の空気量を確保できる。また、エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して直接駆動されるので、乗り物が停止時や低速走行時であっても、圧縮機の高速回転が行える。 請求項3記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置においては、空気圧縮手段から排出される空気の空気圧が1〜3kg/cm2 であるので、土中に効率よく空気を注入することができる。 請求項4記載の空気注入による湿地・干潟の活性装置においては、空気注入手段は流線形に形成され、乗り物の進行方向に対して抵抗を小さくするので、空気注入手段を土中に沈めて活性装置を走行させても、活性装置の走行に大きな支障がなく、更には、活性装置の走行により、相対的に軟弱な土が流速を有するので、この土の流れによって空気注入手段の後部側の土に、ベンチュリー効果によって負圧が生じ、周囲から土が空気吹き出口側に引き込まれ、積極的に土と空気との攪拌が行われる。 【0024】 請求項6記載の空気注入による湿地・干潟の活性方法においては、空気圧縮手段は回転羽根式の圧縮機であって、エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して連結され、圧縮機から発生する空気の圧力は1〜3kg/cm2 であるので、圧縮機に必要な高速回転を、走行時は当然として乗り物が低速走行時や停止時でも容易に得ることができ、圧縮機から所定の空気量を確保できる。また、エンジンの出力軸に増速型の動力伝達機構を介して直接駆動され、乗り物が停止時や低速走行時であっても、圧縮機の高速回転が行える。更には、土中に注入する空気の圧力が高いので、土中に効率よく空気を注入することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る空気注入による湿地・干潟の活性装置の平面図、側面図である。 【図2】同活性装置のエンジンの回転動力伝達の説明図である。 【図3】(A)は同活性装置の空気注入手段の説明図、(B)は空気注入手段の取付け部分の説明図である。 【図4】(A)〜(C)はそれぞれ同活性装置の空気注入手段の正面図、側面図、平面図である。 【図5】(A)、(B)はそれぞれ同活性装置の変形例に係る空気注入手段の一部省略平面図、一部省略側面図である。 【符号の説明】 10:空気注入による湿地・干潟の活性装置、11:角舟、12:ディーゼルエンジン(エンジン)、12a:出力軸、12b:第1のVプーリー、12c:第2のVプーリー、13:車軸、14:第1のVベルト、14a:回転軸、15:圧縮機、16:フレキシブルホース、17、17a:導管、18:空気注入具、19:空気吐出口、19a:第3のVプーリー、19b:第2のVベルト、19c:減速機、19d:第4のVプーリー、19e:回転軸、19f、19g:歯車、20、21:外車輪、22:スロットルレバー、23、24:クラッチ、25:ギア、26:切替スイッチ、27:掻き羽根、28:輪、29:泥除け、30:回転軸、31:第1の支持部材、32:第2の支持部材、33:第1の取付け部材、34:第2の取付け部材、35:導管取付け具、36:万力、37:フレキシブルホース、38:空気注入具、39:空気吐出口、40:開削防止板
|
| 【出願人】 |
【識別番号】301003159 【氏名又は名称】国土交通省九州地方整備局長 【識別番号】301009058 【氏名又は名称】株式会社 キューヤマ
|
| 【出願日】 |
平成14年9月17日(2002.9.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090697 【弁理士】 【氏名又は名称】中前 富士男
|
| 【公開番号】 |
特開2004−105042(P2004−105042A) |
| 【公開日】 |
平成16年4月8日(2004.4.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−270164(P2002−270164) |
|