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【発明の名称】 牽引作業機の中立位置補正装置
【発明者】 【氏名】安久津 昌義

【氏名】小倉 尚勝

【要約】 【課題】ヒッチ傾斜角度をスイッチの基準位置に補正するセンサを備えた牽引作業機の中立位置補正装置を提供する

【解決手段】ヒッチ角センサと、このセンサの信号で作業機フレームとヒッチの角度を中立位置に補正する駆動装置を備えている。前記センサは、回転軸で回転されるカムと固定スイッチを内蔵したスイッチボックスと、カム回転軸に一体回転可能に連結したカム角調整プレートと、カム回転軸に対して回転可能に係合させた係止フレームとを有し、カム角調整プレートと係止フレームを任意の回転角で結合できるようにしてある。係止フレームの結合ピンと、カム角調整プレート円弧状長孔でカム角調整プレートと係止フレームを任意の回転角で結合する。係止フレームのヒッチ取付孔を長孔に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機が回行開始位置へ牽引されたことを条件として作動し、その時のヒッチ角を検出するセンサと、このセンサのON−OFF信号で作業機フレームとヒッチの角度を中立位置に補正する駆動装置からなる牽引作業機の中立位置補正装置であって、前記センサは、外部に突出させた回転軸で回転されるカムとこのカムのカム面に摺接してON・OFF制御信号を発信するスイッチを内蔵し、作業機フレーム又はヒッチの一方に結合されるスイッチボックスと;スイッチボックスから突出させた前記カム回転軸に一体回転可能に連結したカム角調整プレートと;前記カム回転軸に対して回転可能に係合され、作業機フレーム又はヒッチの他方の部材に結合される係止フレームと;を有し、スイッチボックスに対するカム角度を基準位置に設定して前記カム角調整プレートと係止フレームを任意の回転角で結合できるようにしたことを特徴とする牽引作業機の中立位置補正装置
【請求項2】
前記係止フレーム面に結合ピンを設けるとともに、このピンに結合される前記カム角調整プレートの結合孔を結合ピンの回動軌道に沿った円弧状長孔に係合し、結合ピンと円弧状長孔でカム角調整プレートと前記係止フレームとを角度変位可能に固定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の牽引作業機の中立位置補正装置
【請求項3】
作業機フレーム又はヒッチに結合される前記係止フレームのピン孔が係止フレームの軸方向に形成した長孔であることを特徴とする請求項1又は2記載の牽引作業機の中立位置補正装置
【発明の詳細な説明】【001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクタなどの牽引車にヒッチを介して牽引されるビートハーベスタなどの作業機の中立位置補正装置に関し、特にこの補正装置に使用されるスイッチの改良に関する。
【002】
【発明の技術的背景】
トラクタにヒッチを介して牽引されるビートハーベスタなどの作業機は、作業機の前フレームとヒッチ間にヒッチ角を制御するための油圧シリンダを架設するとともに、作業機の架台下方に畦のビート列を検出するビートセンサを設け、ビートセンサの検出信号で上記油圧シリンダを作動して、ヒッチ角を制御し、これにより、ビートコンベアの掘取り口を畦のビート列に一致させる畦合わせ装置を備えている。
【003】
この種のビートハーベスタは、掘取り作業中はビートセンサの信号で油圧シリンダを制御しながら牽引されるので、ビート列に沿って直進するが、掘取りが終わって畦の外側の回行エリアに出ると、ガイドとなるビート列がないため中立位置への補正信号が働かない。従って、このときに作業機フレームに対しヒッチ角が中立位置から外れ、右又は左に片寄った状態にあると、作業機は偏向したまま牽引されるため、次の畦に回行したときにトラクタと作業機の中立位置(直列牽引)がずれ、ビート掘取り口とビート列が合わなくなってしまう。
【004】
この問題を解決するために、作業機フレームとヒッチ間にヒッチ角センサを設け、このヒッチ角センサの信号で前記油圧シリンダを制御して作業機とヒッチの角度を中立位置へ戻す補正装置が使用される。このヒッチ角センサは、作業機が回行開始位置へ牽引されたことを条件として作動し、その時の作業機フレームに対するヒッチの角度を検出するものである。
【005】
従来この種の補正装置のヒッチ角センサは、スイッチボックスにカムを回転可能に配置するとともにこのカムのカム面に摺接してON・OFF信号を発信するスイッチを内蔵させ、スイッチボックスから突設させた前記カムの回転軸に係止フレームを一体回転可能に固定した構成になり、スイッチボックスを作業機フレームに固定し、係止フレームの先端側取付孔をヒッチのピンに固定していた。
【006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のセンサは、ヒッチに固定される係止フレームが、カム回転軸と一体回転可能に結合され、スイッチボックスに対して直角のときにスイッチが基準位置(0角中立位置)になるように設定されており、作業機フレームとヒッチが直角で牽引されることを前提としている。
ところで、牽引車の運転席後方にある作業機の車輪の軌道を気にしないで牽引するには牽引車と作業機の相互の一側車輪(左側又は右側車輪)が直列に並び同じ軌道を走行するようにする必要があるが牽引車と作業機は横巾が異なるため、前記の一側車輪を合わせるにはヒッチを予め所定傾斜角度に保持させた状態で連結しなければならないことが多い。
【007】
このため、従来のように、カム回転軸に固定した係止フレームを、所定傾斜角度に設定したヒッチに結合すると、カムが傾斜角度分だけすでに回転しているので、作業機フレームに対するヒッチ角を元の中立位置に戻すことができなくなる。
【008】
従って、本発明の目的は、ヒッチが傾斜角度に初期設定されていても、カム自体は常にスイッチの基準位置に補正して前記ヒッチに固定することができるセンサを備えた牽引作業機の中立位置補正装置を提供することにある。
【009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、作業機が回行開始位置へ牽引されたことを条件として作動し、その時のヒッチ角を検出するセンサと、このセンサのON−OFF信号で作業機フレームとヒッチの角度を中立位置に補正する駆動装置からなる牽引作業機の中立位置補正装置であって、前記センサは、外部に突出させた回転軸で回転されるカムとこのカムのカム面に摺接してON・OFF制御信号を発信するスイッチを内蔵し、作業機フレーム又はヒッチの一方に結合されるスイッチボックスと;スイッチボックスから突出させた前記カム回転軸に一体回転可能に連結したカム角調整プレートと;前記カム回転軸に対して回転可能に係合され、作業機フレーム又はヒッチの他方の部材に結合される係止フレームと;を有し、スイッチボックスに対するカム角度を基準位置に設定して前記カム角調整プレートと係止フレームを任意の回転角で結合できるようにしたことを特徴とする。
【010】
カム角調整プレートと係止フレームの結合手段は、好ましくは、前記係止フレーム面に結合ピンを設けるとともに、このピンに結合される前記カム角調整プレートの結合孔を結合ピンの回動軌道に沿った円弧状長孔に係合し、結合ピンと円弧状長孔でカム角調整プレートと前記係止フレームとを角度変位可能に固定できるようにする。
【011】
作業機フレーム又はヒッチに結合される前記係止フレームのピン孔は、係止フレームの軸方向に形成した長孔に形成する。
【012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付の図面に基づいて説明する。
図1はトラクタ1に、作業機2としてのビートハーベスタをヒッチ3を介して連結した実施例を示すもので、作業機2のフレーム4にヒッチ3の基部が回動自在に軸着されているとともに、ヒッチ3の先端側はトラクタ1のドローバー5に軸着され、作業機2がヒッチ3を介してトラクタ1に牽引されるようになっている。
【013】
作業機2の車体下方に畦のビート列6を感知するビートセンサ7が設置されているとともに、ビートセンサ7の後方には先端にビート掘取り口8を取付けたビートコンベア(図は省略)が動力リフター(図は省略)によって上下動可能に設置されている。
また、作業機フレーム4とヒッチ3間に、作業機フレーム4とヒッチ3の角度を制御する油圧シリンダ9などの駆動手段が架設されている。
【014】
この油圧シリンダ9はビートセンサ7がビート列6を感知していないときは作業機フレーム4とヒッチ3の角度を固定しているが、作業機2が左又は右に片寄って、ビートセンサ7がビートを感知するとその信号で油圧シリンダ9を伸縮制御して作業機2を右又は左に軌道修正させ、これにより前記ビートコンベアの掘取り口8がビート列6に一致するようになっている。すなわち、ビートセンサ7と油圧シリンダ9は協働して作業機2の自動畦合わせ装置を構成している。
【015】
他方、図1、図2に示すように、ヒッチ軸着部の作業機フレーム4とヒッチ3間に、作業機2の前部が畦から出て回行開始位置にきたことを条件として作動し、その時のヒッチ角を検出するヒッチ角センサ10が架設されている。
このヒッチ角センサ10は、作業機2が回行開始位置にきたときに、ビートセンサ7によって制御されていたヒッチ3の角度を検出し、その検出信号で油圧シリンダ9を伸縮制御して作業機2とヒッチ3の位置関係を中立位置(直列牽引)に戻すものである。従って、ヒッチ角センサ10と前記油圧シリンダ9は協働して作業機2の中立位置補正装置を構成している。
【016】
ヒッチ角センサ10はビート掘取作業中は作動せず、作業機2が畦の端の回行開始位置にきたことを条件として作動するもので、この条件は、例えば図3に例示するように、コンベアセンサのリフトアップ信号、あるいは、作業機2が回行開始位置にきたことを目視あるいは他の手段で感知して操作される手動又は自動スイッチ信号の開閉電気回路E1にヒッチ角センサ10の開閉電気回路E2を直列に接続することによって構成することができる。
【017】
本発明は、上記の作業機中立位置補正装置において、ヒッチ角センサ10を以下のように構成したことを特徴とする。
すなわち、このヒッチ角センサ10は、図3〜図6に示すように、作業機フレーム4とヒッチ3の一方側に固定されるスイッチボックス11と他方側に取付ける係止フレーム12を有し、通常はスイッチボックス11を作業機フレーム4に取付け、係止フレーム12の先端側取付孔13をヒッチ3の結合ピンに係着するようになっている。
【018】
スイッチボックス11は外部に突出させた回転軸14で回転されるカム15が回転可能に収納されているとともに、このカム15の凹凸カム面に摺接してヒッチの中立、左、右の各位置を検出して信号を出すスイッチ16が固定されている。図中、符号17はスイッチ16のコードである。
【019】
カム15の回転軸14はスイッチボックス11の外部へ延び、その突出軸体にカム角調整プレート18が水平に、且つ、一体回転可能に結合されている。図の実施例では回転軸14とカム角調整プレート18の嵌合部を非円形(半円形)軸体部19と係合孔20に形成し、これにより、回転軸14とカム角調整プレート18が一体に回転するようにしてある。もちろん他の結合手段で一体化してもよい。
【020】
他方、前記係止フレーム12は平らなカム角調整プレート18と同様の平らなプレートからなり、円形嵌合孔21をカム回転軸14に遊嵌してカム回転軸14とは独立に回動可能に組込まれている。すなわち、係止フレーム12は、カム15及びこれと一体のカム角調整プレート18と同芯に配置され、且つカム15及びカム角調整プレート18から独立して回転できるようにカム回転軸14に係合している。
【021】
係止フレーム12は組付け構造上は独立して回動するようにカム回転軸14に係合しているが、ヒッチ3に固定して作業機2とヒッチ3の角度を中立位置へ戻すときはヒッチ3と連動してカム15を回転させるものである。このため、同芯に配置された係止フレーム12とカム角調整プレート18には両部材を適宜角度に変位させて結合する着脱手段22が設けられている。
【022】
図の実施例の着脱手段22は、係止フレーム12に係着した結合ピン22a
(ボルト、ナット)と、この結合ピン22aの回動軌道に沿ってカム角調整プレート18に形成した円弧状長孔22bで構成されており、係止フレーム12の結合ピン22aをカム角調整プレート18の円弧状長孔22bに適宜の位置で固定することにより、係止フレーム12とカム角調整プレート18が所望の角度で一体結合される。
図の実施例とは逆に、カム角調整プレート18に結合ピン22aを設け、係止フレーム12に円弧状長孔22bを形成してもよい。また、着脱手段22は上記の構造に限らず、係止フレーム12とカム角調整プレート18を所望の角度に変位して結合・離脱させるものであればよい。
【023】
ヒッチ3に係着する係止フレーム12の先端側の前記取付孔13は、係止フレーム12の軸方向に延びる長孔に形成する。こうすることにより、取付孔13とヒッチ3の結合ピンの精度を緩和して位置合わせできるようにするとともに、ヒッチ3の軸支点とカム回転軸14の中心位置がずれていても回動時に干渉しないようにしてある。
【024】
かくして、本発明のヒッチ角センサ10は、着脱手段22の結合を解いた状態では、スイッチボックス11、カム角調整プレート18及び係止フレーム12の3部材が中心点を共通にして各々独立の回動が可能となり、これにより、カム角調整プレート18と係止フレーム12を任意の角度に変位させることができるとともに、着脱手段22を所望の位置で結合するとカム角調整プレート18と係止フレーム12がスイッチボックス11に対して一体となって回動する構造になっている。
【025】
ヒッチ角センサ10を作業機フレーム4とヒッチ3の連結部に取付ける際は、例えば、スイッチボックス11を作業機フレーム4に平行に固定するとともに、係止フレーム12を、カム角調整プレート18との結合を解除した状態でヒッチ3に係着する。次いで、カム角調整プレート18でカムをスイッチ中立位置に合わせた状態で該カム角調整プレート18と係止フレーム12を結合手段22で一体化する。
かくして、この状態ではヒッチ3が作業機フレーム4にどのような初期傾斜角度に設定しても常に初期設定傾斜角度の状態がスイッチ16とカム15が0基準位置となる。
【026】
図の実施例はスイッチボックス11を作業機フレーム4側に固定し、係止フレーム12をヒッチ3側に係着する場合を例示したが、これとは逆に取付けてもよい。
【027】
【効果】
以上のように、本発明の中立位置補正装置に使用するヒッチ角センサは、ヒッチの初期設定角度に応じてカム角調整プレートを介してスイッチボックスとスイッチカムの位相を合わせた上で、カムと係止フレームが連結されるようにしたので、ヒッチの傾斜角度、係止フレームの姿勢に関係なく、初期設定位置のスイッチが、常に且つ自動的に0基準位置に設定される。従って、作業機が畦外で回行する際に、ヒッチ角変化を正確に感知して作業機を中立位置で牽引することができる。
【028】
係止フレームのヒッチ先端側取付孔を長孔にすることによりヒッチピン位置と係止フレーム取付孔位置の製作に厳格な精度を必要としなくなるとともに、ヒッチと係止フレームの軸着支点位置がずれていても回動時にヒッチと係止フレームが干渉しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタと作業機の一部切欠き全体態図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】コンベアセンサとヒッチ角センサの電気回路接続図
【図4】ヒッチ角センサの縦断面図
【図5】ヒッチ角センサの内部構造図
【図6】ヒッチ角センサ部材組付け説明図
【符号の説明】
1…トラクタ
2…作業機
3…ヒッチ
4…作業機フレーム
5…ドローバー
6…ビート列
7…ビートセンサ
8…掘取り口
9…油圧シリンダ
10…ヒッチ角センサ
11…スイッチボックス
12…係止フレーム
13…先端側取付孔
14…回転軸
15…カム
16…スイッチ
17…コード
18…カム角調整プレート
19…軸体部
20…係合孔
21…円形嵌合孔
22…着脱手段
22a…結合ピン
22b…円弧状長孔
E1、E2…センサ電気回路
【整理番号】PAS002―011
【出願人】 【識別番号】000117272
【氏名又は名称】安久津 義人
【識別番号】000117283
【氏名又は名称】安久津 昌義
【出願日】 平成14年6月20日(2002.6.20)
【代理人】 【識別番号】100073656
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 直義

【公開番号】 特開2004−16180(P2004−16180A)
【公開日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願番号】 特願2002−179673(P2002−179673)